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俺は遥を部屋の中へ通す。
テレビには先ほどから流れているエロ番組。

「あら? お邪魔でした?」
「い、いえ。そんなことはありません。あははは~」
やや、引き攣った笑いで誤魔化す俺。

エロ番組を流しながら、ビール片手に世間話を始める俺と遥。
ビールを3本開けた辺りで遥が俺の横に座る。

遥はノーブラらしく、浴衣の胸元の隙間から乳首が見える。
そんな俺の雰囲気を感じたのか、遥が俺にもたれ掛かる。
俺は右腕を遥の背中に回し、左手で浴衣の胸元から胸を触る。

コリコリっと、小さく硬くなっている遥の乳首を弄ぶ。
遥がこちらを向き、目を閉じる。
俺と遥は再び口付けを交わした。
俺が遥の浴衣の帯をほどくと、遥の胸が露わになる。

「あ・・・」
乳首を唇に含むと、遥の口から吐息のような喘ぎが聞こえる。
俺は右手で遥の下腹部へと動かし、パンツの中へ入れる。

「布団で・・・」
遥が小さい声で呟いた。
俺は遥を抱き抱え、布団へゆっくりと降ろす。
自分の帯を解き、布団の上で遥と三度口付けを交わす。
唇を放し、舌先で遥の乳首を転がす。
そして、胸から、お腹、下半身へと舌を這わし、やがて、
女性器に辿り着く。

割れ目に沿ってゆっくりと舌を這わすと、遥の体がときおり
ぴくぴくっと反応する。
クリトリスを舌先で弄ぶ。

「あ、あぁ、はぁ・・・」
遥の口から小さな喘ぎ声が漏れる。
遥が両手で俺の頭を持ち、俺は女性器から口を放す。

「だめ、これ以上舐められたらイッちゃう・・・」
遥が俺に口付けをし、俺と遥の体勢が入れ替わる。

遥が俺の息子を丹念に舐め上げる。
遥の舌は別の生き物のように、俺の息子を這う。
舌先で尿道の入り口を舐めたり、裏筋から袋に掛けて舐め上げ、
やがて口に含み、上下に動き出す。

「あ、あ、で、出ちゃう・・・」
「一緒に・・・」
遥の舌の動きが止まり、遥が俺に跨る。

息子の先が徐々に遥の女性器に飲み込まれる。
ヌルっとした感触と共に、得も言われぬ快感が体中を駆け抜ける。

「お、俺、初めて・・・」
遥が唇を重ね、俺の口を塞ぐ。
ゆっくりと遥が上下に動く。
俺は両手で遥の胸を揉む。
次第に遥の動きが激しくなり、俺も自然と腰が動き出した。

「あ・・あぁ・・・。い・・・く・・・」
「お、俺も・・・」
「あ~・・・」
ドクドクドク。
遥の膣内が一気に締まり、俺は遥の膣内に射精した。

長いようで短い射精感の後、遥が俺に覆い被さる。
俺は遥かを抱き、やがてそのまま眠りに落ちた。


旅館の仲居と言う仕事は朝早いらしく、
朝起きるとすでに遥の姿はなかった。

ぷるるる~。
部屋の電話が鳴り、朝食の準備が整ったことを知らせてくる。
俺は浴衣を着て、食堂へと向かう。

「おはようございます。ご主人様」
昨日は萌えたメイドだんだが、今朝は別に何も感じない。
昨日と同様に、遥がメイド姿で給仕をしていた。
俺と目が合うと、少し顔が赤くなった。

朝食を食べ終え、遥を探しに行くが、仲居と言う仕事は午前中は
忙しいらしく、結局会えないままバスの出発時間になってしまった。

旅館の人に見送られ、バスに乗り込むが、そこには遥の姿は無かった。
バスにエンジンが掛かり、バスがゆっくりと出発すると、旅館の中から
遥と真美が走って出て来た。

「喪雄~! 喪雄~!」
真美が大声で叫ぶ。何故か右手が何かを握って上下しているような気がした
が気のせいだろう。
俺は窓から身を乗り出し、遥と真美に向かって大きく手を振った。

