アイン


「私は、人を殺す為に生かされているから……」

ニトロプラス第1作目のPCゲーム『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』に登場するヒロイン。
北斗の拳のキャラでも記憶喪失だった時のハヤテ兄さんでもない
秘密結社「インフェルノ」に所属する、暗殺者の少女。
一切の感情を介さず忠実に任務を遂行する姿から、組織最強の暗殺者に与えられる「ファントム」の称号を持つ。
愛銃はコルトパイソン、H&K SOCOM等。暗殺のためには偽の感情を演じる事も厭わず、その姿は「芸術品」とまで称される。
名前の「アイン(ein)」とはドイツ語の「1」、つまり「一人目のファントム」を表わすコードネームである。
オリジナルのPC版は無声だが、PS2移植版やOVA、『ニトロ+ロワイヤル』では 南央美 氏、
2009年放送のアニメ版『Phantom -Requiem for the Phantom-』では 高垣彩陽 氏が声を担当している。

「これは夢なんだ。悪い……夢」
「そうね……でも、長い長い悪夢になるわよ」

合衆国全土を震撼させた、マフィア幹部連続殺害事件。
実行犯と目される暗殺者「ファントム」は足跡を一切残さず、事件は暗礁に乗り上げていた。
そんな中観光で一人アメリカを訪れていた主人公、吾妻玲二は偶然事件の現場を目撃。
ファントム(アイン)によって消されるはずだったが、彼女に対して反撃を試みた事で才能を見出され、拉致される。
彼はアインの師であるサイス・マスターという科学者によって過去の記憶の全てを消され、
暗殺者となるか死ぬかという極限状態においてアインに師事し、数々の訓練を受けていく。
過酷な訓練の末、玲二は二人目のファントム「ツヴァイ」の名を与えられ、組織最高の暗殺者までに成長する。
そんな中、彼は感情を失くしたようなアインが、実は心の底で感情を押し殺して生きている事に気が付く。
そう、彼女は決して感情を無くした訳ではなく、自らを殺人マシーンと規定しない事には人殺しの自責に耐えられなかったのだ。

+ 以下、原作ストーリー(ネタバレ注意)
ほどなくして自分のパスポートを手に入れ、過去の記憶と本当の名前を取り戻した玲二。
彼はアインに「エレン」という新しい名を与え、彼女と共に「インフェルノ」から逃れ生きていく事を決意するのだが……。

「君に名前をあげる。きみはエレンだ」

しかしエレンは土壇場でサイス・マスターを裏切る事ができず、玲二は彼女と対決する。
師弟であり、戦友であり、それ以上の関係であったかもしれない彼女との対決を制した彼は、
以来、新たな「ファントム」として、裏社会に名を轟かしていく事になる。
……かつてのエレンと同様、徐々にその心を軋ませながら。

数年後、ふとした偶然からギャング抗争に巻き込まれた少女キャル・ディヴェンスを救った玲二は、
彼女を守るために危ない橋を渡り、奪われた資金を追っていく過程で、ある人物と遭遇する。
それは自らの手で殺した筈のエレンだった。彼女は生き延びて、サイス・マスターの部下に戻っていたのだ。
しかしサイスの暗躍により、裏切り者として組織に追われる身となってしまった玲二。
心の拠り所であったキャルの待つアパートさえも組織に爆破され、彼は何もかも失ってしまった。
始まりの地に戻った玲二とエレンは、今度こそ組織から逃れるために旅立つ。──生きるために。

しかし、逃亡の果てに辿り着き、学生として生活を始めた日本にも、二人の平穏な日々は無かった。
サイス・マスターによって居場所を突き止められ、新たな三人目のファントム「ドライ」が送り込まれる。
それは生き延び、自分を捨てた玲二を殺すため、暗殺者として成長したキャルだったのだ。
「インフェルノ」とヤクザの抗争に巻き込まれる級友、そして玲二のために命を賭けて戦う二人の少女。
更にサイス・マスターの究極の完成品、かつてのエレンのように調整された六人の少女──「ファントム」達。
玲二は再び、最強の暗殺者「ファントム」として銃を手に取る……!

