気絶

一定の攻撃を食らった時に発生する、よろめいて無防備になった状態。
格闘ゲームの雄である『ストリートファイターII』にて、頭の上でひよこが飛ぶエフェクトだったため、「ピヨる」「ピヨり状態」とも呼ばれる
(なお表現自体はカプコンオリジナルではなく、昔からカートゥーン(アメリカ製コメディ漫画)で使われていた表現である)。
また『ストリートファイターIII』以降の作品ではスカタンスタン」「スタン状態」とも呼ばれる事が多くなった。
なお、本来「気絶」とは意識を失って倒れる失神状態の事を指すため、格ゲーのこれはむしろ「めまい」に近い。
「ダウンから無理やり立ち上がった事による立ち眩み」と言う説も。
そもそも本当に気絶していたら「K.O.」そのものである。後はFINSH HIMするだけ
英語の「Stun」も「頭を打って人を気絶させる」という意味の動詞だが、
こちらは「気のバランスを失って立ち尽くす」「(驚きや嬉しさ等で)ぼーっとする、唖然とする」という意味にも使われるため、
実際の意味とはやはりズレているものイメージ的にはなんとなく近いのかもしれない。
他に「Dizzy」と呼ぶ事もあり、こちらは「ふらつき、眩暈」を意味する形容詞である(『GG』のキャラではない)。

ゲーム中の仕組みとしては、キャラクターごとに気絶値の上限、技ごとに与える気絶値が設定されており、蓄積された気絶値は時間経過と共に低下していく。
この回復を上回る勢いで気絶値を蓄積され、それが上限を超えた場合に気絶する、という仕組みとなっている。
『ストIII』や『KOF XI』などでは、気絶値の溜まり具合が「スタンゲージ」として視覚化されている。
他にもガードクラッシュされると気絶など、ペナルティ要素としても使われている。
『ストEX』シリーズでのガードブレイク(発動時に1ゲージを要する)技の様に、ガードクラッシュに特化した攻撃が存在するゲームもある。
また『KOF』などでは超必殺技の演出として攻撃にわざと隙間を作り、その間相手は気絶しているという手法がよく用いられる。
ザンギエフの垂直ジャンプ8中P(頭突き)、リョウ・サカザキの「天地覇煌拳」、アレックスの「スタンガンヘッドバット」、
リュウの「電刃波動拳」など、相手を気絶させる事に特化した技も存在する。

気絶が発生した場合、回復させる方法は「レバーの左右上下の連続入力(通称レバガチャ)やボタンを連打する」方法が主である。
しかし、一旦気絶してこれらの操作方法で回復するのはかなり至難であり、大抵はそのまま相手の攻撃を押し込まれる事が多いが、
気絶中に攻撃をヒットさせるのが非常に容易なため、多くのゲームでは生当てに比べ大幅なコンボ補正が働く。
逆に気絶から回復出来た場合にバックステップや出したくも無い技などが暴発して、補正切りになった結果死亡が早まる事も珍しくない。
そのため、ゲームによっては気絶から回復した時に「リカバリ・ボーナス」として得点が追加される事もあったりする。
まあ得点なんぞ対戦時には全く意味が無い代物なのだが。
なお、上記の気絶補正は基本的に後述の不確定要素としての制約であるため、気絶値が視覚化されているゲームは補正が緩い事が多い。
これは敢えてスタン値を稼ぐコンボや連係などにより一発逆転を狙う戦法を可能とするためである。

気絶が存在する格ゲーの多くは、優勢になっている側に更なるチャンスを与えるため一方的な試合になる事もあり、
ワンチャンスからのコンボや起き攻めといった攻めに重きをおいたゲームが主流になるにつれて
気絶が実装されたゲームは反比例するように減っていき、気絶が実装されても条件が厳しくなっている。
また、ゲームによっては気絶する度に気絶値の上限が上がっていき、気絶しにくくなる処置を取っていたり、
特定状況下でのみ気絶が発生し得るシステム
(例:『ストリートファイター6』ではドライブゲージが0になってバーンアウトの状態中、ドライブインパクトを喰らって画面端にぶつかると発生)
を採用していたりする場合もある。
とはいえ現在でも気絶を狙いやすいキャラはいるので、対戦カード次第では注意が必要
(例:メイの6Pを絡めたコンボ、シンの蓄積起き攻めからのガークラ→気絶連係など)。

