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「あぁ〜…人生暇すぎる…」

公園で求人誌を眺める一人の男。
名前は長瀬。童貞、不細工、人嫌いetc…とダメ男の日本代表だ。
日が落ちて来たのでコンビニで弁当を買い、家路を辿る。
アパートまでもう少しという場所に、小汚ない格好をした男が露店を開いていた。
(こんな道端で邪魔だっての…)
露店の前を通り過ぎようとした時…
「そこの人…寄ってってよ…」
男が声を掛けて来た。
(勘弁しろよ…そうじゃなくても「キモイ」って言われるのに、こんな奴と話してたら余計にからかわれる)
無視して通り過ぎようとした時、体に異変が起きた。
(足が…動かない?)
不自然な形で体が固まる。咄嗟に目だけで男を見ると、鉛筆の先を長瀬の影に突き立てていた。
「フヒヒ…まぁ、見てくだけ見てよ…」
男が影から鉛筆を放す。すると、ガクンとバランスが崩れ、体が動いた。
「おま…今なにを…」
「フヒヒ…商品の一つさ…他にもあるよ…例えば…」
出して来たのは小さな石の付いたピアス。
「これは『時空石』のピアス…効果は瞬間移動…」
男がピアスを着けた瞬間、目の前から消え、長瀬の背を叩いた。
「すげぇ…他には何が?」
道具はどれも常識外れな物ばかりだった。

長瀬は、一通り道具の説明を受けて、ふと気付く。
「…値段はいくらだ?これだけの物、相当な額じゃ…」
確かに実際ではあり得ない代物ばかりだった。
「金じゃない…『代価』は力と等価値の『不幸な結末』…」
「…どういう事だ?」
「例えば『時空石のピアス』…時期は2年後…死に方は圧死…これは回避不可だな…」
「2年後!!?…やだな…」
『道具の代価』を聞き、心の中の天秤が揺れる。
(…どこが『等価値』だよ…あっ…でもこれなら…)
「…この『クロノスの腕輪』をくれ」
「…代価は『時期はランダム』『死に方は溺死』ただし『条件付き』だね…これでいいのか?」
長瀬は頷いて、腕輪をはめる。腕輪の力は、強く擦ると自分意外の『全て』の時間が30秒間止まる。
男が言った『条件』とは…
『外さない』『15分に1度』『24時間以内で最高4回』
この三つを破らなければ、『代価』は取らないらしい。
「…いい物を貰った。有意義に使うよ」
長瀬はそう言って、足早に家路を急いだ。

長瀬が去った後、露店の男がボソボソと呟く。すると、背後の空間に割れ目が現れた。
「クヒヒッ…『代価』を楽しみにしてるよ」
不気味に笑うと、割れ目の中に消えて行った。

長瀬はコンビニ弁当を食べた後、時の止まった風呂場で一人騒いでいた。
「あははっ…これはいいぞ!!」
湯船にはお湯がはってあり、水滴によって出来た波紋は、円を描いて止まっていた。
ゆっくりと長瀬がお湯の上に乗る。だが、はられたお湯に沈む事も、その形を変える事も無く、長瀬の体を支えた。
「…熱くない…温度も伝わらないのか」
視線を正面に移す。天井のすぐ下に、大きめの水滴が浮いている。…いや、停止していた。
ふと、左手で触ってみる。動く気配はまるで無い。水滴を握り、ぶら下がってみた。
「おぉ…こんな事も出来るのか」
お湯の上に戻り、今度は右手で触れてみる。
水滴は形を変える事無く、すーっと移動し、急ブレーキをかけた様に速度を落とし、止まる。
「腕輪を着けている方の手なら、この世界でも干渉出来るのか…」
腕輪をまじまじと見つめる。よく見ると、幾つかの小さな点が円の形で刻まれていて、左上の一つが淡い水色の光を発していた。
「これは…なん――あづぁ!?」
光が消えた瞬間、長瀬がお湯の中に落ちる。
「熱っ!…ふぅ…まぁいい、このまま入るか」
湯船から上がり、服を脱ぎ捨ててそのままシャワーを浴びた。

「時を止める…か…」
自然とニヤけてしまう。少し冷め、適温になったお湯に浸かりながら、右手を上げる。
腕輪には、小さな点が円を描いて15個刻んであったが、先ほど見えた光は消えていた。
「発動したら光るのか…ん…?…15個?あぁそうか!」
なるほどと手を叩き、湯船から上がる。
「…いや、ちゃんと確かめないとな…。」
体を拭いて着替えた後、携帯で時間を確かめた。
…先ほど時間を止めてから34分経っている。
コップに水を入れ、風呂場に向かって中身をぶちまける。
同時に、腕輪を腰に押しつけるように擦った。
換気扇の音がやむ。右腕の腕輪を見ると、全ての点から光が発せられていた。
「…やっぱりか…2秒で一つ消えるんだな…目安にしよう」
続いて長瀬は、浮いている棒状になった水を右手で掴み、シャンプーの詰め替えボトルに突き刺した。
「!!刺さった…あれ?後が無いぞ?」
水は確かに貫通していた。手応えも多少感じた。が、穴が開いている形跡はない。
「…ふむ…ダメだったか」
腕輪をみると、点は後二つ光っていた。とりあえず、浮いている水を洗面台の上に動かした。

時間が動き出す。洗面台の上にあった水が、パシャッと音を立てて流れて行った。
同時に、シャンプーの詰め替えボトルが奇妙な音を立てて、中身をぶちまけた。
「うわぁ!?…あ、穴があいてる…」
棒状の水を突き刺した場所に、ぽっかりと穴が開いていた。
「…ははっ…あはは…あははははははは!!!!!」
腹を抱えて笑う。胸の内にはどす黒い感情が芽生えていた。
「ふふっ…神になった…俺はついに神になったんだ!」
笑いすぎて喉が渇いたのか、冷蔵庫からパックのコーヒー牛乳を取り出し、そのまま飲んだ。
ぐいっと口を拭い、ベッドに飛び込んだ。

