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「うるさいよ、夜中にどたどたと……」俺はあんな目をする母親を見たことが無かった。「寝れ
ないじゃない」
「ご、ごめん……」
「いっつもそう……あんたは……」泣き出しそうな顔で俺を睨む、俺の母親。「あんたは、邪魔」
包丁を片手に俺に迫ってくる。
 あぁ、人間ってこんな表情も出来るんだな、とぼんやりと母親を見ていた。
 無言で母親は俺に包丁を突き刺さんとしてくる。
 なんだよ、こんな死に方なのかよ。

 俺は死ぬ覚悟などまったく出来ていなかった。
 眼前に明確な形となって迫る死。
 それを見た俺は、震え上がった。

 包丁がきらりと蛍光灯の光を反射する。
 俺は誰かに助けを求めたかった。
 しかし部屋を見渡しても彼女の姿はすでに消えていた。

 絶望した。
 ああ、これが俺の一生……。

 何かにすがる思いで手に取っていたのは――彼女から一つだけ受け取っていたストップウォッチ。
 すまない。お守りにでもしようと思ってたんだがな。
 俺はストップウォッチのボタンを押した。

 逃げたかった。
 殺されたくなかった。
 だからストップウォッチを押した。
 時間は止まった。
 俺は動ける。
 いつでも逃げられる。
 でも俺は……。
 俺は。

「いつも迷惑かけてごめんな」
 この声は母さんに聞こえてはいない。
「いつか謝りたかったんだけどさ……」
 最後まで謝れなかった。
「いつから俺とあんたはこんな関係になってしまったんだっけ……」
 俺が正しい人生を送れるようにいつも叱ってくれていた。なのに俺は反発して。
「顔、そんなに痩せこけていたんだな」
 俺の記憶の中の母さんの顔は、もう少しぽっちゃりしていたはずなんだがな……。
「ごめん」
 時間が動き出した。

 俺はついに、母さんから逃げなかった。
「お元気で」
 この声は母さんに届いただろうか。
 切っ先が俺の胸を――

 ――こぽこぽと血が流れていく。
 胸が苦しくて苦しくて、気が遠くなっていく。
 母さんが俺に何かを言っていた気がした。
 俺は頑張ってその顔を見ようと、声を聞こうとしたが――

 ――消えていく意識の中、せめて母さんに笑顔を見せてやろうと頑張った。

 ……。

 そこからの記憶ははっきりしない。
 何故か俺は生きていた。
 いや、生きてるんだよな? 足はしっかりついている。
 ここはどこだ? 俺の部屋だ。
 椅子に座って胸に包丁を立てて何故か微笑みながら安らかに死んでるのは俺のようだ。
 ん? 俺? いや、俺は生きているぞ?
 でも死んでるっぽいんだが。
 このなまなましさはハリウッド級の造形技術でもないと無理だろう。

 部屋の端っこに小動物みたいな何かがいた。
「あ……うぅ……う……」
「……なんで泣いてるんだ? おまえ?」
 急にがばっと、そいつに抱きつかれた。
「うぉっと……なんだ? どうした? 出来れば現状の説明を頼む」
「よ……よか……あ、ぐ……かなひぃ……うぅー」
「言葉をしゃべれ、言葉を」
 べしっと額にチョップを入れてやる。
「あぅ……」ぐずぐずと鼻を啜っていたが次第に落ち着いてきたようだ。「あの……痛く
……ないですか?」
「ん?」そういや今刺されたばっかりだったな。「いだだだだっ!?」
「あ、あああー、ご、ごめんなざい゙ー」
「いや、嘘だが」
「う……ひ、ひどいでずー」
 鼻声混じりで言うからなんだかおかしくなって、俺は笑い出してしまった。

「へぇ、めずらしいわね、合格か」黒髪ツインテールでこれまた黒い制服を着た女の人が
立っていた。「おつかれさま。私達の説明はもう聞いた?」
「いや、まったく」
 なんだか知らんがまた黒い服を着た変な人が増えていた。それも二人も。ん? 気がつ
くと俺もなんか黒っぽい服着てるし。
「君も大変だったね、今回が初仕事だったのに。大丈夫だったかい?」
「ゔー……ひっく……ひく」
 黒い服の男のほうはひたすら泣きじゃくる彼女を慰めている。

