getbackersgirlslove @ ウィキ
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2007-05-11T22:09:23+09:00
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作品一覧
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2様
[[夏実×レナ>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/12.html]]
13様
[[蛮×クレイマン>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/13.html]]
31様
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50様
[[銀次×龍華>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%95%EF%BC%90%E3%80%80%E9%BE%8D%E8%8F%AF]]
58様
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[[亜紋×薫流>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%97%EF%BC%99%E3%80%80%E8%96%AB%E6%B5%81]]
91様
[[夜半×舞矢>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/24.html]]
104様
[[奪還屋×婦警さん>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%94%E3%80%80%E5%A9%A6%E8%AD%A6%E3%81%95%E3%82%93]]
118様
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165様
[[GetBackers-奪還屋- Act??・失った処女を奪り還せ!>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/18.html]]
(蛮×レナ)
193様
[[教師ネタ ヘヴン先生>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%91%EF%BC%99%EF%BC%93%E3%80%80%E3%83%98%E3%83%B4%E3%83%B3%E5%85%88%E7%94%9F]]
204,209,211,212,219,222,223,224,226様
[[卑弥呼陵辱 リレー(未完)>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%E5%8D%91%E5%BC%A5%E5%91%BC%E9%99%B5%E8%BE%B1%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%BC]]
234様
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(遊利×レン、舞矢+傀儡朔羅×花月、傀儡十兵衛×傀儡朔羅、傀儡俊樹×マドカ)
270様
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276様
[[蛮×夏実>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%92%EF%BC%97%EF%BC%96%E3%80%80%E8%9B%AE%C3%97%E5%A4%8F%E5%AE%9F]]
296様
[[赤屍に性欲があるか確かめる話 その1>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%92%EF%BC%99%EF%BC%96%E3%80%80%E8%B5%A4%E5%B1%8D%C3%97%E5%8D%91%E5%BC%A5%E5%91%BC]]
(赤屍×卑弥呼)
304様
[[赤屍に性欲があるか確かめる話 その2>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%93%EF%BC%90%EF%BC%94%E3%80%80%E8%B5%A4%E5%B1%8D%C3%97%E3%83%98%E3%83%B4%E3%83%B3]]
(赤屍×ヘヴン)
316様
[[蛮×卑弥呼>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%92%EF%BC%97%EF%BC%96%E3%80%80%E8%9B%AE%C3%97%E5%8D%91%E5%BC%A5%E5%91%BC]]
369様
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420様
[[蛮×卑弥呼(ギャグ?有)>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%94%EF%BC%92%EF%BC%90%E3%80%80%E8%9B%AE%C3%97%E5%8D%91%E5%BC%A5%E5%91%BC%28%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%82%B0%3F%E6%9C%89%29]]
428様
[[銀次×卑弥呼 「君はツンデレラ」>http://www30.atwiki.jp/getbackersgirlslove/?page=%EF%BC%94%EF%BC%92%EF%BC%98%E3%80%80%E5%90%9B%E3%81%AF%E3%83%84%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%A9]]
444様
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446様
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2スレ目もハァハァwww(´∀`)
17様
(446番外編)
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96様
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118様
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2007-05-11T22:09:23+09:00
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118 赤屍×夏実
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/46.html
予想外な事が立て続けに起こる日というのは、あるものだ。
それが良きにつけ悪しきにつけ。
夏実にとってその日最初の予想外は、男達にナンパされた事だった。
ホンキートンクの買出しで出かけた、その帰りの事。
数人の若い男達にいきなり周囲を囲まれ、声をかけられた。
「よぉ姉ちゃん、今暇?」
「俺等と良いコトして遊ぼうぜ」
夏実は買い物袋を提げているのだから、普通なら暇に見えるわけがない。
これは、ただの切り口に過ぎない。
どの道彼らは、問答無用で夏実を拉致して犯して捨てる気なのだ。
目の前にいるのは、そういう男達だと知れた。
夏実は、自分で言うのも悲しい話だが、貧相な体型をしている。
だから街を歩いていても、男に声をかけられた事など無かった。
生まれて初めてのナンパがこれでは、人生を呪いたくもなるものだ。
だが、彼女にとってその日二度目の予想外が起こった。
「……私の連れに何か御用でしょうか?」
もう春も深まって、日中は暑さすら感じる日があるというのに、
足元まですっぽり覆うような黒衣を纏った優男が、傍を通りがかった。
その奇異な服装に、ナンパ師達も一瞬呆気に取られる。
だが、夏実はその男に見覚えがあった。
男はナンパ師の一人に視線を投げかける。
極めて温厚そうな、柔らかな眼差し。
だがその視線を受けたナンパ師は、途端に寒気を覚えた。
「お……おいっ、帰るぞ!」
「はぁ? 何言ってんだよお前、こんなヒョロい男にビビってんじゃ……」
「良いからっ!!」
その視線に向こう側に『死』そのものの恐怖を読み取ったナンパ師が
他の仲間達を半ば無理矢理引っ張って連れて行き、結局夏実は事なきを得た。
「お怪我はありませんか、ホンキートンクのお嬢さん」
「あ、ありがとうございます……赤屍さん」
そこからは、予想外の連続だった。
予報には無かった通り雨に降られた事も予想外なら、赤屍と相合傘になる事も
……というより、赤屍が傘を出した事そのものが、予想外だった。
「……おや、雨ですね」
「本当だ。私、傘持ってきてないや」
雨脚は秒速で強くなっていく。雨宿り出来る場所も、パッと見た限り見当たらない。
赤屍は空に向かって手を突き出すと、にっこりと微笑んだ。
「お貸ししましょう。赤い傘(ブラッディ・アンブレラ)」
まるで夜中に布団の中で思いついたギャグのようなネーミングを伴って、
赤屍の右手の掌から、瞬く間に傘が出現した。
骨組みや持ち手の部分まで真っ赤な、何とも悪趣味な傘だった。
せっかくメスはちゃんと白銀色に生成出来るのだから、
傘ぐらい普通の色にしてやれば良いものだが、これも彼の趣味なのか何なのか。
「どうぞ、構わず使って下さい。使い終わったら、道端にでも捨てておいて下さい。
その内勝手に消滅するか、気がむいたら私が体内に回収しますので」
一般人が聞いたら、彼が何を言ってるのかわからない事だろう。
夏実も本来一般人なのだが、周りにGetBackersなどがいるものだから、
妙な体質の人間には慣れっこだった。
「ありがとうございます。
……赤屍さんは? 傘ささないんですか?」
「お気遣いには及びません。私は雨ぐらい平気ですから。
では、これで失礼し……」
「そんなの駄目ですよ! 私だけ傘借りておいて、貸してくれたご本人が濡れ鼠だなんて!」
世界広しと言えども、赤屍が喋っている最中に割り込める一般人は、夏実ぐらいのものだろう。
久しぶりに怖いもの知らずな女性と会ったものだと、赤屍は少し心が弾んだ。
まるで、初めて銀次に敗北した時のような高揚感だ。
「私、知ってます。赤屍さん、自分の血でいっぱい物が作れるんでしょう?
だったら、ご自分の分の傘も、作れば良いじゃないですか」
「あまり血を出したくないんですよ」
もっともな返答だ。
普通の人間なら、これだけの量の血液を一度に体内から排出すれば、下手をすれば失血死だ。
超越者という概念を知らない夏実でも、何となく赤屍は死なないだろうと思っていたが、
彼とてあまり血を流したくない事には変わりないのだろう。
夏実は一頻り考えた。
ナンパから助けてもらった礼もしたい。喫茶店で働く彼女に出来る返礼は、すぐに思いついた。
「赤屍さん、今暇ですか?」
まるで先程のナンパ師のような口上で、夏実は赤屍に言葉をかけた。
「よろしかったら、ホンキートンクにいらっしゃって下さい。
コーヒー、ご馳走しますから」
赤屍は、夏実の好意を読み取った。
頑なに傘を使おうとしない自分を、それでも傘に入れてやるために彼女が選択した方法がこれだ。
赤屍は――彼にとっては珍しい事だが――少しだけ苦笑いすると、
彼女の言葉に甘えて相合傘で、ホンキートンクへと向かった。
店にはいつもの通り、波児とレナとGetBackersがいた。
雨が降っているので、奪還屋達も歌舞伎町に営業に行くのは控えたらしい。
案の定、赤屍を伴って帰ってきた夏実に、二人は心底驚愕した。
「てめぇジャッカルゥ! 夏実を人質にとろうたぁ良い度胸だ!」
「卑怯だぞ、赤屍ぇ! 夏実ちゃんを離せっ!」
勘違い甚だしい怒声に、赤屍が機嫌を損ねるより先に、夏実がキレた。
「二人とも、赤屍さんを悪く言わないで下さい!
私、赤屍さんに助けてもらったんですから!」
夏実はいきさつを四人に話し、納得してもらった。
飲み込みの早い波児と、赤屍に対する予備知識の少ないレナは、すぐに彼を受け入れた。
ここで殺人でもされない限りは、店にとっては良い客だ。節度も弁えている。
むしろGetBackersの方が、客としては迷惑なくらいだ。
そのGetBackersは、片方は赤屍の姿に苛つきながら、
もう片方は恐怖しながら、それぞれ我慢してカウンター席に座っていた。
隣には、コーヒーを待つ赤屍の姿。
「それじゃマスター、赤屍さんにとびっきりの淹れてあげて下さいっ」
夏実は波児にコーヒーを頼み、自分は買出してきた食材を冷蔵庫に仕舞いに行こうとした。
が、波児がそれを引きとめた。
「そっちは俺がやっとくから。コーヒーは、
夏実ちゃん自身が淹れて差し上げた方が、良いんじゃないか?」
それもそうだ。
夏実が礼をしたいのだから、夏実が淹れるのが当然だ。
この店で一番うまくコーヒーを淹れられるのは波児だから、彼に任せようと思っていた。
しかし、旨いとか不味いとかの話ではない。自身で礼を尽くす事が大切なのだ。
そう思い直した夏実は、精一杯心をこめて、会心の一杯を淹れてみせた。
「どうぞ。マスターのよりは、美味しくないかもしれないけど……」
赤屍のように黒いそのコーヒーは、落ち着いた良い味だった。
波児から習ったのだから、それもそうだろう。
苦味の中にも人を安心させる、安らぎが溶けていた。
赤屍にとっては安らぎとは、実に久しい感覚だった。
「ほう、これは……」
一口すすって感心した赤屍は、その後ゆっくり時間をかけて、夏実のコーヒーを味わった。
猫舌というわけでも、夏実のコーヒーが口に合わないわけでもない。
ただ、数秒で飲み干すのが勿体無いと思えただけだ。
「へぇ、赤屍さんって、AB型なんですね! レナちゃんと一緒だ」
赤屍が自身の血液から武器を作り出せるという話から始まって、
いつしか日本人にとって最もポピュラーな話題の一つ、血液型に話題は発展していた。
「知ってます? AB型の人って、O型と相性良いんですよ。
因みに私もO型です。あと銀ちゃんも!」
自分の名前を出された事に、銀次は心の底からビビった。
赤屍がいるこの場所で、うかつに自分の名前を出してほしくなかった。
クス……という耳慣れた声に混じって、赤屍がちらりと銀次を一瞥するのがわかる。
「あ、あのさぁ夏実ちゃん。血液型なんて、迷信でしか無いと思うし、その……」
一般的な血液型占いに対する批判を、銀次もそのままなぞってみた。
少しでも、話題が自分に触れるのを嫌がったのだ。
だがここで、夏実にとっての何度目かの予想外が起こった。
何と、夏実が反論するより先に、赤屍が銀次に異を唱えたのだ。
「良いじゃないですか、銀次君。科学的な考察は、あなたらしくありませんよ。
あなたと私の相性が良いと言うだけでも、私にとっては愉快な話です」
正直、赤屍にとって血液型など、輸血の際の指標に過ぎない。
だが銀次が慌てふためく様を見るのは、非常に面白い。
そして銀次にとって更に不幸な事に、今度ばかりは蛮も赤屍サイドに回ってしまった。
「傑作だなぁ、銀次。お前と赤屍が相性抜群だとよ!」
「……だから、そんなの迷信だってば。日本人だけでしょ、血液型云々言ってるの」
「いや、あながちそうとも言えないぜ。
確かに血液型だけで性格の全てが決まるとは思わないが、個々人の性格・性質に
血液型ごとの偏りが見られるのは、統計的に明らかにされてる事実だ。
そもそも血液型学は、学問としてまだ歴史が浅い。医学界でも中々認知されちゃいないが
マレーシアや東欧といった辺りでは真面目に研究もされてて、書物まで出版されてる。
アメリカやドイツが否定してるからって、それが正しいとは限らねぇだろ?」
こんなものは屁理屈だ。
事実として血液型が性格に影響を及ぼすかどうかなど、蛮にも興味は無い。
単に赤屍同様、銀次が慌てる様を見て楽しみたいだけなのだ。
結局その日はずっと、血液型の話で終始盛り上がっていた。(銀次以外)
122 :名無しさん@ピンキー:2007/05/10(木) 11:54:09 ID:5BLrXn6p
血液型別の相性を論じるのは、真剣に血液型学を専攻する者にとって、愚でしかない。
心理学もそうだが、相性などという小賢しい遊びのために研究されているわけではないのだ。
それゆえ、市販されている心理テストの類の書籍は、心理学者から嫌われている。
あんなものは、心理学ではないというのが、彼らの主張だ。
だが、それでも敢えて血液型ごとの相性を語るならば、
確かにAB型とO型は相性が良いのかもしれない。
赤屍は銀次を気にいった時と同じく、夏実の事もすぐに気にいった。
思わず殺したくなる(おい……)程の愛らしさは、タレ銀に通じるものがある。
一方、B型の蛮とAB型の赤屍が、決して良いとは言えない相性なのも、納得がいく。
やたらとAB型の多いこの漫画を見ていると、各キャラの血液型は
案外かなりわざと設定されているのではないか、とさえ思えてくる。
雨が上がり、赤屍がコーヒーを飲み終える頃には、
赤屍と夏実は、すっかり打ち解けていた。
「それでは、私はそろそろ帰りましょうかね。
コーヒー美味しかったですよ、夏実さん。近い内にまた、頂きに来ます」
最初は水城さんと呼んでいたのが、いつの間にか夏実さんになっている。
蛮の事でさえ、赤屍は美堂君と、苗字で呼ぶのにだ。
夏実の人当たりの良さもあってか、彼らはもうそれ程までに仲良しになっていたのだ。
もっとも赤屍と仲良くなるという事がどれ程危険か、銀次はわかっていたのだが。
「あ、待って下さい赤屍さん。私もバイト上がりですから。
途中まで一緒に帰りましょう!」
「ちょっ、夏実ちゃん止めた方が良いって! 殺されるよ!?」
「ご心配無く、銀次君。
あのコーヒーが飲めなくなるのは惜しいですから、殺しはしませんよ……まだ」
……まだぁ!?
最後に付け加えられた物騒な言葉に、銀次は過剰に反応した。
それが本気の言葉なのか、赤屍一流のジョークなのかは、検討もつかなかった。
かつてGetBackersが鬼里人と戦っていた時。
夏実は、赤屍が人を殺す瞬間を、その目で見ている。
ホンキートンクの床に飛び散った血を綺麗に落とすのは、中々骨が折れたものだ。
だが、夏実はそれでも、今まで不思議と赤屍に警戒心を抱けなかった。
夏実には、彼が好き好んで殺人を犯しているようには、見えなかったのだ。
確かに仕事の中で、敵対する相手を殺す事もあったろう。
或いは迂闊に彼を挑発する雑魚を、ゴミのように殺した事も。
だが、何もしていない人間を殺したという話は、一度も聞いた事がない。
本当に殺人が趣味というならば、運び屋などせずとも、
気が向いた時に通行人を適当に殺せば良いだけの話なのだ。
仕事の過程を楽しみたいのであって、オフの時に通行人を殺しても意味は無い、
と言われれば、確かにそれまでだが……。
「ねぇ、赤屍さんって、本当に人殺しが趣味なんですか?」
神経を逆撫でしかねない危険な質問を、夏実は赤屍にぶつけた。
彼が殺戮衝動に至った理由など、本人と銀次と、ブレイントラストしか知らない事だ。
赤屍としても、いくら打ち解けたからと言って、そう易々と教える気にはならなかった。
言葉を濁して、曖昧に答える。
「……弱い人間を殺す瞬間に、快感を覚えるんですよ。
破壊衝動は誰しもが保有する。私はそれを、オープンにしただけです」
雨上がりの水溜りの上で、夏実の足が水音を立てて止まった。
赤屍も立ち止まり、少女の方を振り向いた。
何故立ち止まったのか、その真意を探ろうするような……
或いは、獲物を見定めるような、抉るような視線。
目が合っただけでも、眼球を裂かれそうにさえ思えた。
夏実は今日初めて、赤屍に寒気を感じた。
「私も……」
意を決して、言葉を紡ぐ。
「私も、弱い人間の一人ですよ。戦えないし、喧嘩も出来ない。
……赤屍さんにとっては、私も標的の一人なんですか?
