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【石川県A市警察署】

この警察署轄内ではこのところたいした事件もなかった。
しかし、この県にはある国の貨物船等が多数入港しているので密売や密入国には気を払わなければならなかった。

しかし、密売や密入国というのもそうそう起こることもなく警官達もゆったりとした業務をこなしていた、
それは警察官、村上徹としては少々退屈なものだった。
彼はいつの頃からか時間を停める能力を有していた、だが、彼はその能力を悪用しようとはせずに警察官となって世の中に役立てようと考えていたのだ。
「しっかし、退屈だなぁ。毎日毎日デスクワークばっかりで運動不足だ。何か事件でも起こらない…痛っ!」
村上がこんな事を口にした瞬間に彼の後頭部をこづく貫禄のある中年の男がいた。
彼は村上の上司である遠藤政志だった。
「ったく、『なんか事件でも起こらないかねぇ』なんて警察官の口から出る台詞とは思えねぇなぁ。」
遠藤は笑いながら村上を見ている
「まぁまぁ、冗談ですよ。そんな事、本気で言うはずないじゃないすか。」
「どうだかな?お前、そんなに暇ならパトロールにでも行ってみたらどうだ?」
「えぇ〜。パトロールですかぁ?」
「ウダウダ言ってねぇでさっさと行ってこい!」
村上は渋々遠藤の指示にしたがいパトロールに行く事にした。

このA市は湾に面していて日本でも有数の原子力発電所が密集している地域である。
その為、テロなどの標的にされるなどの憶測が飛び交ったが国は別段対策を練ったようではなかった。
それもその筈でA市には自衛隊の駐屯地があり何か異常事態が起きればすぐに動けるはずだと村上は考えていた。

しばらく車を走らせていると巨大なコンクリートで出来たドームがいくつか見えてきた、
蒸気を上げているのが遠目からでもはっきりと見える。

村上は一旦、車を停めた。

のどかな昼下がりの午後、快晴で気持のいい天気だ。
村上はおもいっきり伸びをした。

同時刻…

【成田空港ロビー】

今、成田空港には中国からの国際便が着いたばかりだった、
ロビーの中は人で溢れかえっている。

その中で角刈りでサングラスをかけた男がいた、彼の名前は横山。日本人だが北朝鮮国籍であった。

彼の周りには彼を含め五人の男がいたが特に注意して見なければ只の観光客にしか見えないだろう。

そして、そのまま彼等は人混みの中へ消えていった。

【A市警察署】


「ただいま戻りましたー。」
パトロールを終えた村上が署に帰って来た。
自分の机に座り煙草に火をつけようとしている村上に愛想の良い笑顔をした男が近付いて来た。
「よぉ、お疲れさん。ちなみにここは禁煙だぜ?」
「まったく、愛煙家には過ごしにくい環境になっちまったな。ところで何のようだ?」
彼の名は井上大樹、村上とは同期である。
彼が村上のところへ来るのはいつも頼み事があるときだった。
「さすが察しがいいね。今日、O港で北朝鮮からの貨物船が検閲を受けるから立ち会って来てもらえないかな?」
「おいおい、俺は今、帰って来たばっかりだぜ。」
「頼むよ。今度飲みに誘うからさ。」

それだけ言うと井上は村上の肩を叩いて奥に行ってしまった。

村上は溜め息を漏らしてから毛だるそうに椅子から立ち上がると再び外に出ていった。

【車内】

村上の運転する車は海岸沿いの国道を走っていた。
国道のすぐ脇は急斜面になっておりその下は時折現れる巨大な波が岸壁に当たり波の飛沫を飛び散らせていた。

『〜♪〜♪♪』車内にはカーラジオから流れる何かの番組の音楽が響いていた。

『グッドアフタヌーンTOKIOー!
DJナカザワの淫らな昼下がりの時間だぁー!
皆!今日は天気がいいね!もっとも俺はスタジオの中にいるから分からないけどね!
じゃ、早速リクエスト曲だ!
《30seconds stooppers》で《Time of Dick》』

軽快なロック調の音楽が流れ始めた。村上はこの曲が大好きだった、つい口ずさんでしまう歌詞だ。
「Time of Dick! 歪んだ妄想〜♪
Time of Dick! 繰り広げながら〜♪」
そうこうしている内に村上の運転する車はO港の手前にある交差点の信号で停まった。
車内ではまだ村上が熱唱している。
「Time of Dick! タイムオブ………デイックゥゥゥ!!」
村上の乗っている車の脇に並んで停まっていた車の運転手が目を丸くして村上の方を見ていたのに村上は気付いていなかった。

【O港埠頭】

O港の岸壁には様々な船が停泊していたが、その中で他の船よりも一回り大きく白い船が接舷していた。[白星龍]全長:162 m 全幅:25 m 総トン数:9,672 t 機関:ティーゼルエンジン2基、2軸 15,600馬力 最大速力:23ノット定員:350名 北朝鮮船籍の貨客船である。

