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*神知者なゆたの辻講座
■ 2 名前: なゆた :2001/06/23 10:02:32
アルコスの街角で、木箱に乗った愚者曰く
「真理を教えよう!真理を!
我と思わんものは我が徒となるがよい!
さすれば愚かなる俗世を忘れ、
賢者のみが手にする安寧を得られよう!」
彼に見向くものは誰もいない。
※このスレッドは、グローランサにおける様々な命題を、なゆたが勝手に規定したものです。けしてオフィシャルではありませんが、私の世界はこれらの規定に沿って運営されています。ただし、キャラクターがそれを知っているわけではないので、プレイヤーの概念情報として扱ってください。
■ 3 名前: なゆた :2001/06/10 03:44:32
>>2 探索論再演基礎講座1:再演と再認知
神知者なゆたの探索論再演基礎講座1 さん 2000年 09月 11日 23時 23分 11秒
■再演と再認知
もっとも一般的に見られる「再演」は、各種カルト教義に見られる礼拝行為であろう。神聖カルトにおける礼拝では位の高い信徒にそれぞれ相応しい役割が与えられ、神の偉大な行為が劇として演じられることが多い。神を演じるのは通常その神殿の責任者であり、倒されるべき敵として本当に敵カルトの信徒が強制的に参加させられることもある。
礼拝の参加者はおおまかに3通りのランクにわけられる。平信徒と呼ばれる者たちは正式な入信者ではなく、カルトの支持者もしくは入信者の子供らである。彼らはこの劇を遠巻きに見ることになる。つぎに、入信者たちは聖別されたエリアでこの劇を見る。彼らの役目は神の行為の成功を祈ることである。そして最後は劇の出演者達で、この中にはカルトの司祭が必ず含まれる。
この区分は地位的な区分だけではなく、実際に魔術的な影響が異なる。平信徒の目にはこの礼拝はただの劇として見えるだけである。しかし入信者たちにはあたかも神の行為を実際に見ているかのように感じられ、また神の心の躍動や落胆が、自分のことのように感じられる。祖霊崇拝の色濃く残る部族社会ではこれが部族や氏族の一体感を高め、社会的な団結力を生み出している。
さらに、劇に参加した者たちは、それぞれが与えられた登場人物として実際に行為を為してゆく。それは台本通りでもあり、そして自分の意志でもある。遠き日、遠き時、神が行ったことを、己の心に刻み込むのである。
祝詞を読み上げる、問答を行うなど、大規模な劇や儀式を催さないカルトでも、行われていることには共通点がある。それは神やカルトが行った「行為」を讃えることであり、すなわち過去の事象の再認知である。
優秀な生徒諸君はもうお気づきだと思うが、「再演」とは「再認知」であるということを私はこれから講義するわけである。
■ 4 名前: なゆた :2001/06/14 22:46:30
>>3 探索論再演基礎講座2:認知の種類と強度
「認知」とひとことでいっても、実はその範囲は広く、質もさまざまである。
たとえば君がこの講義を聞いている。もちろんこの中にもいくつもの認知が発生する。君が私の講義を聞いて「なるほど」と思う、もしくは「違う」と思う、それ自体も認知だし、ただ声が聞こえているというのも認知である。ここにいたという記憶、この講義に出席しようという意欲、これらもすべて認知であろう。
しかしこのような「こころの動き」にともなう認知はほんのささいなものでしかない。椅子に君のぬくもりが残る。これは次の着席者に君のことを知らせる――本人が意識するかどうかは関係ない。君の動かした椅子は次に触れたものによって移動させられる。君が机に収めたが故に。これは君の存在の痕跡であるし、他の者が意識するしないに関わらず、君の存在は認知されている、ということになる。
まずここまでで「意識する認知」と「意識しない認知」があるということは理解できたかと思う。
次にそもそも「意識」というものを問うとどうなるか。一般にはひとつづきのPOWの明滅として捉えられるわけだが、ひとつづきの最低単位として1POWと規定するならば、その総計値はグロランサ全体の魔力量にはるかに及ばないことが証明されている。
ダークマターの候補としてあげられる筆頭はやはりマナである。POWの集合体が神という極大において1POWと相似的な現象を見せることを考えると、マナの集合体がPOWを極大値として相似的な影響を与えるというのは考えうることであり、実際に検証した報告もなされている(資料e2032参照)。
このことから1POWに及ばぬマナ、もしくはPOW化していないMPにも認知能力があると想定され、以下の実験を行った。