バスは速度を上げ、遥と真美が遠ざかり、やがて見えなくなった。
バスは新宿へと向けて走り始める・・・。

こうして、俺の童貞は遥に捧げたのであった。

『萌え萌え~。メイドさんと行く温泉ツアー』のバスは一路新宿へと
向かう。
 喪男たちを乗せたバスの中は、行き同様にアニソンカラオケ大会。
 カラオケも最高潮になり、バスは九十九折れに差し掛かる。

キキー。
急ブレーキの音が聞こえ、少し遅れて俺らの乗ったバスからも急
ブレーキの音が聞こえる。

 俺の他、バスに乗車している数名が急ブレーキの反動で前の座席に
頭をぶつけ、メイドさんは豪快にひっくり返り、こちらに大股開きで
パンダさんプリントのパンツを見せている。

キキー。ガシャン。ガガガガッ。ガチャーン。
 鈍い音と共に、衝撃が伝わる。

「な、何が起こったんだ?」
俺はバスの外を見回し、状況把握に努める。

「何が起こったナリ~?」
「い、いたいよ~」
「く、不覚にも、頭をぶつけたでござる」
「メイドさんパンツ萌え~」

口々に思いのままを口にする喪男たち。
どうやら、バスはカーブを曲がりきれずに突っ込んできた車と衝突し、
ガードレールから半分落ち掛けているようだ。
運転手は衝撃で気を失っているようだ。

「うわ、バスが落ちかけてるっすよ! ヤバス! テラヤバス!」
俺以外にも状況を把握したやつが居たらしい。そいつの一言でバスの
中はパニックに陥る。

「お、落ちる~」
「どけ! 俺が落ちたら誰が世界を治めるのだ!」
少なくとも、お前が治めることはないから、安心して落ちろなどとは
口が裂けても言えない状況だ。

「ちょっと、このオタクども! どきなさいよ!」
すでにメイドさんも演技を忘れ、素になっている。

「動くな! 下手に動けばその反動でバスが落ちるぞ!」
俺は柄にもなく、声を張り上げる。

「うるさい! 先ず、私を助けなさいよ!」
「メイドが主人より先に助かろうとするなんて言語道断ナリナリ~」
パニックに陥っている者に何を言っても無駄なようだ・・・。

まぁ、普通の人ならこの状況ではパニックに陥るだろう。
俺は時間を止める能力があるおかげで、いざとなれば助かる事ができる。
だからこそ、冷静にもなれるのだろう。

 この手のバスには非常口が後ろにあるはずだ。俺は後部を見る。
やはり有った。俺は回りに座っている連中に手伝わせ、非常口を開放する。

ズル・・・。
バスはバランスを失いつつあるらしく、少しずつ谷底へ落ちかけている。
「逃げろ~」
非常口近くに居た数人が我れ先にと非常口から逃げて行く。

ズルズル・・・。
後部座席の重量が軽くなり、バスは一気にバランスを崩す。
すでに半分以上谷底へと落ちかけている。
この状況では全員が非常口から脱出することは不可能だろう。

「止まれ!」
辺りに静寂が訪れ、すべての動きが止まる。

俺は周りに居た数人を、非常口の外へ蹴り落とす。
時間が止まっている時間は30秒だが、連続で止めれば何とかなるだろう。
俺は時間を止め、バスに乗っている連中を片っ端から非常口から外へ放り投げる。

「止まれ!」
ズズズ・・・。

 久しぶりの重労働だが、今はそんなことは言ってられる状況ではない。

「止まれ!」
ズリズリ・・・。

「はぁはぁ」

「止まれ!」
ガガガ・・・。

非常口の外は人が折り重なっているが、谷底へ落ちるよりマシだ。
「はぁはぁはぁ・・・」
「止まれ!」
残りは運転手だけである。
この運転手、体重は100kgはあるんじゃないか? かなりガタイがいい。

しかも気を失い、前に突っ伏している状態のまま止まっている。やたら重い。
ギアに引っ掛ったり、座席に引っ掛けたりしながらようやく運転手も非常口まで
連れてくることができた。

「はぁはぁ。これで最後だ」
運転手を非常口から放り出す。
後は俺が脱出すれば終わりだ。

そして時が動き出す。

「止ま・・・」
俺が時間を止めようとした瞬間、バスの後部が大きく持ち上がり、俺は
バスの天井に向かって放り投げられる。

バンッ。
咄嗟のことで、俺は受身を取れずに背中から天井に直撃した。
「がふ・・・。と、止まれ・・・」

辺りに静寂が訪れ、時間が止まる。
俺は薄れ行く意識の中で時間が止まるのを知覚した。

「脱・・・出しな・・・くちゃ・・・」
ガガガガッ。ガラガラガラ。
ガッチャーン・・・。

バスは谷底へ転落し、地面に突き刺さるように止まり、後輪がカラカラと
周っている・・・。

ピコーン。ピコーン。ピコー・・・。ピーーーー。
「心停止しました!」
「電気ショックを!」
バン! バン!

