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 こんばんわ、あなた後二日後に死ぬわよ。と挨拶でもするかのように壁から
部屋に入ってきた女は俺に言った。そして途中から部屋に入ってきた男に30秒
だけ時間を止めるストップウォッチを10個貰える、と補足を聞く。ためしに一
つ貰い、時間を止めて、女のスカートをめくることに成功した俺は、その効果
を信じるしかなかった。

 さて、どうしたものか、と俺は考え込む。すでに時刻は深夜3時。「長考型の
ようだね」と死神男は言った。
 その死神男と死神女はちゃぶ台の上でブラックジャックをしている。
 「ふふ、王様が二人、直々に御降臨なされたわ…!」
 「ちょうどいい、ねぇデス、死神食堂のタダ券でも賭けない?」
 「…ちょっと待ちなさい。何で王様二人と聞いて賭けてくるのよ」
 「そこは自分で考えて。それで、乗るの?乗らないの?」
 「わかったわ、少し待ちなさい…」
 「うん、よく考えて」
 死神男の手札は俺から見えた。伏せているカードは9で、見えているカード
は7と7。…バーストしているじゃないか。ふと気がつくと、死神女が俺の顔
をちらちら見ている。乗るべきか乗らないべきか。俺は親指を立ててGOサイ
ンを出した。
 「ふっ、乗るわ。あなたの敗因は、私には伏兵がいたことよ」死神女が手札
を返す。スペード・クラブのダブルキング。20。
 「そう、僕はその伏兵も計算済みだった。君の敗因はそこさ」死神男が手札
を返す。「えっ」「あ、あれ?」死神女と俺は同時に変な声を漏らした。7・
7・7のトリプルセブン。21。

 「ちょ、ちょっとまてよ死神男、今お前手札をすりかえたろ!?」
 「そうかもしれないが、君達も僕の手札を連絡しあってたろ。おあいこさ。
  …さて、デス。約束のものを出してくれないか?」
 「くっ…!」
 死神女が悔しそうにタダ券を出した。手がプルプルして泣きそうだ。死神男
が「ごちそうさま」と券を奪っていった。俺も悔しくなって死神のブラックジ
ャックに参加した。

 本当にこいつらは死神なんだろうか。“俺がストップウォッチを大悪用して
世界をめちゃくちゃにしない限り使用を許す”、と言ったが、それはつまり監
視をする、と言うことだろう。
 その死神たちは、俺からブラックジャックで巻き上げた酒を鯨のように飲み、
床で大爆睡している。職務怠慢じゃないのか。
 少しフラフラする。窓を開けて換気をしよう。冬の冷たい風が入ってくる。
よしっ、落ち着いた。死神女が「寒い…」と呻く。窓を閉めた。考えがまとま
りつつある。

 こいつらは間違いなく死神だろう。実際に壁を抜けたり、時間を止めるストッ
プウォッチを持ってきたりしてくれた。しかしあまりにも行動が人間的すぎる
ので、死神だということを忘れさせてくれる。
 そして死神だとすると“二日後俺が死ぬ”というのも事実だろう。そうする
とこのストップウォッチは何なのだろうか。こいつだけが意味が分からない。

 ・人間的すぎる死神
 ・二日後に俺は死ぬ
 ・30秒だけ時間を止めるストップウォッチ×10(死神の監視つき)

 ノートに箇条書きにする。やはり三番目が非常に浮いている。…わからない。
俺は投げ出して、ベッドに倒れこんだ。
 ふと、死神女が視界に入った。

 座布団を枕にして床に雑魚寝している死神女。少し口を開けて苦しそうに
寝ている。ベッドから静かに抜け出し、匍匐前進で彼女の背後に近づいた。
死神男は気がついていない。…くそ、あいつがいるせいでやりにくい。
 彼女を間近で観察する。整った顔。豊かではないが、形のよい胸。くびれ
た腰。真っ黒な制服とミニスカート。同じく黒のニーソックス。黒一色だ。
 心臓がドクンドクンとうるさく、死神たちが起きるのじゃないかと思った。

