ふっとばし力



はじめに

ふっとばし力(KB: Knock Back)とは、相手キャラクターに攻撃判定をヒットさせたときに相手がふっとぶ量のこと。単位はとくに定められていない。
相手キャラクターに与えるふっとばし力が大きいほど、相手の「ふっとび速度」や「ふっとび硬直」の値が大きくなる。詳しくはそれぞれのページを参照のこと。ただし、風判定の攻撃によってふっとばし力が与えられた場合は ふっとび硬直が存在しない

ちなみに英語で「80のふっとばし力」を表したい場合は、「80 units of KB」もしくは単に「80 KB」と表記することが多い。このページでも簡略のためにふっとばし力のことをKBと表記する場合がある。

リアクション値

「リアクション値」とは、技ごとに設定されている ふっとばし力の大きさを決める3種類のパラメータの総称 である。
KuroganeHammer などから調べられる。
  1. R.E.値:Reaction Effected。日本語では「リアクション影響値」。敵%によるふっとばしの伸びの良さ。
  2. R.A.値:Reaction Added。日本語では「リアクション付加値」。敵%によらないふっとばしの固定値。
  3. R.F.値:Reaction Fixed。日本語では「リアクション固定値」。通常は設定されていない。弱1段目など、ふっとびが%に全く依存しない技にのみ設定されている。

R.E.値などは日本で浸透している呼び名であり、英語圏ではそれぞれ以下のように呼称されている。
  1. R.E.値 → KBG (Knock Back Growth)
  2. R.A.値 → BKB (Base Knock Back)
  3. R.F.値 → WBKB (Weight-Based Knock Back)
R.E.値はKBGを100で割った値のことである場合が多い(本質的には同じである)。

Weight Basedとは、弱1段目などのふっとばしが相手の重さにのみ依存することからつけられた名称である。ただしほかほか補正やしゃがみ補正といった補正値の影響は受けるため、厳密には完全に重さのみに依存しているというわけではない。

このwikiではKBG・BKBで表記することが多いが、別にどれを使っても問題ない。



ふっとばし力の計算式

詳しくはいのせ氏の記事を参照。
http://irssb.blogspot.jp/2014/10/blog-post_22.html
計算ツールはこちらのサイトに。
http://uekibachii.blog.fc2.com/
http://rubendal.github.io/Sm4sh-Calculator/index.html

基本計算式

ふっとばし力の基本計算式は以下の通り。これはトレーニングモードにおけるふっとばし力に等しい。
KB = [{敵% * (0.1 + ダメージ * 0.05) * 200 / (敵重量 + 100) * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値
「相手%」は攻撃ヒット後のものを使用 することに注意。
「補正値」はほかほか補正の他、しゃがみ補正・スマッシュホールド補正などが存在する(詳細は後述)。


通常の対戦における計算式

通常の対戦における計算式もトレーニングモードとほとんど同じだが、 「OP相殺」 「ほかほか補正」 の有無で異なる。

OP相殺
基本計算式内の「ダメージ」の代わりに以下の式で計算された値を用いる。
ダメージ (OP) = ダメージ * {1 + 0.3 * (OP補正 -1)}
式からわかるとおり、OP補正がふっとばし力に与える影響はダメージ変化量の0.3倍しかない。

ほかほか補正
基本計算式内の「補正値」に以下の式で計算された値を代入する。
ほかほか補正 = 1 + (自% - 35) * (1.15 - 1) / (150 - 35)
自%の変位は35以上150以下。自%が35%未満のときは1倍、150%以上のときは1.15倍の補正値を用いる。
BKBやWBKBの大きい攻撃、例えばチコの空上(BKB=110)やピーチの上B初段(WBKB=180/160)などはほかほか補正の影響を大きく受ける。


WBKBが0でない場合の計算式

攻撃判定にWBKBが設定されている場合は、計算式内の「敵%」を10に、「ダメージ」をWBKB値として計算する。
攻撃判定のダメージが計算式に出てこないため、OP補正の影響を受けない。

KB (WBKB) = [{10 * (0.1 + WBKB * 0.05) * 200 / (敵重量 + 100) * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値


ふっとばし補正

自分や相手が特定の状態にあるとき、もしくは特定のゲームモードが設定されているときは相手に与えるふっとばし力に「補正値」がかかる。

自分にほかほか補正がかかっているとき
上述の通り、自%の大きさに応じてふっとばし力に補正がかかる。
ほかほか補正 = 1 + (自% - 35) * (1.15 - 1) / (150 - 35)
自%の変位は35以上150以下。自%が35%未満のときは1倍、150%以上のときは1.15倍の補正値を用いる。


