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*特殊な紹介文
『ロードオブヴァーミリオンIII』には、フレイバーテキストが連続的なストーリーになっているカードの一群がいくつか存在する。ここではそのフレーバーテキストを紹介する。
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&aname(▲,option=nolink)
>特別称号あり
-&link_anchor(スカーレットテイル){スカーレットテイル}
-&link_anchor(新・アマゾネスの冒険){新・アマゾネスの冒険}
-&link_anchor(冬の魔女のサーガ){冬の魔女のサーガ}
-&link_anchor(紅蓮古事記){紅蓮古事記}
-&link_anchor(レム黙示録){レム黙示録}
-&link_anchor(紅き聖杯の伝説){紅き聖杯の伝説}
-&link_anchor(紅陰陽奇譚){紅陰陽奇譚}
-&link_anchor(胎動せし五つの刃){胎動せし五つの刃}
-&link_anchor(オズの紅蓮の都){オズの紅蓮の都}
-&link_anchor(恐るべきウェンディゴ伝説){恐るべきウェンディゴ伝説}
-&link_anchor(七英雄と紅蓮の瞳の子){七英雄と紅蓮の瞳の子}
-&link_anchor(赤月剣風帖){赤月剣風帖}
-&link_anchor(妖精たちの赤い夜){妖精たちの赤い夜}
-&link_anchor(レッドデッドラプソディ){レッドデッドラプソディ}
-&link_anchor(魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター){魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター}
-&link_anchor(水滸伝 暁異聞){水滸伝 暁異聞}
-&link_anchor(紅焔八犬伝){紅焔八犬伝}
-&link_anchor(夢なりし紅の騎士物語){夢なりし紅の騎士物語}
>特別称号なし
-&link_anchor(ある老吟遊詩人の詩){ある老吟遊詩人の詩}
-&link_anchor(ある鷲鼻の騎士の苦闘){ある鷲鼻の騎士の苦闘}
-&link_anchor(深淵の同盟軍){深淵の同盟軍}
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&aname(スカーレットテイル,option=nolink){}
**スカーレットテイル &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【スカーレットテイル】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『紅き夜の伽人』を獲得出来る。
***その1 人獣009/R アリス
>「〈赤の女王〉からあなたを助け出した時“あの子の夢”はバラバラになってしまったわ。
> だから私は あの夢をもう一度繋ぎ直さなきゃいけないの
> それが〈夢の管理人〉である私の仕事なんだもの」
> そしてアリスは手を差し出してこう言いました。
>「その為に、まずは散らばってしまった”皆”を探さなきゃいけないわ。
> それをあなたにも一緒に手伝ってほしいの。」
> ”もう一人のアリス”は 頬を染めてプイと目を背けました。
***その2 魔種010/R ダークアリス
>「私は あなたに助けて欲しいと頼んだ覚えはないわ。
> でも“あの子の夢”がないと〈悪夢の女王〉の仕事もろくに出来やしない。それは私も困るのよね」
> ダークアリスはくるっと回って言いました。
>「だから あの夢が元通りになるまでは手伝ってあげるわ。駒のないチェスも面白そうだもの。」
> 彼女は嬉しそうにダークアリスの手を握りました。
>「ありがとう もう一人の私! それじゃ初めに探すのは…」
***その3 不死030/C マッドハッター
> アリス達は、身を乗り出して帽子屋にたずねます。
>「なんでもいいの 知ってることを教えて!」
>「う~ん 教えてあげたいのはやまやまだけど 残念ながらお茶がきれてしまってね。
> 君達は お茶がないと 僕の話をきけないんだ いや僕が話せないのかな?
> なんにせよさっき ここに来たやつが ぜ~んぶカップを壊してしまってね
> 今は新品のカップしかない 穴のあいたやつでないとお茶はぜんぶ胃袋行きさ
> あいつはたしか何て名前だったかな…」
***その4 人獣030/C ラプンツェル
>「塔から出してくれてありがとう でもごめんなさい
> 魔法の髪が長すぎて 私じゃあなた達のお邪魔になっちゃうわ」
> 悲しげなラプンツェルに、アリス達はこう言いました。
>「そんなの簡単よ。私に任せて!」
> アリスは彼女の髪を、素敵な三つ編みに結い上げました。
>「う~ん 何か物足りないわね 何か飾りをつけなくちゃ!」
> ダークアリスは三つ編みに、素敵な鎧の飾りをつけました。
>「かわいいわ これなら悪い魔女にだって負けないわね!」
***その5 不死1-013/R アリス
>アリス達は、“夢のカケラ”のありかを知っているかもしれない“あの人”を探し、<お菓子リス>の森へとやってきました。ダークアリスは、リスの差し出す紅茶を飲みながら言いました。
>「いつも怒ってるあの人が、ほんとうに協力なんてしてくれるのかしら?」
>「かわいらしくて、おいしくて、とっても素敵な森だもの。ここにいるなら、どんな怒りんぼでも、幸せいっぱいなんじゃないかしら?」
>ラプンツェルは、髪の上に並んだリス達が次々を運んでくるクッキーを、嬉しそうにほおばりながら答えます。
>アリスは、イチゴの浮きタルトをひょいとつまんで言いました。
>「きっと大丈夫よ。前にもダークアリスを助けるのを、手伝ってくれたし、確かに今はとっても機嫌がよさそうだしね。」
>「なんでそんなことがわかるのよ。」
>「だって、この森の動物達、どの子もまだ首がつながってるもの。女王様はとってもご機嫌うるわしいに違いないわ。」
***その5の② 魔種1-004/SR ハートの女王
>「まったく、白い髪のあなた。本当なら処刑のところを助けてあげたというのに、こんなことにまで付き合わせるなんて…城には処刑待ちの行列までできているのですよ?」
>ハートの女王はため息をつくと、アリス達に言いました。
>「とりあえず、戻る為に皆を探し集める必要があるのは理解しました。ほら、さっさと次の夢に跳びなさいな。あんまりぐずぐずしていると処刑ですよ、処刑。」
>行き先がわからないアリスは、困った顔になりました。
>「帽子屋がちゃんと話してくれればね…。あの人ったらお茶会に夢中で、すぐに聞いた質問を忘れちゃうんだもの。」
>ハートの女王はすこし考え、すぐに名案を思いつきました。
>「では裁判を開きましょう! すぐに帽子屋さんをお呼びなさい。何かを隠すようならば処刑、処刑がいやならちゃんと話すでしょう? 聞きたいをこと聞けるし、処刑もできる。
>どちらに転んでも良いことずくめです。では早速断頭台の準備を…」
***その5の③ 不死1-030/C マッドハッター
>「おやおや穏やかじゃないな。
>裁判にはあまいクッキーが必要だろう? それにミルク! まっ白なミルクもだ!
>おっと、落とされた首にかぶせる新しい帽子も用意しないと。
>そういえば首が落とされたら僕が飲んだお茶はどうなるんだろうね? ポット行きかな? カップ行きかな?
>胃袋には戻ってくれそうにないけどねぇ。」
>ハートの女王はイライラとした雰囲気で口を開きました。
>「よほど首を落とされたいようですね。
>いいでしょう、すぐにその首を落としてよくしゃべる口を塞いであげます!」
>しかし、帽子屋は気にした風もなくしゃべりつづけます。
>「首?首といえばチェシャ猫くんなら何度でも処刑できるんじゃないかな?
>なんといったって彼はチェシャ猫だからね!
>さらに彼の持っている”夢のカケラ”があれば、どんな首でもよりどり黄みどりさ!」
***その6 人獣1-015/C チェシャ猫
>「君が“あの子の夢”を元に戻したいと願うのなら、まずは夢から目覚めさせるといい。そうすりゃ、夢を見る前、ほ~ら元通りってわけさ。」
>アリスは顔をしかめて答えました。
>「バカにしないで。私は〈夢の管理人〉なのよ? その私が夢を消すような事をする筈がないじゃない。それに夢が消えてしまえばあなたも消えてしまうかもしれないのよ?」
>「フン。夢が消えた程度でオレ様が消えるとは思えないがね。なんせ悪夢ってのは起きてたって見られるんだから。まあ、なんにせよ“あの子のイカれた夢”のかけらは赤いずきんの女の子が青い顔して持ってったぜ。」
>そういうとチェシャ猫のからだがすぅっと透けて消えていきます。そしてどこからか声だけが聞こえてきました。
>「イカれた夢とイカれてない悪夢、さてさてどちらがましなのやら」
***その6の② 魔種1-014/R ダークアリス
>「相変わらず憎たらしいわね。言うだけ言って消えるところも、あのにやにや笑いも。
>どうにかして笑えなくできないかしら?」
>不機嫌な様子を隠そうともしないダークアリスに、アリスは少し笑いながら言いました。
>「笑わないチェシャ猫なんてただの猫になっちゃうわ。
>それに、"あの子の夢のカケラ"の事だって教えてくれたんだからいいじゃない。
>前に会った時より親切になったと思うわ。」
>「あれに親切だなんて言うのはあなたくらいでしょうね…
>そもそもあいつが赤いずきんの女の子とやらにカケラを渡さなければ面倒が一つ消えたのよ?
>まぁ あいつが誰かの為になる事を自分からやるなんて絶対にありえないと思うけど。」
>ダークアリスがあきれた顔でそう言ったときでした。
>ラプンツェルが大きく手を振り、慌てふためいた表情で走ってくるではありませんか――
***その6の③ 不死2-025/C マッドハッター
>「そんなに慌ててどうしたんだい?お茶の1杯でも飲んで落ち着きなよ。
>気分が落ち着けば何も考えられなくなる筈さ。
>お茶請けにはカップケーキをどうぞ!それともこっちのベリータルトの方が良いかな?
>どちらも食べたら夢の国へ真っ逆さまさ!」
>帽子屋は自分のカップをとると、トントンとカップの底をつつきました。
>すると、カップの底に穴が空いて、とぽとぽとお茶がこぼれだしたのです。
>いつも通りの帽子屋の様子に、ダークアリスはため息をついて尋ねました。
>「お茶会が好きなのはいいけど、今はそれどころじゃないの。
>ラプンツェルが見つけてきた”赤く染まった広場”・・・あれは〈赤の女王〉の・・・」
>お茶で濡らした口のまわりを拭きもせずに、帽子屋は答えました。
>「タルトからまっ赤なベリーを食べてもタルトは残るだろう?
>でも、ミルクに紅茶をた〜っぷり入れたら、それはミルクなのかな?それとも紅茶なのかな?
>でも大事なのは赤いのと白いののバランスだよね。
>せっかくなら砂糖もたっぷりいれたいねぇ。」
***その6の④ 魔種2-006/SR ハートの女王
>「先ほどからお話している〈赤の女王〉とはどこのどなたですの? 私たちに何か関係あるのですか?」
>ハートの女王が尋ねると、アリスたちはすごく驚いた顔をしました。
>「覚えてないの?! ダークアリスを助ける時に会った赤い服の女の子がいたでしょう? あの子のことよ。彼女も“夢のカケラ”を狙っているのかも…」
>ハートの女王はしばらく悩んでいましたが、ようやく思い出したのか両手をパンッと叩きました。
>「あぁ、あの時の! 赤い色がお好き、というところだけは好ましい方でしたわね。まぁ、真っ赤なバラは私の方が似合っているでしょうけど。」
>ハートの女王は自信たっぷりの顔でアリスに言いました。
>「あのおチビさんに優雅な赤さで負ける気はしませんわ。今すぐ他の夢に跳んで捕まえてきてくださいな。先ほど作った断頭台もありますし、私が裁判を開いて差し上げます。
>“夢のカケラ”が手に入り、処刑もできる。あぁ、本番の前にちゃんと試さないといけませんね。ということで帽子屋さん。ちょっとそこに首を…」
***その7 人獣1-001/UR アカズキン
>「おばぁちゃんのおミミは どうしてそんなに大きいの?」
>――それは オマエの…
>「わかったわ! 私のかわいい声をよく聞くためね!」
>――え… まぁ そうかな
>「おばぁちゃんのおメメは どうしてそんなに大きいの?」
>――それは オマエを…
>「まって わかったわ! かわいい私をよく見るためね!」
>――あ… うん
>「おばぁちゃんのおクチは どうしてそんなに大きいの?」
>――クク…それは…
>「素敵! 素敵だわおばぁちゃん!! わかってるわ何も言わないで! あぁ 私のために狼になってまで…!」
>――え… オマエ 気付いて… えぇ…!?
>「さぁ 行くわよおばぁちゃん! 私のかわいさとおばぁちゃんの愛、そしてこの夢のカケラがあれば、この森は全て私たちのものよ!」
>――ちょ… オマエ何言って …えぇぇぇ!?
***その7の② 人獣2-003/UR アカズキン
>「さぁ おばぁちゃん! やつらをむかえうつわよ!」
>――え… なにを…
>「変な連中が この『夢のカケラ』を探して 森をうろついてるって さっきの残念な猟師さんが言ってたわ!」
>――いや… 残念て… あの猟師は…
>「わかってるわ! あの猟師さんは かよわい私を 戦いから 遠ざけようとしてくれてた… でも おばぁちゃんが 私はやれる子だって せっかんしてくれたのよね!」
>――いや… あれはオマエを オレから助けようとして撃ってきたから…
>「あぁ おばぁちゃんの期待と 猟師さんの犠牲に報いなきゃ… 森全制覇のためには このカケラは絶対わたせないわ…!」
>――いや 森全制覇とか… それにオレはおばぁちゃんじゃ…
>「何をいっているの おばぁちゃん! 弱気は禁物よ!! 血肉をくらってきた 獣の牙はどこにいったの!?」
>――ちょ… 血肉ってオマエ やっぱり気付いて…!!
>「きたわ いくわよ! いっけぇ! おばぁちゃんパーンチ!」
>――いや… 待てって!! …えぇぇぇぇぇぇ!?
***その8 魔種2-009/R レッドクィーン
>「くぅ…!あの忌々しい〈処刑好き〉さえいなければ、今ごろは…!まぁよい。
>幸い、ダークアリスが抜けきる前に“あの娘の夢”が崩壊したおかげで、
>〈悪夢の女王〉の力のいくらかは妾の中に残っておる。それに…」
>赤の女王はバットに力を込めて強く地面を叩きました。
>すると赤の女王の周りは樹も地面も、全てが真っ赤に染まってしまいました。
>「この〈悪夢の女王〉の力と、あの娘からこぼれ落ちた“夢のカケラ”…
>この2つがあれば、もはや〈処刑好き〉も〈夢の管理人〉も妾の敵ではない。
>フフフ…ゆくゆくは〈夢の管理人〉の力も手に入れ、全てを〈赤の女王〉たる妾の物としてくれよう!
>その為にもまずは“夢のカケラ”と悪夢の住人たちを集めねばならぬな。チェスには手駒がなければ始まらぬからの。」
>赤の女王は再びバットに力を込めると、今度はそのバットで何もない空中を叩きました。
>すると、女王の前にぽっかりと赤い穴が口をあけました。
>赤の女王は満足そうな笑みを浮かべると、その穴に飛び込んでいきました。
***その9 魔種2-018/C ジャバウォック
>その森には恐ろしい化け物が住んでいます。誰かが確かめた訳ではありませんが、獲物に食らいつく強靭な顎と鋭い鈎爪を持ち、森に入る者を引き裂いてしまうといいます。
>そんな恐ろしい化け物にまるで散歩でもしているかのように、すたすたと近づく者がいました。
>「ふむ、なかなか活きの良い化け物ではないか。これは良い手駒となりそうだ。」
>今にも飛び掛からんとする化け物の前に現れたのは、深い笑みを浮かべた赤の女王でした。赤の女王は化け物に向かってバットを振ります。すると、化け物を真っ赤な光が包みこみました。
>「妾こそは〈悪夢の女王〉! “ひとごろしき”の化け物ジャバウォックよ! お前を妾の第一の駒としてやろう!」
>もう一度赤の女王がバットを振ると、紅い光が消えていきます。光が収まると、そこには先ほどの獰猛さはどこへ行ったのか、化け物が静かに頭を下げていました。
>赤の女王は大人しくなった化け物の様子に満足そうに頷きました。
***その9の② 魔種3-030/C ジャバウォック
>――どうして!?この物語に“アイツ”はいないはずだろう!?スナークの代わりにジャバウォックだなんて!
>確かに“おとなりさん”だけど、これじゃぁこの物語の流れが変わってしまうじゃないか!
>おびえて隠れるベルマンたちの耳に、ずしんずしんと足音が聞こえてきます。ジャバウォックがベルマンたちを探しているのです。
>――なんとかして“アイツ”をこの物語から消さないと僕らの物語が、この夢の世界が壊れてしまう!…でもどうすればいいんだ!
>とうとうベルマンは頭をかかえてしまいました。一緒に隠れている仲間もみんな不安そうにしています。
>その時、どこからか楽しそうな少女の声が聞こえてきました。
>「この物語も悪くはないのだが、これでは〈悪夢の女王〉程度よな。妾の求める悪夢にはちと届かん。
>〈赤の女王〉としては、謎が残るような結末ではなく、救いようのない、まっ赤な色の、最悪の結末こそが望ましいのだ。たとえば…こんな感じにな。」
>少女が錫杖を振るうと、地面は大きなチェス盤に、ベルマン達の隠れる木々はまっ赤な駒に変わっていきました。
>「ほれ、ゲームの開始だ! ジャバウォックがくるぞ! 捕まればそなたらは妾の駒だ!」
***その9の③ 魔種3-011/R レッドクィーン
>探索隊たちをまっ赤な駒に変えた赤の女王は満足げに言いました。
>「ふむ、この島はなかなかに良い島だの。ジャバウォックに、バンダースナッチ、おまけに8人と一匹もの駒が手に入ったわ。おぉ、あそこにも。どれ」
>赤の女王はひょいっと木の枝に飛び乗ると、近くにいた動物たちに触れました。すると、動物たちは次々とまっ赤に染まり、みな一様に赤の女王にかしずきました。
>「うむ、良い良い。さて、あとこの島で良い駒になりそうな者は、やはりアレだな。先ほどの探索隊が探していた動物、『スナーク』とかいったか。そいつも妾の手駒としてやろう」
>赤の女王は、うきうきと森を探しました。すると、岩の裂け目に怪しげな動物が。赤の女王は、探索隊が持っていたスナークの特徴が書かれたメモを見ると、満足げにうなずきました。
>「羽毛に牙、ひっかき爪、まちがいないの」
>そう言って、赤の女王がその動物に近づき触れると、赤の女王はひゅんっとどこかへ消えてしまい、あとには、こんな探索隊のメモだけが残りました――“スナークには羽毛と噛み付き牙が生えている。
>頬髭を生やしていて引っ掻き爪もある。ただし、あるスナークはブージャムであり、これに触れるとどこかに消えてしまうので注意するように”
***その9の④ SP-037/SP レッドクィーン
>「ぁむ…むぐ…うむ、なかなか良い味ではないか。誰が作ったのかは知らぬが、褒めてつかわそう。だが、惜しむらくは…」
>
>赤の女王は手が汚れることも構わず次のケーキをむんずとつかむと、ケーキにのったイチゴだけをつまんで食べました。
>
>「もっとイチゴをたくさん使った、生地もクリームも真っ赤なケーキであれば、妾のお気に入りのひとつに入れてやらんでもなかったが…まぁ、<悪夢の女王>の髪のように白いクリームと、
><夢の管理人>の髪のように黄色いスポンジ、それらをふんずけて座るたったひとつの赤いイチゴ…これはこれで、なんとも良い味わいよの」
>
>そう言って、赤の女王はイチゴのなくなったケーキをぽいっと放り投げます。部屋を見回すと、あたりはイチゴのなくなったケーキだらけ。それを真っ赤なハリネズミがムシャムシャとさらに食べ散らかします。
>赤の女王はその様子を見て、良い良いと笑いました。
>
>「しかしあの生き物…あの物語の罠に引っ掛かってしまったのは失敗であったが、飛ばされた先が“ここ”だったのは幸いであったの。ここが何の物語かは知らぬが…そろそろケーキにも飽いたし、喉も渇いたわ。
>ほれ、とっとと茶を出して、あの『夢』の話を聞かせぬか」
>
>すると、突然テーブルの上にたくさんのカップやティーポットが現れました。カチャカチャと音を鳴らすカップに、ひとりでに浮いたティーポットがお茶を注いでまわります。
>
>それを見た赤の女王は、顔をしかめると、「フン、カチャカチャと…マナーがなっとらん!」そう言ってバットを握りしめカップたちを――叩こうとして、後ろからその腕を掴まれてしまいました。
>
>「おやおや、乱暴なお客さんだ。招待状は出してないはずなんだけどねぇ? いや、真っ白な招待状は君が食べちゃったのかな? それともそっちのネズミくんかな? どちらにせよだ。まずは一緒にお茶を楽しもうじゃないか。
>さぁ、お好きな席にどうぞ!」
***その9の⑤ 人獣3-019/C マルジー・スナーク
>マルジー・スナークは後ろを振り向いて誰も追いかけてこないことを確かめると、大きくため息をつきました。
>「あぁ、あぶなかった~。空中に穴ができたと思ったら、中から女の子たちが跳び出してくるなんて…二回目だからあわてずに隠れられたけど、この前の〈真っ赤な女の子〉のお仲間かな?」
>スナークは大事な〈脱衣車〉に腰かけ、少し前に島に現れた〈真っ赤な女の子〉の事を思い出して苦い顔をしました。
>「あの〈赤い女の子〉も空中から現れたんだよなぁ。空中に真っ赤な穴が開いたと思ったら、中から女の子が飛び出てきて、しかもジャバウォックなんてものまで一緒に…探検隊の人たちも、
>島の生き物もたくさん真っ赤にされちゃって…僕もこの脱衣車と“これ”がなかったら危なく見つかってたかも。」
>スナークは帽子を外すと、その中からきらきらと輝く“何かのカケラ”を取り出しました。
>「急に“カケラ”が光りだしたから、光が漏れないように脱衣車に隠れた後、すぐにあの真っ赤な穴が出てきたんだよなぁ。自由に模様が変わるこのカーテンがあれば絶対に見つからない自信はあるけど、
>急に空中から飛び出してこられると流石に…でももう安心だ! この前も今回も、この“カケラ”は僕が見つかりそうになった時に教えてくれたんだ! この“カケラ”と自慢の脱衣車があれば完全無欠! 今まで通り、
>もう絶対に誰にも見つからないね!」
>スナークが“何かのカケラ”を帽子の中に戻そうとしたその瞬間! 急に“カケラ”が輝きはじめました。
***その11 海種3-008/R 雪の女王
>「“夢のカケラ”だと? ああ、あの2人が抱えていたアレか。何もかもが凍りつく、この冷たく美しいワタシの園で、あんなもの抱えて愛だ夢だと熱く語り合う不届きな男女がおったからな、仲を引き裂いてやったのだ。
>フフ…散々愛を語っておったが他愛ない。2人ともアレを置いて方々に去って行ったわ。だがワタシは愛だの夢だの、そんな儚く頼りなく不確かなものに興味などないからな。あんな生温かいカケラなぞ、遠くに投げ捨ててやったわ」
>「ええー!? あの“夢のカケラ”を捨てちゃったの!?」
>アリスは驚いて思わず大きな声をあげてしまいました。
>「信じられないわ…アレを容易く手放せる人がいるなんて…」
>ダークアリスも言葉を失いました。
>「…む? アレはそんなにすごいもの…だったのか…?」
>普段は悠然と気高い雪の女王でしたが、2人のただならぬ様子に、少しばかり動揺しました。
>「どこ!? どっちに向かって投げたの?」
>「ええっと…こっちの…いや、あっちのはるか山の向こうにでも飛んでいったのでは…ないかな…」
***その?の? 不死3-025/C マッドハッター
>「さてさて…お嬢さん方は次の物語に行ってしまったようだし僕もここらでダンスパーティとしよう!
>&space(4)まずは今日のパートナーを決めないとね…キミ!&space(4)そう真っ赤なドレスのキミにしよう!&space(4)さあお手をどうぞ!」
>帽子屋は誰もすわっていないイスに向かってまるでエスコートするように、うやうやしく片手をさしだしました。
>すると誰もいないはずの空間にふわりと真っ赤なドレスがあらわれたのです。
>帽子屋はドレスの腰に手を添えると、リズムにのって踊りはじめました。
>「僕たちみたいに白と赤の二つだけならお互いがはっきりわかるのにねぇ。“夢のカケラ”が集まれば、誰でも真っ赤になっちゃうんだから…
>&space(4)赤いダイヤと赤いスペード、赤いハートと赤いクラブだなんて、全部混ざったらどうなっちゃうのかな?
>&space(4)やっぱり真っ黒なハートになっちゃうのかな?
>&space(4)でも大丈夫!&space(4)そうなるころには僕らの物語もぐちゃぐちゃどろどろ!
>&space(4)誰もが“あの子の夢”の中で終わらない物語を演じ続けるのさ!
>&space(4)題名は…『しんくのものがたり』なんてどうかな?」
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**新・アマゾネスの冒険 &link_anchor(▲){▲}
各地で友だちを作りながら父を探す娘の物語。
フレーバー【新・アマゾネスの冒険】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『ママリリの友だち』を獲得出来る。
***第1章 人獣017/C ママリリ
>母上、いったいどこいった?
>帰って来たら 消えちゃった・・・
>母上 父上探しにいっちゃったのか?
>なら ママリリも 冒険の旅 出る!
>母上探して ママリリも一緒に父上探す!
>だから母上! ママリリ追い付くまで待っててね!
>父上捕まえたら みんなでメシ食べよう!
>でも 旅には アレ必要か... 大事で 楽しい アレ!
>ママリリ 立派なアマゾネスだから もう知ってる!
***第2章 不死021/C フォル
> 何も思い出せない…私は…君の事を知っているのか?
> 君の事を見ていると胸が苦しくなる…私の中の何かが叫ぶんだ…なあ、ほんの些細な事でもいい!
> 何か知っているなら教えてくれないか!私が何者なのかを、この喪失感の意味を!
>「ママリリ ひとつ知ってる! 悲しいことは楽しいことで
> 忘れる! ママリリ お前の友達なる お前に名前つける!
> だから泣くな! ママリリといっしょに笑え!」
> 少女からの最初の贈り物は、俺の存在を示す名前だった。
***第2章 その2 PR-001/PR フォル
> 毎晩のように夢を見るんだ。 美しい女性の夢を...
> 彼女はいるも悲しみに暮れた瞳で私を見つめ...
> 私はぎらついた目で、彼女の血に染まった剣を見つめる...
> ...恐らく私の過去。ママリリ、きっと私は貴方と一緒にいていいような人間じゃない...
> でもね、その夢には続きがあるんだ。悲しみ暮れる私の傍らにはなぜか貴方が現れて、
> この手を無理やり引っ張り旅に連れ出すのさ。
> その時の私は困った顔をしながらも内心とても楽しそうで... だから...
***第3章 魔種029/C アマイモン
> 人の子よ、何を望む? 力か? 財か?
> 四方が一つ、地の王たる我に何を望む?
> まあ、何でもよいのだがな。我は貴様を通して現出するのみ…
> はなはだしき暴威と混乱を!
> ククク…後悔しても遅い 既に契約は成ったのだ
> 我は契約通り世界に暴威を振るう…ん? この文章だと契約は…
>「アマイモン、友達なった! ママリリの友達なった!
> だから一緒にメシ、狩りにいこう!」
> 地の王は、契約の詳細を確認しなかった己を悔やんだ。
***第3章 その2 魔種1-029/C アマイモン
>のう、人の子よ。物は相談なのだが、契約の破棄と再契約をせんか? 今の契約よりも、もっと良い条件で契約を結んでやるぞ? さっきの契約書はちと手違いがあったのでな。
>貴様もより良い条件の方が嬉しいだろう? まずはこの契約破棄同意書に署名を…
>「ママリリ 友達増えて嬉しい! アマイモンと一緒にメシ食って、狩りに行ける! 何も困ってない!」
>ま、待て、人の子よ! 今なら我が配下の権能を使う権利を付けてやろう! 幾何学や天文学などを教えてやってもいいし、どこかに瞬間移動させてやる事だってできるのだぞ?
>「ママリリ よくわからない! それよりメシと狩り行こう!」
>ええい、ならば我が地獄にて掘り出された、この金塊を付けてやろう! 貴様の大好きなメシもわざわざ狩らんで良くなるぞ? ほ~ら魅力的だろう? チャンスは今しかないんだぞう?
