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このSSはR2本編で痛々しいほどの関係の二人を、スザクサイドで慰める…やっぱり捏造SSです。
時間軸としては、1話より前になりますが、タイミングとしては1ヶ月前くらいと思ってください。
◆本編との違い
- 基本現在はジノスザ。
- ラウンズ第2席にオリジのにょたっぽい子あり。
- 前提でルルスザかスザルル(まだ決めてない(死))
- スザクはルル本人が死んだ、もしくは、もう関わることもできない場所に隔離されていると思い込んでいる(皇帝のギアス?)
ルルスザくさいところはほとんどない、100%スザクの一人称系SSですが、それでも読むという人はスクロールをしてください。
ジノ・ヴァインベルグ。
帝国最強の12騎士、ナイトオブラウンズの中でも、ナイトオブスリーを拝命する若き騎士。
枢木スザクが過去に手合わせした人間の中でも、上から十指に入る存在。
そして、最も新しい恋人。
空虚すぎる恋のモラトリアム
ナイトオブセブンという肩書きは、自分を暇にさせることはない。
円卓の騎士の座を得て一年。
自分は常に前線を渡り歩いた。
それがナンバーズである自分への試し故なのか、ナンバーズである自分に勲功を積ませようという陛下の温情なのかは、正直わからない。
キャメロットと名を変えたかつての特派は、かつてよりはるかに潤沢な予算を得て、愛機ランスロットと自分を支えてくれる。
肉体的にも社会的にも、充実した一年であった。
最愛の人物を失った、巨大な喪失感を抱く、心を覗けば。
「おかえり」
円卓の騎士の先輩、6番のアーニャ・アールストレイム。
まだ若い少女だが、席次は自分よりも上。
「ただいま、アーニャ」
ラウンズの集合場所も兼ねる広間に、大きなソファを置いて寝そべる彼女に、携帯でぱしゃり、と戻りの顔を激写される。
ぶしつけにみえる行為だが、彼女のその行為にはもう、慣れた。
ブログに関しては、何を言っても聞かないのだ。
「聞いた?」
「なにを」
唐突な問いに、首をかしげると、
「ナイトオブツーが、久々に帰ってくる」
「そう、なんだ。召集ってそのため?」
「そうみたい。ジノがスザクに紹介したいって」
「ジノが?」
これまで、ラウンズのメンバーへの引き合わせは、筆頭であるナイトオブワンに紹介されるか、すれ違いに自然に名乗るかのどちらかだった。
円卓の騎士は現在、12席ある定席に空席が目立つ状態だ。
以前は欠員が出次第、軍から補充していたらしいが、現皇帝の方針できわめて勲功がある者を取り立てる、それ以外は入れないらしい。
だから、戦死や引退を迎えた者の席が余っている。
それゆえ、自分がラウンズの席を願い出たとき、すんなりと話が進んだわけだが・・・
「おー、スザク。おかえり! 久々だな~」
遠くからやってくる長身の男。
ラウンズでも飛びぬけて背の高い男、ジノ・ヴァインベルグ。
細すぎると言われる自分と違い、鍛えているとわかるしなやかな身体。
彼とアーニャは、ラウンズに入ってから、比較的親交のあるラウンズのメンバーだった。
「ジノ」
「EUはどうだった?」
「ジブラルタルは押さえてきた。四半年以内にスエズまでの補給線ができあがるだろうね」
「お~、やるねぇ。こっちもあちこち叩いてきたぜ。あとで話そう」
後ろから甘えるように抱かれると、ポーカーフェイスで居ると決めているのに調子が狂う。
心の中を優しく引きずり出すような感覚に、怖くなることさえある。
「会わせたい人がいるんだ」
「今アーニャから聞いたよ。ラウンズの人なら、自分で挨拶にいけるのに、わざわざ召集しなくても・・・」
ぎゅっとしがみつかれて、顔を寄せられる。
「俺が紹介したいの!」
子供のような無邪気な姿からは、歴戦の騎士の姿は想像もできない。
「今陛下に報告に行っている最中でさ、あとで迎えに行ってくる。戻ってくるのは2年ぶりだからさ。みんなで帰国を祝いたいんだ」
「ラウンズで帰国が2年ぶり?」
それはかなり奇異な感じがした。
一応、帝国最強を名乗る以上、前線に出ることはある。しかし、それは一時のことで、ラウンズ本来の任務は皇帝陛下と帝都の守りにある。
「志願して中華連邦との西部戦線に向かわれてさ。インド管区からなんだかんだと帰ってこなかったんだ。それが、さすがに2年続いて、陛下もそろそろ戻って来いって仰られたらしい」
ラウンズは本来の任務が守りだから、その仕事を捻じ曲げて、外へでるということはよほど皇帝の信認があるらしい。
まだまだ新入りの自分でさえ、たった数週間の出向に対し色々な許可やらで大事なのに、2年というと、大事も大事だ。
「アーニャ、頼んでおいたスイーツ、手配してくれたか?」
「うん。これでしょ?」
ローテンションで見せる携帯画面には、数々の甘いものの写った写真。