 俺はズボンを少しずり下げ、大きくなった分身を死神女の黒いスカートに
擦り付けた。背筋がびりびりする。意外にもスルスルした生地が俺の分身を
すりあげる。小さくさわさわと音が聞こえるが、気にならないほど興奮する。
 …少し我を忘れていた。死神女と男を確認する。大丈夫。起きていない。
 俺は死神女の足元まで移動する。ニーソックスに包まれた脚を見る。スカー
トの中のパンツも見えた。おもむろに彼女の足の裏の匂いを嗅いでみる。生
地の匂いと、人特有の少し湿っぽい匂い。今度は彼女の足の裏に分身を擦り
付けた。サラサラとした生地の感触とともに、彼女の体温を感じる。足先ゆえ
に少し冷たい。気持ちがいいのだが、射精に至る踏ん切りがなかなかつかない。

 ふと、床にストップウォッチが転がっているのが目に入った。音を立てない
よう、静かに手を伸ばす。掴んだ。その瞬間、ストップウォッチのボタンを押す。

 空気の振動が止まり、時間が止まったことを認識する。俺は死神女の両足を
持ち上げ、足の裏二つを合わせたその間に分身を滑り込ませた。ビリッと脳が
反応する。生地の感触が、彼女の体温が気持ちいい。亀頭を擦るたびに快感が
全身を突き抜けていく。両足の10本の指の間で擦ってみる。足指のコリコリし
た感触を感じた瞬間、彼女の足の間で俺は射精し、黒いニーソックスにぶっか
けてしまった。

 時間が動き出し、冷静になった頭で考える。
 とりあえず死神女の脚を拭くか…

 「質問がある」翌朝、二日酔い気味の死神たちに聞いてみた。「お前達は
何者なんだ?」
 死神男がすぐさま反応した。「その質問は意味を成さない。僕達は死神。
それぐらい昨日の僕達を見てわかっただろう?」
 「いや、スマン。聞き方が悪かったか」俺は少し違う角度から質問する。
「お前達も、もとは人間だった。違うか?」
 死神男が「ほぅ」と感心している。正解か。死神女は…青白い顔をしてる。
俺の冷蔵庫からソルマックを取り出して「貰っていい?」なんて聞いてきた。
「どうぞ」と了承した瞬間、彼女はぐいっと腰に手を当てて飲み始めた。

 「次の質問、俺はこのストップウォッチで何をすべきなんだ?」
 ソルマックを飲み干した死神女が「好きに使っていいのよ」と答える。彼女
の顔を見ると、深夜のことを思い出して少し恥ずかしい。
 「わかった、これも聞き方を変えよう」俺は間を取ってから言う。「俺は
このストップウォッチを使って何かをすべきなんだな?」
 死神男と死神女が顔を合わせる。「答えられないんだ」と死神男が立派に
答えてくれた。これも正解か。

 「最後の質問」俺が尚も聞く。「俺も死神になれるのか?」
 「君は非常に察しがいいな」死神男が感心しきった顔で言う。
 「答えられないの」死神女が答える。
 しかし、死神女は親指を立てて答えてくれた。

 残りのストップウオッチは8個。
 死神になるためには、これで何かをしなければいけない。
 とりあえず外に出よう。正解は外の世界にあるはず。


 車に轢かれそうな猫でも助けようと思った。死神たちは着いてくる。が、そ
んな都合よく轢かれそうな猫なんていない。散歩中の野良猫なら一・二匹いる
のだが。…しかたがない。
 時間を止め、車通りの多い道路に猫をリリース。時間が動き出し、死神たち
の前で「あ、あぶねぇ!」と大げさにわめく。わざとらしく時間を止めて猫を
救出。ふぅ、よしっ、これでどうだろう?
 死神たちは「ふ~ん」という顔だった。…違うのか。ストップウォッチは後
6個。

 横断歩道を渡れない老人を助けよう。時間をとめて老人を向こうまで運んで
やる。死神たちは相変わらず「ふ~ん」という顔。…違うのか。残り5個。

 絡まれている少年を不良から助け…違うのか、あと4個。

 少し方向性が違うようだ。一旦家に帰るか。
 …くそっ、止めた時間を返してくれよ。

 「あと、ちょうど24時間だね」死神男が焦らせてくる。
 「どうすればいいんだよ…」俺は苛立つ。
 くそっ、ストップウォッチを無駄にしてしまった。あの分で痴漢でもすれば
よかった…くそっ。

 俺は夜食のコンビニ弁当を食べている。死神たちは今日もトランプで遊んで
いる。種目はポーカー。今回は負けたほうが酒を呷る方式のようだ。
 少しこの部屋は騒がしい。落ち着いて考えるためにも、俺は珍しく居間に下
りていく。テレビでも見よう。