CaseA:箱の中に猫を入れる。部屋の中に箱を置き、無作為の人物を抽出し、箱の中の猫について10題の問いを行う。
CaseB: 部屋の中を猫が10分間歩き回ったあとにCaseAと同じ条件で検証する。
このとき部屋の中の魔力量を調整し、横軸mpxとすると、回答の正解率yとの相関は・・・
(中略)
・・・以上3例の主題実験と2例の補完実験によると、マナの認知への影響は地上界では1POW/77Manaと近似される。
これは、平均的なマナ密度である1Mana/1GL^4から考えると、世界全体としての認知の総量は、POWを保持する霊体よりもマナの影響のほうがはるかに大きいという結果である。
もちろんこれは平均をとった場合であり、より多くのPOWが集中し、マナの密度の薄い我々の生活圏においては、認知の大部分は生物が占める。
次回講義においては、認知の分布偏向の種別と、その影響について講義する。
■ 5 名前: なゆた :2001/06/10 03:46:59
>>2 世界定義シリーズ-1:生物が死ぬということ=肉体とPOWが分離すること
神知者なゆたの世界定義シリーズ-1 さん 99年 10月 17日 00時 42分 08秒
■生物が死ぬということ=肉体とPOWが分離すること。
通常完全生物が死ぬ瞬間には肉体的苦痛によりMPが0になり意識を失う(ただしその逆―意識を失ったからMPが0になる―ということはない)。そうでなければ死んだ瞬間にみな精霊として活動を始められてしまうことになる。
肉体から切り離された精霊は意識を失ったまま漂い、MPの回復とともに衝動的な欲求に突き動かされて、自らの定められた死地へ向かう(移動は3次元的ではない。精霊界の深いほうへ移動してゆく)。
しかしその状態でも肉体と精霊のつながりは完全に絶たれたわけではない。肉体的能力の高い存在ほど現実界の引き止める力は強い。すなわちルールに示されたように、いずれかの能力値が0になるまで地界にたどり着くことはできない。
肉体を焼く、回復不能なほど損傷させるならば、必然的に能力値は失われ、死者の精霊はすみやかに定められた場所にたどり着くことができる。
これはまた、死者をすみやかに弔わなければ、その精霊に様々な影響があることを意味している。長い時間精霊界を放浪していた死者の霊は、様々な精霊の影響を受けて変質しているかもしれない・・・。
■ 6 名前: azatoth :2001/06/10 22:24:26
>>5 面白いシリーズが始りましたね
azatoth さん 99年 10月 18日 12時 27分 27秒
面白いシリーズが始りましたね。
より話をわかりやすくするために
「いずれかの能力値が0になることによって、
初めて肉体からPOWが切り離され、
生物は死んだことになる。」
という文章を追加してはいかがでしょうか。
■ 7 名前: なゆた :2001/06/10 03:49:23
>>2 世界定義シリーズ-2:魔力の濃度と精霊にとっての地上界
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-2 さん 99年 12月 17日 02時 44分 26秒
■魔力の濃度と精霊にとっての地上界
世界は魔力で満ちている。
これは比喩的な表現ではなく、計測できないほどの微量ではあるが、あらゆる空間にはMPが空気のように満ちているのである。
生命はその中で多量の魔力を凝縮した存在である。POWは一方通行の浸透圧を持った袋だと考えればよい。袋の口を開けてMPを放出したならば、袋は周囲からMPを吸収し、ふたたび膨らんでゆく。
魔力の濃度は場所によってさまざまで、地上界ではほぼ均一だが精霊界では深い場所ほど濃い。英雄界ではさらに濃いだろう。つまりMPの回復速度はこういった場所では速くなる可能性がある。逆に極度に魔力を消耗した土地では、いつまでたってもMPが回復しないこともある。
MPを包むPOWもまた魔力の一形態である。肉体という器がなければ、その薄皮は周囲の空間に溶け出してゆく。このため肉体を失った(もしくはもともともたない)存在は、そのPOWの大きさに応じて、より魔力の濃度の高いところで暮らしたがる。これが精霊界の深いところにほどPOWの高い精霊がいる理由である。
精霊が地上界に姿をあらわすというのは非常に消耗する行為であり、時間とともにMPを失い、さらにはPOWさえも失ってゆく。呪縛呪付は精霊に肉体のかわりとなる器(場所)を与える。ニンフの依代やゴーストの取り付いた場所なども呪縛呪付の役目を果たしているといえる。
■ 8 名前: なゆた :2001/06/10 03:52:11
