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欲情だけしか見えない夜


押し殺しきれない喘ぎ声と、きしみ音が暗闇に響いていた。

広すぎる寝室に天蓋付の立派なベッドがおかれて、サイドテーブルに乗るひとつきりの照明が、怪しく天蓋の中を透かし映す。

細くしなる若い二人が抱き合う姿は、照明の橙色に黒い影絵になって、部屋壁のタピストリとなっていた。

「あぅ…ルル…もう……」

荒々しく組み敷かれ、喘いでいた一人が、乱れた息で苦しげに訴えかけた。

「もう、なんだ?まさかイキたいと?」

上に被さり相手を翻弄するもう一人は、激しく打ち付ける腰とは裏腹に、ひどく優しく左手の指をもう一人のそれと絡めた。

互いの左の薬指には、意匠の異なるアメジストのリングがはまっていた。

「相変わらず敏感な奴だな、スザク。ランスロットをイジめたのはそんなに感じたのか?」

後半を耳元で囁きかければ、吐息に反応したスザクは過敏なほどに体をはねさせる。

「あの子に、何飲ませたのさっ!っぁん…」

詰問しようとした台詞が、感じやすい場所を抉られて嬌声に変わる。

「お前が無駄な足掻きを仕込むからな…お仕置、かな」

「悪趣味な…」

うつぶせに縫い止められたスザクは、普段の倍は快楽に酔い流されようとする体を鎮めようとシーツをきつく掴み、枕に顔を埋めた。

男であるスザクの彼自身はキツくリングで戒められ、快楽を吐き出すことを許されてはいなかった。その上で、入れられる目的ではない場所に、別の男を受け入れさせられていた。

普通なら戒めを解かれなければイクことはできない。しかし、彼はある事情から、それでも女のように快感に喘ぐ身になってしまった。

「ほら、たくさんお前が感じてやらないと、ランスロットが苦しいんじゃないか?」



ランスロット。

スザクの写し身として作られた、仮初の人工人間パペット。感覚を共有し、無線で動くそれは、この小さな都市国家ブリタニアが世界征服を行うことを可能にする門外不出の技術。

ランスロットはスザクのパペット。しかしそれは、実験的に作られた異性型のパペットだった。

その上、スザクの特異体質から、本来は半双方向の感覚共有が、常時完全双方向共有になってしまっていた。

つまりは、二人は痛みも快楽も感情も何もかもを、共有してしまうようになっていたのだ。



おざなりにゆっくりとしたリズムで突き上げられる。水音がくちゅくちゅと響いていているのを、スザクは意識しないようにしていた。

「ルルーシュ、君は確かに僕の主人だ。契約した。でもこんな仕打ちは、」

「俺に抱かれるのは嫌か?」

「…そんな、ことは…」

「では何故ランスロットに俺を拒絶しろと言った?」

低く囁かれると、一瞬の間をおいてスザクの語気は萎えていく。

ルルーシュは、さらに冷たく、

「これはお仕置だ。ランスロットにじゃない。お前へのな」

と言い放ち、スザクの腕をベッドの支柱から伸びる手枷へとはめこんだ。

そして自身をスザクから引き抜くと、そのまま彼を放置して部屋を出ていく。

すぐに、彼は戻って来た。彼女を連れて。

「ラン、スロット…」

天蓋越しに、薄衣を着た彼女が、ルルーシュに肩を抱かれて部屋に入ってきたのをみる。

彼女は既に足下がおぼつかなく、顔は赤く染まり、息を乱していた。

「さぁ、ランスロット。これを飲むんだ」

「だめランスロット…だめ…っ」

手渡すコップには無色透明な液体。しかしわずかにかおる芳香が、スザクの身をすくませた。

ランスロットはコップを受け取ったままの姿勢で、二人の様子を交互に困ったようにみつめた。

なかなか動かない彼女に、ルルーシュは微笑んで、

「スザクは俺のモノ。お前も含めて、スザクは契約をした存在。俺への服従は、お前たちの義務…わかるな?」

彼女の髪を梳き、あぎとを捕らえた。

ランスロットはそっくりの翡翠の双玉をスザクへと向かわせる。欲情した女のソレ。作り物と言っても、美意識の高い皇族のためのオートクチュール。

自分そっくりの彼女が媚態を見せる様に…疼く。

オリジナルとなる素体が男であるスザクだったために、女性的な豊満さは持たない彼女が見せる夜の顔。

ルルーシュの半ば情人となっている実験体の彼女は、スザク自身の写し身でありながら、スザクの無意識の嫉妬心を駆り立てる。

二人が見つめあったままでいると、ルルーシュがくすりと笑い、ランスロットの耳元に、スザクから陰になるように唇を寄せて、何事かを囁く。するとランスロットは完全に羞恥に頬を染めた。

「…飲めるだろう?」

「はい」

「ランスロット!?」

迷いもなくゴクゴクと液体を飲み干すランスロット。満足げに頷き、飲みきった彼女の髪を撫でるルルーシュ。

コップを取り上げると、ルルーシュは素早くランスロットの唇を塞ぐ。

その瞬間。スザクの乾いた唇が、わずかに物欲しげに動くのを、ルルーシュは見逃さなかった。

見せつけるように、軽いキスから濃厚な口付けへと移っていく。


ルルーシュが見たいのは、欲情して尚落ちない彼のそんな顔。


唇を離した途端に床へ崩れ落ちるランスロットなど見向きもせずに、物欲しげなスザクの瞳から視線をずらすことなく、ゆっくりと近づき、ベッドの上へと這い上がる。

彼の動きが緩慢に見えるのは、実際そうであるからなのか、それともスザク自身に共鳴するランスロットの異常な欲情の昂り故なのか。

「俺がほしいか?」

再び密着されて、覗き込まれる紫の瞳に浮かされるように。

スザクが囁く。


「……Yes, your Highness」


本当に欲しいものに気がつかずに。

欲情だけしか見えない夜。






この話の構成を成分だけ取り出すと、

男スザク←ルル←女スザク(ランスロット)

となります。


あぁ、石を投げないで(;´Д`A ```

一応、ルル様が欲しいのはスザク。スザクは表面は欲しがりませんけど、奥ではルルと絡んでるランスロットに嫉妬している設定。

ランスロットはというと……いろいろ考えてはいます。