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2-B

クレイマンは、大人しく蛮に陰部を凝視される方を選んだ。
剃毛プレイよりはまだマシだ。
二次元の漫画を好む層にとっては、女性の陰毛は「無い」事が当たり前かもしれないが
現実の世界の、まともな神経を持つ女性ならば、陰毛が無い事は恥ずべき事だ。
「さ、さぁ……早く描いてくれ。出来るだけ手短に」
クレイマンは可能な限り強がってみせたが、彼女が平常な心理でいられない事は、蛮にはお見通しだった。
「手短にったってなぁ……お前も美術を志す者ならわかるだろ?
 絵ってのは緻密であればある程、手短に済ませる事なんざ……」
クレイマンは蛮を、珍しくキッと睨みつけると、そのまま無言の圧力をかけた。
「へっ……さすがのお前も、普段清廉に振舞ってる分だけ、やっぱり裸を凝視されるのは恥ずかしいらしいな」
「いちいちそういう事を言うな……女性に嫌われるぞ」
蛮は野原の上に座り込んで、スケッチの上にサラサラと鉛筆を滑らせた。
「お生憎さま、これでも女には好かれる方だぜ。まぁ銀次程じゃないケドな」
澄ました表情で、全体のアタリをとる。
「確かに、工藤卑弥呼さんも君の事を随分気にはかけていたようだが……」
そんなクレイマンの言葉を聞き流しつつ、蛮はスケッチブックとクレイマンの裸体を交互に眺める。

数十分経つと、蛮が筆を置いた。
「立ちっぱなしは疲れたろ。少し休憩を挟んでから再開だ」
クレイマンは足を崩して、シーツの上に座り込んだ。
「ふぅ……モデルになった事はあまり無いのだが、やはり疲れるな……」
裸のままで蛮のスケッチを覗き込むと、そこにはもう大まかなボディラインは殆ど描きこまれていた。
描きこまれていないのは、髪の毛のような繊細な部分、乳首の先端、指の爪などだ。
「こっから煮詰めにかかる。それに、線もシャープにしたい。
 第一、彫像を彫るんなら前面からのスケッチだけじゃ足りねぇ。左右と後姿、それに上下から見た図も必要だ」
上下……下の方からも、まじまじと見られるのか。
わかっていた事だが、やはり男性にこんな事を頼むべきではなかった。
「ところで、クレイマン」
だしぬけに蛮に呼びかけられて、クレイマンは一瞬虚をつかれた。
「……ん? 何だい?」
「マッパのくせにそんなに俺に近づいて、よく平気でいられるな?」
「馬鹿……。平気なわけがないだろう。スケッチブックを見せてもらいたかっただけだ」
「へぇ、そうかよ……」
蛮は、自分の斜め前に膝をついて座るクレイマンの肩に手をまわして、おもむろに抱き寄せた。
「なっ……君、何を考えている!」
咄嗟に片手で両の乳房を覆い隠すが、蛮はそんな事は気にもとめない。
ただクレイマンを抱きしめて、背中をさすった。その間、ずっと無言。
クレイマンは、ワケがわからなかった。
「……何のつもりだ、美堂君。私が欲しいのか?」
「くれるんなら、有難く貰うぜ? そもそも、目の前に若い女が全裸でいるんだ。
 何もしねぇ方が失礼だろ?」
目を見開くクレイマンの唇が何かを言う前に、蛮は優しい口付けでその言葉を塞いだ。
「ん……は……」
長い口付けの後でようやく唇を開放されたクレイマンは、酸素を取り込むように深く息をした。
「こ……こんな事をするために、君を呼んだんじゃないんだよ?」
「覚悟はしてたろ? 仮にも若い男の目の前でマッパになっておいて、何もされないで済むと思ってたのかよ?