私の事も、いつか殺したいと思ってますか?」
せっかく仲良くなれた相手が、自分に対して殺意を抱いているかもしれない。
それは夏実にとって、想像だにつかない不安だった。
恐怖とも違う、言葉に出来ない感覚。
昼間、血のように赤い傘に頭上を覆われた時のような、微妙な圧迫感。
好意と嫌悪感が、ない交ぜになっていく。
態度を明確にして欲しかった。
殺したいと思っているのか、優しくしたいと思っているのか。
赤屍の二面性の奥で、自分はどのように映っているのか。
獲物か、友人か。
赤屍はそっと夏実の肩に手を置いた。
一瞬、夏実の肩が強張って震える。
努めて優しい声で、赤屍は本音を口にした。
その笑顔は、反則と言いたくなる程に暖かかった。
「……殺したいですよ」
それは、笑顔で放つような言葉ではなかった。
肩に置かれていた手が、ゆっくりと頬に添えられる。
今にも、その掌から刃物が飛び出して、夏実の顔を串刺しにしそうだった。
「切り裂いて、血まみれにして、背骨を素手で引きずり出して、
内臓を砕いて、肉を壊して、子宮をバラバラにして、路上に捨てたいくらいに……
あなたの事が、好きですよ」
歪んでいる。
狂っている。
こんなものが、彼の親愛の情なのか。
こんなものが、彼の愛情表現なのか。
友情とも、恋愛感情とも違う何か。
恐らくこれは、人類愛に近い感覚なのだろう。
その表現方法が、イエス・キリストの場合は弱い者を助け、親切にする事であり
赤屍の場合は、弱い者を傷つけ、殺す事……ただそれだけの、違いなのかもしれない。
現に彼がヘヴンの依頼を受けて、ヘヴンを来栖柾の元まで運んだ時など
やっている事は親切だったが、そこには優しさなど欠片も感じられなかった。
むしろ誰かと戦っている時の方が、まだ人間らしい健やかな表情を垣間見られる程だ。
やはり赤屍はAB型だ。
物の本に、AB型が内面で考えている思考は宗教がかっていて、常人には理解出来ないと書いてあった。
まさに、その通りだ。表面から察する事はおろか、内面を知ってさえ、理解が及ばない。
「あなたを見ていると、銀次君を思い出します。
彼もあなたのように、天真爛漫で、実に輝いてらっしゃる。
壊して差し上げたくなる程に、ね……」
赤屍はそう言うと、夏実を壊しにかかった。
そっと瞳を閉じ、顔を近づけ、唇を奪う。
ファーストキスを捧げながら、夏実は思った。
あぁ、私、今日、この人に殺されちゃうんだ……。
都内某所にある、赤屍の部屋。
簡素で、家財道具は殆ど置いておらず、室内はすっきりしていた。
しかし、その事が逆に、夏実には窮屈に感じられた。
赤屍は手袋をつけかえてから、ベッドで待つ夏実の元に戻った。
「その手袋……さっきまでのと、違いますね」
「えぇ。ラテックスという素材で出来ている、外科手術用のものです。
ラテックスというのは、コンドームにも使われている素材でね……
こちらの方が、趣があるかと」
悪趣味だ。
だが、赤屍らしいと言えば赤屍らしい。
彼は一瞬で右手にメスを出現させ、それを一振りした。
途端に夏実の服が裂け、裸体が晒される。体には傷一つつけられていない。
「凄いですね。服と下着だけ切るなんて」
「手術とはこういうものですよ。癒着部分を切り落とすのに、1ミリ横にある臓器は傷つけられない」
赤屍はラテックスに覆われた手で、全裸の夏実をベッドの上にそっと寝かせた。
殆ど膨らみのない乳房に手を置き、その感触を確かめる。
ただの愛撫の筈なのに、赤屍に揉まれると、触診されているような錯覚さえ感じた。
「ふむ、心音が少し高まっていますね。緊張しているんですか?」
まるで問診だ。夏実は素直に、小さく頷いた。
赤屍は彼女の胸や腹を撫で続け、体調を診ていく。
「腸の調子は良さそうだ。しかし息が少し乱れてきていますね」
赤屍は姿勢を落とし、夏実の乳房に舌を突き出した。
円を描くように、ゆっくりと舐めずり回していく。
ビクン、と夏実の体が震え、「んっ」と声が漏れた。
だが、夏実の反応をうかがう赤屍の目は、戯れる恋人の目ではなく、
実験動物を見るマッド・サイエンティストのようだった。
赤屍はラテックスの指を、夏実の陰部に這わせた。
コンドームと同じ素材のこの手袋は、清潔で安全だ。
ラテックス・アレルギーでもない限り、相手に害を及ぼさない。
その滑らかな肌触りが、夏実の陰唇と陰核を、柔らかく崩していく。
「ひっ……あっ、ふぁ……っ」
「気持ち良いですか、夏実さん。痛くありませんか?」
そう尋ねる赤屍の声は、あくまで問診中の医者のようだった。
さながら、患者の腹を押してみて、その痛み具合や硬さから、腫瘍を見つけるかのようだ。
赤屍は腫瘍を探るかのように、陰核を重点的に責めた。
「ここ、硬くなってますね。大丈夫ですか?」
「ひぅ、くっ……やぁあん、もうっ、あぁっ……」
「……おや、粘液が分泌されてきましたね。正常な反応です」
処女の夏実が、短時間の愛撫で愛液を漏らすなど、余程のテクニックだ。
「な……なんで、こん……なに……上手いんです……か? 赤屍さん……」
「経験則という奴です……私程になると、どの女性の、どのポイントが
感じるかなどが、手に取るようにわかるんですよ……」
「あっ……す、ごいですね……」
溜息交じりに、途切れ途切れにしか話せない夏実と違って、赤屍は余裕気な表情だ。
夏実にはそれが、殊更悔しかった。だが、赤屍に勝てよう筈も無い。
諦めてこの場は彼の掌の上で鮪になっていようかと考えていると、
夏実の下半身を異変が襲った。
「うっ……ま、ちょっと待って、赤屍さん……」
「おや、どうしました?」
夏実は、しどろもどろになりながら答えた。
「そのぅ……オシッコしたいから、トイレ貸してくれませんか?」
バイトの休憩時間にコーヒーを飲んだのがまずかったかもしれない。
利尿作用が働いて、こんな時間になって尿意を催したというわけだ。
赤屍はM字開脚で彼女を抱きかかえて、バスルームまで向かった。
「やっ、ちょっ……赤屍さん!?」
「ついでです。採尿しましょう」
夏実は有無を言う暇もなく、バスタブの前で足を広げさせられた。
剥き出しになった赤屍の陰茎が夏実の尿道に擦れ、刺激を与える。
「ひぃっ、ぃや、ちょっと、待っ……あ、だめ、あぁ……」
夏実は堪えきれなくなって、空の浴槽に聖水を垂れ流した。
高度があったために、音はジョボジョボ……といった控え目な音ではなく、
ビチャビチャビチャと、やや激しいものになった。
夏実は真っ赤になった顔を両手で必死に隠して泣いた。
「うぅっ、うえぇ……ひっく、ふぐ……見ないでぇ……っ」
一度失禁してしまった夏実に、もう恥じらいなど無かった。
ベッドに戻ると、泣きはらした顔をろくに拭いもせず、黙って自ら股を開いた。
赤屍は夏実の腰を持ち上げて固定すると、そのまま挿入を開始した。
「それでは、注射をしましょうか」
「……あぁっ!」
「大丈夫ですか、夏実さん。まだ先端が入っただけですよ」
「あ、あ……かはっ……」
「痛かったらすぐに言って下さいね。もっとも、抜く気はありませんが」
「い゙、痛っ……ァ゙」
ゆっくりと時間をかけて、赤屍のモノが夏実の中を壊していった。
抵抗の膜を引き裂き、赤い血が滴り落ちる。
夏実は今や汗まみれになり、息も絶え絶えな状態だった。
「それでは、液を体内に注入しましょうか。
各種のミネラルやビタミンを含んだ、栄養価の高い液体ですよ」
夏実が痛がるのも気に留めず、赤屍はピストンを動かし始めた。
「あっ……痛っ、痛いっ……い、あっ、はっ……あはぁっ……いぎっ」
吐き出される大量の二酸化炭素に混じって、痛みに耐える少女の声が聞こえる。
だがこれも、すぐに快感に溺れる中毒患者のような声にかわる。
赤屍は経験則から夏実のGスポットの正確な位置を割り出し、そこを重点的に狙った。
「あぁん! やんっ! あふぅ! んやっ! ふあ、はっ、んあぁ! んにゃあぁ!」
いつしか夏実の声は、人間でない何かになっていた。
乳首をビンビンに勃たせ、仰け反り、シーツをぎゅっと握り締めて、上下の口から涎を飛ばす。
もはや痛みなど、欠片程しか感じていなかった。
そしてその痛みすらも、快感を助長する要素に過ぎなかった。
「あっ、かはっ、赤屍……さぁん……」
「もうそろそろオルガズムのようですね……では、射精して差し上げましょう」
「あぁっ、イク、イっちゃぅぅぅぅぅぅ!!!」
赤屍の腕枕に頭を預けて、夏実は心地よい余韻に浸った。
「赤屍さん……なんで、私を殺さないんですか?」
夏実は、てっきり行為が終われば、自分は赤屍に殺害されると思っていた。
しかし、いつまで経っても赤屍は自分に手を下さなかった。
「申し上げた筈です。あのコーヒーが飲めなくなるのは、惜しいと」
赤屍は――彼らしくない事だが――夏実の頭を、そっと優しく撫でて答えた。
夏実は、女性のように冷えた赤屍の胸に額をつけて、甘えるように眠りに落ちた。
赤屍は思った。
本当に、この少女と天野銀次は似ている。
血液型だけの問題ではない。気質そのものが似通っている。
ひょっとするとこの少女は、天野銀次の代わりに壊せるよう、
アーカイバが自分に寄越したプレゼントなのでは……とさえ思える。
赤屍はメスを取り出し、そっと夏実の乳首に当てた。
無論、そのまま切り落とすような事はしない。
だが、いつかは……
それまでは、天野銀次の代わりに、この肉体を蹂躙し続けてやろう。
いつか精神崩壊し、元の水城夏実は死んだも同然のような、性奴隷に仕立て上げてやろう。
それが、この少女を殺すという事だ。
赤屍は手袋を外した素手で、弄ぶように夏実の乳首を指先でプニプニと押してみた。
気づかずに眠りこける少女の寝顔は、間抜けな程に可愛らしかった。
2007-05-11T22:08:10+09:00
1178888890
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96 MAKUBEX×レナ
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/45.html
義父に暴行された・・・・
1 :レミ◆gl85fiQ30 :20○○/3/08(日) 02:31:12
突然ですけど、誰か私の悩み聞いて下さい。
私は、ずっと以前、義父から暴行を受けた事があるんです。
義父は当時、私の家庭教師の人でした。
受験勉強の相談に乗る振りをして、甘い言葉を私にかけて、私
に酷い事をしたんです・・・・
母は何も知らないし、私もとても打ち明ける気になれません。
あんな人達と一緒に暮らすなんて、とても出来ません。
今はバイト先に頼んで住み込ませてもらってます。
学校へも、バイト先から直接通ってます。
でも、今でも私は、あの時の事を夢に見て、朝起きるとボロボ
ロと涙をこぼしたりするんです。
まわりには親切で優しい男の人達もいっぱいいるのに、どうし
ても触れるのが怖く感じます。
店長から買い物のメモを受け取るだけでも、指先が触れそうに
なるのが怖くて、内心ビクビクしてるんです。
どうしたら良いですか?
2 :>>1:20○○/3/08(日) 05:40:35
糸冬了
まずは改行どうにかしろ
話はそれからだ
3 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 07:02:02
>>1
肉便器乙
4 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 07:05:58
>>1イ㌔
5 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 09:31:12
>>1は無理矢理中古品にされたわけだな
>>1の人生オワタ\(^o^)/
6 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 09:45:11
>>1が無理矢理犯されて鼻水まみれになってるとこ想像して抜きますた
7 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:00:00
話の流れから察するに、店長は男か?
男が怖いくせによくそんなとこに住み込みでバイト出来るな
8 :名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:01:37
要は釣りって事でおk?
10:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:02:45
>>1
甘えんなヴぉけ
女は股開いてナンボじゃ
MAKUBEXは辟易としていた。
電子に管理された現代において、この手の電子掲示板の利用者は年々増加している。
一昔前はアングラだったのが、いつしか主婦が献立の参考に使うようにまでなった。
当然、ネチケットも何も備わっていないようなクズまで、訪れる事もしばしばだ。
だが、誹謗中傷は最低限相手を選んでするべきだろう。
これではネチケット云々以前に、人としての道徳の欠落に過ぎない。
万一、これが嘘ではなく、真実だったらどうする気だろう?
この無遠慮な書き込みに追い詰められたレミという女性が、自殺を図ったら?
その時、誰か一人でも責任をとれる者が、この中にいるのか?
11:Macbeth:20○○/3/08(日) 10:05:29
いい加減にしろよお前ら。
レミさんが自殺したら、お前らのせいだからな。
>>1の書き込み時間、よく見てみろよ。
夜中の二時~四時の間というのは、恒常的に精神を追い詰められてる人が
一番不安を感じやすく、一番人に縋りたくなる時間なんだよ。
誰か一人ぐらい、真面目にレミさんの事を考えようとしないのかよ?
12:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:12:07
>>1の自演キター
13:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:13:54
>>10
俺は>>4でちゃんと励ましたつもりだけど?
14:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:29:01
>>4がとても「真面目」なレスに見えないのはさておき
>>11が痛いのは確か
15:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:31:45
わざわざコテつけてる辺りが、もうね…
16:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:31:45
日曜だからこんな痛い厨が湧いてくるんだな。
17:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:38:12
>>15-16
時間スゲェェェェェェェェェ!!!111
18:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:45:20
>>1=>>11
これはいい自演
19:名無しの十兵衛:20○○/3/08(日) 10:46:12
普通の人間は夜中の二時に起きてなんかいない。
そんな生活が出来るのは、ニートか登校拒否時くらいのものでしょ?
トラウマが元で引きこもりになるくらいなら、
こんなトコ来てないで精神科池。
あ、そんな金引きこもりには無いか?
自演するだけの暇はあっても。
「……何て事だ。IDの表示されない掲示板はこれだから」
ちょっと固定HNを使っただけで厨扱いされた挙句、正論は封殺されてしまった。
(いや確かにMAKUBEXは年齢的には中学生だが)
「お、今日はどこのレス覗いとんや、MAKUBEX」
ネットを覚えたての笑師が、スレとレスの違いも判らないまま知ったかぶって用語を使ってくる。
「ん~、何々……人生相談?
何やコムズカシイもん見とんねんなぁ。
……しかもこれ、暴行て。要はレイプっちゅうこっちゃろ?
世の中にはこんなレスもあんねんなぁ。人生相談なんかネットでやらんと、
現実に周りにおる人等に話聞いてもらえば良いのに」
笑師は、かつてMAKUBEXが自分の実在を疑った事もあるのだという事を、
そしてそれを彼が誰にも相談出来ず一人で悩んでいた事を、踏まえた上で、そう言った。
それは、今ではMAKUBEXが笑師達に心を開いてくれているという、確信があったからだ。
だが、MAKUBEXは笑師の意見に、素直に同調する事は出来なかった。
無論周囲の人間に打ち明けられれば、それに越した事は無い。
だが、それで解決出来ないからこそ、追い詰められた者達は最後、
自分の殻に引き込もり、ネットの世界に縋りたくなるのだ。
今でこそ身体的にも精神的にも『外』に出られるMAKUBEXだが、
かつて孤独感に苛まれていた頃の心情は、今でも忘れてはいなかった。
「……僕が、この人のためにしてあげられる事って、何だろう?」
MAKUBEXは考え込んだ。
なまじ彼には、電脳の海に飛び込むだけのスキルがある。
やろうとは思わないが、その気になればこの掲示板に書き込んでいる全員の
IPも抜けるし、うまくすれば、自作のブラクラを踏ませて少々困らせてやる事だって出来る。
だが、このレミという女性に必要なのは、中傷する者達への報復ではない。
MAKUBEXは、悪いとは思ったが、レミのIPを確認してみた。
さすがに発信元の都道府県までしかわからないが、レミという女性が
少なくとも都内でこのスレッドを立てたのだという事は、容易にわかった。
言うまでもないが、MAKUBEXも都内に住んでいる。
そして東京は、決して広くない。会おうと思えば会える。
「……」
考え込むMAKUBEXの元に、朔羅がやって来た。
彼女はディスプレイの表示内容を確認し、MAKUBEXの考えを瞬時に読んだ。
この辺りは、さすが保護者と言ったところだ。
「あなたの考えている事はわかるつもりです、MAKUBEX。
この女性のために、何かしてあげられる事は無いか……そう思っているのでしょう?」
「うん……でも」
朔羅は、間髪いれずに言葉を続けた。
「自分に何が出来るかもわからないし、何もしてあげられない可能性の方が高い。
それに、万が一何かしてあげられる事があるとしても、直接会うのであれば
自分以外にもう一人以上、誰か女性がいた方が、安心させてあげられるのでは……
そう考えてるでしょう?」
MAKUBEXは驚いた。
正直、ここまで読まれているとは思わなかった。
いや、冷静に考えてみれば、ここまでは当たり前の思考だ。
普段あまりにも朔羅が自分の事を理解してくれるものだから、
別に朔羅でなくとも理解出来るような思考を読み当てられた時ですら、
こうして戸惑ってしまう。
「僕に確実に出来るのは、誠意を見せる事だけだ。
そこから先何が出来るのか、それはこのレミさんがどこまで僕を信用してくれるかにかかってる」
「お手伝いしますわ、MAKUBEX」
MAKUBEXは頷くと、自分のメールアドレスを掲示板に書き込んだ。
26:Macbeth:20○○/3/08(日) 11:14:41
○○○○○○○○.○○○@○○.ne.jp
>>レミさんへ
僕を信用していただけるのであれば、上記のURLへメールを下さい
僕の姉も、あなたの事を心配しています
僕達で良ければ、何か相談に乗れる事もあるかもしれませんし・・・
案の定、掲示板利用者達から様々な野次が飛んできたが、MAKUBEXは無視を決め込んだ。
最初の書き込み以降、レミと名乗る女性からのレスが無い事も気にかかる。
まさか早まって自殺……などは無いだろうと思いたいが、
この掲示板に愛想を尽かして、さっさとPCの電源を落としてしまった可能性もある。
だが、その日の夕方ごろ。
無数に届いていた、恐らくは先程の掲示板の利用者達から送られてきた悪質な
悪戯メールやウィルスメールの中に、一通だけ本命のメールが混じっていた。
----- Original Message -----
From: <△△-△△△-△△@△△△.ne.jp>
To: <○○○○○○○○.○○○@○○.ne.jp>
Sent: Sunday, March 08, 20○○ 16:42 PM
>初めまして、レミです。
>トリップに使った文字を書いておきます。
>→□□□□□□
>これを、私が本物だという事の証明にしたいと思います。
>ちゃんと表示されるか、確認してもらっても良いです。
>
>正直、ネットでこんなに私の事を気にかけてくれる人がいるとは思ってませんでした。
>掲示板は冷たい人達ばかりなので、諦めかけていました。
>私は――――
・
・
・
以下、余程日ごろからネガティブな思考を溜め込んでいたのか、
レミと名乗る差出人は、現状への不安を長々と、本文にしたためていた。
トリップに使用したという文字列を試してみると、確かに
掲示板にて表示されていたトリップと、全く同じになった。
またアドレスから見るに、先程抜いてみたIPと一緒に表示されていたプロバイダとも
合致したので、もはや疑う必要は無かった。
「レミさん本人からメールが届いたよ、朔羅」
「良かったですね、MAKUBEX。これって、いわゆるメル友というものでしょうか?」
その日から、MAKUBEXと「レミ」のメール交換が始まった。
MAKUBEXがMacbethとして、レミと名乗る女性と
メールのやりとりを始めて一月程経過したある日。
いつしか二人は、PCのメーラーではなく、
携帯電話のメール機能でメールを交換しあうようになっていた。
元々レミの方はPCを持っていないのか、最初から携帯電話でメールを送ってきていたのだが
信用を得るために、MAKUBEXの方もPCではなく、より身近な携帯電話を使うようになっていた。
少しずつ、根気良く接し、相談に乗り続けてきた努力が、とうとう実った。
MAKUBEXは、レミと直接会う事になったのだ。
4/10 14:40
Macbeth
>もしよろしければ、今度直接お会いしませんか?
>僕は十四歳の非力な子どもですが、それでも不安でしょうから、姉にも同行してもらいます。
>レミさんの方も、大人の男の人を一人誘っておけば、安心でしょう?
>いかがですか?
4/10 14:45
レミ
>そうですね・・・怖がってたって、始まらないし。
>確かMacbethさんも新宿近辺に住んでるんでしたよね?
>待ち合わせ、どうしましょうか?
