ED209


「それでは皆さん、ご紹介しましょう。これぞ未来を担う我らが警官」
「ED209です!」

+ 日本語吹替声優
緒方賢一
1作目(テレビ朝日版)
樫井笙人
1作目(DVD版)
麦人
『3』(ソフト版)

SFアクション映画『ロボコップ』に登場するオムニ社警官ロボ。
EDとは「法務執行ドロイド(Enforcement Droid)」の意で「エド ツーオーナイン」と読む。
日本語吹替版では「イーディー ニーマルキュー」と呼ばれている。もちろん四軸駆動電気機関車やJR東日本209系電車とは何も関係ない。

両腕にアサルトキャノン砲と小型のロケットランチャーを備え、
二足歩行による抜群の機動性と、AI制御による犯罪者と一般人の判断能力を持ち、
世紀末状態なデトロイトの治安を劇的に改善し、そして其れによる宣伝効果を伴って兵器産業に殴り込みをかける……

……予定だったのだが。
デモンストレーションで犯人役となったオムニ社員キニーに銃を突き付けられ「武器ヲ捨テロ!!20秒与エル」と警告。
キニーが素直に銃を捨てた所までは良かったものの、落とした場所がカーペットの上だったので捨てた際の音を認識出来ずに「残リ15秒ダ」と吐き捨て、
しかもデモンストレーション用のマニュアル操作だったにも拘らず停止させる事が出来ずにキニーを射殺。
おまけにカットシーンでは相手が死んだ事すら認識出来ず既に模型の上に倒れこんで死亡していたキニーを問答無用で蜂の巣にした
「なんてこった!キニーが殺されちゃった!」「この人でなし!」
配線を引きちぎってようやく停止。オムニの会長も思わず頭を抱えるポンコツぶりを見せ付けた。

「ジョーンズ、君には大いに失望したぞ」
「あ、いえ……たかがこんな故障はすぐに直りますから」

……死人出てんだぞオイ。

当然、会長の逆鱗に触れ危うくお蔵入りになりかけるも、オムニ社の警備用に試験導入する事に成功。
その一号機が、ジョーンズを逮捕に来たロボコップに刺客として投入された。
当初はロボコップが「オムニ社役員に敵対行動が取れない」というプログラムで動きが鈍っていた事もあり、
ボコボコにしてスクラップ直前まで追い込む活躍をするも、ロボコップが苦し紛れにED209の腕を強引に捻じ曲げた時に、
何故か発砲を止めずに自らの腕を誤射(明らかに不自然に曲がっている*1。しかも腕力でロボコップに負けている)。
結果、何故かシステムダウンを引き起こしてロボコップを逃がす隙を作り、何とかジョーンズが復旧させ追撃をさせるも、
室内でミサイルをぶっぱして部屋をボロボロにしたにも拘らず1発も当たらず、それでも何とか追い詰めたと思いきや、
今度は階段を降りられないというどう見ても兵器として致命的な欠陥のために降りられず、意を決して足を踏み出したら案の定段差に足を取られ転倒。
「ギャワー!!」と可愛い悲鳴を上げ、手足をバタつかせている間に取り逃がしてしまう。
ちなみに、部屋から階段に向かう狭い通路を通る際「よっこいしょ」と体を小さくするシーンは萌えポイントの一つである。

最終的にはオムニ社ビルの前に乗り付けたパトカーに対し「私有地ノ無断駐車ハ違法ダ!20秒以内ニ車ヲ動カセ」と駐車違反の車に発砲しようと銃を突き付け、
その車から降りてきたコブラ・アサルト・キャノン(対戦車砲)で重武装した何の制約もないロボコップに対しては、
ロボコップが車を降りてから武装するまで5秒も掛かったにも拘らず、警告をする間も無くぶちのめされ、
残った下半身がピクピクしてたりと最期までお茶目なポンコツぶりを発揮した。

