名声値ルールver2.00|
成長ポイント|
欲求値ルールver2.00|
欲求値ルールver2.50|
絆ルールver1.0|
絆ルールver1.0/コメントログ|
絆ルールver1.5|
週単位活動ルールver2.0|
週単位活動ルールver2サマリ|
週単位活動ルールver3ドラフト/コメントログ|
週単位活動・名声値・欲求値複合サマリ
※この内容はすでに改定されています。また、まだwikiに合わせて編集されていません。
欲求値ルールver1.20
欲求値 ver 1.20
2010/02/06版
欲求値とは
欲求値ルールはゲーム上表記されないキャラクターの行動欲求をプレイヤーに提示するためのルールです。
ロールプレイのためのフックとして使うことができ、プレイヤー内で完結していたキャラクターの葛藤をゲームとして楽しむこともできます。
欲求値ルールは名声値ルールとセットで使用します。欲求値ルールを使用するときは、名声値ルールのストレスについての項目を欲求値ルールと置き換えます。
欲求値ルールは何でないか
欲求値ルールは性格を規定するルールではありません。ペンドラゴンのように、性格ルールの結果によって、キャラクターが特定の行動を強制されることはありません。
欲求値ルールは感情を規定するルールではありません。ファー・ローズ・トゥ・ロードのように、キャラクターが物事をどう感じたかを決め付けられることはありません。
欲求値ルールはキャラクターに行動も感情も強制しません。ただ、キャラクターの自覚とは別の場所で、常に何かに駆り立てられる存在として人間を定義しています。
プレイヤーはキャラクター性を壊すことなく湧き上がった欲求を処理していくことができます。欲求がどうしても処理しきれないならば、キャラクターのアイデンティティーを守るために、不利益を甘んじて受けることを選択できます。
欲求の種類とレベル
このルールでは人間の欲求を8種類に分類します。
もっとも基本的な欲求は「生存」です。生存欲求は一定の水準が保障されないと短期的に死をもたらします。睡眠、呼吸、水、食事の適切な取得、極端な寒暖や身体的苦痛がないことが含まれます。健康な生命活動を維持する以上の欲求はこの段階には含まれません。
生存欲求はキャラクターの喪失によって直接ゲームで記述されるため、欲求値ルールでは扱いません。
直接生死にはかかわらない内発的な欲求を「性」「所属」「独立」「家族」「尊敬」「消費」「成長」の7つに分類します。
欲求に貴賎はありませんが、便宜的に性→所属→独立→家族→尊敬→消費→成長の順で、下位から上位と定義します。「アイデンティティー」に依拠する欲求ほど上位という位置づけです。
性欲求
性欲求は性を持つ生物に基本的に備わっている、異性と交わって子孫を残したいという欲求です。未発達な段階では自分や他者の身体への興味、スキンシップ、特定の匂いへの執着などもこの分類に属します。
所属欲求
人間は群れで行動する生き物です。周りを仲間に囲まれたい、会話をしたい、仲間を守りたいといった欲求がこの分類に属します。
独立欲求
独立欲求は好きなことをしたいとか休みたいという欲求ではありません。支配されたくない、命令されたくないという欲求です。否定の対象には親や他者、社会的束縛だけではなく、自分自身や物理法則さえ含まれることがあります。
家族欲求
家族欲求は性欲求がアイデンティティーに引きずられて肥大したものと見ることができます。よりよい恋人、よりよい子供、自分を理解してくれる自分のコピー、自分があこがれる存在との同一化、そうした欲求をここに分類します。一般に「愛」と呼ばれることが多いでしょう。
尊敬欲求
尊敬欲求は所属欲求がアイデンティティーに引きずられて肥大したものと見ることができます。集団の中での評価されている自分、特別な自分でいたいという欲求です。場合によっては非難されることさえその解消方法となりえますが、標準的なルールでは正方向の評価を基準に扱います。
消費欲求
消費欲求は特に生理的な機能にかかわる必要以上の刺激を求める欲求です。味覚、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、酩酊感、性感、恐怖など、その種類は多様です。肉体的・精神的なエネルギーの堆積を解消するための機能ともいえます。
成長欲求
成長欲求は自分自身に対する高い自己評価を求める欲求です。強い好奇心はこの欲求の表れともいえます。高い技術、強靭な肉体、深遠なる知識、人それぞれあらわれ方は異なりますが、ルーンクエストのキャラクターシートに書かれる能力値や技能であれば、常にその対象となり得ます。