正直、もっと長い時間迷うだろうと思っていたのだが、
わずか五分で返信が来たのには驚いた。
しかも、殆ど二つ返事だ。もっと何日もかけて説得する事になると思っていたのだが。
MAKUBEXはレミと詳細なやり取りを続けて、日時と場所を決定した。
「良かったですね、MAKUBEX。あなたならきっと、レミさんの力になれますよ」
「そ、そうかな……? 僕なんて子どもだし、ありきたりな言葉しかかけられないと思うし……」
「そのために、レミさんと同じ女である、私が同行させていただくんですよ。
あなた一人で足りない部分は、私が埋めますから」
当日。
MAKUBEXは目印のイルカのチョーカーを首にかけて、待ち合わせ場所……
ホンキートンクに向かった。
ここを待ち合わせに指定したのは、レミの方だった。
裏新宿の中では比較的治安の良い区画にある、至って平凡な店だ。
待ち合わせの場所としては、まぁ悪くない。
しかし、同時に嫌な予感もしていた。
「ホンキートンクって……銀次さん達の馴染みの店だよね?」
「たまたまじゃないですか?」
朔羅は、とくに気にもとめない風に、MAKUBEXの後をついて行った。
ドアを開け、入り口をくぐる。
案の定、見慣れたメンバーがそこにはいた。
「よぉヒッキーじゃねぇか。何しに外に出て来たんだよ?」
「またすぐ蛮ちゃんはそういう事を言う……」
「お久しぶり、二人とも。……えーっと」
挨拶もそこそこに、MAKUBEXは店内を見渡した。
が、客席はがら空きだ。しかし待ち合わせにはまだ十五分ほどある。
その内来るだろうと思って、わかりやすいようにカウンター席に座ろうとする。
「おいヒッキー、ここは波児が認めた男だけが座れるんだぞ」
かつて自分は素直にカウンターに座らせてもらえなかった経験から、
蛮はMAKUBEXに、テーブル席に移動するように促した。
だが、波児はMAKUBEXがカウンターに座る事を、快く受け入れた。
「良いんだよ、この少年は。よう少年、いつぞやは世話んなったな」
「世話……?
あぁ、地下闘技場で銀次さんが雷帝になった時の事ですか?
あれはむしろ、マスターがあのファイルを僕に送ってくれたお陰ですよ」
どうやら二人は、直接の会話は初めてに等しいものの、
既に信頼関係が出来上がっているようだった。
蛮にとって、それはあまり面白くなかった。
「おいヒッキー、今日は何の用事で来たんだよ?」
「うるさいなぁ……待ち合わせだよ、ただの」
「ふぅ~ん、待ち合わせ、ねぇ」
蛮の軽い憎まれ口を受け流しながらも、MAKUBEXは時計をちらちら確認していた。
もうあと三分くらいで予定の時間になるが、レミは一向に現れる気配が無い。
やはり信用を得るには今一歩足りず、ドタキャンされたのだろうか?
……それならそれで仕方ない。
自分の努力と誠意が足りなかったせいだ。
と言っても、まだ時間はある。本当に予定の時間を過ぎてから、メールを送ってみよう。
ひょっとしたら、電車なりバスなりが遅れているだけかもしれないのだから。
とうとう約束の時間になった時。
カウンターにいたアルバイトの内の一人が、いそいそとエプロンを外し始めた。
丁度シフト上がりの時間なのだろうと思って気にもとめなかったが、
アルバイトの少女はそのままカウンター越しに、MAKUBEXの目の前に立った。
「あ、あの……Macbethさんですよね? レミ……です」
「……え?」
その顔は、よく考えてみると見覚えがあった。
かつてGetBackersが神の記述を用いて戦った時、敵側にいた子ども達の一人。
あの戦闘には直接参加していなかったが、データだけなら参照した事はある。
本名はよく覚えていなかったが、確か通り名は……
「レミ……エル……」
「は、はいっ。あの、えっと……初めまして、かな?
あでも、メールは一ヶ月も前からやってたし、えっと……」
MAKUBEXは、自分の知る限りの情報と、現状を照らし合わせてカリキュレーションを始めた。
もっとも周囲から見れば、ただ呆然としているだけにしか見えないのだが。
ふと隣を見ると、蛮はしたり顔でニヤニヤと笑っている。
銀次と夏実は祝福でもするようなニコニコ具合だし、波児も愉快そうに煙草をくゆらせている。
朔羅だけが、MAKUBEX同様に事態を把握しきれず困惑している。
MAKUBEXは一気に顔を赤くして、今までに無いくらいの大声を出した。
「ハメたなアンタらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
テーブル席に移動して、レミ……レナとMAKUBEXは、向かい合って座った。
レナは申し訳なさそうに、MAKUBEXに釈明する。
「あ、あの、掲示板に悩み相談を書き込んだの自体は、真剣なんです。
Macbethって名前で書き込みがあった時も、あなたの事だとは気づきませんでしたし……
って言うかあなたの事、名前もよく知らなかったし……
ただ、ケータイでのメールの送受信の履歴を、偶然先輩に見られちゃって、
そんで『これ無限城のMAKUBEX君の事?』って聞かれて……」
MAKUBEXは、恨めしい程深いため息を吐き出した。
「それで……途中から僕だと気づいていながら、
知らない振りしてメールしてたわけだ」
「ご、ごめんなさいっ!
あの、だって、確証があったわけじゃないし、その……
今日会って、直接顔を見るまでは、断定出来ないし……」
朔羅はMAKUBEXの隣ではなく、既にレナの隣に座っていた。
今にも泣き出しそうになるレナの頭を優しく撫でて、場を取り持とうとする。
が、朔羅の努力とレナの謝罪を無駄にするかのごとく、蛮が野次をとばす。
「ネット恋愛たぁ、いかにもお前等らしいじゃねぇか。
年も近いし、案外お似合いのカップルなんじゃねぇの?」
「君少し黙ってて」
その小さな声が存外怒気を孕んでいたために、思わず蛮も口を閉じてしまった。
だが、MAKUBEXはその溜め込んだ憤りを、どこにぶつければ良いかわからなかった。
どうせこの気弱そうな少女の事だ。
本当は誰にも教える気はなかったのに、夏実に気付かれてから、
連鎖反応的に、GetBackersや波児にもバレてしまったのだろう。
少なくともレナ自身は、決してMAKUBEXを騙そうとして騙したわけではない筈だ。
というより厳密に言うと、騙されたのではなく、真相を隠されていただけ……
もっと言えば、彼女自身が真相に確証を持っていなかっただけだ。
もうレナを責めるべきではないとの解を出したMAKUBEXは、
気分を落ち着かせるために一口コーヒーをすすった。
「……で、結局どうする?」
どうするとは、つまり、この後何事も無かったかのようにオフ会をするのか、
それともホンキートンクで皆で仲良くお喋りでもするのか、という事だ。
まさか、一応会う約束を取り付けておいて、実際に会ったのに、何もせずに帰るのも癪だ。
だが、そんなMAKUBEXの思案をよそに、銀次が茶化す。
「せっかくなんだし、二人でデート楽しんできたら良いんじゃない?
あ、でも保護者いないとレナちゃん不安なのかな」
「銀次さん……まず断っておきますが、デートとかそういうのじゃないんで。
これはただのオフ会です。あと、申し上げにくい事なんですが……」
銀次は、首をかしげて尋ねる。
「なに?」
「あなたも、黙ってて下さい」
かつて自分の上に君臨した、ロウアータウンの王の前任者に対して、
MAKUBEXは臆する事なく、先程蛮に対して放ったのと同じ怒気を、銀次に放った。
GetBackersの二人を黙らせたとなっては、いくら天然の夏実でも、迂闊に声は出せない。
妙に緊張した空気が、店内を支配していた。
結局MAKUBEXとレナは、二人で近場のゲームセンターに行く事になった。
元々、遊びたい盛りの年齢の男女が喫茶店で何時間も、会話だけで潰せる筈はないのだ。
そんな年寄りのようなデートは、中学生には似つかわしくない。
かと言って二人とも体育会系ではないから、
ボウリングやバッティングセンターやビリヤードに行くなどという事も無い。
迷った挙句、今まで勉強とバイトばかりしてきたレナに、
MAKUBEXの得意分野である、ゲームを教えてやろうという結論に至った。
もっとも、彼がそう決定したわけではない。
蛮や銀次や朔羅が、お節介にも口を挟んでお膳立てしてくれたのだ。
「朔羅は来ないの? 僕一人だけじゃ、レナちゃんが不安なんじゃ……」
「あ、た、多分大丈夫……だと、思うから……
今までのメールで、Macbeth君は信用出来る人だと思ってるし……」
オンライン上の性格や言動が、オフライン上でも適用出来るわけはないのだが、
MAKUBEX自身が躍起になって自分の信用を否定するのもおかしい。
結局周囲に言いくるめられた事もあって、二人は大人しく店を出て行った。
二人がいなくなった後で、銀次は朔羅に尋ねた。
「良いの? 朔羅がついて行かなかったら、朔羅来た意味無くない?」
「良いじゃないですか。せっかく、思ったより早く打ち解けられそうなんですから。
保護者がついて行ったら野暮ですよ」
「でもそうは言っても、二人ともまだ中学生だよ?
ゲーセンなんかに行って、不良に絡まれたらどうするの?」
それもそうだ、と朔羅は思った。
MAKUBEXもレナも、生身での戦闘能力など皆無だ。
もっとも、いくら裏新宿とは言え、中学生が絡まれる事など滅多に無いのだが、
無限城育ちの朔羅にとっては、多少過剰に危機感を持ってしまわないでもない。
あれこれと迷っていると、蛮が席を立ち上がった。
「しゃあねぇな。今日ぐらい過保護にしてやるか。
ヒッキー小僧とレナには本意じゃねぇだろうが、放っとくわけにもいかねぇ。
見つからねぇ程度に、後をついて行こうぜ。こういう時のための保護者だろ?」
正直無粋な真似だとも思ったが、何かあってから後悔しても遅い。
朔羅は頷くと、蛮と共に二人の後を追う事にした。
パチンコ店とゲーセンの店内の喧しさは、慣れない者には耐え難いものだ。
中にいると、嫌でも声を張り上げなければ、会話もままならない。
提案したのは自分ではないとは言え、やはりこんな場所に
レナを連れて来るべきではなかったと、MAKUBEXは後悔した。
「ごめんね、レナちゃん。煩くない?」
「大丈夫ですよ。こういう賑やかな所も、たまには」
呟くように話す事が出来ない分、自然とレナの語調もハッキリしてくる。
「MAKUBEX君は普段、どんなゲームをしてるの?」
「えぇと……そこにあるメルティ・ギア・ソリッドっていう格ゲーとか。
でも、あまり初心者の女の子が楽しめるようなゲームじゃないからなぁ」
試行錯誤した結果、MAKUBEXは妙案を思いついた。
対戦格ゲーのコーナーを離れて、カードゲームのコーナーにレナを連れて行く。
そこには席が並べられており、プレイヤー達がテーブルの上にカードを並べている。
前面の大型ディスプレイの中では、刻一刻と表示内容が切り替わっていた。
「この手のゲームなら、レナちゃんにも飲み込みやすいかも。
よくは知らないんだけど、『神の記述』もこういうゲームだったんでしょ?」
「わぁ、カードだ。このペラペラ具合、凄く懐かしい。
私、カードゲームなんてトランプぐらいしか知らなかったから、
ターンとかそういう言葉が、凄く新鮮だったなぁ……」
ルシファーの尖兵として戦った記憶は、決して『良い』思い出ではないのだが、
それでも思い返せば、懐かしさがこみあげてくるものだ。
MAKUBEXはカードを購入し、レナと一緒にプレイし始めた。
ルールも、カードの特性もよく知らないレナに、MAKUBEXがアドバイスをしてやる。
その様子を離れた場所から見守っていた蛮と朔羅は、思わず苦笑いした。
「……ま、ガキらしいデートじゃねぇか。
引きこもりにしちゃあ、立派にエスコートしてると思うぜ?」
「ふふっ、そうですね。もう少し様子を見ましょうか」
ひとしきりゲームを楽しんだ後、MAKUBEXは
レナをクレーンゲームのコーナーに連れて行った。
レナは、ヌイグルミが大量にガラスケースの中に入っているのを、もの珍しそうに眺めた。
「わぁあ……これが噂のクレーンゲームかぁ。初めて見たかも」
試しに百円入れて、クレーンを動かしてみる。
アームの力が強めに設定されているのか、一発でウサギのヌイグルミをゲット出来てしまった。
素直に喜ぶレナの笑顔には、もうMAKUBEXへのわずかな警戒心も感じられなかった。
「良い傾向だな。お前んとこの王子様は、なかなかのプレイボーイじゃねぇか。
俺や銀次でさえ、レナがナチュラルな笑顔を見せてくれるようになるまで、
それなりの時間がかかったもんだぜ?」
蛮は、内向的だと思っていたMAKUBEXの、意外な外交性に、少々驚いた。
それは朔羅も同様で、自分でさえ最初は中々見られなかったMAKUBEXの笑顔を
あっさりと引き出したレナに、女として少し悔しさを感じてしまった。
「年が近いから、打ち解けやすいのかもしれませんね。
レナちゃんを酷い目に遭わせたのって、レナちゃんより何歳も年上の男性でしょう?
波児さんに拒否反応を示すのも、その辺りが関係してるのかも」
さすがに蛮も朔羅も戦闘能力があるだけあって、気配を隠すのはお手の物だった。
MAKUBEXにもレナにも全く気取られる事無く、尾行を続ける。
つけられている事に気づかぬまま、MAKUBEXはレナと良い雰囲気になっていった。
元々ネガティブ同士、波長が合うのかもしれない。
そして面白い事に、二人でいると、生来のネガティブな思考が自然と中和されて
二人とも明るく、ポジティブに笑えるようになっていた。
(因みにこの二人は、二人ともAB型である。あまり関係無いが)
その内MAKUBEX達はゲーセンから出て、シルバーアクセを扱っている露店に向かった。
千円やそこらの、バッタモンのようなチャチな商品しか無いが、
子ども達にはむしろそれで丁度良いかも知れない。分相応だ。
その様子を見ていた蛮と朔羅は、もうこれ以上尾行する必要は無いと思った。
普段金が無いからゲーセンに行かない蛮も、そもそもゲームに縁の無い朔羅も
ゲーセンというものは案外不良など少ないらしい事がわかったし、(オタクは多いが)
あの二人なら、危険な場所に二人だけで行くような事もしないだろう。
レナは少々危機管理能力に欠ける部分があるが、その点はMAKUBEXがフォローしてくれる筈だ。
「……もう帰るか?」
「そうですね。あとはホンキートンクで、二人の帰りを待ちましょう」
蛮と朔羅は、やはり気配を隠したまま、アクセを選ぶ子ども達の背中を後にした。
そうこうしている内に、すっかり日が沈んできた。
元々待ち合わせの時間自体、昼過ぎだったのだ。
ほんの二時間程遊び歩いただけで、もう空の色は落ち着いてくる。
二人で過ごす時間は思った以上に楽しく、時間がゆっくり過ぎていくようにも、
また時間が足早に過ぎていくようにも思えた。
影のさす交差点の信号の足元で、二人はノスタルジックな風景にしばし酔った。
いつの間にか、二人は手を軽く握り合っていた。
男性アレルギーのレナと手を繋げるというのは、物凄い事だった。
「……もうそろそろ帰らないと、怒られちゃうかもね」
「うん……でも、私まだ帰りたくない……」
甘えるような小さな声で、顔を赤らめながら呟く少女。
そしてそれは、少年にとっても同意見だった。
覚悟を決めて携帯電話を取り出し、朔羅に連絡をいれる。
「ん何ぃぃいあ!?」
「うっわ蛮ちゃん声大きいって……」
連絡を受けた朔羅が、蛮達にもその内容を報告した。
MAKUBEXとレナは、予定を遅らせて、もう少し遅めに帰るとの事だ。
恐らく、ホンキートンクに戻るのは、21時少し前になるだろう、と。
条例違反ギリギリの時刻だ。一分でも過ぎれば、あっさり補導されてしまう。
「あいつら中坊のくせに……」
「アバンチュールってやつですか? レナちゃんやるなぁ」
事態の深さを理解している蛮と、まるで理解していない夏実。
蛮と朔羅は、やはり最後まで見張り続けるべきだったかと後悔した。
しかし、仮に尾行を続けていたとしても二人を止める事は出来なかっただろう。
途中で出て行って「もう帰るぞ」と言うわけにもいくまい。
「おいおい大丈夫かぁ?
