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蒼き記憶

トロウルの虫飼いトルゴとアーガンアーガの信徒ルースの不思議な旅

ウォールド編

■ 3 名前: なゆた :2001/06/25 01:29:42

■2000/03/04(土) in なゆた宅
【なゆた 】マスター
【ZUKA  】ウォールド/20♂・フマクト(迷い込んだ洞窟で英霊より剣を託される)
【むらー 】ルース  /28♂・アーガンアーガー(トルゴの通訳)
【Azatoth】トルゴ  /57♂・カイガーリートール(茸探しのクエスト中のウズ)

3人(トルゴはトロールですが)は、いつからか、洞窟の中にいた。襲いかかる昆虫との戦闘と、移動を繰り返すだけの日々が、もうどのくらい続いているだろうか。十分な睡眠もとれないまま長大な洞窟をさ迷いつづけているためか、意識もはっきりしない。先ほども目の無いイモリを退けたばかりだが、またこの洞窟でよく出くわす体長1mほどのカマドウマが襲いかかってきた。

どれくらいの時間がたったのだろう・・・ふいに巨大な空間に出ると、海岸のような砂地の中に、大きな地下湖があった。湖には一隻の大きなボートが漂っており、いくども目の前を横切ってゆく。どうやら湖には右回りの流れがあるようだ。出口に至る糸口を求めてボートに乗り込むと、速い渦に巻き込まれるが、中心部に流れはなく、一行の前に島があらわれた。

島は、中央に8m四方の塩の塊があるだけで、他になにも無かった。巨大な扉らしき部分を引き空けると、床に広がる水の中から2匹の巨魚の精霊が漂い出て来て、上空に泳ぎ上がった。そして、水が渦巻くと、身長4mはあろうかという魚の頭を持つ男が現れた。トルゴの意思疎通を試みは失敗に終わり、三叉矛の一撃を受けてその場に崩れ落ちた。

ウォールドとルースはなす術もなく物陰に潜むしかなかった。魚人がそのまま湖に踏み込むと、島を取り囲む流れが速くなり、ついには巨大な海蛇がその姿をあらわした。魚人と海蛇は互いに惹かれあうように争いはじめた。

隙を見て塩の塊の中に踏み込むと、そこにあったはずの水はなく、さまざまなルーンに彩られた魔方陣が残されていた。魔方陣の一部、「塩」をあらわすと思われるルーンの中には、まるで穴でもあいているかのように水が残っている。
ウォールドはそこに外の闘いをミニチュアとして映し出したかのような影を見出し、剣を突き立てるが、狙いが定まらない。意を決して手を突っ込んで小さな二つの影をつかんだその瞬間、ウォールドは全身を痙攣させて昏倒した。《第二の目》を唱えたルースが見たものは、ウォールドの右腕から中心部へと絡みあうように消えてゆく二つの魔力だった。

いつのまにかまわりにあった砂と水は掻き消え、巨大な洞窟のホールに崩れかけた塩の塊が残された。
息を吹き返したトルゴは、己が神の慈悲にて生き長らえたことを感じ、祈った。
ウォールドも命に別状はなく、出口に至る道で無かったことに失望しながら、一行はふたたび歩き始める・・・

闇の村編

■ 4 名前: なゆた :2001/06/24 20:14:57

■2000/03/18(土) in azatoth宅 ~ 記録者:azatoth
【なゆた 】マスター
【むらー 】ルース  /28♂・アーガンアーガー(トルゴの通訳)
【Azatoth】トルゴ  /57♂・カイガーリートール(茸探しのクエスト中のウズ)

プロローグ
夜の山、人の通らぬ獣道を進む二人。
「なあルース、ちかごろ、この長い旅路には、何か、とても大切な意味があるのではないかと思い始めているのだ」
「・・・はあ」
ふと木々の合間にかすかな灯りが現れる――良く見ればそれは小屋であり、その直前まで小道が続いているようだ。
小屋を覗くが、明かりはついているが人気はない。中には毛布とランプ、そして僅かな血痕だけが残されていた。
小屋を出たふたりがふと振り向くと、小道の先から、白い寝間着を着た少女が、こちらをじっと見つめていた。
声をかけるまもなく走り去る少女――驚かせてしまっただろうか。
ふたりは人里へ続くであろう小道を避けて、再び山中に分け入った。