欲求判定表
欲求判定表には各欲求ごとに命中範囲(D20)、自覚度、バイパス、欲求ポイント、抑圧の5項目を書き込むようになっています。各項目の説明をルール中で順次行います。
欲求判定表
欲求 D20 自覚度 バイパス 欲求ポイント 抑圧
性 OOO
所属 OOO
独立 OOO
家族 OOO
尊敬 OOO
消費 OOO
成長 OOO
トータル欲求ポイント
命中範囲(D20)
キャラクターは「性」「所属」「独立」「家族」「尊敬」「消費」「成長」の7つの欲求に、1からはじめてINTまでの数値を身体部位命中表のように割り当てます。これを欲求判定表と呼びます。
例えばINT13のキャラクターであれば、「性:1-3」「所属:4-6」「独立:7-8」「家族:9-10」「尊敬:11」「消費:12」「成長:13」のように記述できます。
どの欲求にどれだけの範囲を割り当てるかはプレイヤーの任意ですが、すべての欲求に必ず数値をひとつは割り当てなくてはなりません。
性欲求は特別です。16歳から20歳までの男性キャラクターは3以上、20歳から29歳までの男性キャラクターは2以上を割り当てます。40歳以上のキャラクターは、男女共に性衝動への割り当てを「長命」に振り替えても構いません。
欲求ポイント
7つの欲求それぞれは、キャラクターが感じる各欲求の増加を表す0から始まる数値を持っています。この値を欲求ポイント(PP: Pathos Point)と呼びます。
欲求値はキャラクターの内側から湧き上がる内発欲求判定と、外的要因によって変動します。内発欲求判定は続けて解説しますが、外的要因による変動は多岐にわたるため欲求値ルールの後半で解説します。
一定以上蓄積した欲求ポイントはキャラクターにストレスを与え、心身の不調を引き起こします。これを「ストレスの発現」と呼びます。
各欲求ポイント5ポイント(切捨て)につき、キャラクターの疲労ポイントの上限は5ポイント低下します。
名声ルールを使用している場合は、貢献ロールの成功率も疲労ポイントの上限と同じだけ低下します。
各欲求ポイントは上限なく加算されます。
内発欲求判定
プレイヤーはD20をロールして作成した欲求表を参照し、出た目に対応したキャラクターの欲求ポイントを1点上昇させます。INTより高い出目は特に欲求ポイントの増加がなかったことを意味します。これが内発欲求判定です。
週単位活動ルールと組み合わせる場合、キャラクターは週の開始時に内発欲求判定を3回行います。同じ欲求に重ねて命中した場合、その分だけその欲求ポイントが増加します。
キャラクター作成時には、各欲求に割り当てた出目の数と同じ欲求ポイントを設定します。例えば4-6の出目が所属欲求に割り当てられていれば所属欲求に3ポイント、7の出目のみが独立欲求に割り当てられているなら独立欲求に1ポイント、のように算出します。
自覚度
自分自身を正しく理解している人間(もしくは自分の性質に納得している人間)はいません。キャラクターは各欲求に対して0から始まる自覚度を持ちます。
欲求ポイントが自覚度に達すると、キャラクターは自分がその欲求ポイントの増加によってストレスを受けていることに気がつきます。
自覚度の設定はプレイヤーの自由ですが、ランダムに決定する場合はそれぞれ1D10-4を2倍し、0以下は0とするのがよいでしょう。
自覚度によるゲーム上の有利不利はありません。自覚度はキャラクター描写のサポートのためのルールです。
自覚度は欲求の抑圧、順応、否認、バーストなどにあわせて、プレイヤーが随時変更してかまいません。
欲求ポイントの転化とバイパス
キャラクターは解消しにくい欲求を無意識に他の欲求の満足でごまかすことがあります。これを欲求の転化と呼びます。
ただしどの欲求でも平等に転化できるわけではありません。キャラクターによって欲求Xを欲求Yとして転化できるけれどその逆はできない、というように、個性があります。
欲求Xを欲求Yに対して転化できるとき、「キャラクターは欲求Xに欲求Yへのバイパスを持っている」と表現します。このとき欲求Xをバイパス元、欲求Yをバイパス先といいます。
作成時のキャラクターはINTと経歴年数を足して5で割った値(切捨て)と同じ個数のバイパスを持ちます。プレイヤーは各欲求にどの欲求へのバイパスを設定するか決めて欲求半定評のバイパス欄に書き込みます。
