民法(民法第一編第二編第三編)

民法(みんぽう)

  • 明治二十九年四月二十七日法律第八十九号
  • 最終改正:平成一八年六月二一日法律第七八号
  • 最終改正までの未施行法令:平成十八年六月二日法律第五十号(未施行)


 民法第一編第二編第三編別冊ノ通定ム
此法律施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
明治二十三年法律第二十八号民法財産編財産取得編債権担保編証拠編ハ此法律発布ノ日ヨリ廃止ス
(別冊)


目次


第一編 総則

第四章 物

(定義)

第八十五条
この法律において「物」とは、有体物をいう。


(不動産及び動産)

第八十六条
  1. 土地及びその定着物は、不動産とする。
  2. 不動産以外の物は、すべて動産とする。
  3. 無記名債権は、動産とみなす。


第五章 法律行為

第二節 意思表示

(錯誤)

第九十五条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。


第五節 条件及び期限

(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)

第百二十八条
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。


(条件の成就の妨害)

第百三十条
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。


第二編 物権

第二章 占有権

第二節 占有権の効力

(占有者による費用の償還請求)

第百九十六条
  1. 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。


第三章 所有権

第二節 所有権の取得

(不動産の付合)

第二百四十二条
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。


第三節 共有

(共有物の管理)

第二百五十二条
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。


第四章 地上権

(地上権の内容)

第二百六十五条
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。


(地下又は空間を目的とする地上権)

第二百六十九条の二
  1. 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
  2. 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。


第五章 永小作権

第六章 地役権

(地役権の内容)

第二百八十条
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。


(地役権の時効取得)

第二百八十三条
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
最判昭30・12・26民集9・14・2097


(承役地の時効取得による地役権の消滅)

第二百八十九条
承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、地役権は、これによって消滅する。


第二百九十条
前条の規定による地役権の消滅時効は、地役権者がその権利を行使することによって中断する。


(地役権の消滅時効)

第二百九十一条
第百六十七条第二項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。


第二百九十三条
地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。


第三編 債権

第一章 総則

第五節 債権の消滅

第一款 弁済

第一目 総則

(弁済の場所)

第四百八十四条
弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。


第五款 混同

第五百二十条
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。


第二章 契約

第一節 総則

第二款 契約の効力

(同時履行の抗弁)

第五百三十三条
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。


(債務者の危険負担等)

第五百三十六条
  1. 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
  2. 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。


第三款 契約の解除

(履行遅滞等による解除権)

第五百四十一条
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。


第三節 売買

第一款 総則

(売買の一方の予約)

第五百五十六条
  1. 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
  2. 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。


(有償契約への準用)

第五百五十九条
この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。


第二款 売買の効力

(権利を失うおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶)

第五百七十六条
売買の目的について権利を主張する者があるために買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。


第六節 使用貸借

(使用貸借)

第五百九十三条
使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
最判平8・12・17民集50・10・2778


(貸主の担保責任)

第五百九十六条
第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。


(借用物の返還の時期)

第五百九十七条
  1. 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。
  2. 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。
  3. 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。
最判昭42・11・24民集21・9・2460


(借主の死亡による使用貸借の終了)

第五百九十九条
使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。


(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)

第六百条
契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。


第七節 賃貸借

第一款 総則

(賃貸借)

第六百一条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。


(賃貸借の存続期間)

第六百四条
  1. 賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
  2. 賃貸借の存続期間は、更新することができない。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。


第二款 賃貸借の効力

(不動産賃貸借の対抗力)

第六百五条
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。


(賃貸物の修繕等)

第六百六条
  1. 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
  2. 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。


(賃借人による費用の償還請求)

第六百八条
  1. 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
  2. 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。


(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)

第六百十一条
  1. 賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
  2. 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。


(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

第六百十二条
  1. 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
  2. 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。


(賃料の支払時期)

第六百十四条
賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。


第三款 賃貸借の終了

(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)

第六百十七条
  1. 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
    二 建物の賃貸借 三箇月


(賃貸借の更新の推定等)

第六百十九条
  1. 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。


(賃貸借の解除の効力)

第六百二十一条
第六百条の規定は、賃貸借について準用する。


第六百二十二条
削除


第十節 委任

(受任者の注意義務)

第六百四十四条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
最終更新:2008年02月14日 00:26
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