>「それ食えない ママリリ それいらない! メシ、狩り!」
>い、いや、しかしだな…おい、そこの騎士! 何を笑っておる!
***第4章 神族025/C 毘沙門天
> 我は四方が一、北方の守護者なり。見よ御法日輪の朱き鎧と三叉戟!
> 我の多聞の耳は、仏界のあらゆる言霊をとらえ得る。
> 真言を唱えし者には加護を。邪悪なる者には必滅の一撃を。
> 仏界に仇なす者共 心せよ!汝等に悪心あらば、ただ我が滅すのみ!
>「おまえ さっきから ひとりで何言ってる? 友達いない?
> なら おまえ 友達なれ! ママリリの友達なれ!」
> 四天王が一人、仏界のあらゆる言霊をとらえる北方守護神の耳は、
> ほんのり御法日輪の朱色に染まった。
***第5章 人獣027/C アレキサンダー
> 生まれついての王たる男は、眼前に広がる異界を見渡した。
>「面白い 運命の神よ! 俺はこの地でも我が王国を
> 我が覇道を築きあげようぞ! 待っていよ 未来の我が軍勢よ!」
> それは異界に対する王の宣誓だった。男にはまだ見ぬ勇士達が気勢をあげ、
> 各々の武器を高らかに掲げる姿が見えていた。
>「おまえ すごい! ママリリ 見えない!
> おまえ 見えない軍隊持ってる! おまえ 友達になれ!」
> 無垢な少女の瞳に、王は掲げたけんをためらいがちにおろした。
***第5章 その2 人獣1-030/C アレキサンダー
>「我が威風を意に介さぬその度胸、実に良し!
>娘よ!お前は俺に友となれと言ったな? その小さな身で我が覇道に何を求める?」
>王が尋ねると、少女は先ほどの王の宣誓を真似るように、自分の武器を掲げて答えた。
>「ママリリ 母上さがす旅の途中! 旅にはすごい友だち必要!
>おまえ 見えない軍隊持ってる! おまえすごい!だから おまえ 友だちなれ!」
>王はしばし沈黙したが、やがて豪快に笑いだした。
>「ワッハッハッ! なるほど! 確かに旅をするにも、覇道を行うにも友は必要だ。
>よかろう! お前をこの俺の友として認めようではないか! 共にこの世界に覇をとなえようぞ!」
>再び剣を掲げ、改めてこの世界に宣誓をする王に少女は言った。
>「おう!さすが友だち! じゃぁ見えない軍隊 見せてくれ!」
>「いや… 娘、もうその話はやめにしないか…」
***第6章 海種021/C クトゥルフの落とし児
>「いあ! いあ! くとぅるふ! ふんぐるい むぐるうなふ
> くとぅるふ るるいえ うが=なぐる ふたぐん!」
> それは深き海よりやってきた。
> 陸に上がったそれは鱗と甲殻とをないまぜたような不滅の触手を震わせる。
> それは探しているのだ…求めているのだ…偉大なる神に捧げる生贄を…!
>「みんな! こいつ食べてもへらない! これで メシ困らない!
> みんな こいつ つれて行こう!」
> 目を輝かせた笑顔の少女に、仲間達は腹を摩ってうなだれた。
***第6章 その2 不死1-026/C フォル
>彼女に手を取られ、昏き古城を出てから半年が過ぎた。
>いまや、彼女の不思議な魅力に惹き込まれ…いや、巻き込まれた
>半裸で妙に前向きな人間の王、何かと詐欺まがいの契約を迫る魔王、仏頂面だが実は照れ屋の東方の神…
>他の皆も見るからに一癖も二癖もある連中だが、なぜだろうか…
>皆、彼女の天真爛漫な奔放さに振り回されながらも、不思議とまとまり、内心では旅を楽しんでいるようだ。
>かく言う私もその一人だ。
>記憶は依然、取り戻せずにいるが、なぜか、この感じにとても懐かしい居心地の良さを覚える私がいる。
>「この日々が続くのであれば、私は、このままでも良いのかもしれない…。」
>そう呟いた私は、愛剣を構え、眼前の要的に切りかかった。
>「一気にいくぞ…!いやーーーっ!!!」
>「フォル!今日の晩メシなんだ!」
>「はい、今日はゲソの唐揚げにしようかと!」
***第7章 神族1-018/C カンヘル
>始原より、カンヘルと名付けられし竜人は、瞳に苦悩を浮かべていた。
>彼は、戦士であり、王であり、神であった。彼は民を愛し、また、民も彼を愛した。
>しかし、海の向こうより、翼と、印を持つ者が現れ、その強大な力でこの地を征服した。
>かの者たちは、自分たちの神を信じない者を、決して許しはしない。
>竜人は苦悩の末、民を守るために印の元に下り、かの者たちは、竜人にセルピウスという異国の名を与えた。
>こうして、愛すべき民たちは、救われた。
>しかし、自分たちの神が、印を賜ったことを知り、民たちもまた印を信じ、竜人のことを忘れていった…。
>これで良かった。良かったはずなのに…。
>「おまえ せるぴうす…? なんだか まったく似合わないぞ!
> そんなカッコわるい名前やめて友達なれ! ママリリの友達になれ!」
>確かに…確かにそうだな。
>少女を見つめる竜人の瞳に、久方ぶりに晴れやかな輝きがもどった。
***第8章 人獣2-004/SR ミミララ・レイア
>二対の巨大な獣骨でできたブーメランを掲げた美女は、
>ジャガーのようにしなやかな動きで少女の前に降り立った。
>彼女のこぼれんばかりの笑顔、その太陽のような笑顔には、
>どれほど怒れる獣でさえも心穏やかに頭を下げるであろう、
>そんな温かな魅力に満ち満ちていた。
>「ママリリ! しばらく見ぬ間に大きくなったな!
>それに 母のように 友だちたくさんできた!
>えらいぞ! ママリリ! おぉ! ひさしぶりだな!
>あんこくきっしーも一緒じゃないか!
>ん? 父さま? あぁ 父さまはどこに行ったんだろうな?
>ママリリのジジさまも どっかに行ってしまったしな
>アハハ 父さまというのは みんなどっかにいくものだな!
>母か? 母はじょおーだからな! みんなのために
>うまいメシさがしていたら こんな所まで 来てしまったのだ
>さぁ みんな! メシにしよう! メシをくったら
>一緒に 父さま 探しにいこう!」
***第8章 エピローグ SP-018/SP ミミララ・レイア
>スースーと、気持ち良さ気な寝息を立てている若きアマゾネスを優しく見つめながら、女王はその耳元にそっと囁いた。
>「ママリリ ほんとに大きくなった… オマエは 母の 小さいころにそっくりだ 母も ママリリくらいのころに オマエのジジさまを探して いっぱい旅をした 旅で
>たくさんの友だちできて いろいろなところへ行って 友だちとたくさんメシをくった 楽しかったなぁ… あ そういえば あの白いのは 最後までくわなかったな…
>母は けっきょく ジジさまには会えなかったのだけど…… ママリリは ……父さまに会いたいよな? フフ 父さまとは あの旅の途中で であったのだ
>…やっぱり 父さまは 母がひとりで探しにいくよ 父さまに 近づくことは きっと危険なことなんだ… あの友だちたちが オマエといっしょにいてくれるなら 母も安心だ
>それまで… 父さまを見つけるまで あんこくきっしーを頼んだぞ」
>そう言って立ち上がった女王は空を見上げ、その後にもう一度だけ娘に愛おしそうな視線を向けると、風のように森の奥へと消え去った。
***第9章 人獣3-008/SR ミミララ・レイア
>森の中を巨大な竜が木々をなぎ倒し駆けてゆく。何かを追っているのだろうか――いや、あれは追われているのだ。よく見ると、竜のすぐ後ろに小さな人影が見えた。その人影――女戦士は、
>二対の巨大な獣骨の武器を、身の丈の5倍はあろうかという竜に投げつける。それは見事竜の頭を打ちぬいた――が、いかに武器が巨大であってもこの体格差に――効いた。巨竜は体をぐらりとゆらして倒れる。
>「アハハ どんなもんだ! ほら オマエの父のかたき うってやったぞ! さぁ こいつでメシにしよう!」
>オマエも食え、と手際よくさばいた巨竜の肉を差し出した先には小さな獣の子供がいた。
>「やっぱり だれかと一緒にくうメシは最高だな! むぅ… しかし こいつなかなかうまいな よし いつかママリリにも くわせてやろう」
>そう言うと、女戦士は少しさみしそうに獣に言った。
>「オマエは もうオマエの父とメシがくえないんだな… メシは 友だちと それに家族と みんな一緒が 一番 うまいんだよな …だから あいつを探さなきゃいけない あいつは あの旅で出会った
>ミミララの一番の友達なんだ… まぁ そんなわけで オマエもミミララの友だちだ! …また 一緒にメシくおうな!」
>女戦士はそういうと、風のように森の奥へと消え去った。
***第9章 その2 神族4-012/C バリオス
>「メシを取ってくると言って出て行ったきり、なかなか帰ってこないと思えば…まさかこんな異世界にまで来ていたとは…そういうところは相変わらずなのだな、アマゾネスの女王よ…」
>草むらで気持ちよさそうに眠る女戦士の前に舞い降りた神馬は、あきれたようにため息をついた。
>「しかし、異世界の森の中で、よくもまぁこのように堂々と…豪胆なのか、鈍感なのか…。この子の“友だち”はそろいもそろって心配性ばかりだが、これでは確かに皆が心配になる筈よな…」
>神馬は女戦士を起こそうと顔を近づけたが、気を変えたのか、そのまま隣に腰を下ろした。
>「ふむ…せっかく気持ちよさそうに寝ているのだ、無理に起こす必要もあるまい…」
>眠り続ける女王に寄り添う自分をかえりみて、神馬は、かつて常に女王の隣で彼女を守り続けた男の姿を思い出した。
>「…この子の隣を守るのは、やはりお前がお似合いだ。暗黒騎士よ、お前は今どこにいるのだろうか――今思えば、お前が姿を消し、この子はその後を追うように森を出て行った。
>そしてまた我々も…。なぁ、私は、とうとうあの者の居場所をつかんだぞ。それを聴いたとき、はたして、この子は――」
>神馬はそう一人つぶやくと、最後になるかもしれない、その安らかな眠りを守るように、黙って女王を見つめ頭を垂れた。
***第10章 魔種3-014/C カークス
>巨人は見てみたかった。
>「それ」は、困っているとたすけ合いたくなるもの…、一緒にいたいと思うもの…、胸が温かくなるもの…らしかった。
>巨人は生まれてこの方、そんな奇妙なものは見たことがなかった。
>あらゆる生き物は、彼が近づくだけで、顔を思いきりゆがめて逃げていった。
>それでも無理やり触れようとするものならば、それらはみな、彼の体から噴き出る炎に焼かれ、灰となった。
>いつか洞窟の陰で耳にした、人間の子らが口にしていた「それ」の名はいったいなんといったか…。
>もしかしたら、目の前で彼を恐れず見上げている、この小さな生き物ならば、それを知っているかもしれない
>――巨人は、そう思った。
>「…オマエ…ダレ…?」
>「ママリリはママリリ! おまえでっかい すごい!」
>「オレ…コワク…ナイ…ノカ…?」
>「怖くない! おまえ 火ぃはく! かっこいい!」
>生まれて初めてする他人との会話のせいなのか、巨人は胸の奥がグラグラとゆれている感じがした。
>「そうだ! おまえの火 メシ作るの便利!
>&space(4)おまえ 友だちになれ! ママリリの友だちになれ!」
>――あぁ…「それ」だ。確か「それ」はそんな名前だった…。
>巨人の胸の奥は、さらに大きくゆれ――あぁ、なんだか温かいなぁ――そう、思った。
***第11章 海種4-012/C メイル
>その馬のような獣――ケルピーは水辺にいる。
>ケルピーは、歩き疲れた人間を見付けては、なんとも蠱惑的で、誘うような眼差しを送る。しかし、決してその背に跨ってはいけない。
>その背に乗った者は皆、抗う間も無く水底に連れ込まれてしまうのだから。ケルピーにとって、人とは食糧であり、恐怖を与えて狩る獲物でしかないのだから。
>
>その日も、ケルピーのメイルが水辺に佇んでいると、旅の少女がやってきた。腹を空かせているのだろうか、その背は前へと折れ曲がり、足取りも重そうにしている。
>メイルは無垢な瞳で少女を見つめると、静かに屈み、その背へと誘った。メイルの目を見た少女は、ふらふらと近づくと、その緑のたてがみをそっと撫で、憑かれたようにその背に飛び乗った。
>メイルはいつものように水中目がけて疾走し――――不意に頭をのけぞらせた。
>
>「こいつ わかめ 生えてる!」
>少女はそう言うと、むんずとメイルのたてがみを掴み、ワシワシとむしって食い始めた。
>「この馬 食えるし乗れるし 便利だ! いい獲物見つけた! みんな! こいつ つれて行こう!」
>少女は、仲間達のいる岸に向かって、メイルをまるで馬のように走らせた。メイルは少女に御されまいともがくも、背にしっかとしがみ付くその力は、人のそれとは思えぬほどの剛力だった。
>メイルは、生まれて初めて食料として、駆られる獲物の恐怖を知った。
***第12章 魔種4-014/C オルトロス
>紅き光に導かれ、畜生の中の畜生、忌まわしき双頭の魔獣…オルトロスはついに地獄から蘇った。
>
>彼は地上へとたどり着くや否や、目に映る人間らを手当たり次第、喰らった。耳に響く叫喚、舌に広がる肉の味、鼻腔をくすぐる血の香り… 懐かしきそれらは、地獄で乾ききった魔獣の欲望をいたく刺激した。
>
>彼は欲望のまま、獰猛に、執拗に、貪り続けた。しかし、喰らえど喰らえど、彼は満たされなかった。それどころか、喰らうほどに、その渇きはひりつくような熱を帯びていった。
>
>原因は明らかだった。それは、かつて己を殺した半神の英雄への激しい怒り。その妄執的な復讐心は、魔獣の残虐性を以前とは比べ物にならないほどに研ぎ澄ました。
>
>一刻も経たぬ間に、一帯の全てを腹に収めた魔獣は、鼻をひくつかせ、決して忘れ得ることは無い己が仇の臭いを探った。
>
>魔獣は戸惑った――どうしたことか…その臭いは、それぞれ真逆へと向けた双頭の方角、それぞれから感じられるではないか。
>
>あさましくも、ヤツは血族を増やしているのか――そう気付いた魔獣は、血にまみれた口をニヤリと歪ませた。
>
>――これはいい、これはいいぞ…これは癒される…どれ程の渇きだろうと癒される…!奴の残した栄光を、奴の生きた証をすするのだ!まずは、この小さき気配…子供の方からだ!!
>
>魔獣は、ふたつの頭で交互に吠え、食い散らかした屍を踏み潰し駆けだした。
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**冬の魔女のサーガ &link_anchor(▲){▲}
前作のウィッチにお礼を言うため仲間と旅をしている模様。
フレーバー【冬の魔女のサーガ】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『冬の魔女を継ぐ者』を獲得出来る。
***第1章 不死017/C バーバ・ヤーガ
> あの忌々しい〈冬の妖婆〉の呪いが解けたのは、
> 一応あの娘のおかげな部分もなくはないですから、
>〈冬の魔女〉となった私がお礼を言って差し上げようと思っていましたのに…
> まったく、あのマヌケ娘ったら一体どこに行ったのかしら。
> 誰にも言わずに消えてしまうなんて、礼儀がなっていませんわ!
> ほら、皆さん! さっさとあのマヌケ娘を見つけますわよ!
> 自称「偉大なる魔女」を! って、皆さん聞いてますの?!
> こら! 私の言う事を聞きなさーい!
***第2章 神族011/C メア
>〈冬の魔女〉が彼女を探すと言い出した時、神聖なる一角獣は小さな
> 魔女との旅を思い出していた。
> 旅の最中はその背に大量の荷物を載せられ、荷馬の如き扱いを受けたが、
> たまに彼女を乗せて走るのは楽しかった。
>「ほら、メアさん! 早くこの荷物を乗せて下さいな!」
> …こいつもか。とりあえずこいつの尻に我が角を突き立ててやろう。
> 彼女を探すのはその後だ…まったく魔女という奴は…。
***第3章 不死018/C ギルス
>ええい… 小娘! 我が名を気安く呼ぶでない!
>この名は彼女… 我が鎧の中に潜みしこの世あらざるおぞましき不浄に触れてなお…
>我を友と呼んだ偉大なる魔女に授かりしもの…
>貴様のような小娘が軽々しく呼ん…グヌヌ…
>友達の友達は友達、だから別にいいじゃないと?…下らぬ屁理屈を。
>…だが、久しいな。かような軽口も。
>ふんっ、まぁよかろう。 我が剣は彼女のために捧げし物。
>友の友に力を貸すも我が騎士道か。さあ、共に行くぞ!
***第4章 魔種018/C フルフル
>まったく 本当にあの娘、一体どこに行ったのかしらね?
>そうだ! こんな時こそ あなたに役立ってもらいますわ!
>さぁ フルフル!
>その「秘密を解き明かす角」で あの娘の行先を示してくださいな!
>ふむ…東ね。 では皆さん 西に向かいますわよ!
>ふふ… なんといっても「嘘しかつかない」悪魔さんですものね。
>私のように賢い質問をすれば 本当の事を言ってるのと…って
>け 決して馬鹿になんかして…痛っ!
>わ 私のお尻の秘密は 痛っ 解き明かさなくて良いですわ!!
***第4章その2 不死1-023/C ギルス
>どうした小娘。悲しそうな顔をしているな。
>何…?偉大なる魔女のように皆とうまくできないとな?
>フン、貴様もそのようなことで悩むのだな。
>確かに、あの娘には、他の者を引きつける何かがあった。
>だが、貴様はあの娘にはなれぬ。だから、自分をしっかり 持ってだな…
>なに?自分は所詮「冬の妖婆」の器? 中身なんて無いだと?…バカモノが。
>中身なぞ、あとから入れれば良いのだ。仕方ない…我を見よ。
>どうだ…この鎧は虚構よ。我なぞは、中身のみなのだ。
>しかも、 その中身は誰もが目を覆い、見たことすら忘れたくなる、
>この世の全てのおぞましいものを無い混ぜた、「醜悪」という 概念そのものときている。
>我に比べれば貴様なぞ、どれほど…
>何!? キモくて臭いから見せるなだと!! なんと無礼な! もう良いわ!
>…なんだ! まだ何か…ん? いいから黙って 側に居ろだと…?
>フン まったく…我が儘な娘だ…。
***第5章 魔種1-018/C ギガス
>はじめ巨人にとって魔女は鍋の材料だった。
>いつもの森で鍋に放り込むものを探していた時に捕まえた肉…
>鍋を火にかけてさぁ食おうという段階で魔女が喚いている事に気が付いた。
>何を喚いているのかはわからなかったが、別の旨い鍋を食わせてくれると言ったので鍋から取り出した。
>その後で魔女が作った鍋はいつも食べていた鍋よりずっと旨かった。
>――これは契約の鍋よ! あなたは今日から私の最初の下僕になりなさい!
> もっと美味しい食べ物も教えてあげるからしっかり働きなさいよ?
>今、あの魔女はいないが、思い出すともう一度あの鍋を食べたくなった。
>今日のところは、さっき新しく出会った魔女にもらったコレで我慢するが、
>あの魔女を見つけたらまた作ってもらおう。
>巨人は背中の荷物からメシを取り出して口に放り込んだ。
>「こらー! そこの愚図巨人さん! それは明日の食糧ですわよ! 食べるのを止めなさーい!!」
***第6章 不死009/R グロウベック
> 冬の空の下、太陽の届かぬ昏き地に屍竜の慟哭が木霊する。
> がらんどうの肉体に、ごうごうと吹き抜けるのは冷たき風。
> 寒い。 屍竜はすでに、冬の寒さを感じ取る器官を失っている。
> 凍えているのは心だ。 かつて与えられた望まぬ不死。
> 永久の孤独に苛まれ… しかし、彼女と出会い、
> 血潮を失った肉体に再び感じた確かな温もり…
> 渇望したものを手に入れ、それを再び失い苦しむ屍竜に彼女は告げた。
>「泣いてないで一緒にきなさい。彼女に会わせてあげますわ」。
***第7章 人獣2-020/C ワング
>あぁ? なんでアイツと一緒にいるのかって?
>そんなの勝手に消えた、あの"マヌケ娘"にオシオキかます為に決まってんだろーが!
>…大体魔女ってのはどいつもこいつも自分勝手すぎんだよ!
>歩き疲れたからおぶれだの、ホウキの手入れしとけだの…
>そもそもヤツは「ロードになって大陸を支配する~」とか壮大なことを言ってたくせに、
>やってた事といえばあっちこっちふらふらしては、食われかけたり、呪われかけたり、
>俺が助けなきゃ、とっくに死神のおっさんに連れていかれてたんだっつぅの!
>あの時だって、ヤツが、めずらしく「心配しないで待ってて」
>とかしおらしく言うから従ったがよ…
>そんなこと言われても心配しかできねーだろうが!
>あぁーっくそったれ! 話してたらムカついてきたぜ!
>とっととヤツを見つけにゃ…となりゃ出発だ!
>アイツは…お、いたいた。
>おい尻娘! 次はどっち行くんだよ!
>「ちょっとワンちゃんさん! 人の事を下品な名前で呼ばないでくださいな!」
***第8章 魔種2-028/C ギガス
>長く暗い洞窟を進み、外の光が見えてきた所で、真っ黒で不気味な生き物が出口を固めていた。人間のようにも見えるが、獣のようにも見える。
>きっと、この先に待つ何者かが仕掛けた、魔法生物であろう。
>「お話が通じるような方たちではなさそうですわね。相手にするのも面倒ですし…かまいませんわ。ギガスさん! ぜーんぶやっておしまいなさい!」
>冬の魔女の言葉に巨人は少し考えた。何かを壊すのは久しぶりだ。かつて、巨人が“偉大な魔女”の仲間となってからのち、旨いメシはたくさん食えたが、
>かわりに何かを壊すことはめっきりしなくなっていた。
>それは冬の魔女の仲間になってからも同じだ。だから、巨人はとても楽しい気分になって全力で――壊した。
>「ちょ、ちょっと巨人さん! 私が言ったのは敵を倒してという意味で、ぜーんぶって、洞窟まで! そんなに暴れたら…この馬鹿巨人!ぎゃあああっ!」
***第9章 人獣3-028/C ワング
>フゥ… これで全部倒したか? …いよっと ちょっと休ませてもらうぜ …チッ それにしてもみんなとはぐれちまったなぁ この雪山で俺ら二人だけかよ…って何震えてんだ尻娘!
>オメェなんかに何もしやしねぇよ! は? 寒い? なら厚着すりゃいいじゃねぇか! 未熟に思われるから嫌ぁ? つーかおめぇ『冬の魔女』のクセに、気温魔法も使えねぇのかよ!?
>…そういや、あいつも似たような事言ってたな… たしか「偉大なる魔女は、自分の周りを常に快適に保つ魔法が使えるから、厚着してると未熟に思われる」だっけか?
>…ったく、魔女ってのはどういつもこいつもプライドだけは一人前だな まぁ、好きにしろや 俺は変身解いてメシに… はぁ? そのままでいろ!? なんで……って何抱きついてんだテメェ!!!!
>あぁ? アイツの言った通りフワモコであったかい…って バ バカ野郎!! 離れ………んなっ!!?? …コイツ、一瞬で寝てやがる…!
>………しゃぁねぇな まぁ、こいつはこいつなりに気ぃ張ってたのかもしれねぇなぁ… しっかし、あのマヌケ娘、コイツにんなことまで話してやがったのかよ――クソッ オメェ、いったいどこにいんだよ…
***第10章 魔種3-001/UR マルグリッド
>「さあ、みんな行くわよ! ベルゼバブが消えたくらいでなによ!
> 倒さなきゃならない『ロード』なんかまだまだいるわ! ひとり先を越されたくらいでめげていられない!
