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義父に暴行された・・・・
1 :レミ◆gl85fiQ30 :20○○/3/08(日) 02:31:12
  突然ですけど、誰か私の悩み聞いて下さい。
  私は、ずっと以前、義父から暴行を受けた事があるんです。
  義父は当時、私の家庭教師の人でした。
  受験勉強の相談に乗る振りをして、甘い言葉を私にかけて、私
  に酷い事をしたんです・・・・
  母は何も知らないし、私もとても打ち明ける気になれません。
  あんな人達と一緒に暮らすなんて、とても出来ません。
  今はバイト先に頼んで住み込ませてもらってます。
  学校へも、バイト先から直接通ってます。
  でも、今でも私は、あの時の事を夢に見て、朝起きるとボロボ
  ロと涙をこぼしたりするんです。
  まわりには親切で優しい男の人達もいっぱいいるのに、どうし
  ても触れるのが怖く感じます。
  店長から買い物のメモを受け取るだけでも、指先が触れそうに
  なるのが怖くて、内心ビクビクしてるんです。
  どうしたら良いですか?

2 :>>1:20○○/3/08(日) 05:40:35
  糸冬了


  まずは改行どうにかしろ
  話はそれからだ

3 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 07:02:02
  >>1
  肉便器乙

4 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 07:05:58
  >>1イ㌔

5 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 09:31:12
  >>1は無理矢理中古品にされたわけだな
  >>1の人生オワタ\(^o^)/

6 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 09:45:11
  >>1が無理矢理犯されて鼻水まみれになってるとこ想像して抜きますた

7 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:00:00
  話の流れから察するに、店長は男か?
  男が怖いくせによくそんなとこに住み込みでバイト出来るな

8 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:01:37
  要は釣りって事でおk?

10:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:02:45
  >>1
  甘えんなヴぉけ
  女は股開いてナンボじゃ



MAKUBEXは辟易としていた。
電子に管理された現代において、この手の電子掲示板の利用者は年々増加している。
一昔前はアングラだったのが、いつしか主婦が献立の参考に使うようにまでなった。
当然、ネチケットも何も備わっていないようなクズまで、訪れる事もしばしばだ。
だが、誹謗中傷は最低限相手を選んでするべきだろう。
これではネチケット云々以前に、人としての道徳の欠落に過ぎない。
万一、これが嘘ではなく、真実だったらどうする気だろう?
この無遠慮な書き込みに追い詰められたレミという女性が、自殺を図ったら?
その時、誰か一人でも責任をとれる者が、この中にいるのか?



11:Macbeth:20○○/3/08(日) 10:05:29
  いい加減にしろよお前ら。
  レミさんが自殺したら、お前らのせいだからな。
  >>1の書き込み時間、よく見てみろよ。
  夜中の二時~四時の間というのは、恒常的に精神を追い詰められてる人が
  一番不安を感じやすく、一番人に縋りたくなる時間なんだよ。
  誰か一人ぐらい、真面目にレミさんの事を考えようとしないのかよ?

12:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:12:07
  >>1の自演キター

13:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:13:54
  >>10
  俺は>>4でちゃんと励ましたつもりだけど?

14:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:29:01
  >>4がとても「真面目」なレスに見えないのはさておき
  >>11が痛いのは確か

15:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:31:45
  わざわざコテつけてる辺りが、もうね…

16:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:31:45
  日曜だからこんな痛い厨が湧いてくるんだな。

17:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:38:12
  >>15-16
  時間スゲェェェェェェェェェ!!!111

18:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:45:20
  >>1=>>11
  これはいい自演

19:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:46:12
  普通の人間は夜中の二時に起きてなんかいない。
  そんな生活が出来るのは、ニートか登校拒否時くらいのものでしょ?
  トラウマが元で引きこもりになるくらいなら、
  こんなトコ来てないで精神科池。


  あ、そんな金引きこもりには無いか?
  自演するだけの暇はあっても。



「……何て事だ。IDの表示されない掲示板はこれだから」
ちょっと固定HNを使っただけで厨扱いされた挙句、正論は封殺されてしまった。
(いや確かにMAKUBEXは年齢的には中学生だが)
「お、今日はどこのレス覗いとんや、MAKUBEX」
ネットを覚えたての笑師が、スレとレスの違いも判らないまま知ったかぶって用語を使ってくる。
「ん~、何々……人生相談?
 何やコムズカシイもん見とんねんなぁ。
 ……しかもこれ、暴行て。要はレイプっちゅうこっちゃろ?
 世の中にはこんなレスもあんねんなぁ。人生相談なんかネットでやらんと、
 現実に周りにおる人等に話聞いてもらえば良いのに」
笑師は、かつてMAKUBEXが自分の実在を疑った事もあるのだという事を、
そしてそれを彼が誰にも相談出来ず一人で悩んでいた事を、踏まえた上で、そう言った。
それは、今ではMAKUBEXが笑師達に心を開いてくれているという、確信があったからだ。
だが、MAKUBEXは笑師の意見に、素直に同調する事は出来なかった。
無論周囲の人間に打ち明けられれば、それに越した事は無い。
だが、それで解決出来ないからこそ、追い詰められた者達は最後、
自分の殻に引き込もり、ネットの世界に縋りたくなるのだ。
今でこそ身体的にも精神的にも『外』に出られるMAKUBEXだが、
かつて孤独感に苛まれていた頃の心情は、今でも忘れてはいなかった。
「……僕が、この人のためにしてあげられる事って、何だろう?」
MAKUBEXは考え込んだ。
なまじ彼には、電脳の海に飛び込むだけのスキルがある。
やろうとは思わないが、その気になればこの掲示板に書き込んでいる全員の
IPも抜けるし、うまくすれば、自作のブラクラを踏ませて少々困らせてやる事だって出来る。
だが、このレミという女性に必要なのは、中傷する者達への報復ではない。


