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「ぁ……あの……こ、こんばんわ」
「うわっ?」
 黒い制服を着た知らない女性が俺のPC机の横に突っ立っていた。
 反射的に俺はディスプレイの電源を切る。

「だ、誰だ!? いつ部屋に入ってきた!?」
「あの……す、すいません、えっと、死んじゃうんです!」
「……」死んじゃう? 話が見えん。「誰が?」
「あの……あなたが、です。……あと2時間で」
 ソウデスカ。
「ちょっと待て」何ゆえ見ず知らずの女性に死の宣告を受けねばならぬのだ、俺は。
しかもあと2時間らしい。「とりあえず名前と住所と電話番号を教えてくれ。あん
た、誰だ?」結構、いやかなり可愛いので最後のほうでつい少し下心が出た。
「名前……無いです。死神です住所は……どこだろう。電話は……持ってないです」
 ソウデスカ。
 話にならねぇ。
「あ、でも、あの、ストップウォッチがあるから大丈夫ですよ? ほら」
 といってその変な女はストップウォッチを取り出す。どんどん取り出す。まだまだ
取り出す。10個目でやっと取り出し終わったようで、俺の部屋の床には体育の授業
でも無いのにストップウォッチがごろごろ転がっている。ほら、じゃねぇよ。
「で、これが……何?」
「ストップウォッチです」
「見りゃ分かる」
「あ、時間を止められるんです」
「それを先に言え!」
「ひとつにつき30秒だけですけど……」
「微妙っ!?」
 すると彼女はとりあえず仕事が終わったーみたいな顔でふぅ、と息をついた。
 俺はまったく理解できてなくて頭がぐるぐるしている。なんせこの5分で急展開だ。

 とりあえず俺はコーヒーを二人分淹れるために、こそこそと階段を下りて一階のキッ
チンへと向かうことにした。

 やかんを火にかける。
「ふぅ……」
 かちりと、セブンスターに火をつけた。
 親に気が付かれたくないので、換気扇はつけないでおこう。

 さて、この状況で考えることは断じて明日の朝ごはんのことではない。
「誰だ、あの子……」
 いつの間にやら部屋にいて、まず死の宣告を俺に食らわせる。
 名前は無くて住所不定。
 部屋に10個ストップウォッチを置く。
「……何がしたいんだ?」
 とりあえず新興宗教説が頭脳議会で多数派である。
 壷とか絵とか買わされるかもしれん。気をつけねば。
 早めにお帰りいただいて……いや、出来れば連絡先を聞いておいてから……

 しゅこしゅことお湯が沸き始める音に気が付き、かちりとコンロの火を消す。
 やかんのお湯がコーヒー豆を乗せたフィルターに吸い込まれていく。

「さて、どうすっかな……」
 とりあえず、砂糖とミルクは二人分持って行くことにしよう。
 さて、階段を上がって部屋に戻ると

『あぁん……おにいちゃん……きもちいいよぉ』
「あわわわわわわ……」
「……うおぁぁぁっ!?」
 何かディスプレイの電源付けられてるーーー!!!
 俺のはじ○すが見られてるーーー!!! しおりーーー!!!
 しかもこの女の人、興味ありそうな感じでなんかちらちら見てるーーー!!!

 次の瞬間、頭の中で種みたいなものがはじける。(イメージ)

 俺は冷静に、しかし確実に次の作業をこなしていった。まずコーヒーカップを
部屋の中央にあるちゃぶ台に置く。次に指の間に挟んできた砂糖とミルクを行儀
よく並べる。どう見ても一流喫茶店だぜ。ふはははは。次にダンディーでエレガ
ントなステップで机に向かって歩く。この間3歩。そしてジェントルに椅子に腰
掛け、まず本体の電源をコンセントからぶっこ抜いた。生きててくれ、俺のHD。
そして何事も無かったかのように沈黙したPCのディスプレイの電源をメランコ
リックに切り、マウスとキーボードをヒステリックに床に叩きつけた。次にコー
ヒーを置いたちゃぶ台の前に正座し、碇ゲン○ウ的に指をあわせて「問題ない」
と呟いた。

