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 「こんにちわ、僕は死神。君は後48時間後に死ぬんだ」
 学校の帰り道、俺は変な黒スーツ男に死刑宣告を食らった。
 「でも安心して、この30秒時間を止めるストップウォッチを10個あげよう」
 新手の悪徳商法だろうか。
 「手を出してくれないかな」
 「やめてくれませんか、人を呼びますよ」
 「む…いやまぁ、それは別にどうでもいいのだが…」
 いいらしい。

 「すいません」向こうから歩いてきたおじさんに声をかける。「絡まれて
るんです、助けてください」
 「誰が?どこで?誰に?」おじさんが言う。
 「僕が、ここで、この黒スーツ男にですよ」俺は黒スーツ男を指差して答えた。
 「少年よ…誰もおらんぞ」おじさんは悲しい目をして去っていった。「わし
も、もうすぐああなるのかのぉ…」お~い、おじさ~ん。…行ってしまった。

 唖然とする俺。何者だ、この男。
 「僕の姿は、今は君以外には見えていない」
 「…嘘だ」
 「認めるしかないじゃないか」
 「…くそ、俺は帰る!」
 唐突に俺は走る、全力で。
 「あ、まってよ」
 男が追いかけてくる。
 俺は頭を使う。信号が点滅している横断歩道を探す。俺が横断歩道に踏み出し
た瞬間、信号は赤に。車の群にさえぎられ、男は追いかけてくることが出来ない
…はずだった。

 「普通なら轢かれてるね」車が男の体を突き抜けていく。「僕は死神。君に時
間を止めるストップウォッチを持ってきたんだ」

 家に帰る。両親は旅行に行ってる。つまり誰もいない。明後日あたりに帰っ
て来るらしいが。
 俺の部屋に行くと、知らない女の人がいた。「お邪魔しています」全身黒色
の女の人が頭を下げる。部屋の真ん中に座布団を敷いて座っている。
 「彼女も死神。僕と今まで694年間付き合ってきた死神。名前はデス」デスさ
んらしい。綺麗な人だ。そして、もう多少のことでは驚かなくなってる俺。

 「話はわかった。とりあえずストップウォッチを見せてよ」俺から話を切り
出す。死神男と話して、だいぶ事情が飲み込めた。
 俺はあと47時間後に理不尽でひどい死に方をするが、その代わりに30秒だけ時
間を止めるストップウォッチを10個もらえるらしい。
 「あら、説得も上手になったわね」
 「コツがつかめてきた。君のおかげだよ、デス」
 「当たり前でしょ、私は優秀な死神なのよ」
 デスと呼ばれた死神女は、腕を組んでフンと得意そうな仕草をした。

 死神男からストップウォッチを受け取る。「まずは一つ、試してみたほうがい
い。時間が止まるなんて、言われても実感できないだろう?」
 ためしに押す。世界が凍る。時間が本当に、30秒止まった。

 さて、あと9回時間を止められるのか。時間はあと2日あるらしい。
 何をしようか。

―――真夜中。死神男と、死神女の会話。死神男視点。―――

 「今回の子は少し不思議な男の子ね」縛られているデスが言う。
 「僕もそう思う」クロロホルムを嗅がされて頭が痛い。「でも頭のいい男の子だ。
それに今回は君が犯されなくて安心してる」
 デスを襲わないの?と聞いたら、あなた達は夫婦みたいなものでしょう?俺には
襲えない。と返された。

 あれから彼は、2時間ほど考えた後に「クラスの女の子を一人、犯そうと思う」
と宣言し、僕らに協力を求めた。
 女の子を一人誘拐するにはどこが最適か、何秒必要なのか。人体の運搬方法、
誰にも見つからないルート。どう縛れば最短で、かつ効率よく拘束できるのか。
何が必要で、何がいらないか。
 その実験台に僕らは使われた。デスはロープの巻き方の実験に。僕はクロロホル
ムを嗅がされた。クロロホルムは即効性が無く、僕はただ頭痛に襲われている。
 ストップウォッチはまだ最初の1つしか使っていない。
 そして少年は今、眠っている。

「あなたに似ていた」
「どうかな、僕ならもう少し、時間を止めるストップウォッチについて思考したけど」
「あの子は残りの時間をどうやって最高の時間にするか、極限まで考えていたわね」
「あの子と僕では、考える方向性が違う。似ていない」
「でも」デスが言う。「考えてる姿はとてもよく似ていたわ」

少年は眠る。寝ている途中で一度目が覚めたが、また眠った。

――――――――――――――――――――――――――――――
 次の日の朝。死ぬまで後32時間。俺はストップウォッチと、いろいろと
小道具を携えて学校へ。つがいの死神たちは後をついてきている。この日
ぐらい、一人で自由に行動したかったのだが。
 「悪いけど、家で待っていてもらえない?必ず帰ってくるから」
 「そういうわけにはいかない、ルールなんだ」つがいの死神達が着いて
くる。 そうか。まぁ、想定の範囲内だ。

