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――――ループ男

 「あれが今回、時間を止める能力に目覚めた少年か?」
 「はい、そのようです」
 俺と天使はその少年の後をつけていく。
 「まずは住所を把握しておこう。下手に接触したら前回みたいになるかもしれん」
 「あなたでも学習するんですね」
 「…」1。

 俺と天使は少年の後をつける。
 「徒歩による尾行で注意すべき点は、相手がどうやって移動するかの前調査なんだ」
 「?」
 「例えば、相手が突然タクシーに乗るかもしれない。例えば自転車置き場に自転車を
  置いてあるかもしれない。バスで帰るかもしれない。よって前調査してない今回の
  尾行は結構不利だ」
 「へぇ~、大学出たら探偵にでもなったらどうですか?」
 「別に探偵業が好きなんじゃなくて、お前との仕事に結構必要だから覚えてきただけだ」
 「偉いですね。誉めてあげます。優秀、な下僕」
 「…」2。

 少年は住宅街に入っていく。
 「どうでもいいが、尾行されているかどうか調べる方法があるんだ」
 「へぇ」
 「一番無難なのは長い道に入って、行ったり来たり。ほかには四角になっている道を一周
  して、相手がまだついてきたら尾行確定。尾行する側はこれに気をつけなければならない」
 「へぇ、どうでもいいですね」
 「…」3。リミットブレイク。

 「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」
 時間を止めて、天使のパンツをずらして、ピンクローターを挿入。こいつの好きな振動
ゆるめにセット。動け、時間とローターよ。

 「それじゃぁ…やぁぁぁぁぁああ?」
 「ははははは!会話は言葉のキャッチボールだぞぅ。人の話をきけぃ、そしてもっと
  パートナーのことを大切に思いやりなさい」
 自転車に乗った爺さんが変な目で俺達を見て通り過ぎていった。

 ………
 ……
 …

 「ひ…人前で恥かかせてぇ!」
 「感じたか?」
 「感じません!このド変態!ドS!」
 「むっ、問題の少年があのマンションに入ったぞぅ」
 「あ、あなたこそ人の話を聞くべきです!」

 俺は少年の後ろについてマンションに入っていく。入り口で部屋番号をプッシュして、
住人がそれに出て鍵を開けるタイプのようだ。
 少年は部屋番号を押す。202。うん。大収穫。
 そこで帰ろうかと思ったが、スキル上達のためにも潜入したくなった。
 少年がマンション入り口のドアを開ける。俺は時間を止めて、その扉の間にボールペンを
設置。自動ドアは完全に閉まらず、ほんの少しあいたままになる。
 少年が行ったことを確かめ、俺は自動ドアの前に立つ。うぃーん、開いた。潜入成功。

 「ミッションコンプリート」
 「…なんだかストーカーっぽいですよ」

――――死神男

 学校から少年が帰ってきた。
 「ただいま~」と、いつものように元気な少年。
 「おかえりなさーい」と返事をするエプロンをした少年の母、じゃなくてデス。
 ちなみに、少年の親はこのマンションにはいない。少年は少し遠い学校に通うことに
なったため、一人暮らしをするよう親に言われたらしい。


 ガラッと、半開きにしていた窓が完全に開く。
 そこから変な男が入ってきた。
 「…」
 「…あれ?」
 「誰だね?」
 「…失礼しました」
 「待ちたまえ、場合によっては通報する」
 バシャバシャと湯船から立ち上がる僕。昼風呂に入っていたところなのだ。
 「あの、見えてますから、見えてますからとりあえず隠してください」
 「む、そういえば君は僕が見えるのか」
 「はい、そりゃもうばっちりモザイク無しで」
 「そうか…わかった、通報はしない、とりあえず入ってくれ」
 「すいません、とりあえず帰ります」
 「一階の警備員室に電話するのと君が逃げるの、どちらが早いかな?」
 「…すいません、お金ないですよ?」
 「いいから、正面玄関から入りたまえ」

 腰にバスタオルを巻いて僕は風呂を出る。
 「わぁ、死神男さんがホカホカしてる」少年。
 「あ、あなたなんて格好して歩いてるのよ!」デス。
 「客人だ」

 変な男が、手錠をかけた小さな女の子を連れて入ってきた。

――――天使

 「やはり下僕は下僕…使えないですね」
 「ど、どうしよう、示談金とか払うのか?金ないぞ」
 「しらないで~す、私は見つかってないから帰ります」
 「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」
 次の瞬間、私の手に金属の冷たい感触。
 「強制連行」
 「え…あ、何するんですか!これビジュアル的にアウトですって!」
 彼は私の手を手錠を掴んで引っ張っていく。

 彼は扉を空ける。私を部屋の中に押し込む。
 「すいません、本当に。すべてこのちっこい女がわるいんです」
 「ちょっと、何で全部私に罪を着せるんですか!」
 「あら、天使じゃない」
 「え…?」

 家の中を見ると、腰にバスタオルを巻いた男と、さっき追跡した少年。
 それと死神女がいた。

――――死神女デス

 「どうぞ」天使にコーヒーを出す。
 「ありがとうございます」とぺこんと頭を下げる天使。

 私と天使、コーヒーを啜る。少しの間の後、天使に聞いてみる。
 「あの男の人、この前の仕事であなたがついた人でしょう?」
 「そうです…その、色々と…色々とありまして…」
 何故か顔が赤くなる天使。何があったのかしら。…さっきも手錠されてたぐらいだから、
よほど大変だったのだろう。

 「で、何しに来たのかしら?」私は本題を切り出す。
 「そうそう、忘れていました」天使は少し間をおいて「先ほどの少年ですが、時間を止
  める能力に目覚めたっぽいのですよ。それで追跡調査していたところ、あなた達がいた
  わけなのですが…なぜでしょう?」
 「ああ」すぐに答えが分かる。「あの少年はストップウォッチの本当の所持者じゃない。
  譲り受けるという形で時間を止める力を持ってしまったの。死神事務局のミスね」
 「事務のミスですか…。ちなみに報告書はすでに提出済みで?」
 「いえ」私は少しとぼけてみる。「書類を取りに行く暇がなくて」
 「暇そうですけど」
 「家事で忙しいのよ」
 「すっかりお母さんですね」
 「あら、そう?」
 「エプロン似合ってますよ」
 「ありがとう」
 二人でおほほ、と奥様的に笑ってみる。

 「あなたのミスじゃないですかぁ!!」
 「あ、ばれたか」

――――ループ男

 俺はひたすら死神男さんに謝っていた。
 「つまり…あの、別に覗きたかったとか、そういうわけではないんです。いや本当に」
 「ふむ、君も仕事なのだろう、気に病むことはない」
 「ほんとすいません、あと…」
 「なんだね?」
 「…服着てください」
 「うむ」

 死神男さんはこちらに背を向けて、タンスの中からTシャツ、黒いパーカー、黒い
Gパン、黒いパンツを取り出す。パンツまで黒か。それにしても…

 「背中のその痕、カッコいいっすね」死神男さんの背中には、赤く翼のような痕がある。
 「ん?ああ、これか」
 「死神の印って奴っすか?」
 「死神の印か…、なるほど。まぁ、そのようなものだ。これがなかったら僕は死神には
  成れなかっただろう」

 そういって死神男さんは腰に巻いたバスタオルをはらりと落とし、俺に尻を見せつけながら
パンツをはいた。

 「…だから隠せよ」