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住吉 翔サイド


中学2年生、秋。

 零れるような紅葉の赤さと、時折思い出したかのように吹く冷たい風に半ば辟易としながら、俺は学校への道を走っていた。
 今日はなんでもないような日で、俺と同じ制服を着た奴らの顔も変わりはない。だけど今日、俺は静かに決意していた。












 ――今日こそ愛しの悠紀に告白してやる!










 その決断は苦渋に満ちていた。これに行き着くまで、俺は髪の毛を何本むしったのだろう。
 悠紀が、隣の席の菅崎 龍を気にしているのは知っていた。俺の幼馴染で悠紀の親友・梨沙はなかなか聡い。

「翔、絶対無理だと思うよ。マジで。今悠紀はそれどころじゃないし……。ほら、お母さんとか亡くなっちゃったし……。しかもさぁ、絶対悠紀は見沼君のこと好だって。ずーっと見てるし、見沼君悠紀にすごく優しいから。」

 梨沙は真実を突いてくる。そりゃ、悠紀の事を一番分かっているのは梨沙だから、幼馴染のよしみで俺に忠告してくれるのも、道理にはかなっている。だけど俺は認めたくない。母親を亡くして悲しみに明け暮れる悠紀を救えるのは俺しかいない!

「……。それさぁ、ホントずるいよ、翔。隙アリ!みたいな感じで告白するのって。そんなのでもし悠紀がOKだしても、絶対続かないし、傷付くだけだと思う。」

 梨沙の目は真剣すぎて、俺は目を合わせていることが出来なかった。

「真剣に話してるんだよ?これは翔のためでもあるし。」

 幼馴染は手ごわい。ヤツは俺の全てを知っているから。

「本当にやめてね……。悠紀を絶対に傷つけないで。」

 梨沙が俺に哀願したけれど、やっぱり俺は自分の心に正直に生きたい。それに、傷付かない恋愛なんて、そんなものどこにあるのだろう。