MAKUBEXは、悪いとは思ったが、レミのIPを確認してみた。
さすがに発信元の都道府県までしかわからないが、レミという女性が
少なくとも都内でこのスレッドを立てたのだという事は、容易にわかった。
言うまでもないが、MAKUBEXも都内に住んでいる。
そして東京は、決して広くない。会おうと思えば会える。
「……」
考え込むMAKUBEXの元に、朔羅がやって来た。
彼女はディスプレイの表示内容を確認し、MAKUBEXの考えを瞬時に読んだ。
この辺りは、さすが保護者と言ったところだ。
「あなたの考えている事はわかるつもりです、MAKUBEX。
 この女性のために、何かしてあげられる事は無いか……そう思っているのでしょう?」
「うん……でも」
朔羅は、間髪いれずに言葉を続けた。
「自分に何が出来るかもわからないし、何もしてあげられない可能性の方が高い。
 それに、万が一何かしてあげられる事があるとしても、直接会うのであれば
 自分以外にもう一人以上、誰か女性がいた方が、安心させてあげられるのでは……
 そう考えてるでしょう?」
MAKUBEXは驚いた。
正直、ここまで読まれているとは思わなかった。
いや、冷静に考えてみれば、ここまでは当たり前の思考だ。
普段あまりにも朔羅が自分の事を理解してくれるものだから、
別に朔羅でなくとも理解出来るような思考を読み当てられた時ですら、
こうして戸惑ってしまう。
「僕に確実に出来るのは、誠意を見せる事だけだ。
 そこから先何が出来るのか、それはこのレミさんがどこまで僕を信用してくれるかにかかってる」
「お手伝いしますわ、MAKUBEX」
MAKUBEXは頷くと、自分のメールアドレスを掲示板に書き込んだ。



26:Macbeth:20○○/3/08(日) 11:14:41
  ○○○○○○○○.○○○@○○.ne.jp
  >>レミさんへ
  僕を信用していただけるのであれば、上記のURLへメールを下さい
  僕の姉も、あなたの事を心配しています
  僕達で良ければ、何か相談に乗れる事もあるかもしれませんし・・・



案の定、掲示板利用者達から様々な野次が飛んできたが、MAKUBEXは無視を決め込んだ。
最初の書き込み以降、レミと名乗る女性からのレスが無い事も気にかかる。
まさか早まって自殺……などは無いだろうと思いたいが、
この掲示板に愛想を尽かして、さっさとPCの電源を落としてしまった可能性もある。

だが、その日の夕方ごろ。
無数に届いていた、恐らくは先程の掲示板の利用者達から送られてきた悪質な
悪戯メールやウィルスメールの中に、一通だけ本命のメールが混じっていた。


          • Original Message -----
From: <△△-△△△-△△@△△△.ne.jp>
To: <○○○○○○○○.○○○@○○.ne.jp>
Sent: Sunday, March 08, 20○○ 16:42 PM
初めまして、レミです。
トリップに使った文字を書いておきます。
→□□□□□□
これを、私が本物だという事の証明にしたいと思います。
ちゃんと表示されるか、確認してもらっても良いです。

正直、ネットでこんなに私の事を気にかけてくれる人がいるとは思ってませんでした。
掲示板は冷たい人達ばかりなので、諦めかけていました。
私は――――



以下、余程日ごろからネガティブな思考を溜め込んでいたのか、
レミと名乗る差出人は、現状への不安を長々と、本文にしたためていた。
トリップに使用したという文字列を試してみると、確かに
掲示板にて表示されていたトリップと、全く同じになった。
またアドレスから見るに、先程抜いてみたIPと一緒に表示されていたプロバイダとも
合致したので、もはや疑う必要は無かった。
「レミさん本人からメールが届いたよ、朔羅」
「良かったですね、MAKUBEX。これって、いわゆるメル友というものでしょうか?」
その日から、MAKUBEXと「レミ」のメール交換が始まった。



MAKUBEXがMacbethとして、レミと名乗る女性と
メールのやりとりを始めて一月程経過したある日。
いつしか二人は、PCのメーラーではなく、
携帯電話のメール機能でメールを交換しあうようになっていた。
元々レミの方はPCを持っていないのか、最初から携帯電話でメールを送ってきていたのだが
信用を得るために、MAKUBEXの方もPCではなく、より身近な携帯電話を使うようになっていた。
少しずつ、根気良く接し、相談に乗り続けてきた努力が、とうとう実った。
MAKUBEXは、レミと直接会う事になったのだ。



4/10 14:40
Macbeth
もしよろしければ、今度直接お会いしませんか?
僕は十四歳の非力な子どもですが、それでも不安でしょうから、姉にも同行してもらいます。
レミさんの方も、大人の男の人を一人誘っておけば、安心でしょう?
いかがですか?


