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「で…なんでこいつまでいるのよ!!!」

 ささやかな祝勝会の冒頭、カレンは自分の隣で笑う男を指差し、絶叫した。

紫紺の宴



「いいじゃないか、カレン。俺が祝っちゃダメか?スザクの優勝」

 肩を抱いて、至極自由奔放、フレンドリーに振舞うジノ・ヴァインベルグ。

 今日の昼間、やっと元という言葉を付けることができた、親の決めた婚約者。勿論、だった男。

「あんたね、その決勝戦で負けたんでしょう?少しは悔しそうな顔とかしないわけ?」

「悔しいさ。でも、勝負は勝負。そこは潔く負けを認めて、次回以降気持ちよく再戦してもらわないとな」

 同意を求められて、歯切れ悪く同意しているスザク。

 普段から八方美人というか、誰に対しても反抗できないタイプだとは思っていたが、ジノをここまで自由にさせておく人間を見たのは初めてだった。

「そう怒るなよ。カレン。次回はちゃんと勝って、教会に連れて行くから。な?」

 間髪いれず、その場にぱしん、と張り手の音が響き渡った。



「そんなにきつく当たらなくてもいいんじゃないか?」

 怒りに任せてジノの頬を打ったカレンに、困ったような笑みを浮かべてルルーシュ皇子がやってくる。

「いいえ殿下。ジノはこれでも甘いくらいです」

「御気になさらず。カレンの愛情表現には慣れてますので」

「…もう一回殴ろうかしら?」

「これくらいで死んでいては、夫婦になろうと神に誓おうとは思いません」

 カレンが拳を握り締めるのを、珍しく声を上げて皇子が笑った。

 いつになく上機嫌なようだ。

「いい婚約者じゃないか、カレン」

 丈夫そうで、と付け足されて、カレンが顔を赤くして、

「丈夫ならいいってもんじゃありません。なんでこんな乗っ取り目当ての四男坊…」

「乗っ取り…?」

 また一人置いていかれている話に、C.C.がピザ皿を抱えながら加わってくる。

「カレンはシュタットフェルト侯爵の一人娘だからな。一時期は、ルルーシュに貰って欲しいとか話が来ていたものだが…」

「侯爵の本妻筋の子息が、6年前のEU戦役で戦死して以降、取り潰しが怖いのか、皇族以外の婿養子を欲しがっているらしいな」

「冗談じゃありませんよ。それまで散々追い出そうとしていたってのに。手のひらを返して…」

「だから、紅月姓を?」

「当たり前でしょ。あんな家、もうゴメンだわ」

 カレンにはカレンの事情がある。今まで、ブリタニアの血を引きながら、何故他国の姓を名乗っているのか不思議でならなかったが、そういう葛藤があるなら、理解できた。

 その葛藤を理解しているのか否か、

「俺は、別に家がどうとかで結婚したいわけじゃないんですけど、カレンはどうしてもそこと結び付けたいらしくて」

とジノは苦笑している。

「家なんて、俺にはどうでもいいんですけどね」

 貴公子然とした、正統なことを好みそうな姿でありながら、実にさばさばとした物言いだった。



 ささやか。本当にささやかな祝勝会。

 さすがに皇帝直属の騎士を打ち負かすような試合での勝利を、大々的に祝うわけには行かない。だから、勝つことがわかっていても最初から仰々しいものは用意していなかった。

 ルルーシュ皇子の離宮の一室で、僕と皇子、カレン、C.C.、そしてジノが晩餐を楽しむだけのもの。

「ヴァインベルグ卿は、いつまで皇都に?」

 食事の後の歓談で、ルルーシュがジノへと視線を向ける。

「半年ほどずっと前線でしたし、一ヶ月はこちらに腰を落ち着けて、のんびりするつもりです」

「ジブラルタルやノルマンディーなど、激戦地を渡り歩いて戦果を上げていると伺っています」

「殿下の功績に比べれば、微々たるものですよ」

 優雅な食事…とは言い切れない席だった。

 ジノは貴公子の外見を裏切るがさつな食べ方をするし、C.C.は最初から会食のメニューには目もくれず、給仕にピザを持ってこさせて、一人食べている始末。