> この大陸は必ずやこの「偉大なる魔女」さまが征服してやるんだからね!」
>
>あたしの掛け声に一番初めに反応したのは食いしん坊の巨人だった。
>返事をしたのは口じゃなくて、お腹だったけれど。
>そう言えば、色々ありすぎて、みんな今朝から何も食べていなかった。確かに食事にするのも悪くない。
>なら、久しぶりにおばあちゃん直伝の「偉大なる魔女特製お鍋」を作ってあげる、
>あたしがそう言うと、巨人は飛び跳ねて喜び、その衝撃で一角獣の背でうたた寝していたオレンジ>色の魔法植物がズルリと落ちた。
>それをとっさに空中で咥えた、一角獣が、ならばとっととこの食料を下ろせと、荷馬扱いされたことをぷりぷりと怒った様子で睨んでくる。
>
>そんな訳で、さっそく鍋の準備が始まったのだが、その何とも芳しい臭いに誘われたのか、
>先ほど飛び去ったはずの古い友だちまで戻ってきて、ちょっとお腹が空いただけだなんだと、一緒に鍋をつつき始めた。
>そしてそれを、皮肉屋の死神がからかっている。
>
>あたしは、なんだか温かいものを感じ、そんな風景に見とれていると、後ろからポンと頭を叩く手。
>振り向くと、ほら、早く喰わねぇと無くなっちまうぞ、と眼帯の男が――
>あたしは、この旅の仲間が好きだ。できればずっとこの仲間たちと――
>
>
>「どうだ?」
>「ダメね。バカバカしい夢が見れただけ」
>暗い一室で、つば広の三角帽をかぶった少女は、機甲装置にかけた多重の魔法陣を解いた。
>体中に紋様を刻んだ男が、豪奢な椅子に座りそれを見つめている。
>
>「頼むぜ? ヒントはお前が持ってるんだ。お前の過去に、必ず“それ”はある」
>解ってるわ、と少女は特に何の感慨も無い様子で立ち上がりその場を去ろうとする。
>男は椅子に座ったまま反り返り、少女の背に向けて言った。
>
>「まさか、戻りてぇとかぬかすんじゃねぇだろうな」
>「まさか」
>即答する少女。
>
>「どうだかな。
> こないだ“覗いて”みたらよ、愉快なお仲間たちは、お前を探してるみたいだったぜ。
> ぞろぞろ連なってよ。まるで蟻みてぇだった」
>少女は少しだけ振り返り、肩を上げて笑った。
>「どうしようもないわね。あいつらは世界の仕組みが分かっていない。まさに無知の罪よ。
> あの儀式で…地獄の釜を開いてその底を見た時、私は分かってしまったんですもの」
>「ならいいがよ、“偉大なる魔女”さん」
>「…詠唱が少し違うのかも。もう少し調べて来るわ」
>そう言って、少女はその場を立ち去りつつ、奥の暗闇に向かい、誰にも聞こえない小さな声でつぶやいた。
>「本当に…どうしようもないわ」
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&aname(紅蓮古事記,option=nolink){}
**紅蓮古事記 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅蓮古事記】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『失われし古伝の語部』を獲得出来る。
***其の壱の序編 PR-007/PRコノハナサクヤ
>ある春の日に、咲耶姫が姉の磐長姫、妹の知流姫と共に桜を
>愛でていると、父の大山津見神がやってきました。
>大層喜ばしげな父の姿に、何か良きことがあったのかと、咲耶姫は尋ねます。
>「お前たちに縁談を持ってきた。これはまたと無い良縁だ」
>驚いて、咲耶姫は磐長姫と顔を見合わせます。
>「それはそれは、私と姉様、どちらのご縁談でしょうか?」
>縁談の話となれば、妹の知流姫には早すぎる。
>自分か姉のどちらかが嫁ぐことになるのだろうと咲耶姫は考えました。
>「両方だ。彼の皇にはお前たち二人を娶ることで、岩のように強固の命と、
>木の花が咲くような繁栄が約束される。その器量ある素晴らしい御仁だ」
>それは良いですわね、と磐長姫は微笑みましたが、咲耶姫は素直に喜ぶことができずにいました。
>冷静な父をすぐにここまで虜にしてしまった皇のことを、
>咲耶姫は感嘆すると同時に空恐ろしく感じたのです。
***其の壱 海種003/SR コノハナサクヤ
> 大山津見神は、笠沙の岬に降臨した、自らを皇と名乗る
> 紅蓮の瞳を持つ男を気に入り、二人の娘を差し出しました。
> 二人の娘のうち、姉方の磐長姫は黙として父の命に従いましたが、
> 妹方の咲耶姫は密かな不安を姉妹に訴えました。
>「姉さま… チルヒメ… サクヤはあの男の目が怖いのです…」
***其の壱の② 海種1-005/SR コノハナサクヤ
>紅蓮の瞳を持つ皇は、まずは姉方の磐長姫を呼びました。
>黙して従う磐長姫に、皇は神力を見せよと詰め寄りました。
>その紅き双眸に驚いた磐長姫は、硬く、醜い大岩に変じて身を守りました。これに怒った皇は、大岩を外へとうち捨てました。次に、皇は妹片の咲耶姫を呼びました。
>怯える咲耶姫に、皇は神力を見せよと詰め寄りました。
>その紅き双眸に驚いた咲耶姫は、太く、立派な桜に変じて心を閉ざしました。見事な桜を見て喜んだ皇は、生き生きとした桜の枝を折り取ろうとしました。あわてて逃げようとした咲耶姫ですが、
>しっかりと地に這った根が邪魔し、うまく逃げることができません。そこに、二人の姉神を心配し、様子をうかがっていた知流姫が飛び入り、桜の精を吸い取って根を枯らし、すいっと咲耶姫をすくい上げました。
>「サクヤ姉様、この者の眼は危険です。今すぐ、アメノトリフネに乗り、常世の国へお逃げください…!」
***其の弐 海種004/SR わだつみ
>”貴様は既に二人の姫より 永遠の命と永久の繁栄を約束された身 これ以上何を欲するか”
> 海神の宮を訪れたその男に、第綿津見神は問いました。
>「海を統べる力が足りぬ 貴様の力を貰おう」
> 男はそうとだけ答えると、海神へと刃を向けました。
>”よかろう… 焔の瞳持つ愚かな天孫よ すこしばかり貴様の下らぬ戯れ事に付き合うてやろう”
> その瞬間、周囲は荒れ狂う渦に飲み込まれました。
***其の弐の② 海種1-006/SR わだつみ
>"紅蓮の相貌を持つ皇に従い、海の底へと潜る大綿津見神を、上津綿津見神が諌めました。
>「あなたが去れば、海の波が凪いでしまいます。」しかし、海神は聞きません。
>仕方なく、上津綿津見神は、せめて守りにこれを、と自身の鱗を渡しました。
>暫く後、今度は中津綿津見神が現れ、海神を諌めました。
>「あなたが去れば、海の流れが止んでしまいます。」しかし、海神は聞きません。
>仕方なく、中津綿津見神は、せめて慰みにこれを、と自身の鱗を渡しました。
>最後に、底津綿津見神が現れ、海神を諌めました。
>「あなたが去れば、海底が渦を巻いてしまいます。」しかし、海神は聞きません。
>仕方なく、底津綿津見神は、せめて手向けにこれを、と自身の鱗を渡しました。
>こうして、大綿津見神は、海の底の常世の祠に着きました。
>海神が祠をくぐった時、高ぶる荒御霊を感じた三神の鱗が、海神の目を腹を尾を覆ったではありませんか。
***其の弐の③ 海種2-005/SR わだつみ
>体を覆う三神の鱗を振り払おうと、大綿津見神は激しく体をくねらせました。大神の荒御霊に気圧されたのか、鱗は次第に小さくなり、体の中へと消え去りました。
>「これしきの戒で、我を抑えられるとでも思うたか」
>そう言って大綿津見神は、常世の祠をくぐりました。するとそこには、先程まで海の底にいたとは思えぬ光景が広がっていたのです。大綿津見神をもってして知らぬ海、
>数多の知らぬ神々の気配。見るとそこに、紅蓮の双眸を持つ皇が立っていました。
>「皇よ。この常世にて貴様は私に何を望む」
>皇は答えました。
>「我が望みはひとつ。この世の海を統べること。さぁ、貴様の荒御霊を思うがままに振るうが良い」
>しかし、海神はまったく動き出す気配がありません。海神は目を細め、宙を見上げてつぶやきました。
>「なるほどな。三神の謀り、我が眷属ながら中々よ。我が体を縛することなく、我が荒御霊のみ鎮めたか。紅き眼の皇よ。大神たる我が荒ぶる御霊を操ろうとした報い受けてもらうぞ」
>そういうと大綿津見神は大きな体を揺らし、皇へと襲い掛かったのです。
***其の参 序編 神族1-014/C ヤタガラス
>幾日目の夜でありましたでしょうか。若者はとうとう飢えと疲労で、大木の根元に倒れ込んでしまったのでございます。
>動けずじっとしていると、次第に夜に目が慣れてきました。
>若者はぎょっとしました。そこには、沢山の動物の死骸が転がっていたのでございます。かすかに動く者は自分と、目の前の息絶え絶えな小鳥のみ。
>どうやら、ここが迷いの森の終着点か...若者は、死を覚悟しました。
>すると、そんな若者を哀れ思ったのか、大木が身を震わせ若者の前に、一粒の果実を落としたのでございます。数日ぶりの食べ物でございました。
>若者は必死に手を伸ばし果実をつかむと――弱った小鳥に与えたのででございます。
>小鳥は、果実を一口かじると、すぐに元気になり、飛び上がって若者に礼を言いました。
>「助かったぞ人の子よ。その心、そしてその紅き隻眼...ぬしには王の器があるようだ。私はぬしを導こう。」
>小鳥がばさぁと翼を大きく広げると、その姿はみるみると大きな三本足の黒鳥に変わっていくではありませんか。
***其の参 神族015/C スクナヒコナ
>「だれ〜だ おまえ? ぼくに用〜?」
> 少彦名神の問いに、紅蓮の双眸を持つ男は静かに答えます。
>「国を造る力が足りぬ 貴様の力を貰おう。」
> 少彦名神はそれを聞くと、小さな体を大きく膨らませました。
>「おま〜え ちょっ〜と 失礼だぞ〜」
> そう言って小さき神は。お神酒をぐいっと傾けました。
>「よよ〜い よいよい 飲め〜ば飲〜む程 つ〜よく〜なる〜」
> 数刻後、何が起きたのか、赤い光と共に酔神の唄は聞こえなくなりました。
***其の参の② 神族1-023/C スクナヒコナ
>紅蓮の双眸を持つ男に連れ去られた酔神は、隙を見て、
>アメノカガミノフネで海へと飛び込み逃げ出しました。
>船をこいで着いたのは、見知らぬ景色の世界。
>「は~てはて~ここは常世の国か~?」
>酔神は辺りを見て、少し考えてからおもむろに歌いだしました。
>「まず~は 酒が足~りんぞ~」
>すると、どこからか極上の酒が、鯨も酔うほど現れました。
>「次に~ 肴が足~りんぞ~」
>すると、どこからか贅を尽くした山の幸、海の幸が現れました。
>「よほほ~い 客が足~りんぞ~」
>すると、どこからかたくさんの兎が現れ、殺風景なその場所は、
>途端に賑やかになりました。
>「ぼく~は満足 もうねむい~」
>満足した酔神は眠ってしまいました。すると、その賑やかな宴を
>聞きつけてか、大きな羽音が近づいてくる
>ではありませんか。
***其の参の③ 神族3-025/C スクナヒコナ
>大きな羽音に驚いて、酔神は目を覚まします。
>するとそこには三本足の大きな黒鳥の姿がありました。
>「や~や~ お~まえ~は八咫烏~ お久しぶり~の おやややや~?」
>八咫烏の背には見慣れぬ若者が一人乗っていました。
>酔神が訝しんで見ると、なんとその者は自分をさらった者と同じ、赤き瞳を持っているではありませんか。
>「お~まえ~も ぼ~くをさらう気か~」
>酔神は、気色ばんで酒瓶を傾けると、その小さな身体をぷくぷくと大きく膨らませました。
>「落ち着き召されよ少彦名神。こやつは敵ではない。かの紅き双眸を倒しうる、王の器を持つ者じゃ」
>八咫烏は引き留めますが、酔神は引き下がることなく、さらに杯を掲げました。
>「ほほ~う ならば~ お~まえ~さん~ ど~こま~でや~れる~か 見~せて~みろ~ これ~で勝負だ 呑~みく~らべ~!」
>そう言って酔神が跳ねると、たくさんのお神酒がどこからともなく現れました。それを見た八咫烏は、呆れて言いました。
>「あんた… もうそれ 呑みたいだけじゃろ…」
***其の肆 不死026/C 黄泉神
>”貴様 コノ黄泉神ヲ怖レヌノカ”
> 黄泉国の神は夜闇に包まれるような重く暗い声音で語ります。
>「常闇を総べる力が足りぬ 貴様の力を貰おう」
> 紅蓮の双眸を持つ男は、亡者の王を決然と見据えました。
>”面白イ 面白イ”
> 闇が這い寄るようなおぞましき笑い声を響かせた悪意の神は、自ら男に協力を申し出ます。
> 紅蓮の皇が腕を振るうと、其処此処に赤い文様が現れ、
> 黄泉の神は光と共にどこかへと消え去ってしまいました。
***其の伍 海種027/C オオモノヌシ
>「近づきなさるな… あのお姿は 同胞たちを失った
> 蛇神様の悲しい叫びそのものなのじゃ」
> 老婆は傍らの若者を制しました。
> かつて数多の姫君と契った美貌の祭神は怒りと悲しみに飲まれ、
> 祟りを振り撒く禍つ邪な蛇神となっていたのです。
>「”神忌み”のある所には 常に赤い瞳の男がいると聞く…
> あんたのその眼…そうなのかい?」
> 赤き”隻眼”の若者は それには答えず、静かに荒神の方へ歩み始めました。
***其の伍の② 海種1-029/C オオモノヌシ
>祟り神となり、国中に疫病を振りまく国津神に、時の皇
>は、如何にすれば怒りを鎮めてくれるのかを尋ねました。
>「憎々しきは、我が国造りの同朋をかどわかしたるあの
>者よ。紅き眼のあの者を探しだし、贄として捧げよ。」
>皇は、民草の中から、眼に朱のさしたる者を探しだし、
>国津神へと捧げました。
>「愚かなり。お前のようなものであるものか。」
>国津神は怒り、大蛇へと変じ、贄をまる飲みにしました。
>次に皇は、高貴な者の中から、眼に朱のさしたる者を
>探しだし、国津神へと捧げました。
>「愚かなり。お前のようなものであるものか。」
>国津神はますます怒り、再び大蛇へと変じ、贄をまる飲み
>にしました。困り果てた皇の前に、片方の眼のみに紅
>玉のような朱をさしたる若者が現れ、すすんで贄になろう
>と申し出ました。皇は、最後の頼みと、案内の婆を
>付け、御山へと送り出しました。
***其の伍の③ 海種2-025/C オオモノヌシ
>片方の眼に朱のさしたる若者は、荒ぶる国津神の元へと訪れました。
>「お前のその眼、憎きあの者と同じ気配なり。だが、何かが違う。お前は何者であるか」
>若者は、紅蓮の双眸を討ち果たさんとする自身の目的を国津神へ告げました。
>「なれば我も連れてゆくがよい。彼奴には直接我が牙を突き立ててやらぬと気が収まらぬ」
>若者は快く承諾しましたが、かの者と争うにはまだ力が足りぬと述べました。
>すると国津神は大国主神を探すよう伝えました。
>「あのうつけは我が半身。あやつの幸御魂、奇御魂の顕現こそが我なのだ。情愛と智慧を切り離されておるあやつは、どこぞでうつつを抜かしているに違いあるまいが、きっとお前の力になるであろう」
>助言に感謝する若者に、国津神は加えて言いました。
>「だが、勘違いをするな。目的叶わぬときには、お前を喰らってせめてもの慰めとしてくれよう。努々忘れるな」
***其の陸 神族2-018/C オオクニヌシ
>大国主神は国造りの盟友、少彦名神のもとを訪れました。
>ですが彼の姿はついぞ見当たりません。しんと静まり返った少彦名神の社。
>そこには倉から出したばかりの上等な酒が、ひっそりと残されているのみでした。
>「あいつがこんな上モノを放って出かけるわきゃぁねぇな」
>揉め事の匂いを感じ取り、大国主神は小さく嘆息しました。
>「そうとなれば致し方なしだ。ひとつスクナの野郎を探しにいくとするかね」
>火急の用があったわけではありませんが、
>盟友の一大事とあらば看過できぬが大国主神です。
>ところが、探すとは決めたものの、少彦名神の行方は皆目見当もつきません。
>さてどうしたものか…ひとしきり頭をひねった大国主神は、
>やがて何か思いついたかのようにどっかと座りこみました。
>「…この酒に手がかりがあるかもしれねぇな」
>大国主神はちびっと酒を飲みました。しかし何もわかりません。
>「…こりゃぁ もちっとよく調べねぇとわからんかな」
>大国主神はごくごくと酒を飲みました。しかし何もわかりません。
>赤ら顔な大国主神は神妙な面持ちで立ち上がりました。
>「…こうなりゃ 酒蔵の方も調べるしかぁねぇわなぁ… ひっく」
>少彦名神を探しにいくのは、もう少し先になりそうでした。
***其の漆 神族2-001/UR イザナギ
>下界にて、自らを皇と呼ぶ紅蓮の双眸を持つ男が、神々の神力を奪ってまわっていると知った伊邪那岐命は、大いに怒りました。
>「我が国にて勝手無礼は許さぬ…今、神罰を与えん!」
>荒御魂を昂ぶらせ、雲をつくほどにせり上がった伊邪那岐命は、その神力をもって紅蓮の気配を辿りました。
>そして、数多の気配の中によく知るものをひとつ見つけました。
>「むぅ… これはよもや、伊邪那美か!?」
>伊邪那美命は、はるか昔に黄泉国に置き去りとした伊邪那岐命の元妻でした。
>最後に目にした伊邪那美命の姿は、閉ざされた黄泉の淵で怒りと怨みの呪詛を吐き続ける、とてもおぞましきもの。
>次にまみえたならば、天地開闢の争いに等しき、烈火の如き怒りが向けられることは想像に難くありませんでした。
>「…興冷めである。荒御魂も鎮まったわ」
>気勢を削がれた伊邪那岐命は、紅蓮の気配を辿るのを止めてしまいました。
>「そもそも、下界の争いなどに神が手を出すまでもない。…決して、伊邪那美を恐れておるわけではないぞ」
***其の漆の② 神族3-002/UR イザナギ
>「なるほどな、噂通り何とも見事な紅蓮の瞳であるものよ。貴様、我が同胞を方々でかどわかして回っておるそうだな。
>…しかし、貴様ひとりか? 単身にて我が前に現れるとは。その意気や褒めてやらんでもない。」
>高天原の最奥へとやってきた紅蓮の双眸を持つ皇は、その伊邪那岐神の言葉に応えることなく、ただ冷淡な声で、力をよこせとのみ不遜に告げました。
>「思い上がるでない。我こそは神の始祖たる国産みの神、伊邪那岐ぞ!!」
>荒ぶる御魂を解き放ち、山をも見下ろす巨躯となった伊邪那岐神は、紅蓮の皇を睥睨し刃を抜き放ちました。
>圧倒的な神力に天は裂け、地は唸り、波が沸き立ちます。しかし、紅蓮の双眸を持つ皇は、それに少しも臆することなく、逆に激しい気炎を発しました。
>「フハハ、なかなかに勇ましいものよ。」
>伊邪那岐神は一笑すると、眩い光と共に黄金の神剣を勢いよく振り上げつつ、眼下の紅蓮の皇へと重厚な声を落としました。
>「…念のため確認しておくが、本当に本当ぉぉぉに貴様ひとりか? 伊邪那美はここに来とらんのだろうな?」
***其の捌 神族3-011/R ヤマトタケル
>「…大和は 国のまほろば…」
>旅路の果て、倭建命はとうとう最期を迎えようとしていました。その身体は積年の戦いで激しく傷つき、さらには重い病が体内を隅々まで蝕んでいたのです。
>「俺は…まだ… 弟橘… あんたの分も……!」
>倭建命にとって、その生涯は戦いでのみ彩られていました。
>兄を殺し、豪族を討ち、神とすら戦い――それでもまだ戦いをやめることはできませんでした。それは、自らの戦いの中で失ってしまった、
>最愛の人の命に見合う生を全うできたとは思えなかったから…。しかし、無情にも、その命は消えようとしていました。
>「たのむ…たのむ…! まだ…まだなんだ……!!」
>しくしくと、少しずつを消え入る倭建命の命。その最中、彼は不思議な声を聴きました。
>――君、面白いね。神の血を引き、そして神の剣を持つ。でも、あくまで、どこまでも君は人間だ。必要なのは神性と慟哭――神の剣と人の悲しみ、
>それにアレを合わせればさぞかし……いいよ、救ってあげるよ。
>眩き光、地が砕けるような轟音、そして自身の四肢を出鱈目に引き裂かれるような激しい痛みが倭建命を襲いました。
>ひと時の後、止まぬ眩暈に耐えながら倭建命が目を開くと、そこには神剣と一つになったなった己の姿があったのです。
***其の捌 道半 SP-0/SP ヤマトタケル
>「神威ひらきたまえ…草薙!」
>倭建命がそう告げると、天を引き裂く轟音と共に鋼の化身が姿を現しました。神剣と同化した倭建命はまさに豪腕無双。
>振り上げた巨腕が薙ぐたびに、数十人いた夷狄たちは、地這う虫が潰れるかのごとく、あっけなくその命を一つ、また一つと散らしていきました。
>「ハハハ、すごい…すごいぞ!」
>倭建命は高揚し、その巨体で次々と敵を飲み込んで行きます。
>「大和を脅かす者どもよ… 我が弟橘の命を奪いし穢れた者たちよ…!!」
>夷狄を滅するその顔は、怒りとも笑顔ともつかない表情を浮かべていました。
>――戦え 戦え 戦え 戦え…!!
>倭建命は内から響く衝動に従い巨腕を振るい続けます。その目には、いつしか妖しい光が宿っていました。
>――たける… 駄目… やめて…
>ふと、誰かの声が聞こえ、気づくと倭建命は人の姿に戻っていました。
>「…声…誰の…」
>見渡すと、周囲は化身の力により荒れ果て、そこに既に息をしているものはありませんでした。
>「…俺がこれを…これ程のことを、ひと時で…」
>倭建命は、自身が手にした力に打ち震えました。この力があれば、どんな敵とも戦える、弟橘姫の無念を晴らすことができる。
>しかし、倭建命は気づいていませんでした。その力は“呪い”であり、その力の源たる神剣の中に、そんな彼を悲しみと共に見つめる魂が宿っていることを。
***其の玖 神族3-004/SR アメノウズメ
>天照大神が天岩戸に隠れてしまってからというもの、世界は暗闇に覆われてしまいました。
>すっかり困り果てた神々は天細女神を頼ります。高天原一の踊り手である天細女神が神々を笑わせれば、天照大神はきっと姿を現すはず、神々はそう考えたのです。
>「そいじゃ、アマノイワトってとこで待ち合わせ~!」
>報せを受けた天細女神は快諾し、神々が宴の支度をして待つ天岩戸に向け、勇んで出立しました。
>中つ国に降り立った天細女神はとても驚きました。久しぶりに来た地上には、楽しそうな音楽や、美味しそうな食べ物が山程あふれていたのです。
>「これ~を見のが~しちゃったら そんそん♪」
>“楽しいこと”を司る天細女神は、それらを夢中になって楽しみました。こうして、ひとしきり楽しみ、満足した天細女神は、ふと思いました。
>「あれ? ……アマノ? アメノ…イワト? なんだったっけ? わたしはアメノウズメちゃん アメノイワトはどちらさん?」
>天細女神には、楽しいことをしていると、色々と忘れてしまうクセがあったのです。こうして、天細女神の、謎の神「アメノイワトさん」を探す、中つ国での旅が始まりました。
***其の玖の② 神族4-005/SR アメノウズメ
***其の拾 神族3-003/SR スサノオ
>「ハッハー! ここに俺を止められる奴なんざいねぇ!!」
>中つ国に降臨した破壊神は大いに昂ぶり、その荒々しき神威を振るいました。薙ぎ払う天叢雲剣は雷鳴を轟かせ、海を切り裂きました。
>しかし、その御魂は、荒々しき昂ぶりとは裏腹に、清々とした安堵に満たされていました。
>「俺はやった …とうとう自由を手に入れたのだ!」
>破壊神は、荒き御魂を持ちながらも、生まれ落ちたその時より、悪鬼のごとき“それ”にその所作をことごとく封じられ、苦しめられ続けてきました。
>しかし、幾重もの手段を重ね、ようやくその魔手から逃れることができたのです。
>「クク… とうとう巻いてやった! さすがの奴もこの世界まで追ってこれるはずはねぇ!」
>今の自分なら何でもできる――さて、何をしてやろうか。この世界を騒がしているらしい紅蓮の双眸とやらの顔でも見に行ってみようか。何であれば倒してしまおうか――。
>そう自信を漲らせた瞳が天を仰ぐや否や、その顔色は瞬く間に色を失い、深い絶望に染まりました。
>「そ…んな… 嘘だろ…」
>破壊神の瞳の先には、夜空に浮かぶ月。そして、その横には、この世界のものではない別の月が、燦然と輝いていたのです。
***其の拾壱 魔種3-003/SR ツクヨミ
>「あは、いたいた」
>弟神である須佐之男命の猛りを遠くに感じ、月読命は楽しげに口を歪めます。
>「あらあら あんなにハシャイじゃって」
>一生のお願いだからというので、ほんの少しだけ目をつぶってあげた隙に逃げ出した須佐之男命を追って、
>たどり着いたところは、月夜の中つ国でした。
>「まさか次元を超えて逃げるなんて、お姉ちゃんびっくりしちゃったわ。鬼ごっこにしては大げさじゃない?」
>須佐之男命が逃げだした理由は月読命にはわかりませんでしたが、月読命にとって理由などはどうでもよいのです。
>思うに、天地開闢以来、弟とは姉に尽くし、姉を楽しませ、姉のために存在するものである以上、
>月読命がそうと決めたからにはこれは彼女にとって楽しい鬼ごっこに他なりませんでした。
>「ちょっと驚きはしたけど…でもダメね。新しい世界に来たからってあれじゃ、気配がダダ漏れだもの」
>やっぱいつまでも子供ね、と月読命は笑いました。
>「さーて、そろそろ追いついちゃうわよ。うふふ…お月様からは誰も逃げられないんだから!」
***其の拾壱の② 魔種4-005/SR ツクヨミ
>「こんばんは、良い夜ね」
>その夜、月読命は自らの元を訪れた若者へ、高岩の上から振り向きもせず告げました。片目に朱の差したその若者の驚いた様子に、月読命はくすくすと笑います。
>「あなたがここに来ることはわかっていたもの」
>紅蓮の双眸を持つ皇と、その謀りを阻まんとする若者のことは、月読命にとって既に知るところでした。ならば、と期待する若者でしたが、ふわりと岩から降りた月読命は目を閉じて首をふりました。
>「ごめんね。世の行く末なんかに興味はないの。だって私は、お月様だから」
>私はそこに、ただ“在る”だけ――月読命は語ります。
>「月光は狂気の引き金。象徴は幻惑と不安定。私が善き世のためにできることは、“何もしない”こと――」
>だから弟で退屈を紛らわすのよ、と月読命は笑います。
>「だからそういうことは姉様か、愚弟にでも頼んでちょうだい」
>そう言った月読命がほんの少しだけ寂しげに見えたので、若者は月読命にある言葉を告げました。
>すると、月読命は驚いた表情で振り返ります。
>「…今のはちょっと嬉しかったから、少しだけ力を貸してあげる。“紅蓮の双眸”ってやつのことも、ちょっとは気になるしね。でも…」
>月読命はそう続けながら、若者の口元にそっと人差し指を添えました。
>「あんまりお姉さんをからかっちゃダメよ。でないと――本気にしちゃうんだから」
***其の拾弐 海種4-015/Cヒルコ
>「こんにちは…わたしは…ひるこです…」
>波打ち際にうちあげられていた奇妙な生き物を若者が拾い上げると、それはなんと幼き少女でした。
>「あなたは…わたしの…ととさまですか…?」
>違う、若者は否定しました。
>「そうですか…それでは…かかさまなのですか…?」
>それも違う、若者は否定しました。
>「そうですか…それはとても…残念です…」
>少女が大層悲しげな様子であったので、不憫に思った若者は、暫くの間だけと、少女を拾い共に暮らし始めました。
>しかし、そもそも貧しかった若者に、幼子と言えど二人分の糧は辛く、すぐに食う物にも困ってしまいました。
>若者は、自分は親ではないけれど、一度拾っておきながらすまぬすまぬ、と何度も少女にあやまりました。すると少女が言いました。
>「そうですか…では…浜辺に行ってみてください…」
>若者は、少女に言われるがまま浜辺を歩いてみました。するとどうでしょう、若者の元へ、大きな魚が次々と打ち上げられて来るではありませんか。
>これはいったいどうしたことか、もしや、あの少女は海の神様なのではないだろうか。そうと気付いた若者は、急いで家に帰り少女に言いました。
>今の今まで忘れていたが、私はお前の父だったのだ、これからはずっと共にくらそう、と。若者の言葉を聞いた少女は、呆けたような顔をすると、悲しそうに言いました。
>「そうですか…それはとても…残念です…」
>そう言うと、少女はこつ然と姿を消してしまいました。若者が必死に少女を探し、ようやく見つけたそのときには、少女は既にぷかぷかと、遠い沖合に流れていったあとでした。
***気付けば記録放棄 SP-035/SP アメノウズメ
>――どうであろう、この歓声。私は、目の前で起きている、この不可思議な神々の饗宴について、しかと記さねばならぬ。気高き神々が、
>かくも激しく乱れ、さも御身が神であることを忘れてしまっているかの様に、振舞うこの様を。
>
>「さぁさ 今宵の主役はだぁ~れ?」
>
>\ウズメちゃーん!!/
>
>「夜ど~し踊る 準備はで~きた?」
>
>\できてるー!!/
>
>「ほいじゃ いっつものいっくよ! ア~メ~ノッ?」
>
>\ウッズッメー!/
>
>「ま~だまだいっくよ! ア~メ~ノッ?」
>
>\\ウッズッメー!//
>
>「そ~れじゃ~ ごっほ~び 歓喜の舞い~♪」
>
>\\\うぉぉおおおおおおおお!!!!///
>
>――しかし、この宴の中心にいる女神の踊りの、何と魅惑的であることか。初めは傍観していた神々も、いつの間にやら明かりに吸い寄せられる羽虫の如く踊りはじめ、
>中には踊り疲れて、気を失う者まで現れている。
>そして、何であろうか。踊りを見るうちに、我が身の奥底から沸き立つ、この何とも言えぬ激しき情動。あぁ、とにもかくにも、今は私も踊らねば――
***特記 神族3-018/C ミシャクジ
>ミシャクジ様は、諏訪国に伝わる偉大なる神であらせられる。塞の神、
>すなわち人の往来あるところに悪神悪霊が入り込むことを塞ぐ神威を持った非常にありがたき神として、
>何とも素晴らしきミシャクジ様は、いつも我々を見守ってくださっているのだ。
>それゆえ、神気溢れるありがたきミシャクジ様への礼を失するようなことがあってはならない。常に畏敬の念を忘れてはならぬし、
>敬称なくしてその御威光を語るなど言語道断と言えるだろう。
>そのような者には、如何に澄み渡った天の空の如く御寛大なミシャクジ様といえど、天罰を御下しになられることもある。
>これは決して眩き程に神々しい、神の中の神たるミシャクジ様が狭量であるとか、悪神であるというわけでは、決して、断固としてない。
>礼を失した我々が悪いのであり、致し方ないことなのである。これでは守り神どころか祟り神だ、などと>間違っても、何があっても、
>金輪際言ってはいけない。ましてや書くなどもっての他である。
>だが、人間誰しも過ちはあり、愚かにも青海の如く広く、そして懐深き御心をお持ちのミシャクジ様の御怒りに触れてしまうこともあるだろう。
>そのようなとき、夜空に散りばめられた玉石の如き星々かと見まごう程に美しき御心をお持ちのミシャクジ様に鎮まっていただくにはどうすればよいか。
>対処はそう難しいことではない。全身全霊の敬意でもって褒め称えるのだ。今の私のように。
>稗田阿礼
***編外 海種1-001/UR アラハバキ
>荒覇吐について記する術を私は持たない。
>高天原ではない何処からか現れた其の神に関する一切は、不明であると言う他ない。
>荒覇吐は他の神々と全く異なる体躯、体系を持ち、其の全てが謎に満ちているのだ。
>其の目的も、其の神威も、語る者により在り様が変化する。
>或る者曰く、寒村に安定と繁栄をもたらす土地神である。
>或る者曰く、常世に破滅と終焉をもたらす破壊神である。
>誰もが荒覇吐を知りながら、誰もが荒覇吐を知らぬ。
>それは私とて例外ではなく、ふることふみに記せぬことを、神々の語り部として心より恥じる。
>何時の日か此れを読む者が現れ、荒覇吐について其の全容を解き明かしてくれることを、私は切に願っている。
>稗田阿礼
***編外の② 海種2-002/UR アラハバキ
>理由なき神など存在しない、というのが私の持論である。
>彼らには、常になにかしらの意義や意思がつきまとう。
>それは、時に貧しい人々の寄る辺となる善性であったり、時に夜歩きする人間を戒める教訓めいた悪性であったりする。
>だからこそ人々は神を敬い、神を恐れることができるのだ。
>だが、荒覇吐にはそれらを見出すことができない。
>より正確には、観測する者によって意義が変化する、というべきであろうか。故に人々は荒覇吐の存在を知りつつも、語る言葉を持たず。未知なるものを忌避する人の本質で、
>彼の神は常に認識の外に置かれるのである。
>はたして、そのようなものは本当に神と呼べるであろうか。
>私は神々の語り部として、荒覇吐を解き明かしたいと願う。
>だが一方で、その謎の先にあるのはもっとおぞましき何かではないか、という一抹の恐怖も消せずにいるのだ。
>稗田阿礼
***編外の③ 神族4-001/UR 卑弥呼
>ある日、神がやってきて、少女に告げました。
>――卑弥呼よ、これからお前は私の言葉を民に伝えるのです。
>少女は、人々の役に立てることが嬉しく、喜んで従いました。
>
>ある日、村人がやってきて少女に尋ねました。
>――卑弥呼や、田畑が痩せてきておる。神の御言葉を。
>少女は神の声を聴き、民に治水の法を教えました。神の言葉に救われた人々は、少女を敬い社を立てました。少女は、皆がそう望むならばと、喜んで社に入りました。
>
>ある日、村長がやってきて少女に尋ねました。
>――卑弥呼殿、疫病が蔓延し始めております。どうぞ神の御言葉を。
>少女は神の声を聴き、民に薬の法を教えました。神の言葉に救われた人々は、少女の言葉を人に奪われまいと、少女に社から出ないように頼みました。それが、
>皆を護るためならばと、少女は喜んで従いました。
>
>ある日、神官がやってきて少女に尋ねました。
>――卑弥呼様、隣国が攻めて参ります。どうか神の御言葉を。
>少女は神の声を聴き、民に戦の法を教えました。神の言葉により敵を追い返した人々は、少女を称え、少女に女王になってくれと頼みました。それで、
>民が幸せになるならばと、少女は喜んで従いました。
>
>女王となった少女には、もはや決まった下女以外何者も近づけず、毎日ただ、国の行く末を定める神の声を伝えることだけが求められました。少女は、それが民の望みであり、
>皆が笑顔になってくれるのならばと、喜んで神の御言葉を伝え続けました。
>
>ある夜、少女の元に不思議な青年が訪れました。少女は、片方の目に朱の差した見慣れぬ青年に驚きつつも、いつもの明るい笑顔を浮かべ、神に何を尋ねたいのかと聞きました。
>
>青年は、まっすぐ少女の目を見て言いました――「神の言葉」などに用はない、お前に会って、「お前の言葉」を聞きに来た、と。
>
>少女はしばし呆気にとられたように黙っていましたが、やはり笑顔で言いました。
>
>「可笑しな人だね。そんなことを言う人には初めて会ったかな。」
>
>そう言って笑う少女の頬には、一筋の涙が流れていました。
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&aname(レム黙示録,option=nolink){}
**レム黙示録 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【レム黙示録】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『紅き碑文の伝道者』を獲得出来る。
***第六章 第二節 魔種4-009/R ホワイトライダー
>聖レムニウスが第一の封印を解いた時、
>第一の――獅子のような――使者が
>「時はきたれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
>
>そこで見ていると、見よ、白き騎士が現れた。
>
>そして、それには白金の冠が与えられ、
>勝利の上に勝利を重ね、
>地上の全てを支配することが許された。
>
>騎士は、弓のようにしなる従者の白蛇に、
>矢をつがえるように朱の槍を掲げ、
>勝者と支配者の笑みを湛えた。
>
>そして白蛇は、主人の笑みを代弁するかのように、
>誇らしげに朗々と語った。
>
>「我が主は第一の騎士 支配の王なり!
