カメラワーク用語

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○このページは、主にカメラの動きに関わる処理について用語説明しています。 **Fix(フィックス) -固定撮影。カメラが一切動かない状態です。 -アニメのコンテでは、カメラワークの指示がないカットはフィックスとなるのが原則ですが、石井コンテ上でもその方法に準拠します。 -特徴的なフィックス撮影を行う演出家では[[小津安二郎>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B4%A5%E5%AE%89%E4%BA%8C%E9%83%8E]]が有名です。アニメの演出家には小津を敬愛する方が思いのほか多い。 **Pan(パン) -位置は固定したまま、カメラを上下左右に振る動き。 -Pan up(カメラを空に向ける)、Pan down(カメラを足元へ向ける) -特に縦方向のパンをティルトと呼ぶこともありますが、説明する人によってティルトの扱いはよく変わります。コンテ上ではすべてパンで統一します。 -Panはカメラの視野角が広く取れるため、後述の移動撮影(トラック)に比べて情景を描写したり空間を説明するのに優れた技法です。シーンの冒頭でPanが良く使われるのも、空間の広がりを表現するのに適したカメラワークだからです。 -Panはまた、観客の視点をある被写体から別の被写体に誘導するためにも利用されます。 -Pan単体のカメラワークは、移動撮影と比べれば、状況描写に優れた客観性が強いカメラワークです。 **Track(トラック) -カメラの移動撮影。左右に動くカメラワークのこと。 -移動撮影はPanに比べれば主観性、臨場感の強いカメラワークです。ダイナミックな空間移動やアクションを表現するのに適していますが、単体では情景描写に向かない技法です。 -アニメでは技術上の制約からPanとTrackが単体で使用されることが多いですが、その分、画面がシンプルになり演出意図が明確になりやすいというメリットがあります。 -それに対して実写ではPan+移動撮影がだいたい可能であるため、この二つのカメラワークの複雑な組み合わせにより、独創的なカットを作ることが出来ます。反面、あまりに複雑すぎるとカット自体の意図が見えにくくなるという危険性もあります。 **Dolly(ドリー) -カメラの移動撮影。被写体に近づいたり遠ざかったりする動きに対してドリーと呼びます。 -Dolly in(被写体に近づく)、Dolly back(被写体から遠ざかる) -絶対というわけではないですが、ドリー撮影はたいてい主観的な視点のイメージを持ちます。つまり、「カメラ=観客視点」の印象を与えやすいということです。 **Zoom(ズーム) -レンズの焦点距離を調整することによって被写体の写る範囲を変える方法。 -焦点距離の違いによって広角、標準、望遠の三つに大別されてます。 -ドリーとズームの違いは、ドリーはカメラが空間内を移動するので周囲の背景がパース変化するのに対し、ズームにはパース変化がないこと。 -原則、ズームを使用するときは一緒にパンを併用します。パンを伴わないズーム(センターフォーカス)は、味気なく稚拙なカメラワークに見えてしまうので、プロの撮影はセンターフォーカスを嫌う傾向があります。 -ですがもちろん、意図的に使いたがる演出家もいますし、民生用のカメラの感じを出したいときなどにも、安っぽさを演出するためにズームを多用する場合もあります。   **Crane(クレーン) -カメラの移動撮影。上下に動くカメラワークのこと。 -Crane up(上方向へ移動する)、Crane down(下方向へ移動する) -実写でクレーン撮影を行うためには本格的な機材が必要になるため、実際の作品中にクレーンショットがあると、それだけで映像に高級感を感じることが多い(かもしれません)。 **Follow(フォロー) -移動する被写体をフレーム内におさめるようにカメラワークを駆使するための指示。 -Trackを使用するときは被写体を追跡する場面が多いため、アニメ実写問わずフォローとトラックを混同して使用することが多いです。 -ですが、コンテ上では厳密に指示する必要があると判断し、パンのときはFollow Pan(またはつけPan)、移動撮影のときは上下左右前後に応じてFollow Track、Follow Dolly、 Follow Claneとコンテに表記します。 **回り込み -被写体の位置が変わらずに、カメラだけが位置と向きを変えて別のアングルから被写体を捉えるカメラワーク。 -カメラが主体的に動作するため、場合によってはカメラ自体の自己主張が強い向きがあります。 -『世界の中心で愛を叫ぶ』で、エアーズロックの上でカメラがぐるぐる回るシーンがあるらしいのですが、それがたぶん回り込み撮影です。 -よくハリウッドのB級アクション映画で、物語の冒頭にヘリの空撮でビル街を描写するベタなシーンがありますが、ひとつのビルを中心にその周囲を移動しながら撮影しているのも回り込みの一種です。