「明日は最高の一日になるな…くふふ…」
興奮を押さえる為のチンチンシュッシュッを終えた後も、長瀬はなかなか眠れないでいた。

『楽園ルート』

30秒の間時を止める力を秘めた腕輪を手に入れた長瀬。
毎日のように万引きや窃盗、強盗等、みみっちい事でスリルを味わいながら、金を手にしていた。

ある日、いつもの様に金持ちそうな獲物を探していると、KONISHIKIの様な女にぶつかった。
「いてっ…あ…ごめんなさい」
「って…ちょ、なんだよオメ〜!うわっ!てかキモいから端の方歩けよwwww」
そっちからぶつかっといて何を言ってんだこのジャイ子は…と頭に浮かんだが、言わない事にした。
「やめなよジャイ子…すいませんでした、ほら、行こう」
連れの子が謝って来る。ぶつかった奴のあだ名はやはりジャイ子だった。
(連れの子は…か…かわいいな…あ…そうだ)
長瀬はすみませんと一言告げ、すぐに角を曲がる。
口元がにやけて元に戻らない。落ち着こうと深呼吸をする。
(今日はまだ一度も止めてない…)
ニヤニヤしてるとDQNがからんできたが、時を止めて目を潰しておいた。
(無駄に使ってしまったな…だが…うまく使えば俺だけの楽園が作れる…)
笑いながらその場を後にする。時間が流れだすと同時に、DQNの目から血が吹き出した。
道の先には先ほどの二人組が歩いている。

(恨むならジャイ子を恨めよ…くふふ)
付かず離れず、二人の後をつける。駅に着くと、ジャイ子と別れ、駅構内に入って行った。
長瀬は時間を止め、改札を抜ける。見失わないように一緒の車両に乗った。
降り際に時間を止め、指をさして笑っていた女子高生のスカートを下ろし、電車の外に捨てておいた。
(またしても無駄に止めてしまった…気をつけねば)
連続で止める事は出来ないので、仕方なく改札で金を払い、急いで後を追う。
(くそっ…見失った…)
肩で息をしながら、辺りをキョロキョロと見渡す。
無駄に時間を潰してしまった事に少し後悔しながら、飲み物を買おうとコンビニに入る。
(ちっ…イライラする…時間を止めて金でも盗むかな…ん?)
雑誌のコーナーにさっきまでつけていた女がいた。とっさに奥の棚に隠れる。
(あはっ…そんなに俺に犯されたかったのか…)
ペットボトルのコーヒーを買い、コンビニの外に出る。
彼女がコンビニから出て来る。細心の注意を払いながら後をつける。
(いや…ただ犯すだけじゃつまらないな…くくく…)

ジャイ子にナツミと呼ばれていた女は、2階建てのアパートに入って行った。
(ここに住んでるのか…今日はここまでだな

数日後、長瀬はナツミの部屋を監視していた。
ずっと監視していた所、どうやら男の影はない様だ。
ジャイ子の携帯から、番号とメルアドも手に入れている。
昼過ぎ、ナツミが部屋から出て来た。
(作戦開始…くくっ…最高の一日になりそうだ)
長瀬の横をナツミが通り過ぎる。長瀬はその体を舐める様に見ていた。

〜駅構内〜
電車から降り、ジャイ子との待ち合わせ場所へ向かうナツミ。
その少し後ろを長瀬が歩く。改札を抜け、トイレに入って行くナツミ。数分後、世界が凍る。
長瀬は全速力でトイレに入り、鏡の前にいたナツミのパンツを下ろす。
上着のポケットからバイブを取り出し、やや強引に秘境に突っ込む。
(これもつけて置くか…)
反対のポケットからローターを取り出し、小さなお豆に当てる。
そのままテープを張り付ける形で右手を放し、パンツをあげる。
(実験じゃ成功したけど…実際は…)
足早にトイレから出ると、何事も無かったかの様に時間が流れ出す。
女子トイレから小さな悲鳴が聞こえた。ナツミだろう。
(っと…メールメール…)
プリペイド式の携帯でナツミにメールを送る。平静を装いながら、長瀬はその場を離れた。
(先回りしておくか…)

〜駅構内女子トイレ〜
恥部に違和感を感じ、ナツミは小さく声を上げた。
(え…なに?…何か入ってて…痛い)
確認しようと個室に戻る。パンツを下ろした時、携帯が鳴った。
届いたメールを見て、ナツミは驚愕した。
『それを外したり、この事を誰かに話したと分かった時、お前に関係した人間を皆殺しにする。
…信じられないなら、待ち合わせしている女を殺してみせようか?
分かったらこれから送るメールにしたがって行動しろ。』
(なんで待ち合わせしてることを…ジャイ子!)
慌てて携帯を操作し、電話をかける。
「お願い…出て…っ!もしもしジャイ…嘘…」
耳に当てた携帯から聞こえて来たのは圏外の通知。
そこ知れぬ不安に襲われ、仕方なく大人のおもちゃをつけたまま、駅を後にした。

〜ファーストフード店〜
ジャイ子は平らげたハンバーガーの包装を丸めながら、携帯に目をやった。
「あっ、電源切れてんじゃん」
鞄から充電器を取り出し、電源をいれる。
「やべ…遅刻してっし!ナツミ怒ってるかも」
勢いよくストローを吸い、トレイを片付け、待ち合わせ場所に急いだ。
最後の食事がコーラとポテトとハンバーガー4つになることを、この時はまだしらない。