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その日は、あたしにとって生涯忘れられない日になった。塾を無断欠席したおかげで、先生や親には大目玉を喰らったけれど、アンコウに出遭えたことの意味が大きすぎて、あたしには説教の声は聞こえていなかった。

 そろそろ家に帰らないとね、とアンコウが言った時、彼は自分のズボンについているポケットから小さな紙を出して、私にそれを握らせた。

「これ、俺の携帯番号の電話とメアド。よかったら登録しておいて。いつでも連絡よこせよ。」

 あたしはだまってうなずいて、その紙を大切に鞄の中へ仕舞った。

「また会おうな、さい。」
「うん、絶対だよ。」

 あたしは精一杯の笑顔を彼に向けた。またアンコウも花のある笑顔を見せてくれた。

「今日は楽しかったよ、どうもありがとう。」

 アンコウはそう言って、消える様にマックから出て行った。残されたあたしはただ一人、アンコウが曲がった角をじっと見詰め続けていた。