また基本的に気絶値は内部値扱いの「隠しパラメータ」であり、実際に『ストIII』の様にメーターなどで視覚化される事は少ない。
そのため、知らず知らずの内に気絶値の値が溜まっていて、気がつけば弱パンチ一発程度で気絶した、というケースも発生したりする。
気絶が存在するゲームでは、どの様な攻撃で気絶が確定するかをある程度は覚えておく必要がある。

余談だが、昔の格ゲーでは気絶値ではなく一撃のダメージの大きさやランダムで気絶する物もあり、
何の脈絡も無く一発食らった途端に気絶という、博打的なものもあった。

なお、殆どの作品において気絶が発生すると一旦吹き飛びダウンとなり、再度起き上がるまではいかなる追撃を当てる事も出来ない場合が多い。
例えばコンボ中にヒット確認をしてキャンセル超必を出したのはいいが、
ヒット確認の時点で気絶すると肝心の超必が当たらず、結果的にゲージを丸損してしまう事もある。
しかし『ストIII』や『GUILTY GEAR』等では気絶値MAXでもそのままコンボを入れ続ける事ができ、途切れた時点で初めて気絶状態へ移行する。
さらに『ストIII』ではこの状態でコンボを維持すると仰け反り時間が1F伸びるため、普段は入らないコンボも可能。
逆に『GG』ではコンボを食らっている最中でもレバガチャが効くので、気絶したにも拘らず延々コンボを決めていると、終わる前に相手が気絶から回復する。
また、『月華の剣士(二幕)』では地上状態で気絶させるとダウンせず、
ノックバックから直接気絶に移行するので(空中相手の場合は上述のように一旦ダウンさせる)、
キャンセル奥義を入れ込んでるとせっかくの気絶を活かす前に解除してしまう。

ちなみに気絶値の上限は大抵の場合キャラによって異なり、女性キャラ病人キャラ攻め特化キャラスピードキャラなどは上限が低く設定され、
逆にタフそうな巨漢キャラや熱血キャラなどは高目に設定される傾向がある。
そのため上限の低いキャラは気絶しやすい分レバガチャする機会も必然的に多くなり、
その結果かどうか知らないが某ゲーセンの聖帝勢はレバガチャが異様に早いとかなんとか。


MUGENにおける気絶

MUGENにおいては、気絶はデフォルトでは設定されていないため、
「攻撃側のシステムで相手を気絶させる」「食らう側のシステムで自分が気絶する」という2種類の方法が存在し、どちらを採用するかはキャラによって様々。
気絶値はvarを用いて一定値以上を超過した場合に、
前者はP2StateNoやTargetStateでステートを奪い、後者はHitOverrideやガードステートからのChangeStateなどにより処理される。
対戦では、一方が前者、もう一方が後者で処理していた場合に、一方的に有利不利が生じてしまう(根性値の例と同様)。
ただし、自分が気絶するタイプのキャラの場合、相手のAIによっては相手の気絶を想定していなかったりするため、
気絶した相手を前にガードを固めてしまい、一種のAI殺しになる場合もある。

また「攻撃側のシステムで相手を気絶させる」場合、特定の技をヒットさせる事で強制的に相手を気絶処理をさせる仕様も可能である。

なお、気絶状態のアニメーションだが、
MUGEN同梱のair.html(旧版の場合はair.txt)によると、common1.cnsで指定している所謂「必須アニメ」の一覧の中に、
「5300 Dizzy」との記載がある。
このため、5300番に気絶モーションを登録している製作者が多い。
ただし、前述のとおり気絶はデフォルトでは設定されておらず、5300はコンティニュー画面で表示されるアニメとなっている。
そのため、気絶の概念が無いゲーム(『アルカナハート』など)のキャラの場合、
時間切れ負けの時のアニメを登録している場合も多く、見た目的には妙なピヨり方をしたりする。

ガードクラッシュと同一のアニメーション(5910番)が使われる事もあるが、
5910番はデフォルトで指定されたものではないため対応していないキャラも多く、登録されていないキャラも多い。
最悪、まったく想定してないアクションとして使用されている可能性もあるため、
elecbyte指定のアニメ番号である5300を採用したほうが確実である。

しかし、いずれの場合もこれらの画像が登録されていても喰らい判定が設定されていないと、せっかく気絶させても何もできなくなる。
もし気絶しないゲームだとしても、必須アニメにはしっかりと判定を付けよう。
この不確定要素を排すために、必須スプライトを組み合わせて自前の気絶アニメを強制的に作り出すのも一つの手段である。
また、喰らい判定だけの透明アニメに、Explodで5300番のアニメを重ねるという手もある。


最終更新:2024年04月21日 00:27