4/10 14:45
レミ
そうですね・・・怖がってたって、始まらないし。
確かMacbethさんも新宿近辺に住んでるんでしたよね?
待ち合わせ、どうしましょうか?



正直、もっと長い時間迷うだろうと思っていたのだが、
わずか五分で返信が来たのには驚いた。
しかも、殆ど二つ返事だ。もっと何日もかけて説得する事になると思っていたのだが。
MAKUBEXはレミと詳細なやり取りを続けて、日時と場所を決定した。
「良かったですね、MAKUBEX。あなたならきっと、レミさんの力になれますよ」
「そ、そうかな……? 僕なんて子どもだし、ありきたりな言葉しかかけられないと思うし……」
「そのために、レミさんと同じ女である、私が同行させていただくんですよ。
 あなた一人で足りない部分は、私が埋めますから」


当日。
MAKUBEXは目印のイルカのチョーカーを首にかけて、待ち合わせ場所……
ホンキートンクに向かった。
ここを待ち合わせに指定したのは、レミの方だった。
裏新宿の中では比較的治安の良い区画にある、至って平凡な店だ。
待ち合わせの場所としては、まぁ悪くない。
しかし、同時に嫌な予感もしていた。
「ホンキートンクって……銀次さん達の馴染みの店だよね?」
「たまたまじゃないですか?」
朔羅は、とくに気にもとめない風に、MAKUBEXの後をついて行った。
ドアを開け、入り口をくぐる。
案の定、見慣れたメンバーがそこにはいた。
「よぉヒッキーじゃねぇか。何しに外に出て来たんだよ?」
「またすぐ蛮ちゃんはそういう事を言う……」
「お久しぶり、二人とも。……えーっと」
挨拶もそこそこに、MAKUBEXは店内を見渡した。
が、客席はがら空きだ。しかし待ち合わせにはまだ十五分ほどある。
その内来るだろうと思って、わかりやすいようにカウンター席に座ろうとする。
「おいヒッキー、ここは波児が認めた男だけが座れるんだぞ」
かつて自分は素直にカウンターに座らせてもらえなかった経験から、
蛮はMAKUBEXに、テーブル席に移動するように促した。
だが、波児はMAKUBEXがカウンターに座る事を、快く受け入れた。
「良いんだよ、この少年は。よう少年、いつぞやは世話んなったな」
「世話……?
 あぁ、地下闘技場で銀次さんが雷帝になった時の事ですか?
 あれはむしろ、マスターがあのファイルを僕に送ってくれたお陰ですよ」
どうやら二人は、直接の会話は初めてに等しいものの、
既に信頼関係が出来上がっているようだった。
蛮にとって、それはあまり面白くなかった。

「おいヒッキー、今日は何の用事で来たんだよ?」
「うるさいなぁ……待ち合わせだよ、ただの」
「ふぅ~ん、待ち合わせ、ねぇ」
蛮の軽い憎まれ口を受け流しながらも、MAKUBEXは時計をちらちら確認していた。
もうあと三分くらいで予定の時間になるが、レミは一向に現れる気配が無い。
やはり信用を得るには今一歩足りず、ドタキャンされたのだろうか?
……それならそれで仕方ない。
自分の努力と誠意が足りなかったせいだ。
と言っても、まだ時間はある。本当に予定の時間を過ぎてから、メールを送ってみよう。
ひょっとしたら、電車なりバスなりが遅れているだけかもしれないのだから。


とうとう約束の時間になった時。
カウンターにいたアルバイトの内の一人が、いそいそとエプロンを外し始めた。
丁度シフト上がりの時間なのだろうと思って気にもとめなかったが、
アルバイトの少女はそのままカウンター越しに、MAKUBEXの目の前に立った。
「あ、あの……Macbethさんですよね? レミ……です」
「……え?」
その顔は、よく考えてみると見覚えがあった。
かつてGetBackersが神の記述を用いて戦った時、敵側にいた子ども達の一人。
あの戦闘には直接参加していなかったが、データだけなら参照した事はある。
本名はよく覚えていなかったが、確か通り名は……
「レミ……エル……」
「は、はいっ。あの、えっと……初めまして、かな?
 あでも、メールは一ヶ月も前からやってたし、えっと……」
MAKUBEXは、自分の知る限りの情報と、現状を照らし合わせてカリキュレーションを始めた。
もっとも周囲から見れば、ただ呆然としているだけにしか見えないのだが。
ふと隣を見ると、蛮はしたり顔でニヤニヤと笑っている。
銀次と夏実は祝福でもするようなニコニコ具合だし、波児も愉快そうに煙草をくゆらせている。
朔羅だけが、MAKUBEX同様に事態を把握しきれず困惑している。
MAKUBEXは一気に顔を赤くして、今までに無いくらいの大声を出した。
「ハメたなアンタらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


