名声値ルールver2.00
2012/07/20版キャラクターと社会生活
名声値ルールはキャラクターが社会の中でどのような位置にいるのかを表現します。キャラクターがどのような集団に属するのか、その集団にどのぐらい役に立つのか、実際にどの程度貢献しているのか、どれぐらい集団から利益を引き出せるのかをルールとして定めます。
一般的なキャラクターは、3つの社会集団に対して、それぞれ次の3つの数値を管理することになります。
貢献技能セット成功率 | キャラクターがその集団に貢献しうる能力です。集団が認める5つの技能成功率から算出します。 |
名声値 | キャラクターがその集団に貢献してきた実績です。 |
反感値 | キャラクターがその集団で敵視されている指標です。 |
週単位で各集団に対して貢献技能セット成功率でロールを行い、その結果を名声値に加算していくのが基本的な流れとなります。
おおまかな流れ
名声値ルールのおおまかな流れは下記のようになります。- 毎週3つの集団に貢献技能セット成功率でロール。
- 成功した分その集団の名声値が上昇。
- ひとつは必ず職業集団で、その名声値の上下で生活レベルが決まる。
- 生活費として、職業集団の名声値を支払う。
- 実力にもよるが、職業集団での名声値はおおむね1年に10ポイント程度上昇する。
- 各集団での名声値が30/50/70/90に達すると、その集団内での地位が上がる。
- 名声値を用いて集団を動かしたり物資を調達することが出来る。
社会集団の選択
蛮族社会であれば、キャラクターは「氏族」「カルト」「血族」の3つに所属するのが一般的です。週単位活動シートの「所属」欄に、集団の名称を記入します。
君主社会であれば「国家」「教会」「家族」となるかもしれません。国家という広い形態よりも、地域や都市などもう少し狭い単位かもしれません。
遊牧社会や未開社会では「氏族」と「カルト」が一本化されていたり、「氏族」と「血族」に区別がないこともあり得ます。
集団の意思決定プロセスが異なるかどうかで社会集団が分化しているかどうかを判断して下さい。
主たる社会集団
キャラクターは生活をするうえで基盤となる社会集団を一つ決めます。「氏族」「国家」など、キャラクターの生活する地域の経済活動で最も多きな集団であることが普通です。経済的な判定はこの集団の名声値を元に行われます。主たる社会集団を職業集団、職業集団に対する名声値を職業名声値とも呼びます。職業名声値には「XX氏族(農夫)」のように記載するのがわかりやすいでしょう。
貢献技能セット成功率の算出
キャラクターは集団それぞれに対して、貢献するための技能を5つ選択します。5つの貢献技能の組み合わせを「貢献技能セット」と呼びます。どの技能が集団から評価されるかはプレイヤーの申請を元にマスターが決定します。
主たる社会集団に対してはキャラクターが生業で使用する技能、カルトに対してはカルト技能を用いるのが一般的です。
貢献技能の成功率5%につき、1%を貢献技能成功率に加算することができます。
貢献技能セットにはひとつの集団につきひとつだけ、能力値を含めてもかまいません。
その場合、能力値の値をそのまま貢献技能成功率に加算します。
業務技能セットにはどの程度クライアントに信用されているか、如何にロスなく仕事と利益を結びつけるかといった、環境を作る能力も含まれています。
INT、<会話(自国語)>、<人間知識>、<鑑定>といった能力は常に有効に働きます。
業務技能セットの成功率が30%に満たないキャラクターは自立して暮らすのが難しいでしょう。
ペルシカサーガ
ペルシカはうんたら
貢献と名声
貢献技能セット成功率と名声値の目安
それぞれの値がどういった意味を持つか、下記の表を参考にして下さい。値 | 貢献技能セット成功率 | 名声値 |
---|---|---|
30 | 最低限 | メンバーに話は聞いてもらえる。集団の益になることであれば、メンバーが個人的に動いてくれることがある。 |
50 | 標準的 | 正式な決定機関に意見を上げること、評価を受けることができる。集団の益になることであれば、集団として動いてくれることもある。 |
70 | 優秀 | 決定機関と問題を論じることができる。集団に不利益になることでも動かせる可能性がある。 |
90 | 卓抜 | 決定機関の一員。自分の責任をかけて集団を動かすことができる。 |
貢献判定
貢献判定は集団内で時間を使って益になる活動をすることを意味します。貢献技能セット成功率を技能成功率とみなし、週に1回ロールして、貢献判定表の効果を適用します。
貢献判定表
ロール結果 | 効果 |
---|---|
決定的成功 | 名声値+3 |
効果的成功 | 名声値+2 |
成功 | 名声値+1 |
失敗 | |
ファンブル | 反感値+1D6 |
名声判定
名声判定は集団から標準的に受けられる以上のサービスを引き出そうとする試みです。判定を行うには名声値を1点消費する必要があります。判定は消費する前の名声値で行います。