 カレンは不機嫌にやけ食いをしていたし…自分のテーブルマナーはお世辞にも完璧とはいえない。

 どこかちぐはぐなモザイクのが、食後の余韻にも響いていた。

「そういえばルルーシュ殿下。ナナリー皇女殿下は今日は…」

「ナナリーは、気分が優れないので、今日はもう奥で休んでいます」

「そうですか…ご挨拶だけでもと思ったのですが、残念です」

「いえ…一ヶ月もゆっくりされるなら、また来られるといい」

 さすがに皇子の言い出したことをさえぎれず、さっきから言霊のぬけかかったカレンがうわごとのように何か怪しげな言葉をつぶやきつづけていた。

 ネガティブオーラ全開のカレンを、始めてみたが、結構恐ろしい。

「そうだ、殿下。あれはどうされるんです?」

「あれ…とは?」

「コーネリア殿下から貰ったあれですよ」

 エヴァーグリーンのことを指しているとわかると、ルルーシュはあぁと笑顔で答えた。

「使い手を選ぶ石ですからね。どうしようか検討中です」

「なんだ、私にくれるんじゃないのか?」

「お前にやってどうする。使えないだろ?」

「わからんぞ。私は特別らしいから」

 偉そうないつもどおりの態度で、C.C.が横槍をいれると、ジノは面白そうにその掛け合いをみていた。

 C.C.様なら似合いそうですね、とコメントまでして。

「加工が終わったら、是非見せてください。エメラルドの守護石なんて滅多にないでしょう?すっごく興味があります」

「そうですね。加工が終わったら、是非見ていただくとしましょう」

 穏やかな…そしてささやかな宴は、そうして終わった。



 祝われるはずだった僕が、ほとんど発言をしないまま、ジノは満足そうに帰って。

 ぐったりとネガティブオーラで疲れきったカレンを、C.C.が引きずって奥に引き上げてしまった。

 残された僕は、残ったルルーシュを部屋まで送り届けて、そのまま自室に引き上げれば、今日はもう終わるはずだった。

 ランプのともるルルーシュの私室。パペットたちに綺麗に管理された部屋に入り、彼が脱ぐ上着をハンガーにかけ、寛いだ彼に一礼する。

「では、皇子殿下。私はこれで…」

「待て」

 下げた頭を、不自然なタイミングで上げて、主をみると、ベッドの端に腰掛けた彼は、笑っていた。

「何か…」

「いいことを、思いついた」

 思いついた名案を、披露したくてたまらないのだろう。含み笑いをするルルーシュに、首を傾げる。

「パペットとのつながりを絶つ方法…知りたくはないか?」

「それは…っ」

 喉から出るほど、僕が欲していること。

 しかし、それは、僕以外誰も知りえないこと。

「教えて…やろうか?」

 見るものが見れば、邪悪とも捕えかねられない深い笑みが、ルルーシュの顔に浮かんでいた。

 自分を捕えて離さない、笑みが。




ジノっ、ジノカレっ(=´∇`=)

カレンはルルーシュと同類だと思ってます。賢いはずなのに、自分の理解できない色恋のルールにぶつかると処理しきれなくなってぷしゅっ、と潰れちゃう系

R2でも、ジノにはツンなのに、恋愛対象じゃない扇には抱きついてたしね。

魂抜けかけるほどカレンにはジノの価値観がぶっとんでみえたという方向です。

ジノは、そういう貴族の娘さんっぽくないカレンが大好き。家庭が持てるっていうのは、彼的には最初はおいしいかなーと思ってたけど、カレンの野性味溢れるツンな感じにクリティカルヒット。

年下なので、カレンに振り返ってもらえるほどカッコイイ男にならなきゃな!と張り切ってしまい、ラウンズになってみたというレベルです。

カレンからすると…女扱いされてるようで嫌いになる行為なんですが、ジノは見て見て俺すごくない?っていう心境。

一行にデレてくれないカレンを前に、必死に尻尾振っている状態です。

あぁ、もうジノ超かわいい(*/∇\*)



ルルーシュですが、いよいよ久々の閲覧注意ページになるかも!?

うわぁ楽しみだなぁ…久々にえろいことを書けるわけです。

楽しみにされている主従篇ですので、期待を裏切らないクォリティで書ければいいな…