子どもとは言え、やる事やらんって保証は無いぞ」
波児は年の功から、火のついた思春期の少年少女が、早まって
どんな行為に及びかねないか、よくわかっていた。
何しろ、十代で子どもを作った男が、かつて相棒だったのだから。
波児達の懸念通り。
火のついた思春期の少年少女が、やる事は一つだった。
とあるラブホテルの一室。
MAKUBEXはベッドの上で、シャワーを浴びるレナを待っていた。
入店するのは、意外と簡単だった。
未成年である事がバレれば当然入店拒否されただろうが、特に年齢は聞かれなかった。
まさかMAKUBEXの身長で、年齢を疑われなかったとも思えない。
しかし、ホテル側もいちいち全ての客の年齢を確認するのは面倒なのだろう。
結局二人は、何事も無く部屋まで通された。
「お……お待たせ」
湯気を肩から醸し出しながら、バスタオル一枚でレナが出て来た。
MAKUBEXにとっては、その姿を見ただけで既に勃起してしまいそうになる。
「あっ、あの……僕、初めてだから……うまく出来るかどうか……」
今までデートをリードしてくれていたMAKUBEXが、急に臆病になる様が、
レナには何だか可愛く見えて、思わずクスッと笑ってしまった。
「大丈夫だよ、私が教えてあげるから。こう見えても、一応経験者だしね」
少し悲しげな目でそう言うレナの表情は、MAKUBEXには痛々しかった。
「はっ……はぁっ……ん、く……」
レナは、背後から回されたMAKUBEXの左手に、股間を刺激されて悶えた。
正確に言うと、MAKUBEXがレナの股間を刺激しているというのではない。
何故ならMAKUBEXの左手は、レナ自身の右手に誘導されていたからだ。
レナ自身が、自分で気持ちの良いように、MAKUBEXの手を使って自慰をしているようなものだ。
だがそれでも、MAKUBEXには彼女を気持ち良くさせてやっているという、
密かな満足感と支配感があった。
「そう……そこ、もちょっと指広げて……ふぅ、ん……そっ、あぁ……」
言われるままに、MAKUBEXは指と掌をふんだんに使う。
染み出してきた液体が、ねっとりと絡みつく。
人間の体からこんな液体が出てくるなど、考えられなかった。
「ねぇ、MAKUBEX君……私の事、いやらしい女だって思った? ケーベツした?」
MAKUBEXは、何と答えれば良いか迷った。
こういう所は、無駄に正直な男だ。
いくら一ヶ月前からメールのやり取りをしていたとは言え、殆ど今日が初対面。
しかも、相手は男性が怖いと自己申告している、元レイプ経験者。
それが自ら進んで男の手をとり、股間をまさぐり、乳房さえ自ら揉んでいる。
男としては喜ばしい事だが、驚きを隠せないのも事実だ。
回答に迷っている間の沈黙は、レナにとっては、質問への肯定に等しかった。
「そう……やっぱりね。私って、いやらしい子なんだね……」
「そっ、そんな事無いよ! あ、いや……」
MAKUBEXは訂正した。
「……良いと思うよ。いやらしくても。僕はそれでも、君の事……」
その続きの言葉は、初心な少年には言えなかった。
昼間と違い、今度は自分がリードする番だ。
そう考えていたレナは、コンドームも自分がつけさせてやろうと思った。
男性器を見た瞬間に吐いてしまわないか心配になったが、耐えようと思えば何とか耐えられた。
かつて無理矢理突っ込まれたのと同じ、グロテスクな物体を、
勇気を出して指先でつまむ。
既に先端から先走り汁が出ており、それを見ると喉の奥から何かが出てきそうになる。
これのもっと濃いものが、自分の中に注ぎ込まれたのだと思うと、呼吸が止まりそうだ。
レナはコンドームを口の端に咥え、照準を合わせた。
先端に被せるように、顔を近づけさせていく。
MAKUBEXは、暴発しそうになるのを必死で堪えた。
初めてのコンドームは、つけるだけでも痛みを覚える程だった。
リングの部分が肉棒を締め付け、思わず射精しそうになる。
十秒程かかって、ようやく装着を完了した時には、逆に締め付けを然程苦しく感じなくなった。
レナはMAKUBEXの胸を押して、仰向けに寝るように促した。
「言ったでしょう? 私が教えてあげる、って」
どうやら、彼女は騎上位を望んでいるらしかった。
プルン、プルンという擬音が聞こえてきそうなくらい、レナの乳房が揺れた。
それを押さえつけるように、レナ自ら胸に手を当てて、その柔らかな肉を揉みこむ。
だが両方自分で揉んでいては、姿勢を維持出来ない。
もう片手でMAKUBEXの手をとり、空いた方の乳房を揉ませる。
汗と涙が、パタパタとMAKUBEXの胸板に落ちる。
愛液は、お漏らしのようにジュプジュプとシーツの上に迸った。
先程から暴発を我慢していたMAKUBEXは、ものの十秒程で絶頂に達してしまった。
「うっ……ご、ごめんレナちゃん!」
レナの子宮口に、精液を満タンに注ぎ込まれたコンドームの先端が食い込んでくる。
レナは騎上位のままで、一旦動きを止めた。
「もう、だらしないなぁ。萎んでると出来ないから、早く元気を取り戻してね?」
そう言ってレナは、MAKUBEXを咥え込んだまま、何とその場でオナニーを始めた。
むき出しになっているクリトリスを指で刺激し、円運動を描くように乳房を揉みしだく。
「レ、レナちゃん……?」
「……んふぅ……ふんぁあはぁ……ふぁ……
MAKUBEXくぅん……私が、一人でしてるトコ見てぇ……
おちんちん、早く勃起させてぇ……」
恥じらいも何もない、痴女そのものの台詞に、MAKUBEXはぎょっとした。
「ふぁあん……レナ、もぉ我慢出来ないのぉ……
乳首コリッコリに硬くなってて、クリちゃんも……ねぇ、だから……
早く私をメチャクチャにしてぇ……お願いだからぁ……」
信じられないくらいに『壊れた』懇願だ。
普通の女性ならまだしも、相手はレナだ。重ね重ね言うが、レイプ経験者なのだ。
それが、こうまで性に対して開放的になれるなど、にわかに信じがたい。
MAKUBEXは、一つの仮説を導き出した。
仮説ではあるが、100%の確率で正答であるとの確信があった。
MAKUBEXは上半身を起こし、レナを至近距離で向き合った。
「ねぇ、MAKUBEX君……私、いやらしい子だよね?
初めて会った男の子に、その日の内に足開くなんて、おかしいよね?
世の中の男の人全部が、汚れて見えるのに……
恋愛なんて汚らわしいだけで、全然美徳だなんて思えなくなったのに……
こうして、火遊びでMAKUBEX君と繋がって、えっちなお汁いっぱい垂れ流して
自分でおっぱい揉んで、みっともない顔して息を吸ったり吐いたりして
あの時だって、気持ち悪かった筈なのに、ひょっとしたら自分で気づいてないだけで
本当は気持ち良かったのかもしれなくて、あの時の感覚が今でもアソコに残ってて
私は私を自虐して、不幸に酔ってるだけなのかもしれなくて
そうやって悲劇のヒロインぶってるから、周りの人達が励ましてくれてるのに
いつまで経っても立ち直れないフリをしてるだけで、本当は掲示板に書き込んだのだって
不幸な私を誰かに認めて欲しかっただけで、現にこうして男の人とセックスしてるのも……」
呪文のように続く、頭を締め付けられそうな言葉の波。
虚ろな瞳と、仮面のような笑顔と、止め処なく流れる涙。
見ているこっちが発狂しそうな程だ。
こんなものが、自虐ナルシズムなわけがない。
余程日ごろから思いつめているからこそ、ここまで自分自身と世界の、両方を呪えるのだ。
ただ自分に酔っているだけの者なら、とっくの昔にリストカットでもしている。
MAKUBEXは彼女の言葉を遮るように、強く抱きしめ、唇を塞いだ。
「ん……んむ……ぷはっ」
「ごめん、いきなりキスなんかしちゃって。でも……」
まだ十四歳の少年には、目の前の少女にどんな言葉をかけてやれば良いのか、検討もつかなかった。
するとレナは、今度は自分から、MAKUBEXに口付けた。
殆ど唇を離さず、そのまま言葉を紡ぎ出す。
「……ありがとう」
「あぅうん! あはっ、そこぉっ! んぎもちいいぃんっ!」
再び勃起したMAKUBEXは、今度は正常位でレナと交わりあった。
レナの膝の関節の裏側に、MAKUBEXの腕が通されて、無理矢理股をこじ開けられている。
結合部の決壊したピストンのように、隙間から愛液がどんどん漏れ出る。
甘い匂いが部屋中に広がり、麻薬のように作用してくる。
何も考えられなくなり、ただ本能のままに腰を打つだけだ。
「そこぉ、もっとぉ! もっと突いてぇっ!」
レは快感をこらえるようにシーツをきつく掴み、首をのけぞらせて喘いだ。
舌は口の外へと突き出されんばかりの勢いで伸び、涎が拡散する。
MAKUBEXは上半身をレナに密着させ、限界まで伸ばされた彼女の舌を自分の舌を絡めた。
既に二人とも表情は恍惚とし、目は半ば正気を保っていない。
「あぁっ! イくっ、アッ! アッ! アァッ! イっちゃうぅぅぅぅ……!」
レナの絶叫とともに、二人はほぼ同時に果てた。
MAKUBEXはレナの体の上に崩れ落ち、悪いとは思いながらも、しばらく体重を預けた。
動きたくても、もはや動けなかった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「マ……ク、ベ……君……」
時刻は20時54分。
何とか、21時までにギリギリ帰る事が出来た。
ホンキートンクに戻った二人は、予想通り、大人達にこってりしぼられた。
「いたたたたっ!」
朔羅に頬をつねられ、うっすらと涙を浮かべるMAKUBEX。
レナは助けようとしてオロオロするが、夏実にハグされて歩く事もままならない。
「ごめんねぇレナちゃん。
私はレナちゃんがMAKUBEX君と何してても怒らないんだけど
波児さんと蛮さんが、すんごく怒ってるからぁ」
見ると、波児は我が子の非行を自分の不甲斐無さのせいだと思って悲しむ親のような表情をしていた。
蛮は、相手が男であれば即殴るか、女でもレナでなければ、
罰としてセクハラしてきかねない程に額に血管を浮かび上がらせていた。
「あんまり保護者に心配かけんじゃねぇぞ糞餓鬼ぃ……」
「み、未成年の蛮さんじゃ、どの道保護者じゃ……」
「グダグダ屁理屈こねてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
さすが赤屍を倒した蛮だけあって、その怒声だけでもレナは失禁してしまいそうだった。
もうその辺で許してあげようよ、と宥める銀次が空気化してしまう程、
波児の悲壮感と蛮の怒りは頂点に達していた。
一方でMAKUBEXも、クドクドと朔羅に叱られていた。
店の床に正座させられ、顔も上げられない程説教される。
「……まったく、もう。今日初めて会ったばかりの子をこんな時間まで連れ回して。
第一あなた、ちゃんとした知識があるんですか?
誤って妊娠でもさせてしまったら、どうするおつもりですか」
「に、妊娠って……ちゃんとゴムつけたし……」
言って、MAKUBEXは口を噤んでしまった。
失言だ。
誘導尋問だ。
「へぇ……やっぱり、そういうコトしてきたんですね」
「いや、ちょ、待っ……」
結局子ども達へのお叱りは、その後一時間にも及んだ。
2007-05-11T21:57:46+09:00
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82 変態花月さんとマゾなレン
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まがいものの自分には必要ないのに。
どうして欲望してしまうのか。
醜い、嫌らしい、汚れている。
「あぁ…っ!」
螺堂レンは幾度目かになる絶頂を向かえた。
真夜中のレンの自室。暗闇のなかうごめくレンの指は、自身の足の間にへばりついていた。
びくりびくり、陸にあげられた魚のようにレンの体は痙攣する。
はー。はー。
浅い呼吸を繰り返し。
レンは虚空に目を向ける。
焦点の合わない目は、欲望にあえいでいる。
躊躇いののち、レンの指が再び踊る。
「あ、ああっ、ゃあっ…ふ、ふあ…ああんっいやぁっ」
片方の手は自分の胸へ。
固くなりすぎた乳首にかすると、痛いくらい感じた。
「あっ」
いじるだけの単調な愛撫。
「あんっあんっやぁっ」
なのに失禁しそうなほどに感じてしまうのは。
「か…づき、さぁんっ」
固く閉じた瞼。
暗闇の中で、レンは愛しい人の愛撫を夢想していた。
あの人の指が。美しく細い指が。
あの人の舌が。美しく赤い舌が。
「ごめ…なさぁっ…かづきさ、ん…ごめ…
いやらしくて、ごめん…んあぁっ!」
美しい人を。
たとえ夢想の中でさえ、汚してしまう自分。
情けなくて申し訳なくて、けれど罪悪感すら欲望を煽るだけ。
「ふあ…も、だめ、また…きちゃう…やああん!」
レンの止むことのないあえぎ声。
誰に届くはずもない声を、聞いてしまっている人間がいた。
りん、と涼やかに鈴が鳴る。
細い細い糸を揺らして、麗人はくすりと笑った。
翌日。
レンは新生ボルツのもとへ薬を届けに来た。
「はい、これ…じっちゃんのつくった新薬。擦り傷によく効くよ」
「ああ、ありがとう、レン」
少年王は微笑みながら代金を支払った。
「それじゃ、帰るよ」
「あ、ちょっと待って。…花月、レン送っていってあげて」
「……!大丈夫だよオレ一人で帰れるっ」
「わかったよMAKUBEX」
「なにかあったら困るしね」
レンの動揺を気にすることなく、男二人は話を進める。
花月はレンの隣に来た。
「行こうか」
「……うん」
照れながらも、嬉しくて顔がにやけてしまうレン。
ばれないように必死で顔を引き締めるが、すぐにほころんでしまう。
「大丈夫?」
さりげなく花月の手がレンの肩に置かれる。
少しだけ力が入り、わずかに引き寄せられる。
「だ、だだだ大丈夫っ!」
いつもの違う大胆な花月の行動に、レンは顔を真っ赤にしながら答えた。
声がうわずっている。
花月はくすりとおかしそうに笑いながらも、レンの肩から手を退かさなかった。
レンは今日の花月になんとなく違和感を感じていた。
「ねえ、家に寄っていいかな?」
家に着いたときの一言で、その違和感は決定的になった。
なにかが起きる予感がする。
それを理解しながら、レンは拒否しなかった。
花月を家にあげて、レンは家の鍵を下ろした。
ガチン、という音が、やけに大きく響いた気がした。
祖父は薬の原材料を求めに街へ出かけている。
明後日になるまで帰ってこない。
そのことを改めて思い出し、そわそわしながら花月を自室に入れた。
「…散らかってるけど」
「そんなことないよ」
花月は穏やかに笑う。
いつもと変わらない笑顔。
急に恥ずかしくなってきた。
もしや、なんて。なんて馬鹿な勘違いを。
「ねえ、レン」
気付くと花月が顔を近付けていた。
「わわっ」
「そんな驚かなくても」
「ご、ごめんなさいっ!」
近距離で見た顔があまりに綺麗で。
レンの動悸は止まらない。
「これ、聞いてみて」
差し出された手には細い細い、糸。
それが花月の武器であることをレンは知っている。
なんだろうと糸を耳に近付けると。
「…わー」
音。
音。
音。
隣家の夫婦喧嘩。
遊ぶ子供の笑い声。
けたたましい騒音が耳に溢れる。
「すごいねー…」
花月の特技にレンはただただ感心した。
花月はただただにこにこと笑う。
「ね、面白いだろう?」
「うん」
「昨日の夜ね、もっと面白いものを聞いたんだ」
心臓が一瞬止まった気がした。
花月はにこにこと笑いながら続ける。
「ちょうど、このあたりで」
「あ…」
「僕を求める甘い声が」
「……いわないで」
「レンの声だったよ?」
優しい優しい微笑みで。
真実を告げる。
体中から血の気が失せて、次にさああっと赤くなった。
いたたまれなくてレンは顔を覆った。
聞かれてしまった。
聞かれてしまった。
「…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
消えそうな声で呟き続ける。
そして花月はにこにこと笑いながら続ける。
「ねえ、僕の前でやってみせて」
レンはのろのろと顔をあげた。
そこにあるのは大好きな人の大好きな笑顔。
笑顔はそのままで、別の人になってしまったようだ。
でも花月であることには違いなくて。
花月である以上、レンは決して逆らえない。
「………はい」
下着を下ろすとき、ぬちゃっと嫌な音がした。
「………!」
花月は何も言わない。
ただその目が、面白がるように笑った。
いたたまれない。
レンは思わず花月から目を反らしうつむいたが、
「駄目だよ」
花月の手がレンの顎を持ち上げた。
「あ…」
「目を閉じても駄目だ。僕を見続けるんだ。いいね?」
す、と花月の手が離れる。
目が次を促していた。
おそるおそる、レンは自分の秘部に触れた。
そこはぐっしょりと濡れている。
「ひっ…!」
「さあ、レン」
「は、い…!」
親指と人差し指と中指で、二、三度擦る。
「ふあ、ふあ、やあっ!」それだけで面白いくらい蜜が溢れ出た。
ちゅぷちゅぷちゅぷ。
指が愛液と擦れ合いいやらしい音がする。
ますます蜜がこぼれて、音が大きくなる。
ちゅぷちゅぷちゅぷちゅぷ。
花月が自分を見ている。
自らを愛撫する姿を。
こんな恥ずかしい浅ましい姿を。
それだけでこんなにも。
「あひっ、ああっ!いやぁっ!ああん!」
「ねえ、レン」
場にそぐわない花月の落ち着いた声。
「足を開いて。よく見えない」
「…だめっ」
レンの制止を無視して、花月はやんわりとレンの足を開いた。
だらしなく、ずるりと蜜が垂れる。
「すごい濡れてるね。いつもこんなに?」
くすりとおかしそうに笑われて。
レンは消え去りたくなるような恥辱を感じた。
「いつもどんなことを考えてしてるの?」
花月の目がレンを射ぬく。
それだけは言うまい言ってはならないと理性が止める一方で、秘部をいじる指の動きがますます激しくなる。
「あ…かづき、さんの」
「僕の?」
「かづき、さんの、…ふぁっ、指が。
オレの、…ここを…」
「僕の指がレンのここを?」
「…さわっ…ああ、さわ、てんの、かんがえ…ひぅっ!」
言ってしまった。
レンの目から涙が一筋溢れる。
それを花月は面白そうに眺めている。
「さっき僕がレンの肩を抱いた時も顔を赤くしてたよね。
そんなことを考えていたの?」
「ちが…」
「僕と会う度、僕の手が君に触れる度、君は自慰の材料にしていたの?」
「あ…ちが………ごめんなさぁ…」
「レンはとてもいやらしい子だったんだね」
呆れたような、嘲るような。
どこまでも楽しげな声。
「…ごめんなさ、ごめんなさい、ごめ…」
花月は泣き出したレンの頭を撫でて、全てを許すような、これまでで一番優しい笑みを浮かべた。
「そんないやらしい手は縛ってしまおう」
しゅるりと花月の絃がレンの手に巻き付いた。
手首と拳。
突然の刺激の断絶。
「……あ?」
何が起こったのか理解できない。
レンは必死で拳を開こうとする。
けれど風鳥院の絃が易々と解けるはずもない。
動けば動くほどきつく食い込み、レンの手首に赤い痕を残す。
体の熱が解放されず苦しい。気が狂いそう。
「…あー、あー、あー」
もはやレンは意味のある言語を喋ることも出来ない。縛られた両方の拳を力なく振り回し、
目からも口からもだらだらと液をこぼしながら、懇願するように花月を見る。
花月はふいっと目を反らし、レンの足の間に顔を埋めた。
視覚の無いはずの足の間で、花月の視線をレンは強く感じた。
「…すごい、見てるだけでどんどん溢れてくる」
感嘆したような花月の声。
花月は舌を伸ばし舌先でそっと蜜をすくいとった。
「ーーーーーーっ!」
がくん、とレンの体がのけぞった。
ぶるり、と震えたあとは、声も出さず反応もない。
けれど花月はレンの異変にはさして気にも留めず。
「まだイクには早いよ、レン」
舌を動かし続けた。
「あっ、あっ、あっ…ーーー!」
ずるり、と音を立てながら液をすする。
口をつけるそばから溢れて、とても飲み干せそうにない。
「も、も、だめっ、ひいっ!あっー!おねが、ゆるし…あああっ」
「駄目」
何度いかされたか覚えていない。
途中から喉が枯れて声も出せなくなって、レンはおもちゃのようにがくがくと体を動かすだけになった。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
もうゆるしてください。
呟きは届かなくて。
「…レン、大丈夫?」
「ふぁ……」
解放され、半ば気絶しかけていたレンは、ゆっくり目を開けた。
ぼんやりとした視界に広がる愛しい人の顔。
心配そうに自分を見ている。
まるで先程までの責めが夢だったかのようだと、レンは錯覚した。
「…だい、じょぶ、…です」
「よかった。今度は僕の番だね」
花月はズボンを下ろした。
そそりたったものが現れる。
「……………」
レンは無言で、それを口にくわえる。
夢であるはずがなかった。
夢でなくて良かった。
レンの思考回路はいつの間にかショートしていた。
それが元からの欲望だったのか、花月に責められているうちに生まれた欲望なのか、
わからないまま、レンは花月のモノを舐めながら涙を流している。
喜びの涙を。
愛しい人のモノを、口いっぱいに頬張ってる。
自分の行為に反応して、固く大きくしてくれる。
自分の醜い、嫌らしい、汚れている欲望を、この美しい人が受け止めてくれる。
まがいものの自分を必要としてくれる。
幸せだった。
レンは口を離すと、あまり大きくない乳房で挟み込んだ。
谷間も無いので、両方の手で胸をぎゅっと押し付ける。
固い乳首で擦るように、体を上下させる。
その瞬間未知の快楽がレンを襲った。
「あ、ああっ……!」
胸が小さいため、体全体で花月のモノを包みこむような形になる。
全身で花月のモノを抱き締めているような感覚に夢中になる。
自分の汗と、花月の先走りの汁で体は濡れて、動く度にぬちゃりぬちゃりと音がする。
「レン、…」
かすれた声で花月がレンを呼んだ。
すぐにレンは動きを止めて、花月の言葉を待つ。
「…また自分ばかり気持ち良くなってるね」
呆れたように、怒ったように。
「…ご、ごめんなさい…っ」
目を伏せたレンのほほに、花月の手が触れる。
どこか躊躇いがちな仕草に、かえってレンは戸惑った。
「花月さん……?」
「…………」
手が、腕が、レンの背中に回り。
花月はレンを強く抱き締める。
同時に男根が侵入する。
指や舌とは比べ物にならない大きさに、体が悲鳴を上げる。
「ぐっ……」
「苦しい?」
尋ねる声は優しかった。
いつもの花月さんの声だ、とレンは思った。
優しくて心配性なあの人の声だ。
花月はなだめるようにレンの背中を撫でる。
肩胛骨を辿るように手が触れる。
それだけで苦しいくらい気持ち良すぎて。
「平気、だから…!」
「だから?」
「おねが、…もっと突いてぇ!!」
花月は驚いて目を丸くし、くすりと笑った。
「ああ」
レンの望み通り、腰を押し付けて深く深く突く。
「気持ちいい?」
「うんっうんっ…もっとぉ」
甘えるようにレンは花月に腕を巻き付けた。
腰を揺らして自ら求める。
「あっ……」
ある箇所を当たって、格段に違う反応を見せる。
「ここだね?」
ぐりり、と深く深く突く。
「だめぇっ!あ、ああ、そこはぁ…」
「ほら、もっとあえいで。求めて」
ぐちょり。
腰を離して、より深くを撃つ。
「ひああ」
「レン…」
「ふあ、ふあっ…そこ、も、もっとぉ…きもち、いいっ…!
