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誰もが畏怖する。
誰もが恐怖する。
誰もが跪きながら、心の底では忌み嫌う。
誰もが機嫌を伺うように媚びへつらいながら、寝首をかく度胸も見せない。
誰も、それ以外の感情を見せてはくれない。
日ごろ偉そうに振舞う兄や、親しげに語りかけてくる姉も。
侍女も、部下も、誰も彼も。

黒鳥院夜半は、退屈していた。
呪術王や他の派閥の者達との駆け引き以外に、特にやる事の無い毎日。
チェスや将棋に興じてみても、呪術王以外の者は勝負どころか遊びにもならなかった。
鏡形而に『神の記述』なるものを薦められた事もあるが、興味は湧かない。
思ったより簡単に取り扱えたため、恐怖や驚愕はおろか、緊張感すら覚えなかった。
「これが、あの奪還屋達が梃子摺った代物……?」
夜半は下層階を見下ろすと、通行人の一人をカードの力で消し炭にしてみた。
突然火に包まれた通行人は、酸欠で喉を掻き毟りながら地面を転げまわった。
行き交う人々は男を助けようともせず、ただ蟻のように逃げ回るだけだった。

「あれ? それ『神の記述』だよね?」
「はっ、面白い遊びやってんじゃねぇか!」
舞矢と遊利が、興味津々といった風に夜半の傍まで歩いてきた。
だが、夜半は下界を一瞥すると、カード一式を舞矢に渡して立ち去った。
「夜半、これいらないのぉ?」
「……あの程度の表情なら、見飽きてる。宗家を壊滅させた時にね」
ふと、夜半は立ち止まった。
崩壊した風鳥院宗家の現当主・風鳥院花月。
今、愚かにも黒鳥院に対抗するためにビースト・マスターとこの城を目指している男。
彼なら……我が兄なら、もっと違った表情を見せ付けてくれるだろうか?

夜半は、遊利と舞矢を呼び止めた。
「ン……」
花月が目覚めたのは、檻の中だった。
意識はまだ若干濁っている。
混濁した意識の中で、記憶を手繰り寄せる。
そして、かつて同胞だった光の男・来栖柾の裏切りを思い出した。
痛みを堪えながら、身を起き上がらせる。
「痛っ……ここは?」
「花月さん気がついた?」
慣れ親しんだ少女の声に、花月は安堵した。
少女は花月の身を案じ、まだ安静にしているように促した。
「よかった……無事だったか、レン」
螺堂レンは医術をかじっているだけあって、慣れた手つきで花月に包帯を巻いていった。
痛み止めも塗布してはいるが、それも気休めにしかならない。
何にしろ、花月はまだ無理に動くべき体ではなかった。

花月は、この無限城に入るにあたって、パートナーを組んでいた筈の
士度の姿が見当たらない事に気づいた。
「そう言えば士度は……!?」
その疑問に、懐かしくも忌々しい声が答える。
「魔里人ならここにはいないよ」
実に数年ぶりのその声は、花月にとっては殺しても足りない程の憎悪をもって聞こえた。
「『第二の鍵』は王の手の中にある」
「黒鳥院……夜半!」
花月は本能的に、髪留めの鈴の中から絃を繰り出しかけた。
だが、聖痕を刻み付けている自分と、それを凌ぐ夜半の二人が
見境なしに戦っては、傍にいるレンを巻き込んでしまう。
殺したくてたまらない狂気を自制心でもって押さえ込み、きっと夜半を睨みつける。
「ふむ……まぁ合格だろう。恐怖されるよりはマシだ」
花月の眼光を受けても、夜半は微動だにしなかった。
「合格……? 何の話だ」
「私を、恐怖の眼差しでもって眺むる者は多い。……飽きる程にね。
 けれどお前は、この私に憎悪を向けてくれた」
夜半としては相手を褒めたつもりだったが、花月からしてみれば侮蔑以外の何物でもない。
一層眉間に皺を寄せる花月の眼差しに、夜半はマゾヒスティックに酔った。
「たまらないな……その目、その目だ」
夜半は、さっと手を挙げて合図した。
暗闇に控えていた遊利と舞矢が、祭蔵を伴って現れた。
「さ……祭蔵! それに、貴様らは黒鳥院の……っ!」
裏切りの祭蔵に、一族を滅ぼした夜半。そして、その配下。
花月にとって許すまじ者達が、今まさに彼の目の前に揃い踏みした。

