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「君は後2分で死ぬ」
薬で頭がぼうっとしている。壁から変な人が出てきた。
「会話はできる?」
なんとなくなら。でも喋るのはめんどくさい。すごく体がだるい。
「死に際の君にプレゼントだ。時間を止める鈴を10個あげよう」
時間を止める鈴をもらえるらしい。それも10個も。
「一つで30秒だけなんだけどね」
一つで30秒だけらしい。ケチだなぁ。
「ほら、手を出して…動かすことは…出来ないか」
手に力が入らない。早く楽になりたい。
「ところで…君はこの鈴が要るかな?」
時間を止める鈴。死に際なのに必要だろうか。
「考えるためにも、まず使ってみよう。君はあと1分で死ぬんだ」

変な人は、鈴をならした。
音が聞こえると、瞬間、苦痛からは解放された。
「何?これ?死ぬ前に幻覚を見ているのかな?」
「時間が止まっているのさ」
止まっているらしい。
「へぇ、でも要らない。死ななければいけないから、邪魔しないで」
「そうか、残念だな」
変な人は残念そうな顔で、こっちを見ている。
見られたくない。顔を背ける。そのときふと、私に毒を盛った母親
の顔が頭に浮かんだ。
「ごめんなさい、やっぱり、それ下さい」

30秒過ぎた、とたんに体に力が入らなくなる。
目が回る、ぐるぐる。
「早く鳴らそう」変な人は言う「君の命はあと55秒しかない」
変な人が鳴らしてよ、手に力がはいらないんだし。
「ごめん。じゃ、鳴らすよ」
チリンチリン。綺麗な音。世界が凍る。
あの女に復讐したい。牛小屋の隅から鉈を取り出す。
「30秒過ぎたら、すぐに次の鈴を鳴らしていって」
「わかった」

変な男と一緒に、牛小屋を出てお母さんの部屋に行く。時間は止まっている。
手には鉈。お母さんの頭を割るにはちょうどいい重さ。
部屋の前に立つ。障子の穴から部屋の中を覗く。
お母さんがいた。時間が止まっているけど、泣いているみたいだ。

泣いて?

ふすまを開け、中に入る。お母さんの頬には涙。そして机の上には私に盛っ
たのと同じ毒の瓶。
瞬間、理解した。お母さんも死ぬつもりだ。
お母さんの背中を抱きしめた。しばらく私も泣いた。

「ごめん、もう鈴が1つしかない」
変な人が告げる。時間が無い、私のすべきことを考える。
お母さんには、やっぱり死んで欲しくない。
「今の鈴はあと何秒で終わり?」
「12秒。次の鈴はどうする?」
「今のが終わってから40秒後に鳴らして」
「わかった」

時間が動き出す。激痛が体中を走る。
「お母さん」
苦しい。でも伝えなくちゃ。
「ごめんね」
驚いたお母さんの顔がこちらを向く。
「死なないで」
「・・・」
お母さんの声がはっきり聞こえない。
「ごめんね、私はもう死ぬけど」
「・・・」
「役に立たない娘で、ごめんね」
意識が遠のいてく。
「・・・!!!」
「今までありがとう、お母さん」

時間が止まる。
「君の寿命はあと10秒、足すことの今から30秒」
「わかってる」
私は机の上の毒瓶を手に取り、飲み干した。

「これが私の話」デスが言う。「ひどい飢饉だった。口減らしのためにまず
は老人、そして女と子供は次々と自決を強要されていたわ」
「悲しい話だ」僕は答える。そして聞いてて、一つ疑問が浮かんだ。「ところ
で、そんな君が、どうして死神をやっているのかな?」
こっちを向いてデスが言う。「頭の切り替えが早いのね」なんて言ってくれる。

「それはね、あの鈴のせい。いまじゃストップウォッチになったけどね。限ら
れた時間の中で正しい使い方をすれば、死神になることが出来る。あれは死神
からの試験なの。限られた時間の中で正しい使い方をするか、欲におぼれるか」
「なるほど」うなづく。「いい事を聞いた」
「…あ」デスがやっちゃいましたって言う顔をしている。
「これ話すのは違法だっけ…まぁいいか、時間は止まってるんだし、誰にもば
れないわ」
彼女は少し微笑む。

「ねぇ、デス」
「うん?なに?」
「君は美しい」
「何いきなり真顔で言うのよ!」
「ごめん、でもね」
「な、何?」
「僕は693年といわず、永遠に君といたい。その手段として死神になろうと思う」
「…はぁ、やっぱりこうなるか」
「だめかな?」
「そうね、それじゃ、あなたがどうやって死ぬか話すから、ちゃんと正しい答え
 を探しなさい」
「大丈夫、自信はある。なんたって、あと500年近くある。」
「ふふ、がんばりなさいよ」