 時刻が深夜を回っているにもかかわらず、居間には母親がいた。俺の部屋に
は冷蔵庫や電子レンジが置いてあったりと、基本的に母親とは交流が無い。
 「どうしたの」
 やつれた顔と、かすれ気味の母親の声。
 「…うるせぇな」
 くそっ、ここにいるくらいなら部屋に戻ろう。気分が悪い。

 俺は思春期特有の親嫌い病にかかっている。きっかけは親が約束を破ったこ
とだったと思うんだが、今ではそれは口実に過ぎない。第一、どんな約束をし
たのかも忘れてしまった。

 死神たちを見る。死神女が優勢、死神男は朦朧としている。暑い~と死神女
が上着を脱いでシャツ一枚になった。
 「ふふ、きょ~はわらしの勝ちみらいね~」舌がうまく回らないようだ。
 「冷静に…冷静になるんだ…」死神男は努めて冷静になろうとしている。
得てしてそういう時は冷静になれないものだ。その後も死神男は負ける。
 死神男を潰し、機嫌のよくなった死神女は俺にも絡んできた。2ペアで自信
たっぷりに攻撃してきた彼女だが、3カードでカウンター。酒をグラス一杯一
気させると、「もうらめぇ」と遺言を残して撃沈した。合掌。

 あとストップウォッチは4つある。一つぐらい使っても大丈夫だろう。イラ
つく心を落ち着けるため、と言い訳して、行動を起こす。
 酔いつぶれた死神男を押入れにしまい、死神女に近づいた。

 死神女が呼吸をするたびに、胸が上下する。俺は死神女のシャツの上から、
軽く胸に手を添えてみる。柔らかい肉の感触。初めて触る胸はとにかく柔ら
かく、そして温かかった。起こさないよう、やさしく触れまわしてみる。
「ん…」と反応。あわてて手を引く。…大丈夫、寝言のようだ。

 じかに見たいと思い、シャツのボタンを外していく。ものすごくいけない
ことをしている気分になり、動悸が速くなる。シャツを外すと白いブラジャー
が見えた、ここで俺は作戦の失敗を悟る。ブラジャーの外し方など知らない。

 ここまで来て何もせず引くのは勿体無い、と思った俺は、じかに触ってみ
ることを決意。ブラジャーの隙間から指を侵入させる。ぷにぷにと、心地よ
い感触。さらに指を深く入れる。むわっとした人の体温と湿度、息遣い。や
がて指先に固い感触。見ることは出来ないが、これが乳首か。触っている指が
気持ちよくなるような錯覚を覚える。思い切り触ってみたい衝動に駆られ、ス
トップウォッチを使うことを考えたが、ここではまだ使わないでおく。

 ゆっくりと指を抜く。シャツを戻していく。…3つボタンを留めたところで
止めた。酔ってたし、自分で外したんだろ、とか後で言い訳できるだろう。
 死神女の胸から下を眺める。シャツの間から覗くへそ。腰に巻かれたスカート。
綺麗なラインの太もも、ニーソックス。…俺が昨日汚した足。
 死神女の腰元に移動してスカートの間に手を伸ばす。自然に顔も近づき、死神
女の匂いが鼻を刺激する。本能的に顔が股に近づいていく。間近で死神女の股間
を観察する。暗くてよく見えない。指先で触ってみる。胸とは違うが、柔らかく、
ふかふかした感じ。

 パンツを下げてみたい。が、尻の部分に体重がかかっているので、一度腰を
持ち上げなければ脱がすことが出来ない。ストップウォッチを使うことにした。
 30秒停止。パンツの両端に手をかけて、一気に足元まで下げ、抜き取る。20秒
ほど残った。足を開かせる。…すごい格好になった。時間が動き出したら起きて
しまうんじゃないか、と思った。まぁいい、そのときはそのときだ。

 時間が動き出す。…大丈夫、死神女がおきる気配は無い。
 両足の間に入る。陰毛と女性器を間近で見る。暗くてよくわからないが、陰毛
の奥に何かが見える。これが女性器だろう。指でほんの少し触ってみる。ぐにゅ
ぐにゅと変化する形。下着を着けていたからか、少し蒸れている。女の匂いがする。
 もう我慢の限界だった。俺は音を立てないようズボンを脱ぎ、正上位の体位。
ストップウォッチを押すと同時に、挿入した。