>>2 世界定義シリーズ-3:魔力保存の法則
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-3 さん 99年 12月 22日 18時 19分 56秒
■魔力保存の法則「学院のこどもたちへの解説」
POWやMPと呼ばれるものはいったいなんなのか。その本質は存在そのもの、世界そのものだともいえるが、ここではその解明は他に譲り、POWとMPの関係について記す。
POWとMPは本質的には同じ物である。POWは密度の濃い魔力の固体であり、MPは水のような流体であると言える。さらに世界は薄いMPで満たされている。これは空気のようなものであり、便宜上「マナ」と呼ぶ。
POWはMPを内部に蓄積することができる。通常POW1ポイントにつきMP1ポイントを内包する。蓄積したMPが消耗した場合、POWは周囲からマナを吸収し、MPを再生産する。この速度はイェルムの運行に依存し、24時間でちょうどいっぱいになる。また自然再生ではなく人為的にMPを送り込むことで、POWの2倍まではMPを保持できることも確認されている。
POWをMPに変換することは比較的簡単に行える。これを「POW下位変換」と呼ぶ。代表的な例では魔道呪文の≪切開≫があり、これはPOW1ポイントをMP1D6ポイントに変換する。実験で確認されているもっとも高い変換効率はPOW1ポイントあたりMP10ポイントであり、研究者によればこれが限界点とされている。
MPをPOWに変換するというのは一般社会ではタブーとされている。研究者間では「MP上位変換」と呼ぶ。これのもっとも代表的な例は信仰である。神のPOWがどこからもたらされるのか考えてみるがいい。神が単独で獲得している?そんなはずはない。神は信徒の捧げるMPを己のPOWとすることで、その存在を強大たらしめているのだ。
この変換効率は神のPOWと信徒の比率からは1000対1と推定されるが、実験では5000対1で成功した報告があるだけである。
世界の魔力総量は混沌による働き以外では変動しない。これは計測可能であり、我が研究所では常時観測している。POW下位変換とMP上位変換ではどちらのケースでも多量のマナが発生することが確認されている。もしロスのない変換が行われたとするならば、その値は100対1に近似する――
■ 9 名前: なゆた :2001/06/10 03:54:19
>>2 世界定義シリーズ-4 :生殖-その神秘と意味するもの-
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-4 さん 99年 12月 23日 18時 03分 32秒
■生殖――その神秘と意味するもの
「MP上位変換」のもうひとつの代表的な例が生殖である。あらゆる生命はその基本機能としてPOWの再生産を行えるということである。
母体のMP回復量と新規個体のPOWに相関関係がないことは確認されているので、再生産された初期の生物はマナからPOWへの変換を行っているか、もしくは物質からPOWへの変換を行っていることになる(物質とPOWの転化に関しては≪切開≫の講義を参考にすること)。
ただしこれには転生説という反論がある。すなわち死して精霊となったものが再び肉体を得て生まれてくるというものである。確かに転生という現象は確認されるものであるし、これによらねば地界は死者であふれてしまうというのである。
私的な見解を述べれば特定の個体の魂が直接転生するというのは希少なケースであると思われる。個体としての魂がPOWであるならば、通常の出生ではPOWはマナの状態まで分解され、その個性は保持されない。
死者の霊が分解されるというのは社会的に理解を得にくい概念である。ほとんどの宗教は死後の世界を認めており、そして神の信徒としての生を全うしたものに永遠の安息を約束している。
魔力保存の法則が示すのは、転生も永遠の安息もありえないという事実である。物質が常にPOWに転化されつづけたとするならば、世界は最後にはすべて死者の霊となってしまう。
死者は地界へ行く――これは事実である。
だとするならば、地界には死者がマナへと分解される本当の死がまってるということでしかなかろう。
■ 10 名前: なゆた :2001/06/10 03:55:09
>>2 世界定義シリーズ-5:霊魂言論Ⅰ進級課題
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-5 さん 99年 12月 25日 01時 31分 59秒
■霊魂言論Ⅰ進級課題
1.個体の記憶はPOWによるものかINTによるものか。魔術的な例を示して推論せよ。