○このページは、主にカメラの動きに関わる処理について用語説明しています。 **Fix(フィックス) -固定撮影。カメラが一切動かない状態です。 -アニメのコンテでは、カメラワークの指示がないカットはフィックスとなるのが原則ですが、石井コンテ上でもその方法に準拠します。 -特徴的なフィックス撮影を行う演出家では[[小津安二郎>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B4%A5%E5%AE%89%E4%BA%8C%E9%83%8E]]が有名です。アニメの演出家には小津を敬愛する方が思いのほか多い。 **Pan(パン) -位置は固定したまま、カメラを上下左右に振る動き。 -Pan up(カメラを空に向ける)、Pan down(カメラを足元へ向ける) -特に縦方向のパンをティルトと呼ぶこともありますが、説明する人によってティルトの扱いはよく変わります。コンテ上ではすべてパンで統一します。 -Panはカメラの視野角が広く取れるため、後述の移動撮影(トラック)に比べて情景を描写したり空間を説明するのに優れた技法です。シーンの冒頭でPanが良く使われるのも、空間の広がりを表現するのに適したカメラワークだからです。 -Panはまた、観客の視点をある被写体から別の被写体に誘導するためにも利用されます。 -Pan単体のカメラワークは、移動撮影と比べれば、状況描写に優れた客観性が強いカメラワークです。 **Track(トラック) -カメラの移動撮影。左右に動くカメラワークのこと。 -移動撮影はPanに比べれば主観性、臨場感の強いカメラワークです。ダイナミックな空間移動やアクションを表現するのに適していますが、単体では情景描写に向かない技法です。 -アニメでは技術上の制約からPanとTrackが単体で使用されることが多いですが、その分、画面がシンプルになり演出意図が明確になりやすいというメリットがあります。 -それに対して実写ではPan+移動撮影がだいたい可能であるため、この二つのカメラワークの複雑な組み合わせにより、独創的なカットを作ることが出来ます。反面、あまりに複雑すぎるとカット自体の意図が見えにくくなるという危険性もあります。 **Dolly(ドリー) -カメラの移動撮影。被写体に近づいたり遠ざかったりする動きに対してドリーと呼びます。 -Dolly in(被写体に近づく)、Dolly back(被写体から遠ざかる) -実際の現場ではドリーではなくトラックアップ、トラックバックを用いる場合が多い。石井のコンテ上でも主にTU、TBの表記なので注意。 -絶対というわけではないですが、ドリー撮影はたいてい主観的な視点のイメージを持ちます。つまり、「カメラ=観客視点」の印象を与えやすいということです。 **Zoom(ズーム) -レンズの焦点距離を調整することによって被写体の写る範囲を変える方法。 -焦点距離の違いによって広角、標準、望遠の三つに大別されてます。 -ドリーとズームの違いは、ドリーはカメラが空間内を移動するので周囲の背景がパース変化するのに対し、ズームにはパース変化がないこと。 -原則、ズームを使用するときは一緒にパンを併用します。パンを伴わないズーム(センターフォーカス)は、味気なく稚拙なカメラワークに見えてしまうので、プロの撮影はセンターフォーカスを嫌う傾向があります。 -ですがもちろん、意図的に使いたがる演出家もいますし、民生用のカメラの感じを出したいときなどにも、安っぽさを演出するためにズームを多用する場合もあります。   **Crane(クレーン) -カメラの移動撮影。上下に動くカメラワークのこと。 -Crane up(上方向へ移動する)、Crane down(下方向へ移動する) -実写でクレーン撮影を行うためには本格的な機材が必要になるため、実際の作品中にクレーンショットがあると、それだけで映像に高級感を感じることが多い(かもしれません)。 **Follow(フォロー) -移動する被写体をフレーム内におさめるようにカメラワークを駆使するための指示。 -Trackを使用するときは被写体を追跡する場面が多いため、アニメ実写問わずフォローとトラックを混同して使用することが多いです。 -ですが、コンテ上では厳密に指示する必要があると判断し、パンのときはFollow Pan(またはつけPan)、移動撮影のときは上下左右前後に応じてFollow Track、Follow Dolly、 Follow Claneとコンテに表記します。 **回り込み -被写体の位置が変わらずに、カメラだけが位置と向きを変えて別のアングルから被写体を捉えるカメラワーク。 -カメラが主体的に動作するため、場合によってはカメラ自体の自己主張が強い向きがあります。 -『世界の中心で愛を叫ぶ』で、エアーズロックの上でカメラがぐるぐる回るシーンがあるらしいのですが、それがたぶん回り込み撮影です。 -よくハリウッドのB級アクション映画で、物語の冒頭にヘリの空撮でビル街を描写するベタなシーンがありますが、ひとつのビルを中心にその周囲を移動しながら撮影しているのも回り込みの一種です。

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