「アインなんて呼ばないで……。わたしはエレン。そう望まれ、そう生きる」

───生き延びた二人は大陸に渡り、エレンの家族を探していた。
細くつたない情報を頼りに各地を旅した後、辿り着いたのは──モンゴルの大平原だった。
だが、ここから先に進む情報は無い。ソビエト崩壊後の混乱は、何もかもを消し去ってしまったのだ。
家族を見付けられなかった事を悔やみ、謝り、それでも諦めずに探そうとする玲二。
しかしエレンは、澄み渡るような──何処までも何処までも広がる青空を見上げ、首を横に振った。
ここで良い。ここが自分の故郷なのだ。そう思えた。だから──

──エレンは今までで一番幸せそうな表情で、笑った。

なお、イベント全踏破のおまけCGを見る限りその後はモンゴルに住んでいる模様。髪が伸び、三つ編みに結っている。

+ 彼女のより詳細な設定、というか情報。こちらも微妙にネタバレ注意
「アイン」として以外の身元が一切不明。恐らくはモンゴル出身と思われる。
ソ連崩壊の騒動で孤児になり、娼館に売られた所をサイス・マスターに引き取られた模様。
「ファントム」に仕上げられるべく洗脳、催眠、様々な薬品投与を受け、過去の記憶も一切奪われている。
そのため、玲二に会うまで死ぬ自由すら与えられていなかった。
暗殺兵器としての一作目であるため、肉体強化の実験として必要以上に体を弄られているらしい。
そのため、薬品投与の副作用で時間が経っても外見年齢があまり変わらない。ロリババアという程ではないが。
サイス・マスターが自らの作品に永遠性を持たせるため、自分の技量を後継に受け継がせる目的で玲二の教育に当たる。
教育能力まで含めて完成としたわけである。

感情を押し殺しているため冷たく見えるが、その仮面を一度崩されると脆い。
自分を〝人間〟と定義してしまった瞬間には泣き出してしまった。
作品中盤から時折見せる素顔から、元来は優しい性格のようである。
ちなみに暗殺のための演技としてなら、何処にでもいるティーンエイジャーの少女として振舞えたりする。

インフェルノから玲二と共に隠れていた頃の潜伏先の学校がキリスト教系であったため、
そこで神学に触れて哲学、学問としてキリスト教の教えに興味を持ったらしい。
礼拝堂で一人で祈っている姿が作中でも描写されている。
ドライとの対決前には特に熱心に祈っていたようである。その後その礼拝堂で銃撃戦をする事になるが。
暗殺者の顔をしている時は非常にリアリストのような言動をとりながらも、
戦いが終わると「主よお許しください」と呟く彼女はそこに人間としての素顔を見せているのかもしれない。

戦闘人形としてのスペックは極めて高く、「芸術品」とまで称され、サイス・マスターから歪んだ愛情を受けていたが、
感情を爆発させて殺人者となった際のツヴァイには遥かに劣る(実際、それ故に彼はファントムとなったのだが)と評価されていた。
そのため、彼はツヴァイの発展型としてドライを作ったのだが、彼女はとにかく情緒不安定で扱いにくく、
結果的にサイス・マスターは原点へと立ち戻り、アインの発展量産型とも言える少女達を作る事になった。
しかしツヴァイと共に成長した彼女にとってそんな存在は敵ですらなく、あっさりと倒されてしまう。正に噛ませ犬である。
アイン曰く、かつての自分と全く同じなので戦闘能力自体は拮抗していても動きが簡単に分かるという。
具体的には、二対一の上、スペックも戦術もアップデートされている相手に最後まで一方的に追い詰められるも、
アインの頭の中ではそれら全てが予定調和であり、最後の最後にサイスの想定していないプログラム外の行動をしてカウンター。二人を同時に仕留めてしまう。
ワンパターンな育て方しかしていないサイスに対しては心の中で嘲笑したようである。
まあ、それもアインと直接対決したシーンの話で、建物にトラップを仕込まれたり数の優位を生かして包囲されるなど、
追い込まれてた時は結構脅威だったりしたんだけどね。