 それに、何の予防措置も講じてないところを見ると、満更でも無いんじゃねぇのか?」
クレイマンがムキになって口答えしようとすると、すかさず蛮は口付け、再び言葉を塞いだ。
「んむ……ぅあ……ちゅる……」
今度のキスはディープだった。蛮は自分の舌を無理矢理クレイマンの口の中に押し込み、強制的に舌の先を擦り合わせた。
気がつくと、蛮の片手がクレイマンの片手を優しく握りこんでおり、離すまいとしていた。
まるで恋人同士の戯れのようだ。クレイマンは十代の頃のトキメキを思い出し、
今日ぐらいはこの火遊びに埋没しようと覚悟を決めて、乳房を隠していた手をおろした。
「……外でするのは、さすがに初めてだな……」
涎の糸をひきながら蛮から顔を離したクレイマンのその言葉に、蛮は逆にせせら笑った。
「そりゃあ結構。俺と違って、随分マトモなセックスしかしてこなかったみたいじゃねぇか」
蛮の身の上を知らないクレイマンは、その言葉の意味をはかりかねた。
もっとも裏稼業を営むぐらいだから、まともな生き方はしてこなかったのだろうとは推察出来たが。

「俺は、母親から見捨てられて、ババアやその弟子の世話になりながら生きた。
 けどその内、保護者達の庇護下を飛び出して、裏社会で生きるようになった。
 つっても当時はまだまだ子供だったから、普通に稼いで普通に暮らすなんて、土台無理な話だ。
 万引きや恐喝、時には薄汚ぇ年増の娼婦や、場合によっては趣味の悪い男にも抱かれて生計を立てたよ。
 娼館なら裏の情報が楽に得られるし、誰も殺さずに金を手に入れる事が出来たからな」
片手で軽やかに自分を抱きしめる目の前の男の、その目が一瞬墨をこぼしたように真っ黒になった事に寒気を感じながらも
クレイマンは、黙ってその話の続きに耳を傾けた。
「その頃さ。随分体が汚れちまったのは。
 変態どもはお外でするのが大好きらしくてな。俺が寝床にしていた廃墟のビルの裏手に、ドラム缶があったんだが……
 そのドラム缶の上が、俺の第二のベッドだった。
 逆さに置いたドラム缶の上に両手をついて、後ろから掘られたり。
 或いはそのドラム缶の上に股ぁ開いて座り込んだ三十路のババアどもの、アソコを舐めたり。
 もっとも、それさえ我慢すりゃあシャワーを浴びる事が出来たし、その日一日は飯も食えたがな」
クレイマンは、恐らく既に汚されきっているであろう蛮の胸板にもたれかかって、問いかけた。
「……君には、邪眼があるだろう? それでも汚れなければならなかったのかい?」
「あれは使用回数に制限があるし、同じ相手に同じ日には使えない。しかも効果時間は一分。
 騙しとおせるもんじゃなかったんだよ。夢の中で満足させても、終わった後で時計を見られたら即バレだ。
 相手が夢見てる間に逃げても良かったんだが、そんな事したら顔を覚えられて、その街で仕事出来なくなる」
あくまで平静を装いつつとうとうと語る蛮の顔に手を伸ばし、クレイマンはサングラスをとった。
「……すまないが、せめて今ぐらい、素顔でいてくれないか。今の君は……怖い」
チュンチュンと、小鳥の鳴き声が聞こえてくる。
丘をのぼってくるそよ風が近くの木の葉をさざめかせ、鳥達とハーモニーをかなでる。
その中に、場違いな音が混じっていた。
じゅる……ちゅる……ちゅぱ……ちゅぷ……
「ふ……くぅ……音をぉ……立てるな……」
野原の上にしかれた薄いシーツの上で、蛮はクレイマンを組み伏していた。
少年時代に鍛えられた舌使いは、クレイマンの乳首を一分と待たずにコリコリに勃起させた。
そこに赤子のように吸い付き、ちゅぽんっと勢い良く唇を離し、また吸い付く。
「どうよ、天才様の自慢のテクは。処女の卑弥呼を、耳だけでイかせた事だってあるんだぜ」