 放置自転車の前で、ストップウォッチを押す。すかさず乗り、住宅街
の道をどんどん曲がっていく。
 放置自転車の位置、逃走ルートは計算済みだった。予備のルートは使
う必要がなかったようだ。死神達には学校の位置は教えていない。あの
男には家の近くで声をかけられたし、まずしばらくは追ってこないだろ
う。

 「残念」後ろから死神男が現れた。「ここは碁盤の目状の住宅街なん
だ。僕たちは二人だから、縦軸方向と横軸方向に分かれて探せば、必ず
君を見つけることが出来る。それに僕たちは壁抜けだって出来るんだ。
君が縦横の移動で2移動しても、僕たちは√2の移動で済む。少し調査
と思考が足りなかったね」
 男が余裕ぶって答える。少し癪に障った。デスさんも追いついてきた。
死神のくせに、肩で息をいて死にそうな顔をしているが。

 しかし、少しこの男を甘く見ていたようだ。ストップウォッチを無駄
に消費してしまった。後8個か。

 少し別の方法を考える。すぐに思いつき、車通りが多く信号の少ない
長い道に出る。死神男が「あ」なんていうが、もう遅い。すかさずスト
ップウォッチを押す。

 学校方面に行くであろう車に乗ることにした。追いつこうとしても高
速。探そうとしても多数。これなら撒けるだろう。ドアを開けてお邪魔
させていただく。通勤通学の時間帯でよかった。サラリーマン風のおじ
さんの普通車、後方席に隠れるように乗った。時間が動き出すと、おじ
さんは演歌を歌いだした。いや、歌っていたのか。驚いて物音を立てそ
うになった。

 ストップウォッチを押して車を降りる。おじさんが口を大きく開けて
いたのでティッシュを詰めたい衝動に駆られたが、今は時間が惜しいの
で止めておく。車を降りるとともに、身を隠せそうなところを探す。そ
して忍者のように周囲を確認しながら、学校を目指した。あと6個。

 ついに校門。気を抜いてはいけない。電柱の影を効果的に利用しつつ、
学校を目指す。
 「なにしてんだおまえ、今日もキモイな」声をかけられ、驚いて振り向
く。DQN3人だった。「おい、この前貸した金返せよ」因縁までつけられる。
「この辺りクサくね?」お前らの香水の匂いだろ。「早く学校行かないと
遅刻だぞ~」ゲシッと蹴りを入れられた。痛い。俺には最高に迷惑な天敵
だ。気が済んだのか、DQN達は去っていく。

 ストップウォッチを使って復讐を試みたいが、学校での行動に支障をき
たす恐れが…いや、ないな。そもそもいないほうが行動をとりやすい。胸ポ
ケットからナイフを取り出す。前を歩いているDQN達との間合いを確認して、
5個目のストップウォッチを押した。

 指紋をつけないため、ナイフ自体をビニールで包んであった。取り出しも
容易。瞬間的な場合、刺すことにしか使えないが、十分だ。二人のわき腹を
刺してから、もう一人の男にビニールを破いてナイフを持たせた。俺はその
場から離脱、距離をとってDQN達の後方へ。

 その後の光景に哄笑しそうになったが、堪える事に成功した。さて、学校
に行こう。

 朝から集会があった。DQN三人組がナイフで遊んでいて重症らしい。お気の
毒に。ナイフなどの危険物は持ち歩かないように、と校長は注意を促した。
 時間が遅れて朝のHR。朝の事件で教室が盛り上がっていた。

 俺の右隣の席にはターゲットの女の子がいる。俺は彼女の笑顔を見るのが好き
だ。だからいつも、席を少し後ろに動かして授業中は彼女の顔をちらちらと見た
りしていた。
 彼女を好きになったのは 【①おしとやか ②可愛い ③席が隣だった ④た
まに「おはよ~」と挨拶してくれる】 の4つの理由。稀に話したりすることも
あった。会話の内容は全部覚えてる。はは、俺らしい。

 午前の授業が始まる。皆が席に着く。静まる教室。
 俺はストップウォッチを押して、彼女にキスをした。

 ターゲットの彼女は本が好きだった。放課後に、ほぼ毎日図書室に遊び
に行く。俺の教室は三階、図書室は一階で、教室から図書室へ直接向かう
ルートは3つある。

 彼女は三階の廊下を歩いてから、階段を二つ下りる経路をよくとる。幸
いなことに、このルートは生徒の通りが少ない。三階の廊下を渡り、階段
を下りるその前に視聴覚室がある。

 俺の用があるのは視聴覚準備室の方。最近機材が新しくなったので、古
い物がそこに押し込められ、以来物置として使われている。開放する機会
があるのは、学校祭で古い機材や机を使うときぐらいだった。