> 人の子らよ! 意思を捨てよ! 欲を捨てよ!
> 絶対の王が支配する沈黙の世で、
> その無為なる生を終えるがいい!」
***第六章 第四節 魔種027/C レッドライダー
> ─聖レムニウスが第二の封印を解いた時、
> 第二の 牡牛のような 使者が
>「時はきたれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
> そこで見ていると、見よ、紅き騎士が現れた。
> その者は、大きな剣を与えられ、人々から
> 平和を奪うことを許された。騎士は言った。
>「オレは第二騎士 戦場の王なり!
> 死にたくなくば 我が前に立ちはだかってみせよ!」
***第六章 第四節 魔種1-028/C レッドライダー
>預言は成され、今、私の眼の前に第二の騎士が降り立った。
>その紅き騎士が、手にした大剣を振るうと、大きく、艶めかしく揺れる真っ赤な炎が立ち昇った。
>炎は熱く、何よりも熱く、世界の全てを燃やしてしまうと思われた。
>その炎を見たものは、恐れ、逃げまどい、そして――争いを始めた。
>ある者は、戦えと戦わぬ者を強く叱咤し、ある者は、戦おうとする者を強く諌めた。
>生き延びようとする者は、弱き者から衣、食料を奪い、奪われた者は、さらに弱い者から奪った。
>こうして、平和は私達の手から奪われた。
***第六章 第四節 魔種2-024/C レッドライダー
>預言のとおり、赤き騎士は子羊たちに争いをもたらした。
>力ある者が力なき者を襲い、食料を、衣を奪う勝者となり、その勝者もまた、さらなる強者に奪われ敗者となった。
>敗者は勝者を憎み、憎しみは更なる争いを生んだ。
>
>それでも赤き騎士は、炎を振りまくことをやめず、子羊たちを更なる争いに駆り立てた。
>
>騎士は待っていた。最後の勝者が生まれるその時を。
>そして、その者が己の前に立ちはだかることを。
>しかし、赤き騎士の前に現れたのは、力なき者だった。
>その者は力なき故に、争いの愚かさを知り、弱き者に救いの手をもたらすことができた。そして、慈悲の心で人の世をまとめ、永遠に続くかと思われた争いを終わらせた。
>赤く輝く瞳を携えた彼は、創世のメシアと呼ばれた。
***第六章 第六節 魔種024/C ブラックライダー
> ─聖レムニウスが第三の封印を解いた時、
> 第三の 人間のような顔の 使者が
>「時はきたれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
> そこで見ていると、見よ、黒き騎士が現れた。
> そして、それには地上に飢えをもたらすことが許された。騎士は言った。
>「俺は第三騎士 腐食の王よ!
> 罪人どもが! なにもかも腐らせてやる!!」
***第六章 第八節 不死2-019/C ペイルライダー
>―聖レムニウスが第四の封印を解いた時、
>第四の――空を飛ぶ鷲のような――使者が
>「時は来たれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
>そこで見ていると、見よ、青白き騎士が現れた。
>そのものは、"死"を名乗り、黄泉を従え、地の四分の一を支配し、
>疫病と飢饉と魔獣らによって、人に死を与える権限が与えられた。
>騎士は言った。
>「私は第四騎士 万死の王なり! 人の子らよ飢えよ、病め!魔獣らよ、殺せ!
>汝らの生は、私がすべて刈り尽くしてくれよう!」
***第九章 第一節 魔種002/UR アバドン
>第五の奏者がラッパを吹き鳴らした。
>すると、わたしは一つの巨大な骸が天から落ちるのを見た。
>地には底知れぬ穴が開き、大きな炉のように煙がもうもうと立ち上った。
>その煙は太陽を遮り、地も空気も昏くなった。
>その骸は無数のシモベを呼び従え、己が定めし命に従い印を持たぬ者達に
>死をこえる苦痛を五カ月間与え続けた。
***第十七章 第一節 不死4-012/C グレート・ハーロット
>――また、大天使の御使いらが来て、聖レムニウスにこう言った。
>
>「ご覧なさい。あれこそは〈大いなる災厄の都〉」
>
>聖レムニウスが御使いらの指差す方角を見ると、七つの頭と十四本の角を持つ緋色の野獣の上に立ち、妖艶に舞う一人の――この世にはあり得ぬ美しき――女の姿があった。御使いらは続けてこう言った。
>
>「あれは、赤き輝きを我が物にせんとする、娼婦たちと、嫌悪すべき者たちとの偉大なる母。さあ、我らの、彼の大娼婦への裁きを汝に見せよう」
>
>かくして御使いらは聖レムニウスの元を飛び立ち、彼の大娼婦の元へと舞い降りた。大娼婦は御使いらに妖しく微笑むと、御使いらは剣を高く掲げ――自らの胸に突き刺し、果てた。
>
>御使いらの赤血を金の杯に受け、高らかに笑う大娼婦に、聖レムニウスは、いずれの赤を欲するのかと問うた。大娼婦は淫らな笑みを浮かべてこう言った。
>
>「同じ赤を穢すのならば、若く瑞々しい、穢れを知らぬ赤がいいわ。 四人の騎士を従えし赤の子よ。 大淫婦たる妾の力が欲しいのなら、その身を委ねなさい。 そして、どこまでも一緒に穢れましょう」
***『外典レム黙示録』 第一章 第三節 魔種3-022/C ブラックライダー
>かくして預言は成り、世に終末は訪れた。
>大天使の導きを果たし終えた聖レムニウスは、彼の元に集った四人の騎士に問うた。
>汝らは、世をどう導くつもりなのか、と。
>赤き騎士はこう言った。
>――強者が弱者を貪る、血と炎に彩られた闘争の世に、と。
>白き騎士はこう言った。
>――唯一にして絶対なる王が支配する沈黙の世に、と。
>黒き騎士はこう言った。
>――卑しきも貴きも、等しく飢えた荒廃の世に、と。
>青白き騎士はこう言った。
>――病魔と魔獣らとがもたらす、死に満ちた世に、と。
>最後に、聖レムニウスの傍らに立つ、赤き双眸の王が、
>彼らに語りかけた。
>――汝らが望みし世界は、全て我が虚無の世界に及ばず、と。
>その言葉に、赤き騎士は剣を、白き騎士は槍を、黒き騎士は鞭を、青白き騎士は鎌を、赤き双眸の王に向けた。
>かくして、終末の戦は始まった。
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**紅き聖杯の伝説 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅き聖杯の伝説】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『円卓の赤騎士』を獲得出来る。
***一章 人獣001/UR パーシヴァル
>ここは… どこだ… 死後の国… ではないようだが…
>私はかの地の戦いで 王を守りきれず命を落としたはず…
>そうだ… あの時死にゆく私が見たものは 我々が流す血に
>呼応するかのように アヴァロンの虚空を引き裂き現れた聖杯…
>そして 戦場を包み込んだ紅蓮の聖光… もしも あの聖杯がこの地で
>私を蘇らせたのであるならば 王もまたきっと…!!
>神よ! あなたが何を望んだのかはわからぬが
>今度こそ私は この聖槍を持って 我が王を守ってみせる!
***一章 二節 SP-013/SP パーシヴァル
>「目を覚ましたか… 赤き隻眼の君よ。」
>聞き馴染んだ声が、意識をまどろみから呼び覚ました。
>柔らかな陽光の中、あるのは鎧を脱いだ一人の美しき乙女。
>傍らには一条の聖槍。彼女は――円卓の騎士パーシヴァル。
>「先の撤退戦、将である君自らしんがりをつとめるとは… 君が死ねば、皇帝軍は誰にも止められぬ。 戦の作法も知らぬ愚か者なのか…君は?」
>見慣れぬ可憐な姿とは裏腹に、彼女の言葉は騎士然として厳しく、しかしその眼差しは懐かしき優しさを感じさせた。
>「仲間のために己が命を犠牲にしようとするその心意気、嫌いではない。だが、覚えておいて欲しい。 君の死に、悲しむ者も大勢いるということを。」
>「君は似ているのだ。信念の果てに紅き虚空へと消えた古き友に。だから、君には生きて欲しい。そのための道は私が切り開く。森の聖騎士の名にかけて。」
***一章 三節 人獣2-002/UR パーシヴァル
>森の聖騎士パーシヴァル。彼女は今、赤き隻眼の戦士の軍に身を寄せ、戦っている。その理由は二つ。
>
>一つは、『己が生涯を、弱き者達を守るために捧げん』。
>かつて王に誓った、彼女の騎士道を貫き通すため。
>もう一つは、この世界に“復活”したであろう彼女の王と再会するため…。
>
>もし、あの日見た「赤き聖杯」が、王をこの世界に蘇らせたのであれば、彼は必ず民のために立ち上がり、正義の戦いに身を投じるであろう。今、共に剣を振るっている、
>赤き隻眼の戦士のように。さすれば、彼女と王の道程は、いつか必ず交差するはずなのだから。
>
>「王よ… 無事でいてください…」
>
>彼女はそっと目を閉じ、聖槍に祈りを捧げた。
>そして、今日も彼女は戦い続ける。
>王と再び出会い、ともに千年王国の夢の続きを描くために。
***三章 人獣2-018/C トリスタン
>彼は失意のうちに死んだはずだった。
>「白き手の」彼女に、黒き帆の船の来訪を告げられたあの時に。
>だが、死の間際、紅い光に包まれた後、彼は再び目覚めた
>――神魔うごめくこの異世界で。
>「神よ…なぜあのまま死なせてくれなかった。
>愛する者と、私を愛してくれた者、二人を裏切った私を…」
>彼はあてもなく異世界を旅した。自らの死地を探すために。
>だが、彼の類稀なる、かつて円卓一と謳われた剣の才は、
>戦いの中で死ぬことを許さなかった。
>故に、彼は人々を襲う魔物と戦い続けた。騎士としてではない。
>二人への贖罪…いや、ただ己が罪の意識を紛らわすために。
>そんな戦いの最中、彼は魔物に襲われていた
>美しい少女を助ける。少女の名は――イゾルデと言った。
>その名を聞いた時、彼は己が逃れられぬ宿命を悟った。
>そして、誓った。騎士としてこの少女を守り抜くことを。
>それこそが、己が魂が赦される唯一のすべなのだろうから。
***四章 人獣021/C モルドレッド
>王よ… 彼の地でオレの腹を貫いた貴様はこう言ったな…
>ログレスに害をなす不義の子よ!お前を誕生させたのが私の罪…
>ならば神に代わって罰を下すのが私の業!!
>だがどうだ? オレはこうして新たな生を受けている…
>神は貴様を見捨てたのだ! 選ばれたのはこのオレだ!!
>ククク… オレを蘇らせし紅き聖杯よ…
>望むのであればその器を偽善者どもの血で満たしてやろう…
>我こそが英雄 我こそが王!! 新たな円卓の長となり 破壊の覇道を歩まん!
***五章 序節 SP-026/SP ヴィヴィアン
>深き湖の底。静かに眠る、聖剣の守護者たる乙女は、夢を見ていた。それは、ありし日の追憶。乙女の腕の中には、すやすやと眠る乳飲み子。そして乙女は、その乳飲み子に優しく語りかけていた。
>「あなたの無垢なその手は、やがて人の望む全てを掴みとる手。並みいる騎士たちの頂に立ち、並ぶ者なき名誉を手に入れる…ですが、あなたが本当に望むものは何一つ掴めない手…
>愛も、奇跡も、あなたが欲するほどに遠のき、飢え、渇き、足掻くほどにその手は汚れ、血にまみれてしまう…。そして、いずれその手が振るう気高き剣は、あなたの大切なもの――
>国を、信仰を、そしてかけがえのない友情を引き裂く呪われた魔剣へと変わる…。
>千年王国を守護する至高の聖剣、同時に、その破滅を誘う魔剣。それがあなたに科せられた、決して逃れえない運命。
>…だけど、どうか忘れないで。この腕の温もりを。今、私があなたにそそぐこの愛を。これは、いつか暗闇に堕ちるあなたを、再び光の元へ導く道しるべ。
>だから、今はゆっくり眠り、私の愛を受け取って。私の愛しい――」
>そこで乙女は目覚めた。その目にはうっすらと浮かぶ涙。
>「そう…とうとうまた逢えるのですね。私の愛しい――湖の騎士」
***五章 海種2-003/SR ヴィヴィアン
>…んん? そこの騎士さまよ。
>まさか、湖の底に沈むという聖剣を取りに来たのかえ?
>ふむ… 悪いことは言わん。やめておきなされ。
>おぬしが求める剣はの、かつて偉大な王が携えていた聖剣じゃ。
>今はその守護者たる乙女に守られておる。
>もしも、おぬしが剣を求めるのであれば、
>乙女はおぬしを試すじゃろう。
>もし、おぬしが聖剣にふさわしき者であれば、
>乙女は快く聖剣を授けてくれる。
>…しかしの、ふさわしくなければ、おぬしは乙女に殺されてしまうのじゃ。
>だからの、悪いことは言わん。
>分不相応な夢を見るのはやめなされ。
>おい… どこへゆきなさる!? そっちは湖じゃ! おぬしは
>この話を聞いてなお、聖剣を取りに行くというのか??
>なに…? 取りに行くのではなく返してもらう…?
>それに乙女とは古い知人だと申すか…?
>…いや、まさか… そんな馬鹿な… おぬしは――
***十三章 人獣3-018/C ガラハッド
>かつて、皇帝軍の襲撃を受け、廃墟と化した街。風雨を凌げる程度の廃屋に、眠る一人の若い騎士。
>ふと、物陰から現れた幾つかの影が騎士に忍び寄り、立てかけられた美しい剣にそっと手を伸ばす――
>瞬間、眠っていたはずの騎士は小さな腕をガシッと掴むと、ゆっくりと起き上がり、語りかけた。
>
>「クソガキども…そいつは俺んだ。盗みはよくないぜ…
>親に教わってねぇのか?」
>少年らは、騎士を睨みながらこう言い返した。
>「親なんかいねぇよ。俺たちを捨てて皇帝軍から逃げたんだ。
>だから、俺たちはこうでもしなきゃ生きていけねぇんだ」
>少年らの言葉に、彼は自らの過去を思い出した。
>母を捨てた忌むべき父…偉大なる騎士のことを。
>父に捨てられ、己を残して自らの命を絶った母のことを。
>そして、荒みきった彼の心に光を灯し、騎士としての生き方を教えてくれた王と、円卓の仲間たちのことを。
>
>「…そんなクソみてぇな生き方してたら、心まで腐っちまうぜ。
>だからよ、俺が親の代わりにお前らを守ってやる。
>この世界を救ってやるよ。その代わり、お前らは真っ直ぐに生きろ」
>こうして、若き騎士は孤児たちを守る盾として、レムギアを旅することとなった。
>そして、その旅をきっかけに――紅き聖杯を巡る運命の歯車は、回り始めることになる。
***十四章 降魔4-008/C ~背徳の騎士~
>なぜ貴方はまだ戦えるのだ…多くの仲間を…己が半身と呼べる者を失ってまで。
>
>なぜ貴方は諦めずに抗えるのだ…あれほどの強大な敵を相手にして。
>
>なぜ貴方の心は澄んだままなのだ…、信じていた者に裏切られても、その者を憎むことなく。
>
>私にはできなかった。故に、混沌に付け込まれ、私の愛した世界は、私の弱さのせいで消滅した。
>
>赤き瞳の戦士よ、貴方は似ている。私がかつて仕えた二人の王――円卓を率いた騎士王、そして赤き双眸の王に。
>
>だから、許されるのであれば、私を貴方の剣にして欲しい。
>
>果たせなかった贖罪を果たすために。
>
>この刃を混沌に突き立て、かつての弱い自分ごと切り裂き、あの日、王たちに立てた誓いを取り戻すために。
>
>
>跪き、頭を垂れる彼の肩に、赤き瞳の戦士は無言のまま剣をおろした。再び「騎士」となった彼は、その目に涙を浮かべた。
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**紅陰陽奇譚 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅陰陽奇譚】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『天地の理に坐す者』を獲得出来る。
***巻ノ壱 不死005/SR 安倍清明
>そこな娘よ下がるがよい。
>あの巨骨の妖は天一貴人といってな。
>陰陽頭であらせられる安倍晴明様が誇る最上の式神である。
>案ぜずともかような餓鬼どもなど、此度もすぐに蹴散らしてくれようぞ。
>…とは言うてみたが、かくいう私も晴明様御自身については何も知らぬのだ。
>私のような木端役人ではお目通りも叶わぬ高貴な御仁よ。
>噂では身の丈八尺を越える大男だの、千年を生きる妖怪変化の類だのと聞くが…
>存外美しい娘子であったりしてな。
>そうさな、ちょうどお主のように狩衣の似合う…
***巻ノ弐 神族1-017/C 摩利支天
>しかし、眩い光を放つ神将は、ずいっと立ちはだかりました。
>「キサマが、先ほどの『紅き闇』を祓った者じゃな?
> むぅ?貴様の連れておるその鬼神、天一貴人か。
> そやつもまた闇の眷属、闇を以て闇を制すか…面白いの。
> じゃが、ワレは天部が一柱、日輪の眷属よ。
> 如何な術で人が鬼を従えているのかは知れぬが、闇は闇…捨て置くわけにはいかぬな。」
>そう言うと光神の姿は空気に溶けるように、すぅっと消えていきました。
>「わが身は陽炎の化身よ。貴様の鬼でワレをとらえることはかなわぬ。
> 諦めよ…闇は、滅すのみ!」
>--これが、光と影、陰と陽、相容れぬ二つの摂理を用いた、大陸より伝わりし道術が、
>本当の意味での完成の日を迎えるきっかけとなった出会いでございました。
***巻ノ弐の② 神族2-029/C 摩利支天
>貴様…いや、そなたの名はなんと言ったか。
>闇に在りて光よりなお輝く…まこと不思議な奴よの。
>自在に百鬼眷属を抱え従えるその才覚。
>脆弱な人の身に宿すにはいささか過分な代物よ。
>どのような修練、どのような修羅場に遭うて斯様なまでのちからを得たものか…。
>だが、そなたの存在はあまりに歪んでおる。
>そなたの“陰”の気は、もはや尋常な人のそれではない。
>そのままではやがて己が身の内なる闇に取り込まれ、そなた自身が百鬼となりて夜の眷属と化すであろう。
>それは十年先かもしれぬし、明日かもしれぬ。
>日輪の神将であるワレには看過できぬものよ。
>これよりワレの光は、そなたの闇と共にあろう。
>そなたが闇に落ちたなら、その時こそワレが祓ってくれよう。
>“陰”と“陽”。
>ワレらは本来相容れぬもの…だが、なぜじゃろうな。
>そなたとは良き友になれる。そんな気がしてならぬ。
***巻ノ参 不死013/C 小野篁
>「これ あんたらがやったんやろ?」「いいや 知らねぇな」
> 裏辻に、貴人が一人と男が二人…男達は笑って小刀を構えた。
>「ハァ… 僕に 嘘ぉついたらあかんわ」
>「ついたら何だ?閻魔さまにでも言いつけるか?」
>「せやなぁ ほんじゃ そうさせてもらおかぁ」
> 刹那、蒼い光が走る。小刀を構えた男が一人・・・事切れていた。
>「お…お前 まさかあの『野狂』の…」
>「クク・・・ ゆっくり三途の川ぁ 渡ってきぃや
> …先に閻魔さんとこで待っとるで」
***巻ノ肆 不死2-001/UR 太山府君
>「よいか小娘。死者蘇生の法は陰陽の秘術などではない。
>あれは外法よ。天地の理へ背くものだ」
>老人のようにしわがれた声で、太山王は続けます。
>「用いれば貴様も穢れを受けて鬼となる。貴様の地位や善行
>…全て無為となり、地獄にて報いを受けることになろうぞ」
>太山王の刺すような視線を、凛とした艶髪の女人は真正面から
>受け止めると、力強く頷きました。
>「…そうか。ならば、致し方あるまいな」
>太山王がそう言って腰を上げると、老い衰えているかのように見えたその体躯が
>みるみるうちに生気を取り戻し、若々しきもののふへと変貌していくではありませんか。
>「なればこの地獄の十王が一人、東嶽大帝へ、その覚悟のほどを示して見せよ――安倍清明!」
***巻ノ肆の異 SP-023/SP 太山府君
>この世のあらゆるものは「陰」と「陽」の二気より生ずる。
>静と動、闇と光、空間と時間、そして――死と生。
>一時的な不均衡は生まれども、その完全なる均衡は必ず収束し、その理が乱れることはない。そして乱してはならない。
>これは陰陽道に連なる者にとっての常識であり、陰陽術とはその均衡の境界を、微かながらに操る術でしかないのだ。
>――ならば、ならば、ならば
>ならばその理を容易に踏み越えるこの存在を――
>老いと若き、死と生の境界を、軽々と越えて見せるこの存在を――神と呼ばずしてなんとする。
>嗚呼、其は確かに私の願いを叶え得る者。
>そして、決して呼び出してはいけなかった者。
>嗤う神――地獄の王は、私の願いなど一刀にて断ずるであろう。
>其は、太山府君。
>天地の道理を司る、陰陽の顕現。
>其は、東嶽大帝。
>不出来な覚悟で、亡き妻の蘇生を願った私を、裁く者。
***巻ノ伍 魔種3-004/SR 蘆屋道満
>「ふぅ… 京って こんなに妖が多いのかぁ」
>襲い来る餓鬼の群れを一蹴した陰陽師は、さしたる疲れも感じさせぬ所作で、式神である赤鬼を呪符へと戻した。
>呆れたような言葉とは裏腹に、彼女の心は喜びに沸き立つ。
>曰く、京には無比無双の陰陽師がいるという。
>曰く、その陰陽師は見目麗しき娘子であるという。
>曰く、その呪術の冴えたるや右に出る物はおらぬという。
>都などという腑抜けた土地に、本当にそのような者が…などと最初は疑ったものの、もはやその疑念は消え失せていた。
>京に来て出会った悪鬼悪霊はどれも強力な妖だった。
>そのどれもが田舎の妖たちとは比べるべくもない程に。
>この地獄の如き有様の中、京を守護し足らしめている存在がいる――それこそが何よりの証だった。
>会いたい。早く会って、術比べをしてみたい。
>「…ま、別に勝って一番を名乗りたいわけでもないけどね」
>そう独りうそぶく彼女――道摩法師の瞳は、爛々と揺れていた。
***巻ノ陸 魔種3-019/C 茨木童子
>ふははは! 来おったなぁ、陰陽師!
>この地を根城としてからはや幾とせ、ワシは貴様を待ち続けておったのだぁ!
>おうよ! 貴様のことは噂でよぉく聞いておるぞ、陰陽師!
>天一貴人なるがしゃどくろを自在に操り、京にその名をとどろかす、当代一の腕きき!
>そして、すらりとした長身にハリのある肌、豊満な身体、そして何よりも長くまっすぐな黒髪! どれをとってもワシ好みの極上のオナゴだとなぁぁぁ!
>ハッハァァ! のこのことワシを退治しに来たつもりだろうが、この大江の茨木童子さまが、女子供に負けると思うてか!
>返り討ちにして、貴様をワシの妾にしてやるわ!
>ほぉれほれ、ちこう寄って顔をよぉ見せてみぃ。
>月明かりではよう見えん………ってなんじゃ! 髪みじかっ!
>ぐぅ…おのれ貴様ぁ! 安倍晴明ではないな! ぜんっぜん好みじゃねぇ! 美女どころかこれじゃまるで男――痛ェ! な…その護符まじイテェェ!!