蛮は、かつて工藤兄妹と共に過ごしていた頃、遊び半分で卑弥呼に手を出した時の事を思い出した。
卑弥呼の抵抗するさまを見て、からかってみたいと思っただけだったのだが、
意外にも卑弥呼は、口で言う程には体の方は抵抗しなかったために、悪ノリしてしまったのだ。
「馬鹿……せめて、今ぐらい他の女性の事なんか、考えないで……くれないか……」
珍しく女っぽい口調で、「考えないで……」と言いかけたが、何とか強がって言葉を少し継ぎ足した。
だがそんな強がりは、百戦錬磨の蛮の前では無駄だった。
「お前、そっちの方が可愛いぜ」
「馬鹿……もう、可愛いなんて言われて喜ぶ年齢じゃ……」
それも、やはりただの強がりだった。いくつになっても、可愛いと言われて嬉しくない女性はいない。
美しいというだけなら、クレイマンは散々言われ慣れている。
蛮の舌のテクニックのみならず、言葉のテクニックによって、クレイマンのガードはどんどん下がっていった。
片方の乳首を唇で挟まれつつ、先端を舌で刺激される。もう片方の乳首は、人差し指の先でカリカリと小刻みに転がされた。
クレイマンは快感に耐えるように、蛮のシャツの裾を指先で軽く握った。
ふと目をあけると、上空には薄い雲がわずかに流れているだけだった。
皮肉な程に晴れ渡った青。彼女は今、神への冒涜をはたらいているような気分を覚えた。
それは罪悪感であるとともに、たまらない心地よさでもあった。
あぁ、背徳とはこういう事なのだな、と彼女は確信した。

蛮は、傍に転がっていた鉛筆を上下逆さまに持つと、削ってない方の先端を、クレイマンの陰部に押し当てた。
「ひっ……な、何のつもりだ?」
「なぁに。ありきたりなセックスしかした事のないお姐様に、アブノーマルな世界の片鱗だけでも味わわせてやろうかってね」
そう言うと蛮は、スケッチの際に使う羽ボウキをとりあげ、それでクレイマンの乳輪をこそばした。
「ひゃっ……! や、それ、くすぐった……」
彼女は感じているのか、単にこそばいだけなのか、よくわからない微妙な表情をした。
恐らく彼女自身、快感と可笑しさの狭間にいるのだろう。蛮は執拗に乳輪を責めた。
「美堂君……絵画の道具を……そんな事にぃ……」
「この程度でキョドってちゃ、世話ねぇぜ。蝋燭とか手錠とか使われるよりゃマシだろ?」
普通の人はそんなもの使わない、と言いかけて、クレイマンはその言葉を飲み込んだ。
恐らく、今自分を抱いているこの男は、そのぐらいは経験済みだろう。攻めと受けとに関わらず、だ。
それに比べれば、小鳥達の鳴いている傍で青姦されるぐらいは、何でもない事のような気がしてきた。
しばらく蛮は鉛筆と羽箒とでクレイマンをいじめていたが、段々と飽きてきた。
やはり女体というものは、直接触れるに限る。蛮はクレイマンの陰部に指を滑らせた。
「……っ」
ビクンッとクレイマンの体が跳ね上がりそうになる。
「良い反応だ。処女と違って手間がかかんねぇから、楽で良いぜ」
クレイマンは、もはや言葉を発しなくなった。口開けば、情け無い喘ぎが漏れそうだったからだ。
蛮は彼女のやせ我慢を楽しみつつ、二本の指をクレイマンの膣に出し入れし続けた。
時折、中で指を折り曲げて、肉壁を刺激する。見る見る内に、汁が流れ出てきた。
「もうそろそろ良いかな……っと」
既に脱力しかけているクレイマンの体を、手を貸して起こすと、そのまま四つんばいの格好をさせた。
「……ちょ、ちょっと待って、あの……」
何か言いかけたクレイマンを無視して、蛮は後ろから挿入を開始した。
「ぅあっ……ひあっ!……らめぇ……」
「ん? 何が駄目なんだぁ?」
わざと意地悪な言い方で問い返す。
「ぅ……だって、その……ちゃんと、顔見てしたいから……」