 視聴覚準備室の鍵は、昼食時に職員室に潜入したときストップウォッチ
を使い、俺の部屋にあったどこかで拾ったどこかの鍵とすり替えた。そし
て昼食が終らない内に、準備室の錠を開け、部屋の中を確認した。

 視聴覚室は防音加工のため、廊下からは中の様子を伺うことが出来ない。
同じ加工が準備室の方にもしてあった。中は暗く、窓に暗幕がしてある。
蛍光灯をつけない限り、暗幕の下から漏れる光が唯一の光源だった。
 古い機材や長机や椅子が少々乱雑に置かれている。床はマット状で少々
埃くさい。だが俺の求める部屋はまさにここだった。購買で買いこんだパ
ン・おにぎり・ジュースのほかに、小道具を待機させておいた。

 放課後。
 極限まで自分を研ぎ澄ます。
 ミスは許されない。

 彼女がいつもどおり三階の廊下を渡り、階段を下りようとした瞬間にス
トップウォッチを使った。階段を下りる直前に、廊下と階段からは死角に
なる位置がある。
 すぐさま彼女を持ち上げ、視聴覚室のドアを開け、閉め、鍵をかけ、床
に寝かせ、手を後ろ手に、足首をなわとびの紐で縛り、ハルシオンを一粒
だけ喉の奥に突っ込み、口をタオルで縛った。

 30秒経過すると、彼女はビクッと体を震わせた後、少し咳き込んだ。そ
れから頭をきょろきょろと動かす。タオルで縛られた口で「んぅー?」と
鳴いた。発音のニュアンスからして、「どこ?」だろうか。
 現状を把握したのか、体を揺らしてバタバタし、力の限り声を出そうと
していたが。薬が効いてきたのか静かになってきた。
 30分後に、睡魔との格闘に敗れたのか、彼女は眠った。昨日僕が試した
時は1時間もったが。昨日の自分の経験からして、目が覚めるのは3~5時間
後だろう。それまで脅迫の種にデジカメで写真を撮り、時間が余ったら体を
触って楽しもう。

 …どっと疲れが出た。少し休憩しよう。

 時刻は夜の8時30分。夜警さんは8時に学校近くの家に帰る。今、校舎
には誰もいない。

 はだけた制服の内に手を伸ばし、胸を後ろから揉んでいると、彼女は
頭を動かし始めた。
 「…ん」
 胸を触っている俺の手を見ている。
 次に手足に違和感を覚えたのか、体の後ろに縛られた手を動かそうと
した。両足もモジモジと動こうとする。
 「あれ…うごかない…」
 手足が動かないことが分かったようだ。
 ハルシオンの副作用にボーっとするというのがあったな。彼女の今の
状態が正にそれだ。気のぬけた寝起きの目で、彼女は振り向いた。
 「おはよう」
 「…あれ?君…なにして…」
 その唇を奪い、無理やりに押し倒した。

 犯した。
 初めてだったようでとても痛がり、嫌がって泣き叫び、やがて叫びつ
かれたのか、おとなしく犯されるようになった。
 お腹がすいて彼女のお腹がきゅーと鳴ると、俺は口移しでごはんを与
えた。トイレに行きたいと言ったので、ペットボトルの中に出させた。
首にナイフをちらつかせ、俺の性器を舐めさせた。顔にかけた。おしり
に指を入れた。やがて彼女は呼吸をするだけになっていった。
 一日過ぎて学校が始まっても、俺は彼女を犯していた。俺をついに見
つけた死神たちに見守られながら。

―――ついに二日後の夕方。暗い部屋で。死神男視点。―――

 彼女は犯しつかれて寝ている彼のポケットからナイフを見つけた。彼女
は口にそのナイフを咥えて、彼の喉に突き立てた。彼が目を見開き、喉か
らひゅーひゅーと音をもらした。彼女は血に濡れてしまった口で「好きだ
ったのに…」と彼に向かって言った。彼はその言葉を聞いて「え」と喉を
鳴らし、暗い部屋で死んだ。彼女は血を拭き、制服を直して暗い部屋を出
て行った。

 僕とデスは彼から残ったストップウォッチを回収して、その場から去る。
 「ストップウォッチ、全部使わなかったか」
 「なんで頭のいいこの子が残しておいたのかしら、偶然?」
 「わからないの?」
 「う~ん…って、何よその目は!馬鹿にしてるでしょ!?」
 「ごめん」僕はデスを落ち着かせる。「でもよく考えて、彼ならどうするか」
 「他人の気持ちなんて分からないわよ」デスが口を尖らせる。「彼やあなたな
ら尚更にね」すこし皮肉をいってくれる。
 「冷静に考えれば分かることさ」僕は言う。「死ぬ直前に押すことが出来れ
ば、多分死を回避できるだろう?彼はそのために持っていたはずだ」
 「…なるほど」

 気持ちはなかなか伝わらない。

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