真名は「玉藻の前( たまものまえ)」。
平安時代末期に鳥羽上皇に仕えた伝説上の絶世の美女。20歳前後と(あるいは少女とも)言われる若さでありながら、
類稀なる博識と美貌を持ち、"天下一の美女"とも"国一番の賢女"とも謳われた。
日本三大悪妖怪(…という呼称が広まっているが、実際はソースの無い俗説)と名高い「 白面金毛九尾の狐」が化けた姿と言われる。
『地獄先生ぬ~べ~』の影響か、一部のファンには「玉藻って確か男じゃ… また女性化か」と誤解され、同じく狐の妖怪の 妲己と間違われていた。
さらに厳密に言えばその本質は「天照大御神( アマテラス)= 大日如来=ダキニ天」として崇拝された「稲荷明神」。
つまり「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」であると考えられる。
ぶっちゃけると元々は本物の神様の一種とも言える存在。
また、本人曰く、狐というよりは夜干、所謂ジャッカルである。
……稲荷明神は使いが狐なだけで、本人は狐でもジャッカルでもないんだが、まあ、細けぇ事はいいんだよ。
『Fate/EXTRA』の設定としては、
「人間に興味を持ったアマテラスが、とても楽しそうに自分へ仕える人の姿を見て"自分も誰かに仕えてみたい"という願望を持ち、
記憶を消して人間(玉藻の前)に転生した存在』となっており、九尾の狐ではなく「神様の一部(一側面・表情の1つ)」が正体として扱われている。
人として転生し鳥羽上皇の寵愛を受けるが、陰陽師安倍晴明に正体を暴かれた後に、紆余曲折の末著名な退治絵巻の通り討伐された。
本来、彼女を英霊としてカテゴライズするのは 大きな間違いなのだが、
彼女が願っていた"良妻になりたい"というたった1つの想いを実現させるために、彼女の情報を記録する月の聖杯(ムーンセル)がやっちゃったんだぜ☆
ムーンセルさんマジ結婚相談所。それでいいのかって気がするが、 とあるバーサーカーも全然英霊じゃないし気にするな!
このため本来のスペックを発揮できず、生来の姿からも遠く離れた駄狐な存在へと成り下がる羽目になってしまった。
なお、彼女がもし悪霊や荒御魂(あらみたま)として再現されたなら、例え百の英雄であっても返り討ちにする大化生へと変貌する。
日本三大化生の名は伊達ではない。
……余談だが、本作のもう一体のキャスターは勿論、『 stay night』といい『Zero』といい、
キャスターのサーヴァントはマスターとの相性がやたら安定している。
ぶっちゃけた話としては、キャスターは聖杯戦争の形式上非常に弱いクラスのため、それを補う為、と言う物語の都合があるのだろうが……。
ランサーとかバーサーカーとかに見習わせたい
(尤も『EXTRA』でのマスターとサーヴァントの組み合わせは、
聖杯(ムーンセル)によりサーヴァントとマスターの相性が良いかを判断されて選ばれる(サーヴァントの希望も考慮される親切仕様)ため、
バーサーカーの片方を除き基本的に相性が良いのだが)。
まぁ、『stay night』のキャスターは最初のマスターと相性が悪くて謀殺しちゃったりしてるが。
ちなみに真名を主人公に明かした後は自身の事を「タマモ」と呼ぶようになり、主人公も自室ではタマモと呼ぶようになる。
本人曰く、安珍・清姫伝説の 清姫とはメル友。
マスターが男性の方が仕えやすい。
が、女性でも「呪術を使って何とかする」ので問題ないらしい。まぁ第5次セイバーも女性でありながら童貞卒業してるし。
クラス:キャスター
マスター:主人公(プレイヤー)
真名:玉藻の前(たまものまえ)
宝具:水天日光天照八野鎮石(すいてんにっこうあまてらすやのしずいし)
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。が、どうも性格的に向いていないらしく、工房を作る事さえ難しい。
ダキニ天法。地位や財産を得る法(男性用)、権力者の寵愛を得る法(女性用)といった、権力を得る秘術や死期を悟る法がある。
しかし過去の経緯から懲りたのか、あまり使いたがらない。
借体成形とも。玉藻の前と同一視される中国の千年狐狸精の使用した法。殷周革命(『封神演義』)期の 妲己に憑依・変身した術だが、
過去のトラウマからか、 あまり使いたがらない。