テーブル席に移動して、レミ……レナとMAKUBEXは、向かい合って座った。
レナは申し訳なさそうに、MAKUBEXに釈明する。
「あ、あの、掲示板に悩み相談を書き込んだの自体は、真剣なんです。
 Macbethって名前で書き込みがあった時も、あなたの事だとは気づきませんでしたし……
 って言うかあなたの事、名前もよく知らなかったし……
 ただ、ケータイでのメールの送受信の履歴を、偶然先輩に見られちゃって、
 そんで『これ無限城のMAKUBEX君の事?』って聞かれて……」
MAKUBEXは、恨めしい程深いため息を吐き出した。
「それで……途中から僕だと気づいていながら、
 知らない振りしてメールしてたわけだ」
「ご、ごめんなさいっ!
 あの、だって、確証があったわけじゃないし、その……
 今日会って、直接顔を見るまでは、断定出来ないし……」
朔羅はMAKUBEXの隣ではなく、既にレナの隣に座っていた。
今にも泣き出しそうになるレナの頭を優しく撫でて、場を取り持とうとする。
が、朔羅の努力とレナの謝罪を無駄にするかのごとく、蛮が野次をとばす。
「ネット恋愛たぁ、いかにもお前等らしいじゃねぇか。
 年も近いし、案外お似合いのカップルなんじゃねぇの?」
「君少し黙ってて」
その小さな声が存外怒気を孕んでいたために、思わず蛮も口を閉じてしまった。
だが、MAKUBEXはその溜め込んだ憤りを、どこにぶつければ良いかわからなかった。
どうせこの気弱そうな少女の事だ。
本当は誰にも教える気はなかったのに、夏実に気付かれてから、
連鎖反応的に、GetBackersや波児にもバレてしまったのだろう。
少なくともレナ自身は、決してMAKUBEXを騙そうとして騙したわけではない筈だ。
というより厳密に言うと、騙されたのではなく、真相を隠されていただけ……
もっと言えば、彼女自身が真相に確証を持っていなかっただけだ。

もうレナを責めるべきではないとの解を出したMAKUBEXは、
気分を落ち着かせるために一口コーヒーをすすった。
「……で、結局どうする?」
どうするとは、つまり、この後何事も無かったかのようにオフ会をするのか、
それともホンキートンクで皆で仲良くお喋りでもするのか、という事だ。
まさか、一応会う約束を取り付けておいて、実際に会ったのに、何もせずに帰るのも癪だ。
だが、そんなMAKUBEXの思案をよそに、銀次が茶化す。
「せっかくなんだし、二人でデート楽しんできたら良いんじゃない?
 あ、でも保護者いないとレナちゃん不安なのかな」
「銀次さん……まず断っておきますが、デートとかそういうのじゃないんで。
 これはただのオフ会です。あと、申し上げにくい事なんですが……」
銀次は、首をかしげて尋ねる。
「なに?」
「あなたも、黙ってて下さい」
かつて自分の上に君臨した、ロウアータウンの王の前任者に対して、
MAKUBEXは臆する事なく、先程蛮に対して放ったのと同じ怒気を、銀次に放った。
GetBackersの二人を黙らせたとなっては、いくら天然の夏実でも、迂闊に声は出せない。
妙に緊張した空気が、店内を支配していた。


結局MAKUBEXとレナは、二人で近場のゲームセンターに行く事になった。
元々、遊びたい盛りの年齢の男女が喫茶店で何時間も、会話だけで潰せる筈はないのだ。
そんな年寄りのようなデートは、中学生には似つかわしくない。
かと言って二人とも体育会系ではないから、
ボウリングやバッティングセンターやビリヤードに行くなどという事も無い。
迷った挙句、今まで勉強とバイトばかりしてきたレナに、
MAKUBEXの得意分野である、ゲームを教えてやろうという結論に至った。
もっとも、彼がそう決定したわけではない。
蛮や銀次や朔羅が、お節介にも口を挟んでお膳立てしてくれたのだ。
「朔羅は来ないの? 僕一人だけじゃ、レナちゃんが不安なんじゃ……」
「あ、た、多分大丈夫……だと、思うから……
 今までのメールで、Macbeth君は信用出来る人だと思ってるし……」
オンライン上の性格や言動が、オフライン上でも適用出来るわけはないのだが、
MAKUBEX自身が躍起になって自分の信用を否定するのもおかしい。
結局周囲に言いくるめられた事もあって、二人は大人しく店を出て行った。