「よぉ、『表』の雑魚当主様じゃねぇか」
「やっほーい、傷の具合は大丈夫ぅ?」
下衆な笑みを向けてくる二人の兄妹も十分憎たらしいが、
花月の目には彼ら二人は映っていなかった。
「祭蔵! 十兵衛達を解放しろ!」
夜半は、少しだけクスと微笑んだ。

きっと祭蔵は、風雅の三人を解放したくてたまらないだろう。
けれど、彼らの命を救うためには、解放したくても出来ない。
親愛なる風鳥院花月を敵にまわそうとも、
友である筧姉弟や雨流俊樹に信じてもらえずとも、
格下である遊利や舞矢に小馬鹿にされようとも、
この私に顎で使われようとも……
実に愉快じゃないか。
ヒトの次元では強者に位置するこの東風院祭蔵すらも、
そんな生き方を自らに強いねばならないとは。
「祭蔵、あの子達はちゃんと連れてきたぁ?」
舞矢は、事前の打ち合わせ通りに事を運んでいるか、祭蔵に確認した。
「……えぇ、ちゃんと連れて来てますよ。なぁ、皆?」
祭蔵が暗闇を振り返ると、カーテンの間を縫って風雅のメンバーが現れた。
「なっ……十兵衛! 朔羅! 俊樹!」
額に呪刺繍を縫い付けられた三人は、傀儡そのままに魂の宿らぬ足取りで花月の前に現れた。
「目を覚ますんだ、皆! 『裏』に操られては……っ」
その瞬間、檻の中の花月の胸に、衝撃波がぶつけられた。
勢い良く後ろに吹き飛んだ花月の背中で、盛大に壁がひび割れた。
「ぐはっ!」
「花月さん!」
それは、雨流の遠当てによるものだった。
「がはっ……と、俊樹……!」
「俺をその名で呼ぶな。そもそも『裏』の雑兵となった我々に、名など無い」
雨流は再び掌に氣を収束させると、今度はそれをレンに向けて放った。
激痛で体の自由がきかない花月は、レンをかばう事が出来なかった。
「よせっ、俊……っ」
「いぎぁあっ!」
花月に駆け寄ろうとしていたレンの背中に衝撃が走り、シャツが破れる。
そのまま彼女は前のめりに倒れ、花月の足元に転がった。
「いっ……ぐぅ……」
「レン!」
「心配するな。威力は格段に抑えてある。雷帝のスタンガンよりはマシだろう」
雨流はそう言うが、それでも十三歳の少女には耐えられない痛みだ。
反動的に涙をぼろぼろ零しながら、レンは花月の足にすがった。
「痛いよ……助けて、花月さん……」
「レン……待ってろ、今すぐ僕がこいつらを……」
だが、その瞬間檻の中に放たれた黒い絃が、二人を引き剥がす。
絃にからめとられたレンは、入り口の辺りまで引きずられていった。
ザザザ……と音をたて、床と足が摩擦する音が響く。
レンを捕らえたのは、舞矢だった。
それも夜半も指示によるものだった。
「君がどうやって我々を倒すというんだい? 若様」
夜半は次に祭蔵に目配せした。
祭蔵は、花月に申し訳ない気持ちで一杯になりながら、
花月を絃で壁に縫い付けた。
「こっ、これは……っ! 祭蔵! 何をする!」
無数の絃が壁から現れ、花月の体の前を通って、また壁に突き刺さっていく。
花月の体に、さながらハムのように絃が食い込み、彼は壁に固定された。
「悪く思うな、花月。命が惜しいんだってば……」
遊利は檻の鍵をあけた。
無表情のままの夜半に変わって、遊利がほくそ笑む。
「さぁって……ショータイムと行こうか」
その目線の先には、恐怖で顔をひきつらせたレンが座り込んでいた。
「やだぁっ! やめろぉーっ!」
「遊利! その子に手を出すな!!」
檻の中で、レンの服が乱暴に剥ぎ取られていく。
刃物と化した遊利の腕が、レンの肉体を傷つけないギリギリのところで、衣服を切り捨てる。
下着すらも取り払われ、レンの裸体があらわになった。
レンは両手で体を隠したが、その様は遊利を興奮させるだけだった。
「よぉく見てろよ、雑魚当主様よぉ。お前に関わった人間が、どうなるのか……」
「やめろぉぉぉぉぉ!!!!」
遊利はレンを押し倒すと、彼女の手首をつかんで無理やり両腕を開かせた。
隠せなくなった乳首が、衆目の前で薄明かりに照らされる。
「ひぐっ……や、やめろよぉ……やめろってばぁっ!」
「るっせぇ餓鬼だな。乳は小せぇくせに声だけデケェ」
遊利は彼女の口元を、自分の唇で無理やり抑えた。
レンにとっては、ファーストキスだった。
「んんっ……」
レンは一瞬、口付ける遊利の唇を、憎しみにまかせて噛もうかと思った。
が、そんな事をして機嫌を損ねたら、もっとひどい事をされかねない。
レンは諦めて、花月に捧げたかった自分のファーストキスを、
目の前の下賎な男の欲しいままにさせてしまった。
遊利が唇を離すと、レンは鼻をすすって花月に謝罪し続けた。
「ごめんなさい、花月さん……ごめんなひゃいぃ……うぇえ……」