あんっあんっあぁっ!!」
それから一週間後の夜。
花月はベッドに腰掛け、足をなげだし。
レンは膝まづいて、花月の足の指を一本一本丁寧に舐めていた。
桜貝のような爪に舌を這わし。
指の間も貪欲に舐める。
「…上手くなったね、レン」
かすれた声と頭を撫でる手が最高のご褒美。
レンは照れ臭そうに笑った。
二人の関係は続いていた。
レンは花月に突然態度を変えた理由を聞くこともなく、一心不乱に花月を求めた。
歪な関係が丁度いい。
もっとオレを求めて。
辱めて。
どうか、オレがここに居るって、現実に存在してるって、思わせて。
今だけは錯覚させてください。
2007-05-11T21:50:07+09:00
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75 波児+夏実×レナ
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/43.html
ビィィィィィ・・・・・ン
ごく小さな振動音。
耳を澄ませば、どうにか聞こえるレベル。
至近距離まで近づけば、聞こえない事もない程度のボリューム。
無論、カウンターを挟んで対面にいる客達には、聞こえよう筈も無い。
それでもレナは、この音を聞かれているのではないかと、内心不安でしょうがなかった。
「パスタお待ちどう・・・・・・ひっ」
一瞬、声が上ずる。
細胞が引き締まり、挙動が止まる。
「どうしたの、レナちゃん。調子悪いのかい?」
馴染みの客が、体調を気遣って声をかけてくれる。
しかし、レナは今、顔を覗き込まれる事さえ拒否したかった。
接客業である以上そういうわけにもいかず、無理矢理笑顔を取り繕う。
「大丈夫です、何ともありません」
大丈夫なわけがない。
目元の筋肉が、振動に反応してピクピク震えているのが、自分でもわかる。
レナの様子を気にかけながらも、昼食を終えた客は店を出て行った。
店内には、レナの他には夏実と波児だけが残った。
「あ・・・・・っ!?」
突然体を襲った得体の知れない感覚と共に、レナは膝を折った。
床の上に崩れ落ちそうになるのを必死でこらえ、カウンターに突っ伏す。
「は……あぁ……はぁっ……はーっ……」
「軽くイっちまったみてぇだな。どれ、丁度良い頃合だ。
夏実ちゃん、外出て一旦『CLOSE』にかけかえて来てくれ」
「はぁーい」
波児に頼まれて、夏実は閉店を知らせる札をドアに下げに行った。
時刻はまだ昼過ぎだが、そろそろ客足が減ってくる頃だ。
次に客が来るのは、大体夕方以降だ。
「さて、と……とりあえずそこに座りな。立ってるのも辛いだろ?」
波児に促されるままに、レナはスタッフルームの机の上に腰掛けた。
ビィィィィッン! と、硬質な音が部屋の中に響く。
先程から続いている振動音が、硬い物体に触れる事で激しくなったのだ。
「ははっ、凄い音してんねぇ。感想はどう? レナちゃん」
「……も……っ止めて……止めて……?」
だが、波児は答えない。
ピクピクと痙攣しながら涙目で訴えかけるレナの懇願を無視して、テキパキと服を脱がせていく。
やがて両の乳房の上に、遠隔操作可能なタイプのローターが現れた。
ガムテープで止められており、ちょっとやそっと動いたくらいでは、反動で外れる事は無さそうだった。
次に、グショグショに濡れたパンティを下ろしてやる。
愛液が糸をひいており、それがバタパタパタッ、と音を立てて、テーブルの上に滴り落ちる。
そこには、やはり遠隔操作可能なバイブが、ずっぽりと咥えこまれていた。
パンティという壁の取り払われたバイブは、ズルズルとレナの膣を這い出てくる。
が、波児はそれを指で押さえると、再びレナの中に突っ込みなおした。
「いぃひぃぃあぁぁぁぁ……」
「もっとだ。もっと我慢し続けてごらん?」
金魚のように口をパクパクさせながら、レナは答える。
「もっ……う……無理です……っ
お願っ……止め、てっ……」
入り口から戻ってきた夏実は、レナの懇願をあざ笑うように、
ローターのスイッチをいじって振動を強めてやった。
「あぁぁぁんっ!!」
「駄目だよ、もっと頑張らなきゃ。
止めて欲しがるんじゃなくて、入れて欲しがるようにならなきゃ」
悪魔のような言葉を無邪気に言い放つ先輩が、たまらなく怖い生き物に見える。
だが、それを受け入れたのは紛れも無く、レナ自身だ。
「レナちゃんが言ったんだよ?
男性恐怖症を治したい、って」
「その通りだ。だからこうして、協力してやってるんだぜ?
むしろ自分から男を欲しがるようになった方が、手っ取り早いと思ってなぁ」
そう。
そのための、ローター&バイブ責めなのだ。
こうして性感をギリギリまで高める。
すると、子宮が本能で雄の精子を求めるようになる。
そうなれば、恐怖症もトラウマも関係無い。
レナ自身も随分迷いつつその提案を受け入れたからこそ、
わざわざ朝からずっとこの振動に耐えて仕事をしてきたのだ。
既に昼までの時点で何回イったかわからない。
しかも、ギリギリ我慢出来る絶妙な振動数で設定されているものだから、
根を上げる事もしないまま、ここまで持ちこたえてしまった。
だが、もう限界だ。
このままでは、壊れてしまいそうだ。
「波児……さぁん……」
レナの艶かしい声に、波児も決意した。そろそろ頃合だ。
「……うっし。ちょっと待ってろ。すぐに楽にしてやる」
波児はレナの乳房からローターを外し、バイブを引き抜いてやった。
だが、本番はここからだ。
レナが、レナ自身の口で男を求めたのだ。
一見波児の名を呟いただけにしか聞こえないが、あの呟きにはそういう意味があった。
「平気か、レナちゃん?」
「……はいぃ……どうぞ、入れて下さい……」
2007-05-11T21:45:35+09:00
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57 薫流ツンデレメイド作戦
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/42.html
昨今の日本におけるサブカル業界の急激な変動には、目を見張るものがある。
もっともその変動が、プラスのベクトルへの進化かと問われれば、正直微妙だ。
安易な『萌え』に走る事で、確かに産業としては発達したかもしれない。
一時期に比べれば然程でもないが、それでもまだ勢いが残っているのも事実だろう。
だが、それをアニメ・漫画業界の衰退と見る者も、少なからず存在する。
というより大抵の日本人にとっては、とても進化や前進には見えないだろう。
繁華街の少し外れに行けば、特定少数の利用客のみをターゲットに絞った、
いわゆるメイド喫茶なるものが接客業として成り立ってしまっているし、
キャバクラにもメイド風を意識したものが出てきたり、
その他の風俗やラブホテルにおいても、萌え系コスチュームが氾濫する時代だ。
いかに現代の若者と言えど、これでは「日本はいつからこんな国になったんだ……」
と、嘆きたくもなろうものだ。
もっともどの道、この路線が長続きする事はあるまい。
『萌え』というジャンルそのものが衰退するか、或いはアニメ・漫画に浸透し過ぎて
マニアにとっては当たり前のものとなり、逆に商業としては目立たなくなるか。
そのどちらかであろう。
『萌え』を利用して稼ぐなどというのは、長期的視野に立ってみれば
それ程安定して継続出来る策では無いのだ。
しかし逆説的に言えば、長期的視野ではなく
あくまで短期決戦に絞って見れば、この分野はまだまだ稼げるという事でもある。
「……なるほど。お前達の説明はよくわかった。だが……」
無限城に呼びつけられ、オタク的講義を飽きる程聞かされていた春木薫流は、
約一時間に及ぶ二人の芸人のマシンガトークの末に、ようやく口を開く隙を得た。
「一つ聞いて良いか? 亜紋……それに、笑師、だったか?」
「何だい、薫流?」
「わからん事があったら、何でも聞いてくれやぁ~」
亜紋はその手にメイド服を、笑師はその手に『メイド喫茶』と
手書きで書かれた下手糞な看板を、それぞれ抱えている。
そして背後には、よくまぁ見つけてきたものだ……手ごろな広さの空きテナントがあった。
これだけ揃っていて、尚且つ自分が呼び出されたという事は、
質問するまでもなく、答えは一つだ。
「その……私が呼び出されたのは、つまり……」
「ピンポーン! 薫流ちゃんに、メイド喫茶の店員を務めて貰いまーす!」
通行人達が、哀れな者を見るような目で、薫流に視線をくれる。
どうやらこの二人が変人である事は、無限城では有名なようだ。
慣れ親しんでいる笑師は兎も角、つい最近居ついた亜紋までもが有名とは、恐れ入る。
「……悪いけど、他の人に頼ん」
言い終える前に、薫流は亜紋の手によって、テナントの中に引きずり込まれていった。
「はいはい問答無用! まずは着てみてってば!」
「よろしゅう頼むわ嬢ちゃん。ワイらが着ても、キショいだけで全然面白ないねん」
女の私が着たって、別に面白くなんか無いわよ……
と言いかけて、薫流はその言葉を喉の奥に仕舞い込んだ。
戦闘能力の無い自分が、この二人相手に逆らったところで、すんなり帰しては貰えまい。
それに、正直な話……
まだ十四歳という幼さのせいか、一目見たそのメイド服を……
可愛い、着てみたい、と思ってしまったのも、事実だった。
「どうだ、似合うか……?」
着替えを済ませた薫流は、何故かギャグのように寸法ピッタリのメイド服で、
二人の前に姿を現した。
笑師達はどこからこれを調達したのかわからないが、若干ゴスロリ風なデザインでもある。
もっとも、薫流の頭の中に、ゴスロリとかいう単語も予備知識も無いのだが。
尚、彼女のチャームポイントであるウサギ耳は、メイド服でも敢えて装着したままだ。
多分そっちの方がウケが良いだろうと、筆者が勝手に決めた。
「おぉ~! 思ったよりイケるねこれ」
「アモやんの言うとった絶対領域ちゅうのも、オナゴが身につけたら中々のモンやな!」
絶対領域……?
魔里人か鬼里人に関する、何か自分の知らない地域や区域に関連する単語だろうか?
そう真面目に考えかけたが、相手がこの二人で、状況がこれでは、
どの道真面目な話ではあるまい。
「嬢ちゃん、試しに『いらっしゃいませ~』って言うてみてくれへんか?」
「馬鹿だなぁ、笑師やんは。メイド喫茶では『お帰りなさいませ~』だよ!」
「……お前達多分、馬鹿だろう?」
薫流にとっては、目の前の二人は暗号文で会話しているようにしか見えない。
いらっしゃいだろうがお帰りだろうが、何でも良いじゃないの……と思ってしまう。
だが、当人達にとっては重要な事なのだろう。
「……大体、何で私がいきなりこんな事をやらされなければならないんだ?
理由もわからないままでは面白くない。説明しろ」
正直薫流は、キャラが立つ前に活躍が終わったので、扱いが難しい。
どんな口調で喋らせれば良いかわからないので、もし違和感を感じても
そっとしておいて欲しい。
「そぉやなぁ。何の説明も無しにっちゅうのは、さすがにアカンわなぁ。
ほな説明したろ。よぉ聞いとくれや? つまりなぁ……」
何でも原作では、ラスト直前で波児がホンキートンクに帰ったら、
店がメイド喫茶に変わっていて、大繁盛していた……という設定が、存在していたらしい。
結局それはオカシイだろうという事で、メイドネタが笑師と亜紋に回されたのだとか。
しかしこれは、大変惜しい。
男の花月ですら、妄想の中でメイド服を着用したというのに、
この漫画では、女性キャラでメイド服を着た者が、一人もいないのである。
萌え主体の漫画ではないから、当然と言えば当然だが、
せめてエロパロでくらい、一部読者の夢が叶っても、良いのではなかろうか?
笑師と亜紋は、延々一時間くらいかけて、そのような事を述べた。
「……それで、私を選んだのか?
はっきり言って、人選ミスだと思うんだが……」
薫流の目から見ても、他にメイド服が似合いそうな者はいくらでもいる。
無限城の中だけでも、筧朔羅などはまさに『尽くす女性』として、メイドに適任だろう。
仲違いの収まったベルトラインに行けば、黒鳥院舞矢あたりは、喜んで引き受けてくれそうだ。
なのに何故、わざわざ自分を選んだのか……?
「そんなん決まっとるやないかい。
朔羅ハンに頼んだりしたら、十兵衛とMAKUBEXに殺されてまうがな。
舞矢ハンにはあんま面識無いから、ちょっと怖いし。
何たって裏には黒鳥院夜半まで控えとるんやから」
「音羽マドカって子も良いなぁと思ったんだけど、士度を敵にはまわせないしね。
螺堂レンって子じゃ、ちょっと可愛さが足りないし(ファンの人ごめんなさい)、
ホンキートンクの二人はノリノリかもしれないけど、多分マスターが許さないだろうし。
他の女性も、ガードが固そうだから」
「なるほど……つまり私は、残り物というワケか」
薫流は物怖じしない性格なので、年上の男性二人が相手でも、はっきりと意見を言う。
そのキッパリとした口調と、そこに垣間見える嫉妬と不信感に、芸人二人は軽く凍りついた。
「い、いやいやいや! 何言うとんねや薫流ハン!
薫流ハンにこそ、この可愛らしいコスチュームが一番似合うと思ったからやなぁ……」
「そう、そうだよ薫流!
普段の冷たい口調を改めて、もっと可愛らしい言葉で話せば、客も食いついて……」
「私に、媚びろと言うのか?」
単刀直入な言い方に、再び場が凍りつく。
これは一筋縄ではいかなさそうだと、笑師は覚悟を決めた。
が、亜紋は逆に、彼女のこの冷たい態度を、逆手にとろうと考えた。
「そうだ……笑やん、ツンデレカフェって、知ってる?」
「何やっけ……入店した時はツンツンしとるのに、店出る頃にはデレデレしとるっちゅう、アレか?」
はっきり言って筆者も絶望先生でチラッとその単語を見かけただけしか予備知識が無いので、
解釈が間違ってたらごめんなさい。
こんなSS書いてますが、正直『萌え』というのも未だに飲み込めない程なので。
兎も角、このSSでにおけるツンデレカフェというものは、そういう設定で話を進めさせてもらいます。
「その通りだよ、笑やん。薫流のこの性格と口調は、むしろツンデレだと思えば……」
「なるほど! メイド喫茶ほどの汎用性は無いかもしれんが、コアな客には馬鹿ウケやな!」
亜紋はこの計画が成功した時の、店の人気ぶりを思い描き、
笑師は、まだ事業を始めてもいないのに、早速皮算用を始めた。
「よくはわからないが、私にデレ分を期待しない方が良いぞ?
