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1停止目 859 第一作目」(2007/04/08 (日) 05:11:42) の最新版変更点

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ゲームが始まった。 今から僕は世界中を逃げ回らなきゃいけない。 敵に視認されたら即、死だ。それはこのゲームのルールである。 もちろん、敵に視認は即死という術があるなら、こちらにも術は用意されている。 30秒間時間を止める能力。一度使ったら一時間は使えない。 この力を有効に活用する。それができなければ僕の命は無い。 僕はまだ死にたくない。まだ生きていたい。やりたいことだってたくさんある。 そのために……。 ここでじっとしていてもただ死を待つだけだろう。行こう。 僕はドアを開けた。 ビルとビルの間の狭い通路。近くから雑踏が聞こえる。 僕は目をつむる。まぶたの裏に周辺の地図が映し出された。 赤く点滅している丸が敵。丸から飛び出した角は敵の顔の向いている方向。 敵の位置は現在地からはまだ遠い。逃げるなら今だ。 僕は目を開いて通路を出る。通路の外は賑やかな繁華街だ。 人の流れに沿うと敵に近付くことになる。必然的に流れに歯向かわなくてはいけない。 道行く人々から白い目で見られるが、こちらは自分の命がかかっている。 繁華街を抜けると駅前の広場に出た。 僕は、すぐ脇にあった公衆トイレの個室に入ると目を閉じて地図を開く。 駅の改札に敵が一人いる。きっとプレイヤーが電車に乗りに来たところを狙うつもりだろう。 電車に乗らずに逃げ回るか、電車に乗って別の地域へ行くか……。 僕は、電車に乗ることに決めた。 近くに敵がいないことを確認して公衆トイレを出る。敵はやはり改札前に止まったままだ。 時間を止めよう。 30秒でどこまで行ける? 最低でも改札は抜けなければならない。ここから改札まではざっと200メートル。 全力で走ればなんとか行けるかもしれない。ただ、転んだり、人にぶつかったりすればゲームオーバー。 考え直した方がいいかもしれない。 また地図を開く。 かなり近くに敵の反応。少し考える時間が長かったみたいだ。 地図を見ながら思案する。この人込みの中を遠くに逃げるのは難しい。なら、いっそ……。 僕は覚悟を固めた。 時間を止める。周囲の人々がピタッと動くのをやめる。 僕は駅へ向かって走りだした。 9、8、7、6、5、4、3、2、1……。時間が何ごともなかったかのように、また動き出す。 僕はギリギリで改札を抜けた。 肺がたまらなく痛いがそれは僕がまだ生きている証拠だ。 急いで柱の影に隠れて地図を開く。敵は駅の外を向いている。僕には気付いてないようだ。 駅の中には敵はいない。僕は静かにその場を離れる。 ホームに電車がやって来る。電車の中にも敵の反応はない。 僕は電車に飛び乗った。

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