バイパスをひとつ設定すると、その欲求の自覚度は2点上昇します。二つ設定すれば4点、三つ設定すれば6点というように、バイパスを持つ欲求は自覚しにくくなっていきます。
バイパスは一方通行です。例えば、性から所属へのバイパスを設定しても、所属から性に転化されることはありません。所属から性へのバイパスも設定してはじめて、どちらからも転化されうるようになります。
欲求の転化
キャラクターは1週間に1ポイント、バイパスのある欲求をバイパス先の欲求に転化させることができます。ただしキャラクターが本当に望んでいる欲求ではないため、転化はあまり効率のいいものではありません。
バイパス元の欲求を1ポイント減少させ、バイパス先の欲求を2ポイント上昇させます。
週単位成長ルールと組み合わせる場合、週の開始時の内発欲求判定の前に欲求の転化を行います。
欲求の吸い上げ
キャラクターが欲求ポイントが0の欲求値が減少するような行動をしたとき、プレイヤーはバイパス元の欲求ポイント1点減らし、バイパス先の欲求ポイントを2増やしてからバイパス先の欲求ポイントの減少を処理することができます。
抑圧判定
各欲求ポイントが上昇して5の倍数に達したなら、キャラクターは「抑圧判定」を行います。
キャラクターはその欲求ポイントに対するPOWの抵抗ロールの成功率を計算し、これを技能とみなしてD100をロールし、抑圧ロール結果表に従います。
抑圧ロール結果表
決定的成功 順応
効果的成功 このバージョンでは保留
成功 抑圧
失敗 欲求値5ポイントにつき疲労上限-5
ファンブル 順応/欲求のバースト
抑圧判定に成功すると、その欲求は「抑圧状態」になります。抑圧状態は、次にその欲求ポイントが上昇すると解除されます。
抑圧判定に失敗するとストレスが発現します。キャラクターはその欲求値5ポイント(切捨て)につき、疲労ポイントの上限が5ポイント低下します。複数の欲求値でストレスが発現している場合、上限の低下は累積されます。
名声ルールを用いる場合は名声ルールの成功率も疲労ポイントの上限と同じだけ低下します。
決定的成功とファンブルでは欲求の「順応」が起こります。ファンブルでは、順応に加え、欲求のバーストも発生します。
順応
あまりにも解消されない状態の長い欲求にキャラクターは順応してしまうことがあります。
抑圧ロールで決定的成功を出したなら、プレイヤーは欲求判定表をロールします。他の欲求に命中しなかったり、抑圧した欲求に命中した場合はひとつ上の欲求に命中したものとして扱います。欲求判定表の抑圧した欲求に割り当てた出目をひとつ減らし、命中した欲求に割り当てる出目を一つ増やします。
抑圧した欲求の出目がひとつ分しかなかった場合、欲求判定表の出目の割り当ての変化は起こりません。その代わり、その欲求は「否認」状態になってしまいます。
否認
キャラクターは否認した欲求に基づいた行動を行いたい自分を否定し、対象の欲求を低下させる貢献ロールが行えなくなります。キャラクターの行動として行うのはかまいませんが、結果は必ず失敗します。
否認状態の欲求は抑圧ロールを行いません。否認状態の欲求は疲労ポイントの上限値の低下を引き起こさなくなります。否認状態の欲求をバイパス先とするバイパスはすべてなくなります。
否認していても、内発欲求判定やそのほかの欲求を上昇させる効果はすべて欲求ポイントに加算し続けます。逆に、欲求を引き下げる効果はすべて無視します。
否認状態は他の欲求でバーストが発生すると解消されます。
欲求のバースト
欲求のバーストは、置かれた環境に順応しようとして起こる、キャラクターメンタリティーの大地震です。溢れた欲求ポイントは行き場を求めて暴れ、心の中でバイパスをつくり、エネルギーを消費しようとします。
欲求のバーストが起こったら、キャラクターはPOWを1ポイント消費します。欲求のバーストはPOWの経験ロールの対象です。
プレイヤーは順応と同じ手順を踏みます。抑圧判定にファンブルした欲求をバイパス元、命中した欲求をバイパス先としてバイパスが生成されます。元からバイパスが存在した場合、1度にバイパスできる量が1ポイント増加します。
偏執欲求ルールを採用している場合は、バイパス元に命中したときに、バイパス元の欲求をベースとする偏執欲求が生成されます。
バーストした欲求ポイントは0になります。
外発要因による欲求の増減
欲求ポイントは内発判定よりも、外的な刺激によって大きく増減します。代表的な要因は下記の通りです。
所属集団
所属集団への貢献ロールを行うと成功失敗にかかわらず所属欲求が1ポイント低下します。