また全てに復讐するため、玲二がインフェルノの幹部となる道を選んだルートもあるのだが、
「アインと全く同じ」だったため、全員が簡単に玲二に篭絡されて忠誠を誓うと言う状態になってしまった。
そして油断していた幹部達ごとサイスを抹殺し、自分を利用していたインフェルノを乗っ取ってしまう。
以前の失敗まるで修正できてない辺り、天才なんだか間抜けなんだか良く分からないぞ、サイス・マスター。

左上から順にアハト(8)、フェンフ(5)、フィーア(4)。右上からゼクス(6)、ツィーベ(7)、ノイン(9)。
年齢や人種については不明だが、件のEDでは青年となった玲二より年下、他ルート登場時は同年代のように描かれる。
玲二がインフェルノと敵対する事を選んだルートでは、例外なく彼女達は皆殺しになってしまう。
数字姉妹達は玲二の「道具」となる以外、人間に戻る事はできないという不幸な運命にあるのだ。

ちなみにこの男、ラストでは「アインは戦闘能力を持たず、自分と対抗をしない人間を殺さない」と思い込み(事実過去のアインはそうであった)、
銃を捨てて意気揚々と逃げようとしたが、玲二との生活で変わったアイン…
もといエレンは暗殺人形としての命令の遂行ではなく、自らの意思で復讐「殺人」を行う。
自分で人を殺す事を決めてしまった以上、もはや何の言い訳もできない罪として背負わなければならないが、
エレンにはその覚悟ができていた。

サイスマスターの敗因は「人は成長するものである」という事を忘れていた事と、アインが人であると認識していなかった事だろう。

同作は徹底した銃器のモデリングに非常に重厚なシナリオを持ち、発売当初に全くの無名でありながら口コミで評価が広がり、
遂にはPS2への移植やOVA化などが行われた稀有な作品であり、当時のアダルトゲームの流行路線から外れていても、
その完成度次第でヒットする事を証明した作品として高い評価を受けている。
……まぁエロゲーで『3Dで再現された銃器』『原稿用紙1000枚以上のテキスト』だのを宣伝で前面に押し出し、
しかも掲載誌はミリタリー系だったあたり、処女作の頃からニトロはニトロだったわけだが。

余談だが、彼女の愛銃「コルト・パイソン」は『シティーハンター』こと冴羽獠の愛銃でもある。
また『ルパン三世』の登場人物・次元大介の「S&W・コンバットマグナム」も同口径(所謂「.357マグナム」)でもある。
次元は「構造的にジャム(弾詰まり)を起こさず、不発弾でもトリガーをもう一回引くだけで次弾を撃てる回転式拳銃の信頼性の高さ
(逆に自動式拳銃の方が装弾数が多く、リロード(弾の交換)も早い)と、
「人を即死させるのに十分な.357マグナムの威力」
(悪く言えば、.38スペシャル(実は火薬量が少ないだけで口径は.357マグナムと同じ)より反動が大きく、.44マグナムよりも威力が低い)
という理由でこれを好んで使っていたのだそうな。やはり同業者同士考えは似通うものなのだろうか?
単にリボルバー(回転式拳銃)の方がカッコいいってだけかもしれないが。

2009年4月にはニトロプラス10周年記念として、
『Phantom -Requiem for the Phantom-』というタイトルで新たにアニメ化して放送された。
エロゲのメディアミックスにはよくあるように、今作も正規エンドとは違う終わり方をしている。
+ 具体的には(ネタバレ注意)
原作ゲームのアインルートに忠実な流れで話が進んでいるが、最終話のラストにて玲二が何者かに狙撃され、死亡。

