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かつを 無題14」(2007/11/15 (木) 17:01:43) の最新版変更点

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世界の果てまで続く長い道のりを歩き続けなければ。 恐らく、永遠と思えるほどの距離・時間を要するだろう。 それらが僕を焦らせる。同時に大きな無力感を感じる。 僕は辿り着けないかもしれない。きっと、目的地は限りなく永遠に――いや、永遠の距離かもしれない。 そう思いながら歩き続ける。 ひょっとすると不自然かもしれないが、それでも僕は歩き続けるしかない。 もしくは立ち止まるか。 立ち止まってしまえば――停止した世界に同化してしまえば楽かもしれない。 いやきっと楽だろうが、僕は立ち止まるのを恐れている。 一度立ち止まってしまったら、それっきり歩く気力を失ってしまうだろう。 立ち止まったら最後、永遠の底なし沼にひきずりこまれてしまうような気がする。 そんなことになるくらいなら、変わり映えしない灰色の景色を眺め続けるくらいなら、 僕は目的地を目指して歩き続けていたい。 などと偉そうに吹いてはいるが、実際のところ僕はそれほど歩き続けてはいない。 具体的に何?歩いただとか、何日間歩き続けているかは分からないけども。 歩く僕の周りの景色はおおきく変わってはいない。 僕の足はまだまだ疲れていない。 気力も今のところ大丈夫だ。 ――といってもこの景色は、目的地まで変わり映えしないのかもしれないし、 今の状況ではいくら歩こうが疲れることはないのかもしれない。 心が折れていないのは、歩くことに集中してばかりで、何も考えてこなかったからかもしれない。 しかし、改めて考えてみると理不尽極まりない状況だ。 ――そもそもこんな状況、僕は望んでなどいない。 何故僕なのかも分からない。特に他人と変わってるところなんてない。 いつも朝7時頃に目を覚まして、朝飯を平らげて憂鬱な一日を過ごすだけだった。 誰に迷惑をかけるようなことはしていないし、(逆に、誰かのためになったことなんてないけど) 僕と同じような人間は世界に何億といるはずだ。 なのにどうして僕なのかというと――神様の気まぐれなのだろう。 神様を恨む。 ああ、せっかく今まで何も考えずにやってこれたのに。 一度思考をめぐらせてしまうと、なかなか止められない。 ――ある日、急に全てのものが停まってしまった。世界の時間が止まってしまった。 そして、僕には目的地が示された。 多分、その目的地に行けば、世界は動き始めるのだろう。 僕がそこに辿り着かなければ、世界は二度と動きはしない。 だからといって、僕は正義感にとらわれてしまっているワケじゃない。 別に今、死んでしまってもいいと思っている。 世界が元に戻ったところで、僕にとって喜ばしいことなど無い。 ただ現状では死ねないだけだ。もし手首を切ってみても(実際に切ってみたのだが) 血が出ない。溢れ出すはずの血が、傷口表面ですぐに停止してしまう。 歩き続けても疲れないのと同様に、僕自身の体には(もちろんこの世界も) 変化らしい変化はみられない。 仮にビルの屋上から飛び降りても同じことだろう。 ただその場合は、手足がとぶかもしれない。首がもげるかもしれない。 それでも多分死なない。死なずに、ずっとそのままの状態だと思う。 だから僕は、ただ歩き続けている。 誰のためでもない。 そう、僕が歩き続けているのは誰のためでもない。 しかし、僕が目的地まで辿り着いたなら、世界が元にもどるならば。 今まで起きていたことなんて知らずに、周りの人間は再び息を吹き返す。 そのあかつきに、僕は何かを手に入れるのか? この行為に見合うだけの対価はあるのか?――何も無い。 それに比べ、僕が世界をもどすことで、周りの人間は自由を手にする――何の労力も無しに。 身勝手な公僕は今まで通り、自分のためだけに動き続け、 金持ち共は変わらず馬鹿みたいに欲を貪る。 僕の身近にいる人間は以前のように僕をこきおろすだろう。 僕は誰かのために歩き続けているわけじゃない。 ……雑念が尽きない。歩けば歩くほど頭をめぐる。 歩き続けるしかないのだと言い聞かせても、それだけでは抑えきれそうにない。 このままでは完了できそうにない。目的地まで辿り着けそうにない。 何かを見るたび・感じるたび不満をつのらせて、 解消されない悩みに頭をかかえるのは辛い。 だから――少しだけ休もう。 思考を押し止めるためにも、一旦立ち止まろう。 少し休めば、また気力も湧いてくるはず。 ――大丈夫。ほんの少しだけ。                   おわり

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