玉兎と金烏




人は僕を“月”と呼びます 夜空に佇む銀の兎を 玉兎を
人は君を“太陽”と呼びます 人の世を照らす黄金の烏を 金烏を





目覚めは突然 呆気無く 目覚めたことすら分からずに
気付けば僕は宇宙に浮いて 君の光受けて姿を現していた
所詮僕など君には勝てない 全ての恵みを齎す君には
けれど自信は或るのです 君さえ居れば僕は耀けるのだから
君は後何億年も在り続けるのでしょうから



君が居ないと耀けない僕 存在すら曖昧な僕
人は僕を何かに付け愛でますが 僕は所詮日陰者
君が居るただ其れだけで 僕は愛されるのならば
太陽系の真ん中で そっと両翼を広げる君は
どれ位の敬愛を其の身に浴びているのでしょう





終わりは突然 でしょうか 終わったことすら分からずに
気付けば僕は居なくなって 皆僕を忘れるのでしょうか
所詮僕など其の程度 何も齎すことの無い僕には
けれどもし僕が消える時 それは君の消滅も表すのです
君が居ないと僕はただの小さな兎に過ぎません



君が居ないと耀けない僕 存在すら発見されない僕
人は僕を見てよく泣きますが 僕は所詮哀れな兎
君が居るただ其れだけで 僕は愛されるのならば
全ての命の中心で 黄金の両翼を翳す君は
どれ位の責任を其の身に浴びているのでしょう





人は僕を“月”と呼びます 銀色の哀れな兎 玉兎を
人は君を“太陽”と呼びます 黄金の哀れな烏 金烏を