少なくともお前達にデレデレしてやる気は毛頭……」
そこまで言いかけたが、薫流は口をつぐんでしまった。
目の前の二人の男が、いかにも不吉な事を考えている風な目をしていたからだ。
そう、それこそ、まさに……
デレ分が無いのなら、今からデレを覚えさせれば良い、と言わんばかりに……。
「じゅく……ちゅぶ、ちゅっ……じゅる……」
テナントの奥は暗く、衝立が壁になって、表からは見えない。
さりとて鍵がしてあるわけでも、防音が完備されているわけでもない。
誰かが入ってくるかもしれないし、大きな音を立てれば外に全部聞こえるだろう。
そんな緊迫したシチュエーションの中で、薫流は笑師の男根をしゃぶっていた。
「んん、む……こんな、汚らしいモノを咥えさせるなんて……変態……」
「あぁあ、たまらんわぁ~。まさにツンデレって感じのセリフ回しやん~」
彼の体がブルブルと震えているのは、フェラの快感からか、ツンされる快感からか、定かではない。
どちらにしろ、変態と言われて否定出来ないのは確かだ。
わずか十四歳の少女に性交を求める事自体、既に犯罪なのだし。
「さぁさ、薫流。こっちもよろしく頼むよ」
亜紋も自らのモノを取り出し、それを薫流の頬にペタペタと触れさせた。
薫流は笑師から口を離し、片手で亜紋のモノを保持し、今度はそちらを味わい始めた。
無論、笑師の方もシゴき続ける事は忘れない。
正直笑師も亜紋も、この場ですぐに薫流を全裸にひん剥きたかった。
だが、折角のメイド服が、それでは勿体無い。
面白いシチュエーションなので、服は着せたままで、たっぷり奉仕してもらう事に決めた。
薫流は交互に男達の男根を舐め、早くも絶頂に導いていった。
「くっ……さすがだな、もうそろそろ……」
「あぁ、ワイももう限界や……嬢ちゃん、全部受け止めてくれや!」
そう言ったが、しかし笑師と亜紋は、薫流の顔面に射精するような事はしなかった。
てっきり顔にかけられるのだろうと思って覚悟し、目をきつく閉じていた薫流は、
二人のとった意外な行動に、呆気にとられた。
なんと二人は、薫流のメイド服の、両の袖に亀頭を差込み、その中に射精したのだ。
「ひっ……!?」
「受け止めぇ言うたやろ? たっぷり注ぎ込んだるさかい、喜んだってや」
薫流の腕に、粘性の液体がぶっかけられた。
袖の布地にへばりついたソレは、不快な密着感をもたらす。
更に笑師と亜紋は、彼女の両腕を引いて、真っ直ぐ上に向けさせた。
「やっ、何をぉ……ひ、ぃ……」
腕に付着した精液は、重力に従って、彼女の腕を垂れていった。
その汁の軌跡は腋の辺りにまで届き、彼女に悪寒を植えつける。
正直、こんなプレイでは拷問に近い。
「ほらほら、薫流。ちゃんと『ありがとうございます、ご主人様』って言わなきゃ」
「……い、言うわけ無いだろう……こんな、汚らわしい真似をされて……」
既に薫流の目には、涙が滲んできている。
だがそれは、彼女のツン分を相まって、逆に魅力的な表情に見えた。
恥辱に耐え忍ぶ赤い顔は、どんな化粧よりも彼女を美しく引き立てた。
「うーん、やっぱりまだデレるまではいかないか。難しいなぁ」
「ま、えぇんちゃうん? どんだけ時間かかろうが、最終的に落とせれば、それで」
この二人は、本気だ……
本気で、私をツンデレとやらにしようとしている……
相手を徹底的に落とそうとする、関西弁の男。
それはまさしく、どこかの漫画の元・空の王のようだった。
下唇をきつくかみ締め、声が漏れないように必死で堪える。
それでも、ちょっと気を抜くとすぐに喘ぎ声が外まで響きそうになった。
「うぅ、うん、ふ、ふ、ふぅ、あぅ、んん、んっ、ふぐ、むぅう……」
薫流はメイド服を着たまま、バックで笑師に貫かれていた。
腕には、相変わらず気持ち悪い感触が残ったままだ。
笑師は遊びのつもりで、少しだけ動く事をやめた。
一息つけるようになって、薫流はようやく口を開いた。
「こ、こんな事で……私があなた達にデレると思ったら、大間違いなんだから!」
既にかなりツンデレに近いところまでキている事に、本人は気付いていない。
「何やそんなん言う割りには、ここもぐっしょり濡れてきとるんちゃうかぁ?」
「か、勘違いしないで! 別に気持ち良いなんて、全然思ってないんだから!」
それにしてもこの薫流、ノリノリである。
亜紋は笑師の後に本番をさせてもらうつもりだったが、あまりにも面白いので、我慢出来なくなった。
「やっぱ俺も参戦させてもらおっと!
今度は口ん中に出させてもらうから、ちゃんと全部飲み込んでね? 薫流」
「そんな、汚らわしい液体なんて、誰が……」
口ではそう言いつつも、差し出された陰茎に、薫流はむしろ自ら首を伸ばして吸い付いた。
もうかなりのところまでデレ分が侵食してきているのは、間違いないようだ。
本人には、彼らの要求に合わせて萌えっぽい言動をとってやろうなどというサービス精神は無い。
ただ単に、体が雄を求めているだけなのだ。
「しっかりしゃぶってろよ、薫流。栓しとかないと、声漏れちゃうからね」
「んふぅ~、んんん~っ!」
その呻き声を合図にするかのように、笑師は再び肉棒を突き始めた。
肉の音が暗い室内に響く。
ブラジャーとメイド服によって、胸は惜しくも揺れていないが、
代わりに頭のウサギ耳と、メイド服そのもののスカート部分が、激しく前後に揺れる。
幼い膣は笑師のモノをしっかりと咥え込み、離そうとしない。
姿勢を支えるために床についた両手が、何度も力無く折れてしまいそうになる。
「ハルキ同士、これからも仲良ぉセクロスしまくろうや、薫流ハン!」
そんなシケギャグなど、もはや薫流の耳には届いていない。
第一、彼女は笑師のファーストネームなど覚えていないだろうし、2ちゃん用語も知らないだろう。
だが、言葉は届いておらずとも、考えている事は彼らと一緒だった。
味をしめてしまった肉体は、中々快楽を忘れる事など出来ない。
笑師に言われるまでもなく、薫流は自分の体が、彼らとの性交を
これからも求めて止まないだろうと、子宮で悟っていた。
まさしく、彼らの当初の目的通り。
薫流は、ツンデレキャラとして確定してしまったのだ。
「イクよっ、薫流!」
「あぁあ、ワイももう、アカンわぁ~!」
「んん! んんふぅう~っ!」
気がついた時には、既に夕刻になっていた。
薫流はのろのろと立ち上がり、服を着なおした。
傍らでは、芸人二人が俯いて、土下座していた。
「……何をしているんだ?」
二人の男は、反省していた。
調子にのって、十四歳の少女を犯してしまった事を。
冷静な頭に戻って考えてみれば、これはレイプそのものなのだ。
罪悪感と後悔が、二人の芸人から笑顔を失わせていた。
「……すみませんでした」
「えろう、すんまへん……じゃない、スミマセン……」
薫流は、二人の悔恨の言葉に、内心勝ち誇った気分になった。
腕に付着した精液を布でふき取りながら、二人に一瞥をくれる。
「も、もう二度と! 天に誓って、こないな事はしまへん!」
「済まない、薫流! 許してくれとは言えないけれど、どうか……」
だが、薫流は無言で二人の言葉を受け流した。
黙っていると、二人は気まずくなったのか、一層頭を下げて、平謝りし続けた。
その様子は薫流にとって、存外面白かった。
男達が自分に平伏し、下手に出ざるを得ないという状況は、かくも愉快なものなのか。
これを味わうためならば、ツンデレとやら言う属性も、受け入れるのに吝かではない。
機会があれば、その内また、この男達に「半強制的に」輪姦されてみるのも、面白いかもしれない。
そう考える彼女の頬は、夕日に彩られているのとは別に、赤く染まっているように見えた。
2007-04-20T22:48:58+09:00
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30 赤ずきんエロパロ
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/41.html
「さあ~て楽しい楽しい赤ずきんの劇が始まるよ~」
「…おい銀次。お前の女装は置いといてやる。
だが俺の格好はなんだ!!」
「蛮ちゃんは赤ずきんちゃんだから赤ずきんなのです!似合ってるよー」
「んな訳あるか!」
「俺はお母さんね。
とゆーわけで、赤ずきん、このバスケットごとワインを森に住んでるおばあさんのところへ持っていってね」
「…銀次」
「じゃなくてお母さん」
「バスケットに入ってたパンはどうした?」
「ぎくり」
「食ったんだろ!劇の中でまで食意地はってんじゃねー!!」
「ほ、ほらほら早く家出なきゃ蛮、じゃなかった赤ずきんちゃん。
お母さんの言うことは絶対だよ!!」
「誰が行くか!」
暫しの格闘ののち電撃を喰らった蛮は、渋々家をでて森へ向かった。
銀次から渡された台本はその場で破ってしまったので、誰が何役かが分からない。
蛮が知ってるのは、「赤ずきんがお祖母さんに変装した狼に食べられて狩人に助けられる」という大まかなあらすじだけだ。
負けず嫌いは天下一の邪眼の男・美堂蛮、無論むざむざ食われるつもりは毛頭無い。
(俺様とやりあおうってんなら…狼は赤屍か?不動か?
上等だ…返り討ちにしてやんよ)
赤ずきんはクク…と黒く笑った。
戦いを頭の中でシュミレーションしているうちに、目指すお祖母さんの家に着いた。
開けた瞬間に飛び蹴りをかますイメージを克明に描きつつ、扉を開ける。
(……行くぜ!)
「よく来たわね、赤ずきん」
目に入ったのは。
ふさふさな耳。
ふさふさなしっぽ。
ベッドで眠るお祖母さんに変装した狼に扮装した―
卑弥呼だった。
「…ミスキャストだろぉぉ!!!」
叫ぶ蛮をしり目に、卑弥呼はケタケタ笑っている。
「あ、あんた…可愛いいよ、…アハハハハ!!」
赤ずきんをかむり、赤いエプロンドレスを着た蛮がおかしくてしょうがないらしい。
ひーひー笑いながら、しっぽがぱたぱたと振られる。
(…ミスキャストとは思うが)
しっぽの動きに目を奪われる。
(これはこれで…イケる、かもな)
卑弥呼が笑っている隙に、蛮はベッドに忍び寄った。
腰かけるとぎし、と鳴った。
卑弥呼が笑いを止めて、少し焦ったように蛮を見る。「忘れてんじゃねえよ」
「あ、えと」
「…『お祖母さんの目はどうしてそんなに大きいの?』」
しごく真面目に、赤ずきんのセリフを口にする蛮。
答えようとして、自分のセリフを思い出し、卑弥呼は躊躇った。
これは…恥ずかしい。
困って蛮を見るが、蛮はただ黙って先を促す。
(そうよね、ちゃんと芝居しなきゃ…)
「…『お前がよく見れるようにだよ』」
卑弥呼のセリフを聞いて、蛮は照れたように笑った。「すげえ殺し文句」
「なっ…!」
「『お祖母さんの耳は…』」
赤ずきんの右手が、狼の耳に触れる。
大切なものを触るような、躊躇いがちな手の動きに、卑弥呼の体が震えた。
「………!」
手で触れているのとは反対側の耳に、蛮は頭を寄せた。
殊更ゆっくり、呼気まで耳に触れるくらい、小さな声で囁く。
「『…どうしてそんなに感じ易いの?』」
「…セリフ違うっ」
「『お祖母さんの口は、どうしてそんなに大きいの?』」
卑弥呼のもっともな指摘を聞きもせず、蛮は最後の問いかけをした。
耳の中をまさぐっていた指を、今度は卑弥呼の口端に持っていく。
すっ、と唇をひとなでする。
「…ふぁっ」
「なあ、どーして?」
(絶対にからかわれてる…!)
これさえ言ったら終りだ、とやけくそで卑弥呼は叫んだ。
「『お前を食べる為だよ!!』!!」
「んじゃ、どーぞ」
めしあがれ、と赤ずきんは目をつむった。
こういう反応は考えていなかった狼は、ひたすら戸惑う。
(食べればいいのかしら…)
でも自分にカニバリズムの趣味は無いし。
どうしよう、と迷ってると、蛮の顔のドアップが迫っていた。
「食べないんなら、こっちが食うぞ」
かぷり。
赤ずきんは狼の唇を噛んだ。
「!!!」
あまりのことに言葉も出ない。そもそも口が塞がれているが。
驚いて口を開いた隙に、蛮の舌が侵入する。
舌は獰猛に口内を荒らした。
「ん…ふぁっ…」
その間も蛮の手が大人しくしている訳もない。
耳の形をたどったりつまんだり。
ふわふわの毛が気持ちいい。
(舐めるのは毛が口に入りそうだが…)
唇を離すと卑弥呼はうるんだ目で恨めしげに蛮を睨んだ。
「だってお祖母さんったらベッドで迎えて下さるんだもの」
わざと女の子らしくしなをつくる。
先程は笑えたその姿が、今は憎らしくてしょうがない。
「赤ずきんてなあエロい童話だな」
いけしゃあしゃあと言った蛮は、童話にはふさわしく無い行為を再開した。
じゅるり、じゅるり。
いやらしい音が部屋に響く。
幸いなことに、卑弥呼の体の大部分は人間のままで、狼の部分は耳としっぽだけだった。
服を脱がせて全裸にして眺めると、人間の裸に獣の耳、というアブノーマルな光景に、妙に興奮した。
閉じられた家に二人きり。いつもと違うアブノーマルな姿。
いつもより欲望のボルテージが早く高まっているのを蛮は自覚した。
少しは落ち着け、と理性が自省しようとするが、全く役に立たない。
蛮はひたすら阿呆のように卑弥呼の秘部を舐め続けている。
「ああっ!だめ…やっ、やぁっ!…ひぅっ」
卑弥呼の声もいつもより激しい。
見上げて卑弥呼の顔を見ると、卑弥呼は両耳を両手で塞いでいた。
面白くない蛮は、その塞ぐ手を外してしまう。
「…だめっ!」
口の仕事を指に預ける。
たっぷりと液にうるむ其処から、ぐちょ、と音がした。
「いやぁ!」
卑弥呼の顔は真っ赤だ。
「どうした?」
優しく聞きながら、指の責めは止めない蛮。
ぐちょり、ぐちょ。
卑弥呼はあえぎながら必死に言葉をつむぐ。
「い、いつもより、よく聞こえるの。…あ、ああ、だめっ、…だから…恥ずかしい。へ、ふぁ…へんに、な、っちゃ…ああ!」
変になる。
こうまで言われたら、男の本懐というものだろう。
ああ、何度でも何度でもイカせてやりたい。
本気でそう思った蛮は、卑弥呼の口に指をつっこんだ。
驚いて目を見開かせたが、卑弥呼は大人しく指を舐めた。
卑弥呼の頭を撫でたあと、充分に濡れた指を抜く。
それを卑弥呼の赤い乳首に押し付けた。
「……あ、」
親指とひとさし指で挟み、する。
唾液と乳首が擦れてじゅり、と鳴る。
じゅり、じゅり、じゅり。もう片方の手は秘部の奥へ。
壁を撫でるようにぐうるりと回す。
ぐちゃり。
「……やあ」
卑弥呼が耳を塞がないよう、蛮は卑弥呼にキスをした。
正確に言うとキスではなく、唇を合わせずに舌を口に入れただけ。
目を閉じず至近距離で卑弥呼を見つめる。
「あ、ああ、あっあ、あ」
あえぎながら、蛮の舌を噛まないように卑弥呼は必死だった。
開いた口の端から唾液がだらだらこぼれる。
苦しいのだろう、目には涙が満ちていた。
蛮は舌をずらして、涙を拭った。
じゅり、じゅり、じゅり。じゅるり。
じゅり。
じゅるり。
いやらしい音が溢れている。
「あん、や、だめ、あ、も、や、ひ、あ、…あ!」
今なら、きっと聞こえない。
蛮は、卑弥呼の耳に囁いた。
「好きだ」
はー、はー、と荒く息をつく卑弥呼。
どこか怒ってる表情だ。
なんだよ、と蛮が聞くと。
「あんな時に言われても…返事できない」
あ?と蛮がいぶかる前に、卑弥呼は蛮の胸に顔を押し付けた。
「…あたしも、好き。あんたしか、好きじゃない」
表情は見えない。
だけど真っ赤なのは容易にわかった。
(やっぱこいつが赤ずきんだよなあ…)
そう思う蛮は、自分の顔も赤い事に気付かなかった。
「なら今から俺が狼ってことで」
「え?」
自分の赤い頭巾を取って卑弥呼に付けさせる。
「おー、似合うぜ」
「あんまり嬉しくない…」やや不満げな卑弥呼の体を後ろに向けさせ、立たせる。
「立ちバック。…こえーか?」
「…ん、大丈夫」
蛮は卑弥呼の頭を撫で首筋にキスすると、一気に挿入した。
「…ぐ、きつ…!」
「ふあ、あああ!」
いつもより一層深い所を突かれ、卑弥呼の体がわななく。
腰を振りつつ首筋に顔を埋める蛮。
噛みついて痕を残す。
マジで獣みてえ、と笑いながら動きを速めた。
「ああああああ!」
「こーして狼は赤ずきんに食べられました。めでたしめでたし」
「勝手に話変えてんじゃないわよ…」
呆れながらも、卑弥呼は満足気な蛮にキスをした。
その時、ふっと頭をかすめたものは…
「…あれ?」
「なんだよ」
「なんか忘れてる気がする」
「忘れるくらいなら大した事じゃないんじゃねえ?」「…それもそうね」
卑弥呼は思い出そうとするよりも、ベッドに潜り、蛮といちゃつくことを選択した。
銀次「というわけで、めでたしめでたし!」
雨流「あのー狩人としての俺の出番は…」
銀次「無いみたいだね」
雨流「…………oTL」
2007-04-20T22:44:34+09:00
1177076674
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17 ヘヴンマドカ朔羅×銀次
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蛮が、妹とロリ体型と本物のロリに拉致されていった頃。
銀次は、一人ホンキートンクで、寂しくコーヒーをすすっていた。
蛮というお騒がせ男と、それに便乗する癖のある夏実。
この二人がいなくなったホンキートンクは、銀次の想像以上に静かだった。
「ここって、こんなにゆったりした店だったっけ?」
「普段はお前等が無理矢理はしゃいでるからな。
何もなければ、場末の喫茶店なんてこんなもんよ」
波児は、蛮がいないというのも平和で良いな、と思った。
もっとも、銀次は蛮がいなければ寂しがるに決まっている。
彼が愚痴をぼやきだすのに、それ程の時間はかからなかった。
「はぁ、良いなぁ蛮ちゃんは。あんなに女の子に好かれてさぁ。
俺なんか、マドカちゃんは士度にとられるし、
美隷さんは人妻だったし、舞矢ちゃんは赤屍さんの亜種みたいだったし……」
確かに女運の無さにかけては、銀次は蛮とタメを張る。
本人は、飛蜘蛛なる少女にキスされた事など、気付いてもいない。
銀次自身は女性に好意を向けてもらえないで不幸なつもりかもしれないが、
それを言うなら銀次自身、自分に好意を向けてくれる女性の気持ちに気付いていない。
全体的に見れば、おあいこだ。
こんな様子では、恐らく春龍華が死の直前に自分に惹かれていた事など、
気付いてやってさえいないだろう。
彼に惚れる女は、つくづく可哀相だ。
「……おい銀次、ちょっと待て」
銀次の隣に座っていた士度が、直前の銀次の言葉に反応した。
「お前、マドカの事本気で好きだったのか?」
問われて初めて、銀次は自分がとんでもない事を打ち明けてしまった事を思い出した。
既にマドカ本人は、顔を俯けて真っ赤になっている。
「あっ、いやその、初めて会った時に、可愛いなぁって思ったぐらいで、その……」
慌てふためきながら否定の言葉を探すが、頭の悪い銀次にうまい言い訳は考え付かない。
そもそも士度は、銀次がマドカに好意を持っていた事を、知ってはいた。
かつて銀次に、マドカとの同棲を知られて睨まれた事だって、あったのだ。(単行本5巻参照)
その後銀次がすっかり自分とマドカの仲を応援してくれていたから、忘れてしまっていた。
天野銀次という男は、こういう損な役回りばかりなのだ。
「ま、まぁそうしょげんなよ、銀次!
確かにお前は特定の女性に好かれる事は少なかったかもしれないが、
代わりに多くの人間に愛されてるだろうが!