ちなみに日本語吹き替え版では、殺られ方のポンコツ具合が増しており、
上記の駐車違反のカウントの途中でぶっ飛ばされると言う、まるでギャグ漫画の様な殺られ方をした。
オリジナルでは駐車違反のカウントを宣言したにも拘らず何故か数えていなかったのだが、
日本語吹き替え版ではしっかりカウントを取っていたために起きた現象。映像自体は全く一緒なので、見比べてみるのも面白いだろう。

登場すれば必ず何らかの不具合を起こしておりファンのハートを掴んで離さない。

オムニ社も流石にこれじゃ売れないって事で、人間の脳を流用したロボコップを開発するに至ったのだが、
彼のその後の活躍を鑑みる限り、まあ、ED209の失敗も、ある意味では成功だと言えなくもないだろう。

オムニ社、最終的に日系企業に身売りしたけどな!
+ ED209と日本に関する余談
近未来の日本を舞台とした小説「ニンジャスレイヤー」には、ED209にそっくりな「モーターヤブ」というメカが登場する。
逆関節の足に武器腕、投降を受け付けないポンコツAIなどかなりあからさまなパロディであり、
警察での評判が悪かったりハッカーに乗っ取られて大活躍したりと、劇中での「らしさ」も折り紙つき。

開発したのは日本の重工業系暗黒メガコーポ(=巨大企業)「オム・インダストリ」であり、
同社は他にもまんまロボケインな「モータードクロ」なども開発・製造している。
さすがに犯罪者の脳を搭載こそしていないが人間由来のバイオニューロンで制御されており、
定期的に腹部のハッチからアームを伸ばしてスシを補給したがるなど、こちらの描写もほぼロボケインそのもの。
オムラという企業自体がオムニ社のパロディでもあるのだ。


実弾入れてデモンストレーションする時点でおかしい? 気にするな!
テストも不十分なのに物騒な重火器満載でロールアウトし、自信満々で実弾装填して泣きを見るパターンは、
後のロボコップ2号機お披露目式にも受け継がれるオムニ社のゴールデンパターンである。
まあ、このテストの失敗は「ロボコップ」計画を進めたかった他派閥の社員による陰謀という説も存在するはするのだが、
ED209の素のポンコツっぷりと、『ロボコップ2』での出来事も考えると、何のフォローにもなっていない。

実際、ED209の計画に関する会話で「20年分の部品ストックもあるんだぞ」と発言している役員がいる事から考えて、
そもそも開発計画がまるでダメだった可能性が高い。
階段すら移動出来ない時点で、戦車のように履帯で走破能力が高い既存の兵器類と渡り合える訳がない。
瓦礫や岩石が多い地域で簡単に詰んでしまう。
巨大な障害物とコンボで来られれば市街戦ですら怪しいようなもののストックを20年分……。
最新兵器でさえ10年経てば型遅れになるというのに、開発計画の順番を目隠しして決めたのかと思う程である。

社員として「計画を完成」させ「一応の実績を立てる」という社内の立場にのみ腐心した大人の事情的な流れなのかも知れないが、
そんな役員同士でいがみ合ってる時点でダメダメである。

しかし黎明期のVFXとストップモーションを駆使した愛くるしい動きは、映画ファンの心を掴んで離さない。
またキニーが射殺されるシーンも、本当ならシャレにならないグロシーン(監督がグロ好きだから仕方がない)なのだが、
ED209のお茶目な行動に爆笑の渦に包まれる。
転んだ時の悲しげな泣き声とかも素敵なので必見・必聴。

後に『ロボコップ2』劇中のニュースでデトロイト以外の都市警備用にも一部採用された事が報じられるが、
キャスターに「このロボットは故障の多さで曰く付きのものです」とバッサリ言われてしまっていた。
ニュース映像でもマンホールの穴に片足をとられ「ギャワー!!」してたのでフォローのしようもない。

また、『ロボコップ3』においても登場し武器保管庫の警備をしていたが、アッサリとハッキングされ沈んでいる。
「警告ニ従ワナカッタカラ、何デモ言ウ事聞イチャウ♪」
…生きろ。

