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アルダチュールの街は、早春の光の中で生活感にあふれた賑わいをみせていた。ルナーに占領されて4年になるが、まだこの街はオーランス風の習慣が失われていない。気風荒々しく、人々が生きる力にあふれている。街の中心部にある広場では様々な露店が棚を開き、異国風の芸人達がみちゆく人々の足をとめ、やんやの喝采を受けていた。
昼過ぎに街に入ったオトワン達は、ビオロムズ・インに一度おちついてから、各々の神殿に足を運んだ。当然、オーランスが放逐されている街で”冬の王”ヴァリンドの神殿が許されるわけもなく、街を歩いてみても社であったろう痕跡が残っているだけであった。
アデルは全員を集めると、オトワンをまっすぐ見て話を切り出した。
「実は私はこの街で神殿の任務があって呼ばれていたの」
アデルは居を正すと、真剣な顔をして語り始めた。
「この街のチャラーナ・アローイ神殿の大司祭であるエリッサ=マーン様が、二週間前にブルーの一団に連れさられました。
神託によれば彼女はまだ汚されずに生きているようです。しかし、いつまでそうでいられるかはわかりません。
彼女の連れさられたところは”混沌の巣窟”、
-----そう、スネークパイプ盆地なのです。
オーランスの加護が獲られないいま、私達の神殿の者ではあの場所に踏み込むことさえできません。
あなた達に協力していただきたいのです‥‥‥‥‥‥」
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アルダチュールの街は、早春の光の中で生活感にあふれた賑わいをみせていた。ルナーに占領されて4年になるが、まだこの街はオーランス風の習慣が失われていない。気風荒々しく、人々が生きる力にあふれている。街の中心部にある広場では様々な露店が棚を開き、異国風の芸人達がみちゆく人々の足をとめ、やんやの喝采を受けていた。
昼過ぎに街に入ったオトワン達は、ビオロムズ・インに一度おちついてから、各々の神殿に足を運んだ。当然、オーランスが放逐されている街で”冬の王”ヴァリンドの神殿が許されるわけもなく、街を歩いてみても社であったろう痕跡が残っているだけであった。
アデルは全員を集めると、オトワンをまっすぐ見て話を切り出した。
「実は私はこの街で神殿の任務があって呼ばれていたの」
アデルは居を正すと、真剣な顔をして語り始めた。
「この街のチャラーナ・アローイ神殿の大司祭であるエリッサ=マーン様が、二週間前にブルーの一団に連れさられました。
神託によれば彼女はまだ汚されずに生きているようです。しかし、いつまでそうでいられるかはわかりません。
彼女の連れさられたところは”混沌の巣窟”、
-----そう、スネークパイプ盆地なのです。
オーランスの加護が獲られないいま、私達の神殿の者ではあの場所に踏み込むことさえできません。
あなた達に協力していただきたいのです‥‥‥‥‥‥」