名声値を技能成功率とみなし、名声判定表をロールします。名声値に影響力加算を加え、影響力表の結果を適用します。
キャラクターがその社会集団の反感値を持っている場合、名声判定の成功率からは反感値を差し引かなくてはなりません。
名声判定表
ロール結果 | 影響力加算 |
---|---|
決定的成功 | +60 |
効果的成功 | +40 |
成功 | +20 |
失敗 | +0 |
ファンブル | 反感値+1D6 |
影響力 | 名声値 |
---|---|
50-69 | 集団の益になることであれば、メンバーが個人的に動いてくれる。規模は別掲 |
70-89 | 集団の益になることであれば、集団として動いてくれる。規模は別掲 |
90- | 集団に不利益になることでも動かせる可能性がある。規模は別掲 |
反感の解消
反感は押さえつけたり、集団内で貢献することでは決して解消しません。反感を解消する手段は「保証」「譲渡」「排斥」の3つです。保証、譲渡、排斥のロールは1回の貢献ロールの代わりに行ないます。- 保証
- 第三者(集団)からの評価によって集団内の地位を安定させます。例えば<名声(村落)>に<名声(カルト)>を通して働きかけて、身分を保証させるなどです。緊密に関連した集団同士であれば、<名声(集団A)>でロールし、成功で1ポイント、効果的成功で2ポイント、決定的成功で3ポイント、反感値が低下します。ファンブルすると、反感値が1D6上昇してしまいます。集団の関係が緊密なものでなければ、保証ロールにペナルティーを受けます。
- 譲渡
- 集団内で名声を人に譲ることで反感値を下げます。10ポイントの名声値を減らして2D6ポイントの反感値を減らすことができます。譲渡にロールは必要ありません。
- 排斥
- 不満を持つ相手を集団から阻害することで有効な反感値を下げます。排斥は失敗すれば名声値を下げ、成功しても集団外に敵を作る危険な方法です。排斥を行なうには名声値でロールします。このロールに反感値のペナルティーはありません。成功なら1D6、効果的成功なら2D6、決定的成功なら3D6、反感値を低下させます。失敗なら1D6、ファンブルなら3D6、名声値が低下します。これによって低下した反感値は集団外からの敵意として<排斥(集団) 低下した反感値>のようにキャラクターシートに記録します。加えて、マスターが減少する前の反感値を成功率としてD100を行ないます。成功なら1D6、効果的成功なら2D6、決定的成功なら3D6、再度反感値が上昇してしまいます。
ここに上げた反感値の解消方法はかなり荒っぽいものです。特に排斥は本来であれば十分ロールプレイするに値します。マスターが望むなら、このルールを使用せず、具体的な行動に基づいて増減させるべきです。
主たる社会集団とキャラクターの生活レベル
すべての物に貨幣価値をつけられるのは非常に近代的な社会です。貨幣経済が未発達な状態では経済状況は所有する物資よりも人間関係に依存します(*1)。その近代的な社会でさえ、日常的に人間関係を金銭化しているものです(土下座して金を借りる、コネで就職する、等)。名声値はキャラクターが動かせる社会資産をすべて数値化した値です。
主たる社会集団内での名声値によって、キャラクターの日常的な生活レベルが決まります。
キャラクターの収入は貢献技能ではなく名声値で決まり、名声値を保つには社会的に要請される支出があります。この収支を現金化すると面倒なので、すべて主たる社会集団の名声値として処理します。キャラクターは定められた期間ごとに名声値を消費する必要があり、結果的に生活を維持するには主たる社会集団の名声値を上昇させる必要が出てきます。これを「名声ノルマ」と呼びます。
名声ノルマはキャラクターの名声値により変化します。
前回支払後の名声値 | ノルマ | 現代日本的指標 |
0-29 | ノルマで丸めることができない。生活レベルに応じた現金を支払うか、誰かの保護下に入る必要がある。 | |
30-49 | 1季(8週間)に2 | 月10万円消費。年収200万円、社会資産900万円 |
50-69 | 1季(8週間)に4 | 月20万円消費。年収400万円、社会資産2500万円 |
70-89 | 1季(8週間)に6 | 月30万円消費。年収600万円、社会資産4900万円 |
90- | 1季(8週間)に8 | 月40万円消費。年収800万円、社会資産8100万円 |
階層レベル
階層化された社会では、階層ごとに所属する集団が違います。上級ルールp115を参照し、週の生活費が50p程度までが階層LV1、250p程度までが階層LV2です。
一般的なキャラクターは、このどちらかに収まるでしょう。
階層があがると動かせる資産も大きくなりますが、生活コストも同様に大きくなります。
2以上の階層レベルをもつ社会集団に所属できるかどうかはマスターと協議してください。
階層LV | |