二人がいなくなった後で、銀次は朔羅に尋ねた。
「良いの? 朔羅がついて行かなかったら、朔羅来た意味無くない?」
「良いじゃないですか。せっかく、思ったより早く打ち解けられそうなんですから。
 保護者がついて行ったら野暮ですよ」
「でもそうは言っても、二人ともまだ中学生だよ?
 ゲーセンなんかに行って、不良に絡まれたらどうするの?」
それもそうだ、と朔羅は思った。
MAKUBEXもレナも、生身での戦闘能力など皆無だ。
もっとも、いくら裏新宿とは言え、中学生が絡まれる事など滅多に無いのだが、
無限城育ちの朔羅にとっては、多少過剰に危機感を持ってしまわないでもない。
あれこれと迷っていると、蛮が席を立ち上がった。
「しゃあねぇな。今日ぐらい過保護にしてやるか。
 ヒッキー小僧とレナには本意じゃねぇだろうが、放っとくわけにもいかねぇ。
 見つからねぇ程度に、後をついて行こうぜ。こういう時のための保護者だろ?」
正直無粋な真似だとも思ったが、何かあってから後悔しても遅い。
朔羅は頷くと、蛮と共に二人の後を追う事にした。


パチンコ店とゲーセンの店内の喧しさは、慣れない者には耐え難いものだ。
中にいると、嫌でも声を張り上げなければ、会話もままならない。
提案したのは自分ではないとは言え、やはりこんな場所に
レナを連れて来るべきではなかったと、MAKUBEXは後悔した。
「ごめんね、レナちゃん。煩くない?」
「大丈夫ですよ。こういう賑やかな所も、たまには」
呟くように話す事が出来ない分、自然とレナの語調もハッキリしてくる。
「MAKUBEX君は普段、どんなゲームをしてるの?」
「えぇと……そこにあるメルティ・ギア・ソリッドっていう格ゲーとか。
 でも、あまり初心者の女の子が楽しめるようなゲームじゃないからなぁ」
試行錯誤した結果、MAKUBEXは妙案を思いついた。
対戦格ゲーのコーナーを離れて、カードゲームのコーナーにレナを連れて行く。
そこには席が並べられており、プレイヤー達がテーブルの上にカードを並べている。
前面の大型ディスプレイの中では、刻一刻と表示内容が切り替わっていた。
「この手のゲームなら、レナちゃんにも飲み込みやすいかも。
 よくは知らないんだけど、『神の記述』もこういうゲームだったんでしょ?」
「わぁ、カードだ。このペラペラ具合、凄く懐かしい。
 私、カードゲームなんてトランプぐらいしか知らなかったから、
 ターンとかそういう言葉が、凄く新鮮だったなぁ……」
ルシファーの尖兵として戦った記憶は、決して『良い』思い出ではないのだが、
それでも思い返せば、懐かしさがこみあげてくるものだ。
MAKUBEXはカードを購入し、レナと一緒にプレイし始めた。
ルールも、カードの特性もよく知らないレナに、MAKUBEXがアドバイスをしてやる。
その様子を離れた場所から見守っていた蛮と朔羅は、思わず苦笑いした。
「……ま、ガキらしいデートじゃねぇか。
 引きこもりにしちゃあ、立派にエスコートしてると思うぜ?」
「ふふっ、そうですね。もう少し様子を見ましょうか」

ひとしきりゲームを楽しんだ後、MAKUBEXは
レナをクレーンゲームのコーナーに連れて行った。
レナは、ヌイグルミが大量にガラスケースの中に入っているのを、もの珍しそうに眺めた。
「わぁあ……これが噂のクレーンゲームかぁ。初めて見たかも」
試しに百円入れて、クレーンを動かしてみる。
アームの力が強めに設定されているのか、一発でウサギのヌイグルミをゲット出来てしまった。
素直に喜ぶレナの笑顔には、もうMAKUBEXへのわずかな警戒心も感じられなかった。
「良い傾向だな。お前んとこの王子様は、なかなかのプレイボーイじゃねぇか。
 俺や銀次でさえ、レナがナチュラルな笑顔を見せてくれるようになるまで、
 それなりの時間がかかったもんだぜ?」
蛮は、内向的だと思っていたMAKUBEXの、意外な外交性に、少々驚いた。
それは朔羅も同様で、自分でさえ最初は中々見られなかったMAKUBEXの笑顔を
あっさりと引き出したレナに、女として少し悔しさを感じてしまった。
「年が近いから、打ち解けやすいのかもしれませんね。
 レナちゃんを酷い目に遭わせたのって、レナちゃんより何歳も年上の男性でしょう?
 波児さんに拒否反応を示すのも、その辺りが関係してるのかも」