「あ゙ー……で、ですせんぱいー……」
「おーよしよし。やっぱり始めはちょっとキツかったかな? あの男にやらしいことされ
ちゃった?」
「ぐふっ」
「……したのね。あーあ、トラウマほじくり返すようなことしてくれちゃって……大丈夫?」
「は、はい……だ、だいじょふれす……」
 目を真っ赤にしながら鼻を啜って彼女は健気に言う。

 俺はといえば、自分の死体をじーっと見ていた。
 なんか半笑いで死んでて微妙に嫌だな、これ。

「さて、それじゃ行こうか」
 男は言う。
「そうね、さっさと死神局に登録しなきゃ」
 女のほうも同調して言う。
「は、はひ……」
 いまだ鼻声の彼女もどうやら肯定しているようだ。
 すると黒服の人たち(まぁ俺も黒服になっているが)は部屋の壁をするりと抜けて、どこか
に行ってしまった。
「とりあえずな……」俺はもう限界だった。「誰か説明しやがれこんちくしょおおお!!!」

「あ、ごめんなさい……」相変わらず気が弱そうな彼女が戻ってきた。「私の手を握ってて下
さい」
 ……おぅ。
「それじゃ、行きますよ」
 まぁ、どうなるにしても。
 彼女と一緒なら、その、悪い気はしないのだった。
「あの……これからもよろしくお願いします」
「ソウデスカ」

★次回予告!

 「さて、それじゃここまでの伏線を整理してみようか」
 「はいはい。それじゃ一つ目ね。新人ちゃんの台詞よ」

 >「だって……だれも……助けて……くれない……お父さんなのに……なのに!」

 「うーん、何があったんだろうね、デス?」
 「ま、お父さんに殺されたんとか、その辺りでしょうね。二つ目は?」

 >「あれはあの……じ、事故ということで……」
 >「……え、えっちなこと……してもいいんですよ?」

 「あんなに嫌がったのに事故と片付けてしまう彼女だけど……後には"しても大丈夫"とも言ってるね」
 「まぁ、女には色々あるのよ」
 「一つ目の伏線と関係があるのかな? 僕はなんとなく想像が付いたけど。本文中にヒントが
あったかな。君のセリフにもね。さて、最後の伏線。」

 >「わたしにもありましたよ……ひみつきち」

 「僕には無かったな。秘密基地」
 「私も無いわよ」

 「まぁ、こんなところか」
 「伏線を張る以前に、伏線だと気づかせる力がまだまだ足りないわね」

 「それにしても今回は新人君がいい萌えキャラっぷりを発揮していたね」
 「そうね……って次回予告が2レス分になるってどうなってんのよ!?」
 「案外次回予告のウケがいいものだから作者が調子に乗ってるんだ。この勢いで次回予告だけで作品を書いてやる! とか言ってた」
 「どうしようもないわね……。で、次のお話は何? この伏線をふまえての新人ちゃんの過去編?」
 「次は“エロ書きたい。さて陵辱かね? 逆陵辱かね?”とか言ってたよ。作者が」
 「……そ、そう。早く新人ちゃんの過去を書かないと読者が伏線を忘れちゃうわよ」
 「“とりあえず一間置きたい”とも作者は言ってたよ。新人君のお話は最終話だとか」
 「あ、そう……それにしてもあんた、作者と仲がいいのね」
 「実を言うと、僕が作者なんだ」
 「……嘘でしょ?」
 「本当」
 「……そう。……それじゃ、変な男に私が犯された事等、色々な恨みはあんたにぶつければいいのね?」
 「いやごめん、冗談だ。冗談だから。だめだって、バットはあぶないって、ビジュアル的にもしまらないし、あぶないよ、あぶ」


※尚、次回予告の内容が確実に出てくる確率は割と低めです。