所属集団の名声値が1ポイント上がると、尊敬欲求が1ポイント低下します。名声値が1ポイント下がると、尊敬欲求が1ポイント上昇します。
所属集団の反感値が1ポイント上がると、所属欲求も1ポイント上昇します。反感値が1ポイント下がると、所属欲求も1ポイント低下します。
所属集団の見知ったメンバーが殺されたときは所属欲求が1ポイント上昇します。また、懇意にしているメンバーが殺されたときは所属欲求が1D6ポイント上昇します。
家族
〈家族〉もしくは〈恋人〉への名声値が1ポイント上がると家族欲求は1ポイント低下します。名声値が1ポイント低下すると家族欲求は1ポイント上昇します。
反感値が1ポイント上昇すると家族欲求は1ポイント上昇します。反感値が1ポイント下がると家族欲求も1ポイント低下します。
性交
性交すると1ポイント+相手が〈娼妓〉もしくはAPP×5の技能ロールに成功すればその成功度分、性欲求が低下します。
相手がいれば、1週間に1回までは時間コストなしに判定を行うことができます。週に2回以上判定を行うには、追加の1回ごとに貢献ロールを1回充当しなければなりません。
なお1回の判定は1回の性交ではなく、「キャラクターが満足する質・量」を表します。
飲酒・飽食・賭博・娯楽
生活費とは別に、平均的な1週間の収入を形の残らないものに浪費すると、消費欲求が1ポイント低下します。
所有
単品で1週間の収入を上回る商品を入手すると、購入価格を1週間の収入で割った値(切捨て)と同じポイントの消費欲求を低下させることを選択できます。ただしこの商品を喪失したり売ったりすれば、その時点で同じ物品を手に入れるための価格÷その時点の1週間の収入(切捨て)と同じポイントだけ消費欲求が上昇します。
通常の手段では入手しがたいもの、キャラクターの技能や能力値、名声値などに影響のある物品は、消費欲求ではなく成長欲求や尊敬欲求を解消します。その物品が何を解消するかはマスターが決定します。キャラクターがその物品を所有することによって欲求を解消することを選択した場合、それを失ったときは対応する欲求が上昇します。
自由時間
貢献ロールを1回分消費することで、独立欲求が1ポイント下がります。週に4回以上の貢献ロールを行うと、追加の1回につき1ポイント上昇します。
訓練・研究
訓練もしくは研究によって技能が向上したときに、費やした1週間につき成長欲求が1ポイント低下します。それに加え、100%以上の知識分野技能は上昇した技能ポイントと同じ成長欲求ポイントが低下します。
成長欲求がない状態で訓練・研究を行ったキャラクターは、1週間につき独立欲求が1ポイント上昇します。
経験
経験ロールに成功して技能に加算する1D6の出目が1の場合、成長欲求が1ポイント下がります。(すべての経験ロールでストレスが低下するとバランスが崩れるため、純粋にゲーム的な仕組みとして設定しています。出目が1なのも、がっかりしたプレイヤーへの配慮です)
100%以上の技能は1ポイントではなく、上昇した技能ポイントと同じ成長欲求ポイントが低下します。
能力値の損失
能力値を1ポイント失うと成長欲求が5ポイント上昇します。自分のPOWを使用した呪付物、能力値を付与した使い魔などは、術者が所有している間は欲求値の上昇は抑えられます。また、一度失った後にそれらを取り戻したときは、成長欲求が解消します。
対決
利害の対立する相手に対して勝利を収めると任意の欲求ポイントが成功度の差+1点低下します。勝利する確率が20%以下であればさらに1点低下します。敗北すると尊敬欲求が成功度の差+1点上昇します。敗北する確率が20%以下であればさらに1点上昇します。
直接的危機
生命に直接危険の及ぶ状況に直面すると性欲求が1点上昇します。状況を切り抜けると任意の欲求ポイントが2点低下します。
身体へのダメージ
部位HP未満のダメージを受けると2ポイント、部位HPがゼロになると4ポイント、部位HPの2倍以上のダメージを受けると8ポイント、性欲求が上昇します。
身体的・精神的衝撃により予測せずに意識を失うと、性欲求が1D4ポイント低下します。
殺傷
戦闘で敵を傷つけたなら、任意の欲求値が1ポイント低下します。
人間の男性は、人間の男性に止めを刺したなら1D4ポイント任意のストレスが低下し、人間の女性に止めを刺したなら1D6ポイント尊敬欲求が上昇します。
人間の女性は人間に止めを刺すと家族欲求が1D6ポイント上昇します。