1 | 一般 |
2 | 下級貴族 |
3 | 上級貴族 |
4 | 王族 |
5 | 大帝国の皇帝等極端な例外 |
初期名声値の決定
キャラクターは3つの社会集団に下記の式で名声値を獲得します。名声値=(年齢+貢献技能成功率)÷2(切捨て)
職業経歴を渡り歩いた場合、それらは異なる社会集団への名声として割り当てる必要があります。
名声値30が、そのキャラクターが社会集団の一員として住む場所や日常的な仕事を確保できているかの境界になります。
主たる社会集団への名声値が30未満になる場合、キャラクターは基本ルールに記載された初期装備を維持できていない可能性があります。マスターの指示を仰いでください。
名声値を社会資産に引き当てる
ルーンクエストではキャラクターが実際に持っているはずの資産はルール化されていません。農民であれば住む家や耕作する権利のある土地、貴族であれば自分の土地や何らかの利権を持っているはずです。
名声値ルールでは、キャラクターは名声値に相当する規模の社会資産を持っているものとします。
社会資産という用語はそれらが自由に換金できるとは限らないことを示しています。
社会資産として一番わかりやすいのは土地でしょう。土地は個人資産といいつつ、実際は国家に所有を「認めてもらっている」に過ぎません。売買についても届出が必要です。同様に、地位、利権、人間関係も金銭に変えられることもあれば帰られないこともあります。
初期装備として与えられるもののうち、貨幣か「XXペニーと等価の○○」と書かれているもの以外は、すべて社会資産です。ただし細かいものを計算しても煩雑になりますので、100ルナー未満のものは無視します。
社会資産表で引き当て限度とされている価格(購入価格)が、装備や呪文のように、キャラクターが物資として個人的に保持できる上限です。
残りは人間関係や固定資産等の、簡単には交換できない試算になります。
社会資産表(階層LV1)
名声値 | 社会資産 | 引き当て限度 |
---|---|---|
0-9 | 0 | 0 |
10-19 | 1,000 | 0 |
20-29 | 4,000 | 1,000 |
30-39 | 9,000 | 5,000 |
40-49 | 16,000 | 7,000 |
50-59 | 25,000 | 9,000 |
60-69 | 36,000 | 11,000 |
70-79 | 49,000 | 13,000 |
80-89 | 64,000 | 15,000 |
90-99 | 81,000 | 17,000 |
名声判定による物資引き当て
引き当て限度の残っているキャラクターは、名声判定を行うことで、名声値を物資や呪文として引き当てることが出来ます。「引き当て」という単語が理解しにくいかもしれません。これは名声値を減少させて物を得るのではなく、あくまで名声値の形を変えるということを意味しています。引き当てで物を得たからといって名声値が減ることはありません。逆に、その物をなくせば名声値が低下します。名声値の低下により引き当て限度が引き下がれば、その物を失います。キャラクターは名声ロールを行い、物資引き当て表の結果を適用します。結果が1回で引き当てられた物資の価値になります。成功度が高くても引き当て限度が上がるわけではないことに注意してください。
ロール結果 | 階層LV1 | 階層LV2 | 階層LV3 | 階層LV4 | 階層LV5 |
---|---|---|---|---|---|
決定的成功 | 300 | 1,500 | 6,000 | 30,000 | 150,000 |
効果的成功 | 200 | 1,000 | 4,000 | 20,000 | 100,000 |
成功 | 100 | 500 | 2,000 | 10,000 | 50,000 |
失敗 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ファンブル | 反感値+1D6 | 反感値+1D6 | 反感値+1D6 | 反感値+1D6 | 反感値+1D6 |
社会資産の増減による名声値の再計算
金銭、物資を入手した際には「社会資産として繰り入れる」か「秘匿資産として繰り入れる」かを選択することが出来ます。社会資産として繰り入れた場合には価値に相当する名声値と反感値が上昇します。実際は、社会集団からの報酬は名声値として支払われるのが一般的で、この場合は反感値が上昇することはありません。
秘匿資産にした場合は、名声値と反感値の上昇は起こりません。ただし、秘匿資産は盗難などに対して社会的な保護を受けることが出来ません。また、キャラクターが入手したことが明確で、高価値であることが明確な資産は秘匿資産にはできません。
社会資産を喪失した場合(戦士が武具を失うというのが一番わかりやすいでしょう)、キャラクターに相当する反感値が加算されます。
名声値/反感値の増減は、貢献ノルマを支払った後にまとめて計算します。