さすがに蛮も朔羅も戦闘能力があるだけあって、気配を隠すのはお手の物だった。
MAKUBEXにもレナにも全く気取られる事無く、尾行を続ける。
つけられている事に気づかぬまま、MAKUBEXはレナと良い雰囲気になっていった。
元々ネガティブ同士、波長が合うのかもしれない。
そして面白い事に、二人でいると、生来のネガティブな思考が自然と中和されて
二人とも明るく、ポジティブに笑えるようになっていた。
(因みにこの二人は、二人ともAB型である。あまり関係無いが)
その内MAKUBEX達はゲーセンから出て、シルバーアクセを扱っている露店に向かった。
千円やそこらの、バッタモンのようなチャチな商品しか無いが、
子ども達にはむしろそれで丁度良いかも知れない。分相応だ。
その様子を見ていた蛮と朔羅は、もうこれ以上尾行する必要は無いと思った。
普段金が無いからゲーセンに行かない蛮も、そもそもゲームに縁の無い朔羅も
ゲーセンというものは案外不良など少ないらしい事がわかったし、(オタクは多いが)
あの二人なら、危険な場所に二人だけで行くような事もしないだろう。
レナは少々危機管理能力に欠ける部分があるが、その点はMAKUBEXがフォローしてくれる筈だ。
「……もう帰るか?」
「そうですね。あとはホンキートンクで、二人の帰りを待ちましょう」
蛮と朔羅は、やはり気配を隠したまま、アクセを選ぶ子ども達の背中を後にした。

そうこうしている内に、すっかり日が沈んできた。
元々待ち合わせの時間自体、昼過ぎだったのだ。
ほんの二時間程遊び歩いただけで、もう空の色は落ち着いてくる。
二人で過ごす時間は思った以上に楽しく、時間がゆっくり過ぎていくようにも、
また時間が足早に過ぎていくようにも思えた。
影のさす交差点の信号の足元で、二人はノスタルジックな風景にしばし酔った。
いつの間にか、二人は手を軽く握り合っていた。
男性アレルギーのレナと手を繋げるというのは、物凄い事だった。
「……もうそろそろ帰らないと、怒られちゃうかもね」
「うん……でも、私まだ帰りたくない……」
甘えるような小さな声で、顔を赤らめながら呟く少女。
そしてそれは、少年にとっても同意見だった。
覚悟を決めて携帯電話を取り出し、朔羅に連絡をいれる。

「ん何ぃぃいあ!?」
「うっわ蛮ちゃん声大きいって……」
連絡を受けた朔羅が、蛮達にもその内容を報告した。
MAKUBEXとレナは、予定を遅らせて、もう少し遅めに帰るとの事だ。
恐らく、ホンキートンクに戻るのは、21時少し前になるだろう、と。
条例違反ギリギリの時刻だ。一分でも過ぎれば、あっさり補導されてしまう。
「あいつら中坊のくせに……」
「アバンチュールってやつですか? レナちゃんやるなぁ」
事態の深さを理解している蛮と、まるで理解していない夏実。
蛮と朔羅は、やはり最後まで見張り続けるべきだったかと後悔した。
しかし、仮に尾行を続けていたとしても二人を止める事は出来なかっただろう。
途中で出て行って「もう帰るぞ」と言うわけにもいくまい。
「おいおい大丈夫かぁ?
 子どもとは言え、やる事やらんって保証は無いぞ」
波児は年の功から、火のついた思春期の少年少女が、早まって
どんな行為に及びかねないか、よくわかっていた。
何しろ、十代で子どもを作った男が、かつて相棒だったのだから。


波児達の懸念通り。
火のついた思春期の少年少女が、やる事は一つだった。
とあるラブホテルの一室。
MAKUBEXはベッドの上で、シャワーを浴びるレナを待っていた。
入店するのは、意外と簡単だった。
未成年である事がバレれば当然入店拒否されただろうが、特に年齢は聞かれなかった。
まさかMAKUBEXの身長で、年齢を疑われなかったとも思えない。
しかし、ホテル側もいちいち全ての客の年齢を確認するのは面倒なのだろう。
結局二人は、何事も無く部屋まで通された。
「お……お待たせ」
湯気を肩から醸し出しながら、バスタオル一枚でレナが出て来た。
MAKUBEXにとっては、その姿を見ただけで既に勃起してしまいそうになる。
「あっ、あの……僕、初めてだから……うまく出来るかどうか……」
今までデートをリードしてくれていたMAKUBEXが、急に臆病になる様が、
レナには何だか可愛く見えて、思わずクスッと笑ってしまった。
「大丈夫だよ、私が教えてあげるから。こう見えても、一応経験者だしね」
少し悲しげな目でそう言うレナの表情は、MAKUBEXには痛々しかった。