原作の虚淵氏はあれはあれで納得しているようで、「終わり方に納得できないって言う人は今度出るリメイク版をやってみてください」との事。
ちなみに同じアインルートである小説版や漫画版では、玲二・アイン・ドライと、
ファントム全員が生き残る玲二もげろな割とハッピーEDっぽい展開だったりする。


『ニトロ+ロワイヤル』におけるアイン

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同じくニトロプラス製作の『ニトロ+ロワイヤル』にも出演。
性能としては同作屈指のスピードキャラ。
近距離、遠距離共に優れた技を持つので、どちらの距離でも相手にプレッシャーをかけていく事ができる。唯一の空中投げ持ちでもある。
ちなみに2Pカラーが長門有希に似てる…ていうかまんまだったりする。まあどちらもネタ元が一緒だし。
また、何故か鉄壁である。ニトロワの癖に。

リーブアタックは「SIG-BLASER-R93」。相棒であるツヴァイこと玲二が画面外から狙撃を行う技である。
本人がカットインでちょこっとしか出てこないので、初見では何が起こったのか分からない人もいるかもしれない。
流石(ニトロでは)割とまともな主人公。ガード不能という特徴があり、主に起き攻めに使用される。
画面上に照準が表示され、最大3回ランダムに動き、相手に照準が重なると発射される。
ただしアイン本体がガードしたり、攻撃を喰らったりすると照準は消滅してしまう。
ガー不なので相手の体力次第では勝ち確定の状況も作れるが、威力はかなり低いのでよほど削らない限りはそうそう狙えない。
ちなみに、原作でこの銃を使っているシーンでは隣にヒロインの一人であるキャルが観測手としているわけだが、その状況に対してアインさんの胸中やいかに。

ところで、超必殺技の一つ「GEPARD-M1」はロングバレルのライフルをぶっ放す技(?)なのだが、弾の発射位置が明らかにおかしく、
銃口より内側に潜り込んでいても普通に当たる謎兵器。その物干し竿は飾りか。アクセサリーか。
『ブラスターズ』では3ゲージ技に昇格。演出も画面外に後退し、遠距離からスナイプに変更されている。


MUGENにおけるアイン

+ 如月銃駆氏製作
  • 如月銃駆氏製作
原作の素早い動きは健在で、リーブアタックが一部ガード可能(中段のみ)であったりと変更がある。
また地上・空中でチェーンコンボ可能、突進&打ち上げ技の「掌底」がジャンプでキャンセル可能、
そこから空中チェーンコンボ→空中投げまで繋がり、吸血鬼でも暗殺するつもりかのような動きを見せる。

外部AIはmage氏によるものが存在。隙の無い動き+割り込みで相手を追い込み、画面端に追い詰めて一気に攻め立てる。
そして、やけに「GEPAED-M1」をぶっぱする。
『ニトロワ』キャラの中でもかなりの強さを誇るため、今後の活躍が期待される。
mage氏AI

+ 大会ネタバレ
この大会ではちせとのタッグで出場。
圧倒的なコンビネーションでデス=アダーにストレート勝ちすると、
最終回では、それまでどのタッグも破る事のできなかった魔王カラーの高町なのはをたった一人で撃破するという快挙を見せた。

+ Lates氏製作
  • Lates氏製作
黑魅霊などで知られるLates氏によるアイン。現在はhamer氏によって代理公開されている。
ドットが描き換えられている他、「歩き」が無いなど性能も若干異なる部分がある。
11段階に調整可能なAIをデフォルトで搭載しており、こちらもかなり強い。
ただ、ツヴァイは呼ばないようである。

出場大会

+ 一覧
シングル
タッグ
チーム
その他

更新停止中大会

削除済み大会

出演ストーリー

+ 一覧


最終更新:2022年09月03日 15:13