既に積み荷は降ろされていて村上の前に整然と並び、積み荷の脇では検閲官が書類と積み荷を交互に見ながら確認作業を進めていた。
コンテナや木箱など様々な積み荷があったが特に不審なものはなさそうに見えた。村上は検閲管の一人に近づいていった。

「やぁ、ご苦労さん。」
「いやぁ、どうも。ところであなたは?」
村上は警察手帳を見せ検閲官達がチェックしている積み荷えを見ながら話し始めた。
「何か不審なものでもあったかい?」
「いいえ、特に。衣類や食料、機械の部品・・・・そんなものですよ。」
「そうかい、それじゃ俺は必要ないな。何か不審なものでも見付けたら連絡してくれ。」
村上は検閲官に軽く手を振り車に向かって歩こうとしたが視線を感じて周りを見回すと黒いワゴンの脇に立っている男達からだと気づいた。

男は五人組で何か話しているようだった、村上はなぜか男達が気になって男達に近づいて行った。
「さっきから俺の事を見ているようだが、何か用かな?」
背の高い男が村上を見ながら答えた
「いえいえ、用などはありませんよ。我々は積み荷に検閲が終わるのを待っているんですがね。なかなか終わらないものですね。」
男は溜息を漏らした。男は三浦と名乗った、
後ろの四人も高橋、中島、徳永、藤原とそれぞれ名乗った。
「結構な量があるようだからな。失礼だが積み荷というのは・・・?」
背に高い男は後ろの仲間達に振り返ってからこちらを見た
「我々の工場で使う機械の部品ですよ。」
「ほう。機械の部品……。その工場というのは?」
「すぐそこにある日星工業という所ですよ、今は社員が10人程ですね。」
「日星工業?最近できた会社かね?」
「そうですそうです。」

日星工業・・・・・たしか北朝鮮国籍の社長が設立した会社だった。
村上は男達の会話を聞きながらそんなことを考えていた。

村上は男達と別れて署に帰るために車に乗り込み、車を発進させた。

【石川県某空港】

日はすっかり落ちて外は暗くなっていた。今、今日最後の便が到着し疲れた顔の乗客が降りてきた。その中に成田にいた男達もいた。

男達は空港の駐車場に停めてある黒いワゴンに別れて乗り込んだ。

【車内】

「横山さんお疲れ様です。」
「手はずのものはどうなった?」
三浦は満足そうに笑いながら言った
「全て揃っています、この国の管理がここまでずさんだとは思っていませんでしたよ。」
「積み荷はどこへ運んだ?」
「A市に日星工業という架空の会社を作っておきましたのでそこへ運び込みました。積み荷はまだ開封していません、組み立てを今夜から始めますか?」
「組み立ては明日からでいい。」
「了解。」

二台の黒色のワゴンはA市の中へ入っていった。

【日星工業】

薄暗い部屋の中で男達は四角い長机を囲み椅子に座り細長い筒やバネをそれぞれのフレームにはめる作業を行っていた。
男達の後ろにはバールで開けられた木箱が積み重なっていた、
中には黒光りしている細長い筒、白色の長方形の箱、黄土色の筒などが無造作に入っていた。

三浦が顔を上げながら黙々と作業をしている横山の方を向いた
「横山さんあいつらは何をしているんです?銃の組み立てもしないで。」
「あいつら?あぁ、紅たちのことか。
彼らは別室でクレイモアの組み立てを行っている。」
「そうでしたか。なぜ紅たちにクレイモアの組み立てを任せたんです?」
「彼らはスペシャリストだからだ。我々では銃の組み立てが精一杯だが、
彼らはクレイモアの組み立てに卓越しているからな。」

三浦は納得してように静かに呻き作業に戻った。

数時間後……

日星工業の倉庫に10人の男達が並んで立っていた、彼らの脇の長机には様々な銃火器が陳列されていた。
弾頭は装着されてはいないが、全長990ミリ、発射筒口径40ミリの緑がかった黄土色に塗られた筒が鈍く光った。
現在でも実践で用いられている対戦車ロケット、RPG−7だった。
それからその隣に並んでいるのはベルギー製の自動小銃FN.FALとその弾丸

さらにその隣には通称クレイモアと呼ばれるM18A1対人用地雷が、
他にも日本という国には不似合いな代物が薄暗い部屋の中で鈍く光っていた。

横山が喋った、低い声だがこの部屋の中にいる人間には十分な声だった。

「決行は明後日。それまでに下調べと作戦を練る」
横山以外の全員頷いた。

【居酒屋:歩路酔い】

やさしい灯りで溢れた店内には店員の明朗とした声とお客の騒がしい話声でずいぶんと賑やかだった。

カウンター席には村上と井上が座っている。二人の顔はほんのりと赤く染まり、井上はいつも以上の笑顔をふりまいている。

「徹よぉ、お前はいつも独りだけど彼女とか作んねぇのか?」
「うっせーなぁ、余計なお世話だ!」
「ははっ!そう怒んなって。お前がそんなだから桜井さんも愛想つかしたんだぜ。」
「美樹なんて関係ねぇよ。只の幼馴染みさ。」