なおタマモ自身は自分は妲己とは別人だと言っており、作中でも 敵のサーヴァントに妲己と違われた際は憤慨しているが、
このスキル名など玉藻と妲己の関係を思わせる要素はあちこちにある。
本当に妲己と別人かどうかは明言されておらず、真相は不明だった。 *1
タマモが使う呪術は魔術的効果を持つものではなく、彼女自身の肉体を使って(変化させて)行われる物理現象のため、
対魔力などで無効化される事が無いという特徴を持つ。
タマモ曰く「本来なら多数の尾から百万の軍勢を生み出せる」そうだが…。
しかし、その利点もMP・敏捷・魔力・幸運のパラメータが伸びやすい代わりにHP・筋力・耐久が伸び悩むという、
「タイマン勝負では致命的」とも言われる基本性能に加え、本来なら魔術師として必要不可欠な"陣地作成"が苦手、
さらに"呪術"と"変化"は生前のトラウマが影響で使いたがらないという不利要素によって、相殺されて余りある状況となっている。
そんなんだから駄狐扱いされるんだよ。
上述の通りかなりのハンデを背負っている彼女だが、習得スキルは非常に強力なものが揃っている。
特に相手の行動さえわかれば、一切何もさせずに完封する事ができるスキルの数々は、彼女の本来のスペックの高さを窺わせる。
いかにMPを切らさず、相手の攻撃を封じ、こちらのスキルを当てていくかが勝負の分かれ目となるだろう。
タマモの主力スキル。敵に魔力ダメージを与え、さらに相手にスタン効果を付与する。
炎天はBREAK、氷天はATTACK、密天はGUARDを相手が使用していた場合にスタンを付与し、相手の次の行動を1手封じる事ができる
(通常、スキルを使うと相手がスキルで応戦していない限り一方的に攻撃できるため、実質2ターンまで行動を封じる事ができる)。
ちなみに密天のみGUARD用のため魔力貫通ダメージを付与する。
耐久力が低いタマモにとっては、どれを使うか(相手の行動をどこまで読みきり封じられるか)で自身の命運が決まると言っても過言ではない。
次の手で出す魔力系スキルの威力を大幅に上昇させる補助スキル。
怨天祝祭は約2.5倍、怨天祝奉は約4倍ほどの威力になる。
行動中は無防備になってしまうのが玉に瑕だが、呪相のスタンと組み合わせる事で安全に大ダメージを叩きだす事ができる。
自身のBREAK攻撃にMP吸収効果を付加させる補助スキル。
MPの切れ目が命の切れ目であるタマモにとっては、対サーヴァント戦などの長期戦では必須のスキル。
行動中は無防備になってしまう事と、MP吸収量がBREAKダメージに依存するのが難点
(BREAKは物理攻撃なため、伸び悩む筋力を頑張って上げる必要がある)。
もっとも、EXTRAは後半割と資金が余るので、このスキルは無視してMP回復アイテムに注ぎ込んでしまうという手もある。
まあ雑魚戦(特に序盤)を安定させるためには、このスキルと無関係に結局筋力を上げる必要があるのだが。
戦闘終了時にMPが10%回復する。ちなみに自動発動。
雑魚戦の心強い味方。これや他のスキルがない序盤は「レベルを上げて物理で殴ればいい」がデフォになる。
その手で受けるダメージを10分の1まで減少させ、さらに敵が使ったスキル分のMPを回復させる防御スキル。
その性能はタイミングさえ間違わなければ宝具すら楽に防げるほどであり、さらに防げれば大量のMPまで獲得できるという、
まさに彼女にとっての"命綱"であり"切り札"とも言えるスキルである。
あまりに使い勝手が良いためか「こっちが宝具なんじゃね?」という声が多数寄せられていたり。
「いざや散れ、常世咲き裂く怨天の花…常世咲き裂く大殺界!」
相手に魔力大ダメージと、猛毒を付加する。タマモ最大の攻撃スキル。
使うためにはHPが30%以下でなければならず、
最大HPの低いタマモにとっては(場合によっては次の1手で即死する可能性もあるため)使いどころが非常に難しい。
しかし発動させれば相手に甚大な被害を与える事ができるので、狙う価値はある強力なスキルである。
ちなみに、読み仮名の"殺生石"とは、玉藻の前が死後に石へと変じたものの事であり、それはもう「ものすっごい呪毒」を帯びていたため、
近づく人や獣を中毒死させまくっていたとか。鎮魂にきた高僧達ですら毒気に次々と倒れていったが、
最終的に玄翁(げんのう)和尚という人物によって砕かれ、破片は各地に散らばって管狐等の術者の使い魔になったりしたそうな。
