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第二章 中3・春

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 時は、特別な変化もなくゆるゆると、淡々と流れていく。気付けば、美玖は中3になろうとする春の中にいた。

 冬に瑞穂が、莉奈が外へ出る事を知った後、美玖は不思議に落ち着いていった。瑞穂が知っているという事実が、美久の負担を軽くしたのかもしれない。元々楽観主義な彼女は、まだ莉奈が外へ行ってしまうと確定したわけではないから、と自分に言い聞かせ、多忙な日々を送っていた。それは瑞穂も同じで、彼女は部活と勉強の両立に頭を抱えて生きていた。全ては、一見解決したように見える、そんな、嘘でコーティングしたような春。

 時が流れていくのに比例して、莉奈と美玖の間に、小さな亀裂が走るのを瑞穂は感じていた。その大きな理由は、美玖の、莉奈に対する倦怠だった。今までじっと莉奈を受け入れ続けていた美玖もさすがに限界を感じ始めていて、中2の終わりごろには、今までなんとも思わずに聞き流していた言葉がいちいちカチンとくるようになっていた。美玖は、それに気付き、焦った。
 ――莉奈は大切な友達だ。その友達に対して怒りを感じるとはどういうことなのだろう。もしかしたら自分はもう、莉奈を許せないのかもしれない……。
 友を許せない事もあることは、美玖でも経験上知っていた。しかし、莉奈の暴言にはもう辟易としてしまって、それが美玖の冷静な思考を妨げていた。

 今でも、美久が忘れることのできないエピソードがある。それは、中2の2学期末の事だった。