桜井美樹は交通課の婦警で村上の幼馴染みだった。

「そっか。じゃあ、お前だけに言うけど……俺、桜井さんと付き合う事にしたんだ。」
「ふーん。美樹を泣かすんじゃねぇぞぉ。」
「勿論だ……なんかお前、親父みたいだな。結構酔ってるんじゃないか?」
「ウルセェ、酔って…痛ぇ!」
その時、村上をこづく遠藤が後ろにいた。
「明日が夜勤だからってあんまり酔って問題起こすんじゃねぇぞ。」
「リョーカイであります。」
村上はおどけた調子で敬礼をした。
「コイツ!」
すかさず遠藤が村上の首に背後から腕を回して絞める。
途端に村上の赤くなった顔が更に赤くなった。
村上は遠藤の腕を必死に叩いている。
「なんだ、もうギブアップか?」
村上は絞められている首を必死に縦に振った。
「はははっ!もっとやっちゃってくださいよ」
井上がはやしたてる。


夜は更けてゆく。

【O海岸】

漆黒の波が打ち寄せている人気のない砂浜に二つの影が動いていた。

暗闇でもうっすらと分かる浅黒い肌の紅が灯台の灯りを見ながら訊いた。
「なぁ、李は今どんな気分だ?」
「俺か?俺は正直怖いな……。紅は横山の言う『Game』と言うのは本当に成功すると思うか?」
打ち寄せる波を見つめながら李は尋ねた。
「俺は分からない。でも、成功させなくてはならない。」
「国のお袋さんか?」
紅は静かに頷いた。

遠くには月明かりに照らされて発電所から排出される蒸気が見えた。

紅は向きを変え公道の方へ歩き始めた。

「これから正念場だ、しっかり休んでおこうぜ。」


二人は歩いて闇の中へ消えていった。

【喪り盛り荘:村上宅】

朝日が薄汚れた窓からひどく散らかった部屋へ差し込んでいた。

湿気を吸いしわだらけになった布団に村上が倒れていた。
村上は頭を押さえながらうめいていた。

「あぁ、畜生。昨日は…遠藤課長に……」

低い声で悪態をつきながら村上はのそりと体を布団から起こし、寝癖だらけの頭をかきながら台所へ歩いた。

歩く度に何かを蹴飛ばしているが今の彼にはそんな事はどうでも良いようだった。

村上は水を飲むとまた布団の上に倒れ、眠りについた。

【日星工業】

薄暗い倉庫の小さな窓から赤橙色の夕日が差し込んでいる。

「時計を合わせる。」
埃っぽい倉庫の中央で横山は時計を持った右手を掲げくぐもった低い声で言った。

倉庫の中には横山も含め全員が特殊作戦部隊で用いられる黒い耐火繊維で編まれたスーツを着用し、目の部分だけを残して頭をスッポリと覆うフードを被っていた。

「………五秒前……四……三……ニ……一!」

その瞬間に各自の時計から小さな金属音がした。

「出発は十分後。作戦の開始は1700。いいな。」

全員が頷いた。



男達は脇に並んでいる銃火器を黒いボストンバックに詰め込み、編み上げ式のコンバットブーツに履き替えている。

準備が完了したものから順に外に止めてあるワゴンに乗り込んでいく。

横山は最後に倉庫の中を見回し積み込み忘れていないものがないか確認をした後、ワゴンに乗り込んだ。

ワゴンは原子力発電所に向かって夕闇の中を走り出した。

【Y原子力発電所:中央管理センター】

管理モニターがいくつもあるこの部屋には常に数人の所員が勤務していた。

須山永充もその一人だった。

発電所の管理と言っても現在では殆んどがコンピュータ任せであり人間が関わるのは僅かだった。

須山は発電所の各所を監視しているカメラの映像を眺めていた。

どれも画面上には異常は見られなかった。
しかし、発電所の正門を監視しているモニターに黒いワゴンが二台写った。
ワゴンは速度を落とす事なくゲートを破り画面から消えた………敷地内へ侵入したようだった。

ゲートの詰め所の警備員が走って画面から消えた。

須山は唖然としてそのモニターを見ていた。発電所の門が破られたのだ。

何者なんだあの連中は?