相手がしゃがみ状態のとき
相手がしゃがみ状態にあるときは、 ふっとばし力に0.85倍の補正がかかる
しゃがみ状態と判断されるのは「しゃがみ開始モーション中(1F目から)」と「しゃがみ待機モーション中」のみであり、「しゃがみ復帰モーション中」に攻撃を与えた場合は補正はかからない。
ちなみに、しゃがみ状態にある相手に攻撃を当てた場合は 相手側のみヒットストップが0.67倍 になる。


相手がスマッシュホールド中のとき
相手がスマッシュホールド中のときは、 ふっとばし力に1.2倍の補正がかかる
スマッシュホールド中と判断されるのは「スマッシュホールドモーション中」のみであるため、スマッシュホールド開始前やスマッシュホールド解除後に攻撃をヒットさせても補正はかからない。


対地メテオとなる攻撃を敵にヒットさせたとき
対地メテオとなる攻撃を敵にヒットさせたときは、 ふっとばし力に0.8倍の補正がかかる


自分の状態やヒットさせた攻撃に特殊なパラメータが設定されている場合
1. シュルクのNB123(モナドアーツ / 決め打ちモナドアーツ / 極端モナドアーツ)を作動させているとき
 盾:ふっとばし力は変化なし、ふっとび力は0.78 / 0.702 / 0.624倍
 斬:ふっとばし力は0.68 / 0.68 / 0.544倍、ふっとび力は変化なし
 撃:ふっとばし力は1.18 / 1.298 / 1.416倍、ふっとび力は1.07 / 1.07 / 1.284倍 *1

2. Wii Fit トレーナーの下B3(耐える腹式呼吸)を成功させているとき
 相手から受けるふっとばし力に0.2倍の補正がかかる。

3. 「装備アイテム」により「攻撃」や「防御」の値が変化しているとき
 詳細はカスタマイズを参照。


相手キャラクターのサイズが変更されている場合
補正値 = 1 / {1 + (サイズ倍率 - 1) * 0.5}

サイズ倍率の一覧は以下の通り。
スーパーキノコによる巨大化:1.7倍 (補正値は約0.741倍)
毒キノコによるミニ化:0.5倍 (補正値は約1.333倍)
サンダーによる巨大化:2.4倍 (補正値は約0.588倍)
サンダーによるミニ化:0.5倍 (補正値は約1.333倍)

なお、各サイズ変化では同時に重量も変化するためふっとばし力の計算の際には注意。


その他
  • ルール設定で「ふっとび率」を変更させた場合は、その値がそのまま補正値として扱われる。
  • シンプルやイベント戦など、特殊なふっとび率・ふっとばし率が設定されている場合はその値がそのまま補正値として扱われる。
  • 相手が凍結状態のときは、ふっとばし力に0.25倍の補正がかかる。


ダメージに補正がかかる場合の計算式

ダメージに補正がかかる場合のふっとばし力の計算は、その計算の方法によって「与ダメージ補正」「被ダメージ補正」「攻撃判定ダメージ補正」の3種類に分けられる。
この3種類のダメージ補正がかかっている際は、下のふっとばし計算式における「敵%」と「ダメージ」へ影響を与える。
KB = [{敵% * (0.1 + ダメージ * 0.05) * 200 / (敵重量 + 100) * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値

与ダメージ補正がかかっている場合
自キャラクターに与ダメージ補正がかかっているときに攻撃をヒットさせると、 攻撃判定のダメージは変化せず、与ダメージ量のみが変化する。
このタイプの計算では、補正前のダメージ量を「ダメージ」として計算に用いるため ふっとばし力は大きく変化しない。 ただし 攻撃ヒット後の敵%は変化する ことに注意。

(例)攻撃ヒット後の敵%量のみがふっとばし力に影響するため、以下の2つのケースにおけるふっとばし力はまったく同じになる。
 A. 1.2倍の与ダメージ補正がかかった状態で100%の相手に10%の攻撃をヒットさせた場合
 B. 通常の状態で102%の相手に10%の攻撃をヒットさせた場合

与ダメージ補正がかかるケース一覧
1. シュルクのNB123(モナドアーツ / 決め打ちモナドアーツ / 極端モナドアーツ)
 疾:0.8 / 0.8 / 0.64倍 *2
 盾:0.7 / 0.7 / 0.56倍
 斬:1.4 / 1.54 / 1.68倍
 撃:0.5 / 0.5 / 0.4倍
斬・撃ではこれとは別にふっとばし補正がかかることに注意。

