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気鋭の若手経済学者が、社会問題・経済問題を、Hacks的な手法を用いて、その解決策を探る。



番外/僕のLife Hacks!【スケジュール管理編】

2007年7月30日


私の本を読んだことがある方にはおなじみかも知れませんが、僕の書いたものの特徴(というかクセ)は「積み上げ方式」になっていることです。教科書じゃない読み物もなんとなく「理論編→練習編→応用編」みたいな構成にしてます。このblogもなんとなくこれまで本の草稿みたいな感覚で書いてしまいがちで……どうもつづきものが多くなりがち。しかし、せっかくblogという媒体を使っているんだから、たまには脱線してみます。
 というわけで、せっかくのHacks系連載なんですから僕が使っているLife Hacks!を紹介してみたいと思います。

■情報の一元化

僕が昔から実行しているHacks! 的な手法が「自分の情報源は1つか2つ!」という原則です。僕の場合、大学ノートとシステム手帳。スケジュール系を手帳に書く以外はすべて大学ノート、それも無地のノートに書き殴っていきます。個人的なこと、コラムやblogのアイデア、大学での講義ノート、専門論文の読書メモや計算……なんでもかんでも大学ノートに書きます[*1]。
 話題が変わっても、分類はせずに次のページに移るだけ。花見の買い出しリストと今日読んだ計量経済学の論文の式展開とかが隣同士のページになっても気にしない。野口悠紀夫氏も指摘していますが、「いつ頃メモったか」という時系列の記憶は意外とわすれないものです。どうしても気になるなら付箋でもつけておけばよい。
 こうしておけば、気になることは手帳かノートどちらかには入っている。これってかなり安心ですよ。

■GTDもどき

GTD (Getting Things Done)はデヴィッド・アレン氏による知識労働者向けの計画、アイデアの整理方法です[*2]。なかなかの優れものなのですが、結構な手間と時間が必要なのが難点。そこで、僕はGTDをかなり単純にした形で実行しています。スケジュール管理だけにとどまらない意味ある方法だと思いますので、ここで紹介しておきましょう。

1。収集
 A4の紙に自分の頭の中にある「気になってること」を書けるだけ書き出します。仕事のことも、プライベートも、社会問題も……とにかくただ書き出します。文章ではなく箇条書きにすること、思考過程ではなく気になっていることのタイトル(?)だけ書けばよい。この作業には最低3時間はかけたいところです。これをやるだけでかなり気持ちがすっきりします。
デヴィッド・アレン氏自体の表現を借りると、「頭脳はハードディスク(記憶媒体)として使ってはいけない」「頭脳はCPU(思考装置)として使え」ということです。自分の頭の代わりになる記憶媒体はありますが、僕の頭の代わりに考えてくれる装置は存在しないんですから。
 この「書き出し」は(字の大きさにもよりますが)、A4で10枚くらいになると思います。あぁ、こんなにいろいろあるなぁと思う半面、意外と少ないじゃんとも感じられます。ミソはこの紙を見れば自分の頭の中の気になることが全部書いてあるという安心感です。これはどこかにとっておく必要があります。ちなみに僕は前述の「なんでもノート」に貼り付けています[*3]。で、もう紙に書いちゃったんですから頭の中からは掃き出してしまってよいのです。で、たまに見直せばよいというわけ。

2。処理
 このようにリストアップしたもののうち、2分以内で出来ることはその場でやります。そして、「やらなきゃならない」こと。特に一ヶ月以内にやらなきゃならないことベスト10を手帳の月間スケジュールに書き写します。
オリジナルのGTDはこれを分類し、定期的なレビューをする……のですが僕はずぼらな性格なのでそこまではできません。すぐ出来ることをやって、重要な「To Do」を10コ決めたらあとはほっぽらかしています。

3。もう一度
 以上のプロセスを月に一度実行するとかなり、ストレスが軽減されます。GTDの実行で挫折してしまった人も、この程度なら続けられるんではないでしょうか。なお、GTD自体を実行したことがないという人は、はじめはオリジナルのGTDを試してみる方がよいと思います。その後に、「自分のオリジナルGTD」を作ると良いでしょう。