センターの中の所員からどよめきが上がった。

その時だった、外から銃声が聞こえたのだった。

【車内】

日が沈み薄暗い海岸沿いの国道を井上の運転するパトカーが走っていた。助手席には桜井も座っている。

「昨日は徹がベロンベロンに酔っぱらっちゃってさ。」
井上が笑いながら桜井に話かける。
「徹は酒癖が悪いのよ。昔からだったわ。」
「へぇ〜。多分、今頃起きてるんだぜ。今夜は夜勤の筈だから。」
「きっと頭が痛い痛いってうめいてる。でしょ?」
桜井も笑いながら井上の話にのっている。

その時、車載無線からノイズの混じった声が井上と桜井に聞こえてきた。

『Y原子力発電所にて不審者が侵入!付近の車両はただちに急行せよ。』

「Y原子力発電所だって?」
井上が驚愕の声を上げた。
「まさかテロリストが………。そうじゃなきゃいいんだけど。」
「とにかく行ってみよう。」

パトカーは赤色灯を明滅させて暗くなった海岸沿いの国道を走っていった。

【Y原子力発電所】

横山達が乗ったワゴンが発電所のゲートを突破した、
続いて三浦達が乗ったワゴンがゲートを通った。

ワゴンはセンターの正面玄関の前に横付けされた状態で停止した。
ワゴンのドアを開け放ち各自、小銃を持ち外へ飛び出した。
横山と三浦は玄関の中へ入って行った。ほかの8人は周りを警戒しながらボストンバッグから次々と銃火器を取り出し始めていた。

ゲートの詰め所から警備員らしき男が走って来た。
紅と李が小銃を突きつけて警備員を静止させる。

「な!なんだお前達は、何をしようって…」
男は顔を強ばらせながら喚いた。
その時、一発の銃弾が男の足下をかすめた
「そんな事は貴方には関係ない。」
紅が冷たく抑揚のない声で言い放った
「これからは我々の指示に従ってもらう。」

紅と李は男をロープで縛り、地面に倒した。

横山と三浦はセンターの中へ入り管理室へ向かっていた。

早足で歩きながら横山は指示を出すために無線をとった、まもなく警察車両がここへ来ることは分かっている事だった。

「ゲートに告ぐ、おそらくここへ間も無く警察車両が来るだろう。迎え撃つ為に準備をしろ。」
来ることは分かっている事だった。

二人は管理室の前に来ていた。三浦が扉を開け、横山が小銃を手に中へ進んだ。

中には数人の所員がいた。

「この発電所は今から我々の管理下に置かれる、抵抗をしようなどとは考えないで頂きたい。」
横山の声が響いた。

Y原子力発電所が占拠された瞬間だった。

【ゲート】

横山からの指示を受けた男達はワゴンから砂袋を運び出し、それを積み上げ始めた。

そして出来上がった弾避けの後ろにしゃがみ込み、全員が小銃を構えていた時だった。

国道を赤色灯をともした車両がこちらへ向かって走って来ていた。

「………来た。」

誰かが呟いた。

その車両は段々と近付いて来た。

紅はゆっくりと引き金を引いた

【車内】

井上の運転するパトカーはすっかり暗くなった国道を走っていた。

井上は発電所に一番近かったのはおそらく自分達で、
現場へ到着するのも一番であることは自覚していた、
それは未知の侵入者に対峙する恐怖を増大させていた。

暗い車内の二人は無言だった、この状況に直面して二人とも異常なほど神経が敏感になっていた。

発電所から上る蒸気が見えてきた、
通常はライトが点いているゲートが今は周りの闇に飲まれていた。


何かの衝突を受けたのだろうか激しく変形した門がハイビームにしたヘッドライトに浮かび上がった

井上が減速させようとペダルを踏み込もうとした

その瞬間、ゲートの奥からカメラのフラッシュのような閃光が連続して見え、
それと同時に激しい炸裂音が響いた。

井上は瞬間的に銃撃を受けていると理解した。
フロントガラスが割れ、ガラス片が降りかかる

井上はUターンしようとハンドルを右にきりブレーキを踏もうとした、
しかし、その動作は行われなかった。

雨の様に降り注ぐ銃弾は瞬く間に井上と桜井を捉えた。

一秒目に銃弾は井上の左肩を撃ち抜き、ハンドルを握っている左手の薬指の第二関節を吹き飛ばした。
そして、頭を押さえている桜井の右腕と左脇腹をかすめた。
二人は痛みを感じることはなかった。
ニ秒目に銃弾は井上の首と頭を撃ち抜き、桜井の頭をも撃ち抜いた。

制御がきかなくなったパトカーは激しくスピンをした後、
ガードレールに激突し、その運動を止めた。

【A市警察署】

Y原子力発電所への不審者侵入によって警察機導隊が出動出動した後の署内は重苦しい空気が漂っていた。

「発電所に到着した者からの連絡はないのか?」
白髪が混じった髪をかきながら遠藤は尋ねた。
警察署へ異常事態を告げる電話を受けてから既に30分以上経っていた。
遠藤は考えたくもなかったが最悪の事態を頭の中で考えていた。