そして2014年のリメイク版『ロボコップ』にも登場。
第1作よりも大型になり、量産されて複数まとめて登場。当時最先端のCG技術のおかげでリアルで滑らかな動きを見せてくれる。
予告映像ではロボコップとスタイリッシュな戦闘を繰り広げる…
と思いきや、懐に飛び込まれると攻撃を当てられないという新たな弱点を披露したのであった。
よりにもよって大型化したために原作には存在しなかった死角が生まれたという結果になってしまっている
(この点は小回りの利く等身大の人型ロボットEM208が数体随伴する事で死角をカバーするようになっているので、
 オムニ社も珍しく弱点をむざむざ放置していた訳ではない。現実における戦車と歩兵の関係に近いだろう)。
施設警備のものはお供を連れていないためにこの弱点を突かれたのだが、銃火器を当てられないとはいえ動き回るデカブツの足元に入るのは十分危険であり、
頭の上に乗ればやはり攻撃はできないが激しく振り落とそうとするし、しかも他の機体はお構いなしに撃ってくる。決して安全地帯というわけではない。

更にAIの性能自体は過去作品より明確に向上しており、非武装の市民や一般の警察官を適切に判別。
ロボコップとの戦闘中に射線に入ってしまった警察官への誤射も行わなかった
(これは本作におけるオムニ社が既に実際の戦場へED209を含めたロボット兵器を多数投入して実績を上げている事も大きい。
 リメイク版のロボコップはロボット兵器を警察に導入する為の広告塔に過ぎない事もあり、
 これら優秀で高性能なロボット群に「人間として」どのように対抗するのか、というのも重要なテーマの一つであった)。



MUGENにおけるED209

Ryou Win氏によるものが存在する。
旧バージョンの方は、サイトには載せられているのだがファイルが消えておりダウンロードできなくなっている。
同氏作のロボコップ同様、相手の攻撃の1発目は食らってもアーマーが作動して緑色に光り、仰け反らない。
2発目以降は普通に仰け反るが、コンボが終了するとまた復活する。
断続的に食らうとアーマーが壊れて一定時間煙を出して動けなくなる。
ついでに投げ無効。

2017年の更新でHD版に生まれ変わり、MUGEN1.0以降専用となった。
スプライトがホットトイズのフィギュアをベースとしたものに一新、演出も強化されている。
ただし、容量も相応に増えているので注意。

映画との大きな違いとしてダウンしても自力で起き上がる事ができる。
格ゲーでは当たり前の事だし、それができないと詰むので当然なのだが
映画では毎回転んで駄目になっているので起き上がる場面を見るだけで大きな感動を生む。元が酷すぎるだけだな

AIはデフォルトで搭載済み。アーケードモードのOPも搭載。
参考動画

コマンド 技名 性能


↓↘→ + ( x or y or z ) 20mm Gun Shot 押すボタンにより射角が変わる。
→↓↘ + ( x or y or z ) Explosive Blaze 下に向けてマシンガンを発射、爆風で攻撃する。
↓↙← + ( x or y or z ) Twin Launcher 押すボタンにより射角が変わる。



↓↘→ + ( xy or xz or yz ) Physical Force マシンガン連射。終了後に銃口から煙を出して長時間硬直する。
↓↘→ + ( ab or ac or bc ) Police Brutality 突進する。
↓↙← + ( xy or xz or yz ) Heat-Seeker Justice ロケットミサイル4連射。
発射中はスーパーアーマー状態で、常に銃口を相手に向けているのでジャンプで避けられない。

出場大会

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出演ストーリー



*1
ディレクターズカット版特典映像によると、このカットを撮影するのに実際のED209のミニチュアは反対の腕を狙えない構造になっていたため、
わざわざ腕の関節を固定しているピンを外して撮影した事が明かされている。
整合性よりも映像の見映えを重視した結果と言えるだろう。
そもそもED209自体が他の場面でもあまりにダメダメなポンコツすぎて逆効果にしかなってない気がするが


最終更新:2024年03月28日 10:41