コラム:【子供の糖質制限】


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。


【子供の糖質制限の是非】(下書き)

文責: 山 田 隆 博



子供に対する糖質制限の是非が論議を呼んでいますが,(疾患や発達障害がある場合以外)私は『禁忌』であると強く訴えます。

上記の主な理由として,
①低身長等の副作用
②脳の成長を妨げる懸念
③子供の教育上の問題

があるからに他なりません。

まず①についてですが,てんかんに対する小児のケトン食(『古典的~』に限定されるかは不明)において,低身長等の副作用が報告されています。
https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=23



糖質制限派の医師の中にも,小児への実践を否定する声が少なくありません。

たがしゅう医師も,この論点に関するブログをエントリされてますね。
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-340.html

その中で,IGF-1とインスリンの成長促進効果について触れられています。
インスリンが糖質摂取で分泌される事は広く知られていますが(※たんぱく質の摂取でも分泌されますが,程度に開差がある上,たんぱく質ないし糖質の単独摂取よりもたんぱく質・糖質の同時摂取が,最も多くのインスリンを分泌します),IGF-1はたんぱく質のみならず糖質でも同様に分泌されます。
そうなると,糖質を摂取しない事により,IGF-1分泌の片輪とインスリン分泌の大部分の素因が排除される結果となってしまいます。

さらに,
『2年のケトン食を実践後にもとの食事に戻したところ,1年後に身長が普通食のこどもに追いついたとする報告を示した論文』
を紹介していますが,その結果が普通食を摂っていたら伸びていたであろう身長の逸失分…を取り戻せたかどうか定かではありません。

ここで,いわゆる『古典的』ケトン食でなく,たんぱく質を制限しない修正アトキンス食(江部式スーパーもこの範疇に収まる)を摂取した場合はどうでしょうか。
私は,お子さん(下は5歳から上は中学3年生の20例)に糖質制限を実践させている親御さんとSNSを通じて知り合いましたが,20例の全てにおいて身長の伸びに支障が出ています。
再度確認しますが,たんぱく質を豊富に摂取していてもこの有様です。

上記のヒントとして,骨芽細胞の分化及び骨形成には,グルコースの取り込みが必要なことが挙げられるでしょう。
http://first.lifesciencedb.jp/archives/10421

ここで,糖質制限をしていても,糖新生で補えるのではないか…という疑問が生じます。
ただ,糖質制限をするとケトン体で一部のエネルギーを代替するので,グルコースの絶対量(総量)には差が出てしまいます。
さらに,『精製糖質』は“ドーピング”であるとの印象を個人的に抱いています。
ドーピングの話ではありませんが,トレーニングを本格的にされた経験がある方ならご理解頂けると思いますが,『ホエイ』プロテインを摂取した時の筋肥大及びパフォーマンスの向上は,他のプロテインや食事からのたんぱく質摂取とは比較になりません。
精製糖質の摂取は,ホエイプロテインと似たような効果があると思料します。

また,私は糖質制限は『人類本来の食事』であると信じています。
だからこそ,ドーピングである精製糖質を摂取しないと,身長も脳の発達も人類本来の程度にしかならないのではないでしょうか。

なお,小児の他の副作用としてアセトン血性嘔吐症が頻繁にみられ,この事実も糖質制限が勧められない根拠となっています。

次に②の脳の成長についてですが,脳はケトン体も利用できることは,糖質制限実践者ならご存知かと思われます。
そして認知症患者のみならず,健康な成人においてもケトン体の利用により,脳機能の向上が見られたとする報告は枚挙に暇がありません。
また,『三島塾』の三島学先生は,糖質制限食を取り入れた教育で顕著な結果を出されてますね。

上記については,ケトン体もBBB(血液脳関門)を通過する事が出来るので,アルツハイマー病ではグルコースの取り込みや利用に障害があり,そのため中鎖脂肪酸を摂取してケトン体の産生を増やすと神経組織のエネルギー産生が改善して症状が良くなると考えられており,また一般の健康な成人については,そもそも脳に限らず人間のメインエネルギーはケトン体であるので,脳機能が向上するとの主張があり,これについては私自身も大いに実感してます。
また三島塾での成績向上効果について,ケトン食はADHDなどの多動性のみならず自閉症にも効果があるとされており,それらの傾向がある生徒には抜群の効果が期待できるでしょう。

ただし,これらは何れも神経細胞であるニューロンについての一側面を捉えているに過ぎません。
ニューロンはケトン体も利用できますが,アストロサイトなどの中枢神経系に存在する(神経細胞ではない)グリア細胞は,糖質を主なエネルギー源としています。
成人であれば細胞の『維持』に留まるため,糖新生で充分賄えると思いますが,成長期の子供は『維持』のみならず『構築』に多大なエネルギーを要し,果たして糖新生のみで必要十分な量が確保できるか甚だ疑問です。
近年の研究で,筋肉のみならず脳も『グリコーゲンローディング』できることが明らかになりましたが,“ドーピング”である精製糖質を摂取した場合,その効果も絶大なものとなることが予測されます。

受験勉強自体は,決してそれほど高度な思考能力を要するものではなく,集中力が増せば確かに成績は向上するでしょう。
ただ,脳の構築(成長)のために糖質を充分摂取して大きくした場合と比較するに,『バルク』の違いは否めないと思われます。

最後に③の子供の教育上の問題についてですが,食育に関してのみならず,幼少の頃から厳格に教育したからといって,子供が真っ当に育つとは限りません。
むしろ『カリギュラ効果』により,親への反発が強くなる傾向がみられます。
事実,私のFBFの母親はお子さんに2年前から糖質制限を実践させ,当初はお子さんも黙って従っていましたが,高学年になって友達との付き合いでお菓子やジュースを隠れて買うようになり,それを母親が咎めたところ,母親に暴力を振るったそうです。

両親とも高身長で,お子さんも列の後ろの方に並んでいたにも拘らず,糖質制限を実践して以降,列の真ん中に並ぶようになり,成績も落ちてきたそうです。
母親への暴力は,そのような鬱憤が爆発したことによるものでしょう。

実は,私の知人の20例の親御さんのうち,半数以上が夫婦間で意見の対立が生じ,うち数件は離婚問題にまで発展しています。

上でも述べましたが,『人類本来の食事』である糖質制限を子供に強要すると,身長も脳も人類本来の程度にしか発達しないと強く信じています。

『健康長寿のため』と子供に言い聞かせたところで,子供は聞く耳を持たないでしょう。
カロリー制限下でのアカゲザルの実験ですが,若年でカロリー制限を始めた場合は寿命が延びる効果はみられなかったものの,中高年で始めた場合は効果がみられたとする研究結果があります。
http://www.asahi.com/articles/ASK1L2F7FK1LUBQU002.html

糖質制限でないとはいえ,カロリー制限であれば一定量の糖質は制限されているので,上記の実験と同じく若年からの糖質制限実施は,健康長寿には影響がないかもしれません。

よって,てんかん等の疾患や発達障害(ADHD,自閉症等)が子供にある場合は,利益衡量を鑑みて医師及び家族と協議した上で糖質制限を試すことは容認できますが,健康な子供に対する糖質制限の強要は,親による“虐待”であると断じざるを得ません。

(※後ほど加筆・推敲します)



今日: -
昨日: -
このページの合計: -