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 彼の目が狼の如きそれに変わった事に気づいたあたしは、慌てて謝った。

「あっ、ごめんなさい……。」

 失望されるかと思った。出会って間もないのだし、これ以上こいつは関わる価値がないと思われたら、そこであたしとアンコウとの縁は切れる。それはどうしても嫌だった。なぜかアンコウから離れたくなかった。
 だけどあたしの心配は杞憂に終わった。

「いいんだよ、さいはまだ子どもなんだからさ。」

 そう言って彼は笑った。
 アンコウのくるくる変わる表情は見ていて面白かったし、とても華があった。ああこの人はいい人なんだと、心から思った。








 アンコウの携帯が鳴った。彼は長ズボンのポケットから黒光りする携帯を取り出して、電話に出た。

【ああ、アンコウか?】

 相手の声が少し漏れ聞こえる。あたしはアンコウの何かを知りたくて、耳を欹てた。
 アンコウはゆっくりと応える。

【ああ、俺だよ。どうしたアキノリ。】
【ちょっとばかり本部でまずい事が起きたらしーんだな。そんで俺のとこに連絡入ったんだけど。】
【また俺か?】
【しょうがないだろう?お前以外に頼める奴がいない。】

 ここでアンコウはふう、とため息をついた。

【頼られて光栄だよ。じゃあ明日の朝6時そちらに向かう、とサー・アルワークに伝えておいてくれ。】
【了解だアンコウ、グッジョブ!】

 アンコウは最後の言葉が聞こえるか聞こえないかの内に素早く電話を切った。