ヴァリアブル・ジオ


概要

TGLのアダルトゲームブランド「戯画(ぎが)」から発売された対戦格闘ゲーム。略称は『V.G.』など。
ストII』ブームの真っ直中に発売されたゲームである。

当時としてはコンシューマゲーム機でも対戦格闘ゲーム製作や移植が難しい時代において、
ゲームに必要な機能が殆ど揃っていないNECのパーソナルコンピュータ「PC-9801」シリーズにてリリースされた
(当時のパソコンはビジネスマシンという考えが強かったため、ゲーム向けの機能は二の次と考えられており、
 画像の重ね合わせ処理等もCPUでやらなければならず、アクションゲームとして成立しない程に動きがカクカクになる事もよくあった。
 そもそも本作が当時は高級機だったPC-9801(30万円)用となっているのも、一般向けのPC-8801(15万円)では性能が足りなかったからである)。

実の所、PCでの本格的な対戦格闘ゲームの始まりは古く、
この『V.G.』の前には『ソードダンサー』『人形使い』『クィーン・オブ・デュエリスト』といったタイトルがある。
また、PC98で対戦格闘を本格的に持ち込んだのも、『ソードダンサー』を作ったTGLである。

マシンの根本的なポテンシャルも踏まえた上で登場した『V.G.』は、対戦格闘としては悪くない出来であった事に加え、
キャラクターデザインや原画を後の『勇者王ガオガイガー』で知られる人気アニメーター・木村貴宏氏が担当した事と
(実は原画家デビュー作だったりする(発売自体はOVA『ダーティペア FLASH』の方が先だったが)。
 なお、当時の木村氏は戯画(及びソニア)に起用される事が多く、
 本作以外でも複数のエロゲー作品でキャラクターデザインと原画を務めている)、
ジャンルが「アダルトゲーム」であった事も、その知名度を伸ばす事となった
また「制服ウェイトレスが戦う」というコンセプト自体も斬新で、現在に至る制服格闘もの(学生服除く)の創始者と言えなくもない。

やがてその知名度で、TGLから本格的にコンシューマ機への移植が行われる様になり、
PCエンジン、スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーションへと数多くの機種へと移植、製作された。
PC版の方もWindowsの登場でゲーム製作も容易になり、こちらでも本格的な対戦格闘が発売される事となった。

しかしコンシューマ移植を含め、対戦格闘としての作りはどうしても荒く、
やり込もうにも底が浅い構造であったため、最終的にはキャラクター造形のみで押し通す感じでシリーズは重ねられていった。
唯一の例外と呼ばれたのがPSソフト『アドヴァンスドV.G.2』で、
これはやり込めばやり込むほどコンボの繋がりが楽しくなる非常に完成度の高い仕上がりとなっている。
なお、『V.G.』シリーズはWindows『V.G.MAX』を除き、完全自社製作であり、
上記ソフトも開発は別会社だから面白くなったという話があるが、これは単に廉価版の発売元がサクセスであるという事から広まった噂話である。
ちなみに、その唯一の外注作『V.G.MAX』の開発元は、
Queen of Heart'99』や『MELTY BLOOD』でお馴染みである渡辺製作所(現・フランスパン)である。

最終的には、キャラクターデザインやスタッフの離脱により、対戦型格闘ゲームを作れなくなってしまったらしく、
2000年-2003年に発売された終盤の4作品(『Adventure』『Re-birth』『Re-birthダッシュ』『NEO』)は、
アドベンチャーゲームになってしまった
(ただしあくまでも"対戦型”格闘ゲームを作れなくなっただけで、
 俯瞰視点ロボットアクション『バルドシリーズ』(1999年-2018年)や、
 ベルトスクロールアクション『デュエルセイヴァーシリーズ』(2004-2008年)等、
 格ゲー要素のある作品は作り続けられていた)。

とはいえ、登場人物全てが女性というインパクトを人々に与え、
キャラ造形も当時密かなブームをもっていた「ファミレス制服」に着目した点では、一つの方向性を示した作品とも言えるだろう。