2. 装備アイテムの「攻撃」や「防御」
 詳細はカスタマイズを参照。


被ダメージ補正がかかっている場合
基本的な仕様は与ダメージ補正と同じだが、以下の点が異なる。
  • 被ダメージ補正はキャラクターのやられ判定に接触した場合にのみ適応される。
    • 敵の攻撃をガードした場合、被ダメージ補正は適応されない。
  • 補正後の被ダメージによってヒットストップが変化するが、 攻撃側のヒットストップは変化しない。

被ダメージ補正がかかるケース一覧
1. シュルクのNB123(モナドアーツ / 決め打ちモナドアーツ / 極端モナドアーツ)
 翔:1.22 / 1.22 / 1.464倍
 盾:0.67 / 0.603 / 0.536倍
 斬:1.13 / 1.13 / 1.356倍 *3

2. クッパ Jr.のやられ判定
 頭・胴体:1.15倍
 クラウン:0.88倍

3. Wii Fit トレーナーの下B1(腹式呼吸)*4
 効果中:0.9倍

4. パルテナの下B2(軽量化)
 効果中:1.1倍

5. 装備アイテムの「攻撃」や「防御」
 詳細はカスタマイズを参照。


攻撃判定のダメージ自体に補正がかかっている場合
このタイプの計算では、ダメージが 増減した後 の数値を「ダメージ」として計算に用いるため、 ふっとばし力が大きく変化する。

攻撃判定自体にダメージ補正がかかるケース一覧
1. Wii Fit トレーナーの下B1(腹式呼吸)*5
 輪の収束が最速時で1.2倍、最遅時で1.15倍

2. ルカリオの波導補正

3. スマッシュホールド補正


重量固定がかかるときの計算式

ワザによっては、ふっとばし力を計算するときに 相手の重量を100に固定する フラグが設定されているものがある。ちなみに重量100はクラウドやMii(標準体型)と同じ。
また、このフラグが付与されている場合は ふっとび速度の重力補正が無効になる。
KB (重量固定) = [{敵% * (0.1 + ダメージ * 0.05) * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値

麻痺属性の攻撃判定
麻痺時間がキャラクターによらず一定となるように、麻痺属性のワザは敵重量を100にしてふっとばし力を計算する。


敵重量固定フラグが設定されているワザ
ver1.1.0以降、0x83197B9A *6および0x853CD75E *7というACMDイベントが追加された。
このイベントがセットされている判定は「敵重量固定ワザ」となり、敵重量を100にしてふっとばし力を計算する。
ベヨネッタの横Bや上Bに設定されているのが有名だが、次の段につながりづらく調整に苦労していたと思われる多くの多段ワザにフラグが付与されている。

+ 敵重量固定ワザ一覧
キャラ 備考
クッパ (上投げ) バグで無効(解析値上は記述有)
ヨッシー 空後 1~2段目
ディディー 上スマ 1段目
リンク 上B 1~8段目
ガノンドロフ 空N 1段目 対地のみ
トゥーン 横スマ 1段目
サムス 空前 1~4段目
- 地上上B 1~10段目
ゼロサム 横B 最終段以外
ピット 百裂(連)
マルス 空N 1段目
- 横B 2段目横
- 横B 3段目下
ルフレ 弱 1・2
カービィ 空前 1~2段目
- 打ち上げハンマー 空中1段目 カスタム
ファルコ 上スマ 1段目 出始めのみ
リザードン 上スマ 1段目 6F目の対地判定以外
リュカ 下強
ロイ 地上上B 最終段以外
クラウド 弱2
- 横スマ1・2
- 下スマ 1段目
- 横B 1~4段目
- リミット横B 1~4段目
カムイ 弱2
- 上B 2~7段目
ベヨネッタ 弱1・2・3・百裂(連)
- 横強1
- 横強2 先端のみ
- 上強 1段目 対地のみ
- 空前1・2
- 空下 出始めのみ
- 横B各種 空中下横B(着地)以外
- 上B


敵重量・重力・最高落下速度固定フラグが設定されているワザ
ver1.1.0以降、0x34094BD6 *8および0x6F52E135 *9というACMDイベントが追加された。
このイベントがセットされている判定は「敵重量・重力・最高落下速度固定ワザ」となる。なお、前者のイベントが設定されているワザは存在しない。
このフラグが設定されている判定がヒットすると、指定されたフレーム数のあいだ相手キャラクターのヒット後の重力を0.087、最高落下速度を1.5に変更する。パラメーターを正しく指定してください。
例えばクラウドの画竜点睛の16F目と19F目の判定は21Fのあいだ重力と最高落下速度を変更するため、 どのキャラクターもふっとび後21Fのあいだはふっとびの挙動がまったく同じになる。