木々を踏み分け斜面を登る途中、ふたりは高い塔を見出した。調べてみるべきだろうか?
塔は砦の中央に立っているものであり、使われていないのか灯り一つ見えない。水の干上がった堀をたどって一巡りしても、正面の跳ね橋以外に入れそうなところもない。そして、砦の眼下には20軒ほどの集落が拡がっていた。しかし様子がおかしい。夜だというのに明りひとつついていない。それでいて、人が行き来している気配がある。
「誰かくる」
堀の影に身を潜めていると、やはり明りを灯さず、村から二人の人影が登って来た。ひとりが砦門の前で不思議な言葉を呟くと跳ね橋が下がり、渡り終わると再び巻き上げられる。
「聞こえたか?何だいまの言葉は」
「・・・闇語と西方語が混ざったような、そんな感じですね」

まだ鳥も鳴きださぬ明け方、門からでてきたのはひとりだけだった。ふらふらと夢遊病のように歩く村人に意識はなく、襟首をつかんで引き止めるが意に介す様子もない。
人が出てくるが意識が無いのか目を閉じたままふらふらと村へ戻って行った。ルースは門を開くときに二人が呟いていた不思議な言葉を真似て発してみるが、門は開かない。

 トルゴはあきらめ、しばらく寝ると言って山中に分け入っていくが、ルースは村に行って様子をさぐることにする。しかし村に近づいた所で、村の者達に囲まれ、捕らえられてしまう。村人達の中には老人も子供もいなかったが、彼らはルースが外から来たということに驚いている様子であった。村人はしばらく尋問を行うが、夕方になると何かにせかされるようにルースを小屋に置いて出て行ってしまう。

 村人達は日が沈むと、闇語と西方語が混ざったような言葉で歌を歌い始める。その歌の中からルースは「結界の中」という言葉と「闇の王」という言葉を聞き取ることができたが、全体的に意味を把握することはできなかった。
 トルゴは、夜がふけると村人達は家に入って出てこなくなったため、夜闇に乗じて村に入り込み、ルースを開放した。

 二人は再び砦に侵入するチャンスをうかがう。しばらくすると、村人達は砦に集結し、砦から出てくる昨夜一人砦に残った村人が出てくるのを迎え入れる。再び扉が閉まると見た二人は一気に門を目指し、神業的なジャンプで砦の中に侵入するのに成功する。

 城門の内側にある砦の扉は比較的新しく、上中下三段のレリーフが刻まれていた。上段は出産と黒い太陽を背負い首輪をした王の図、中断は冠と花、下段は人間の女性の首を切り腹を裂く図が示されていた。戸惑う二人の後方の城門が再び開き始める気配があり、二人は裏手へ走り、扉を破壊して中に入ろうとするが、ぎりぎりの所で村人達に捕まり、彼らと戦いながら砦へ逃げ込むことに成功する。

 中は、食堂らしき場所にミイラ化した子供達の死体が山積みされていた他は人がいた気配すらなかった。いくつかの祭壇らしき場所は元は大地のルーンがあったと見て取れるが、祭壇も撤去されており、信仰の様子も見られない状態だった。
 そして二階の中央部から塔への上り階段を進むと二人の前に中年の西方風の装束を纏った男性が現われ、「主人への目通りを望むなら、お引き合わせをいたしますが、その物騒なものはその場に置いてからお越しください。」と感情が一切感じられない言葉で語りかけてくる。トルゴは「主人とは何者か」、「そなたはその主人の代理人なのか」等の問いを行うが、全く回答に成らない答えしかしない男に腹を立て、「コレ(トロールモール)は我が力の証。置いて行くことなどできぬ。」と言って階段を上ろうとするが、それに対して男はどこからか突如剣を取りだして一気に切りかかってくる。トルゴはその攻撃をかわし切れずに、足に大きなダメージを受け、膝をついてしまう。(剣は再び闇の中に消える)
 男は手当てを行うトルゴを見下しながら、「武器を置けば、主人に会うことはできます。望むのであれば、永久の国で生きることもできましょう。」と言い残して、背後に現われた闇の中に消えていく。