自分がついていながら、彼女を危険な目に……。
そう悔やんでいる花月の目の前で、舞矢が服を脱ぎ始めた。
「ジャーン、出血大サービス! 今日は若様にぃ、美女三人の痴態を
 心行くまで楽しんでもらいたいと思いまーっす!」
裸になった舞矢は、朔羅を引き連れて檻の中に入ってきた。
「何をする気だ……舞矢」
舞矢はクスリと笑うと、人差し指を真上に突き立てた。
その瞬間、彼女の後ろに控えていた朔羅の衣服が、一瞬でスパッと切れた。
まるで赤屍蔵人に切り裂かれたかのように、見事にバラバラと衣服が脱げ落ちる。
だが、朔羅の体には傷一つ無い。
「若様は動かないで良いからね。たぁっぷり、楽しんで下さい、ね?」
舞矢はそう言うと、花月を憧れの目で見るレンに見せ付けるかのように、
身動きできない花月の唇を奪った。
「か……花月さん……」
「んむっ……舞矢! 何を……っ」
これみよがしに自分と花月の口付けをレンに見せた舞矢は、
これもまた、レンに見せ付けるようにわざとらしく唾液の糸をしたたらせた。
花月の唇から舞矢の唇の間に、うっすらと光る筋が見てとれる。
「か……花月さん……」
憧れの男性の名を呼び懇願するレンの口を、遊利が再び唇で塞ぐ。
「んむっ! んんっ……むぁ……はっ……」
粗暴なその男の舌は、無垢な少女の唇を無理やりこじあけた。
恐怖で拒絶の言葉も搾り出せないレンの口の中に、
とろりと一筋、涎を流し込まれた。
喉の奥に唾液を直接受けてむせたレンが、ゲホゲホと声を荒げる。
「か、はっ……も……やめてぇ……」
生命と貞操の両方を一度に窮地に陥らせた女の見せる表情は、遊利にはたまらなかった。

「良いなぁ、あれ。あちしもしてみよっと」
遊利とレンのディープキスに触発された舞矢が、再び花月に口付ける。
だが、舌でもって懸命に彼の唇をこじあけようとする舞矢に、花月は必死で抵抗する。
きつく閉じられた唇の継ぎ目を、舞矢の舌が左右に行ったり来たりする。
舞矢が諦めて唇を離した隙をついて、花月は言葉を搾り出した。
「覚えていろよ、裏風鳥院……必ず、僕が……貴様らをぉ……っ」
夜半は、花月の見せたその侮蔑と怨嗟の瞳に、三割程満足した。
だが、まだまだ足りない。
この程度の顔なら、今まで散々見てきた。
風鳥院を滅ぼした時、自らの実父や、命乞いを良しとしなかった十三絃達。
彼らが死の間際に見せた怒れる瞳と、今の花月の瞳は大差無い。
今までに見た事も無い程の鬼の形相を見せてもらえなければ、楽しくない。
夜半は、まだ当分この宴を終える気にはなれなかった。
舞矢は朔羅と顔を見合わせた。
憤慨し、あろう事かまだ抗う意思を見せる風鳥院花月に、ある種感動した様子だ。
「あはっ! 若様カッコイー!」
舞矢がまた何かしでかしそうだと直感した花月は、再び唇をきつく閉じた。
だが、そんな事は無駄だった。
何故なら、舞矢の次の狙いは、彼の唇などではなかったからだ。
舞矢は唇を尖らせて、花月の片方の乳首に吸い付いた。
「……!?」
花月は驚いたが、声をあげはしなかった。頑なに口を閉じていた。
それを良い事に、舞矢は朔羅に向けて、合図代わりにウィンクしてみせた。
合図を受けた朔羅は、花月に一礼した。
「失礼します、花月様……」
朔羅は舞矢の隣に立つと、反対側の乳首におもむろに吸い付いた。
朔羅、何を……っ!
そう叫びたいが、意地が彼の口を開かせない。
口を開いた途端、舞矢につけこまれるとわかっているからだ。
「あはっ! 若様女の子みたいに可愛いから、おっぱいも美味しいかなって思ったんだけどぉ」
舞矢は挑発気味にそう言い放つと、丹念に花月の乳首を弄り始めた。
「ぅ……っ」
くぐもった声が、花月の口から漏れ出る。だが、根性で口だけは開けない。

