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 アンコウが疲れたような顔をして携帯をポケットの中に入れた後、あたしはおずおずと尋ねた。

「ねえアンコウ、今の人、誰?」

 彼はちらりとあたしを見て、微かに笑った。

「仕事の仲間だよ。そして俺の唯一の友達でもある。」

 寂しげな目をしていた。

「そいつはまあ……エンジニアなんだ、簡単に言うと。だけどただのエンジニアじゃない。もっと込み合った事情のある奴なんだ。」
「サー・アルワークに雇われてるの?」

 あたしはさっき聞いた人名をそのまま口に出す。
 彼は小さく頷いた。

「サー・アルワークは英国人でね。世界をまたにかけて活動する財産家なんだよ。知らないかい?」
「残念だけど聞いたことないなあ……。アンコウ会ったことある?」
「一度だけあるよ。さっきのエンジニア――アキノリ・シロタっていうんだけど――そいつがかけあってくれてさ。」

 アンコウの表情は、過去を懐かしむものに変わった。