 俺は出口の無い暗闇を彷徨っている。

 何者かが俺の意識に囁きかける。

「砂時計の落ちる時間は30秒。その間だけ時を止める事ができる」
男の声。

「使い方は『止まれ』と念じればいい」
女の声。

「一日に何度使ってもいいけど、それなりの代償は貰うよ」
子供の声。

「代償とはお前さんの一日分の寿命」
老人の声。

 俺は声のする方向へと歩いて行く。
「ここはどこだ? 出口は?」
 どれくらいの時間彷徨っただろうか? 闇の向こうに微かな光が見える。
 俺は光へと向かい歩いて行く。近づくと、光は次第に大きさを増して行き、
光の中に何かが見える。俺はひたすら光へと向かい歩く。
近づくにつれ、光の中のものが次第にはっきりと見える。
「砂時計?」

 砂時計の砂が静かに落ちつづけている。
 ようやく俺は砂時計まで辿り着いた。
「光は出口じゃなかったのか・・・」
 俺は絶望感に飲み込まれながら、砂時計を触る。

「!」
 パリーン。
 砂時計が割れ、辺りに白い闇と化した砂が飛び散る。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
 白い闇と化した砂が俺の体を貫き、次第に俺の体は白い闇と同化し始めた。

「喪坂さん! 喪坂さ~ん!」
誰かが俺を呼んでいる声が聞こえる・・・。

「喪坂さ~ん!」
ペシペシ!

俺はゆっくりと目を開ける。
光に目が眩み、焦点が定まらない。
視線がぼやけているのが、どうやら目の前には白い女性が居るようだ。
「眩しい・・・」俺は再び目を閉じかける。

「喪坂さ~ん! 寝るな!」
ビシ!
強烈なビンタが俺の頬を叩く。

「お、おい、君、患者さんになんて事をするんだ!」
慌てた声でビンタをした白い女性を制止する、男の声が聞こえる。

痛みを感じると言う事は、どうやら夢から覚めたらしい。

「喪坂さん、喪坂さん。大丈夫ですか?」
再び薄っすらと目を開ける。
眼鏡を掛けた髭面・・・。俺は目を閉じ掛ける。

「だから、寝るなって!」
胸倉を掴まれ、上下に揺すられる。
全身に痛みが走り、苦痛で目を見開く。

「先生、先生。患者さんです・・・」
「あ・・・。つい・・・」
痛みにより意識がはっきりとし、焦点が定まってきた。
辺りを見回すと、髭面で眼鏡の男性。その奥に白衣の女性。
横にはいろいろな機械が置いてある。どうやら病院のようだ。
俺は生きているらしい。

「ようやく意識が回復しましたね。あなたは3週間も意識不明だったんですよ」
医者らしき男性から説明を受ける。

どうやら俺は、バス事故から3週間もの間、意識不明だったらしい。
始めの1週間は、危篤状態で生死の境を彷徨っており、10日後に状態は回復した後、
今まで意識不明だったとのことだ。
全身15箇所の骨折に、内臓損傷や破裂、全身打撲状態で病院に運び込直後には
心停止すらしたそうだ。

俺以外のバスに乗っていた人は運転手を含め、数名が軽傷で、すでに全員退院
しているとのことだ。
俺は唯一、バスから逃げ送れた重体者で、バスの座席の間に上手い具合に挟まれ、
一命を取り留めたらしい。
俺がどれくらい重体かと言うと、両手、両足共に骨折しており、天井から両手両足共を
吊られている状態だ。

事故の日からしばらくは集中治療室に入っていたらしいが、3日前から個室に移ったが、
今尚面会謝絶の札の状態。
傷の方は回復に向かっているので、意識が戻ったことで、面会謝絶の札も数日中には
取り外されるそうだ。