「原発に不審者が侵入したって本当ですか?」

たった今来た村上が遠藤に訊いた。

「まだ、なんの連絡もない……。」

「悪戯って事はないんですか?」
「通報は発電所からだった。相手はとても焦っていて
『大変です!不審者が侵入…』と言って回線を切ったそうだ。悪戯とは思えん。」
「井上はどこにいるんです?」
村上は思い出したように訊いた
「今日、井上君は桜井君と巡回に出ていたそうだ。
おそらく彼等が一番発電所に近かった筈だ。」
「そうですか。」

この時、村上は嫌な胸騒ぎを感じずにはいられなかった。

【ゲート】 

紅を含め七人はワゴンの衝突でひしゃげた門を通り過ぎ、国道にクレイモアの敷設を始めた。

クレイモアは正式にはM18A1対人用地雷と呼ばれベトナム戦争で使用され、その有効性が認識された。

しかし、この地雷は一般的な地雷とは違い本体を地面に埋めるのではなく地上に敷設するものである。

形状は薄っぺらな大型のカメラがやや湾曲したような形で本体はプラスチックで出来ている。
重量は僅か1.5?ほどだがその威力は凄まじく、
その小さな本体にはコンポジションC-4爆薬が約700gと直径1.2mmの綱球700個が内蔵され、
爆発と同時にそれらが60度の角度で一斉に飛び出すのだ。
その殺傷範囲は幅・距離ともに50m、高さ2m、有効距離は100mにも及ぶ。

紅はペンライトを取りだしクレイモアの下部にある折り畳みの足を広げ設置した。

それに続いて紅が敷設したクレイモアに李が爆破コードが繋がった電気信菅を差し込み、
その一方を発火具に繋げた。

この作業を二人一組で行い、一人は周りを警戒していた。

全員がクレイモアの敷設を終え、再び土嚢で作られた弾避けの影にしゃがんだ。

誰も喋らず、暗闇の中で呼吸するだけが音だけが響いた。

暫くすると赤色灯を光らせた車両が二台交差点を曲がり走って来た。

先程の車両とは違い大型のワゴンだった。

「機動隊か」
誰かが漏らした

機動隊車両は速度を落とす事なくクレイモアゾーンに差し掛かった。

「着火!」
紅は短く叫ぶと土嚢の壁の後ろで伏せると発火具を押し込んだ。

鼓膜が破れるかと思うほどの爆発音が煙とともに上がり、強烈な爆風が押し寄せた。

クレイモアに内蔵された鉄球がC-4の爆発によって機動隊車両めがけて襲いかかった。
鉄球がガラスを砕く音と車体に食い込む音を耳にしながら紅は発火具を捨て、
傍らに置いたRPG-7を手にし、片膝を立て構えた。

既に他の男達が小銃でフルオートの乱射を始めていた。

紅はゆっくりとトリガーを引いた。

その瞬間、ブースターが点火し、オレンジ色の炎が後方に吹き出し。
耳をつんざくような噴射音が上がり、弾頭が発射された。
瞬間付属している四枚のフィンが開き、そのままの状態で飛行した弾頭は起爆薬後方のモーターに点火した。

弾頭は強烈な閃光と煙を残し一気に加速し、弾頭は吸い込まれるように一台目の車両に命中した。
装甲貫通力320MMのHEAT弾はその車両を破壊するには十分だった。
HEAT弾は水滴型をしているが、その内部は意外なことにほとんどが空洞になっている。
炸薬は弾頭の後方に菱形のような形を作るように装填されている。

HEAT弾は モンロー効果を如何なく発揮し、車両のエンジンに当たったところで点火した。
爆発の瞬間車体は地上から1m近くも浮き上がりドアが吹き飛んだ。燃料に引火した車両はたちまち炎上し始めた。

残るもう一台の車両は小銃の弾丸を受けながらも後退し逃げさって行った。

周囲は火薬とガソリンの臭いと肉が焼ける臭いが充満していた。
残った男達の目にうつるのは炎の中に浮かび上がる地獄のような光景だった。

【A市警察署】

いっこうに状況が掴めなく、つい先程までは静かだった署内が
廊下をせわなしなく走る音や電話の呼び出し音でとても騒がしくなった。

それもそのはずで、先程出動して行った機動隊が武装した集団に攻撃を受けたとの無線がはいったからだった。

「一体どうゆう事なんです!」
村上が声を荒げて遠藤に聞いた
「そんな事は私にもわからん!」
村上は興奮していた。機動隊が攻撃されたのだ、
おそらく現場に一番に駆け付けた井上と桜井にも何かしらあったのだろうという考えが頭から離れなかった。

しばらくした後、銃弾を受けてガラスが割れ、ボディがボコボコにへこんだ車両が署の駐車場に停まっていた。

機動隊員の中には重傷者が数名で他は軽傷だったが、もう一台の車両に乗っていた隊員の生死は不明だという。
そして、井上と桜井が乗っていた車両も攻撃を受けた事も報告された。
署内は不気味なほど静かになった。