■ホワイトボード

僕はものすごく忘れっぽい、そしてスケジュールの読みが甘いので、さらに念押しの工夫をしています。それがホワイトボードの利用です。職場に月間スケジュール用のカレンダー付ホワイトボードがあるという人が多いと思います。あれを自宅、またはオフィスの机の前にもおきましょう。大手の文房具店ではポスター大のものが3000円程度で売られています。そして、帰宅時(オフィスならば出社時)に手帳に書かれている予定をそのホワイトボードに写すのです。
備忘録としての役割もありますが、目の前にスケジュールがデーンと居座っていると「仕事しなきゃ」という気分が高まるという精神的な効果も期待できます。

以上。今回は本編を離れて僕のスケジュール・ハックのお話しをしました。これからも月に一度くらいは息抜きの回を作っていこうと思います。なんか取り上げて欲しい単発ネタ、人生相談?などありましたらお知らせ下さい。

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※1 先日父の遺品を整理していたら、父も同じ方法を実行していたことがわかりました(学問とは無縁の人だったので多少形式は違いますが)。父はもっと徹底していて、仕事のこと、日記、住所・電話番号、スケッチ、釣り……全部が1冊!
※2 Allen、 David (2001)、 Getting Things Done: The Art of Stress-Free Productivity、 Viking Press。(『仕事を成し遂げる技術?ストレスなく生産性を発揮する方法』、森平慶司訳、2001年、はまの出版)
※3 ホントに個人的なことまで書いてあるので人に見られるとすごく恥ずかしいです。できるだけ他の人に見られない(けど自分にとってはすぐに見られる)ところに保管しておきたいところ……どこかいい隠し場所ないですかね。


番外/貯金はないし、太ってるし、喫煙者だし

2007年8月25日


ちょうどそろそろ行動経済学にも言及しなければと思っていたので、大阪大学主催の第4回行動経済学カンファレンスに出席してきました。今回のテーマは「ダイエットと経済学」[*1]です。

そのなかで、大阪大学の池田新介教授の報告によると貯蓄額と肥満度には負の相関関係があるということです。つまりは、貯蓄額が少ない人は太っていて、やせている人は貯蓄が多い傾向があるというわけ。また、喫煙者貯蓄額が少なく、肥満度も高い傾向があるとも言われます。

さて、前々回から繰り返している「すべての人は、それなりに自分の基準での満足度を追求している」ということですね。貯金もせず、太っていて、タバコを喫う人[*2]……要するにダメ人間の見本みたいな人はどんな「自分なりの基準」に従って行動しているのでしょう。

その答えが、第6回で紹介した割引率です。現在と将来をどのくらいの比重で重視するか。割引因子が大きい人にとっては、1年後の100万円よりも今日のお金が重要です。そういう人があまり貯金をしないというのは当然の帰結でしょう。同様に、割引因子が大きい人は将来の肥満や肺ガンよりも、今日の快楽を重視するわけです。

割引因子が大きい、将来のことを大きく割り引いて評価する人に対して「なんでもっと将来のことをちゃんと考えないんだ!」というのは愚問です。「なんで先のことばかり考えて、現在のことをおろそかにするのだ」と返されるのがオチでしょう。アリとキリギリスの寓話は、なんだかアリが偉くてキリギリスが馬鹿……みたいな教訓を引き出すために使われますが、キリギリス側からみると「せっかくの夏を楽しまないなんて人生を損してるなぁ」という話になるでしょう[*3]。

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※1 ものすごく恥ずかしいことに、黒烏龍茶持参で会場入りしてしまいました。駅の自動販売機にあったからなんとなく買っただけなんですが……これじゃあ、なんかものすごい「ダイエット」に興味ある人みたいじゃないですか!
※2 僕のことですが何か!
※3 そんなことはない!と憤慨されたあなたは、水木しげる「幸福の甘き香り」(『ねずみ男の冒険』所収、ちくま文庫)を読むと良いと思います。