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『私をたすけて』といったわけ



私が自信満々でやろうとしたことがなにかというと、
グリフィン山でジゼラに命を助けてもらった恩と
彼女からオーランスであることを奪った負い目を
のしつけて返そうとクエストの中で画策したこと。

結局それは私の未熟さと勘違いと独りよがりと何よりも品性の卑しさに
より、大失敗に終わり、彼女の魂を永久に闇の底に叩き落してしまった。
未熟さゆえに失敗しただけでもそれは大打撃だけど、
今回の失敗はもっと私の本質に関わるもので、要するに私の企てそのものが
とんだ茶番で、そしてジゼラの気持ちを全く考えられずに彼女を巻き込んだ
上に彼女を殺してしまったのだから、これはまったくどうしようもない愚か者です。

そんなで、とにかく今の私は
自尊心とか自分らしさとか矜持とかポリシーとか倫理感とか
そういったもの一切合財を潰してしまっていて
それはもう生半可な潰れ方じゃなくて、
タマゴの殻をぐしゃぐしゃっと踏んで躙って
粉々のバラバラという有様で、

要するに
このものすごい危機的な状況のなかで
自分がどう行動していいのか全く頭真っ白でわからなくて
思いつくどんな行動もまるでうまくいく自信がもてない
どのような判断も全く当てにできる気がしない
そんな状態なのです。

だけどでも、
そのくせ、
じゃあなにもせずに
悠然と構えて
滅ぶに任せることが出来るほど

私の心は強くなくて

いつまでもあきらめられずに
もがき続ける。
何とかしたいと思いつめる。
私の力で、それが出来るとは到底思えずに。
どうしたらいいのかしら
途方にくれます。
ぐるぐる。
めまいがします。

そうして逡巡している私に
彼女が話しかけてきたのです。
彼女は私がこの先の生涯絶対に許すことはないと
思っていた人でした。

「かわいくないわ」
はい?
アラインマーヤは私の右頬をイヤというほどつねります
「にゃにゃにふるにょ」

「あのね、
 そういうときは、こういえばいいの。
『私を助けて』って」

「・・・」
・・・そんな。
・・・冗談?
あまりにシンプルな彼女の言葉でした。
でもいままで思い当たりませんでした。
他人に助けを求める事態というのが屈辱の極みだと思ってきましたからね。

ああ
まるで自信なんかもてないけれど
とりあえず持っているもの全部さらけ出してみて
それでみんなが助けてくれるなら
なんとかやっていけそうな気も、
ちょっとします。

どうだろう。
こんな私だけれど
私がもてるもの全てを差し出してみて
それで私のやりたいことに
みんな私を助けてくれるだろうか。

アイアンホースがなにかいいたげです。
「それじゃこれまでの俺たちの関係はなんだったんだ」とか。
ごめんなさい。
彼のことは、もちろん
仲間として意識して信頼もしていたつもりだったけど、
それは最後には自分が一番大事という前提つきだったのです。

みんなそんな頼りない人間を命を懸けて助けようとか
普通思わないです。無理かもしれない。
自信有りません。

でもどうせ後に下がる道はないのです。
絶望の縁で死に至ることにおびえるなら
前を向くしかない。
血反吐はいて這ってでも進むしかないのです。
幸い、守るものも大して多くありません。

私は顔をあげました。
なんか全く血の気が感じられません。
泣きはらした眼の下だけがちょっと赤いだけで
死人みたいな顔してるんだろな

気分悪いです。
吐きそう。
でもそんなのはたいした問題には感じられません。

さあいわなきゃならないことがあります。
声を振り絞って。


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