2.1の結果を踏まえ、生物がINTもしくはPOWを失ったばあい、それぞれどういった状況におかれるか論述せよ。
以上
提出期限:聖祝期/第二週/神の日
■ 11 名前: azatoth :2002/03/28 21:20:58
>>10 ある学生の答案用紙
■霊魂言論Ⅰ進級課題
【問1】.個体の記憶はPOWによるものかINTによるものか。魔術的な例を示して推論せよ。
INTによる記憶とは、肉体的感覚に対する物理的記憶を脳が保持するものと定義することができる。
視覚刺激は目という肉体器官を通して認識され、神経を通して伝達される。
これは電気的な信号として感知できるが、脳内をめぐり解析される。
脳内で認知された電気的刺激は過去の刺激のパターン記録(記憶)と照合され、純粋な肉体的衝動としての感情に変換される。
これを意識体が感知することで漸く、POWによる記憶に繋がる。
POWによる記憶とは、祈祷師の幽体離脱などに見ることができるように、肉体という器を離れても記憶を保持することが可能なものである。
しかしこの場合、何によって情報は感知され、何によって記憶の保持はなされるのか。
それは学生の身である私には推論以上のことはできないが、恐らく周囲をPOWや漏れ出るMPの触覚で感知し(映像情報として認識しているつもりでも実際は異なるのではないか)、現状周辺に関する情報だけが意識上に残っていることをPOWの記憶と呼ぶべきなのではないか。
こうした微妙な書き方をしている理由は、おそらくPOWの記憶は時間を超越するものと私が考えているからである。
POWはそのPOWが接触した過去の記憶全てと、未来の記憶全てを有しているのではないか。
そして認知している現状周辺の情報のみが「現状情報」として認知され活性化しており、過去の記憶はさかのぼるほどに緩やかに休眠化していっているのではないだろうか。
よって私はINTによる記憶とPOWによる記憶は全く異なるものなのではないかと推論する。
また、したがって一般的に言う「記憶」とは、INTによるものとPOWによるものが混同して認識された概念といえるのではないか。
【問2】.1の結果を踏まえ、生物がINTもしくはPOWを失ったばあい、それぞれどういった状況におかれるか論述せよ。
INTを失った場合、肉体的思考能力が欠落することになる。
これは通常の人間の場合は、外的刺激の一切を失うことである。
これにより外界を認識できなくなった個体のPOWは、自己消滅(霧散)していくことになるのではないか。
POWは世界への存在を定義するものであるとも言える。
よってPOWを先に失った場合は、世界への錨を失った状態となり、肉体の崩壊が始まるものと推測される。
肉体の崩壊が終了する前に、次なる宿主が現れるか、元の宿主に帰還しない限り、その肉体は崩れ去る。
---記入者名、不明。
*ルーンの本質の嘘
■ 2 名前: なゆた :2001/07/29 13:50:01
昨日のプレイ(RQ1500:第八話)でもそうだったけど、ついつい、「それがルーンだ」とかいってしまうことがある。
グローランサ関連のサイトを見て回っていると、そこでも「実はルーンとは・・・」とか、「ルーンの獲得とは・・・」、「実は神とは・・・」という解説によく出会う。それを自分に照らして恥ずかしくなる。
神知者への警鐘とは、すべてこれを見越したものだ。
ルーンとグローランサについて知ったかぶりをするよりも、世界を描き出し、生活を描き出し、人間を描き出さなくては。
それがルーンクエストだ<知ったかぶりT_T
*グローランサへのアプローチ
■ 3 名前: なゆた :2001/07/27 12:29:41
グローランサを読み解いていくと、ひとつの謎掛けにいきつく。
それは神知者であり、啓発であり、神話であり、歴史であり、ドラゴンである。
「真実とは何か」
これは陳腐な問いだろう。この謎掛けの本当の意味を理解せぬものには。
「ルーンとは何か」
こう問うてもいい。これに「ルーンとは、こういうものだ」と答えるのなら、あなたは謎掛けに辿り着いていない。
わかりやすく問うなら、
「グローランサに魔法はあるのか」
これがよいかもしれない。ここで前の二つの質問に戻り、その意味をはかりなおせばよい。
マスターはこうしたグローランサを描き出したいと思っている。
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*神知者なゆたの辻講座
■ 2 名前: なゆた :2001/06/23 10:02:32
アルコスの街角で、木箱に乗った愚者曰く
「真理を教えよう!真理を!
我と思わんものは我が徒となるがよい!