>ばっ…おいやめ…! それはまじでヤバ――
***巻ノ陸の② 神族4-018/C 韋駄天
>速さってのは絶対的な価値だ。
>
>誰にとっても時間は有限で貴重なもんだからな。 物事を速く成し遂げれば浮いた時間で他のことができる。 どんな間抜けでもゆっくりならばいつかはできるさ。 だが、そんなモンに意味はねぇ。
>
>大事なのは速さだ。 速ぇことが偉いんだ。
>
>ワシの敬愛する増長天様はそれを良くわかってらっしゃる。 だからこそ韋駄天足と呼ばれたワシのこの足の速さを見込んで、こうしてお使いを任せてくださってるってぇワケよ。
>
>さぁ、増長天様が待ちわびておられる。 ぶっちぎっていくぜぇ!世界を置き去りにするワシのこの超スピーぃぃぃ…ど? ぬ…ぬぬ…ぬぉぉ! なんだぁぁ! 動けねぇぇぇ!!
>
>「あ、ごめんごめん。そこ結界張ってあるんだ」
>
>くっ…お主陰陽師か!? はやくこの結界を解かねぇか!
>
>「まぁそう言わずにさ、ゆっくり話をしようじゃないか」
>
>ゆっくり…? ハッ、戯言を…ワシには増長天様にこの甘味を一刻も早く届けるという使命があるんでな。
>
>「いいね、君。 ふふふ、実は前から、君みたいな速くて忠義に熱い式神が欲しいと思ってたんだよね」
>
>な…んだと…! おい! やめろ! ワシに触れるな! ワシには増長天様という心に決めたお方が――
***巻ノ漆 不死4-013/C 宋帝王
>ほぅ…オレを従わせるだと。
>なるほど…お前が太山王と対峙したとかいう陰陽師か。
>聞いていた通り、なかなか面白い奴だな。
>だが…愚かな人間の「邪淫」を裁くのがこのオレ、宋帝王だ。
>節度の無い行為、知恵の足りん行動は全てオレの裁きの対象。
>一度ならば聞き流してやるが、先のお前の放言は罪に値する。
>さぁ、わかったならば今すぐ立ち去れ……なに?
>後学のため他にも「邪淫」について詳しく教えろ?
>む……まぁ、そうだな。
>なんというか…その…“アレ”とかも含まれるな。
>は? アレじゃわからんだと?? ……アレったらアレだ!
>「邪淫」って言葉から察しろよ!わざわざ言わせるんじゃねぇ!
>……お前、さてはその顔、知っていて聞いているだろう!
>おのれ…! この十王をからかうなど不届きな――
>う…よ、寄るな! い、言っておくがオレの裁定ではお前は既に“アレ”な方の邪淫を犯しているのだぞ!
>そ…そんな胸元の…露出の多い…なんと邪で、淫靡で、は、破廉恥な服を着てからに!
>くっ…だから寄るなと言って…やめろ! オ…オレは、そんなものに惑わされて式神になどなったりしな――
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**胎動せし五つの刃 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【胎動せし五つの刃】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『影なりし五つの刃』を獲得出来る。
***その1 人獣1-011/R ガラティン
>一つは嘆きの剣の物語。
>その剣は無類の切れ味と強靭な刀身を持つ聖剣。
>忠義の騎士――それが剣の主となった男であった。
>剣は主に心酔し、ただ主の意のままに敵を討った。
>剣としての名声は得られずとも、勇猛で実直な主との日々は
>剣にとって満ち足りたものだった。
>しかしかの日かの戦いで、剣は主を失った。
>信じた友の裏切りと、血を分けた者たちとの戦いの中で、
>主は心と身体をすり減らし、最後は無様に果てたのだ。
>嗚呼――剣は嘆く。
>剣は、敬愛する主を守れぬ弱さを嘆いた。
>剣は、怒りの咆哮を吐き出す口が無いことを嘆いた。
>剣は、主を弔うことすら出来ぬ己の身体を嘆いた。
>嘆き、嘆き、嘆き――いつしか折れ朽ちるそのとき、
>剣は、悪魔の声を聞いた気がした。
***その2 神族1-011/R ハバキリ
>一つは諦めの剣の物語。
>剣の名は天羽々斬。彼は名も無き剣として、荒ぶる神の切先と
>なり、多くの妖魔芥、そして異形の大蛇を斬り伏せた。
>その最後の功績から与えられた名がそれだ。
>「羽々」――すなわち「大蛇」を斬る。故に羽々斬。
>名を得た瞬間から剣は、「剣」ではなく「羽々斬」となった。
>天羽々斬は、以来一度として振るわれたことはない。
>なぜならば、それはただの剣ではなく「羽々斬」なのだから。
>悪しき羽々を斬る剣としての神格を強いられ、至高の宝剣の
>座は、大蛇の尾より生まれし神剣にとって代わられたのだから。
>またいつか、悪しき羽々が現れし時にそなえ、刃を封ぜられた
>剣は、もはや剣ではない。そして…斬るべき羽々はもういない。
>彼はただの剣でいたかった。いつまでも主たる荒神と共に――
>『もう一度、斬りたいかい?』
>聞こえたその愉快げな声は、剣にとって――剣であること
>すらを諦めていたその刃にとって――甘く、蠱惑的に響いた。
***その3 魔種1-010/R ダーインスレイブ
>一つは恨みの剣の物語。
>その剣を持つ者は呪われるという。
>一度抜けば必ず誰かを死に追いやり、やがては所有者を破滅に導く魔性の剣であると。
>だが、真の意味で呪われていたのは、剣自身であった。
>神々の悪意の術式は、道具であるはずの剣に過酷を強いた。
>鞘から抜き放たれる度に生きたまま身を削ぎ落とされるような激痛が走る。
>剣は声の無い絶叫を何度も繰り返した。
>痛みの次に訪れるのは渇きだ。
>刀身を空気に晒すと、剣は灼熱に身を焼かれるような渇きにその身を支配された。
>肉を引き裂き、真っ赤な生き血をその身に浴びることだけが、渇きを和らげる唯一の方法だった。
>そうした剣の苦悶が、怨嗟が、絶望が、所有者を黒く蝕む。呪いの剣とは、そのように出来ていた。
>『終わらない地獄 君はこの呪いを受け入れるのかい?』
>果ての無き苦痛の中、その日剣は悪魔に出会った。
***その4 海種1-010/R トリシューラ
>一つは怒りの剣の物語。
>ある小国に、一振りの煌びやかな矛が祀られていた。
>それは武器というにはいささか頼りない、祭礼用の矛。
>小さな矛は若き女王の下で、祭事に度々振るわれてきた。
>美しく優しい主は国民に慕われ、矛もまた彼女を慕っていた。
>彼女と共に、このままいつまでもこの国を見守っていきたい。
>そんな矛の幸せは、ある日突然崩れ去った。
>権力という名の欲望にまみれた貴族たちの謀略により、
>女王は謂れなき罪で叛乱の憂き目にあったのだ。
>玉座に追い詰められた女王は、矛を手に抵抗を試みた。
>しかし所詮は飾りの刃。矛は、あっさりと折れて無様に転がり、
>女王は連れ去られた。私利私欲のため、女王を陥れた不逞の
>輩共。そして何より、その身を刃とし、女王を守ることが
>できなかった紛いものの自分。その全てが許せなかった。
>『君は、戦うための“刃”であることを望むかい?』
>是非も無い。怒りに震える矛は、無意識にそう答えていた。
***その5 不死1-010/R ティルフィング
>一つは渇きの剣の物語。
>その剣は、一度抜けば所有者の願いを必ず成就させるという。
>事実、剣は願いを叶え続けた。
>戦の勝利を望む所有者は、強き仇敵を討ち果たした。
>恋の成就を望む所有者は、憎き恋仇を亡き者にした。
>だが、いずれの所有者も、必ず最期は破滅した。
>それは必然…剣には最初から善性など存在しない。
>人の願いで因果を紡ぎ、破滅を運ぶがこの剣の魔性の呪い。
>しかし、剣は人の願いというものに、自らの呪いに飽いていた。
>呪いがもたらす破滅の大きさは、所有者の願いに比例する。
>だが、幾人の手に渡っても、人が人を殺す道具である剣に願うことは常に同じ。
>そうして訪れる破滅もまた、常に画一的な結末だった。
>――ツマラナイ、ツマラナイ、ツマラナイ
>剣は感じる。自身が剣であることの限界。
>――ツマラナイ、ツマラナイ、ツマラナイ
>剣は渇く。より大きな破滅に。より芳醇なる破滅に。
>その姿を遠く眺める悪魔は、愉快げに口元を歪ませた。
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&aname(オズの紅蓮の都,option=nolink){}
**オズの紅蓮の都 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【オズの紅蓮の都】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『オズの守人』を獲得出来る。
***第1話 人獣2-010/R ドロシー
>まったくもう なんだったのよ さっきのキモチ悪い羽のはえた猿は!
>ブリキ男が殴っただけで灰みたいになっちゃうし…誰か知ってる?
>なに?「魔女の魔法」じゃないかって? なによそれ この世界 魔女なんているの? うわーうっざ!
>アンタ達もたいがい珍妙だけど ここらにいたヤツらだけでも パズル人間に パン人間
>さっきからそこでひとりくるくる回ってる頭ゆるふわな感じの人に加えて魔女までいるの??
>なんなのよこの世界! え? この世界で魔法を使っていい人は一人だけ? じゃぁそいつが犯人ってわけよね!
>よ~し みんなそいつををとっつかまえて…って何よカカシ。え、「使っていい人」は一人だけど「使える人」は何人かいる?
>は? 何よアンタ脳みそないくせにややこしいこと言うわね! あ~も~ マジうっざ! そいつどこのどいつよ!
>こうなったら その「一人だけ魔法をつかっていい人」に魔法で犯人おしえてもらうわよ!
>へ? …あの頭ゆるふわなおねーさんがさっき言ってた「一人だけ魔法を使っていい魔女」なの?
>あんなのが…? マジで!?
***第1話 その② 神族2-013/R グリンダ
>カドリングの住民たちに、この地の魔女について聞きました。
>「あぁ、オズでは魔法を使うことを固く禁止されてるんだがよぅ、
>この広いオズでグリンダ様だけは魔法を許されてるんだよぅ。
>ハハハ、まぁグリンダさまなら…わかるべなぁ」
><紙人形の村 チョッキンペットの住人>
>「グリンダ様の魔法はすっごいよ~ な~んでもできちゃうんだよ~
>でも な~んでもできないと困るよ~」
><パズル人間の町 コンガラパズルの住人>
>「はい。グリンダさまの魔法はすばらしいです。
>わたし達はグリンダ様の魔法が無いと不安で不安で。
>でも、グリンダ様にも不安で不安で。」
><セトモノの国の住人>
>「ウフフ!みなさんたら、ありがとう!チョッキンペットさん感謝の握手を…」
>ビリッ!
>「あ、ごめんなさい!セトモノのみなさんちょっときてください!チョッキンペットさんが…あっ!」
>ドテッ!ガシャンッ!
>「ひぁっ!割れちゃいました…ここはコンガラパズルの皆さんに助けて頂いて…やん!」
>ドテッ!ガラッシャ~~~ン!
>「あら みんなバラバラに…でも、大丈夫♪魔法で安心!シャランラ~~~♪」
***第2話 魔種1-011/R エルファバ
>くぅ...っ! あの赤い靴の小娘! わたしのかわいい妹
>を、おバカなウィンキーみたいに小汚い家で押しつぶす
>なんて...絶対に許さないわ! 復讐よ! 仲の良いあん
>たのお供を殺して、あなたにも同じ悲しみを与えてやる
>わ! まずは、あの頭が空っぽのかかしね。 暖炉にく
>べて、燃やして...あ、でもわたし水が苦手だから、火事
>になると困るわね...。 そうよ! それより、あの死ん
>だ眼の、心が全く無いブリキの木こり! バラバラにし
>てヤカンにして...やっても水に触りたくないから、入れ
>るものが無いわ...。 それより、それよりよ! あの、
>見るだけでもイライラする、気持ちの悪い臆病なライオ
>ン! 毛皮をはいで、カーペットにしてやる...って皮
>をはいだときに、なんか水みたいな汁がピュッって出てき
>てかかったら嫌だわ...。 はぁ... それより、早く止ま
>ないかしらこの雨、復讐にも行けやしない。
***第3話 その② 神族3-015/R グリンダ
>ウフフ オズマ姫、お元気ですか? あなたの親友グリンダですよ♪ お留守のようなので置き手紙です♪
>
>先ほど赤い靴の女の子に会いました。 なんだかエルファバちゃんの妹のネッサローズちゃんを、お家でつぶしてしまったのですって。 可哀そうだから、
>あとで魔法で生き返らせてあげなくっちゃ♪ それと、エメラルドの都に行きたいと言っていたので、案内にオズ君を紹介しておきましたよ♪
>
>あ、そうそう、今日は大変なことがあったので、この生きている紙さんにメッセージを吹き込んでいるのでした。 なんとな~く外の世界のことが気になって、
>「魔法の絵」を覗いてみたら、まっ赤な目をした悪い王様が死の砂漠の下を通って、エメラルドの都に攻め込もうとしていたんですよ。
>でも、安心。 以前わたしが魔法で作った、飲めばなんでも忘れてしまうこの「禁断の泉」の水をあの王様に飲ませれば、悪いことなんてきれいさっぱり忘れて…ひゃん!(ドッボーーーン)
>…あらら、泉におちてしまいました♪ あら? あらら? なんでしたっけ? なにか色々ともやもやしますね。 大事なことを忘れたような…う~ん。 クチュンッ!
>お鼻が…あら、ちょうどよくこんなところに生きている紙さんが、失礼してお鼻をかませてもらいますね♪(チ~ン!) さて、こんなもやもやな気分は魔法ではらしてしまいましょう♪ 魔法で安心シャランラ~~♪
***第3話 閑話 SP-031/SP グリンダ
>ふ~「禁断の泉」に落ちて、体が冷えてしまいました…。お風呂に入って温まりましょう♪ん~、でも何かしら…?何か大切なことを忘れている気がしますね…オズに危険が迫っているような…
>私の勘は当っちゃいますからね。念の為、お風呂に入ってる間、チクタクさんに見張って頂きましょう♪チクタクさ~ん♪
>『お呼び-ですか?-グリンダ様』
>まぁ、お早いですね、さすがチクタクさん♪
>『はい-ご婦人を-守るは-ワタシの-務め-ワタシは-軍人の中の-軍人ですから』
>ウフフ、頼もしいですね♪それではこの「魔法の絵」で、私がお風呂に入っている間、オズの国に悪い人たちがやってこないか見張っていてくださいな♪
>『おやすい-ごようです-グリンダ様』
>それでは行ってきます♪よろしくお願いシャランラ~♪
> ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
>チクタクさ~ん、どうですか~?
>『はい-特に異常は-ないです-あ…』
>あらら? どうしました~?
>『少し-見にくい-ですね』
>う~ん、その絵は見たい景色がなんでも見える「魔法の絵」ですからね~。もっと見たい風景をつよ~く願うと良いですよ~♪
>『はい-承知-しました-あ…』
>どうしましたか~?
>『ためしに-ブラシを-少し上に-上げてみて-ください』
>ブラシ?は~い、シャランラ~♪どうですか~?
>『グッジョブ-敵は-排除されました-完璧です』
>わ~すごい!良くわかりませんが、さすがチクタクさんですね♪
>『はい-ご婦人を-守るは-ワタシの-務め-今日も-オズは-平和です』
***第4話 海種4-017/C チクタク
>オズの“一人軍隊”チクタクは、先ほど訪れた少女について、黄色い雌鶏のビリーナと意見を交わしていました。
>
>『ドロシー嬢と-言いましたか-あの歳にして-なかなかの-傑物-このまま-成長すれば-かなりの-戦闘力を-持つと-思われます-将来が-楽しみです』
>「コケーー! あのちっちゃな女の子が!? 作り物の目でも腐るのかい? あの子は魔法も使えないし、大きなブリキ男だのみじゃないか!」
>『いえ-ブリキさんなど-関係-ありません-彼女が秘めている戦闘力は-大したものです-この-軍人の中の-軍人-チクタクが-保証します』
>「ホントケーー!? じゃあ、あの子だけで誰に勝てるっていうんだい?」
>『成長-すれば-西の魔女にも-負けない-でしょう』
>「ウソコケーー!! あの性悪魔法使いにも勝てるってのかい??」
>『成長-すれば』
>「ホントケー? じゃあ、オズ陛下はどうさ」
>『……ちょっと-意味が-わかりませんね』
>「ンケー…確かに陛下は知恵で戦うタイプだからね。ならさ、オズマ姫はどうだい?」
>『そこは-好みの-別れる-ところですね』
>「マジケーー! ……好み?」
>『でも-やはり-グリンダ様には-及びません-グリンダ様の-破壊力は-超ド級-並大抵の-戦闘力では-敵いません-この-ゼンマイ仕掛けの-股間も-バーーーン』
>「……おムネ?」
>『オズで-一番の-破壊力-グリンダ様は-サイコ―です』
>「そっちの話ケーー! オゲヒーーーン!!」
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&aname(恐るべきウェンディゴ伝説,option=nolink){}
**恐るべきウェンディゴ伝説 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【恐るべきウェンディゴ伝説】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『これが、コワイコワイだぞ』を獲得出来る。
***恐怖の1 海種1-009/R アニュイ
>あたしはこわいこわいウェンディゴだ。あたしにはさいのーが
>あるからな。早くおとなになって、このプカックで、
>みんなみたいに、いーっぱいニンゲンをこわがらせるんだ。
>だけど母さまは、一人前のりっぱなウェンディゴになるには、
>もっとこわいをべんきょーしないとダメだっていう。
>だからあたしは旅にでることにした。
>もちろん、アテならあるぞ。
>なんでも、この山のずーとしたのほうに、ニンゲンの
>くせにものすっごいこわいぶぞくがいるらしい。よくわからん
>が、なんてったってなまえがガオーだからな、ガオー。
>きっとちょーこわいやつらにちがいない。
>そこのいちばんえらいやつは、世にもおそろしいやつなん
>だろうな。たぶんイノシシとか片手で頭からばりばりたべる。
>だからそいつに会って、こわいをますたーするんだ。
>さぁ、いくよプカック。ガオーはどっちだ?
>…あいかわらずむくちだな。じゃぁ、おまえがたおれたほうな。
***恐怖の1の② 海種1-012/R アニュイ
>おかしい… いつになったらガオーに会えるんだ?
>…プカック、ほんとにこっちであってるんだろうな。
>ここまでおまえのたおれた方にきたけど、ぜんぜんガオーっぽいやついないじゃないか。
>…そーいやプカック、さっき見たニンゲンの女すごかったな。
>ニンゲンのくせに、こわい動物たちずばーん! どかーん! ってあっという間にやっつけたかと思ったら、にくにく~って変な歌うたいながらどっかいっちゃった。
>あいつ、あたしのよそうではすごい寝不足だったんだと思う。
>だって片目が真っ赤だったからな。…寝不足であのつよさ、あれはかなりの“てだれ”にちがいない。
>うん、しょーじきちょっとこわかった。なかなかやる。
>あ… よく考えたらニンゲンのことだし、あいつにガオーのこときけばよかった。
>…まぁすぎたことをいってもしかたないな。
>プカック、次の行き先をきめるぞ。きあい入れてたおれろよ。
***恐怖の2 人獣1-020/C モルス
>【カトブレパス】
>頭部が非常に重く、常にうつむいたような姿になることから「うつむく者」の名で知られる。
>その瞳を見ると瞬時に石化の呪いを受けるため、決して不用意に生息域に立ち入ってはならない。
>――この前読んだニンゲンの本にそう書いてあった。
>…見た瞬間に石になるならこわいも何もないだろオマエ。
>石にしちゃったらこわがってもらえない。ちゃんと考えろ。
>おい、聞いてるのかカド…ガトプ…むぅ…
>オマエ、もっとこう、言いやすい名前はないのか?
>「モルルァァァーーース!」
>もる…?そうか、もる…モルスか。
>言われてみるとなんかこう、もるっとしてるな。全体的に。
>モルス、オマエもこわいをベンキョーしとくんだぞ。
***恐怖の3 神族1-020/C ウラヌス
>――秩序、支配、破滅、白焔、黒淵、供物…
>壊れた神は無軌道な言葉を紡ぐ。神を喰らい、魔を喰らい、 喰らう度にその存在は変異した。
>再構築を繰り返した肉体は いつしか一握の意思や記憶すらも喰らい尽くし、
>天空神はそこに 在り続けるだけの、神威の残骸と成り果てていた。
>――創世、飢餓、構築、輪廻、再生、破壊…
>「ふん、むずかしい言葉でごまかそうとしてもダメだぞ
>あたしはかしこいから、むずかしいのはこわくない」
>朽ちゆく神の骸を前に、雪色の少女はツンと小さく胸を張った。
>――崩壊、空白、絶望、虚無、虚無、虚無…
>「む…またわけのわからないことを…
>いいか、こわいというのは相手に伝わらなければ――」
>逃げるでもなく淡々としゃべり続ける少女に、 壊れたはずの天空神は一つだけ感情を取り戻した。
>――困惑、困惑、困惑、困惑、困惑、困惑…
***恐怖の3の② 神族3-027/C ウラヌス
>壊れてしまった神に、もはや自我は存在しない。
>否、正確には存在するが、限りなく薄れているというべきか。数多の神魔霊獣を喰らい、その存在を全て飲み干してきた結果、天空神にとって自我と他我の境界はひどく曖昧なものとなっていた。
>本来自身の持っていた感情や意志は、いつしか溢れる他我の奔流に埋もれて見えなくなった。今考えていることは、今感じていることは、本当に自身のものなのだろうか。
>かつて目指した頂も、不倶戴天の仇敵すらも、もはや思い出すことができない。
>“それ”を教えろというのであれば、心の奥底にわずかに残った自分自身が消えてしまうこと……自身が自身で無くなってしまうこと……これを上回る“恐怖”は無い――
>「おまえの言ってることはむずかしすぎてわからん。もっとわかりやすくひょーげんしろ」
>――と、このしつこい少女にどうやったら伝わるだろうか。
***恐怖の4 不死1-009/R ドリアン・グレイ
>この世でもっとも強力な力、それは美だよ。なにも自身が腕力や知力に優れる必要はない。
>美は人を惹きつけ、惑わせ、時に判断能力を奪う。
>美によって強者の心を支配してしまえば、それらの力は自在に振るうことができるも同然、というわけさ。
>「…まったくりかいふのーだな。 そんなものより、こわいの方がつよいに決まってる」
>そうか、やはり美しくない者には理解できないようだね。
>「…おまえ、むかつくやつだな…ん? なんだこれは…」
>…!! やめろ! その肖像画は見るな! 見ないでくれ…!
>「なんでだ? あたしは好きだぞ。少なくとも、おまえよりよっぽどいい。こわいし」
>な…! そ…そんなことを言ったのは君が初めてだ…。フフ…いいだろう!僕が特別に本当の美というものを教えて…
>「いや、いらん。おまえのことはきらいだからな」
***恐怖の4の② 不死2-013/R ドリアン・グレイ
>なるほど、本当の恐怖を知りたいと。
>ならば君は、本当の美しさについて知るべきだ。
>なぜならば、完全なる美は恐怖と表裏一体。
>決して到達しえない人知を超えた美を前にしたとき、人も、神でさえも、ただ畏怖するしかないのだからね。
>いいだろう、君のような蒙昧な輩に美の教義を授けるのも美に愛された僕の役目だ。
>まずはこの貴婦人の肖像画を見たまえ。どうだ、素晴ら――
>「ただのニンゲンだな。よわそーだからこわくないぞ」
>む… ならばこの高名な壺はどうだ。
>この無駄のない流線型と、独特の光沢が――
>「…おまえつぼがこわいのか? むしろだいじょーぶか? こんなのよりおまえのうしろの絵のほうがずっといい。そっちの方がこわかっこいいぞ。それをくれ」
>ああ…いや、すまないがこれは渡せないんだ。
>「なんでおまえいやがりながらちょっとうれしそうなんだ? あいかわらずきもちわるいやつだな」
***恐怖の5 魔種1-020/C グレイグル
>――「個」トハ常ニ「群レ」ノタメニ存在スル。
>――「群レ」ノ利益トハ、種ノ利益。
>――種ノ利益トハ、「個」ノ利益。
>――故ニ、我ハ「個」デアリ、「群レ」デアル。
>――進メ我ヨ。進メ我ガ軍勢ヨ。
>――我トイウ「個」ハ、喜ンデ「群レ」ノ礎トナロウ。
>「群れ 群れって、おまえはアレなのか、さびしんぼなのか?仲間に頼ってばっかりじゃ一人前になれないぞ」
>雪色の少女は呆れたように、その無慈悲な残虐性から「悪魔の騎士」と呼ばれた、名も無き蟲人に告げる。
>「しょうがない。まずは自分のなまえからだな。この前ひろったいいものをやる。これを読んでさんこーにしろ」
>少女がよいしょと取り出したのは、人間の子供が読む絵本。
>そこには、どんな困難にも一人立ち向かう勇敢な騎士の姿があった。
>その騎士の名は――
>意思無き意思に従い生きてきた蟲人は、その名を小さく呟き、
>ワルク…ナイ――そう、思った。
***恐怖の5の② 魔種2-029/C グレイグル
>名前とは、個体を識別するための呼び名である。
>“群れ”の一部としての存在意義しかなかった彼には不要なものであるはずだった。
>グレイグル――その名を得たその時から、彼には“群れ”ではなく、
>グレイグルとしての、すなわち“個”としての自我が芽生え始めていた。
>かつては群れの意志の赴くままに森を穢し、大地を蝕んだ。
>だが、暴虐が沸き立つような“意志”はもう感じない。
>ただ従うままであった“声”はもう聞こえない。
>“個”を意識したそのときから、彼は一人になっていた。
>しかし彼は、それに不安を感じることはなかった。
>一人で戦う強さを教えてくれた「絵本の騎士」がいる。
>自分に名前をくれた雪色の少女がいる。
>――故郷の森へ行こう。
>彼はかつて自らが貶め、穢した森のことを想った。
>贖罪のため、自身の力で豊かな森を取り戻そう。
>そうして、誰に恥じることのない本物の「騎士グレイグル」として生きるのだ
>――だが、彼はまだ知らない。
>断罪者の剣がすぐそばまで迫っていることを。
***恐怖の5の③ 魔種3-025/C グレイグル
>断罪者の怒れる目は、裁かれる罪人である彼――グレイグルを見据えていた。
>その蟲人は、彼が“群れの意志を持つ者”と呼ばれていた頃、故郷の森で死闘を繰り広げた、森の守護者であった。
>断罪者の豪腕の前に、彼は刃砕け、牙折れ、傷つき、既に満身創痍だった。
>かつて群れが一丸となって挑み、それでもなお勝てなかった相手。そんな相手に彼一人で勝てる道理など存在しなかったのだ。
>次に振るわれる一撃は、必殺の威力を持って彼を打ち砕くだろう。
>ここで討たれることも贖罪か――彼は諦めと共に、死を受け入れようとしていた。
>死に瀕したが故の本能か、そのとき、僅かに残された“群れ”としての機能が彼にある光景を見せた。
>――同胞たちの無数の視線。視線は一点に注がれている。その視線の先にあるもの――あの、雪色の少女だ。
>“狩り”が始まれば彼らは躊躇なく少女を喰い破るだろう――自分がかつて、そうであったように。
>彼は対峙する断罪者の剣を渾身の力で振り払うと、痛む身体を引きずるように駆け出した。その名を彼にくれた少女の元へ。
>あの絵本のような勇敢な騎士たらんがために。
***恐怖の6 海種1-019/C スノーマン
>「冬の海というものはそれはそれは恐ろしいものじゃ。
>人が海で死ぬと、その魂は母なる大地に帰ることができず
>洋上に取り残されると言われておってな。そんな魂たちが
>氷や雪と結びつき、やがて魔物になってしまう。
>魔物になった者は同胞を求めて人を襲い、喰らい続ける…
>次の春が訪れるまで、ひたすらの」
>長老がそう語り終えると、物語を聞きに集まった子供たちは、
>みな恐怖に震えました。そんな中、ただ一人フードの少女
>だけは興味深げに目を輝かせていました。
>「そいつなかなかやるな。ばっくぼーんもしっかりしてる。
>ひょーかに値するこわさだ」
>普段見かけない顔のその少女はウンウンと一人頷きます。
>「だが、春になったら溶けるなんてきあいが足りん。
>あたしのこわさはねんじゅーむきゅーだからな。
>つまりあたしの方がすごい。こわいこわいだ」
>フードの少女はそう言って、得意げに去っていきました。
***恐怖の7 人獣2-021/C クロノス
>ウラヌスを喰らい、『黒淵の塔』に至らんとするまさにそのとき、
>我は世界が揺らぐのを感じたのだ。
>おびただしいほどの『混沌種』の軍勢。崩壊する2つの塔。
>いつしか我は次元の間隙へと放り出され、この世界へ流れ着いた。
>『白焔の塔』も『黒淵の塔』も存在せぬこの世界に。
>そして何の因果かここには忌々しきウラヌスの気配もある。
>そうだ、世界が変わろうと、我が行うことはただひとつ…!