頼まれものなのに、既にブログに載せたらしい。
「ありがとう!あとはそれを運んで、姫を迎えに行けば・・・」
「姫?」
女性なのか。
心に暗いものがよぎる。
「あぁ。美人だぞ。きっとスザクも好きになれる」
ジノがこれほど手を焼く女性。
少なくとも、2年以上前からの、彼の心を魅了する存在。
過去のことを思うと、自分にも恋人がいたころを思い出す。
今はもう居ない、純真だった本当の君・・・
「何をやっているんだ?」
女性にしては低い声。
澄んだアルトが聞こえた方を振り返ろうとすると、ジノが僕の身体を離す。
逆光で見えない場所に、ラウンズと思しき人物が立っていた。そこへ、ジノが引き寄せられるかのように駆けていく。
「お久しぶりです、我が姫。よくご無事で・・・」
「姫と呼ぶなと何度言ったらわかる」
手袋をした右手をとってキスをしている。
その広い背中が、肝心の女性をすっぽりと隠してしまっていたが、そのしぐさが自分に戯れてよくやるそれ。
これは失礼、と悪びれる様子のないジノの声が遠い。
至極慣れた二人の関係。
「新人がいるんで、まずは紹介させてください」
「あぁ・・・」
完璧なエスコートで女性に寄り添うジノ。
手を取り、自分の側へと歩いて誘う。
近づく足音に、ジノのそれが重なる。
歩調の合ったそれは、調和のあった一種の音楽。
静かに響くそれが、心をかき乱す。
逆光と建物の影でよく見えないが、自分とさして変わらぬ背格好。ラウンズのコート。
襟元は紫で、無造作に流された黒髪に、瞳の色は・・・・・・
そこまでみて、息が詰まりそうになった。
「紹介します、姫。こちらは枢木スザク。ナイツオブセブンを去年拝命しました」
だって、その顔は・・・・・・
「スザク。この御方は、ナイツオブツーのヴィクトリア姫」
「姫と呼ぶな」
茶目っ気たっぷりに笑顔を見せるジノをたしなめるその顔は、失ったはずの彼そっくりだった。
「ヴィクトリアです。よろしく、枢木卿」
その控えめな笑顔が、ひどく動揺を誘った。
その日の夕食の席。ジノは雄弁だった。
姫との昔話。騎士になった理由。
あまり聞きたくなかった。
『皇女をやめて、ラウンズになるって言うから、追いかけた』
明るい笑顔。
嫉妬なんて言葉を、思い出させないで欲しかった。
みじめになる、だけだから。
「なぁ、どうしたんだよ、スザク」
夕食会の後。部屋まで彼女を送ったジノは、すぐに自分の部屋に来た。
横目で部屋に入るのを見送ったあと、鍵をかける直前なのだから、最早神速だ。
「疲れてるんだよ。帰ってきたばかりだし」
「久々に会ったのに、あんまりまだ二人で話せてないじゃんか。ちょっとくらい・・・」
「だめ」
今日は嫌だった。
きっと・・・勘のいいジノに、今触れられたら、わかってしまう。
自分の彼女に対する嫉妬。ジノに対する暗い感情。
最愛のルルーシュを失った自分への、何度目かの自虐的な思いも。
ジノは優しいから、何も聞かずに慰めてはくれるだろう。
いつまでも癒えない傷を、舐めてくれるに違いない。
それは甘美な誘惑だが、あまりに甘すぎて許しがたい。
「スザク」
ドアで押し返そうとしたのに、ジノは短く自分の名前を呼んで、一瞬だけ力をこめて部屋に無理やり身体を押し込んできた。
「ジノ、だから・・・っ」
予想通り、逃げを打とうとした身体を捕らえられ、きつく抱きしめられる。
「ごめんな?」
短く謝罪の言葉。
「はぁ?・・・なんで、ジノが、謝るのさ・・・」
息が詰まりそうなほどの抱擁の中で、ようやく搾り出した言葉。
かすれて聞こえたかも怪しかったが、ジノはしっかりと聞き取っていたようで、言葉を返してくる。
「主人をなくしたお前の前で、する会話じゃなかった」
「別に・・・気にしてない」
「嘘。気にしてる」
主人を失った。確かにジノのその言葉に偽りはないのだが、自分を苦しめるものはもっと別のもの。
もう自分に微笑んではくれない、あの頃の彼が遠いのに。
その彼にそっくりな姫に微笑まれて、微笑み返すジノが・・・
「ねぇ」
「なに?」
頭から離れない仲睦まじいそれを、忘れたい。
明日からポーカーフェイスで接することが出来るように、今夜だけでも。
「抱いてよ。一番酷く」
そう言って、密着した彼の首へと腕を回し、キスを強請るのだ。
何もかも忘れられるように・・・・・・
ぎゃーーーーーっ、書いちゃった(*/∇\*)
前提ルルスザ(スザルル?)、ジノルルフレーバー+スザルルフレーバー+のジノスザ!!!
R2のスザクは嫉妬で狂うのがよく似合う。
そして、この三角関係…当のルルは全く関係がない挙句、ルルフレーバーな姫もジノからプラトニック片思いという、、、
みせかけ三角関係。。
ほんと、スザクは真っ黒いほうがよく似合う。。。(・ω・)
最終更新:2008年05月11日 22:32