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 地球での調査を終えた特派捜査員の報告に、銀河連邦警察最高顧問会議は激しく紛糾した。事態のあまりの深刻さと、最高顧問会議の権威を地に落とすような判断ミスに、調査結果の発表を見送ろうという意見が大勢を占めたのだ。だが事態はそんな最高顧問会議の思惑など軽く吹き飛ばしてしまった。
 暗黒銀河で三つどもえの戦いを展開していた銀河連邦警察特捜4課と犯罪結社『暗黒星団D』が相打ちの形で全滅し、その結果『獣星帝国マクー』の勢力が飛躍的に高まったのだ。さらに銀河連邦警察の暗黒銀河方面の防衛拠点である宇宙ステーションTRCからバード星の宇宙保安庁に連絡が入った。獣星帝国の移動首都・魔空城が暗黒銀河の『ソンブレロ星雲』を離れ、オリオン椀辺境へ向かったというのだ。最高顧問会議は戦慄する、魔空城の目的地は明らかに地球だった。
 ハンターキラーがスパイの正体が露わになることを省みずに確保しようとした地球…。
 そう、地球技術を手にした組織が銀河宇宙の覇者となることは明らかだった。
 事実の隠匿はそのまま銀河連峰警察の滅亡につながる……、そう判断したサハラ長官は否も応もなく地球への宇宙刑事の派遣を決定した。

 銀河連邦警察上層部は当初、魔空城に対抗できる戦力を暫定的に引き抜いて、地球の軌道上に貼り付けようと考えていた。だがそれだけの戦力を保有し、しかも移動可能な銀河連邦警察の宇宙拠点というと、特1の宇宙ステーションSS、特3の宇宙ステーションTRCなど、どれも巨大すぎて魔空城に先んじて地球に到達するのは不可能だった。サハラ長官は銀河連邦軍を動かし、宇宙要塞『ネヴュラ71』による狙撃まで検討した。
 だが結局、保護惑星『地球』へ大部隊を展開する許可は出なかった。
 派遣可能な人員は最大でも1~2名、隠密捜査を行い、同時に最悪の場合は魔空城を中心とする『獣星帝国マクー』の兵力と正面から戦って、最低でも援軍が地球に到着するまで防戦できねばならない。そんな矛盾する要求を、それもごく緊急に満たす戦力など、銀河連邦警察のみならず、宇宙の何処にも存在しなかった。

ジーナス「それは違うね、存在する寸前で破棄されていたんだよ」

 土壇場で転送型CS実験部隊は蘇った。地球への転送型CSの派遣が決まったのである。
 CS転送用ギラン円盤は解体の始まる前日だった。再整備が始まった。
 緊急事態にスタッフも呼び戻されたが、Dr.ジーナスは戻らなかった。サハラ長官自らがアイビー星に赴いたが、ジーナスは研究旅行に出てしまっていて留守であり、長官以下の上層部はさらに面目を失った。とにかくジーナス抜きで出撃準備を整えねばならない。
 出撃は10日後と決定されたが、問題は山積みだった。
 普段なら何日も掛けて検討される事態がほとんどコム副長官(突然昇進した)の独断で決定されることになった。もちろんその総てが追認された。
 派遣される宇宙刑事はテストパイロットのギャバンがそのまま抜擢された。
 ギャバンは偶然にも地球の出身者であり、地球についての知識も豊富、地球人に混じって捜査を行うにも、地球人と交渉するにも、一般社会にとけ込むにも、これ以上に適した人材は当時の銀河連邦警察には他にいなかった。
 武装を施す余裕もないスタッフに、コム副長官(当時)はこれも廃棄処分が決まっていた、無人自動戦闘ユニット『電子星獣ドル』を与えた。これなら戦闘力は抜群だ、問題となる制御についても、近距離ダイレクトコントロールを用いれば問題ない。急遽カリント新星から機械生命人工知能が輸送され、ドルには機械生命としての個性とアイデンティティ、さらにはギャバンの助手として宇宙刑事の資格も与えられた。無論、ギラン円盤には大急ぎでドルユニットとのドッキングベイが増設された。
 超次元高速機ドルギランの誕生である。
 試験飛行もそこそこに、地球担当宇宙刑事・ギャバンはバード星を出撃した。
 同日サハラ長官を始めとする最高顧問会議メンバーは全員辞表を提出し、銀河連邦警察38代長官には、コムが任命された。