 自分の手でするのとは段違い。やさしく包まれる感じがする。そして熱い。
入れた瞬間にイきそうになる、と言うのも分かる。肉を掻き分けていく感じが
たまらなく気持ちがいい。30秒しかない。不器用に腰を振る。死神女の顔を見
る。犯されているとも知らず、眠りこけている。支配欲が満たされていく。悩
んでいたことから開放されていく。すべてがどうにでもよくなる。ただ粘膜が
摩擦する感触が心地よい。死神女の女性器の壁を、俺の男性器で擦る。ぎこち
なく出し入れを繰り返す。結合部を見る。入っている。俺が入れている。俺が…

 抜く。30秒経過。スカートやシャツ、顔にかけてしまう。しばらくその体勢で
停止する俺。徐々に思考がクリアになってくる。
 …とりあえず後始末のために、もう一つストップウォッチが必要そうだ。

 死ぬまであと18時間ぐらい。俺は焦り始める。昨夜のアレでストップ
ウォッチがあと一つしかない。欲望に駆られた自分が情けない。
 死神たちはまだ寝ている。シャワーでも浴びよう。部屋を出て行く。
 母親と鉢合わせる。「おはよう」母親が声をかけるが俺は無視する。
「お母さんは仕事に行って来るから…」そうか、勝手に行けよ。てめぇ
のくたびれた顔なんてみたくもない。玄関を開ける音、母親が出て行く。

 俺の両親はすでに離婚していた。今では母親と二人暮らし。俺はニート。
まぁ、あと18時間ぐらいで死ぬんだから問題ない。死神になれればこの
くだらない世界からもおさらばさ。

 シャワーを浴び、ソルマックを二本持って部屋に戻る。起きた死神女が
ぼーっとした顔で死神男を探していた。俺は押入れを指差す。死神女が押
入れを開けると、死神男が落ちてきた。頭部を強打したようで、呻いていた。
 死神女は、夜のことに気がついた様子が無い。二日酔いで具合が悪そうだ。
ソルマックを二人に渡すと、仲良くグッと飲み干した。

 さて、どうしたものかと考える。
 残った時間で俺は何をすべきなんだろう。

 夕方まで真剣に考えていた…が、疲れて少し眠ってしまった。
 気がつくと窓の外がまっくら。
 ふと、時計を見る。深夜1時。あと30分も無いじゃないか。
 やばいやばいやばい。心臓の鼓動が高鳴る。

 死神女はいつの間にか酔いつぶれている。死神男は一人でトランプを
並べている。ソリティアだろう。
 「今日は勝てたのか」
 「冷静に考えることが出来れば、デスにはまず負けない」
 言い切った。

 「なぁ、教えてくれないか」俺が尋ねる。「どうすればいいんだ」
 「冷静になれ」死神男はカードを並べながら言う。パラ、パラ。トランプ
を並べる音が部屋に響く。「自分が何をすべきか、なんて教えてもらうもの
じゃない。人の顔をみて決めるものでもない。冷静に自分で考えるんだ」
 冷静になれ、か。とりあえずこの部屋から出よう。正解は外にあるはず。
1つだけ残ったストップウォッチを持って、ドアを開けた。

 「そう、それが正解」パラッと、死神男はトランプを並べきった。

―――――青年の終末

青年は、母が首に包丁を当てている現場を目撃した。
「おい!」と青年は母親に叫ぶ。
母親は青年を一瞥すると、「あんたさえ…あんたさえいなければ!」と
普段からは想像のつかない声で吼え、青年に包丁の先を向けた。驚愕した
青年は、無抵抗のまま胸を刺された。そして母親も、自らの首に包丁を


「おめでとう、君は死神合格だ」
「俺…いままで母さんにひどいことを…」
「あなたは30秒を正しく使えたじゃない」
「死神になろうとしたのも、世界がくだらないと思っていたからで…
 でも、ああ、死にたくない、死にたくなかった…」
「いいの。精一杯悔いて、しっかり死神の仕事をしなさい。ね?」


包丁は、ストップウォッチを押した青年の手により部屋の隅に転がる。
母親は突然青年に抱きかかえられた。
青年は穴の開いた肺で、精一杯声をつむぐ。
「ごめん」
最後まで聞こえただろうか。母親に届いただろうか。
「死なないで」