内容
参考
デザインのプロセス(引用:上記参考ページ)
- 与えられた問題あるいは自ら発見した問題を明確に定義し
- その問題を下位問題に分解し要素間の関係性を把握することで解決するべき問題全体を理解した上で
- さらには下位問題の各要素について理解を深めるためのデータ収集を行うことで下位問題のそれぞれに解決案を見つけつつ
- 個々の解決案を最終的に統合する解決のコンセプトを探り
- そのコンセプトが見つかったら今度は実現に向けた素材や技術の検討や
- 実現性の検討やコンセプトの検証のためのプロトタイピングとユーザーによるデザイン評価を行うことで
- 最終的な設計案=解決を導き出す
↑を物語をつくるプロセスに変換すると……
物語をデザインするプロセス
- 自分がふだん考えていることから、今回、物語で取り上げたい問題を定義する
- その問題を下位問題に分解し、要素間の関係性を把握することで解決すべき問題全体を理解する
- 下位問題の各要素について理解を深めるためのデータ収集を行うことで下位問題のそれぞれに解決案を見つける
- 個々の解決案を最終的に統合する解決のコンセプトを探る
- コンセプトが見つかったら、実現に向けたキャラクターや世界観などの検討
- 娯楽性の検討やコンセプトの検証のためのプロットや読者によるデザイン評価を行う
- 最終的な物語を導き出す
物語の用語に変換しただけではよくわからないので、具体例で考えてみたい。
でもその前に……
上記のプロセスに、それぞれ名前をつける
- テーマの定義
- テーマの構造化
- 下位テーマの解決案
- テーマの解決コンセプト
- キャラクターや世界観の設定
- プロット作成
- 物語づくり
プロセスに沿って、具体的に考えてみる。
具体例で考える
- テーマの定義
- テーマの構造化
- 環境問題を扱ううえでの切り口を列挙(網羅的ではなく、興味があるもの)
- 自然破壊
- エネルギー問題
- 人と自然の共存
- 地球温暖化
- 人工的な自然
- 科学技術による自然の管理
- 宇宙開発
- 宇宙法の確立
- 宇宙開発の国際的格差
- エネルギー利用格差
- etc
- 実際に扱うサブ・テーマの選択
- エネルギー問題
- エネルギー利用格差
- 宇宙開発
- 宇宙開発の国際的格差
- 下位テーマの解決案
- それぞれのサブ・テーマを、どう扱うか
- エネルギー問題
- 宇宙開発
- 生の欲望にとらわれた人間は迷わず宇宙開発をすすめるが、そんな人間たちを拒絶するかのように厳しい宇宙の環境によって、人々は自分たちの「生」に向き合うことになる
- エネルギー利用格差、宇宙開発の国際的格差
- 宇宙開発に必要なエネルギーを先進国に途上国が与え、代わりに先進国は開発技術の教育と宇宙で得られたエネルギーの分配によって格差是正に取り組む
- テーマの解決コンセプト
- 環境に関連するすべての問題の解決は容易ではない
- すべて一時的な解決策であり、つねに再考の余地があることを自覚する
- 格差、あるいは覇権競争は環境問題の解決の障害とも、道具ともなり得る
- 人々が真に向き合うべきは環境問題ではなく、自分たちの「生」
- キャラクターや世界観の設定
- 必要なキャラクターのプロフィール
- 環境問題の利権に絡む人々
- 宇宙開発の最前線で、環境問題が生んださまざまな壁にぶつかる人々
- etc
- 世界観の概要
- 木星の開発中か、それに取り組めるていどの近未来
- 人間は宇宙進出を果たしているも、地上の多くの問題は未解決
- 宇宙での仕事は、限られた優秀な者だけのものではなくなっている
- 月や火星が、人間の宇宙進出の拠点として開発されている
- etc
- プロット作成
- 木星往環船の主力エンジンが完成間近だとの報道にわく月。
宇宙船技師の主人公は、月―地球往環船のパイロットを務める友人と、昼食をとりながら報道を見ていた。
- 友人は興奮しながら、木星往環船のクルーをめざすと主人公に告げる。
途上国からここまで上り詰めた友人は自信に満ち、主人公はそれを応援するとともに嫉妬に駆られていた。
- 仕事で地球を見ることの多い友人は、出身地のこともあって、いまだ地上に根強く残る貧困問題やエネルギー問題に敏感だった。
友人は国に貢献するという大義名分と木星往環船に乗るという夢を両立している。
なんとなく宇宙に来た主人公にはまぶしすぎる存在だったが、友人の人柄もあって主人公はうまく付き合っていた。
- 明確な夢のない主人公のもう一つの悩みは、輝かしい父親の存在だ。
木星往環船の主力エンジン開発にも多大な貢献をした彼の父親は、すでに木星往環船の技術チームの長として内定している。
主人公は地球にいたときからつねに、父親の栄光に影を落とす存在だった。
- 主人公は自らの夢を探すために、まず父親の背中を追う決断をした。
彼は父親の仕事を知ったときから、どこか父親の仕事に違和を感じていた。
しかし、それが具体的に何なのかわからない。
それを突き止めるために、父親を追うことにした。
- 地球・月・火星の宇宙開発幹部の言動、友人の経験、主人公への友人からの語りなどによって、宇宙開発の裏舞台や地球に残る環境・エネルギー・貧困等の問題が明らかになっていく。
それとともに、そして父親を追うにしたがい、主人公は自分と父親とのちがいに気づいていく。
- クルー選抜試験を受ける友人は、その過程で必要以上の障害にあうことになる。
それは先進国民の抱く途上国民への数々の偏見、陥れようとする受験者たちなどによるものだ。
- 主人公はついに、木星往環船の技師として採用された。
主人公は受験をずっとだまっていた友人に、いちばんに報告しに行った。
しかし友人は試験に落ちていた。
- その夜、就寝中の主人公にとつぜん、侵入者が襲いかかってきた。
もみ合うなかで何とか電気を点けると、主人公はそこに友人を認めた。
友人はつい最近まで夢もなかった主人公が試験を通り、夢も大義名分もある自分が先進国民の妨害によって落ちたことに逆上したのだった。
友人は、先進国出身の主人公たちにはできないことを自分ならできると迫る。
主人公は何とか友人を抑え、自分の考えを明かした。
しかしやはり、友人は戯れ言と理解を示すことはなかった。
- 木星往環船の完成にわく月。その様子を画面で眺める主人公。
選ばれたクルーたちの中心には、彼の父親がいた。
自分もあの一員だというのに、主人公の顔は曇っていた。
- 宇宙開発の最前線に加わった主人公には、嫌でも利権者たちのくだらない話が耳に入ってきた。
主人公は友人の話を思い出す。
そして、自分は宇宙開発が抱えている真の問題に向き合う義務があると悟る。
- 主人公はしだいに、どんなに抵抗しても宇宙に進出する足を止めることはできないと理解するようになる。
おなじ技術屋として、そこに可能性があれば試したくなる――という性を父親と共有していることも認めた。
しかし、そのための犠牲に納得できるほど、自分が大人でないことも同時に自覚した。
- 「それなら自分で切り開け。技術屋だろ、おまえも」父親の言葉に感化され、主人公は、いま自分にできることをやろうと決める。いま、木星にアクセスできる自分にできることを。
そして主人公は、木星のエネルギーを地球に供給する機構の開発を先導した。
- 物語づくり
「こんなのあるんじゃない?」というのがあれば、教えてください。
ほかに意見など、歓迎します。
最終更新:2007年12月24日 05:15