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 ナリタでの敗北は、半月と経たず日本の中を不穏な空気一色に染め上げた。

夏を目の前に5話



 元来国際色豊かで融和の象徴とも言うべきだったアッシュフォード学園の中でも、その空気は薄々と感じられ始めていた。

「ユフィ、久しぶり!」
「出てきて大丈夫なの?」

 クラスの入り口で女子たちに囲まれ、質問攻めにあっているのは、ユーフェミア・リ・ブリタニア。

 交流の名目で、半年前からこの学園に通いだした、ルルーシュの妹のひとりだった。

「体調が悪かったとか、そういうわけではないので大丈夫です。警備の問題で、皆さんにご迷惑をかけると思い、数日登校を控えていただけですから」

 元々ブリタニア本国での貴族や資産家の子弟が数多く在籍する学校だ。警護体制に不備があるとは思えないが…

「本当に、困っちゃいました。お姉様が危ないから外には出るなって、登校も許してくださらないんですもの…」

 離れた席に座っていた僕に、ユフィが話の途中で視線を送ってくる。

 笑顔。なんでもなかった、と言いたげな。

 それが何故か気に食わず、視線を窓の外へと向ける。

 ユフィが悪いわけじゃない。

 でも、どこか腑に落ちない。

 同じ皇女なのに、どうして二人はこうも違う?



 ユフィと会話をする隙もなく、午前の授業が始まる。

 何事も無い、平和な空間。

 時折窓側のルルーシュから痛い視線を感じて、板書の文字を写す手をおざなりに動かすだけ。

 元々勉強は苦手だったが、ここ最近は輪をかけて酷く、ほとんど手につかない。

 集中できない原因は、わかっていた。

 黒の騎士団と、婚約者の彼女のせいだった。



「終わってるぞ、授業」

「え」

 ペンを持ったままの姿勢で、黒板よりやや上に視線を上げると、ルルーシュがそこに立っていた。

「またろくに聞いてなかったな」

「ごめん、考え事してて…」

 ため息をつく彼。

「中庭に行くぞ。ユフィが待ってる」

「あぁ…うん」

 大きなランチボックスを持って歩くルルーシュの背を負う。

 ついこの間までは、彼と過ごす一日一日が、本当に幸せで、贅沢だとさえ感じられたのに。

 今は…



「やっぱり美味しいね。ルルーシュの出し巻き卵」

 不器用に箸を持ちながら、ふわふわと巻かれた絶品の卵を頬張りながら、ため息がこぼれる。

 ユフィがこの学校に来ることが認められた影の理由のひとつ。ここにはルルーシュたちがいたからだった。

「別に普通だろ」

「明日はオムライス弁当がいいです!タコさんウィンナーも忘れないでね」

 毒殺を警戒する皇族。ルルーシュは日本に来た直後から、自炊することを身に着けていた。

 和洋中華の一般的な料理は勿論、デザートまで幅広いレパートリーをこなす完璧さは、彼自身の高潔さにも繋がる。不自由な妹に、食事くらいはちゃんとしたものを、という兄の願いでもあったのかもしれない。

 視察に来たユフィがルルーシュの昼ごはんをみて、一目ぼれをした挙句、姉に食事が安全だと吹き込んだことが、編入が許された理由のひとつだった…というのは生徒会のなかでは有名な笑い話のひとつだった。

 食事がひと段落してきたところで、ルルーシュが小さな声で話をきりだす。

「ところでユフィ、例の件だが…」

「そのことなのですが…スザク」

「はい?」

 ルルーシュとユフィの密談のはずなので、自分は耳を塞いでいようかと思ったところで、ユフィから声がかかる。

「お姉様から伝言で、ランスロットの開発に本国の軍事費の中から費用を確保できたとのことです。ナリタでの稼動実績もありますし、今は不穏な時期だから少しでも戦力は確保しておきたい、とか。だから安心して開発に励んじゃってください」