敵重量・重力・最高落下速度固定ワザ一覧
パックマン:上B3(メテオ前の風判定のみで効果は4F)
クラウド:画竜点睛(16F目と19F目の判定のみで効果は21F、17F目の判定は設定ミスでフラグなし)


その他特殊な計算式

チコに攻撃をヒットさせた場合
「敵%」の代わりに「敵% + 15」を用いてふっとばし力を計算する。なお、チコの重量は100である。
KB = [{(敵% + 15) * (0.1 + ダメージ * 0.05) * 200 / (敵重量 + 100) * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値


NB123で敵キャラクターを吸い込んでいるときのデデデに攻撃をヒットさせた場合
敵重量の計算の後にかけられる「1.4」の数値に0.25倍の補正がかかる。
KB = [{敵% * (0.1 + ダメージ * 0.05) * 200 / (敵重量 + 100) * 1.4 * 0.25 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値


ふっとばし力依存のふっとび耐性

ふっとばし力を無視できるケース

ふっとばし力のしきい値が設定されており、それより小さなふっとばし力を完全に無視できる。
クッパ(ひるみにくい体):19以下を無視
ヨッシー(空中ジャンプ中):120以下を無視 ※アーマー発生は1-69F、他の行動でキャンセルするとアーマーも消失する
ワリオ横B123(バイク移動中):20以下を無視
ドンキーコング(リフティング):80以下を無視
ドンキーコング(大アイテム所持中):80以下を無視
ディディー上B1(溜め中):30以下を無視
ディディー上B2(溜め中):1以下を無視
ディディー上B3(溜め中):20以下を無視
パルテナ横B3(移動中):20以下を無視

ふっとばし力の減少が起こるケース

ふっとばし力のしきい値があるのではなく、常にふっとばし力の減少が起こる。
確認されているのは以下の2つの場合のみ。ちなみにDX以前はヨッシーのふんばりジャンプもこれに分類されていた。
メタル時:ふっとばし力がサイズ倍率 * 30だけ減少
埋まり時:ふっとばし力が70減少


関連事項

倒れふっとび

KB>80 の時、攻撃を受けた相手は倒れふっとびになる。
倒れふっとびの特徴は以下の通り。
  • 行動を取らないまま着地すると、ダウン状態(または受け身)になる
  • ふっとび速度に重力補正がかかる
  • ベクトル変更が可能になる;角度・速度の変更

立ちふっとびのモーション

立ちふっとびにもKBによってモーションが3種類ある。
ふっとびモーションの分岐は以下の通り。
  • KB>80:倒れふっとび
  • KB<80:立ちふっとび
    • KB<32→立ちふっとび1
    • 32<KB<52.5→立ちふっとび2
    • 52.5<KB<80→立ちふっとび3


きりもみふっとび

倒れふっとびが起こる状況で以下の条件をすべて満たすと、通常の倒れふっとびモーションの代わりに 30%の確率 で「きりもみふっとび」モーション*10になる。
条件1. 攻撃ヒット後のダメージ量が100%以上
条件2. 攻撃判定のベクトルが0-70°、もしくは110°-360°

キャラクターがきりもみ回転しながらふっとぶほか、以下のような特徴がある。
ふっとび硬直中は 地上受け身が取ることができない
ふっとび硬直後は 一切急降下できない (通常の倒れふっとび後には急降下を受け付ける時間が存在する)
ふっとび硬直フレームが通常の倒れふっとびより 1F短い
地上受け身不可の仕様を利用したコンボや、ふっとびモーションの違いできりもみの時にしか当たらないコンボがある。



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最終更新:2018年09月21日 06:13

*1 ver1.0.9以前は1.09 / 1.09 / 1.308倍

*2 3DS ver1.0.3以前は0.72 / 0.72 / 0.576倍

*3 3DS ver1.0.3以前は1.2 / 1.2 / 1.44倍

*4 ただし、与ダメージ補正については下記のタイプ

*5 ただし、被ダメージ補正については上記のタイプ

*6 Set_Weight_Hitboxとラベリングされている、攻撃判定ごとの指定が可能

*7 Set_Weight_Hitbox_Allとラベリングされている、すべての攻撃判定に対してフラグを付与

*8 Set_Weight_Gravity_FallSpeed_Hitboxとラベリングされている、攻撃判定ごとの指定が可能

*9 Set_Weight_Gravity_FallSpeed_Hitbox_Allとラベリングされている、すべての攻撃判定に対してフラグを付与

*10 内部的にはDamageFlyRollモーションと呼ばれている