診察と事情を説明した医者と看護士は病室から出て行った。

「他の人を助けて、自分が死にかけてれば世話ないな」
「時間を止める能力も万能じゃないってことか・・・」
窓の外には何時の間にか雪がちらついている。

「止まれ!」
雪は変わらず降り続いている。

「止まれ! 止まれ! 止まれ!」
辺りに静寂が訪れることはなく、雪は降り続いている。

「能力が無くなった?」
俺は右手を見ようとするが、右手にはギブスがはめられ、天井に吊るされている。

「止まれ!」

「・・・ふ・・・。ふはははははは・・・」
俺は声を上げて笑った。

時間を止める能力か。それを失った?
そもそもそんな能力が俺にあったのか?
-在ったはずだ-

すべては夢だったんじゃないのか?
-それじゃ、俺以外の連中が助かったのは何故だ?-

俺がトロくて、逃げ送れただけじゃないのか?
-そうかも知れない。すべての俺の夢、俺の妄想だったのかも知れない-

俺は自問自答を繰り返した。

それから数日が経ち、面会謝絶の札も取り外され、何人か見舞い客が訪れた。

バス会社や、旅行代理店、事故相手の保険会社。
見舞いの品で俺の枕元はいっぱいになる。

久美子や、ヅラ社長、亜紀なんかも見舞いに来た。
社長は開口一番に「勝手に旅行に行っての入院だから、帰ってきても席なんて無いぞ」
と言ったが、久美子の話だと、復帰後は久美子の会社に行くことになっているらしい。


「喪雄さ~ん。生きてますか~?」
今日も亜紀が見舞いに訪れた。
面会謝絶の札が取れて以来、亜紀はよく見舞いに来る。
どうやら目当ては見舞いの品々らしいが。

「退屈で死にそうだけど、まだ生きてるよ」
「最近、見舞いの品物が少なくなりましたね~」
見舞いの品を物色しながら亜紀が言う。

「お前が持って帰ってるんだろうが・・・」
「だってぇ~、食べないと腐っちゃうじゃないですかぁ~
喪雄さんは食べられないんだから、私が食べてあげてるんですよぉ~」
亜紀はGODIVAと書かれた箱を見つけ、嬉々として封を開け始める。

ひょい、ぱく。
亜紀が満面の笑みを浮かべ、チョコを食べ始める。

ひょい、ぱく、ひょい、ぱく・・・。
あっと言う間にチョコが無くなって行く。

「ちょ・・・おま・・・。俺にも一つくれよ」
「え? 食べたいんですか? しょーがないなぁ~」
亜紀は手に持ったチョコを俺の口へと放り込む。

「ったく、そんなに食べると太るぞ・・・」
びす!
亜紀の手刀が俺の顔面を振り下ろされる。
俺の全身に痛みが走る。どうやら、痛み止めの薬が切れてしまった
らしい。

「うが・・・。ああ・・・。くう~・・・」
「そんなオーバーに痛がらないで下さいよぉ~」
「ちが・・・。く、薬・・・。痛み止めが・・・」
演技ではないのが伝わったのか、亜紀が焦り始める。

「え? 薬ですか?」
亜紀が辺りを見回し、机の上に置いてある薬を見つける。
「これですね!」
亜紀が薬の封を切り、水差しを片手に薬を俺の口に入れようとする。
俺は必死に口を閉じ、顔を横に向ける。

「口を開けて下さいよ~。薬飲ませられないじゃないですかぁ~」
「亜紀、ちが・・・。それ、座薬・・・」
俺は口に座薬を咥えさせられながら、必死で説明する。

「え? それを早く言って下さいよぉ~」
座薬を飲まされるのを防いで、ほっとしたのも束の間、再び体中に痛みが
走る。

「う・・・く・・・」
「だ、大丈夫ですかぁ~?」
俺の痛みに耐える形相にパニックになったのか、亜紀が思いもよらない
行動に出た。

今の俺は、両手両足を吊られている状態。
亜紀は俺の足の方へ移動し、布団を剥ぐ。
俺は身動きが取れない状態なので、布団の下は病院から貸し出している
丈の短い上だけのパジャマにT字のふんどしみたいな帯だけである。