「え…」

 軍事費。

 生々しい言葉が、可愛らしい彼女の声で聞けるとは思いもよらなかった。

 反応できずに戸惑っていると、ルルーシュが怖い顔でユフィに詰め寄った。

「ユフィ、お前が頼んだのか?」

「いえ、私は何も…私が昨日お姉様にランスロットのお話をする前に、本国のシュナイゼルお兄様と話がついていたようなのです。でもおかしいんですよ。少し前までは、日本側の政治や金の流れには口を出すわけにはいかない、ランスロットの件はシュナイゼルお兄様と日本のプロジェクトだから、私やお姉様が深く関わっていいことじゃないと、あれほど仰っていたのに。ダールトン将軍の話だと、お姉様が積極的にシュナイゼルお兄様に援助を求めたそうなのです」

「姉上が、ランスロット開発に口を挟んだと?」

「はい。今まではシュナイゼルお兄様からの要請があってからそれにこたえていたばかりなのに、急にどうしてしまったんだろう、って私、困ってしまって…」

 ナイトメアの開発は、現代において一国の存亡をかけた問題だ。高い技術力が必要だし、なにより資金がかかる。しかしそれを克服できなければ、弱肉強食の現代を国家が生き抜くことなど不可能だ。

 日本の現在の主力機『無頼』は、既にブリタニアのサザーランドやグロースターといった新旧の主力機に見劣りするどころの話ではなく、乗り手次第では簡単にあのガニメデにすら負ける有様なのだ。

 その現状を打破すべく、8年前の戦争を論破の材料に、日本は去年ブリタニアに新型ナイトメア開発を共同プロジェクトとして日本で行うように要求した。

 最終的な決め手になったのは、僕というデヴァイサー候補が日本にいることだったが、政治的な決定はもっと別の次元で動いていたのだ。

「なにか、あるな」

「だと思います。お姉様は確かに日本側に軍事部門のアドヴァイスをしていますが、実際戦争が起きれば切り捨てざるを得ない、ようなことを前は仰っていましたし」

「現日本政府とランスロットの開発を是が非でも守らなければならない理由が出来たか…」

「…やっぱりルルーシュでは、ないんですね?」

「「は?」」

 黙って聞いていた僕ですら、突っ込まなければならないほど、ユフィの論理は端折っていた。

「だって、親衛隊の機体にもならないランスロットですよ?余程親しいどなたかから頼まれた以外に、本国への直談判なんて私考えられなかったの」

「ま、まぁ、確かに…」

 身内には甘いブリタニア皇族。しかし、それ以外からの甘えは許さない。

 誇り高い大帝国の支配者として、そのことを“ブリタニアの魔女”の異名をとる第二皇女が忘れているはずがない。

 だからこそ、二人の会話を聞いていた僕には、ピンと来た。

 一体、誰が頼んだのか、を。






お久しぶりです。半猫です。

実は、ギアス最終回以降…至極後悔している事があります。


どーして自分気合入れてこの話をガチのにょたルルとヴィーのスザク取り合い物語にしなかったのかナーと、、、


土色のルルのあの顔を見る度に、「自分なんでルル攻めで書きはじめたんだこの話、、、こんなに美人なのに…」と後悔しきり。


でも、にょたルルとスザクのらぶらぶした話なら、結構巷にありふれているので、やっぱりルルがガチでヴィーからスザクを掻っ攫っていこうとする姿勢が、攻めっぽくてほかに無いだろ!ってことに落ち着いてます。

そう…ユフィからスザクを掻っ攫うのではなく、SEの姫ルルがあの顔あの容姿でスザクにくっつこうとするのを全力で阻止するのがこの話の基本コンセプト。。。


って書くとヴィー可哀想だ。。

ヴィーも中身の大半はルル同様だからな。昼ドラも真っ青な抵抗をしてもらおう。。。ふふふ、、、、、、