今ここに旧四天王が全員揃ってるのだって、お前の人徳でだなぁ……」
先達の波児はフォローをいれようと必死になるが、
人間というものは、多くの支持者よりも、一人の異性を欲しがるものだ。
何人のファンがいようと、その者達が銀次を抱きしめてくれるわけでも、
ましてや幸せにしてくれるわけでもない。
無論銀次自身は、そんな事を普段気にしたりはしない、明朗な性格だ。
だが、一旦その事を意識しだすと、寂寥感は止まらなくなる。
「はぁ……俺も彼女欲しいなぁ……」
波児の必死のフォローも、そのたった一言で打ち消される。
こうなっては最早どうしようもない。
本当だったら、夏実あたりが率先して銀次を慰めてくれるのだろうが、生憎今は夏実はいない。
男性に慰められるのと、女性に慰められるのとでは、受け取る側の気持ちに天地の差がある。
今この場で銀次を本当に慰められるのは、波児でも、士度でも、
勿論花月でもMAKUBEXでも来栖でもなかった。
この場に残っていた女性三人は、緊急会議を開く事となった。
何しろ、誰もが銀次には世話になってきた者達なのだ。
雷帝時代、ベルトラインの脅威から救ってもらった朔羅。
仕事の中で幾度も足をひっぱり、それでも守られてきたヘヴン。
ヴァイオリンの奪還は言うに及ばず、自らの恋を応援さえしてもらったマドカ。
彼女等は、どうにかして銀次に報いてやりたいと思った。
無論現実では、銀次のようなお人好しは感謝こそされても、恩返しなど期待出来ない。
言葉で礼を述べるだけで、実質的には何も返してもらえないのが
お人好しの、お人好したる所以である。
が、そんなリアルな話は置いておく。これはエロパロなのだから。
「ねぇ、いくら何でも、銀ちゃん可哀相過ぎない?」
「ですよね……と言うか私、今日まで銀次さんの気持ちに、気付いてあげられなかった……」
「私達にも何か、恩返しが出来るでしょうか?」
カウンターに銀次と波児を残して、残りのメンバーは全員テーブル席で会議を進める。
「おい花月、何か良いアイデアは無ぇかよ?」
「僕に言われても……MAKUBEX、何か無い?」
「僕に出来る事なんて、仮想現実の女の子を作って提供するぐらいだよ」
「とても誠意ある対応とは思えんな……」
男達は男達で、かつて自分達の頂点にいた男を、何とかして支えてやりたいと思っていた。
雷帝時代の銀次のファンは無限城に大勢いるのだから、
頼めば誰か一人ぐらい、銀次の相手を買って出る娘はいるだろう。
あるいは花月とMAKUBEXが頭を下げて、ベルトラインの支配者夜半の妹であり、
銀次を気にいっていたフシのある、舞矢を借りるという手もある。
しかしどれも、他力本願でしかない。
そんな事で応えられる程、今まで自分達が銀次から受け取ってきた誠意は、軽くなかった。
男女入り乱れて話し合いをすすめる内に、やがて結論は一つに収束する。
銀次と一番仲の良い女性であるヘヴンが、代表して銀次に話を持ちかける。
「ねぇ銀ちゃん、ちょっと相談があるんだけど……」
「んあ? 何?」
顔を赤くしながら耳打ちしてくるヘヴンに対し、童貞の銀次も、少し顔を赤くする。
ゴニョゴニョと小声で要件を伝えられるが、その言葉の意味するところが理解できない。
数秒経って、銀次は大声でその内容を復唱した。
「……エェェェェェェェェ!?!?!?
ヘヴンさんとマドカちゃんと朔羅が、俺を体で慰め(モガモガモガッ)!!!!11111」
通りにも聞こえそうな程の大声を、すかさずヘヴンが手で遮る。
「ちょっと銀ちゃん! そんな大きな声出さないの!」
「……マジなの? ヘヴンちゃん」
この提案には、さすがの波児も驚きを隠せない。
テーブル席の方を見てみると、マドカの顔が耳まで真っ赤になっている。
士度もMAKUBEXも来栖も、それぞれに複雑な表情を浮かべている。
どうやら、本気の提案のようだ。
「どうか遠慮しないで下さい、銀次さん。
士度さんにも、ちゃんと許可を貰いましたから……」
「マドカちゃん……い、いやそれはいくら何でも……」
銀次は、テーブル席に控える男達の顔を見た。
「まぁ、不服じゃないわけじゃないが……
お前なら、マドカを預けても良いと思えるしな」
「って言うか、僕と朔羅は母子か姉弟のようなものだから、
元々僕には拒否する権利なんか無いんだけど」
「……お前になら良いと、俺も思っている」
唯一何の痛みも伴わない花月を除く、旧四天王の三人が、自らの覚悟を銀次に表した。
波児は表に出ると、閉店を示す表示を、ドアノブに提げてきた。
「今日は貸切だ。俺は外しとくから、終わったらケータイに連絡くれや」
銀次本人の戸惑いを無視して、事態は着々と進んでいく。
銀次はこの時初めて、先ほど拉致されていった蛮が、
思っていた程羨ましい境遇ではなかった事に気付いた。
はっきり言って、覚悟を決めて開き直った時の女性ほど、怖い生き物はいない。
女というものは、自分が決めた事は絶対だ。
女に「話し合いましょう」と言われて、その言葉を鵜呑みにしてはいけないのは、有名な事実だ。
女にとってのそれは「話し合って結論を出す」ではなく、
「私の望む結論に向かって努力しなさい。でも二人で決めた事だから文句は言わないでね」
に他ならない。(確かそんな内容のコピペがあった筈。実際あれは名言だ)
従って、この場で銀次がどれ程遠慮しようが、反対しようが、
三人もの女性が束になってかかってきては、突き崩せよう筈も無い。
そもそも、話し合いの余地すらないのだから。
「さぁさぁ、先ずはお風呂で体を綺麗にしなくっちゃねぇ。
蛮君と一緒で、不潔な生活してんでしょ?」
そう言うとヘヴンは、勝手知ったる我が家のように、銀次をシャワールームに連行して行った。
「……本当に良かったの? 柾」
心配そうに、花月が問いかける。
彼としては、この場でただ一人何の痛手も負っていないどころか、銀次への恩返しすらしていない。
その事に、負い目があるのだろう。
だが来栖は、無理矢理平常心を保とうと、口元にコーヒーを運んだ。
一口すすって、それが既に空だった事に気付き、決まり悪そうにカップをテーブルに置く。
「俺にとって銀次は、恩人であると同時に、弟のような存在でもあった。
ヘヴンにとっても、それは同じだろう。赤の他人なら御免だが、弟分と思えば……」
普通は、弟と穴兄弟になるのも御免被りたいものだが、それだけ来栖も覚悟を決めているという事だ。
次に花月は、士度とマドカの方を見た。
「……俺は、柾よりは銀次と年が近いから、弟だと思った事ぁ無ぇが……
あいつの気持ちも考えず、マドカとの仲を手放しで応援してもらって喜んでた俺にも、責任はある」
「私も、銀次さんの気持ちなんて、これっぽっちも気付いてなかったから……」
普通そんな事に責任を感じる必要は無いのだが、無駄に義理堅いのがこのカップルである。
「朔羅がお姉さんであるように、僕にとっての銀次さんは、兄のようなものだからね。
一回くらいなら、まぁ……その……」
どうやらMAKUBEXは、この男三人の中では最も、自分の選択に迷いがあるようだった。
朔羅は、そっと花月に耳打ちする。
「実はまだ、MAKUBEXにも『下』は差し上げてなかったんです。
だからこの子、拗ねてるんだと思います」
苦笑いしながら宗家の元当主に語る朔羅は、ダダをこねる息子に困り果てる母親のようだった。
そんな店内の様子など知る由も無く、銀次は頭からシャワーをかぶる。
というか、無理矢理ぶっかけられる。
「へ、ヘヴンさん! 本当ヤバいってこういうのは!」
既に銀次の伝家の宝刀、鼻血が止め処なく流れている。
ヘヴンはそれを、たっぷり濡れたボディタオルで拭ってやった。
「もう、銀ちゃんったら。いい加減、私のおっぱいぐらい見慣れたでしょ?」
ヘヴンは、密着しなくても触れてしまいそうなその巨乳を、存分に銀次の胸板に押し当てていた。
ボディソープをタオルに染み込ませ、ゴシゴシと銀次の体を洗っていく。
「ぅわ、ひっ、く、くすぐったい……」
「我慢しなさい。何日も洗ってない体でマドカちゃん達を抱くなんて、失礼でしょ?」
もう後戻りは出来ないようだ。
それに、ヘヴンの丹念な洗い方を見る限り、本当に銀次の体を綺麗にしようとしているようだ。
少なくとも、プレイの一環というよりは、親が幼い子を風呂にいれているような感覚だ。
あくまで彼女等にとって、今日の事は、銀次との浮気ではなく
銀次の「面倒を見る」という事であるらしい。無論、性的な意味が多分に含まれてはいたが。
そんな事を銀次が考えている間に、ヘヴンは彼の体を洗い終わった。
久しぶりに綺麗になった銀次の体はスベスベで、髪は手櫛が通りやすくなった。
「ようし、上出来! 後はぁ……」
ヘヴンは先程のボディソープを、たっぷり乳房の上に落とした。
しゃがみ込んで、ビンビンにそそり立つ銀次のモノを、その巨乳で挟み込む。
肉厚の乳房を両側から掌で押さえ、上下に擦り始める。
「こ、これって、いわゆる……」
「そ、パイズリ。柾の許可が出たからね、今日はいっぱいサービスしてあげるわよ」
普段、体で依頼でもとってきているのだろうかと邪推したくなる程、ヘヴンのテクは卓越していた。
初めての銀次でもわかる程に巧みで、容赦なく快楽の奔流が襲ってくる。
滑らかな乳房に陰茎をしごかれ、時折触れる乳首の摩擦がピンポイントで亀頭を擦る。
洗剤さえ付着していなければ、ここにヘヴンの舌技が追加される事だろう。
銀次は、早くも射精しそうになった。
「あん、まだ駄目よ。
私の方は、まだ綺麗にしてもらってないわ」
「き、綺麗にって……?」
問いかける銀次の前で、ヘヴンは壁に手をついて尻を突き出す事で答えた。
「そのボディソープまみれの肉棒で、私のナカを綺麗にして。ね、銀ちゃん?」
立ちバック体勢のまま、ヘヴンは首を下に下ろした。
それにつられて彼女の長い金髪は、一層床に向かって垂れた。
壁に突き出された腕の腋と、巨大な乳房の隙間から、彼女の妖艶な表情が、逆さまに覗いてくる。
銀次はたまらなくなり、とうとう覚悟を決めた。
ぬるぬるになった男根を片手で保持し、ヘヴンの膣を目掛けてロックオンする。
「ここよ、ここ。間違えないでね?」
ヘヴンはそう言うと、片手を自らの股間にあてがい、肉を左右に広げながら、
穴の部分に指を一本差し入れて、目標を銀次にしかと伝えた。
童貞の銀次にはうまくいくかわからなかったが、ただでさえ百戦錬磨のヘヴン。
しかも、ローション代わりのボディソープが、これでもかと塗りたくられている。
挿入自体は、思った以上にスムーズに進んだ。
しかし一旦入ってしまうと、今度は引き抜きにくくなった。
どうやら女性器とはそういう風に出来ているものらしいと、銀次は思った。
「い、いくよ……ヘヴンさん……」
「もう、そんなに気張ってちゃ駄ぁ目。女の子が怖がるでしょ?」
銀次はヘヴンの腰を抱えて、自らの腰を前後に動かし始めた。
経験の無い銀次の動きは、ヘヴンには退屈だった。
角度を変えようとか、回転させてみようとか、そういった考えは銀次には無い。
しかし、今日は銀次のためのサービスデイだ。文句は言うまい。
女性の得意の「感じているフリ」をして、銀次を満足させてやる。
「あぁん、もっとぉっ! そこぉっ!」
少し演技臭すぎるかもと思ったが、銀次はどうやら疑ってもいないようだ。
調子にのって、どんどん強く腰を打ち付けてくる。
雷帝……じゃなかった、童帝……でもない、童貞の銀次は、ものの三十秒程で絶頂に達した。
「うっ、イくよ、ヘヴンさん!」
「あぁっ、キて、キてぇ銀ちゃあん!!」
ヘヴンの中に、この世界の神の遺伝子が注ぎ込まれた。
もっとも安全日であったために、彼女が神の子を孕む危険性は無かったが。
わざとらしい程のヘヴンの嬌声が風呂場から響いてきた頃、マドカは席を立ち上がった。
「そろそろみたいですね……それじゃ、行ってきます。士度さん」
マドカは、いかにも不安そうな表情をしていた。
しかしその表情の中に、一抹の期待が感じ取れるとも、朔羅は思った。
女性同士にしかわからない何か。
彼氏の許可があるとは言え、不貞には違いない。
けれど、ひょっとすると、今まで感じてきたのとは別の種類の快感を、得られるかもしれない。
そんな女性特有の貪欲な期待が、マドカの昏い瞳の中には見え隠れしていた。
その事に気付いていたのは、彼女の手をひいて風呂場まで連れて行こうとした朔羅と、
その途中の廊下ですれ違った、ヘヴンだけだった。
「あら、マドカちゃん」
ヘヴンは、士度達に聞こえないよう、こっそりと耳元で話しかける。
「……まんざらでもない、って顔ね?」
「そっ、そんな……」
マドカは、その言葉を否定する事は出来なかった。
朔羅に導かれて脱衣所にたどり着くと、ドアの向こう側には銀次の気配がした。
「それじゃ、私は外で待っていますから。終わったら、呼んで下さい」
朔羅はそう言うと、脱衣所を出て行った。
マドカは、見えない目で器用に服を脱ぎ捨て、下着姿になった。
ついにブラジャーもパンティも剥ぎ取り、床の上にそっと置く。
「銀次さん、失礼します」
覚悟を決めて、バスルームへと足を踏み入れる。
銀次は、地獄谷でも一度見た事のある彼女の裸体に、今一度欲情を刺激された。
「ほ、本当に良いのかな、こんなの」
かつてカブトに、その体を抱かせてやろうかと挑発された事を思い出した。
あの時は、それどころではなかったので、気にもとめなかったが。
まさかあれから数ヶ月経って、それが現実になるとは思わなかった。
銀次はその言葉通り、ぎゅっとマドカを抱きしめた。
「ひゃっ……ぎ、銀次さん……」
「俺がここにいるの、わかる? マドカちゃん……」
「はい……士度さん程大きな腕じゃないけれど、
士度さんより柔らかい空気が、あぁ、銀次さんなんだなぁって……
うまく言えませんけど……」
目の見えないマドカにとって、相手が次に何をしてくるか、知覚する事は出来ない。
例えば胸を触られるにしても、その時になってみなければ、触られる事を認識出来ないのだ。
目の見える女性ならば、自分の胸元に向かって伸びてくる掌に、期待感を高める事も出来るのだが。
銀次はそれを慮って、いちいちマドカに次の行動を予告してから実行する事にした。
「まずは、おっぱいを触るね。良い? マドカちゃん」
「そ、そんなの……答えられないですよ……」
銀次は、マドカの小振りな乳房に手を這わせた。
感触を確かめるように揉みこみ、指先で乳首を撫でてみる。
マドカは片手を口元にあてがい、小さな声を必死で抑えようとした。
「ひぅ……私、そこ弱いんです……」
「そうなの? 他には、どこが弱いのかな」
「そ、その……アソコの、お豆さんとか……体の中の、小さい部分や、細かい所が……」
銀次は、言われるままにクリトリスを責めてみようと思った。
しかし、経験の殆ど無い銀次は、間違って彼女のアナルに指を這わせてしまった。
彼にはまだ、女性器が具体的にどういう構造をしていて、
どの程度の位置に何があるのか、頭の中で把握出来ていないのだ。
ところがそれは結果的にプラスに働いたようだった。
体の中の細かい部分が感じやすいという彼女の発言は、こんな所でも本当だったようだ。
「ひぐっ! そ、そこはぁ……」
「こ……ここが良いの? マドカちゃん……」
そこは違いますよ、とマドカは言いたかったのだが、初めての感覚に言葉が途切れた。
そこは、士度にすら弄らせた事の無い部分だったのだ。
勿論銀次も、調子にのって指を挿入したりはしない。何しろ、人の彼女だ。
しかし、ただ穴の周りを撫でているだけでも、マドカにとっては心地よかった。
「ここが良いんだね、マドカちゃんは。士度にも、いつもここを使わせてるの?」
「そ、そんなの……そこを触られるのなんて、初めてですぅ……っ
それに、今、士度さんのハナシしなくても良いじゃないですか……」
ヒクヒクと体を震わせながら、マドカは自分の指を舐め始めた。
どうやら、口は棒を欲しがっているようだ。
「マドカちゃん、指の代わりに、俺のを舐めても良いよ」
「え? ぎ、銀次さん、それって……」
「代わりに、俺はマドカちゃんのを舐めさせてもらうからさ」
マドカは了承し、銀次に導かれるまま、バスタブの中でシックスナインの体勢になった。
彼女の尻の穴がヒクついているのが、銀次からは丸見えだった。
指の先で菊の周囲を撫で回し、羞恥心を煽る。
と同時に、控えめにはみ出たピンク色の肉を、舌と指とで適当に弄りまわす。
ここでもやはり彼にテクニックらしきテクニックは望めなかったが、
アナルへの責めは、マドカ本人が予想していた以上の快感を、マドカにもたらしていた。
今度士度さんに頼んで、後ろの穴でもシてもらおうかな……
そんな事をぼんやりと考えながら、マドカは銀次のモノを頬張った。
笛は専門じゃないのだけれど……と思いつつも、丁寧に肉棒を舐め回す。
銀次が二度目の射精を迎えるのに、それからいくらも時間を必要としなかった。
「ひぐっ……ぎ、銀次さぁん……も、だめぇ……」
「やばっ……出すよ、マドカちゃん!」
終わった時には、マドカは銀次の体の上に、だらしなく力尽きて倒れこんでいた。
顔には、銀次の精液がぶっかけられていた。
「すみません、銀次さん。この子も……良いですか?」
朔羅にそう尋ねられたのは、彼女がマドカを店に誘導し終えて、風呂場に戻ってきた時だった。
傍らには、MAKUBEXが立っていた。
ポケットに手を突っ込んだそのポーズは彼に似合わなかったが、
男である銀次には、彼が何故そんなポーズをしているのかは、即座に理解出来た。
勃起した股間の膨らみを、誤魔化すためだ。
「えっと……三人で、って事?」
「はい。もう我慢出来ないらしくて」
MAKUBEXは一言も発さなかったが、顔は先程のマドカ並に真っ赤だった。
思えば、彼はまだ思春期只中の少年なのだ。
すぐ傍で三人もの女性がセックスに興じるとあれば、その状況に耐えられる筈もない。
ましてや、三人目の娘は彼の想い人である、朔羅なのだから。
MAKUBEXからすれば、他の男に奪られるような気持ちだった事だろう。
「帰ったらちゃんとMAKUBEXの相手もしてあげますからって、言ったのですけれど……」
「……ヤだ。僕も朔羅としたい。今すぐ」
無論、銀次は快く承諾した。
「良いよ、MAKUBEX! 二人で朔羅を気持ち良くしてあげよう!」
浴室マットの上で、朔羅は両の乳首を同時に吸われる事となった。
勿論、片方はMAKUBEX、もう片方が銀次である。
まだまだ子どものMAKUBEXと、精神年齢的に子どもの銀次の、二人の吸い付きは
それこそ子どものように単純で、純粋だった。