PCのギャル格闘というジャンルでは『あすか120%』シリーズと二大巨頭として扱われ、
(エロ的な意味で)実用のVG、(格ゲー的な意味で)実用のあすか、と対比される事も多かった。


ストーリー

19XX年、超多国籍企業・謝華グループは外食産業への進出を記念して格闘大会の開催を宣言。
その名もを『ヴァリアブル・ジオ』──即ち「最強の女神たち」。
"最強のウェイトレス"を決定するこの大会では、優勝者に賞金10億円、所属店舗には莫大な利益の見込める伝説の一等地が贈与されるという。
折からの不況に喘ぐ外食産業はこぞってこの大会に参加を表明し、いつしか年に一度開催される恒例行事となるも、
未だ参加企業からの優勝者は現れず、謝華グループ総帥・レイミ謝華が無敗の女王として君臨し続けていた。

そして今年も『V.G』の開催が宣言され、女神達がリングに集う。
しかし試合に敗れた選手達が、ペナルティとして出資者達の慰み者とされることは誰にも知られていなかった……。


システム

ゲームによって様々な形態となったが、基本的には1レバー+4ボタンのNEOGEO格闘タイプに落ち着いている物が多い
(弱強パンチ、弱強キック)。

シリーズによっては体力がピンチな時に発動する超必殺技があったり、ゲージを使用するスーパーコンボがあったりと、
当時の流行だった対戦格闘ゲームのシステムを導入したりしている。
MUGENに移植されているのは、主に『ADVANCED V.G.2』と『V.G.MAX』仕様のものになる。

キャラクター

ボスキャラクターは対戦等に限定して使用可能。

V.G.ヴァリアブルジオ

  • 使用可能キャラクター

ADVANCED V.G.

  • 使用可能キャラクター
  • ボスキャラクター
曾根崎啓一(ラスボス)、曾根崎恵(ラスボス)

V.G.II -姫神舞闘譚-

  • 追加された使用可能キャラクター
  • ボスキャラクター
嘉島琴荏(ラスボス)

ADVANCED V.G.2

  • 追加された使用可能キャラクター
  • ボスキャラクター

V.G.MAX

  • 使用可能キャラクター

作品一覧(対戦格闘のみ)

V.G. ヴァリアブルジオ

1993年7月・PC-9801シリーズ用

ADVANCED V.G.

1994年7月・PCエンジン
1995年7月・スーパーファミコン
※「スーパーヴァリアブル・ジオ」のタイトルで発売。ストーリーモードがないのでボスキャラクターが登場しない。
1996年4月・プレイステーション
1997年3月・セガサターン

V.G.Ⅱ -姫神舞闘譚-

1994年11月・PC-9800シリーズ用
※1996年発売のV.G.PerfectCollectionにV.G.2.1へVerUPするパッチを収録

ADVANCED V.G.2

1998年9月・プレイステーション

V.G.CUSTOM

1999年2月・Windows

V.G.MAX

1999年9月・Windows
※デフォルメキャラ


MUGENにおけるV.G.シリーズ

知る人ぞ知る作品ながらキャラとステージ共に国内外で多く公開されており、曾根崎兄妹の2名を除いた全員が作られている。
更にはADVとなった『NEO』のメインヒロイン・飛鳥優もデュエルセイバー系の『オトメクライシス』バージョンでMUGEN入りしている
(なおMUGEN入りはしていないようだが、武内優香にもデュエルセイバー系『クロススクランブル』バージョンが存在する)。
サクラカ氏、如月銃駆氏、青村氏、にゃん☆鬼龍氏製作のキャラが有名だが、
残念ながら現在は青村氏及びにゃん☆鬼龍氏のキャラが入手出来なくなってしまっている。
なお、にゃん☆鬼龍氏の一部のキャラにはステージも同梱されていた。

強クラスの大会には武内優香、久保田潤、レイミ・謝華が、凶キャラの大会にはミランダ・謝華が起用される事が比較的多いようである。
その一方で、ストーリー動画への登場は少ない。


最終更新:2024年03月25日 09:22
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