さすれば愚かなる俗世を忘れ、
賢者のみが手にする安寧を得られよう!」
彼に見向くものは誰もいない。
※このスレッドは、グローランサにおける様々な命題を、なゆたが勝手に規定したものです。けしてオフィシャルではありませんが、私の世界はこれらの規定に沿って運営されています。ただし、キャラクターがそれを知っているわけではないので、プレイヤーの概念情報として扱ってください。
■ 3 名前: なゆた :2001/06/10 03:44:32
>>2 探索論再演基礎講座1:再演と再認知
神知者なゆたの探索論再演基礎講座1 さん 2000年 09月 11日 23時 23分 11秒
■再演と再認知
もっとも一般的に見られる「再演」は、各種カルト教義に見られる礼拝行為であろう。神聖カルトにおける礼拝では位の高い信徒にそれぞれ相応しい役割が与えられ、神の偉大な行為が劇として演じられることが多い。神を演じるのは通常その神殿の責任者であり、倒されるべき敵として本当に敵カルトの信徒が強制的に参加させられることもある。
礼拝の参加者はおおまかに3通りのランクにわけられる。平信徒と呼ばれる者たちは正式な入信者ではなく、カルトの支持者もしくは入信者の子供らである。彼らはこの劇を遠巻きに見ることになる。つぎに、入信者たちは聖別されたエリアでこの劇を見る。彼らの役目は神の行為の成功を祈ることである。そして最後は劇の出演者達で、この中にはカルトの司祭が必ず含まれる。
この区分は地位的な区分だけではなく、実際に魔術的な影響が異なる。平信徒の目にはこの礼拝はただの劇として見えるだけである。しかし入信者たちにはあたかも神の行為を実際に見ているかのように感じられ、また神の心の躍動や落胆が、自分のことのように感じられる。祖霊崇拝の色濃く残る部族社会ではこれが部族や氏族の一体感を高め、社会的な団結力を生み出している。
さらに、劇に参加した者たちは、それぞれが与えられた登場人物として実際に行為を為してゆく。それは台本通りでもあり、そして自分の意志でもある。遠き日、遠き時、神が行ったことを、己の心に刻み込むのである。
祝詞を読み上げる、問答を行うなど、大規模な劇や儀式を催さないカルトでも、行われていることには共通点がある。それは神やカルトが行った「行為」を讃えることであり、すなわち過去の事象の再認知である。
優秀な生徒諸君はもうお気づきだと思うが、「再演」とは「再認知」であるということを私はこれから講義するわけである。
■ 4 名前: なゆた :2001/06/14 22:46:30
>>3 探索論再演基礎講座2:認知の種類と強度
「認知」とひとことでいっても、実はその範囲は広く、質もさまざまである。
たとえば君がこの講義を聞いている。もちろんこの中にもいくつもの認知が発生する。君が私の講義を聞いて「なるほど」と思う、もしくは「違う」と思う、それ自体も認知だし、ただ声が聞こえているというのも認知である。ここにいたという記憶、この講義に出席しようという意欲、これらもすべて認知であろう。
しかしこのような「こころの動き」にともなう認知はほんのささいなものでしかない。椅子に君のぬくもりが残る。これは次の着席者に君のことを知らせる――本人が意識するかどうかは関係ない。君の動かした椅子は次に触れたものによって移動させられる。君が机に収めたが故に。これは君の存在の痕跡であるし、他の者が意識するしないに関わらず、君の存在は認知されている、ということになる。
まずここまでで「意識する認知」と「意識しない認知」があるということは理解できたかと思う。
次にそもそも「意識」というものを問うとどうなるか。一般にはひとつづきのPOWの明滅として捉えられるわけだが、ひとつづきの最低単位として1POWと規定するならば、その総計値はグロランサ全体の魔力量にはるかに及ばないことが証明されている。
ダークマターの候補としてあげられる筆頭はやはりマナである。POWの集合体が神という極大において1POWと相似的な現象を見せることを考えると、マナの集合体がPOWを極大値として相似的な影響を与えるというのは考えうることであり、実際に検証した報告もなされている(資料e2032参照)。
このことから1POWに及ばぬマナ、もしくはPOW化していないMPにも認知能力があると想定され、以下の実験を行った。
CaseA:箱の中に猫を入れる。部屋の中に箱を置き、無作為の人物を抽出し、箱の中の猫について10題の問いを行う。
CaseB: 部屋の中を猫が10分間歩き回ったあとにCaseAと同じ条件で検証する。
このとき部屋の中の魔力量を調整し、横軸mpxとすると、回答の正解率yとの相関は・・・
(中略)