小賢しいテクニックは無いが、ひたすら美味しそうに彼女の乳頭を頬張る。
朔羅としては、突然子持ちになったような気分さえ感じた。
MAKUBEXは、それまで怖くて直視出来なかった彼女の女性器に、そっと手を伸ばした。
そして、その感触にギョッとする。
「……ッ!?」
どこか間違ったところを触ってしまっただろうかと、慌てて朔羅の股間を見る。
そこには、彼が今まで見た事も無い、グロテスクな器官が存在していた。
「……何これ。朔羅、変な病気じゃないよね?」
朔羅はクスクスと笑って、彼の頬を指で摘んだ。
「痛たたたたっ!」
「こういうものなんですよ、女性のは。
MAKUBEXのだって、そろそろ皮も剥けてきて、怖いモノになってきてる年頃でしょう?」
言われてMAKUBEXは、まだ大部分が皮を被っている、自分の性器の先端を見つめた。
確かに一年か二年程前、徐々に尿道近辺の皮膚が剥けていっているのを初めて見た時は
何かの病気にかかってしまったのではないかと、内心怯えたものだ。
ネットで情報を集めたり、笑師に話を聞いてみたりして、
ようやくそれが健康な発育の証なのだと理解出来た時には、ひどく安心した覚えがある。
「ふぅん、こういうものなんだ……」
MAKUBEXは、まるで勉強でもするかのように、朔羅の股間をまじまじと見つめた。
若くて綺麗な女性にも、陰毛って生えるものなんだなぁと、
感心したように心の中で呟く。
「触って良いんですよ、MAKUBEX」
「良いの……? 壊れたりしないかな……」
繊細そうな、ちょっと引っ張ったらすぐに剥がれてしまいそうな、薄茶色の肉。
それを指先で恐る恐る掻き分けてみると、赤黒い内壁が見えてきた。
奥の方は、暗くてよく見えない。照明のついた部屋の中でこれなのだから、
恐らく内部をくまなく観察するためには、ペンライトか何かの器具が必要になるだろう。
後学のために、とりあえず無限城に帰ってからもう一度観察させてもらおうと思った。
「んふ……ふぅ……」
やがて、朔羅が艶かしい声を出し始めた。
「朔羅、気持ち良いの?」
「やだ、もうっ……そんな事、聞かないで……」
MAKUBEXは銀次と顔を見合わせ、頷いた。
銀次とMAKUBEXは、左右からアトランダムに朔羅の股間を撫で回した。
その都度、彼女の体はピクピクした。
やがていつの間にか乳首は硬くしこり、
先程MAKUBEXが見た時には目立つ大きさではなかったクリトリスも、
今では自ずから表皮を押しのけて、外気に身を乗り出していた。
そこを触ってやると、朔羅の体は何倍にも激しく震えた。
髪は、もはや乱れるなどというレベルを通り越して、空中で暴れまわっているようにさえ見える。
MAKUBEXは、吸い甲斐のあるその硬い乳首に口付け、わざと音を立てて吸った。
口の中で、舌を這わせて乳首を転がす。ちょっとした遊び道具のようで、面白い。
「ほら、MAKUBEX。そんなとこばかり吸ってちゃ、朔羅が寂しがるよ」
女の扱いなど、MAKUBEX並に心得ていない筈の銀次だったが、
やはり女を知るというのは、どんな男にとっても大きな経験になるらしい。
銀次は、朔羅の体ではなく、心を愛するように……
つまり乳首ばかりでなく、彼女の唇に、しっかりと優しくキスをしてやれと、少年に促したのだ。
MAKUBEXは、肉欲ばかりが先行して、順序が逆になっていた事を恥じた。
「朔羅……目、閉じて」
「はい……」
少年は、実はもう何度か重ね合わせてきた、姉であり母でもある朔羅の唇を、
これまでに無いくらいに深く愛し、味わった。
「何かMAKUBEX、随分キス慣れしてるみたいだね?」
銀次は、意外にもMAKUBEXがナチュラルに口付けを交わした事に驚いた。
顔を赤くして答えに詰まるMAKUBEXに代わって、朔羅が答えた。
「キスぐらいなら、無限城でも何度か……
それに夜は添い寝するのが殆どですから、胸を触ったり、
吸ったりする程度なら、殆ど毎晩ですし……」
言いながら朔羅は、MAKUBEXが手順を間違えた理由を、自分なりに思考した。
恐らく、普段キスする時は、MAKUBEXにとって自分は恋人だが、
胸を弄らせる時は、むしろ母親のようなものだから、その辺が関係しているのだろう。
そう言えば、キスと愛撫を同時にされた事は、今まで無かった。
彼にとってキスはキス、愛撫は愛撫で、明確に区別されるものだったのだ。
その垣根を取り払う術は、これから教えていけば良い。
「MAKUBEX……挿れて下さい……」
朔羅は、自らの手で、膣の入り口を広げてみせた。
「いや、でも……銀次さんは」
「俺の事なら気にしなくて良いよ。穴は、後ろにだってあるし」
銀次は、先程のマドカとのシックスナインに、味をしめていた。
さっきは指で撫でるだけだったが、もっと深く支配してみたいと思うのは、男の本能である。
「えっ!? ちょ、銀次さ……あっ!」
銀次は、問答無用で朔羅のアナルに指を突っ込んだ。
女性の方が肛門の筋肉は柔軟なため、比較的挿入しやすく出来ている。
「だっ、あ……汚い、ですよ……銀次、さ……」
朔羅は、予想もしていなかった展開に、有無を言わさず流される羽目になった。
MAKUBEXの未発達なモノが、彼女の前の穴を塞ぐ。
と同時に、銀次の大人のモノが、後ろの穴をギチギチにする。
朔羅は、破瓜の時以来、初めて下半身から出血してしまいそうな感覚になった。
「血ぃ……出ちゃ、うっ……」
「大丈夫だよ、朔羅。さあMAKUBEX、準備は良い?」
「ちょっと待って……まだ、痛い……」
初めて受ける締め付けの痛みに、MAKUBEXが慣れるのに時間がかかった。
それは結果的に、朔羅にも、痛みに慣れる時間を与える事となった。
「……そろそろ、良いですよ。銀次さん」
「あ、あの……私も、もう……」
銀次とMAKUBEXは朔羅の腰を抱え、タイミングを合わせて突いた。
「あぎっ!」
快感とも痛覚ともとれない新しい感覚が、朔羅の下半身を狂わせる。
巨乳が上下に揺れ、タプンと良い音がする。
男達は更に突き続け、その度に朔羅が壊れたような嬌声をあげる。
「いひっ! あっ! やっ! ぎ、ぁっ! あっ、あっ! いぃ、いっ! らめっ、こわれるふぅっ!」
朔羅はそれまで、MAKUBEXの両肩に手をおいて体を支えていたが、それももう難しくなってきた。
しがみつくようにMAKUBEXの首に両腕をまわし、体重を預ける。
少年の筋力では耐えられない筈だったが、
後ろで銀次も朔羅の体を支えてくれているので、何とかなった。
MAKUBEXは、朔羅の胸の谷間に顔をうずめ、死にそうな程快感を貪った。
「あぁ……もう、イキそうだよ……朔羅ぁ……」
「朔羅、俺もイって良い……?」
だが、男達のそんな声は、もはや朔羅には届いていなかった。
「かはっ、き、いぁ、あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……」
ロウアータウンを支配した二世代の王二人の精液を、
子宮と直腸に同時に受けて、城の姫は果てた。
「あぁ、あぁん、あぁん、ふぁあ、はぅん……」
肉棒を抜かれ、床に下ろされてからもしばらく、朔羅はイキ続けていた。
二つの穴からは、ゴプリと音を立てて、白濁が垂れ流されていた。
2007-04-09T21:00:17+09:00
1176120017
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296 赤屍×卑弥呼
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/38.html
「赤屍って性欲あるの?」言ってから、しまった、と思った。
別に悪意もなく純粋に疑問として浮かんでさして考えずに口に出してしまったが、いくら相手が規格外の殺人鬼でも失礼だろう。
続く沈黙に、卑弥呼は冷や汗をかく。
一殺那後にはコマ切れか。赤屍は何も、答えない。
なんで卑弥呼がこんなことを言い出したか、そもそもプライベートでは親しくないのに卑弥呼が赤屍の家に居るのか。
訳は数時間前に遡る。
タッグで仕事を組んで、成功して、依頼人から報償を受けとる。
それ自体は珍しいことでもない。
まずかったのは、依頼人の店選びのセンスだった。
いかにもなキャバレー。
下着の様な薄いキャミソールから豊かな胸を覗かせる女達。それを押し付けるように赤屍に身をすりよせる。
明らかに場違いな卑弥呼は不快に思ったが、赤屍はもっと不快そうだった。
「…失礼。離れて頂けますか」
絶対零度の微笑みで、女の首にメスをあてる。
「不快なので」
店は騒然となり、卑弥呼は依頼人から慌てて報償金を受けとると、赤屍をひっつかんで逃げるように店をでた。
クスクス笑いながらしかし、メスをしまわずますます殺気を濃くさせる赤屍。
ほっといたら気晴らしにでも通行人を切り刻みかねない。
そう思うと目をはなすことも出来ず、卑弥呼はそのまま赤屍の家まで来てしまった。
赤屍のいれてくれた存外に美味しいコーヒーを飲みながら、卑弥呼は店での出来事を思い返した。
男はみんな胸がでかくて頭の悪い女が好きだと思っていたが、赤屍はそうでもないらしい。
赤屍に常識を当てはめることこそ非常識なのかもしれないが、胸を押し付けられて「不快」と言うのはあまりにも極端じゃないか。
そもそも
「赤屍って性欲あるの?」
とここでやっと冒頭につながる。
「そうですねえ…」
脅える卑弥呼をよそに、赤屍はまだ思案顔。やがていいことを思い付いたと、笑った。
「確かめて頂けますか?」
「…は?」
「私に性欲があるかを」
実験を助手に頼む教授のように、ごく平然とお願いしますと言った。
「…いいわ」
こんな行為をしている自分を、自分が一番信じられない。
けれど信じる必要もない。これは紛れもない現実だから。
赤屍の下着から現れたそれは、くにゃっと萎れていて、なんだかグロテスクだった。
それはじいっと見つめる卑弥呼をみて、赤屍はおかしそうに笑う。
「意外、ですね。拒絶するかとおもってたのに」
「そうね」
とりあえずそれを、軽く握ってみる。
「……っ」
ただ握ってるだけでは面白くないので、揉んでみたり上下に擦ってみたりする。
「…卑弥呼、さん」
赤屍の焦ったような声。
…焦る?この男が?そんなものは一生聞けないと思っていた。
赤屍の表情をみると、目を閉じ眉を寄せ、口から時折、吐息がこぼれる。
「ずいぶんと、大胆、なんですね?」
からかう口調だが、とぎれとぎれなせいで強がりにしか聞こえない。
「そう…ね」
舌先をそれの先端に伸ばす。
「……ふっ、あ」
先から根本まで唾液を塗りたくるように舐める。
裏はこうなっているのか、と筋を舌を尖らして這わせる。
自分がまさかこんな商売女のような真似をするなんて。再び卑弥呼は自分に驚いた。
仕事中ゲスな男に狙われたことは何度もある。
全て撃退してきたが、そのたびに自分の女と言う性を嫌悪した。自分は性行為が嫌いだと思ってた。
だけど。
実力は足元にも及ばない、一瞬で自分を殺せるこの男が。
自分の手によって、舌によって、普段出さない声をだし普段見せない表情を見せて容易く悶えている姿は、悪くないと思う。
思いきって口を大きく開く。
「ちょ、ちょっとまってください」
狙いを即座に理解し、赤屍は卑弥呼の頭をつかんで押しとどめようとするが、力が入らず髪を弱々しくつかむだけだった。
髪をすく手を気持いいと感じつつ、卑弥呼は一気に口に含んだ。
じゅぷる、といやらしい水音が響く。
「…く」
苦い。でも気持悪いとは思わなかった。
歯を立てないよう気を付けながら、舌をうごめかす。頭を前後に動かす。卑弥呼の唾液と赤屍からでる液が卑弥呼の口と擦れあい、じゅぷじゅぷと響く。
「ん、んんっ」
理性などとうにとんでいる。ほほを上気させ髪をほつれさせながら、卑弥呼は懸命に奉仕していた。
「……っ」
赤屍の手が強く卑弥呼の頭を掴む。
一気に噴出し口の中に流れ込んできた液体に、驚いて卑弥呼は顔を離そうとするが、赤屍の手がそれを許さない。
なすがまま、喉にぬるりとしたモノが流れ込む。
「うー…」
赤屍の手がゆるまると、卑弥呼はぐったり床に倒れた。
「…すいません。つい」
さっきまでの姿は幻だったんじゃないかと思うくらい、いつもの赤屍の落ち着いた声。
「…いーわよ、もう」
「ありがとうございます」
「なにが」
「お陰で分かりました。私に性欲があることが」
「…そーいやそんな話だったわね」
途中からすっかり忘れてた。
なんだか余計にぐったりし、起き上がる気力もない卑弥呼に赤屍はそっとちかづいた。
「…なに」
「汚してしまったから、掃除です」
赤屍は微笑むと、卑弥呼の顔に付いた精液を舐めとった。
額、頬、鼻。くすぐったくて身をよじらせる卑弥呼を押さえ付け、顎、耳。
赤屍が舌を長く伸ばし奥までくすぐると、たまらず卑弥呼はあえぐ。
「…ふ、ぁ、…やっ」
「卑弥呼さんは耳が弱いんですね?」
赤屍のクスクス笑いが、卑弥呼の耳に触れ、それだけで卑弥呼は身を震わせた。
「るっさい、さっきまであえいでた癖に…」
精一杯の憎まれ口をたたくと仕置とばかりに耳たぶをかまれた。
やがて舌が卑弥呼の唇までたどりつく。上下の唇の輪郭を、なぞるように這う。「………あっ」
薄く開いた口の隙間に赤屍の舌がするりと侵入する。卑弥呼の舌と赤屍の舌が絡み合う。卑弥呼の舌が逃げようとすれば、赤屍の舌が追う。決して逃がさない。
「ふっ、んっ、…あっ」
まるで、恋人同士のキスみたいだ。
唇同士が離れたあと、まだはっきりしない頭で卑弥呼はぼんやり思った。
フェラよりキスの方が照れ臭いなんて、変な話だ。
…というかそもそもキスの前にフェラしたことがまず人間として終わってんじゃないだろーか。
そこまで気付いてずがーんと落ち込む卑弥呼。
「なんだか順番が逆になってしまったようですね」
「本当ね…」
「では最初から始めませんか?」
にっこり笑って赤屍は卑弥呼を押し倒した。ぱぱっと手早く卑弥呼の服を脱がす。
「…え?…えー…え!?わーわーちょっとまった!」
「待ちませんよ。貴方も待ってくれなかったじゃないですか」
先程のことをいってるらしい。根に持ってるだろうか。
「やっ、ちょ、…ふぁ、ま、やぁ…あか、ばね」
「貴方は本当に面白い」
赤屍は卑弥呼にキスを落とした。先程とは違う、触れるだけの。
なのに卑弥呼はこれまでで一番顔を赤らめた。
「本当に、ね」
そんなわけで、赤屍の性欲が人並み以上に旺盛であるということが卑弥呼の体を持って完全無欠に証明されました。
めでたしめでたし。
2007-04-05T17:36:37+09:00
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304 赤屍×ヘヴン
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/39.html
予想通りの部屋だった。
壁紙一枚張られていない、素材剥き出しのコンクリートの壁。
机と椅子が一脚ずつ置かれてはいるが、使われているようにも思えない。
窓にはカーテンがつけられておらず、室内の様子が向かいのビルから丸見えだ。
ベッドは病院にあるような、パイプで骨格を組んだ簡素なデザイン。
布団をかぶるのが面倒くさいのか、冬だと言うのに敷布団の上には薄いバスタオル一枚のみ。
食器棚には最低限の皿とコーヒーカップがいくつか並ぶだけで、
普段から来客を全く想定していない様子が伺える。
天井には照明が備え付けられているが、多分一人の時は、夜になっても使っていないだろう。
彼は暗闇を苦にするような男ではない。
ヘヴンは、初めて訪れた赤屍の部屋を何と形容して良いかわからず、もどかしく思った。
これで中々掃除はまめにしているようで、清潔感だけはある。
従ってよく言う「監獄のような……」という雰囲気ではない。
さりとて温かみがあるかと言えば勿論無く、しかして機能性を追及しているという風でもない。
恐らく赤屍本人は、寝るための箱、という程度にしか考えてはいまい。
そもそも、彼が睡眠をとるのかどうかも疑わしいものだが……。
「……アンタって、寝た事あるの?」
「今現に寝ているではありませんか、あなたと」
「そう言う事じゃなくって……」
ヘヴンは、ベッドの上に横になった赤屍のペニスを、自らの乳房で挟み込んでいた。
風俗の世界で言うところの、いわゆるパイズリ。蛮あたりが好きそうなプレイだ。
赤屍の体の上に覆い被さるなどという、常人では不可能な筈の体勢を
いくらそれなりの理由があるとは言え、まさか自分がさせられる羽目になるとは
ヘヴンは思っていなかった。
「わかりませんね……これが『愛』というものなのですか?」
ヘヴンの巨乳に挟まれたペニスは、いつの間にか見事に硬くなっていた。
もっとも赤屍の事だから、性欲だとか生理現象といったものではなく、
それこそ任意で好き勝手に勃起を制御出来るのかもしれない。
まさかね……こいつも一応人間な筈だし、そんなワケ……と考えながら
ヘヴンは懸命に彼のペニスを左右の乳で包み込み、上下に動かしていた。
「『愛』の形なんて、人それぞれよ。そりゃセックスも、愛の結実した行為の一種ではあるケド?」
「あなたも、来栖柾と愛を確かめ合うのに、このような戯れをなさってきたのですか?
だとすれば、今私に対してこのような真似をなさるのは、いかがなものでしょう」
モノは立派に大きくなっているのに、赤屍ときたら、その表情は冷静そのものである。
「うるさいわねぇ。今アイツの名前出すんじゃないわよ。
アンタが『愛というものが具体的にどのようなものか教えて下さい』って言ってきたから私は……」
赤屍はしばし考え込んだ。
セックスが愛の証だと言う定説は、多角的に見ると単なる言い訳のようだ。
遺伝子を後世に伝えるための、生物に備わった本能を、無理矢理理性的に解釈しようとしているに過ぎない。
でなければレイプも、或いは今の自分とヘヴンの、興味本位からくる戯れも、愛という事になってしまう。
結局、後学の為にと思って彼女に教えを請うたのは、意味の無い事のようだった。
「もう結構ですよ。お疲れ様でした」
赤屍はそう言うと、ヘヴンの顔面に大量の精液を迸らせた。
「ちょ、待……っ!」
白濁の液体を顔いっぱいに受け止めながら、ヘヴンは目の前の男が、
結局何一つ人の『愛』というものを理解してくれていなさそうな事に、呆れそうになった。
2007-04-05T17:33:07+09:00
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