>今度こそ貴様を喰らい尽くし、創世の力の全てを我が物としてくれようぞ…!
>「おまえ…顔はおじーさんなのに、胸がライオン。
>手がドラゴンで背中にでかいトリ…さすがにもりすぎじゃないか?」
>…なんだこのちみっこい奴は。
>「ぷろこんじょーはみとめるが、こわいは“こんせぷと”が
>だいじだからな。つければいーってもんじゃないんだぞ」
>…いや、これはそういうのではなくてだな。
***恐怖の7の② 人獣3-029/C クロノス
>獅子は勇猛さの象徴。何者にも屈さぬ、雄々しき咆哮をその身に宿す。双竜は圧倒的な力の象徴。天空を喰らい宇宙を統べる、崩滅の顎をその身に宿す。
>鳥翼は自由の象徴。摂理に抗う、縛されぬ翼をその身に宿す。老人は智慧の象徴。万物を解する、老獪なる叡智をその身に宿す。
>この姿を恐れぬものなどいなかった。かつて相対した数多の敵たち、かの憎きウラヌスですらもこの力を恐れ、一角の畏怖を抱いていたはず。
>この大地神を前にすればそれが道理であり、当然のことであった。
>――それをあの少女は、臆することなく一喝してみせた。
>「…この世界も、なかなか面白いではないか」
>一見すると幼き少女のようであったが、彼女がただ者でないのは明らかだ。そうでなくては、この神を窘めるなどできようはずがないのだから。
>「ククク…一つ世を統べた程度で驕っておったわ」
>獣面が愉快げに大気を震わせる。それは未知の力への畏怖と、新たなる強者の出現を前にした昂ぶりの表れであった。
>大地神にとって、全ての力を己が手中に収めんとするのは必然。
>必ずやその力を解き明かし、我が物にしてくれよう――
>まずはあの白き少女を追い、問いたださねばなるまい。
>「見せてもらうぞ…“こんせぷと”なる力の秘密を…!」
***恐怖の8 魔種2-004/SR バフォメット
>我に魂を捧げよ。
>ヒトの価値とはすなわち魂の価値に他ならぬ。
>穢れを知らぬ真白き魂など唾棄すべきもの。
>憎悪や欲望で昏く染まった魂なればこそ至高よ。
>我はその魂の輝きに応じ盟約を果たし、欲望の糧とならん。
>さぁ少女よ、汝の色を見せてみよ。汝の願いはなんだ。
>「クマを探してる。おまえクマ見なかったか?」
>………クマ…だと?
>「なんかこのあたりにアクマとかいうすっごいこわいクマが
>いるらしい。そいつに会ってみたい」
>む…そうか…悪魔ならば我のことだが…。
>「いや、おまえはどっちかとゆーとヤギだろ。
>ヤギはこわくないからきょーみない。クマだせ、クマー」
***恐怖の8の② 魔種3-006/SR バフォメット
>「つまり、アクマとゆーのはおまえのことで、おまえはヤギじゃなくてクマなんだな?」
>そうだ、ヤギではない。そしてクマでもない。
>「うん? クマでもないのか。じゃあなんなんだおまえ」
>だから悪魔だと言っているであろう。
>「うー…? まぁよくわからんが、おまえが噂のアクマだっていうなら、どのへんがこわいのか教えてくれ」
>ククク…悪魔の怖さについて悪魔直々の口から聞きたいなどとは、なかなか酔狂な娘よ。悪魔とはヒトの悪しき欲望を叶える禍々しき存在。
>そしてその欲望の対価として魂を奪うのだ。
>「誰かによくしてもらったらちゃんとお礼をするのは当たり前だろ。それの何がこわいんだ?」
>む…いや…そうはいうが…。
>「だいたい、タマシイ? とやらを集めておまえ何に使うんだ? たべるのか?」
>…集めた魂は別にどうこうするわけではない。悪魔とはそういうものなのだ。
>「…? つまり、おまえは何だかよくわからんものとでも引き換えに願いを叶えてくれる、いいクマってことか?」
>何度も言うが我はクマでもないし、ましてや善性など――
***恐怖の9 魔種3-012/C リビコッコ
>お…?お…お?おぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!よぉよぉよぉなぁぁんだオメェはよぉ!俺様に文句でもあるってぇのかあぁん!?あんのか!?あんのか!?ねぇよな!
>テメェみてぇなチビがチョーシくれてっとドタマカチわんぞゴルァァア!じゃあなんだぁあ!!俺様のイカした髪型にキョーミシンシンってかぁぁああ!?ウヒヒヒ見るからにセンスなさそうなツラァしてっからなぁあ!!
>わかるっ!わかるぜぇぇ!!いいぜぇぇ!俺様のぉ!!キュートでぇ!!コケティィッシュなぁ!!メリハリバディィ!!存分に崇めやがれぇ!!さもなくば奉れんのかぁぁぁぁぁ!ボケがぁぁあ!!なんだなんだなんなんだテメェよぉぉ!!
>キサマ俺様のこと馬鹿にしてんだろぉおお!!!??そんなんなら帰れぇえ!帰れよぉおおお!!!ほれほれほれそれともなにか!他に俺様になんか用でもあんのか“よう”!!なーんつってなぁぁあ!!!
>笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えなぁぁああんで笑わねぇぇんだよぉぉお!!最っ高にぃいいイカれた激寒ギャグだろがぁあああ!!マジヤベェェエ!!ウケケケケケケケケケケケケケケケッケケケケケッケケ
>
>「………プカック、あいつこわい… というかキモい…」
***恐怖の11 神族4-013/C ハリハラ
>昼と夜 正と邪 男と女 夢と現
>光と影 生と死 裏と表 汝と我
>創造と破壊 そして 白焔と黒淵
>
>世の真とは 全て二対なり
>我は そのいずれをも背負うもの
>理の均衡は 全て二対により保たれん
>どちらかを選ぶことなど 無為と知れ
>
>我は二対 我は全 我は汝を映す鏡像
>狭間で揺れる者よ どちらかを選ぶなど無意味と知り
>そして選べ 己が開く扉の色を…
>
>「扉についてはよくわからないが、ひとつだけわかるぞ…“につい”はつよくてこわい」
>
>ほう…我が理を解したか 幼き汝よ
>
>「ああ、母さまは普段やさしいのに、怒るとすごいこわい…その“ぎゃっぷ”が超こわい。“につい”は…こわいこわいだ…」
>
>…それは……なにかが違うぞ 幼き汝よ
***恐るべき番外編 PR-008/PR アニュイ
>プカック、今日はおまえのお手入れだぞ。
>おまえも疲れてるだろうからな、ちょっとおやすみだ。
>…はー、ガオーは見つからないけど、旅をはじめてからいろんなやつらに会ったな、プカック。
>見た目こわいくせにさびしんぼーの虫っぽいやつとか、絵にうるさいむかつくなるしすとやろーとか、なんかもるっとしたカド…ガト…なんとかとか…
>………思い出してもへんなやつばっかりだな。
>あたしの知らないへんなやつらが、山の外にはいっぱいいたんだな。ちょっとべんきょーになった。
>まぁ、みんなこわさではあたしの足元にもおよばないが、なかなか見どころのあるへんなやつらだった。
>お? よく見たらおまえのお面だいぶ汚れてきたな。
>よし、ひさしぶりにあたしが新しいへんなお面いっぱい作ってやるから、あとでどれがいーかえらべよ。
----
&aname(七英雄と紅蓮の瞳の子,option=nolink){}
**七英雄と紅蓮の瞳の子 &link_anchor(▲){▲}
自身の世界と取り戻す為に終わりなき戦いに身を投じる紅蓮の瞳の子と嘗て七英雄とのやりとり。
会話を見る限り、七英雄は何度かロードに使役されたことがあるようだ。
また、一部を除いて紅蓮の瞳の子の思考がかなり上から目線であるが、これはプレイヤーの声を代弁しているということなのだろうか?
そして、約1名の扱いの悪さは過去を凌駕する勢いである…。
ちなみにフレーバーテキストを手がけたのは
サガシリーズの産みの親とでも言うべき河津秋敏氏とのこと。
ソース:[[https://twitter.com/SaGa25kawazu/status/484632756127686657]]
なお、クラスが【ロマンシング サ・ガ2】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『七英雄』を獲得出来る。
***神族No.1-032/ST ワグナス
>「王を目指しているのかね。紅蓮の王を。」答えに詰まる。
>「目標がはっきりしていないと、成果ではない。そういうものだよ。具体的な目標はあるのかね。」
>目の前の敵を打ち倒す以外の目標が自分にあるだろうか。
>「召喚される立場の我らが気に掛ける必要はないのだが、どうせならば志のあるロードに招かれたいものだからね。」
>流石は七英雄のリーダー、一瞬にして優位な立場を確立した。この技術、盗みたい。
>「しかし、紅蓮の王とは果たして王なのか。すべてを破壊し尽し、臣も、民も、国もない。それを王と呼ぶべきかな。」
>そうだ。それが自分が、多くの者が剣を取り戦う理由だ。破壊された世界を取り戻し、自分を取り戻す。それが、自分の目的だ。
>「君とならば手を携えて進めそうだ。我々は七英雄。&br()誰かの上に立たず、何者の下にも付かない。我らの力を存分に使いたまえ。」
***人獣No.1-032/ST ノエル
>「君はある種の英雄なのだろう?」
>自分が英雄だなどと思ったこともない。ただ日々を戦場に送るだけだ。
>「それを英雄と言うのだよ。常人には出来ないことではないか。」
>それが英雄の条件ならば、確かにそうかもしれない。
>「明日戦場に散ったとしても、何も後悔することはない。英雄だけが到達できる境地だ。君のような存在を、数多くの世界で見てきた。そして、戦った。時に味方として。時に敵として。彼らは今でも私の中で生きている。」
>そう、その言葉は比喩ではない。七英雄とはそういう存在だ。
>「紅蓮の力とは、どういうものだろうね。至福か絶望か、はたまた虚無か。非常に興味深い。」
>自分を取り込む気でいるのか?所詮は使い魔ではないか。
>「そういう考え方は英雄らしくないな。やられ役の小者が言うせりふだよ。」
***人獣No.1-033/ST ロックブーケ
>「疲れたの」そんな言葉までが魂を捕らえて放さない。
>「あまりにも多くの同化と吸収を繰り返して、私は心底汚れてしまった。純粋だったあの頃に、帰りたい。」
>彼女の両目から大粒の涙が零れ落ちた。
>「私を、死なせて。あなたには、出来るんでしょう?」
>彼女は微笑んでいた。その笑顔には、一点の汚れもなかった。
>「私にはもう英雄は続けられない。ノエル兄様やワグナス様みたいにはなれない。永遠に追いつけない、無限の彼方への旅はもう…」
>彼女の肩は小刻みに震えていた。この人を護れないとしたら、日々の戦いに何の価値があるだろうか。
>「ダメよ。私の言葉に捕われないで。匂いも態度もすべてが貴方を捕らえるためにあるの。だから、すべての感覚を閉ざして、ただ私を、殺して。それが私の最後のささやかな願い…」
***海種No.1-031/ST スービエ
>「その紅い目には世界はどう映っているんだ。」
>海の英雄は真っ直ぐにこちらを見つめている。
>「そしてもう一つの目で見える世界と、どう折り合いを付けて焦点を結ぶ事が出来ているのかな。」
>七英雄といえども、自分にとっては使い魔でしかない。なぜ使い魔がそんなことに興味を持つのか。
>「魅力を感じた対象のことを深く知りたいと思うのは、自然な感情だと思うのだが。違うかな?」
>感情など疾うの昔に失ったのではないのか、七英雄よ。
>「同化と吸収を繰り返しても、中心にある自分の核は変わらぬよ。対象が偉大であればなおさら正面で向き合い、敬意を持って接すべきだろう。大海原と向き合うように。」
>自分が海の様な大きな存在だと言うのか?
>「そうであることを望むよ。紅い目で世界を観る者よ。」
***魔種No.1-031/ST ダンターグ
>「お前は強いのか? ならば俺様と戦え。そうでなければ用はない。俺様に踏み潰されないうちに立ち去れ。」
>この自信の塊を叩き潰すのは簡単だが、それでは再起不能のダメージを与える事になってしまう。この力を活かさねば七英雄を使い魔とする意味も失われる。
>「ほう、戦うというのか。その勇気は誉めてやろう。何!条件があるだと。はっ、青二才の考えそうなことだ。」
>負けた方が相手の下僕になるという約束が必要だ。うまく戦えば、七英雄の自信と誇りを失わせずに、使い魔として召喚が可能になるだろう。
>「貴様など下僕にした所で何の意味もないがな。死んだ方がマシだったと思う程に扱き使ってやろう。来い!」
>その言葉が終わらぬうちに神速で速攻を繰り出す。反撃の糸口も与えずに撃破だ。
>「くそっ、汚いぞ。正々堂々と戦えば、結果は逆なのだ!」
>予想通りの反応だ。あとは七英雄の誇りに訴えれば仕上がる。
***不死No.1-033/ST ボクオーン
>「何かの冗談だろう? 何故に君のような者の指示に従わねばならんのだね。」
>これまた扱い辛いのが出てきた。
>「君のような若造は、私の考えた作戦通りに動いていればいいのだよ。自分で動けば、必ず、失敗する。」
>使い魔が自分の指示に応じて自在に動いてくれねば、それこそ必ず負けてしまう。七英雄を扱うのはやめておいた方が良いのかもしれない。
>「ダンターグは肉の壁。スービエは海でしか役に立たん。ロックブーケの厚化粧が通じる相手は限られる。ノエルとワグナスはかなりの働きを見せるだろうが、それも私の作戦があってのことだ。」
>もう一人忘れていないか。それでは六英雄だ。
>「クジンシーか。あれはただのクズだ。そんなクズでも、私の作戦では完全に利用し尽すのだよ。捨て駒としてな。」
>こいつをどうやって使ったらいいのか、自分なりの作戦が必要なようだ。
***不死No.1-032/ST クジンシー
>「俺に何か用なのか? 俺なんかどうせ七英雄一のクズなんだ。」
>すねて気を引こうというのか、七英雄のくせに。この手合いが一番面倒くさい。いっそこの場で始末してしまうか。
>「頼む! 俺を使ってくれ!」今度は必死の売り込みか。
>「俺だってたくさんの必殺技を持っているのだ。しかも本当の必殺技だぞ。なのに、いつも俺は下っ端扱いだ。何故だ!」
>そういう所が下っ端根性なのだ。それが分からないから、何時まで経ってもそのままなのだ。
>使い捨ての使い魔程度にはなるだろう。しかも、名前だけは七英雄様だ。使い捨て効果も抜群だろう。
>「その目は何だ。何を計算している。ボクオーンみたいな目はやめろ!」
>人の表情くらいは読めるのか。ゴブリンよりはましだ。
>「今度はロックブーケみたいな目をしている。俺をゴブリン並みだと思ってるな。」
----
&aname(赤月剣風帖,option=nolink){}
**赤月剣風帖 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【赤月剣風帖】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『逆巻く剣風 濡れし刃』を獲得出来る。
***巻の一 人獣2-001/UR 柳生十兵衛
>柳生十兵衛三厳。
>彼は世の人間からこう呼ばれる。『天下無双の剣豪』と。
>或いは、こうも呼ばれる。『柳生を放逐された無法者』と。
>だが、その正体は、将軍の命を受けた公儀隠密。
>剣の修行と嘯いて、世界各地を旅しては、闇に蔓延る悪を斬る。彼が斬るのは人のみに非ず。
>天下を覆さんとするものは、妖だろうが鬼だろうが、問答無用で刀の錆と変えてきた。
>そして今、十兵衛が旅するは"れむぎあ"と呼ばれる異界の地。
>...事の発端は、三日前に遡る。
>『島原に異界の扉開かれり。天下を脅かす魔性の気配あり』
>そう告げ、落命した草の者に刻まれた刀傷は、十兵衛の剣士としての本能に火をつけた。
>「...古の剣豪どもが、現世恋しさに黄泉返りおったか。
>古の剣と新陰流の勝負、実に面白いではないかっ!!」
>こうして、十兵衛は異世界に旅立った。一つは泰平の世を守るため。
>さらに一つは、己が剣を更なる高みに至らせんがために。
***巻の二 不死2-011/R 天草四朗時貞
>皮肉なものですね…
>神の敬虔な信徒だったこの私を蘇らせたのが、
>その道に背く、そなたの外法とは。
>…ですが、おかげで目が醒めました。
>信仰など無意味。
>いかなる衆生仏神も、我らを救いなどしません。
>…見なさい、この狂った世界を。
>欲にまみれた権力者どもが、飢えに苦しむ民に鞭打ち、
>贅の限りを尽くす、救いようのない世界を…
>我々はこの世界を変えねばなりません。
>…身分も何も関係ない、皆が誰の支配も受けず、
>ありのままに…己が欲望のまま生きる――魔界へと!!
>そして、私は新たな世界の神となるのです!
>偽善なる神々を全て滅ぼし、光に迷う子羊たちを
>導く、唯一にして無二なる暗黒の神に!!!
***巻の二 三章 人獣4-010/R 村正
>激しい揺れに、少女は目を覚ました。ぼやけた視界が捉えたものは、流れゆく暗い夜の森の景色。そして、彼女を抱え、呼吸荒く走る男の背中。ひとまず状況を把握せねば…と、
>懐の眼鏡を取り出そうとしたその時、彼女を抱え走る男が語りかけてきた。
>「ぬぅ! 娘、目を覚ましたか?」
>「あなたはいったい誰? 私をどこへ連れ去るつもりなの?」
>「細かい話は後だ! とにかく今は…ぬぬぅ! もう追いつきおったか…娘、そこで隠れておれ!」
>男は足を止め、乱暴に少女を放り出すと、刀を抜いた。
>「…痛ッ! もう! 一体何なのですか……えっ……ッ!!」
>ようやく眼鏡をかけた少女が見たものは、死んでもおかしくない程の傷を全身に受け、刀を構える隻眼の侍。そして、彼と彼女を取り囲む、
>凍えるほどの殺気を放つ剣士たちだった。すぐさま隻眼の侍が敵ではないことを悟った少女は、素早く立ち上がり“妖刀”を抜いた。
>「…私も戦います! 村正――抜刀!!」
>彼女の呼びかけに応え、強靭な傀儡武者が現れる――はずが、“妖刀”は何の反応も示さない。よく見ると、その刀身には、深いヒビが走っていた。
>――そうだ、あの時の“姉”との戦いで、私たちは刀もろとも相討ちになって…。
>「万事窮す…か。天下無双の柳生の剣が、こんなところで終わろうとはな…」
>ジリジリとにじり寄る追手らを前に、傷だらけの隻眼の侍は苦笑を浮かべながら、自嘲の言葉を吐き捨てる。
>――私は…、姉さん…やっぱり私は…あなたを救えなかったの…?
>少女もまた、自らの無力さに打ちひしがれ、死を覚悟しようとしていたその時、突如轟音が響き渡った。地をひしゃぐ一撃に、木端の如く吹き飛ばされる追手の剣士たち。土煙の中、
>月明かりが照らし出したのは、巨大な槌を携えた剛健な老人だった。
>「……お嬢ちゃん、なかなか珍しい剣を持っておるのう… ウハハ! 面白い! そこでくたばりかけの剣士ともども、このヘパイストスが“直して”しんぜよう!」
***巻の三 人獣3-003/UR 柳生十兵衛
>「ようやく目を覚ましたか 小僧」
>横たわる十兵衛の傍らには、妖しき屈強な老人。
>「ここは“れむぎあ”に現れし<魔界>。…して、わしはぬしの命を救った恩人というわけよ」
>十兵衛はそっと隻眼を閉じ思い出す。己が瞼の裏に焼き付いているのは、美しき軌跡を描き翻る一羽の燕と逆袈裟に断たれる己が四肢と胴。
>そして、妖しき笑みを浮かべた――
>ハッと、十兵衛は目を開き、そして見つめた。
>己が掌…先の死合で失ったはずの、見慣れぬそれを。
>傍らの老人は意味ありげな笑みを浮かべ、十兵衛に告げた。
>「…この地に宿る“まな”で動く、最新式の機甲絡繰りよ。お前さんが<魔界衆>の人知を超えた力に抗する、唯一の手段というわけだ…ちと燃費は悪いがな」
>不意に感じた、屋敷を取り囲む邪悪な気配に十兵衛は床から飛び上がり、愛刀を抜いた。そして、気づいた――絡繰りと化した己が四肢に胎動する、新たなる力に。
>「クク…感謝するぞ、妖しき翁よ。この力ならば、彼奴に後れを取ることもあるまいて。まずは、この屋敷を囲む魔界衆どもで、試し切りしてくれるわっ!」
***巻の四 不死3-014/R 天草四朗時貞
>天草四朗時貞――転生の秘術によって、二度目の生を受けた彼は、このレムギアの地に着々と<魔界>を広げていた。
>彼は、「幕府」に弾圧され、非業の死を遂げた者達の魂に“洗礼”を施し、魔界の神たらんとする自身の敬虔なる信徒――魔界衆へと転生させた。
>そして、その勢力は今や、かつて彼が率いた乱の数倍へと膨れ上がっていた。
>そんな魔界衆躍進の裏には、一人の男の影があった。四朗を彼岸から黄泉返らせ、異界へと招いた謎の破戒僧――彼は、信者の輪の中に立ち、
><魔界>の教義を説く四朗を遠く見つめながら、何もいない宙に向かって話しかけていた。
>
>「全ては 予定通りに進んでおります」
>[[[ アレを暗黒のデウスに選んだのは 正解であった ]]]
>「はい 全ては 『落日』の碑文通りに…『教会』に福音を」
>[[[ 『教会』に福音を 『教会』に福音を ]]]
>
>彼と目に見えぬ何者かとの会話が終わるころ、四朗もまた、不敵な笑みを浮かべつつ、独り言ちた。
>「フフ 今は敢えて あなた達の掌の上で踊ってやりましょう しかし あなた達が私を利用するのではない 私が利用するのです… そのためにも まずはあの妖刀を…」
***巻の五 SP-0/SP 天草四朗時貞
>「フフ…目覚めたようですね? 立てますか?」
>
>紅い夜空に浮かぶ満月の光が、美しい青年と横たわる一人の男をしっとりと照らし出していた。男は、朧にゆがむ視界を振り払うように軽く頭を振ると、いぶかしげな視線を青年に向けた。
>
>「…安心なさい。あなたに危害を加えたりはしません。私の名は天草四朗時貞。あなた達、魔界に転生せし者の守護者にして神なのですから。」
>
>男は青年に、ここはあの世なのか、と尋ねた。
>
>「…いいえ。ここは冥界などではありません。ここは私の作り出した魔界――あなた方、彷徨える子羊たちが最後に辿り着くパライソ。…さあ、私の手を取りなさい。」
>
>青年は男に手を差し伸べ、この世の者とは思えぬ妖艶な笑みを浮かべた。
>
>「私は、あなたを待っていました。闇より手を下し、あの憎き『幕府』を滅ぼしたというあなたを。…力を、貸してくれますね?」
>
>――なるほどね。こいつは『教会』の“お目付け役”か。
>
>「……わかっていますよ。あなたも、“あの刀”を狙っているのでしょう?」
>
>――そして、クク…俺の同類というわけだね…。
>
>男は、細い目をさらに細め、ゆっくりと四朗の手を取った。
***巻の六 人獣3-022/C 服部半蔵
>徳川御庭番衆が頭領、服部半蔵――
>歴史が動く時、その陰に半蔵ありと謳われる彼の身は、今、異界の地“れむぎあ”にあった。
>その目的は、幕府が密命――かつて時の狭間に流されし「二振りの妖刀」の回収。
>島原に開かれし“げぇと”の向こうに、その妖刀の気を感知した半蔵は、この地へと降り立ったのである。
>
>そして、さらに「妖刀」の気を辿り至ったが、この<魔界城>の天守。
>半蔵は、其の城が長、天草四朗時貞の背後に立っていた。
>「…来ましたか 徳川の犬が」
>半蔵はその言葉に返すことなく、無言で首を刈り切った。
>しかし、切り落とされた天草の首は、ゆらりと宙に浮くと、不敵な笑みをこぼした。
>
>「残念ながら ここにあの『妖刀』はありませんよ
>クク… 文字通り足が生えて逃げていきました
>しかし どうあろうと あれは私のもの
>犬になどもったいない あなたも柳生の小倅同様
>この世界で朽ち果てるがいい」
>
>刹那、天守を包む魔性の炎。嘲笑を上げながら陽炎のように掻き消える天草の首。
>「…面妖な術を使う しかし まさか十兵衛ほどの男が…
>『村正』に『村雨』 妖刀の呪いとでもいうのか…」
>そう呟くと、一陣の風が吹き、半蔵もまた、燃え盛る天守から消え去った。
----
&aname(妖精たちの赤い夜,option=nolink){}
**妖精たちの赤い夜 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【妖精たちの赤い夜】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『月と歩いた旅妖精』を獲得出来る。
***その1 人獣2-015/C ニルス
>それは、人里離れた深い深いお山の中、月のまあるい夜のこと
>お山で暮らすニルスは、その日も、いつものように
>キノコの世話に明け暮れていました。しかし、どうにも元気がありません。
>ニルスは、ため息をつき、お空の月を見あげました。
>お空にぽっかり浮かんだ赤い月…それを見たニルスは、
>突然、お山のてっぺんを目指して、あわあわと駈け出しました。
>赤い月には願いをかなえる力があると、
>死んだ“じっちゃ”が教えてくれたのを思い出したのです。
>ニルスはお山のてっぺんまで来ると、力いっぱい叫びました。
>「そこの真っ赤なお月さんよー!
>毎日毎日ちっこいキノコばっかり相手にすんのはもうウンザリだぁ!
>オラは“とかい”で“びっぐ”になりてぇんだ!お願ぇだ!
>“とかい”につれてってけろー!!」
>その時です。ニルスの声が届いたのか、赤い月はじわりと揺らめくと、
>東のほうにスゥッと走り出すではありませんか。
>「ま、待ってけろ~! そっちが“とかい”なのけ!?」
>ニルスはあわてて月を追いかけました。
***その2 海種2-014/C マキリ
>ここは、人里離れたフキの葉が生い茂る秘密の里。満月の下、マキリはいつものように、道場の片隅でいじけていました。
>「今日の稽古もまた兄者に負けたでございます…。
>兄者に教えてもらった通り、毎日ウニを頭に乗せて素振りをしているというのにちっとも強くなれぬでございます。
>そもそも本当にこんな方法で…いやいや兄者をうたがうなどいけないこと!