・・・以上3例の主題実験と2例の補完実験によると、マナの認知への影響は地上界では1POW/77Manaと近似される。
これは、平均的なマナ密度である1Mana/1GL^4から考えると、世界全体としての認知の総量は、POWを保持する霊体よりもマナの影響のほうがはるかに大きいという結果である。
もちろんこれは平均をとった場合であり、より多くのPOWが集中し、マナの密度の薄い我々の生活圏においては、認知の大部分は生物が占める。
次回講義においては、認知の分布偏向の種別と、その影響について講義する。
■ 5 名前: なゆた :2001/06/10 03:46:59
>>2 世界定義シリーズ-1:生物が死ぬということ=肉体とPOWが分離すること
神知者なゆたの世界定義シリーズ-1 さん 99年 10月 17日 00時 42分 08秒
■生物が死ぬということ=肉体とPOWが分離すること。
通常完全生物が死ぬ瞬間には肉体的苦痛によりMPが0になり意識を失う(ただしその逆―意識を失ったからMPが0になる―ということはない)。そうでなければ死んだ瞬間にみな精霊として活動を始められてしまうことになる。
肉体から切り離された精霊は意識を失ったまま漂い、MPの回復とともに衝動的な欲求に突き動かされて、自らの定められた死地へ向かう(移動は3次元的ではない。精霊界の深いほうへ移動してゆく)。
しかしその状態でも肉体と精霊のつながりは完全に絶たれたわけではない。肉体的能力の高い存在ほど現実界の引き止める力は強い。すなわちルールに示されたように、いずれかの能力値が0になるまで地界にたどり着くことはできない。
肉体を焼く、回復不能なほど損傷させるならば、必然的に能力値は失われ、死者の精霊はすみやかに定められた場所にたどり着くことができる。
これはまた、死者をすみやかに弔わなければ、その精霊に様々な影響があることを意味している。長い時間精霊界を放浪していた死者の霊は、様々な精霊の影響を受けて変質しているかもしれない・・・。
■ 6 名前: azatoth :2001/06/10 22:24:26
>>5 面白いシリーズが始りましたね
azatoth さん 99年 10月 18日 12時 27分 27秒
面白いシリーズが始りましたね。
より話をわかりやすくするために
「いずれかの能力値が0になることによって、
初めて肉体からPOWが切り離され、
生物は死んだことになる。」
という文章を追加してはいかがでしょうか。
■ 7 名前: なゆた :2001/06/10 03:49:23
>>2 世界定義シリーズ-2:魔力の濃度と精霊にとっての地上界
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-2 さん 99年 12月 17日 02時 44分 26秒
■魔力の濃度と精霊にとっての地上界
世界は魔力で満ちている。
これは比喩的な表現ではなく、計測できないほどの微量ではあるが、あらゆる空間にはMPが空気のように満ちているのである。
生命はその中で多量の魔力を凝縮した存在である。POWは一方通行の浸透圧を持った袋だと考えればよい。袋の口を開けてMPを放出したならば、袋は周囲からMPを吸収し、ふたたび膨らんでゆく。
魔力の濃度は場所によってさまざまで、地上界ではほぼ均一だが精霊界では深い場所ほど濃い。英雄界ではさらに濃いだろう。つまりMPの回復速度はこういった場所では速くなる可能性がある。逆に極度に魔力を消耗した土地では、いつまでたってもMPが回復しないこともある。
MPを包むPOWもまた魔力の一形態である。肉体という器がなければ、その薄皮は周囲の空間に溶け出してゆく。このため肉体を失った(もしくはもともともたない)存在は、そのPOWの大きさに応じて、より魔力の濃度の高いところで暮らしたがる。これが精霊界の深いところにほどPOWの高い精霊がいる理由である。
精霊が地上界に姿をあらわすというのは非常に消耗する行為であり、時間とともにMPを失い、さらにはPOWさえも失ってゆく。呪縛呪付は精霊に肉体のかわりとなる器(場所)を与える。ニンフの依代やゴーストの取り付いた場所なども呪縛呪付の役目を果たしているといえる。
■ 8 名前: なゆた :2001/06/10 03:52:11
>>2 世界定義シリーズ-3:魔力保存の法則
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-3 さん 99年 12月 22日 18時 19分 56秒
■魔力保存の法則「学院のこどもたちへの解説」
POWやMPと呼ばれるものはいったいなんなのか。その本質は存在そのもの、世界そのものだともいえるが、ここではその解明は他に譲り、POWとMPの関係について記す。
