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「心配するな。お前の腕なら勝てる」

 貴賓席に付くまで俺を送ると、視線をランスロットと交わし、護衛役を任せてスザクは立ち去った。

 不安そうにそわそわするランスロットが、彼の心をうつしているとおもうと、ルルーシュは心のなかで軽く微笑んだ。


重なる心の重ならない場所




「勝負あり!」

 高らかに審判の言葉が響く。

 膝をつき、肩で息をする相手。

 剣を納め、軽く乱れた息を整えるスザク。

 高鳴る胸は自身の興奮か、オリジナルがもたらす軽い運動の動悸か、ランスロットにはわかりかねた。

「スザクの剣の腕は、ブリタニアでも十指に入るだろうな」

 当然の事実を述べる口調。

 ランスロットは神と崇める主人を振りかえる。

「スザクが…ですか?」

「あぁ。お前たちパペットを抜けば、の話だ」

 ほっと安堵の息をつく。

 パペットは、人のための下僕。特に軍用のそれは、人を凌駕する力を与えられる。

 それ故、反抗などということをしないよう、目覚める前に心を調整されているのだが・・・自分にはどうも、多少のゆるみはあるらしい。

 オリジナルに、猜疑心を抱くのだから。

「でもスザクは去年騎士になったばかりです。カレン様以外で、他の騎士様方と戦うのは今日が初めてで…」

「初めてだから、油断も誘う。しかし、スザクの実力は掛け値なしで、トップクラスだ。優勝できる」

 ちくりと胸が痛む。

 決して意地悪心ではないのだが、スザクが自分より優れていると言われているようで…

「コーネリア皇女殿下は“スザクは決勝へは行けない”と仰ったんですよね?」

「あぁ」

「ルルーシュ様はなんと?」

「勿論、優勝だ。当たり前だろ?」

 二人の皇族の優美な賭け事。

 かかったのは、石ころとパペット。

「何故?皇女殿下がその条件なら、ルルーシュ様は決勝に進めると仰ればよかったではありませんか」

「甘く見られたくないからな。それに、その条件にしたら、スザクが決勝で気を抜くだろう?つまらないじゃないか」

 余裕そうな笑みは、惚れ惚れと見ていたくなるものだった。

 でも。

「…それでスザクが決勝まで進めなかったら、ルルーシュ様は“ゼロ”様を譲られるのですか?」

 戦いの舞台は既に次の人々が相対し、鋼のぶつかりあう音がする。

 いけないとわかりつつ、視線を戦いのなかへ向けていると、ルルーシュの苦笑がした。

「ランスロット。本能を刺激されるのはわかるが、少しは俺の護衛をしてくれよ?」

「大丈夫です。私は軍用ですから、銃弾が放たれてからでも、ルルーシュ様をお守りしてみせます…本当ですよ?」

 主人は信用していないが、ランスロットは自分のスペックをちゃんと把握していた。

 ロイド・アスプルント伯爵が作った自分は、一般の奉仕パペットや護衛パペットは勿論、軍用の兵士パペットにも勝る出力や反射をもつのだ。

 自信過剰だとスザクは注意してくるが、誰にも戦いで負ける気がしない。

 だから、予選でまばらな貴賓席の端で、主人と二人の今を楽しみたい。


『これってデートにカウントできるのかな?』


こっそりと、そんなことを考えて。




「たいした腕だな、枢木」
 控え室の外。廊下の壁に背を預けていたところに、ルルーシュの預かるパペット、C.C.が、僕にむけて飲み物を差し出した。

「そりゃ殿下の大事なものと、殿下が望むものがかかってますから。十二分に頑張ってますから」

「そう謙遜するな。ルルーシュと私の見立てでは決勝までにそう苦労はしないはずだ」

 無表情のC.C.が、腕を組んでまっすぐにみてくる。

「コーネリア皇女殿下の騎士も出場されると聞きました」

「ギルフォードか。わざわざ同じブロックに出して・・・コーネリアは決勝に向かう前に奴をぶつけてお前をつぶすつもりだ」

 淡々と言われる言葉。

 遠くでまた試合のおわる声がした。

「C.C.」

「なんだ」

「パペットを賭けた遊びというのは、皇族の方々はよくなさるのですか?」

 問いをぶつけると、自分より幼く見える彼女が老怪な笑みをうかべた。

「あるわけなかろう」

「でも…」

「ありえないことだ。パペットは機密の塊だぞ。技術は勿論、本人のもつ知識も、皇族の身に寄り添う特別製パペットには、主を破滅させて余りある力がある」

 言われてみれば。

 僕は毎日のようにランスロットと顔を合わせるし、彼女は僕の好みや弱点を僕以上に把握している。

 確かに、もし彼女の持つ情報が敵に流れたら、勝てる敵にも勝てなくなりそうだ。尤も、そんなことを目下の仮想敵である皇女殿下は、なさらないだろうが。

「破滅するほどの弱味を握られたくない…だから、ルルーシュは貴女を譲るのを嫌がったと?」

 そこまで言うと、なぜかC.C.がぷっと吹き出した。廊下を彼女の笑い声が木霊す。柄にもなく腹を抱えている。

「なんで笑うんですか!」

「お前…誰が誰を譲るって?」

 コーネリア皇女殿下は、ルルーシュからパペットを譲ってほしい。

 ルルーシュは、一般的な影武者のようなパペットを持っていないはず。

 彼の側にいるパペットはC.C.くらいで…

 盛大に笑われて、僕がむっとして睨むと、笑った本人は目の涙を払いながら、それでもまだ心底可笑しそうな顔で語りだす。

「ルルーシュが賭けたのは、前線のお守りにだしている特別製パペット、“ゼロ”だ。性能を見込んで使っているが、ルルーシュは奴があまり好きではないから、会わないようにスケジュールを調整している」

「そう、だったんですか…」

「ちなみに、お前が勘違いしているから教えておくが、私はルルーシュのパペットではない」

 そこまで語ると、次の出番を知らせる行司の声が聞こえた。

 更なる問いを許さない彼女の声が、続く。

「さっさと行け。失格にされるぞ」

「はい」

 慌てて早足で、ステージへと向かう。

 あと三回勝てば、ルルーシュにあの翠玉をもたらすことができるはずだから。


『負けるわけにはいかないな』




 スザクが立ち去り、私はその場に留まった。

 舞台の方へ行くことも出来たが、観客から要らぬ注目を集めると思うと気が滅入る。

 何もかも、騎士という存在は私とルルーシュにとって古傷をえぐるばかりだ。

『枢木スザクは、私がルルーシュのパペットではないと気が付いていなかった。この分だとエバーグリーンの価値もわかっていないだろうな、十中八九』

 エバーグリーン。

 ルルーシュにとって、苦い思い出の石。

 だからこそ、ルルーシュは賭けに乗った。

 彼ならば、曇った想いを晴らしてくれると信じて。

「枢木。お前は本当の意味であいつの騎士になれるかな?」





ぐふっ・・・何をやってるんだ自分は!

風邪気味で某茶会に出席したのはいいのですが、30分といいつつ1時間もハッスルトークを('д')

茶会に出るたびに麗しいお嬢様方からスザクを色々おねだりされちゃうわけですが、萌えが補給できて、尚且つネタがぽんぽん浮かぶ素敵な場所ですね、茶会!
皆様ありがとう!茶会を毎回開いてくださる主催様にも、今度茶会以外で是非お礼をしなければ・・・(ぐっ。

これ書いたら、昨日ドサクサにあげといたジノスザ設定で羽ペン書き始めます!!!

(アップは数日後になるかとおもわれますが・・・そのへんは、全力で・・・・・・)