>はぁ…いつになったら立派な剣士になれるのでございましょう…。」
>そんな時、窓の隙間から一筋の赤い光が差し込み、見慣れぬ一冊の書物を照らしました。
>マキリは何かに誘われた気がして、その書物を開きました。
>するとそこには『赤き月の下にて、ふんどし一丁で素振り千回なす者は、
>何者にも勝る剣士とならん』と記されていたのです。
>ハッと思い、マキリが急いで外へ飛び出すと、夜空には真っ赤な月が輝いているではありませんか。
>しかし、赤い月はじわりとひとつ揺らめくと、
>マキリをもてあそぶかのように南の方へと逃げて行ってしまいました。
>「その月!待ったでございますーー!!」
>マキリはそう叫ぶと、あわててフキの葉に飛び乗り、月を追いかけました。
***その3 神族2-015/C ヤニワニ
>変化が得意なヤニワニは、馬に化けては人を乗せて暴れてみたり、
>大鷲に化けては道行く人の荷物を持ち去ったりと、毎日人間たちを驚かせて暮らしていました。
>人間があわてふためく様を見るのは楽しかったし、それがヤニワニの生き方だったからです。
>人々は、そんなヤニワニを恐れて遠ざかってしまうので、ヤニワニはいつもひとりぼっちでした。
>でもヤニワニは、自分の生き方に疑問を持ったこともなければ、ひとりが寂しいと思ったこともありませんでした。
>しかし、ある満月の夜、その日のひと際赤く、宝石のように輝く月を眺めていると、ヤニワニはふと、
>だれかと一緒に、この月を見てみたいと思いました。その時、ヤニワニはなんだか胸のあたりがチクチクっとするような、
>はじめての痛みを覚えたのです。
>すると、その様子を見ていたかのように、赤い月はじわりとひとつ揺らめくと、スゥッと南の方へ走り出しました。
>ヤニワニはあわてて月を追いかけました。
>なんだかあの真っ赤な月に「ついておいで」と言われたような気がしたのです。
***その4 魔種3-013/C豆腐小僧
>草木も眠る丑三つ時。月の陰る暗い夜。男が一人、心細げに家路を急いでいました。男が古寺の前に差し掛かった時、
>どこからともなく小さな声が聞こえてきました。
>「トウフ…クイネェ…」
>男が驚いて立ち止まると、すぐ足元に小さな影が気配もなく佇んでいるではありませんか。突然、ひゅるりとした生ぬるい風に吹かれて、
>雲間から顔を出す赤い月。月は、男の足元にいる“何か”をゆっくり浮かび上がらせてゆきました。
>そこにいたのは、まっ白く、ぬるりとしたあやかし。あやかしは自分の頭をおたまですくい、それを男に差し出していたのです。
>男は悲鳴を上げると、倒けつ転びつ逃げてゆきました。
>
>「なんでぃ! こんな可愛い妖精さんの豆腐が食えねぇってのかい! やっぱりもう少し珍しい味の豆腐がいいのかねぇ…」
>すくった頭を悩ませる豆腐小僧は、ふと雲間の赤い月を見て妙案を閃きました。
>「梅干し! 梅干しを混ぜてみたらどうでぇ!?」
>豆腐小僧の、獲物を狙うような視線に気づいたのか、赤い月はじわりとひとつ揺らめくと、西の方へと逃げ出しました。
>「やいやい、待ちやがれそこのでっかい梅干し! オイラの豆腐に混ざりやがれってんだ!」
>豆腐小僧も負けじと、赤い月を追いかけました。
***その5 海種3-014/C オーサン
>暑い暑い常夏の島に、キジムナーのオーサンが暮らしていました。
>キジムナーはみな赤毛なのに、なぜかオーサンだけは海のように青い毛をしていました。
>そのせいで、他のキジムナーから仲間外れにされていましたが、人間のオジーがオーサンのことを孫のように可愛がってくれるので、オーサンは寂しくなんかありませんでした。
>ところがオジーは体を壊してしまい、ほどなくして帰らぬ人となってしまいました。死の間際、オジーはオーサンを1人にしてしまうことに、とても心を痛めていました。
>オーサンは悲しみに暮れましたが、せめてあの世のオジーに安心してもらおうと、勇気を出して赤いキジムナーの輪に飛び込みました。でも、やっぱり仲間外れにされてしまいました。
>そんな夜のことでした。遠くでオジーの声が聞こえたような気がしたオーサンは、寝床を飛び出し、あわてて外に出てみました。
>すると空には大きくて真っ赤な月が輝いており、海も、浜も、そしてオーサンまでをも、真っ赤に染め上げていました。
>ところが月は、じわりとひとつ揺らめくと、北の空に去ろうとします。
>オーサンは慌てて月を追いかけました。あの赤い月がいつもそばにいてくれたら、自分も赤いキジムナーになれるかもしれない、そう思ったのです。
***その6 人獣4-024/C ニルス
>ニルスは赤い月を追いかけましたが、月はあっという間にお空の彼方へ…。早く追いかけなければ“とかい”の方向が分からなくなってしまいます。
>困ってしまったニルスでしたが、そんな時、ふと死んだ“じっちゃ”の昔話を思い出しました。
>ニルスのじっちゃは若い頃、鳥に乗って世界を旅していました。その時、ハーモニカの音色で鳥を操っていたそうなのです。
>そうか、これだ!と思ったニルスは、じっちゃの形見のハーモニカを手にすると、今度は近所の池に走りました。
>「鳥っつたらよー こーこだぁー!」
>池のほとりには水鳥の群れが眠っていました。ニルスは水鳥の背に飛び乗り、じっちゃ直伝の鳥を操る不思議な調べを、一か八かで吹いてみました。
>するとどうでしょう。水鳥達はいっせいに飛び立ち、大空高く舞い上がるではないですか。
>「やーったよぉ! オラにもできるでねーの!」
>ニルスは嬉しくて、夢中でハーモニカを吹きました。
>「行けー! 赤い月さ、追いかけてけろー!」
>ところが、水鳥はたいして飛ばないうちに、グングンと地表に近づいていきます。
>「どした!? 落ちてるでねーの? ほれほれ、もっと元気に羽ばたかねーと!」
>ニルスは必死にハーモニカを吹いて応援しますが、落ちゆく水鳥は、力無くこう言いました。
>「…いや…あの…私ガチョウですから…飛ぶのは…苦手っていうか…」
>「なにーーー!?」
>「ハァハァ…ああ…もうムリ…!」
>必死の応援も空しく、ガチョウに振り払われてしまったニルスは、真っ逆さまに落ちていきました。
***その7 魔種4-027/C 豆腐小僧
>「そーこの梅干しーぃ! 待ーっちやがれぇ!」
>真っ白な体をプルプル震わせながら、豆腐小僧は逃げる赤い月を必死で追いかけていました。するとそこに、悲鳴とともに空から何かが落ちてきて、豆腐小僧にぶつかったのです。
>「いてて… なんでぇ、いきなり!? オイラをくずし豆腐みたいにしようってのかぃ!」
>豆腐小僧がプルプルと怒りながら顔を上げると、目の前に「赤い色をした何か」が落ちていました。
>「なんだありゃ? もしや… 梅干しのカケラか!?」
>しめた!と豆腐小僧が思ったのも束の間。「赤い何か」は呻きながらノソノソと起き上がるではありませんか。なんと、よく見るとそれは赤いキノコだったのです。
>「なんでぃ、梅干しじゃなくてキノコかよ!」
>「オラはキノコでねぇ! ノームっちゅう妖精だ!」
>「へ? 妖精? んじゃ、オイラの仲間だな! …で、何でキノコが空から降って来るんでぃ?」
>「だっからキノコでねぇっての! オラは赤い月さ追いかけるために鳥に乗ってたんだども、振り落とされちまったんだ」
>「はー、鳥に乗るたぁ、たまげたキノコだねぃ! …つうか、赤いのを追いかけて…って、もしやお前もあのでっかい梅干しが目当てかい?」
>「ウメボシ? …何言ってっかわかんね~けど、オラはこうしちゃいられねんだ! 早くちゃんと飛べる鳥を見付けて追いかけねぇと!」
>その時でした。突然何かがふたりに覆いかぶさり、辺りは真っ暗になってしまったのです。
>
>「こんなところで豆腐とキノコが手に入るとはツイてるぜ」
>「まさかお頭…その妖怪どもを食おうってんですか…?」
>「そのまさかよ。なぁに、煮込んじまえば大丈夫だろ」
>「そ、そっすかね…」
>なんとしたことでしょう。ふたりは揃って山賊に捕まり、麻袋に入れられてしまったのでした。
***その8 神族4-024/C ヤニワニ
>人間に近づいて、袋を奪って飛び去りました。
>いつもなら奪ったものはすぐに捨ててしまうヤニワニですが、今日奪った袋はモゴモゴと動いて何やら音がします。中身が気になったヤニワニは、
>大鷲の姿のまま木の上に降り立つと、袋を開けてみました。すると、袋の中から何かが飛び出してきたのです。
>「勘弁してけろー! オラは食えねぇよーぅ!」
>「味見もしねぇで煮込もうたぁ感心しねぇな! やっぱ最初は冷や奴だろうよ!」
>袋から出てきたのは、真っ赤な傘帽子のキノコと、白くてプルプルした何かでした。
>「ん? 何だオメ、山賊じゃねーのけ?」
>「なんでぃ…鳥じゃねぇか、驚かすねぃ!」
>「もすかしてぇ、助けてくれたのけ? ありがと~な~!」
>「おぅ! こいつぁ世話んなったな!」
>ヤニワニは、こんな風に誰かと話したことなどなく、ましてやお礼を言われたことなど初めてだったので、どうしたら良いのか分からなくなってしまいました。
>「ありがとついでに大鷲さんよ、オラをあの赤い月の方まで乗せてってけろ!」
>ドギマギしているヤニワニをよそに、キノコはそう言うやいなや、ヤニワニの背に飛び乗りました。すると白いプルプルも負けじと飛び乗ります。
>「あ! 抜け駆けはいけねぇぜ! あの梅干しはオイラのもんだ!」
>「しょうがねぇな~ そったら 出発すっぞ~!」
>キノコは、おもむろに取り出したハーモニカを吹き始めました。するとどうでしょう、ヤニワニの胸に、なんだかわからない衝動が沸いてきて、大空に飛び出さずにはいられなくなりました。
>
>こうしてヤニワニは「へんなやつら」を乗せて、再び赤い月を追いかけ始めました。どうしよう…と戸惑う気持ちもありましたが、でもなぜか、不思議と悪くない気分のヤニワニでした。
***その9 海種4-025/C マキリ
>マキリを乗せたフキの葉は、赤い月を追いかけて、どんぶらどんぶらと川を下っていきました。フキの葉にゆられている間も、マキリはふんどし一丁で、必死で素振りをしました。
>そしてマキリが500回目の剣を振りきった頃、フキの葉はとうとう大海原に流れ出たのです。
>
>そんな時、一羽の大きな鷲がマキリの方に飛んできました。大鷲は、フラフラと心もとなげに飛んでいたかと思うと、突然『ボフン!』と煙に包まれ、ねずみのような姿に変わってしまいました。
>
>「わー!? 何だおめぇ、鷲じゃなかったのけ!?」
>「こりゃたまげた! ねず公だったのかい!」
>「って、また落ーーちーーーるーーーー!!!!!」
>「海に落ちたら塩豆腐になっちまぁ―――あ、それもまたアリかも?」
>「…プ…キュ~…」
>
>何だかわけのわからない叫び声とともに、ねずみのようなものがマキリ目がけて落ちてきます。それに続けて、キノコのようなものと、豆腐のようなものも落ちてくるではありませんか。
>
>「わわわ!? ちょ、ちょっと待ったでございますーー!?」
>マキリは慌ててフキの葉を漕ぎましたが、逃げる間もなく、ナゾの3匹と一緒に、海に落ちてしまいました。
***その10 海種4-026/C オーサン
>赤い月灯りで染められた真っ赤な海を、オーサンは懸命に泳ぎました。けれど、赤い月は、そんなオーサンをよそに、どんどん遠ざかっていってしまいます。
>次第に月は海の向こうに消え去り、気が付けば海もオーサンも、いつもの青い色に戻っていました。
>オーサンはずいぶん遠くまできたようで、もう周りには陸の姿は見えません。引き返そうにも、がむしゃらに泳いできたせいで、島の方向が分からなくなってしまいました。
>オーサンは広い広い海の真ん中で、ひとりぼっちになってしまったのです。
>オーサンが今よりもっと小さなキジムナーだった頃、オーサンが泣いていると、オジーはいつも駆けつけてくれました。でも、そのオジーはもういません。
>そんなことはよく分かっていたけれど、オーサンはポツリと「オジー」と呼んでみたのです。
>その時です。オーサンの目の前に、突如一匹の赤い魚がパシャーンと跳ねあがったのです。そして赤い魚は、まるでオーサンを誘うかのように、オーサンの周りをくるくると泳ぎ回ります。
>オーサンは、なんだかオジーが魚になって迎えに来てくれたような気がして、赤い魚の背びれに掴まってみました。すると魚は、オーサンを引っ張って、赤い月が消えた方角に、猛スピードで泳ぎ出したのです。
>赤い魚に導かれ、オーサンはまたグングンと元気よく泳いでいきました。そして、しばらく泳いだ時のことです。オーサンの行く手に、なんだか不思議なものが、ぷかぷかと浮いているではありませんか。
>「ヒャ~ ありゃ ぬ~がみ(なんだ)? 海のど真ん中で トーフときぬこ(きのこ)と葉っぱとフワモコが浮いてるさ~!」
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&aname(レッドデッドラプソディ,option=nolink){}
**レッドデッドラプソディ &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【レッドデッドラプソディ】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『RED DEAD BAND!!』を獲得出来る。
***第一楽章 神族2-004/SR アフロディーテ
>愛とは、とても素晴らしいものデス。
>慈愛、親愛、情愛、ラヴ。
>愛は全ての根源であり、何よりも尊いものなのデス。
>愛なくしては人も神も生きていけません。
>愛とは何よりも優先されるモノ――ですが残念ながらそれを理解できない人々がたくさんいるのもまた事実デス。
>これはひとえに私の努力が足りない証…。
>そこで、より多くの愛を伝えるために、私は考えました。
>言葉で伝わらないなら、音楽にすれば良いのデス!
>私の愛をもってすれば、この竪琴で誰もが魅了される、めろうでらぶりーな曲を奏でられるはずデス。
>さらに、世の中には“ばんど”という合奏集団を組んで、皆で熱いぱとすを響かせ合うという風習があるといいマス。
>皆の想いを重ねて奏でる…これはまさに愛そのもの!
>私のばんどで、この世を愛で満たしてみせマス!
>そのためにも、まずは“ばんどめんばー”を探さないと。
***第二楽章 海種2-016/C フォカロル
>はいはい、あなたの願いはなんですか?
>恋の成就? はぁ…くだらない、そんなことに私の手を
>煩わせないでいただきたいですね。
>そんなものは節操のないそこらの悪魔に、
>魂なり何なり売り渡して頼むと良いでしょう。却下です。
>はい、では次の召喚者さん、あなたは何ですか?
>敵の巨大戦艦を沈めたい…。はぁ、なるほど。
>もちろん私ならば可能ですがね。私がそれをしなければ
>ならない理由を、30字以内で簡潔に説明してください。
>できませんか、ならば結構です。またの機会を。
>では次の…おや、これはこれは名高き愛の女神さまでは
>ないですか。女神が悪魔を頼りに来るとは、世も末ですね。
>まぁ良いでしょう。私はいずれ天使へと返り咲く身。
>あなたに恩を売っておくのも悪い話ではありません。
>どのような願いでも聞き入れて差し上げますよ。
>それで、あなたは何を望みますか?
>個人的復讐ですか? それとも天界への反逆ですか?
>………はい? バンド?
***第二楽章 第二小節 海種3-027/C フォカロル
>全くこの世はあまりにも無駄なことが多すぎますね。
>私の力を求める召喚者たちのほとんどは、力を貸すに値しない俗物ばかり。虚栄、欲望、抱くのは構いませんが、
>なぜ私の手を煩わせようとするのか理解不能です。
>大抵のことは自力でなんとでもなるのですから、自力で限界まで努力をすべきでしょう。それでも叶わぬときはじめて、
>相応の対価をもって頼みにくるのが筋というものです。
>悪魔を頼るということを、あまり軽々しく考えないでいただきたい。私を動かすことは余程の事がなければ叶わぬと心得ておきなさい。
>私は無駄なことが大嫌いですから。
>さて、それを踏まえた上でお聞きしますが、あなたの望みはなんですか? ――ああ、なるほど。あなたの願いは理解しました。
>私が手を貸すべき道理も、その対価も、まぁ及第点と言って差し支えないでしょう。
>ですが残念ながら、その日は既に“らいぶ”の予定が入っておりまして、ご期待には添えかねます――
***第三楽章 不死2-004/SR ジャンヌ・ダルク
>神などいない。啓示などない。
>正義を信じた純白の心は、業火の刃で切り裂かれた。
>謂れなき罪と罰。裏切りと怨嗟に、歪む心は鈍色に染まる。
>魔女などいない。聖女などいない。
>穢れた翼で舞い踊る。そう、アタシは漆黒の堕天使――
>「魂の叫び…なるほど、これが"ろっく"なのデスね」
>うぉ!?なんだアンタ、どっから湧いた!?
>「あなた、ぜひ私の"ばんど"に欲しいデス!」
>バンドだと?…ふん、アタシはもうつるむのは止めたんだ。悪いけど、他を当たりな。
>「そんな…!あなたの詩的表現に感銘を受けたのデス!
>特に"業火の刃で切り裂かれ"ってところなんて…」
>ぐっ…やめろ!恥ず…い、いいから黙れ!!
>「なぜデスか?さっきの"漆黒の堕天使"のくだりなんかはとても素晴らしい…」
>ぎゃーーー!!わかった!!入る!!入るから!!頼むからやめてくれ!!
***第四楽章 海種3-003/SR ラクシュミー
>妾は楽しいことが好きじゃ。
>歌ったり踊ったり、楽しいことは何でも好きじゃ。
>創世やら破壊やら、妾にとっては小さきこと。
>何事も楽しくなけりゃ意味がないのじゃ。
>なのにヴィシュヌはいっつまでも寝てばかり。
>暇すぎてぼーっと世界を眺めておったら、お前らがなんかおもしろそうなことをしとるじゃろ?
>もう我慢できんくて、飛び出してきたというわけじゃ!
>「なるほど、それもひとつの愛デスね!」
>音楽とは、音を楽しんでこその音楽なのじゃ。
>楽しむことにかけて妾の右に出るものはそうはおるまい!
>「お~ なんだかよくわかりませんが凄そうデス!」
>んふふ~ そうじゃろうそうじゃろう。まぁよい、妾が来たからには百人力じゃ!
>ライブでもリサイタルでも最っ高に楽しくしてやるから、ど~~んと任せておくのじゃ!
>「あ、でもよく考えたら、ギターはジャンヌさんがいるからもういらないデスね」
>え…? あ、や、これはシタールといってギターではなく…
>あ、あ、待て、待たんか、話を聞け…妾も仲間にいれて…
>も、もう退屈なのは嫌なのじゃ~!
***第五楽章 不死3-008/SR ジャンヌ・ダルク
>――進撃せよ ラ=ピュセル
>神の啓示のまま 気高くそして雄々しく舞え
>――奪還せよ ラ=ピュセル
>奇跡を信じ剣を取れ その身尽き果てるまで
>――討滅せよ ラ=ピュセル
>喝采はやがて勝利の凱歌(プレリュード)に変わるだろう
>我こそ聖女 オルレアンの乙女
>
>これが新曲の“さび”ですか…!
>むむむ… 今回も素晴らしい歌詞デスね!
>ところでこの「ラ=ピュセル」というのは人の名前デスか?
>このもでるになった人は、故郷への愛に満ちた素晴らしい人なのデスね。彼女の愛と在り様は、
>きっと時に理解をされにくいものデスが、わかってくれる人は必ずいるのデス。
>私は、こんな人とお友だちになれたらと思いマス!
>…あれ? お顔が真っ赤デスよ、ジャンヌさん?
***第七楽章 神族3-006/SR アフロディーテ
>あら、赤目さん! いつも応援ありがとうございマス!
>はい! おかげさまで“ばんど”活動はとっても順調デス!
>最近は“あいどる”とやらも出てきて私たちも負けてられませんから、愛に飢えてる方々のために“らいぶ”を
>たくさんしてきたところなのデス!
>私たちの“らいぶすてーじ”はこの世で一番愛が必要なところ…そう、戦場デス!
>「暴力はよくないデス!」
>「戦争なんてくだらないデス!」
>「私たちの歌を聞くのデース!」
>と、いっぱいの愛を歌うのデス! すると私たちの“らぶ”と“ぱとす”が伝わって、みーんな戦いを止めてくれマス!
>なかには戦いに夢中であんまり聴いてくれない人もいるのデスが、そういう人はちょっと大人しくしてもらって、
>念入りに聴いてもらうようにしているのデス!
>え? どうやって大人しく、デスか? 簡単なことデス!
>竪琴のカドって、すっごくかたいんデスよ。
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&aname(魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター,option=nolink){}
**魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『✝魔界アイドル伝説✝クリムゾン☆スター』を獲得出来る。
***1話 魔種2-003/SR リリス
>…私は怖かったの あの人がいなくなって悲しんでる自分が…
>それを認めたくなくて… あの人に再び逢えても
>決して心がざわめくことは無いんだって…
>それを証明したくて 姉さまと一緒にこの世界へ来たの
>でも 『扉』をくぐって この世界に来て…いいえ来ただけで
>私は気づいてしまった …あぁ 私はやっぱり…って
>自分の気持ちを認めてしまった時 私はもっと怖くなった
>人の愛を狩る私が 人を愛してしまったら 私の存在は…
>気が付くと 姉さまの顔も見れなくなってた
>私には 既に 遠い昔 恐怖と共に付けられた名前があった
>私のは 人間たちにつけられた名前…
>姉さまのは あの人につけられた名前…
>もしかしたら あの人は私なんかより 姉さまの方を…
>え…? 振り向いてくれないなら 自分から輝いて
>振り向かせればいい…? え…なにを… アイ…ドル…?
***2話 魔種2-011/C ルティア
>ふぃ~ ごっちそうさま~ や~っぱ人間は最高ぉだね~
>ん~ あれれ~? どうしたのリリスちん? 元気ないよ~
>それ しないの~? いらないの~~?
>まさかのこ~んなところで ひっさしぶりに会ったんだし~
>なんかあったのなら言ってね~
>
>ふんふん そっかぁ~ 愛だね~ ラブだね~
>い~ない~な~ ミリアちんも リリスちんもい~な~
>
>それじゃ~さ~ その人が振り向いてくれないなら~
>こっちが振り向かせればいいのだよ~ うん
>み~んなが振り向く アイドルになって~
>パ~って キラキラ~って 光って輝くの~! となると~
>やっぱアイドルは三人だよね~ あとひとり集めなきゃ~!
>ミリアちんは今いないし~ 誰かいい子いないかね~
***3話 魔種2-016/C チルル
>わ 悪かったわよ! ちょっとした悪戯じゃない!
>ね? それジャムだから 洗えばおちるし!
>だって 悪戯が私の仕事なんだから しょうがないでしょ?
>え? 許すから おわびに…なんて…?
>…はい!? アイドル?? なんで私が???
>たしかに「みんな元気にな~~れ!」は
>アイドルっぽかったかもだけど…
>ムリムリムリムリ! ぜっっっったいムリ!
>羽が生えてる魔種ってだけで 私 あなた達と同じ
>淫魔じゃないし! フェアリーだし! いたずらっこ枠??
>ぜんっっっぜん意味わかんないんだけど!!
>え!? さっきのジャムがサイン!?
>淫魔も悪魔の一種だから契約は絶対???
>ちょっ…まって そんな… い~~~~や~~~~~!
***4話 『爆誕!鮮血の歌姫 地獄のリサイタル』① 魔種3-026/C ルティア
>オッホン それでは~ あたしたちも 無事 三人集まって~ アイドルグル~プになれたということで~ 何か活動しないとね~
>
>う~ん そ~だな~ ライブぅ? コンサ~トぉ? リサイタルぅ? どれでもいいけど~ やっぱり そういう感じのがいいよね~
>
>とにかく~ た~くさんのギャラリぃがいるとこで~ ド~~ンって バ~~~ンって はじけて目立っちゃうのだよ~
>でも~ あたしたち まだ無名だからね~ お客さん集めるっていうよりか~ たっくさん人がいるところに 行くのがい~よね~ …と なると~
>
>あ~~! チルルちん リリスちん 見て見て~!!
>ほら~ あそこで戦争やってるよ~~!
***4話 『爆誕!鮮血の歌姫 地獄のリサイタル』② 魔種3-028/C チルル
>ちょっと本気?? 何で!? どうしてこうなるのよ!!
>こんなところでやれるわけないじゃない!
>わわわ! ほらほらほら 気づかれちゃったよ!
>
>何で戦争のど真ん中で歌うのよ! ってかそもそも何歌えば… …って 来た来た来た たくさん来たよ!
>は~い みんな並んで~っ…て 並ぶわけないでしょ ルティア!
>ひゃっ! 襲いかかってきたよ!
>もう~ アイドルってこういうのじゃ… そもそも 私たち こいつらの敵ですらないし!
>こわいこわいこわい! やん! もうやだ……あいた!!
>
>なによ……ちっちゃいからって舐めないでよね!
>アンタたちなんか こうしてこう! ジャム!ジャム!ジャム!
>ジャムの刑よ!! ほ~らベトベトになっちゃいなさい!!
>フフフン 良い気味ね! このイタズラ妖精チルルちゃんにかかれば…え? リリスもジャム攻撃やってみたの?
>ほら 真っ赤なジャム…ってそれ ホントにジャム!!??
>い~~~~や~~~~~!
***4話 『爆誕!鮮血の歌姫 地獄のリサイタル』③ 魔種3-005/SR リリス
>――そう それがどういうものかは解らない
>でも 私はただ あの人に逢いたくて こうすることを選んだ
>
>今までは 人の心の隙間に忍び込み その魂をそっと奪い去るだけの 淫魔でしかなかった
>こんなわたしに これ程までのことができるなんて…
>
>今 私はたくさんの喚声に囲まれて 舞い踊る
>淫魔であり続けるだけでは 感じることのできなかったたとえようもない高揚感が全身を襲う
>――そう 私は舞い続ける あぁ また観客が私の前に…
>舞うように飛び 唄うように――斬る!!
>「これが… アイ…ドル…」
>「リリス! よけてー!!」
>「舞うように……斬る!」
>「リリスちんすごいね~ もう100人は倒したよ~? もう目立ちまくりだね~ アイドルの頂点はちかいね~」
>「うん わたし…がんばる」
***4.5話 『戦慄! 試練の歌姫 叫喚の<這遺多血会>』① SP-0/SP ルティア
>オッホン そんなわけで~ あたしたちもせっかくこんな素敵なステージでデビュ~できたので~
>来てくれた人たちにも~ 何かプレゼントとかしたいよね~
>「…ルティア そもそもここステージじゃなくて あんた達が『リサイタルやるなら人がいっぱいる所だよね~』って飛び込んだ『戦場』だから…」
>「…確かに チルルの言うとおり 戦場で良いプレゼントは見つからなそうだわ…」
>「えと そうじゃなくて…」
>大丈夫だよ~リリスちん プレゼントは~思い出~とかだっていいんだよ~ふれあいイベント的な~? サイン会~? 握手会~?
>あ~ハイタッチ会とかいいかもだね~ そういうので~ ファンの心をがっちりつかむのだよ~
>「…えと ファンどころか ここにいるのはあんた達が『リサイタルは目立ったもん勝ちだよ~』って 派手にしばき倒した兵隊達だけだし…」
>「…確かに チルルの言うとおり ファンがいなければイベントはできないわ…」
>「えと…あの…」
>え~あきらめちゃうの~? イベント盛り上がったら~ リリスちんの『あの人』も「何やってるんだろ~」って来るかもよ~
>「やろう チルル」
>「へっ?」
>「…ハイタッチ 大事」
>「いや だから お客さんいないし… いても死にかけだし…」
>ふっふっふ~それならあんし~ん あたしは淫魔なのだよ~ お客さんなら~ ミリアちんから教えてもらった隠し技『エキサイトキッス』で~
>死にそうな人でも元気に起こしちゃうのだよ~
>「なるほど… 範囲内の味方全ての攻撃力を一定時間上げる――あれね」
>「ちょっと… 言ってる意味がわかんないんだけど…」
>あたしのは~さらに【魅了】効果もついてる特別製だよ~ そ~れ キャハハハハ~
>「わ…起きた! …なんか みんな虚ろな目で這いずってこっちに… ひ! お腹からなんか出てる…!? い~~や~~!」
***4.5話 『戦慄! 試練の歌姫 叫喚の<這遺多血会>』② SP-0/SP チルル
>は~い! みんな 並んで並んで~! あ! ほら 順番は守らなきゃだめだよ~! ハイタッチは一人一回ずつだから一列になって…
>あ~ん 横一列に広がってこっち来ちゃ……ダメって…あの…並んで欲しいんですけど…剣とかは置いて……ね?
>
>…ちょっと ルティア!! 全然だめじゃない! あんたが<エキサイトキッス>で魅了した兵隊たち まったく言う事聞く気配無いわよ!
>むしろ目ぇギラギラさせて襲って来る気まんまんなんだけど!
