※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 アイビー星天国デパートは売り場面積二十二兆坪、実像空間売場としては銀河連邦随一を誇る巨大店舗だ。文字通り虫ピンから宇宙ロケット、切手から惑星改造ボーリングマシンシロンの花から魔神ガロンまで、戦闘用兵器と不動産を除くありとあらゆる商品が販売の対象となる。この4月、新たに星雲大学に入学した新入生たちが、生活に必要な家財道具を揃えようと、大挙して押し寄せる。銀河連邦随一の広さを誇る天国デパートアイビー星中央店が、人の津波でごった返すのだ。

質問  「お目当ての品は何ですか?」
学生A 「実験用施設の装備された移動式住宅です」
学生B 「多分探検実習もあルんで、適応服転送装置のアる移動住宅でスね」
学生C 「搭載作業艇の転送ができるタイプが欲しいんす」

 天国デパートアイビー星中央店の営業主任・ザムディッシュ氏に話を聞いた。

ザムディッシュ 「旧式タイプのベース円盤ジュピターIIタイプのギラン円盤に替わって、ここ数年ではスペースコロニーが最も売れるタイプの移動住宅ですじゃ。ご存知の通り、移動住宅は宇宙船の機能を備えた多重環境適応型の住居ですが、環境適応服や搭載作業艇の転送装置を備えた、1人用、ないしは2~3人用のタイプが最も売れとりますわい。様々な意味で、宇宙刑事の活躍のお陰ですな」

 ザムディッシュ氏の言う『宇宙刑事の活躍のお陰』とは3つの意味がある。
 第1は銀河連邦の治安がかってないほど安定していることだ。第2はスペースコロニーの技術が銀河連邦警察からもたらされていること、そして3つ目に、文字通りの意味だ。宇宙刑事たちの活躍は転送タイプの環境適応服の一大ブームを巻き起こした。氏の話に登場する万能空間対応型移動住宅の最新モデル『スペースコロニー』には、『馬上試合』と呼ばれる格闘スポーツ用の防具・ウォーリアースーツの転送装置がオプションとして装備可能なのだ。

ザムディッシュ 「ほとんど取り付け希望ですな、もう標準装備も同然ですわい」

 ほくほく顔で語るザムディッシュ氏の含み笑いが印象深い。

学生D 「宇宙刑事みたいで格好イイじゃないスか。僕もレポート実習には持ってくつもりスよ。現地でニック先輩みたいに『ましんま』になって活躍するんですははは」

 『ましんま』の意味は不明だが、やはり宇宙刑事への憧れはかなり根強い様だ。

 第87ブロック銀河連邦警察機構の戦闘要員たち…。
 彼らは通称『宇宙刑事』と呼ばれている。閃光を放って金属色の鎧に身を固め、光の剣を片手に超次元戦闘母艦を駆る彼らは銀河連邦の一般市民にとっては平和の守り神であり、銀河の秩序に仇なす宇宙犯罪者にとっては地獄からの使者でもある。
 イガ星区担当の宇宙刑事シャリバンは、『太陽の子』と呼ばれる、転送式装甲装備宇宙刑事の第1期生の一員だ。暗黒銀河戦争フーマ大戦を経て、現在もそのまま赤射タイプのコンバットスーツを用い続けている、数少ない現役の『太陽の子』でもある。

シャリバン 「最初は無我夢中でしたよ、隊長リリーが二人掛かりでガンガン特訓するんだもの、苦労を共にした戦友のイメージですかね。例の件で試作モデルを着たこともあるけど、瞬間装着タイプには通常装着タイプにはない爽快感がありますね。今はもう大切な相棒ですよ。生涯現役ですね、きっと」

 シャリバンは獣星帝国マクーとの戦いで負傷した未開惑星の民間人が、その縁で銀河連邦警察に採用された変わり種の宇宙刑事だ。訓練校出身者以外では、唯一の赤射タイプスーツ装着者でもある。

 現在の宇宙刑事らの強さの秘密は掛かってコンバットスーツ(以下CSと表記)の利便性と万能性に起因する。現在銀河連邦の治安は歴史上かつてないほど安定したレベルにあるが、それは全てCSの功績だと言っても大袈裟ではないのだ。
 だがCSは宇宙刑事の標準装備としては、けして新しいものではない。
 以下は、CS開発に掛けた人間たちの記録である。