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第六章




6.
夏休みも真ん中辺りに差し掛かり、
そろそろ宿題に手を出さないと取り返しの付かなくなるような時期になった。
その日、俺は何回も繰り返し押されているチャイムの音で目が覚めた。
「だーっ!!うるせー!!」
 まだ鳴り止まないことから家には誰もいないようだ。朝っぱらからこれだけチャイムをならしやがって。
俺は乱暴に扉を開け、文句のひとつも言ってやろうと思ったがそんな気はすぐにどこかへ行ってしまった。
「……まさ…と?」
「よう」
「ようって…」
 真人は今アメリカの学校に通ってるはずだ。あんまりに突然のこと過ぎて俺は何がなんだか分からなくなっていた。
「まぁ細かい事情は中は入ってからでいいか?」
「ああ…」
 とりあえず真人を俺の部屋に入れた。とりあえず、状況は分からないままだがさっきよりは落ち着いた。
「で、いつこっちに帰ってきたんだ?」
「今」
「は!?」
「だから今」
 空港からそのまま来たという事だろうか。だけどそれらしい荷物が見当たらない。
「で、なんで?」
「家出した」
「はぁ!!?」
コイツ、灰谷真人は俺の唯一の幼馴染といえる存在で今は父親の仕事の関係でアメリカの学校に行ってるハズだった。
「なんでまた家出なんか・・・」
「親父と喧嘩した」
「理由は?」
「小さいことから始まって大きいことになって来て殴り合いになって金とパスポートだけもって出てきた」
「はぁ・・・」
もうなんだか溜め息しか出なかった。
話を聞いてる途中、電話がなったので取りに行った。
「はい、湯浅です」
「アキラ君か、真人の父だが」
お父さんの勘のすごさに驚いた
「あ、お久しぶりです」
「突然で悪いんだが、真人がそっちに行ってないかね」
「えと、来てます」
「そうか、よかった。」
「家出したって言ってましたけど、どうしたんですか?」
「いやぁ、恥ずかしながら喧嘩をしてしまって複雑な話とかじゃあいんだが、こっちもついムキになってしまってね」
「そうですか、安心しました」
「悪いんだが、真人に代わってくれないか?」
「ええ」
俺は真人を電話まで呼んで受話器を渡した。
しばらく真人はカリカリしながら電話をしていたが、それもじきに収まってきた。
「ああ、分かった。俺も悪かったよ」
まぁ話の感じからして大丈夫なようだ。
「あ、そうだ。せっかくこっちまで戻ってきたしもう少ししてからそっちに帰る事にする」
なんですとー。一人で焦っていると真人が俺に受話器をよこした。
「もしもし」
「すまんが、そういうことらしいからしばらく泊めてやってくれないか?」
「まぁ、いいですけど・・・」
「真人も久しぶりに君に会えて喜んでる思うから、じゃよろしく頼むよ」
「はい、では」
そういって俺は電話を切った。
「そういうことだから、よろしくな」
「部屋俺と一緒になるけど文句言うなよ」
「あいよー」
そういうわけでしばらく真人が家に居る事となった。

真人が居る間は退屈しなくて済んだ。
何より一年以上会ってなかったものだから話が尽きなかった。
真人が家に来て10日ほど過ぎた頃だろうか、
「明日の夕方くらいに帰るわ」
と真人が言った。
「そっか、何事も急なヤツだな」
「お騒がせしました」
「全くだ」
なんて言い合いながら二人で笑ってた。
ふと思いついたので吉岡と桐嶋に電話をすることにした。
ほどなくして桐嶋と吉岡が来た。
「よう、来たな。なんだオマケ付きか」
「本命でしょうが本命」
オマケは岩城だった。
「ま、いいや。とりあえず上がれよ」
俺は三人を部屋に案内した。
「よ、久しぶり」
と、俺の部屋にいた真人が言った。
「え?」
桐嶋と吉岡が声を揃えて驚いている。
「ん?誰?」
岩城は誰だか分かってない。当然だが。
「帰ってきてたの?」
「うん」
「いつ?」
桐嶋と吉岡は俺と同じようなことを聞いている。
一応、俺からこっちに帰ってきた理由と、明日帰る事と、岩城には真人の紹介をした。
「ふうん、今時家出ねぇ。アメリカじゃ流行ってんの?」
桐嶋がそんなことを言う。
「で、なんで俺ら呼んだの?」
吉岡が俺に聞いてきた。
「明日帰るって言ってるからさ、久々だしパーティーでもしようかとさ」
「なるほど、賛成」
「岩城と桐嶋は?」
「賛成」
「やろやろ」
「つーわけで買い物しに行くか」
俺達はゾロゾロと5人で話をしながら買い物に行った。
「酒いる?」
一応聞いてみたが真人と吉岡は聞くまでも無かった。
「悪いねー」
「ねー」
なにやら後ろで桐嶋と岩城が呟いているようだが聞こえない。
無理やり飲ませて酔い潰してやる。
流石に5人も集まると結構な量の買い物ができた。
家に帰り、早速乾杯した。
懐かしい話やら、ただの世間話。日本ではどうだこうだ、アメリカではこうだとかそんな他愛もない話。
皆が心から笑ってた。皆酔いつぶれて寝てしまった。
男女5人が床で雑魚寝。こんな事すら楽しくて仕方ない。

ふと、夜中に目が覚めた。
「グス・・・グス・・・」
誰かが泣いていたが俺は眠気に負けてそのまま寝てしまった。

次の日、朝起きると皆ひどい顔だった。
「やりすぎたな・・・」
しばらく皆でゆっくりした後、皆で真人を見送った。
「じゃ、世話になったな」
「頼むから次に家出するときは事前に連絡してくれ」
「はは、わかったよ。じゃあな」
「ああ」
「またね」
「またな」
「バイバイ、楽しかったよ」
各々別れを告げると真人はタクシーに乗って大通りへと消えていった。
「はぁー疲れたー」
なんだか疲れがどっと出た気分だった。
「それにしても真人君って行動力あるよねー」
桐嶋が言った。
「ありすぎるのも問題だ」
「あははは」
「んじゃ俺らも帰るかー」
こうして俺達も家へと帰る事になった。
桐嶋と別れ、吉岡と別れ、また岩城と二人になった。
「真人君って楽しい人だったねー」
「アイツは個性の塊みたいなもんだからな」
「それより私はアキラ君がアメリカに友達がいるなんてね」
「まぁアメリカに行ったのは一年の時、急にだからな」
「へー、もうちょっと早く転向してくればよかった」
そんな事を話しながら帰った。

気が付くと夏休みも後10日ほど、中学最後の夏休みがこんなドタバタするとはなぁ。
そんな事を思っていると、ふと気づいた。
宿題・・・。今年も居残りになりそうです。




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