その時、Y原子力発電所から一本の電話がかかってきた。

【Y原子力発電所:中央管理センター】

所員は全員が縄で縛られ、レストルームの中に閉じ込められた。

誰もいなくなったセンターの中に横山はいた。

他の九人は所内のそれぞれの持ち場についていた。
横山は受話器をとりA市警察署の番号をプッシュした。

少しの間、呼び出し音が続いたがすぐにつながった。
「はい、こちらA市警察署……。」

「A市警察署かね?我々は『赤い狐』。既に分かっているとは思うが我々はY原子力発電所を占拠した。
我々の要求をそちらへ伝える…………それは………

【A市警察署】


犯人側からの電話が入ってから署内は依然より騒々しくなった。


数十分前……

「A市警察署かね?既に分かっているとは思うが我々『赤い狐』はY原子力発電所を占拠した。」

電話からの音声がスピーカーから出力され冷たい声がフロアー内に響いた

「あなた方は一体何をしようとしてるんです!」

「発電所の操作系統は既に掌握している、この事が何を意味するか分かるだろう?
つまり、我々の操作次第では第二のチェルノブイリとなる。少し冷静になって考えてみてはどうかね?」
冷たい声には余裕があった

「そして、君達には人質と原子力発電所を賭けてあることをしてもらいたい。」

「な、何でしょうか?」

「我々との殺し合いだ」

「なっ!」

フロアー内にいた人間が一瞬青ざめたようだった

「我々は十人、そちらも同数の人間を用意し我々と殺し合ってもらう。どちらかが全員死亡するまで続ける。
君達が勝利した場合は事はおさまる、我々が勝利した場合は人質と発電所を買い取ってもらおう。」

犯人側は更に条件を付け加えてきた

「そちらで選出する十人の顔写真を一時間以内に確認の為にFaxでこちらに転送すること
我々が勝利した場合、国外に行くまでの保障。それに発電所の敷地の半径500mに報道関係者を立ち入らせない事。以上だ。」

ここで電話は切れた

選出する十人は超法規的措置によりA市に駐屯している陸上自衛隊から選ばれる事になった。
村上は犯人達へのやり場のない怒りに震えていた

選出された十人の顔写真を送り、犯人側から返信されてきたFaxには先程述べられたルールと開始時刻がプリントされていた。

村上は上司の遠藤に自分を選出される十人に入れて欲しいと頼んだが頭ごなしに断られた。

犯人達と戦う事になる自衛官達は明日の午前9時半に署から高機動装甲車で出動する事になったらしかった。

【Y原子力発電所:中央管理センター】

A市警察署への電話を終えたセンター内では横山と三浦がいた

横山は所内の図面を見ながら三浦に話し掛けた

「所員はどうした?」

「全員レストルームに閉じ込めた後、入り口を封鎖しトラップを予定どうりに設置しました。」

三浦は図面を見ている横山を見ながら答えた

「そうか…それでは見張りを交代で立たせ休憩に入るよう伝えるんだ。Gameは明日だ。」

図面から上げた横山の顔は笑っていた

【A市警察署】

午前9時

十人の自衛官達が特殊部隊が身に付ける黒い耐火繊維で編まれたスーツを着用し、頭をフードで覆っているので目の部分しか表には出ていなかった。

その十人の中に村上はいた。

彼の『時間を止める』能力で自衛官の一人を捕まえ、入れ替わったのだ。彼にはこれがどういう事を意味するかなどとは犯人達への復讐心の前には無意味だった。

自衛官十人が三台の高機動装甲車に別れて搭乗した。

村上は思った、

これからは………


殺し合いだ。

【Y原子力発電所】

午前9時

既に隊員の配置は完了し、いつでも戦闘に入る準備が出来ていた。

発電所の屋上にいる中島は海から吹いてくる心地良い風を受けていた。

その時、中島の耳に連続的に風を切る音が聞こえてきた。

「報道ヘリか……」
昨日の夜から発電所の周りにはいくつかの報道陣がいた、しかし、こちらの動きが逐一伝わるのは好ましい事ではないから半径500m以内には近付けさせられない。

そのヘリは速度を落とす事なく近付いて来た。

中島はスティンガーを肩に担ぎ上げた。

そして、迷う事なくトリガーを引いた。

【海上のヘリ】

「もっと近付いてよ!」
ヒゲ面で髪がボサボサの報道カメラマンらしき男がパイロットに向かって喚いていた

「そんな事言われても……半径500mには近づくなと……」

パイロットは怯えた様子で応えた

「そんなのはどうでもいいんだよ!アンタは俺の言う通りに操縦すればいいんだよ。」

男がそう言った瞬間だった、
ゴツンという音がした瞬間にエンジン部分で炸裂したミサイルはヘリの一番重要であろう機関を吹き飛ばした。
浮力を失った鉄の塊は水平投射の軌道を描き海面に激突した。

