<魔法側シナリオ・ラメリアがカメラを見て驚くシーン> (この時点で魔法ではない科学という概念を誰も理解してない設定) 「ここまで精巧に部品が加工されているのですから相当な腕の職人がいるのでしょう。  ただそれよりも重要なのは「これ」から魔力が全く感じられない事です。  ○○(※1)の中にいるのですから外部から、つまりあの穴の向こうから彼らが  「これ」に魔力を送っているとは考えられません。  にも関わらず彼らの手元にあったのと同じ状態で今も動いているのです。」 「魔力が無いのにどうやってそれは動いているんだ?」 私はそこまで聞いて当然の質問をする。 「それが全く、不明というか、分からないのです。何の反応も無いのに  ボタンを押すと光を発して、この紙の様なものに景色が写り込むという事しかわかりません。  それも正確に写るのです。念写や遠視などとは違います。これは「見たそのまま」が写るのです。」 「なぜ写るんだ?」 「いえ、それが、何も分からないのです。調べては見たのですが。」 意外な答えが返って来た事に、私は少し戸惑う。 しかしそのすぐ後に、専門の研究員が何人も揃っているのに 一体何をやっていたんだという苛立ちが沸いて来る。 「何も分からないだと?一体どういうことなんだ?」 「いえ、その、私達も昨日から調査を続けてはいるのですが、  そもそも魔力の反応そのものが無いので検査のしようが無いのです。  ○○にしても○○にしても(※2)肝心の魔力が無い事には反応してくれません。」 魔力が無いとはどういう事だ。 私は疑問の対象を研究員達の勤務態度から目の前の黒い小箱に移す。 「何を言ってるんだ?魔力が無い物なんて見た事が無いぞ?(※3)  何にでも、何だろうと少しくらいは反応があるはずだろう?」 「ええ、本来ならそのはずなんですが、なぜか何も無いのです。」 「光る瞬間は調べたのか?あの瞬間にも魔力が出ていないのか?」 「光りを発する一瞬の間に微弱な反応があるのではと思って調べてみましたが、全くのゼロです。 有り得ない事ですが、「これ」は何の「力」も用いずに景色を紙に写し取る事が出来る様なのです。」 魔力が無いのになぜこの世界に作用出来るんだ? 私が考えている間に○○(研究員の名前)が続けて喋る。 「今の魔法理論では説明がつかないのです。魔力無しには何者もこの世界に存在できない  というのは魔術○○学(※4)の基本ですし、もう何百年も前から我々はそうして生きて来たのです。  にもかかわらず何の反応も無い。という事は、ですから、その、もしかすると、  彼らの持っていた「これ」は、本当に彼らの言うとおりにこの世界のモノではないのかもしれません。」 私は矢継ぎ早に質問するのを辞め、黙ってその不思議なモノを見つめた。 そして自分が焦り始めている事に気づいた。 この世界もモノでは無い。とすると何処だろう。 この世界以外に何処があるというのだ。 何があるというのだ。 昨日の妙な格好をした連中はあらかた○○(地名)辺りの少し変わった盗賊か何かだと思っていた。 あの穴にしたって珍しい、自分が見たことが無いだけの転送方式の一つだと思っていた。 それなのに今、目の前にあるモノは一体何だというのだ。 彼らは○○(※5)なアカデミーに居る様な、口先だけの○○(※5)じゃあない。 ○○国営機関、○○の研究員だ。 それが、成果ゼロ。完全に正体不明? ましてやこの世界のものでは無い? こんなことがあっていいのか? こんなバカな話が本当にあって、いいのか? 魔術学問の権威自らが面と向かって私に夢の様な話を聞かせるのだ。 これは冗談じゃあない。 私はしばし我を忘れ、話を聞き逃していた。 「ですが○○(ラメリアの階級を呼ぶ)、○○(穴が開いた場所の地名)の調査隊が  何か持ち帰ってくるかもしれませんので、まだ何かが分かる可能性はあります。」 幾分かの希望が含まれていたせいか、最後の部分は聞き逃さなかった。 「ああ、頼む。よく調べてくれ。」 聞き逃さず返事も返したが、○○(研究員)の態度からしてどうにも期待は薄そうだ。 つまり結局この奇妙な事件には解決のメドが全く立っていないという訳だ。 私はその一言だけを言うと、研究所を後にした。 私には先程の研究員達と違って何時までも一つの事に驚いている時間が無い。 ヴィストリア軍○○(階級)として、近衛騎士団団長として、母親として、 それぞれの自分を演じていかなければならないのだ。(※6) この手の注釈はなるべく文章中で自然に説明していきたいが、、、。 今の所ここだけなので仕方なく書きます。 (※1)外界からの魔力干渉を受けない実験室みたいな部屋。名前未定。 (※2)○○触媒燃焼法とか○○透過検証法とか、魔法を検査する方式。リトマス試験紙みたいなもの (※3)スターウォーズのフォースみたいに宇宙の万物に存在する力としての魔力。あって当然という認識    現実で言うなら重力とか電子とか微弱だけどまあ大抵それらを持ってますよみたいなもの (※4)現実で言う量子論とか宇宙物理学とかなんとか、そこら辺の壮大で根源的な学問類型。これは読者に伝わらなくても良い。 (※5)この世界特有のスラングで表現する。今は思いつかない。 (※6)この時点で@「穴」に対する軍部の政策決定への口出しA戦闘という意味での過激派への対処B子供の心配