「……」
「……」

 部屋には気まずい沈黙と、破損したキーボードのプラスチック片が転がっていた。
「あ、あ、あ、あ、あの」
「OKお嬢さん、落ち着かないと舌かむぜ?」と相変わらずゲ○ドウ的姿勢を崩
さずに俺はささやく。落ち着くべきは俺の方だがな。とりあえずコーヒーを一息
で飲み干す。ぐいっと。
「ご、ごめんなさい……」
「いえいえ、気にすることは無い。ただ僕が二次元愛好家でロリィタ趣味で毎日
家に引きこもっている四浪中のダメでクズな人間で親にも早く死ねとか言われる
そんな毎日でしてね、はっはっは……」言ってて自分が嫌になってきた。「今日
も元気に部屋に引きこもってたら親に死ねって言われたからそこでブチ切れです
よ。殴ったね、ぶん殴ったよ。死んで欲しいなら殺してみやがれってね」自分が
どうしようもないクズ人間だということを再認識してしまった。見てみぬふりを
していたのに。

 死のう。俺はガラリと窓を開けた。「さようなら」
「え?」
 ちょっと地面が恋しくなったから、激しく体当たりしてくるな。
 結果的に死ぬかもしれないけど、それが恋よね。
 もう死ぬほど好きって感じ?
 とか言ってる間に、俺の体は落下を開始していた。
 地面ラブ! 今すぐ君と抱きあいたーい! それも頭からな!
 もうどうにでもなれー! はっはっはー!!!
 さぁ来い! ばっち来い!
 あれ? 俺地面にふられたのかな?
 いつまでたっても彼女は来なかった。-Bad End-的な流れか?
 あれ? 止まって……
 「……あれ?」
 脚がしっかりと俺の体を支えている。
 俺は後ろから彼女に抱きつかれて窓際に生還していた。

「ま、まにあいました?」
「お、お、おぅ?」なんだ、何が起こったんだこれ?「……なにしたんだ?」
「えっと……時間を……」なんていいやがる彼女。
 今現在、世界の物理法則がまだ健在だったら俺は地面と脳漿を撒き散らしながら
激しいキスを交わしていたはずなんだが。

 ……まさか本当に止めやがったのか。
 本物だったのか、あれ。

 どうやら、このストップウォッチは本気で時間を止めるらしい。
 三十秒という誰が決めたか知らんが非情に微妙な時間らしいが。
「んなアホな……」
「あなたが死ぬまで後……えっと、一時間あります」
 急に彼女の言うことが信憑性を帯びてきた。
「マジに死ぬのか? 俺」
「あ……はい、マジです、マジ死にです」
 そうですか、マジ死にですか。
「嫌だーーー!!! 死にたくないーーー!!! まだおっぱい触ったことも
無いのにーーー!!!」
「えっと……ストップウォッチが……その……」
「童貞の道程で死すのか! 俺は! はっはっは!」
「……ストップォッチが……ありますので……」
「右手の感触しか俺は知らぬまま朽ちるのか!?」
「……あの」
「そんな人生いやだあぁぁぁ!!!」
「……聞いてくださいよぅ」

 俺は動転しているふりをしつつ、足元に転がっていたストップウォッチを手に取り、
ポチっとスイッチを押した。
 うぉっ、本当に止まりやがった。30秒らしいから手っ取り早くいこうか。
 部屋に乱雑する電源ケーブルの一本を適当に取り、「つまり、時間を止めてすき放題
し放題やり放題ってことですね?」「……え……あ、あれ?」彼女の両手をベッドのフ
レームに縛りつけた。

 ストップウォッチは0を刻むと同時に、どこかに消えていった。

次回予告!(次の書いてる途中のやつの一部をコピペ)

  >「……なんだよ、濡れてんじゃねぇか」染みが楕円状に広がっている。
  >「いやだ……やだ……」


※尚、次回予告の内容が確実に次回に出てくるかどうかは正直微妙です。