「ちょ、亜紀、おま・・・」
亜紀はT字帯を横にずらし、狙いを付ける。

「えい!」
掛け声と共に、座薬を一気に奥へと押し込む。

「み"ゃ・・・」
俺は変な奇声を上げる。

「座薬は奥にしっかりと入れないと出てきちゃうんですよぉ~」
亜紀はしたり顔で座薬を奥へと押し込む。
恐らく、指の第二関節位までは入っているのではないだろうか・・・。

「ま"・・・」
グリグリッ。
亜紀が座薬を更にグリグリと押し込む。

「い、痛い、亜紀、痛い・・・」
「薬が効いてくるまでの間、我慢して下さいよぉ~」
亜紀の指がグリッグリっと、回転を始める。

「ち、ちが、違う。ゆ、指! 指!」
「あ、あぁ」
亜紀がようやく指を抜いてくれた。

「あ・・・。ちょっと血が出ちゃいました」
亜紀が指先に着いた血を見て、臭いを嗅いでいる。

「うわぁ、くっさーい」
しくしくしく・・・。俺は少女のように、涙目で亜紀を睨む。

「こんな事で泣かないで下さいよぉ~」
ぺち。
亜紀が血の着いた指で俺の顔を叩く。
「お、おま・・・」

ティッシュで自分の指と俺の顔を拭く亜紀。
痛み止めの座薬が効いてきたのか、俺はようやく痛みが治まる。

「あ、あの、亜紀」
「なんですかぁ~?」
俺の表情が穏やかになったこともあり、亜紀もようやく落ち着いたようだ。

「あのですね・・・。布団を掛けて貰えないでしょうか・・・?」
俺はT字帯がずれ、下半身丸出し状態である。

「き、きゃぁ~。何て格好してるんですかぁ~! 喪雄さんの変態!」
そう言って、亜紀はドアも閉めずに走り去ってしまった。

俺は下半身丸出しで、手足を吊られているという羞恥プレイ状態のまま、
看護士が通り掛かるまで放置プレイ状態だった。

翌日、亜紀が再び見舞いに訪れた。
俺は亜紀をジト目で睨む。

「あ、あは。そんなに睨まないで下さいよぉ~」
「お前、俺がどんなに恥ずかしかったか判るか?」
「いや、ほら、だって。私だって恥ずかしかったんですよぉ~。
喪雄さん、下半身丸出しでしたしぃ~」

「だ、誰が丸出しにしたんだ! 誰が!」
「そ、そんなに怒らないで下さいよぉ~。喪雄さんが痛がってたから、
私だって、必死だったんですよぉ~」
「ったく、普通、あの状況だったら、ナースコールするだろ!」
ちょっときつく言い過ぎたか?
亜紀は俯いたまま、ぷるぷると震えている。

「おい、亜紀?」

顔を上げた亜紀の目には涙が溜まっている。
亜紀はキッと俺を睨みつけ、俺の足の方へ向かう。

嫌な予感がする・・・。
「あ、あの、亜紀さん? な、何を?」
亜紀は問答無用で俺の布団を剥ぐと、T字帯をずらし、中指を一気に
奥へと突っ込む。

「う"み"ぁ~・・・」
病室内に俺の奇声が木霊する。

亜紀は指を引き抜くと、再びドアを半開きのまま帰ってしまった。

更に翌日。
さすがにもう来ないだろうと思っていたが、亜紀は再び見舞いに訪れた。
今回は訪れるなり、無言である。

「あ、亜紀さん? あの、き、昨日は言い過ぎました。ごめんなさい」
俺は無言の圧力に負け、敬語で謝る。

「判ればいいんですよぉ~。判れば」
亜紀はうんうん頷いている。

「あ、あははは・・・。ツマラナイ物ですが、その辺りにある物を適当にお食べ下さい」
俺はかなり卑屈になっている。

「本当にツマラナイ物ばっかりですねぇ~」
「いや、お前が、全部食べちゃっ・・・」
俺が口答えしようとすると、亜紀が中指を立てたり、降ろしたりする。

「い、いえ。す、すいません・・・。今度何か仕入れておきます・・・」
「判ればいいんですよぉ~。人間素直にならなくっちゃ」
満面の笑顔で亜紀が言った。

その日の夜、俺は人知れず枕を濡らした。

亜紀に肛門の処女を奪われてから数日が経ち、両手両足のギブスも取れた。
亜紀は相変わらず毎日のようにやってきては、見舞いの品々を物色する。

ギブスが取れた日には、ギブスが取れたことを喜ぶどころか、
ギブスに描いた力作の熊のぽーさんが居なくなったと逆キレされたりもしたが、
兎に角、ギブスからは開放された。