POWとMPは本質的には同じ物である。POWは密度の濃い魔力の固体であり、MPは水のような流体であると言える。さらに世界は薄いMPで満たされている。これは空気のようなものであり、便宜上「マナ」と呼ぶ。
POWはMPを内部に蓄積することができる。通常POW1ポイントにつきMP1ポイントを内包する。蓄積したMPが消耗した場合、POWは周囲からマナを吸収し、MPを再生産する。この速度はイェルムの運行に依存し、24時間でちょうどいっぱいになる。また自然再生ではなく人為的にMPを送り込むことで、POWの2倍まではMPを保持できることも確認されている。
POWをMPに変換することは比較的簡単に行える。これを「POW下位変換」と呼ぶ。代表的な例では魔道呪文の≪切開≫があり、これはPOW1ポイントをMP1D6ポイントに変換する。実験で確認されているもっとも高い変換効率はPOW1ポイントあたりMP10ポイントであり、研究者によればこれが限界点とされている。
MPをPOWに変換するというのは一般社会ではタブーとされている。研究者間では「MP上位変換」と呼ぶ。これのもっとも代表的な例は信仰である。神のPOWがどこからもたらされるのか考えてみるがいい。神が単独で獲得している?そんなはずはない。神は信徒の捧げるMPを己のPOWとすることで、その存在を強大たらしめているのだ。
この変換効率は神のPOWと信徒の比率からは1000対1と推定されるが、実験では5000対1で成功した報告があるだけである。
世界の魔力総量は混沌による働き以外では変動しない。これは計測可能であり、我が研究所では常時観測している。POW下位変換とMP上位変換ではどちらのケースでも多量のマナが発生することが確認されている。もしロスのない変換が行われたとするならば、その値は100対1に近似する――
■ 9 名前: なゆた :2001/06/10 03:54:19
>>2 世界定義シリーズ-4 :生殖-その神秘と意味するもの-
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-4 さん 99年 12月 23日 18時 03分 32秒
■生殖――その神秘と意味するもの
「MP上位変換」のもうひとつの代表的な例が生殖である。あらゆる生命はその基本機能としてPOWの再生産を行えるということである。
母体のMP回復量と新規個体のPOWに相関関係がないことは確認されているので、再生産された初期の生物はマナからPOWへの変換を行っているか、もしくは物質からPOWへの変換を行っていることになる(物質とPOWの転化に関しては≪切開≫の講義を参考にすること)。
ただしこれには転生説という反論がある。すなわち死して精霊となったものが再び肉体を得て生まれてくるというものである。確かに転生という現象は確認されるものであるし、これによらねば地界は死者であふれてしまうというのである。
私的な見解を述べれば特定の個体の魂が直接転生するというのは希少なケースであると思われる。個体としての魂がPOWであるならば、通常の出生ではPOWはマナの状態まで分解され、その個性は保持されない。
死者の霊が分解されるというのは社会的に理解を得にくい概念である。ほとんどの宗教は死後の世界を認めており、そして神の信徒としての生を全うしたものに永遠の安息を約束している。
魔力保存の法則が示すのは、転生も永遠の安息もありえないという事実である。物質が常にPOWに転化されつづけたとするならば、世界は最後にはすべて死者の霊となってしまう。
死者は地界へ行く――これは事実である。
だとするならば、地界には死者がマナへと分解される本当の死がまってるということでしかなかろう。
■ 10 名前: なゆた :2001/06/10 03:55:09
>>2 世界定義シリーズ-5:霊魂言論Ⅰ進級課題
神知者なゆたによる世界定義シリーズ-5 さん 99年 12月 25日 01時 31分 59秒
■霊魂言論Ⅰ進級課題
1.個体の記憶はPOWによるものかINTによるものか。魔術的な例を示して推論せよ。
2.1の結果を踏まえ、生物がINTもしくはPOWを失ったばあい、それぞれどういった状況におかれるか論述せよ。
以上
提出期限:聖祝期/第二週/神の日
■ 11 名前: azatoth :2002/03/28 21:20:58
>>10 ある学生の答案用紙
■霊魂言論Ⅰ進級課題
【問1】.個体の記憶はPOWによるものかINTによるものか。魔術的な例を示して推論せよ。
INTによる記憶とは、肉体的感覚に対する物理的記憶を脳が保持するものと定義することができる。
視覚刺激は目という肉体器官を通して認識され、神経を通して伝達される。