「へっ、面白そうな事やってんじゃねぇか。
 ま、俺ぁ男だから、あっちに参加したいとは思わねぇが」
遊利はそう言うと、もはや抵抗の意思さえ崩れてきたレンの胸に、
爬虫類のように舌の先を這いまわらせた。
「やだぁ……ふぐぅ……っふう……」
「はっ! こっちはこっちで、男みてぇに平たい胸してんなぁ!」
遊利はレンの控えめな乳房を鷲掴みにすると、そのまま力をこめて引っ張った。
「いっ痛い痛い! いっ、いぎっ! いぁあっ!」
牛の乳を搾る要領で、乳房の根元から乳首の先端まで刺激を加えていく。
揉み甲斐は無かったが、この被虐の表情は十分に価値がある。
遊利は、泣きじゃくるレンの乳首を、人差し指でピンと弾いてみた。
祭蔵は、憤りをひた隠しにして夜半の後ろに待機していた。
黒い繭の中にいる三人は、きっと今頃、祭蔵が憎くて仕方ないだろう。
特に朔羅には、本当に申し訳ない事をしてしまっている。
だが、それも全て、命を奪われるよりはマシだと思っての事だ。
感謝はされないだろう。
彼らなら、生きて恥辱にまみれるより、いっそ殺して欲しいと願うかもしれない。
だが、祭蔵は身内の尊厳死よりも、彼らに生きていて欲しいと願う自分の気持ちを優先させた。
将来にわたって理解はされまい。
仮にされたとしても、自分は取り返しのつかない事をしてしまっている。
懸命に花月の胸板を舐め回す朔羅を見ていると、自分が堕ちるのは地獄すらも生温いと思った。

舞矢と朔羅は、花月の胸を舐め回しながら、同時にその巨乳でもって
彼の腹を撫で回してもいた。
豊満な乳房と、先端の硬い突起物が、花月の腹筋を刺激する。
ともすれば、くすぐったさに笑ってしまいそうにさえなる、屈辱の拷問。
だが、同時にそれは快感でもある。
男である以上、振り払おうとしても振り払えない悦び。
花月の顔の筋肉は緩み、先程まできつく閉じられていた両目も
今や薄く開かれ、聖痕は虚ろになりかけていた。
その艶かしい表情も相まって、今の花月は女性そのもののようだった。
女性にはあり得ない下腹部の膨張さえなければ、誰が見ても三人のレズビアンに見えた事だろう。
朔羅は花月の股間部分を、掌で撫で始めた。
花月は、なるべく唇を開かないように気をつけながら、小さな声で朔羅を嗜める。
「やめろ……朔羅っ……」
だが、朔羅は何食わぬ顔で、花月の股間の膨らみを触り続ける。
触っているのかいないのか、という程の微妙な力加減。
恐らくは舞矢の意思が関与しているのだろう、普段の清楚な朔羅からは想像出来ないテクだ。
本能は、このままズボンを下ろして、この女達にしごいてもらいたいと叫び続ける。
花月は激しい程の理性でもって、その感情を封殺し続けた。

