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力石 第一作目 30秒の刹那 - (2007/10/30 (火) 21:20:50) のソース

この能力に気付いたのは2ヶ月程前だ 大学の講義に遅れそうになった時
俺は心の中で「時よ止まれ」そう叫んだ 意味の無いその場の妄想と割り切って

しかしその時はどうだ 通行人が人形のように全て止まっている
俺は「おいおい ドッキリかよ みんなして俺をハメるつもりか?」と思った

しかしそれだけではない 降りかけの雨まで全て空中で停止している
俺はギョっとした   そして自分の視界の右側に何やら数字のメーターが
動いていた 5・4・3・・・・・

ちょうどテレビの画面表示のようなノリであろうか
そう思った瞬間 カウントはゼロになり通行人は動き出した
俺は大学に着き講義中ずっとさっきの現象の事を考えていた

いくらなんでも自分の視界に画面表示が出るなんて
宇宙人に脳をどうにかされたのか?
ゲームのやりすぎで脳がおかしくなったのか?
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いや、それ以前に時が止まる方が数百倍おかしいやろ
ホントに時が止まったのか?  大勢でのドッキリで雨はトリック?
俺の妄想で白昼夢を見たのか?

いやいや、それにしては記憶がしっかりしてるし
第一 空中で水球を止めるってどんな技術だよ


そんなこんなしてるうちに退屈な講義は終わる

一斉に人が講堂から出る

俺は念じた 「時よ止まれ」



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人々の動きがスローモーションになりかけた・・・・・・


が、何事も無かったかのように動いた

「えっ、今の何だったんだ?」
今日の講義を全て終え
俺は家路についた

友達も来ない 辺境のようなアパート
この部屋で日々ネガティブな妄想に俺は彷徨う

しかし朝のあれと、講義終わりぎわのあれは何だ?
2回も不思議な現象が起きた

いや2回目は不発に終わったという方が正確だが・・・・・

とにかく、俺は何かの力に目覚めたらしい
もう一度 しかも自在に使えるかどうかは保障もないが

おいおい まるで漫画だなwww

でも惜しかった あの30秒で何か出来たはず
しかし何だ 能力に目覚めるにしても 最初から把握してれば何も苦労しない

モノを使うにしても特徴 長所・短所を把握しきらなければ使いこなせない
この能力はどこから来たのか  いやそんなことはどうでもいい
また使えるか そしてその限界はどの辺りなのか今はそれが知りたい
とりあえず合言葉は 「時よ止まれ」だな

強く念じたことであの現象は引き起こされた

俺は体と部屋を清め 部屋の真ん中に座布団を敷きその上にあぐら座りをした

はぁ! 「時よ止まれ」
きぇぇ!「時よ止まれ」
やぁ! 「時よ止まれ」
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時には心に強く念じたり 声に出したり
そんなことを何時間も続けた

時が止まったことを確かめるために
窓は開けっ放しにした 

幸い窓の向こうは大通り
時が止まれば 通行人の動きで解る

しかし、止まるどころかスローモーションも起きず時間ばかりが過ぎてゆく
さらに最悪なことに俺の部屋の前には「奇人だ!」と言わんばかりの
黒山の人だかりが出来ていた
やばい通報されるぞ

ん? 窓開けてるとはいえ俺が部屋で何しようと勝手じゃないか
爆弾作ってるわけでもあるまいし。 

引越しおばさんの事例もあるしとりあえず声に出すのはやめておこう

俺はきっ! と見物人をにらむと野次馬は少しずつ去って行った

いや通行人は少し居たほうがいい 時が止まったのを確認するには

何時間こんなことを続けただろう
時計の針は11時50分を回っていた

あの能力を再び発現できるのか・・・・・・・・?
通行人も少なくなり 俺はもうあの能力を使えないと心のどこかで悟りはじめた
仮に使えたところで30秒だぞ 何ができる

体育の徒競走か? いや使えたところで周りから見たら瞬間移動にしか見えないやろ
徒競走でいい成績残せたとこでどうする カンニングには使えそうだが俺の周りは
カンニングできるほどの環境ではない

「時よ止まれ」
「時よ止まれ」
「時よ止まれ」
「時よ止まれ」
「時よ止まれ」
「時よ止まれ」
「時よ止まれ」
「時よ止まれ」
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カッ!
視界の右側が眩しくなった。

あの画面表示だ!
30・29・28・27・・・・
カウントしてる

俺は時計を見た  十二時ジャスト
時間に関係してるのか 発動限度は?
通行人は当然の如く停止している

また発現できた・・・・
おいおいこれは凄いことになってきたんじゃないか?

小躍りしたい衝撃にかられる 近づいてくる至福の時

停止した時間内での物理を調べるため俺は缶ビールを空中に投げる

普通に 落ちる。当たり前か

しかし道路を挟んで向こうのアパートでは窓から 落・ち・て・い・る 植木鉢が空中で停止している
第一初めて時が止まった時は雨粒が空中で停止していたじゃないか

あれとこれの違いは?

テレビ放送、時計は当然の如く停止
そんなこんなで30秒は過ぎ去った
とりあえず今日は寝よう
もう一回発動すればスローとなることは明らか

十二時ジャストということは1日1回か?
惜しいことしたな今日はスローしか使えねーじゃん

いやスローと言っても一瞬 起きたらスローで俺は素早く動けるか試してみるか

しかしこの能力はどこから来たのだろう

そんなこと今は調べる糸口も無い
とりあえず使えることが分かったこの能力を徹底解明していくしか

30秒の停止と電池切れのような一瞬のスローは何なん?
修行しだいで2回目はスローでなく停止になりうるのか? それとも第二能力か?

いやいやだったら最初の方で使い切ってしまうことがなぜできない?

とりあえず 今分かったことは 一日の制限時間は30秒と一瞬

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そんなことを考えながら俺は眠りに落ちた