「はっ……はぁっ……ん、く……」
レナは、背後から回されたMAKUBEXの左手に、股間を刺激されて悶えた。
正確に言うと、MAKUBEXがレナの股間を刺激しているというのではない。
何故ならMAKUBEXの左手は、レナ自身の右手に誘導されていたからだ。
レナ自身が、自分で気持ちの良いように、MAKUBEXの手を使って自慰をしているようなものだ。
だがそれでも、MAKUBEXには彼女を気持ち良くさせてやっているという、
密かな満足感と支配感があった。
「そう……そこ、もちょっと指広げて……ふぅ、ん……そっ、あぁ……」
言われるままに、MAKUBEXは指と掌をふんだんに使う。
染み出してきた液体が、ねっとりと絡みつく。
人間の体からこんな液体が出てくるなど、考えられなかった。
「ねぇ、MAKUBEX君……私の事、いやらしい女だって思った? ケーベツした?」
MAKUBEXは、何と答えれば良いか迷った。
こういう所は、無駄に正直な男だ。
いくら一ヶ月前からメールのやり取りをしていたとは言え、殆ど今日が初対面。
しかも、相手は男性が怖いと自己申告している、元レイプ経験者。
それが自ら進んで男の手をとり、股間をまさぐり、乳房さえ自ら揉んでいる。
男としては喜ばしい事だが、驚きを隠せないのも事実だ。
回答に迷っている間の沈黙は、レナにとっては、質問への肯定に等しかった。
「そう……やっぱりね。私って、いやらしい子なんだね……」
「そっ、そんな事無いよ! あ、いや……」
MAKUBEXは訂正した。
「……良いと思うよ。いやらしくても。僕はそれでも、君の事……」
その続きの言葉は、初心な少年には言えなかった。

昼間と違い、今度は自分がリードする番だ。
そう考えていたレナは、コンドームも自分がつけさせてやろうと思った。
男性器を見た瞬間に吐いてしまわないか心配になったが、耐えようと思えば何とか耐えられた。
かつて無理矢理突っ込まれたのと同じ、グロテスクな物体を、
勇気を出して指先でつまむ。
既に先端から先走り汁が出ており、それを見ると喉の奥から何かが出てきそうになる。
これのもっと濃いものが、自分の中に注ぎ込まれたのだと思うと、呼吸が止まりそうだ。
レナはコンドームを口の端に咥え、照準を合わせた。
先端に被せるように、顔を近づけさせていく。
MAKUBEXは、暴発しそうになるのを必死で堪えた。
初めてのコンドームは、つけるだけでも痛みを覚える程だった。
リングの部分が肉棒を締め付け、思わず射精しそうになる。
十秒程かかって、ようやく装着を完了した時には、逆に締め付けを然程苦しく感じなくなった。
レナはMAKUBEXの胸を押して、仰向けに寝るように促した。
「言ったでしょう? 私が教えてあげる、って」
どうやら、彼女は騎上位を望んでいるらしかった。

プルン、プルンという擬音が聞こえてきそうなくらい、レナの乳房が揺れた。
それを押さえつけるように、レナ自ら胸に手を当てて、その柔らかな肉を揉みこむ。
だが両方自分で揉んでいては、姿勢を維持出来ない。
もう片手でMAKUBEXの手をとり、空いた方の乳房を揉ませる。
汗と涙が、パタパタとMAKUBEXの胸板に落ちる。
愛液は、お漏らしのようにジュプジュプとシーツの上に迸った。
先程から暴発を我慢していたMAKUBEXは、ものの十秒程で絶頂に達してしまった。
「うっ……ご、ごめんレナちゃん!」
レナの子宮口に、精液を満タンに注ぎ込まれたコンドームの先端が食い込んでくる。
レナは騎上位のままで、一旦動きを止めた。
「もう、だらしないなぁ。萎んでると出来ないから、早く元気を取り戻してね?」
そう言ってレナは、MAKUBEXを咥え込んだまま、何とその場でオナニーを始めた。
むき出しになっているクリトリスを指で刺激し、円運動を描くように乳房を揉みしだく。
「レ、レナちゃん……?」
「……んふぅ……ふんぁあはぁ……ふぁ……
 MAKUBEXくぅん……私が、一人でしてるトコ見てぇ……
 おちんちん、早く勃起させてぇ……」
恥じらいも何もない、痴女そのものの台詞に、MAKUBEXはぎょっとした。
「ふぁあん……レナ、もぉ我慢出来ないのぉ……
 乳首コリッコリに硬くなってて、クリちゃんも……ねぇ、だから……
 早く私をメチャクチャにしてぇ……お願いだからぁ……」
信じられないくらいに『壊れた』懇願だ。
普通の女性ならまだしも、相手はレナだ。重ね重ね言うが、レイプ経験者なのだ。
それが、こうまで性に対して開放的になれるなど、にわかに信じがたい。
MAKUBEXは、一つの仮説を導き出した。
仮説ではあるが、100%の確率で正答であるとの確信があった。



