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*4 「14枚も……。手紙が付いたのは早くても一昨日くらいで、ここまで送るには丸一日は掛かるから、こんな量1日で書いたのかしら、アナトアは。」  一枚目の“親愛なるレンへ”という文字を目で追いながら、レンは呆れつつ微笑んだ。 「ふむ……。余程重要な事が伯爵の身の上に起きたのかねえ?ま、無駄口叩かず読め、レンよ。」  グレーズの言葉に促され、レンは黙々と手紙を読み始めた。彼女の顔は、手紙を一枚読み終わるごとに、どんどん驚愕の表情に変わっていった。  14枚を尋常ならぬ速度で読んだレンは、たった今自分に驚きを与えた許婚からの手紙をグレーズに差し出した。彼女の表情には驚愕と、恐怖の色が見て取れた。レンが読んでいる間うとうとしていたグレーズは、レンの並々ならぬ様子に、手紙の内容が自分たちにとって驚くべき物であることを知った。  受け取った手紙を読み終わったグレーズは、一度乾いた笑みを漏らした。 「……この手紙に書いてあることが事実だとすると、我が祖国はまた、新たな国に占領されかかっていて、その国がトルエンを所持している可能性が大、と?」  レンは大きく頷いた。 「アナトアは、身分を隠して、現支配者であるトリッサ王の側近として権力をつけ始めている。国勢には詳しいでしょう?その彼が言うんだから間違いないと思う。」 「ふむ、トルエンは我が祖国【フロイア】に在ってこそ、その本来の神秘的な力を発すると伝えられているからな。」 「そしてその力は神のお力をも凌駕すると言われているし。」  グレーズはにっと意味深に笑った。 「これは益々探し出すのは大変になりそうだな。」  レンは手紙の入っていた封筒を強く握り締めた。 [[小説置き場]] [[戻る>3]]
*4 「14枚も……。手紙が付いたのは早くても一昨日くらいで、ここまで送るには丸一日は掛かるから、こんな量1日で書いたのかしら、アナトアは。」  一枚目の“親愛なるレンへ”という文字を目で追いながら、レンは呆れつつ微笑んだ。 「ふむ……。余程重要な事が伯爵の身の上に起きたのかねえ?ま、無駄口叩かず読め、レンよ。」  グレーズの言葉に促され、レンは黙々と手紙を読み始めた。彼女の顔は、手紙を一枚読み終わるごとに、どんどん驚愕の表情に変わっていった。  14枚を尋常ならぬ速度で読んだレンは、たった今自分に驚きを与えた許婚からの手紙をグレーズに差し出した。彼女の表情には驚愕と、恐怖の色が見て取れた。レンが読んでいる間うとうとしていたグレーズは、レンの並々ならぬ様子に、手紙の内容が自分たちにとって驚くべき物であることを知った。  受け取った手紙を読み終わったグレーズは、一度乾いた笑みを漏らした。 「……この手紙に書いてあることが事実だとすると、我が祖国はまた、新たな国に占領されかかっていて、その国がトルエンを所持している可能性が大、と?」  レンは大きく頷いた。 「アナトアは、身分を隠して、現支配者であるトリッサ王の側近として権力をつけ始めている。国勢には詳しいでしょう?その彼が言うんだから間違いないと思う。」 「ふむ、トルエンは我が祖国【フロイア】に在ってこそ、その本来の神秘的な力を発すると伝えられているからな。」 「そしてその力は神のお力をも凌駕すると言われているし。」  グレーズはにっと意味深に笑った。 「これは益々探し出すのは大変になりそうだな。」  レンは手紙の入っていた封筒を強く握り締めた。 [[小説置き場]] [[戻る>3]] [[次へ>5]]

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