これには、さすがの蛮もキョトンとした。処女でも恋人でもない女に、そんな要求をされるとは思わなかったのだ。
蛮はしばらく考え込んだが、無視してそのまま奥まで一気に挿入した。
「ふぁあっ! ら、らめらってばぁ……!」
「知るかよ。俺はバックが好きなんだ」
無茶苦茶なマイペースぷりだが、元々彼はこうして獣のように交わるのが好みだった。
相手の自尊心を剥奪する事で、相手を自分の所有物にする。そうして少年時代、スラムを生き抜いたのだ。
「ふぁっ……あぁ……あんっ!……やっ……あふぅっ……ひぁあ!」
時に強く猛々しく、時に繊細に優しく、しかしペースを落とす事なく、蛮はクレイマンに腰を打ち続けた。
豊かな乳房がタプンタプンと前後に揺れ、乳首が放物線を描く。
汗と愛液がシーツの上にボタボタと落ち、シミを作る。
どんなに気高い女性でも、中身は肉欲の塊である。何者もそれを覆す事は出来ない。
クレイマンの中の、わずかに残っていた理性の壁も、今や消えかけていた。
傲慢な程に快楽を貪りたいという欲だけが、彼女の中に根をはろうとしていた。
「もっと……もっと突いてぇっ……もっとぉ……!」
蛮が後ろから片手を伸ばして、その指先をクレイマンの口にねじこむと、彼女は舌を伸ばして貪欲にそれを舐めようとした。
「へっ……正直なメス犬だぜ……っ」
予想外の締め付けに、蛮はもうそろそろお互いの絶頂が近いことを悟った。
ラストスパートをかけると、音はますます激しくなり、迸る愛液の量も目に見えて増えた。
「いくぜ、クレイマン……そらよっ!」
「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!!」

クレイマンの背中に飛び散った精液をふき取ってやりながら、蛮は彼女の背中のラインをまじまじと見つめた。
「見れば見るほど、天使のようなボディラインだぜ……
 いや、まぁ俺の見た事のある天使なんざ、ロクでも無ぇ化け物ばかりだったがよ……」
蛮はハァハァと肩で息をするクレイマンを抱き起こすと、その虚ろな目を覗き込んだ。
「おーい、大丈夫かー? 意識あるかー?」
「ん……大丈夫……」
クレイマンは起き上がると、そのまま倒れこむように蛮にもたれかかった。
「おい……起きろよ。スケッチすんじゃねぇのかよ」
だが、クレイマンはその言葉を無視して、いきなり蛮に口付けた。
「んな……っ」
「……ふふっ。私の頼みを断って、ケダモノのように後ろから攻めてくれた罰だ。
 さぁ、第二ラウンドといこうか。次こそは、ちゃんと顔を見て抱いてくれるね? でないとサングラス、返してあげないよ」
どうやらあの程度では、今日のクレイマンは満足ではなかったようだ。
夜までに帰れるかね……と、ホンキートンクに残してきた銀次の事を思い出しながら、
蛮は再びクレイマンをシーツの上に押し倒した。
  • 3-

「あ、蛮ちゃんお帰りー……って、どうしたの? 何だか凄く疲れてるように見えるケド……」
蛮の帰りが遅いので、ホンキートンクでミックスピザを注文して先に食事をしていた銀次の元に、
いかにも眠そうな目をゴシゴシとこすらせながら、蛮は帰ってきた。
「あんのアマァ……人をしぼりつくしやがって……」
あの後、細部まで完璧に再現するのならば、やはり陰部の描写を誤魔化すわけにはいかないとか
脇の下も女性美の隠れた魅力だとか、いろいろと理由をこじつけられて、合計五回程させられた。
下から見上げた構図がどうとかいう理由で、騎上位に発展したりもした。
「波児! 俺にもミックスピザだ! それとブルマンNo.1!」
「相当疲れたようだな。まぁ、食えるだけ食いな。ツケは支払ってもらうがな」
「うるせぇ! ちっきしょーあの女……やっぱ金貰っときゃ良かったぜ……」