この出来事の中で一番幸運だったのは何が起きたか分からず、痛みを感じる暇もなかったという事だろう

【Y原子力発電所】18:45


太陽が日本海に飲まれ、周囲が闇に支配され始めているなかで発電所のシルエットだけが浮かんで見える。


発電所の東の海上にブイのように10人の隊員が浮かんでいた。その人間達は静かに移動し始め、発電所の敷地内に入り込んだ。


隊員達全員には骨伝導無線が装備されていたが隊員同士の会話は皆無に等しかった。村上が海水で濡れた装備を気にしていると頭の中に直に声が響いた。



「これより、正面玄関から所内に侵入する。」


隊長らしき男はそれだけを一息で言い放つと隊員を見回した、隊員たちは小銃を構え周囲の草陰や2階の窓を警戒しながら玄関へ進んでいった。


何事も無く、玄関前のロータリーが見えてきた。ロータリーの中心の辺りには土嚢が積み上げられていたがテロリストの姿はなかった。


施設の壁に沿りながら玄関の自動ドアをくぐり抜けると受付らしきテーブルが見えた。先頭にいた隊員が歩みを進めたその先には小さな箱のようなものが置いてあるのが見えた。


村上の心臓はいっきに跳ね上がり危険を知らせた、強く念じ時間を止めた。

黒板を引っかく様な耳障りな音が響く中で村上はその小さな箱に駆け寄り掴み上げると、奥に繋がっているであろう通路に放り投げた、その刹那、時間が正常に動き出した。村上が体を壁に隠すと同時に通路の奥から腹に響く爆発音と煙が吹き出してきた。


先程まで先頭にいた隊員が目の前で起きた事に多少ではあるが混乱しているようだった。


「今の爆発は何だ?」
「爆弾が通路の奥で爆発したようです。」


突然の爆発で興奮した隊員が聞いてきたが村上は冷静に答えた。


ここで隊員は5人組に別れて別行動をとることになった、1つのチームは管理センターへ、もう1つは人質のもとへ。


村上は後者のチームに組み込まれた。人質がいるであろう場所は発電所の図面からの推測で1階のレストルームと考えられていた。レストルームは現在いる玄関とは反対側に位置している。



村上を含めた5人は清潔感を醸し出すような真っ白の廊下を進んでいくと、ガラス張りの広い部屋の中に人影が見えた。
その部屋が目標としているレストルームだと言うことは誰もが言わずとも理解出来た。


村上を含めた5人の隊員はレストルームに向けて足早に歩を進めた、しかし中にいる人間はこちらに気付いていないのか無関心だった。



隊員の3人が周囲を警戒し、もう1人と村上がレストルームのドアを開け、中に踏み込んだ。



レストルームの中には所員と見られる人間が数名が椅子に座っていたがどれも顔色が悪く、床を見つめていた。


村上と共に中に入った隊員が所員に近付いた瞬間、側に座っていた男が立ち上がった、どこから出したのか手には小銃が握られている。

銃を向けられた隊員は瞬時に反応し銃を構えたが、それよりも早くテロリストの銃口が火を吹いた。


隊員は苦しそうに呻いて倒れた。テロリストは村上の方へと銃口を向けた、村上は横にあるテーブルの上を転がり、テーブルを引き倒した。

入り口にいた隊員が銃声に気付きテロリストに向けて発砲した、テロリストはテーブルを引き倒し陰に伏せた。村上の側には入り口にいた3人の隊員が滑り込んできた。


テーブルの陰に伏せたテロリストに応戦していると村上達の後方にある入り口の奥の通路から作業服を着た人間が走ってきた。



挟撃


村上は瞬時に今の状況を理解した時には通路に銃声が響いていた。村上はまた強く念じ時間を止めた、耳障りな音と共に目の前の映像が止まった。

村上はすぐに立ち上がるとテーブルの陰にいるテロリストに数発の銃弾を撃ちこみ蹴り飛ばした。そして、通路からこちらに向かって来るテロリストに小銃を撃ち始める瞬間に時が動き出した。


隊員達は状況の突然の変化に驚いたがすぐに通路へ向き直ると小銃を連射した、銃弾はテロリストに対して致命傷を与えるには到らなかった。
テロリスト5人が一斉に小銃を連射してくる、村上達はすぐさまテーブルの陰に隠れた。激しい衝撃がテーブルを伝ってくる。