「出雲に神在り。審美確かに、魂に息吹きを。山河水天に天照す。是、自在にして禊の証。
名を玉藻鎮石。神宝宇迦之鏡也!…なんちゃって☆」
読み方は「すいてん にっこう あまてらす やのしずいし」。タマモの唯一の宝具。
タマモが持っている鏡、「玉藻鎮石(たまものしずいし)」と呼ばれる神宝の中の力の一部を、一時的に解放したもの。
ゲーム上では1ターンの間、全てのスキルの消費MPを0にするという効果を持つ。
この鏡は後の「 八咫鏡(ヤタノカガミ)」であり、つまりは天照大御神(アマテラス)のご神体にあたり、
十種神宝(とくさのかんだから、じっしゅしんぽう)の原型と考えられるものである。
本来なら魂と生命力を活性化させる力を持ち、死者すらも蘇らせるという冥界の神宝だが、サーヴァント化している彼女には現状そこまでの権限は無い。
本来は長い戦い(合戦など)で効果を発揮する宝具なのだが、『Fate/EXTRA』の戦闘は一対一なので、
本来の鏡の力の一部を、さらに超非効率的に使っている事になる。
そのためか、正直言ってあまり強くない。MPに関しては回復アイテムか吸精、黒天洞に任せて、攻撃に専念した方がよっぽど安定する。
「軒轅陵墓、冥府より尽きることなく……」
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そして…(『EXTRA』の壮絶なネタバレ) |
実は以前の聖杯戦争にも参加しており、その時は今作の重要キャラクターであるトワイス・H・ピースマンと呼ばれる男のサーヴァントだった
(サーヴァントは先に述べた通り選択式だが、このイベントはキャスターのみに起きる)。
その頃は敗退を繰り返していたらしく、戦闘経験が百を越えた段階でも聖杯を取れていない。
一応経験を積み重ねた事で最終的な基礎性能は高いものとなったが、それでも聖杯まで辿り着けない事から、
彼女は"最弱のサーヴァント"の烙印を押されてしまう事になる。
今回の聖杯戦争にもトワイスが参戦・監視している事をタマモは気付いていたため、自身の情報をジャミングで防ぎ、気付かれないようにしていた。
彼とは後にまた会う事になるのだが、最弱と言いながらも彼なりに思い入れがあったのか、
成長したタマモを見たトワイスは「君の健闘もまた、私には誇らしい」という言葉を彼女に贈っている。
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そんな元カレとの時代 |
まさかの『CCC』で時空の歪みで現れる隠しボスとしてトワイスマスター時代の彼女が登場。
その頃の彼女はお淑やかな女性として振舞っており(でもなんか髪型がキャバクラ嬢っぽい)、
駄狐成分はトワイスが側にいる状態ならほとんど無い(かなり無理してる感があるが)。
『CCC』のタマモが『EXTRA』以上に自重しないのは完全にトワイスの目が届かない所へ来たせい
生前の鳥羽上皇の愛人時代やトワイス時代も含め、つくづく主人公と出会えて彼女はやっと幸せを掴めたと多くのプレイヤーが実感したのであった。
ちなみに、ボスとしての強さは隠しボスのオオトリだけあって通常攻撃もスキル火力も半端ない。
そのせいで「こんな強鯖で負けまくったのトワイスのせいなんじゃ…」と言われる事もあるが、
そもそもここで行われた闘いは、後にトワイス自身が作り上げたルールで行っている。
彼らが敗北を繰り返していたのは、月の聖杯戦争を掌握する前であった事を考えると、
「むしろトワイスがマスターで、時空の歪みでの戦いだからこそこれだけ強い」と考えるべきだろう。
実際、トワイスはトワイスで全回復とか言うチートなコードキャストを使ってくる訳で。
え?現キャス狐で挑んだ場合?…なんというか、修羅場。元カレと今カレ差し置いて壮絶な自分と相手のマスターの貶し合いである。
ついでにキャス狐の本性を見たトワイスはドン引きしていた。
「なんか頭きたぞ、もう怒った!ここで結婚詐欺処刑砲を受けやがれ───!」
「私好みのイケメン魂を連れているからといって、許せるものではありません。
ここで無かったことにしてあげます!」
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