遊利はレンを四つんばいにさせると、自らはズボンを下ろし始めた。
レンに恥ずかしいポーズをとらせる事は、恐怖による支配の下では容易かった。
「ごめんなさい、花月さん……ごめんなさい、爺ちゃん……ごめんなさい……」
ぼろぼろと涙を床の上に零しまくりながら、レンは何度も何度も呟いた。
一番恥ずかしい部分を、尻の穴まで含めて、自ら背後の男に突き出す。
女性の中には、一生そんな体位で交わらない者もいるというのに、
ましてわずか十三歳の少女では、もはや生きていけなくなる程の絶望が感じられた。
明日からどんな顔して生きていけば良いのか……どころの話ではない。
明日などという概念すら、頭の片隅にも残らない。
この時間が今すぐにでも終わって欲しい、ただそれだけを、切に願い続ける。
だからこそ、遊利が次の瞬間言った台詞は、彼女に希望をもたらした。
「安心しろ、すぐに済ませてやっからよ」
だが、それは額面どおりに受け取れる言葉ではなかった。
少なくとも、安心など出来る類のものではない。
遊利は、まだ濡れてもいないレンの秘所に、無理やり男根を捻じ込んだ。
「いぎゃっ! い、いひっ、痛いぃ! 痛ひいぃっー!!」
遊利は余程自制心がきかないのか、彼が挿入を開始したと思った次の瞬間には
既にレンの膜は裂け、痛々しく出血していた。
「言ったろ? すぐに済ませてやるってよ」
本当なら、濡れていない処女の膣に、成人男性の立派なモノが易々と入るわけがない。
だが、遊利にとってはそんな事は、ほぼ関係無いと言って差し支えない。
全てにおいて無理矢理我を通してきた男に、処女の膣の抵抗感など問題にあたらない。
レンは、先程の彼の言葉に、一瞬でも安心しかけた自分が悔しかった。
「レン……!」
とうとう彼女を守れなかった花月は、彼女への申し訳なさと
自分の不甲斐なさに、たまらなく腹が立った。
この場の全ての人間を殺した後で、自分すらも殺害して罪を贖いたい。
だが、今の自分では黒鳥院を殺す事はおろか、自害さえままならない。
舌を噛み切れば人間は死ぬというのは、実は大嘘である。
人間はその程度では死なないし、あるとすれば、
噛み切った舌が喉につかえて呼吸が出来なくなって窒息する程度である。
花月はその事を知っていたので、この場で自分に出来る贖罪は無いとわかっていた。

もはや意識をしっかりと保つ事も難しくなってきた花月を、
なおも舞矢と朔羅は責め立て続ける。
花月のズボンはパンパンに膨らみ、朔羅はひたすらそれを撫で続ける。
胸は、乳首を中心としてもう水をかぶったように濡れていたし、
また彼の意思に反して、硬く尖ってもいた。
「んふふ~。若様、レイプされて感じるなんて、はしたなぁい」
返す言葉も無い。
弛緩しきった顔の筋肉は、もはや唇をきつく閉じる事すらも忘れていた。
朔羅は少しだけ姿勢を高くし、花月の唇に自らの唇を重ねる。
相手が朔羅だからか、それとも意識が混濁してきたのか、
花月は抵抗一つせず、彼女の舌をねっとりと受け入れた。

「見てるかぁ? 貧乳娘ぇ」
遊利はレンの髪の毛を掴んで、無理矢理花月の方を向かせた。
彼女の視界にうつった花月は、もはや憧れの対象ではなくなっていた。
花月とレンは、お互いに「見ないで……」と呟いた。
だが、その声は互いの耳には届かなかった。
夜半は、花月の表情がつまらなかった。
この程度で陥落し、悦楽に身をまかせるような男とは思わなかった。
花月には、恐怖を通り越して、殺意を抱いてもらわねば困るのだ。
それも、並みの殺意ではない。
世界の全てを破壊しつくしたいと本気で願ってしまいかねない程の、この上ない殺意。
ただ殺すのではない。
指の関節を一つ一つ圧し折り、肋骨を砕き、肺に穴をあけ、
肩の関節を無理矢理外し、股を裂いて股関節を脱臼させ、
尿道を痛めつけ、目玉を抉り、耳を素手で引き千切り、
鼻を万力で粉々にすり潰し、背骨を素手で剥がして、
ゆっくりと、ゆっくりと、時間をかけて嬲り殺す。
世界中の人間を、それ程の残虐性でもって滅ぼしたいと願う程の
それこそ赤屍蔵人すらも到達していない程の純然たる殺意。
それを、花月には抱いてもらわねばならないのだ。

「コマが足りないかな。……祭蔵」
夜半は祭蔵を呼んだが、それ以上何も口にしなかった。
夜半の部下たるもの、これだけで彼が何を言おうとしたのか察せねばならない。
祭蔵は冷や汗をかきつつ、慌てて「はいっ、只今……」と返事した。