この他、社会制度や身分、キャラクターの性格、置かれた状況などが欲求ポイントへの影響を与えることがあります。
これについては都度マスターが定めます。
戦闘における外発要因の累積
命をかけた戦闘は、短時間にもかかわらず欲求値の増減が激しいできごとです。
1度の戦闘で直接的危機、対決、身体へのダメージ、殺傷すべてが適用されますが、一回の戦闘では欲求値は最大でも10ポイントまでしか増減しません。
戦闘をどこで一区切りとするかはマスターが定めます。
偏執欲求
キャラクターが強烈な決意や病的なこだわりを持っている場合、マスターの了解の元に、20の出目を9つ目の欲求、「偏執欲求」として追加することができます。
偏執欲求は他の欲求に含まれるものでも構いません。その欲求の中でも特にキャラクターがこだわる「狭い」範囲を設定し、マスターと協議して独自の解消方法を設定することができます。
よくある事例では復讐、ストーキング、アルコール中毒、麻薬中毒、SM、快楽殺人、破滅願望、不死願望、狂信的排他主義、ナルシズム、度を越えた趣味といったものになります。
これらは基本的な8つの欲求に含まれるものですが、一般的な方向性から大きく外れたものをひとつだけ切り出すことが、キャラクターの演出を強力にサポートしてくれるでしょう。
偏執欲求は最上位の欲求として扱います。偏執欲求へのバーストが発生した場合、偏執欲求は出目19、18と範囲を広げていきます。
偏執欲求の解消は必ずベースとなる欲求の解消よりも「一般的には困難」なものになります。ただしキャラクターの生活環境において解消しやすいものかもしれません。
偏執欲求は「任意の欲求が低下する」と記述された要因の対象にならず、マスターとの間で定めた手段でしか解消できません。バーストが発生して他の欲求へのバイパスができれば、転化することは可能です。
理性の侵食
キャラクターのINT以上がすべて偏執欲求で満たされた後、偏執欲求への順応が発生することで偏執欲求はキャラクターのINTを高い出目から侵食していきます。
この状態になったキャラクターは、偏執欲求に関わらない物事に対して侵食された残りのINTで判断するようになります。例えINT18の人間であっても、INT8から18までが殺人欲求に浸食されていれば、殺人に直接影響のない物事にはINT7であるかのように対応してしまいます。
複数の偏執欲求
マスターが認めればキャラクターは複数の偏執欲求を持つことも可能です。
名声値の対象の喪失による一時偏執欲求
5ポイント以上割り振った名声値の対象を喪失した場合、キャラクターは自己の一部を喪失したような衝撃を受けます。
この衝撃はキャラクターが、対象を喪失した名声値を欲求値に転化し続ける一時的な偏執欲求を獲得することで表現されます。
名声値の対象を喪失したとキャラクターが認識した時点で、キャラクターは対象の名声値を成功率としてD100をロールします。
結果が成功であれば、名声値を5ポイント低下させ、その名声値と対応する欲求値が5ポイント上昇します。このとき、キャラクターは【偏執欲求(名声)】として欲求判定表の出目20を割り当てます。すでに他の偏執欲求を持っているときは、その下に続く出目ひとつを割り当てます。
以降、欲求判定表で【偏執欲求(名声)】に命中すると、名声値が1ポイント低下し、対応する欲求値が1ポイント上昇するようになります。これは名声値が残り5ポイントになるまで続きます。最後の5ポイントは一度に欲求に転化され、同時に名声値の対象の損失による一時的な偏執欲求は解消します。
結果が効果的成功であれば、最初の名声値の低下は10ポイント、欲求値の上昇も10ポイント。出目の割り当ては20と19になります。
結果が決定的成功であれば、最初の名声値の低下は15ポイント、欲求値の上昇も15ポイント。出目の割り当ては20から18です。
すでに他の偏執欲求を持っているときは、その下に続く出目を割り当てます。
喪失時のロールに失敗した場合は、次に眠ったときか、欲求値の変動があったときに再ロールを行います。ファンブルした場合は次に内発欲求判定で対応する欲求値の変動があったときに再ロールを行います。
4ポイント以下の名声値は判定なしに、すべてその場で欲求値に転化します。
なにをもって「名声値の対象を喪失した」とするかはプレイヤーとマスターの協議によりますが、最終的にはマスターが決定します。
マスターが認めれば、キャラクターは対象を喪失した名声値を欲求値ルールに従って上昇させ、それによって対応する欲求値を解消することもできます。しかしその名声値から欲求値の解消以外の利益を引き出すことはできないでしょう。