 残された二人は気力と体力の回復を待ち、村に下りようとするが、砦の中から見た周囲の風景は、まるでその砦自体が地下空洞の中にあるかのような風景であった。(かつて見た風景が頭をよぎる。あれは、いつ?どこのことだ?記憶は曖昧で何もかもが霧の中にあるようだ)
 しかし、城門を出ると元の風景が眼下に広がっていた。ここを去ろうと歩き出す二人は、道ループしていて、左に向かっていたつもりが、やがて砦の右に現われてしまうということに気付く…。


~蒼き記憶~


--マーゴが盾を得、砦の上部へと急ぐ途中、ルースにも来るべき変化は訪れた。

なぜいままで思い出さなかったのか。

……少年の日、虹色の瞳をした占い師
あれから、すべてが始まったのだろう--。


「これが気に入ったの?」

母を訪ねてきた美しい占い師は、不思議な虹の瞳でルースを見ていた。
「うん!」
ぱらぱらと彼女の手の中で踊るカードはまるで意思をもっているかのように、跳ね、踊り、そして、消えては現れた。

「占ってみる?」
トッ、と軽い音を立てて古い木のテーブルにおかれたカードは、まるで一塊の箱と見まごうばかりに整えられている。

自然と一番上のカードをめくったルースは口を尖らせながら「何も書いてないよ?」と、カードを差し出して占い師を見返した。


ああ、そうだ。あのときの彼女の顔。

あのときは自分が悪いことでもしたのかと思ったけれど、あれは、驚きと、それから悲しみと、それに、安堵?

--すぐに彼女は微笑んだけれど、確かに彼女は何かを隠したのだ。


「ごめんなさい。変なカードがまざってたみたいね」

彼女はルースの手からゆっくりと青地に薄い円の浮き出たカードをつまみあげると、しばらくじっとルースを見ていた。

「これ、あげるわ」
彼女は机に置かれたカードの山を、左手でそのままルースへ滑らせた。
「え、ほんとう!?」
思いかけない幸運に、占い師の表情も忘れ、ルースは目を輝かせた。

「ええ、これ・・・以外はね。
 きっと、才能があると思うわよ」

彼女はルースの引いたカードを右手の2本の指ではさむとルースの額にあてながら、話し・・・いや、言葉を、紡ぎはじめた。

「カードの神様に祈って御覧なさい。
 頭をからっぽにして、手にとったカードの重さだけを感じればいいの。
 目をつぶって・・・そう、こう言うの・・・
 『我が魂、歩み出でて、惹かるるままに、汝が御許へ
  肉の重きも、霊の嘆きも、刻の無慈悲も
  すべて我が枷にあらず
  ただ、すべては在るがままに汝のもとに有り』」


--あれからどうしたろう?

私は言葉を繰り返したのだろうか?
彼女は旅立った・・・ような気はする。


階段を駆け上がるマーゴの背を見ながら、ルースはの前にまたひとつの風景が現れた。

巨大な盾持つ亜麻色の髪の女剣士。

神盾「淵輪」--忌まわしき悪魔に陵辱されんとした女神が、己の子宮を掴み出して盾と成したという--
恋人でもあった彼女とともにこの地に迷い込んだとき、ルース達は地の底からその盾を持ち帰った。

村人に神と崇められ、その生き血を啜りながら生きる魔導士リーファス。

砦の最上階で我らは戦い、
そして彼女は、蠢く触手に胸を貫き通されたルースを助けようとして、死んだ。
背を見せぬものをけして見捨てることはないという「淵輪」も、ルースにかけよる彼女の背中を切り裂く刃を止めることはなかった。


無数の記憶が、ルースの中を駆け巡ってゆく。

混沌を滅する槍を持ち、ついに魔導士を打ち倒す瞬間、己を喰らおうとする槍を捨て、その身を切り裂かれたトロウルの戦士。

混沌を払う薬草の秘を、死に際に言い残した老トロウル。

そして、彼らの友であり、僕であり、長であり、恋人でもあった
己の姿--


幾たびもの旅路、自分を導いてきたランタン、そう、幼き日に引いた蒼きカードは、あのときすでにルースに託されていたのだ。


~了~


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