MAKUBEXは上半身を起こし、レナを至近距離で向き合った。
「ねぇ、MAKUBEX君……私、いやらしい子だよね?
 初めて会った男の子に、その日の内に足開くなんて、おかしいよね?
 世の中の男の人全部が、汚れて見えるのに……
 恋愛なんて汚らわしいだけで、全然美徳だなんて思えなくなったのに……
 こうして、火遊びでMAKUBEX君と繋がって、えっちなお汁いっぱい垂れ流して
 自分でおっぱい揉んで、みっともない顔して息を吸ったり吐いたりして
 あの時だって、気持ち悪かった筈なのに、ひょっとしたら自分で気づいてないだけで
 本当は気持ち良かったのかもしれなくて、あの時の感覚が今でもアソコに残ってて
 私は私を自虐して、不幸に酔ってるだけなのかもしれなくて
 そうやって悲劇のヒロインぶってるから、周りの人達が励ましてくれてるのに
 いつまで経っても立ち直れないフリをしてるだけで、本当は掲示板に書き込んだのだって
 不幸な私を誰かに認めて欲しかっただけで、現にこうして男の人とセックスしてるのも……」
呪文のように続く、頭を締め付けられそうな言葉の波。
虚ろな瞳と、仮面のような笑顔と、止め処なく流れる涙。
見ているこっちが発狂しそうな程だ。
こんなものが、自虐ナルシズムなわけがない。
余程日ごろから思いつめているからこそ、ここまで自分自身と世界の、両方を呪えるのだ。
ただ自分に酔っているだけの者なら、とっくの昔にリストカットでもしている。
MAKUBEXは彼女の言葉を遮るように、強く抱きしめ、唇を塞いだ。
「ん……んむ……ぷはっ」
「ごめん、いきなりキスなんかしちゃって。でも……」
まだ十四歳の少年には、目の前の少女にどんな言葉をかけてやれば良いのか、検討もつかなかった。
するとレナは、今度は自分から、MAKUBEXに口付けた。
殆ど唇を離さず、そのまま言葉を紡ぎ出す。
「……ありがとう」

「あぅうん! あはっ、そこぉっ! んぎもちいいぃんっ!」
再び勃起したMAKUBEXは、今度は正常位でレナと交わりあった。
レナの膝の関節の裏側に、MAKUBEXの腕が通されて、無理矢理股をこじ開けられている。
結合部の決壊したピストンのように、隙間から愛液がどんどん漏れ出る。
甘い匂いが部屋中に広がり、麻薬のように作用してくる。
何も考えられなくなり、ただ本能のままに腰を打つだけだ。
「そこぉ、もっとぉ! もっと突いてぇっ!」
レは快感をこらえるようにシーツをきつく掴み、首をのけぞらせて喘いだ。
舌は口の外へと突き出されんばかりの勢いで伸び、涎が拡散する。
MAKUBEXは上半身をレナに密着させ、限界まで伸ばされた彼女の舌を自分の舌を絡めた。
既に二人とも表情は恍惚とし、目は半ば正気を保っていない。
「あぁっ! イくっ、アッ! アッ! アァッ! イっちゃうぅぅぅぅ……!」
レナの絶叫とともに、二人はほぼ同時に果てた。
MAKUBEXはレナの体の上に崩れ落ち、悪いとは思いながらも、しばらく体重を預けた。
動きたくても、もはや動けなかった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「マ……ク、ベ……君……」



時刻は20時54分。
何とか、21時までにギリギリ帰る事が出来た。
ホンキートンクに戻った二人は、予想通り、大人達にこってりしぼられた。
「いたたたたっ!」
朔羅に頬をつねられ、うっすらと涙を浮かべるMAKUBEX。
レナは助けようとしてオロオロするが、夏実にハグされて歩く事もままならない。
「ごめんねぇレナちゃん。
 私はレナちゃんがMAKUBEX君と何してても怒らないんだけど
 波児さんと蛮さんが、すんごく怒ってるからぁ」
見ると、波児は我が子の非行を自分の不甲斐無さのせいだと思って悲しむ親のような表情をしていた。
蛮は、相手が男であれば即殴るか、女でもレナでなければ、
罰としてセクハラしてきかねない程に額に血管を浮かび上がらせていた。
「あんまり保護者に心配かけんじゃねぇぞ糞餓鬼ぃ……」
「み、未成年の蛮さんじゃ、どの道保護者じゃ……」
「グダグダ屁理屈こねてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
さすが赤屍を倒した蛮だけあって、その怒声だけでもレナは失禁してしまいそうだった。
もうその辺で許してあげようよ、と宥める銀次が空気化してしまう程、
波児の悲壮感と蛮の怒りは頂点に達していた。
一方でMAKUBEXも、クドクドと朔羅に叱られていた。
店の床に正座させられ、顔も上げられない程説教される。
「……まったく、もう。今日初めて会ったばかりの子をこんな時間まで連れ回して。
 第一あなた、ちゃんとした知識があるんですか?
 誤って妊娠でもさせてしまったら、どうするおつもりですか」
「に、妊娠って……ちゃんとゴムつけたし……」
言って、MAKUBEXは口を噤んでしまった。
失言だ。
誘導尋問だ。
「へぇ……やっぱり、そういうコトしてきたんですね」
「いや、ちょ、待っ……」
結局子ども達へのお叱りは、その後一時間にも及んだ。