また、プレイヤーの希望をマスターが承認すれば、名声値の転化で生成される欲求値とその解消方法を特別なものに設定することも出来ます。解消方法については偏執欲求の項に準じます。
欲求値を運用するときの注意
欲求値は瞬間的な衝動やキャラクターの思想に影響されるものではありません。例えば性欲求を自慰によって解消することはできません。自慰によって解消されるのは性欲求から生成される性衝動です。その場しのぎにはなりますが、本質的な解決には繋がりません。性欲求を解消するのは他人とのスキンシップと受容です。
所属欲求を例に挙げれば、それまで所属していた集団へのアクセスが失われたときに、キャラクターはキャラクターを受け入れてくれる別集団に所属することによって所属欲求を解消することができます。ただしキャラクターが別集団に属して欲求の解消を行うかどうかは、自覚の有無を含めてプレイヤーに一任されています。
成長欲求を低い技能の訓練や研究で解消することも可能でしょう。しかしそこには自己満足はあっても、アカデミックな喜びとはいえません。
どの欲求値に関しても、キャラクターが自覚の有無も含めて何に悩み、どういう行動を選択するかはプレイヤーにまかされています。
欲求値ルールは欲求の解消を目的とするのではなく、葛藤の演出を目的としたときに最大限の効果を発揮します。
欲求の増減要因のガイドライン
所属 言語が30%以上の3人以上の集団。
尊敬 所属集団内で分業
後執筆中。
デザインノート
いつも一生懸命なプレイヤーキャラクターと、プレイヤーがキャラクターに投影する余所行きの世界観。その呪縛から逃れるために、キャラクターの日常の心境の変化を、意外性とゲーム性を保ちながら生き生きと描きたい。欲求値ルールはそんなことを考えながら、半年かけて設計しました。
ペンドラゴンの「キャラクターは性格に従って行動する」というシステムは、いかに出目に従った行動を演出するかという点で面白いのですが、そこにキャラクターの葛藤はなく、自分の遊びたいTRPGとは違うものです。
性格や意思とは無関係に、生物として、存在として湧き上がる欲求をキャラクターがどう葛藤し、どう捌くのか。このルールはそれをドラマティックに表現することに重点を置いています。
「週単位成長ルール」によって長期的な時間経過の中でのキャラクターの生活を表現できるようになったこと、「名声値ルール」によって社会集団との関係の変動を表現できるようになったこと、欲求値ルールはその土壌の上に生まれました。
残念ながら「キャラクターが気持ちいい」をプレイヤーに実感させることは困難で、報酬系を組み込むのに罰の形を取らざるを得ませんでしたが、それ以外の点ではおおむね満足しています。また、運用する中ではプレイヤーから「意外と強制感より解消したときの開放感(=気持ちいい)がある」と言ってもらえましたので、表現したいことの多くは表現できたのかなと安心しています。
いくつか書いておかないとこの点の考慮が足りないといわれることがありそうなので、ここで補足しておきます。
欲求の種類:欲求は物語上で役割の強いものに名前を与える形で恣意的に区分けしています。社会レベルによって欲求の構成も異なるはずですが、基本的には生存欲求(=通常のルールの範囲内)で表現できるので除外しています。
内発欲求判定:指定された割り当てにINTが足りない場合はより上位の欲求から消えていきます。例えば赤ん坊は生存欲求のみから始まって、性欲求、所属欲求とINTの成長に従って獲得していきます。同様に、老化によってINTを失えば、上位の欲求から順に消えていきます。
刺激への順応:これは将来的に導入するかもしれませんが、ルールの煩雑化を避けるために外しています。
欲求がないと行動できない:これもゲームユニットとしてのキャラクターが行動できない状態になるのを避けるためにあえて設定していません。
欲求の増減が男性視点:なるべく客観的なもののみ残すようにしましたが、デザイナーは性淘汰の視点から、男女の精神構造は明確に違うと判断しているので、あえて強調している面もあります。異なる視点での欲求値の指針があれば、ぜひ学びたいところです。
人間専用:人間外の種族に欲求値ルールを適用することもできますが、その場合は欲求の区分と解消方法を独自に設定する必要があります。例えばトロウルであれば1次欲求の「食欲」だけでなく、2次欲求に「喰らう」が入るのかもしれません。