これは電気的な信号として感知できるが、脳内をめぐり解析される。
脳内で認知された電気的刺激は過去の刺激のパターン記録(記憶)と照合され、純粋な肉体的衝動としての感情に変換される。
これを意識体が感知することで漸く、POWによる記憶に繋がる。
POWによる記憶とは、祈祷師の幽体離脱などに見ることができるように、肉体という器を離れても記憶を保持することが可能なものである。
しかしこの場合、何によって情報は感知され、何によって記憶の保持はなされるのか。
それは学生の身である私には推論以上のことはできないが、恐らく周囲をPOWや漏れ出るMPの触覚で感知し(映像情報として認識しているつもりでも実際は異なるのではないか)、現状周辺に関する情報だけが意識上に残っていることをPOWの記憶と呼ぶべきなのではないか。
こうした微妙な書き方をしている理由は、おそらくPOWの記憶は時間を超越するものと私が考えているからである。
POWはそのPOWが接触した過去の記憶全てと、未来の記憶全てを有しているのではないか。
そして認知している現状周辺の情報のみが「現状情報」として認知され活性化しており、過去の記憶はさかのぼるほどに緩やかに休眠化していっているのではないだろうか。
よって私はINTによる記憶とPOWによる記憶は全く異なるものなのではないかと推論する。
また、したがって一般的に言う「記憶」とは、INTによるものとPOWによるものが混同して認識された概念といえるのではないか。
【問2】.1の結果を踏まえ、生物がINTもしくはPOWを失ったばあい、それぞれどういった状況におかれるか論述せよ。
INTを失った場合、肉体的思考能力が欠落することになる。
これは通常の人間の場合は、外的刺激の一切を失うことである。
これにより外界を認識できなくなった個体のPOWは、自己消滅(霧散)していくことになるのではないか。
POWは世界への存在を定義するものであるとも言える。
よってPOWを先に失った場合は、世界への錨を失った状態となり、肉体の崩壊が始まるものと推測される。
肉体の崩壊が終了する前に、次なる宿主が現れるか、元の宿主に帰還しない限り、その肉体は崩れ去る。
---記入者名、不明。
*ルーンの本質の嘘
■ 2 名前: なゆた :2001/07/29 13:50:01
昨日のプレイ(RQ1500:第八話)でもそうだったけど、ついつい、「それがルーンだ」とかいってしまうことがある。
グローランサ関連のサイトを見て回っていると、そこでも「実はルーンとは・・・」とか、「ルーンの獲得とは・・・」、「実は神とは・・・」という解説によく出会う。それを自分に照らして恥ずかしくなる。
神知者への警鐘とは、すべてこれを見越したものだ。
ルーンとグローランサについて知ったかぶりをするよりも、世界を描き出し、生活を描き出し、人間を描き出さなくては。
それがルーンクエストだ<知ったかぶりT_T
*グローランサへのアプローチ
■ 3 名前: なゆた :2001/07/27 12:29:41
グローランサを読み解いていくと、ひとつの謎掛けにいきつく。
それは神知者であり、啓発であり、神話であり、歴史であり、ドラゴンである。
「真実とは何か」
これは陳腐な問いだろう。この謎掛けの本当の意味を理解せぬものには。
「ルーンとは何か」
こう問うてもいい。これに「ルーンとは、こういうものだ」と答えるのなら、あなたは謎掛けに辿り着いていない。
わかりやすく問うなら、
「グローランサに魔法はあるのか」
これがよいかもしれない。ここで前の二つの質問に戻り、その意味をはかりなおせばよい。
マスターはこうしたグローランサを描き出したいと思っている。
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*断章
**再演論最終稿
だが私がいままでの事例を見る限り、理解しがたい、そして抗いがたいひとつの真実がある。それは「信じられたことが本当のできごとになった」のではない――「本当のできごとが判明した」にすぎない――ということである。
はたしてこのふたつが本質的に同じことではないかというご批判はあろうかと思う。確かにこれを検証する術はなく、私は反論する結果を持ち合わせていない。しかしこればかりは己の中から溢れ出る言葉を押しとどめることはできない。研究者としてではなく、探索者として。
そう、再演することとは「己の思い通りに」世界を編みなおすことではない。世界は、そして英雄たちは、苦しみ悶えながら、いつか「本当の世界」を生み出そうとしている――まるで、何かに憑かれたかのように――。
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