右手を見てみると、手の甲には青黒い痣があるが、別段砂時計の形はしていなかった。

「やっぱり、時間を止める能力は夢だったんだな・・・」

ギブスは取れたものの、すっかり筋力の衰えた俺はリハビリのために更に数日入院した。
入院から2ヶ月が経過し、ようやく退院の日を迎える。
退院したとは言え、しばらくはリハビリセンターと言うところに3日に1度は通院するので、
本格的に職場復帰するのはもうしばらく後になるが。

午前中に検査と退院手続きを済ませ、病院の外に出たのは午後1時を回っていた。
外に出ると空気の臭いが違った。俺が大きく伸びをする。

入院中一番見舞い?に来たのは亜紀だった。
見舞いの品々を物色するのがメインだったかも知れないが、俺にとっては、
退屈な入院生活中の楽しみの一つになっていた。

「喪雄さん。退院おめでとうございます~」
後ろを振り向くと、亜紀が花束を持って立っていた。

「あ、ありがとう」
亜紀のことを考えていたせいか、俺は急に亜紀を意識してしまい、言葉に詰る。

「どうしたんですかぁ~?」
「あ、い、いや、亜紀から花束を貰うなんて思わなかったからさ」
「あ~、酷いですよぉ~。人が折角社長から退院のお祝いに貰ったお金で買った
のにぃ~」
「なんだよ、社長の金かよ・・・」
「選んだのは私ですよぉ~。そんなことを言うと・・・」
亜紀が中指を立てる仕草をする。

「ちょ・・・。おま・・・。って、もう俺は自由に動けるんだよ!
お返ししてやる!」
俺が走り出す格好をすると、亜紀が「きゃ~」と言いながら後ろの道路に飛び出した。
道路には猛スピードのトラックが走ってきていた。

トラックに気付いた亜紀は足がすくみ、身動きが取れなくなる。
「あ、亜紀ぃ~」
俺は亜紀に向かって駆け出す。

「止まれ! 止まれ! 止まってくれぇ~!」

俺はトラックがぶつかる寸前に、亜紀のもとへと辿り着き、守るように亜紀を抱える。
俺はトラックがぶつかる衝撃に備える。

「・・・」
数秒が経過しても、トラックはぶつかってこない。
恐る恐る顔を上げると、目の前にはトラック。
どうやら止まっているようだ。
辺りを見回すと、止まっているのはトラックだけではない。
他の自動車も、空を飛ぶ鳥も、何もかもが止まっているのである。

「はは・・・。やっぱり、時間を止める能力はあったんだ・・・」
俺は亜紀を抱き抱え、歩道へと歩く。

そして、時が動き出す。

キキー。トラックが急ブレーキを掛け、タイヤから煙が上がる。
「ばかやろー! 死にてぇのか!」

俺らが弾かれなかったのを確認したトラックが再び走りだす。

「喪、喪雄さん?」
何が起こったか判らずに、亜紀が不思議そうな顔で俺を見つめる。
俺は亜紀を下ろし、右手を見つめる。
右手には砂時計の形をした痣があった。
俺は歩道を歩き出した。

「喪雄さん? 何があったんですぁ~?」
亜紀がぴょこぴょこと俺に付いて歩いてくる。

怪我により一時的に能力が使えなかっただけで、俺にはまだ時間を止める
能力があるらしい。
久美子や亜紀、遥のことも夢ではなかったのだ。

「喪雄さ~ん? 一人でニヤニヤして気持ち悪いですよぉ~?」
亜紀が腕を組んでくる。

「まだ足腰弱っているでしょうから、仕方なく腕を組んであげます~」
「仕方なく・・・ね・・・」
俺と亜紀はゆっくりとした足取りで喧騒の中を歩いて行く。

社長の金で買った花束が車に弾かれ、一枚、また一枚と花びらを散らす・・・。


「止まれ!」

周りに静寂が訪れ、俺の右腕に砂時計が浮かび上がり、時間が止まる。
俺、喪坂 喪雄28歳。
時間を止める能力を身に付けてから、俺の人生は大きく変わった・・・。

終わり。