銃撃が止んだ隙に村上は銃を構えて身を乗り出した。テロリストは片膝を床につけて長い筒のようなものを構えていた。

村上は自分の心臓が異常な程、早く脈をうちだすのが感じとれた。

村上は真横に跳ぶと真横から猛烈な爆風と熱風が吹き出してきた。村上がレストルームの壁に叩きつけられ身体のあちこちが悲鳴を上げた。

味方の隊員は炎に包まれ悶えていたがテロリスト達の銃弾で絶命した。村上は小銃を握り締めると膝をついて立ち上がりレストルームの入り口に走り出した。


入り口から出ると同時に時間を止め、ロケット砲と小銃を構えたまま固まっているテロリスト達を撃ち続けた。



村上が引き金から指を離したのは弾層が空になってからだった、テロリスト達は正に蜂の巣と表現するのが妥当だろう。

【管理センター】


センター内には監視カメラのモニターがいくつも設置されていた。それを見ていた三浦が悲鳴のような情けない声で横山に話し掛けた。


「レストルームに向かった5人が全滅しました。」

「それで?」

横山は眉1つ動かさず三浦の訴えに応えた。

三浦は口を開けたまま何も言えず、またモニターを舐めるように見始めた。

【村上】


レストルーム周辺は血と硝煙と物が焼き焦げた匂いが充満していた、村上は先程の銃撃戦に巻き込まれなかった人質を連れて玄関まで戻った。


玄関で人質を送り出している村上に無線がはいった。

「こちらαチーム。βチームの状況を報告せよ。」

「こちらβチーム。テロリストの攻撃に遭い4人が死亡、テロリスト6人を射殺しました。」

無線の相手は静かになった。

「という事はお前は1人と言うことだな?」

発電所の外で聞いた隊長と思われる男が聞いてきた。

「そうです。」

「了解した、現在αチームは敵側のトラップにより2人が死亡。これよりβチームと合流するため階段に向かう。」

「了解。」


村上は弾の無くなった小銃を捨て、既に動かなくなった味方から小銃を剥ぎ取ると階段に駆け出した。
階段を駆け上がると、既にそこには村上と同じような格好をした人間が3人立っていた。一番体格が良い男が村上を見つめ、肩を叩いた。


「俺達は既に6人の仲間を失った。お前も絶対死ぬなよ。」

村上は静かに頷いた。


現在、村上達がいるのは南棟。目指すは2階の管理センターがある北棟、2階の南棟は制圧したようだ。


北棟までは一本道であり、途中には渡り廊下がある、4人が中腰の姿勢でゆっくりと渡り廊下を歩いていた。渡り廊下の両端はガラス張りになっており、外は闇に覆われていて何も見えなかった。


静かな渡り廊下で4人が履いているブーツの足音とは違う音が響いた。


突然、ガラスの向こう側に人影が現れた。村上は目の前にいた隊員を巻き込んで倒れ込んだ、それと同時に銃撃でガラスが割れ悲鳴が聞こえた。


村上は小銃を抱えて転がり外に吊り下がっている人影に連射した、そばにいた男も少し遅れて小銃を構えて撃ち始めた。


まるで特殊部隊のようにロープを使って奇襲を仕掛けたようだった、テロリストは2人死亡。味方は1人が肩と脇腹に銃弾を受け負傷し、1人が死亡した。


負傷した隊員に鎮痛剤を打ち、近くの壁にもたれかけさせた。

村上と隊員の2人は5mほど奥にある管理センターの扉を見てお互いに頷いた。


村上が扉に近付き、壁に身を寄せると隊員が手を挙げて制した。その手にはスタングレネードが握られていた。隊員はピンを抜き、扉を少し開けて中へ放り込んだ。


目も潰れるような閃光と凄まじい爆音がセンター内から響いた。それが合図のように2人は駆け込んだ。


通常、スタングレネードをまともに喰らってしまうと倒れてしまうのだが、煙の中に浮かんでいる人影は膝をついてすらもいなかった。


先に飛び込んだ隊員は足を撃ち抜かれ床に転がった、村上は近くにあった機器の陰に隠れた。


足を撃たれた隊員が苦しそうな声で尋ねた

「何故、あの閃光と音を聞いてまともでいられる?」

敵の男はその質問を鼻で笑うと耳の辺りを指さした。次第に煙が拡散し、視界が開けてきた。男はヘッドホンとサングラスをかけていた。


「君達には十分に楽しませてもらったよ。さぁ、もう1人いるんだろ?出てきてみないか?」


そう言うと男は倒れている隊員に銃を向けた。

村上は機器の陰から出ると同時に時間を止め、男の背後に回り込み、銃を突きつけた。


「っと。君は先程から妙な動きをするようだ。」

銃を突きつけられているというのに男は冷静に話した。


「銃を下ろせ。」


村上の背後にはいつの間にか別の男が銃を突きつけていた。村上は依然として銃を構えている。


「君の目は………そう、復讐者の目だね。」
村上の前の男が静かに言う


村上は銃を下ろさない。


村上の背後の男が何やら喚いているが村上は無視する事にした。何故、井上や桜井が殺されなければならなかったのか。


それは




コイツラが生きているからダ

翌日
AM7:30



Y発電所は無事に奪還された、テロリストは全員死亡。自衛隊員は9人が死亡。



1人はA市警察署の物置から裸で発見され


「俺は襲われて、誰かが俺になりすましたんだ。」


と話したという。



事件以後


署の1人の人間の


消息が不明。



end