>
>へ? 【魅了】の対象は淫魔のあたしだけだから~ チルルちんは自分でがんばって~……って何言ってんのよ! 私ハイタッチ会とかぜんっぜん興味ないし
>そもそも今のこの状況に何の意味があるんだか 正直本当に少っしもまったく理解できな……わわっ! 来た! ひぃ!
>み みんな恨みこもった目でこっち見てるよぉ……ごめんなさい…そうだよね…私たち いきなりこの戦場に現れてこの人たちやっつけちゃったんだもんね……。
>
>でも…でもね だからって私負けないもん! 私だって魔種だもん! 人間を困らせてナンボなんだから! 私にもいたずらフェアリーの意地があるのよ!
>なりゆきアイドル舐めないでよね! 「キッス」くらい私にだってできるわ! このチルルちゃんの<フェアリーキッス>をくらいなさい!!
>『みんなの気持ちを一つに! 元気にな~れ!』――ふふん どう? これでみんなアタシの虜に……あれ? みんな前より元気に…走ってくる…
>あ あたしのキッスって攻撃力あげるんだっけ…しばらくやってなかったから忘れてた…い~~~や~~~~!
***4.5話 『戦慄! 試練の歌姫 叫喚の<這遺多血会>』③ SP-0/SP リリス
>――私は一人だった 淫魔として数多くの人間達と出会い その精を吸い上げてきた しかし人間達は時と共に朽ち果ててしまう
>最後には 決まって一人で その亡骸を見つめていた… 一応 私には姉が一人いたが 彼女はいつも気ままで 気まぐれで
>たまに共に過ごすことはあっても やはり最後には一人になった…
>
>そんな私に友達ができた その友達は 『あの人』を追って でも逢えなくて 塞いでいた私の気持ちに光を当ててくれた そして
>キラキラと光る この素敵な舞台へと立たせてくれた
>
>こんな素敵な気持ちが自分にもあるだなんて知らなかった 人間から精を集める以外 私にこんなことができるなんて思いもしなかった
>
>私は彼女たちに恩返しがしたい… 私にできること全てで 今もまた 押し寄せる多くの観客にかこまれている彼女らが キラキラと光輝く道を歩む手助けをしたい
>そして できれば私も――今 私にできること…それはこれだけ――斬る!
>
>「ちょ…リリス! これハイタッチ会なんだよね? なんでまた兵士達を攻撃してるのよ!」
>「…おさわり 禁止」
>「リリスち~ん ハイタッチ会はタッチしても~いいんだよ~」
>「おさわり…いいの?」
>「ハイタッチならね あ…でも私の方に来る兵隊は倒してくれるとうれしいかな… 私そもそもハイタッチとか興味ないし…」
>「え~チルルちんダメだよ~ ファンを差別しちゃダメなんだよ~」
>「ルティア… ずっと言ってるけど こんなに殺気立った大勢の兵士に囲まれて ハイタッチもなにもないから…」
>「…なら 任せて…『大丈夫、怖がらなくていいのよ…』」
>「あれ?兵士たちの力が抜けたように…」
>――私の<パラダイス・ロスト>は 相手の防御力をさげ…。
>「わ~一列に並んでいくね~」
>――複数攻撃を 単数攻撃にする…。
>「…これで大丈夫 はい タッチ」
>――私も 一緒に輝きたいと思う 彼女たちと『あの人』に再び出会うために
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&aname(水滸伝 暁異聞,option=nolink){}
**水滸伝 暁異聞 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【水滸伝 暁異聞】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『天驚・暁の百八星』を獲得出来る。
***巻ノ一 人獣3-023/C 一丈青扈三娘
>体も小さく気弱なくせに、格好つけたがりなあの人は、武勇を誇るように私の前を駆け、あの妖術師の槍に貫かれて死んでしまった。
>枯葉のように馬から落ちるあの人を、せめて救い上げたいと手を伸ばし、その体に触れんとしたその時、私も死んだ――はずだった。
>しかし、私はこうして異界の戦場で、また日と月の剣を手にして戦っている。
>我が身に何が起きているのかは分からぬが、あの妖術師の礫を受け天を仰いだその時に、空に輝く、我が宿命たる「急」の星が紅く瞬いたのだけは覚えている。
>以来、私は異界の戦場を渡り歩き、そこで力尽きる度、紅き宿星の光に包まれ新たな戦場へと降り立った。
>こうして戦い続ける理由はただ一つ。
>泣くように笑う、優しいあの人の命を奪った、あの憎き仇に再び会いまみえんがため――しかし、たとえ仇敵を討ち果たしたとしても、あの人は――気づけば、蘇るたび、私の心だけはぐずぐずと死へ近づいていたのかもしれない。
>「…また 死ぬのか… もう 疲れてしまったな…」
>多くを討ち果たし、多くの傷をおった体を横たえ、いつものように天の宿星を見上げ――私は、目を見開き、久方の涙を流した。
>「そうか… 私はこのために… 戦い続けていてよかった…」
>次の異界へと私を誘う我が宿星。その隣に寄り添うように、今まではなかった、鈍く光る「微」の宿星が不恰好に瞬いていたのだから。
***巻ノ二 人獣3-004/SR 豹子頭林冲
>ボロをまとった“如何にも”な一団が寝そべる男を取り囲む。
>「テメェがリンチュウとかいう野郎か ここいらでオレらを狩ってるんだってなぁ
>ヒョウの頭がどうたらというから どれ程の不細工面かと楽しみにしてきたが
>ずいぶんと優男じゃぁないか えぇ?」
>リンチュウと呼ばれた男は、面倒くさそうに立ち上がると、かかってこいという風に、無言でクイクイと手招いた。
>「ほうほう 噂通り 人間ごときが生意気なもんだ」
>ボロを脱ぎ捨てる一団――オークだ…!しかし男は笑みを浮かべた。
>「へぇ こんどは鬼人かよ なるほどなぁ 人のこたぁ言えねぇが こりゃぁたわけた世界だわ
>どれ チンピラども 優男とは光栄だがよ この姿を見てもそういえるかね?
>…蛮身 爪牙 天雄星!!」
>たちこめる砂煙、一瞬の閃光、響き渡る叫喚、そして――静寂。
>「…ってなわけだ 反省したかチンピラァ」
>そこには巨大な爪で根こそぎ薙いだかのような、十五尺はあろうかという爪痕、
>そして二度と反省すること叶わぬオークの群れ。
>「おっ死ぬたびに蘇り 宿星の光に導かれていくつかの異界を渡ってきたがよ
>こいつぁ飛び切りだぜ――しかし懐かしぃじゃねぇか」
>そう言って男が見上げる空には、強く輝くいくつかの“宿星”。
>「…九紋竜のガキに一丈青の嬢ちゃんか それに… やっぱ おめぇらも生きてたんだなぁ
>この世界でこの体がどれ程持つかは分からねぇが また あの頃みてぇによ――こいつぁ 楽しみだ」
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&aname(紅焔八犬伝,option=nolink){}
**紅焔八犬伝 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅焔八犬伝】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『八珠に導かれし者』を獲得出来る。
***壱 人獣3-012/R ヤツフサ
>いつからそうであったのか。犬は狂おしい程にあの方を欲し、あの方を手に入れるために――首を刈った。
>敵の首をとればあの方をくれる、そう犬の主人が約束したからだ。
>そうしてあの方と夫婦となった犬は、いたく満足であったが、なぜ一介の畜生である自分にそれほどまでの想いが宿り、そのようなことがなし得たのか不可思議ではあった。
>その想いは、呪い――悲しい目であの方は言った。
>そうか、そうかもしれぬなぁ――だがそれよりも、犬には、ただその目が許せず あの方が心から自分のものにならぬのが赦せず、 情動に駆られ――首を刈った。
>あの方は、その度に悲しい笑顔をうかべ、最後は犬を呪いから救うため――自らの腹を裂いた。
>果たして、犬にかけられた呪いは解け、黒い情動も消えたが 死したあの方への想いだけは、既に犬の血肉と化しており一向に消えなかった。結局、だから犬は――首を刈った。
>首を刈れば、またあの方に逢える――いや、それこそがあの方との絆を繋いだ所業――いや、消せぬ想いを晴らすため――いや…これもまた、あの方の優しさがもたらした、呪い、なのか…。
>そこまで考え、犬はやはり、その見慣れぬ赤い隻眼に、いつものように告げることにした。
>「やい 儂の女房を探す手伝いをしろ そのかわり誰かの首を望むなら この刃と牙で刈り取ってやる」
***弐 人獣3-001/UR 伏姫
>伏は生きていなかった。少なくとも自分ではそう思っていた。
>物心ついた時、彼女は人と違い、何も感じることができぬ空匣であった。
>だから、自分は生きてはいないのだろう――幼くも、そう思っていた。
>
>彼女が数え三つになった頃、八つの珠が与えられた。
>それには、八つの人の徳なる心が納められていた。
>空匣であった伏は、かくして仮初めの心を手に入れ、人から見ればとても清く美しい、徳高き姫となった。
>そして、そんな自分を称える周囲の者達を見るにつけ、自分は生きているのかもしれない――そう思い始めていた。
>
>そんな彼女に恋をした者がふたつ。ひとつは清廉な武者、ひとつは獣。しかし、ふたつの想いは伏を苦しめた。
>人であろうと、獣であろうと、伏は、どうしてもその想いを受け止めることができなかった。
>なぜなら、彼女の八つの心に、「愛」の字は無かったのだから。
>人として正しく優しい心を持った伏は、想いに応えられない自分に苦しんだ。
>こんなに苦しいのなら――その想いは呪い――姫にはそう思えてしまった。
>だから、この呪縛からふたつの愛を、自分を、解き放とうと、自らの――腹を裂いた。
>流れ出す命…広がる赤…赤い、光…。
>
>目を開き、伏は見知らぬ地にて息を吐いた。珠が、死を赦さなかったのだ。珠は語った。
>「伏姫神よ 伏姫神よ あなたの御身は特別なもの あなたの御身は里見のもの 我ら八珠は御身の命
>お隠れなるは罷りなりませぬぞ 全て里見の御ために」
>「やはり…そうなのですね…」 伏は、悲しそうに笑った。
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&aname(夢なりし紅の騎士物語,option=nolink){}
**夢なりし紅の騎士物語 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【夢なりし紅の騎士物語】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『紅き夢見し無垢なる騎士道』を獲得出来る。
***その3 人獣4-022/C グラディボロトル
>舞い散る砂塵、そして凄まじい地鳴りと共に、“それ”は突如として姿を現しました。
>見渡す限りの瓦礫と水晶――数刻前まで広がっていた無機物の支配する空間に、
>巨大な竜が悠然とそびえ立っていたのです。竜が生み出し、その身に纏う水晶は、
>いわば「撒き餌」でした。竜が砂と瓦礫にその巨体を紛れさせ、その間から美しい水晶をのぞかせるだけで、
>人間たちは不用意に竜に近づいてしまうのです。そうして人間が水晶へと無邪気に獲物を振り下ろしたとき、
>竜は歓喜と共にその牙をあらわにします。その犠牲となった人間は数知れず。
>まるで欲深き人間を罰する凶悪な処刑台のごとき、その竜の名は――。
>「…ってなわけで、やべぇっすご主人様。水晶見物なんて言ってる場合じゃないっす。あそこで暴れてるのはサンド――」
>「……あれは、グラディボロトルだ!」
>「? ぐら…なんすかそれ?」
>「ああ、祖父が寝物語に聞かせてくれた武勇伝のひとつに出てくる竜だ。祖父と何度も死闘を繰り広げた因縁の相手…あの巨躯、
>あの凶暴さ…私の勘が告げている。あれこそまさしく伝説の邪竜、グラディボロトルに違いない!」
>「でもあれはサンドドラゴ――いえ、ご主人様が言うのであれば、あれは『ぐらでぼーとる』…でしたっけ?なんすね。サンチョはまたひとつ賢くなったっす」
>「ああ…しかしこんなところでまみえるとは、やはり『ドン・キホーテ』の宿命ということか…」
>「で、ご主人様。そんな因縁深き『ぶらびぼろぼろ』っすけど、どうしましょ? 見るからにヤバそうなんすけど…」
>「なに、問題ない。ヤツの弱点は祖父から聞き及んでいる。まず翼の付け根あたりを――」
>「ご主人様、あいつ、翼がねーっす」
>「………」
>「ご主人様、もしやあれは『ぼらひぶるぶる』じゃな…」
>「みなまで言うな――よし、ドン・キホーテ流逃走術を見せてやろう 共に叫べサンチョ! せーの――イル・アサールト!!」
----
&aname(ある老吟遊詩人の詩,option=nolink){}
**ある老吟遊詩人の詩 &link_anchor(▲){▲}
***神族014/C セルディッド
>月の光を浴びながら エルフは大きく伸びをした
>紅の兆しを追わねばならぬ
>億劫なことこの上ないが 長老様の言い付けだ
>竪琴爪弾き 歌唄い
>深い緑に抱かれて眠る それだけあれば充分なのに
>愚かなエルフの恋物語 爪弾き歌うはもう飽いた
>清き紅には導きを 汚れし紅には粛清を それが彼女の道標
>瞳の涙にはなに故か
>欠伸を一つ噛み殺し 白きエルフは森を出る
***魔種013/C フィンテール
>月の光の届かぬ場所で エルフは静かに目を開く
>紅の兆しを追わねばならぬ
>誰に言われたわけでもないが 彼女はそうと自覚した
>獣を引き裂き 闇を駆け
>朝の日差しを忌避して眠る そんな暮らしはもう飽いた
>清き紅には絶望を 汚れし紅には忠誠を それが彼女の道標
>獲物をひとつ裂き殺し 黒きエルフは森を出る
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&aname(ある鷲鼻の騎士の苦闘,option=nolink){}
**ある鷲鼻の騎士の苦闘 &link_anchor(▲){▲}
悪魔に最強を願った為に神魔霊獣に単身戦いを挑む日々を送る破目になった騎士のお話。
前作の老水夫と似た境遇だが、事の発端が悪魔に願うという完全な自業自得なところがなんとも言えない。
そして、常人なら複数人で挑んでも死ぬだろう相手とタイマンで戦って生き延びてるところを省みると。
耐久的な意味で最強には着実に近づいているのではないだろうか…。
***魔種017/C イポス
>過去を 未来を羨むな!
>いいか?あの異形は悪魔なんだ…!
>確かに奴の預言は本物さ どんな過去でも
>未来でも手繰り寄せる方法を教えてくれる。
>だがな、契約は絶対だ...
>奴の予言には必ず従わないといけない…それは”必ず”なんだ
>…かつて奴に”世界最強”を願った馬鹿な騎士がいたのさ。
>その騎士に奴はこういったんだ。「世界中ノ名ダタル神魔霊獣ヲ
>オ前ガ倒セバヨイ」と。…分不相応な願いの代償に
>その騎士は今もどこかで無謀な戦いを強いられているんだよ。
>. ―馬鹿な鷲鼻の旧友を憂う田舎魔術師
***人獣010/R フォルコン
>あそこに見える竜・・・? あぁ あれは森神様じゃ そう怖がりな
>さるな ワシら森の民の
>守り神じゃよ まぁ お怒りになること
>もあるが なぁに ・・・運が良ければ村ひとつで済むわ
>どんな時にお怒りになるかじゃと? そりゃ簡単じゃ
>“目の前を走る”これだけじゃ 森神様は鼻息荒く どこまででも
>追いかけていきなさる さて 鷲鼻の騎士よ ワシラの
>聖域に踏み入った罪 この場で死罪となるか この地をそなたに
>教えた奴らの村まで今すぐ“走る”か どちらにするかの?
>. ―村の民の聖域を侵した鷲鼻の騎士の手記
***人獣014/C ロッシュ
>おい! そこの鷲鼻の旦那! 早く目を逸らせ!
>そうだ そのままじっとしてるんだ …ふう 危ないとこだったぜ
>この辺はコカトリス共の縄張りなんだ ヤツらと視線が合えば
>こんだけ離れてても あっちゅう間に石にされちまう
>一度見つかりゃ こっちが石になったと思うまで その場を一歩も動きゃしねぇ
>特に群れで一番頑固なのが 奴さ ついたあだ名も“岩”だしよ
>まぁ あと2日もじっとしてりゃ飽きるだろ
>もし動いたらどうなるかって? そりゃ決まってる
>オレの腰から下みてぇに カチコチになるだけさ
***神族028/C タロス
>右手に見えますのが、かの有名なクレーテ島でございます。
>おっ、今日も元気に走り回っておりますね!
>…そうです! あれこそがクレーテ島名物、タロス像!
>巨匠ヘパイストス氏によって鋳造された匠の一品…
>…もっと近くで見てみたいかとは思いますが、タロス像は
>島の守護神… これ以上近づくのは危険ですのでご容赦を…
>私の忠告を無視して島に乗り込もうとした騎士さんなんて
>踏まれた挙句に鷲鼻を折られ、今はベッドの上ですからね!
>. ―クレーテ観光協会 遊覧船添乗員の言葉
***海種013/C ディニ
>ちょっとお兄さん、ずっとうわの空で… 失礼しちゃうわ。
>…まっ、この歌声を初めて聴いたのならしょうがないけど。
>とても美しい声よね… でも、歌い手はもっと美しいのよ。
>それこそ、世界中の女達が嫉妬しちゃうくらいに。
>…でもね、彼女に会いたいだなんて絶対に思っちゃダメ。
>お兄さんハンサムだから、
>きっと彼女に見初められて海の底まで連れてかれちゃうわね。
>…ブサイクなら尾びれで引っぱたかれるだけで済むんだけど。
>そこの鷲鼻の騎士みたいに。
>. ―シーサイドBAR『人魚姫』ママ
***不死028/C ジルボルド
>ズッシンズシン… 腐竜の王が沼地を歩く
>背中に乗せてる人型は お気に入りの冠さ
>手綱のいうこと聞かねぇが 冠かぶりゃ上機嫌
>威風堂々練り歩き 生者はいねぇか 生者は出てけ―
>死者の静寂守るため 今日も沼地を歩くのさ
>ところがお馬鹿な騎士さんが ふざけて冠壊したよ
>腐竜の王は大いに怒り 我を忘れて大暴れ
>哀れお鷲鼻騎士さんは 大地の果てまで飛んでった
>. ―アゼダ湿原で流行中のわらべ歌
***人獣1-021/C ペルーダ
>彼は、元来穏やかな生き物であった。
>だが、神がその世界を滅ぼすと決め、選ばれた生き物のみを箱舟に乗せて救うと決めた時、彼だけが抗った。
>彼は、その世界を、その世界の人々を愛していたから。
>彼は、唯一人、その世界に残り、世界を守ろうとした。
>しかし思いは叶わず、残された全ての世界と生き物は死滅した。
>だが、彼だけは、その類まれな生命力で生き延びてしまった。
>彼は、気の遠くなるような日々、世界に唯一人である孤独に耐え続けた。
>そしてその孤独は、彼の心を黒く蝕み、肉に、血に、毛に、猛毒を巡らせた。
>時が立ち、箱舟に乗った者たちが世界に戻ってきた時、彼の目は果てしない憎悪に染まっていた。
>この世界から逃げた者共を、この世界を見捨てた物共を決して許しはしない。
>奴らの血脈たる子を、その子を増やす女を、全て食らい尽くしてくれる!
>
>――おいおい!思い出して泣いてる場合じゃねぇって、鷲鼻の旦那!あれは伝説だから!
>ほら!逃げなきゃ!踏みつぶされんぞ!
***人獣3-013/R ヤクルス
>「ほれ学者先生 あそこの木の上にいるのが お目当ての怪物だよ あいつは ああやって木の上から獲物を探して見つけると 獲物が背中を向けた瞬間に 後ろからあの尖った鼻でブスリと一突きにするんだ ここらの人間は あいつのことを“ヤクルス(槍)”って呼んでる 近づきすぎてもブスリ 後ろ向いてもブスリ だから気を付けんだよ」
>「なるほど あの鼻でね で あの鼻をグルグルと回すような仕草にはどういう意味があるのかな?」
>「あれは求愛行動だね あいつはメスなんだわ ああして相手がOKするまで何日でも鼻を回すんだね 恐ろしいことに 断って退いたり 背中向けるとブスリとやられる オスも大変だね しかし…オスはどこにいるんだろうねぇ」
>「ふむ ところで あの木の下にいる男は?」
>「あぁ あの騎士の旦那か いやね ヤクルスが見たいって言うから案内したんだけどよ 危ねぇから近づくなって言ってんのに聞かなくてなぁ もう3日もああしてるんだ……あぁ! そっかそっか! ヤクルスのメスは 立派な鼻のオスが好きなんだったわ! なるほどねぇ あいつ あの旦那の立派な『鷲鼻』にホレちまったんだねぇ」
――とある博物学者の手記より
&aname(深淵の同盟軍,option=nolink){}
**深淵の同盟軍 &link_anchor(▲){▲}
フレーバーテキストとしての称号は存在しないが、
ダゴンを使用して4位以上を一定数取ると、
「異形と暗黒、狂気の呼び声」の称号を獲得出来る。
***その3 海種005/SR ムー
>「やはり 目覚めてたんだね この広大な海に眠る数々の <遺産> かつて その中でも最も美しく 高い科学力を 誇ったレムリアの末裔…」
>人造の神は、不意に目の前に現れた少女に物憂げな瞳を向けた。
>「私はポセイドン かつて 君達と敵対していた超大陸 アトランティスは最早滅び その領土は私のものとなった でも その名を冠した守護母神は 君の目覚めに気付いて すでに動き始めてる… どう? 私と手を組まない?」
>「…アトラン…ティス オマエの領土…」
>「君…記憶がないの…?」
>「アトランティス… クッ 頭が… オレは…アトラン…!!」
>「…我が偉大なる海の王よ 大変です 奴の体内の『太陽石』が グングン熱量をあげております」
>「フフ 恐れることは無いよ 私にかかればこのくらい…」
>「このままでは この星の海の半分は全て蒸発してしまうかと」
>「え? そんなにすごいの?」&br()「アトラン… 敵……!!!」
>「わわわ ち ちがうちがう! アトランもう無い!」
>「敵… 敵は……滅ぼす!!!」
>「て 敵じゃないよ! 私達は… そう 友だち! 友だちだったのだ! いや~元気そうでなによりな!」>
>――「深淵の同盟軍」③
***その4 海種2-004/SR アクアクィーン
>――と いう訳で 私と手を組まないか?
>
>ハハ ポセイドン殿 ウチの奴らに同盟とか理解できますかね?」
>「あはは~ ど~め~ってなに~? 壊していいやつ~~?」
>「同盟? フッ このアクアナイトの王が 他の者の力など アテにするものか」
>「グ~~~… ムニャムニャ… グ~~~… 」
>「あはは~ その乗ってるのかわいいね~~」
>「てめぇぇ! なにナイトの姐さんにガンくれてやがる!!」
>「キサマ! うるさいぞ! 王が起きてしまうだろう!!!!!」
>「そうだ! うるっせぇぇぞ!! 黙りやがれこのど畜生が!!」
>「わたし~ トランスならできるよ~~」
>「ルーク! お前がうるさい!!」
>「はいぃぃ! 申し訳ございやせん! このルーク身命をとして 静かにいたしやぁぁぁぁす!」
>「あははは みんな おもしろいねぇぇ~~」
>「…とまぁ ウチこんな感じですが 組みます? 同盟」
>
>――は… 話にならない……
>──「深淵の同盟軍」④
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コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします
#comment_num2(size=80,vsize=3,nsize=30)
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*特殊な紹介文
『ロードオブヴァーミリオンIII』には、フレイバーテキストが連続的なストーリーになっているカードの一群がいくつか存在する。ここではそのフレーバーテキストを紹介する。
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&aname(▲,option=nolink)
>特別称号あり
-&link_anchor(スカーレットテイル){スカーレットテイル}
-&link_anchor(新・アマゾネスの冒険){新・アマゾネスの冒険}
-&link_anchor(冬の魔女のサーガ){冬の魔女のサーガ}
-&link_anchor(紅蓮古事記){紅蓮古事記}
-&link_anchor(レム黙示録){レム黙示録}
-&link_anchor(紅き聖杯の伝説){紅き聖杯の伝説}
-&link_anchor(紅陰陽奇譚){紅陰陽奇譚}
-&link_anchor(胎動せし五つの刃){胎動せし五つの刃}
-&link_anchor(オズの紅蓮の都){オズの紅蓮の都}
-&link_anchor(恐るべきウェンディゴ伝説){恐るべきウェンディゴ伝説}
-&link_anchor(七英雄と紅蓮の瞳の子){七英雄と紅蓮の瞳の子}
-&link_anchor(赤月剣風帖){赤月剣風帖}
-&link_anchor(妖精たちの赤い夜){妖精たちの赤い夜}
-&link_anchor(レッドデッドラプソディ){レッドデッドラプソディ}
-&link_anchor(魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター){魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター}
-&link_anchor(水滸伝 暁異聞){水滸伝 暁異聞}
-&link_anchor(紅焔八犬伝){紅焔八犬伝}
-&link_anchor(夢なりし紅の騎士物語){夢なりし紅の騎士物語}
>特別称号なし
-&link_anchor(ある老吟遊詩人の詩){ある老吟遊詩人の詩}
-&link_anchor(ある鷲鼻の騎士の苦闘){ある鷲鼻の騎士の苦闘}
-&link_anchor(深淵の同盟軍){深淵の同盟軍}
----
&aname(スカーレットテイル,option=nolink){}
**スカーレットテイル &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【スカーレットテイル】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『紅き夜の伽人』を獲得出来る。
***その1 人獣009/R アリス
>「〈赤の女王〉からあなたを助け出した時“あの子の夢”はバラバラになってしまったわ。
> だから私は あの夢をもう一度繋ぎ直さなきゃいけないの
> それが〈夢の管理人〉である私の仕事なんだもの」
> そしてアリスは手を差し出してこう言いました。
>「その為に、まずは散らばってしまった”皆”を探さなきゃいけないわ。
> それをあなたにも一緒に手伝ってほしいの。」
> ”もう一人のアリス”は 頬を染めてプイと目を背けました。
***その2 魔種010/R ダークアリス
>「私は あなたに助けて欲しいと頼んだ覚えはないわ。
> でも“あの子の夢”がないと〈悪夢の女王〉の仕事もろくに出来やしない。それは私も困るのよね」
> ダークアリスはくるっと回って言いました。
>「だから あの夢が元通りになるまでは手伝ってあげるわ。駒のないチェスも面白そうだもの。」
> 彼女は嬉しそうにダークアリスの手を握りました。
>「ありがとう もう一人の私! それじゃ初めに探すのは…」
***その3 不死030/C マッドハッター
> アリス達は、身を乗り出して帽子屋にたずねます。
>「なんでもいいの 知ってることを教えて!」
>「う~ん 教えてあげたいのはやまやまだけど 残念ながらお茶がきれてしまってね。
> 君達は お茶がないと 僕の話をきけないんだ いや僕が話せないのかな?
> なんにせよさっき ここに来たやつが ぜ~んぶカップを壊してしまってね
> 今は新品のカップしかない 穴のあいたやつでないとお茶はぜんぶ胃袋行きさ
> あいつはたしか何て名前だったかな…」
***その4 人獣030/C ラプンツェル
>「塔から出してくれてありがとう でもごめんなさい
> 魔法の髪が長すぎて 私じゃあなた達のお邪魔になっちゃうわ」
> 悲しげなラプンツェルに、アリス達はこう言いました。
>「そんなの簡単よ。私に任せて!」
> アリスは彼女の髪を、素敵な三つ編みに結い上げました。
>「う~ん 何か物足りないわね 何か飾りをつけなくちゃ!」
> ダークアリスは三つ編みに、素敵な鎧の飾りをつけました。
>「かわいいわ これなら悪い魔女にだって負けないわね!」
***その5 不死1-013/R アリス
>アリス達は、“夢のカケラ”のありかを知っているかもしれない“あの人”を探し、<お菓子リス>の森へとやってきました。ダークアリスは、リスの差し出す紅茶を飲みながら言いました。
>「いつも怒ってるあの人が、ほんとうに協力なんてしてくれるのかしら?」
>「かわいらしくて、おいしくて、とっても素敵な森だもの。ここにいるなら、どんな怒りんぼでも、幸せいっぱいなんじゃないかしら?」
>ラプンツェルは、髪の上に並んだリス達が次々を運んでくるクッキーを、嬉しそうにほおばりながら答えます。
>アリスは、イチゴの浮きタルトをひょいとつまんで言いました。
>「きっと大丈夫よ。前にもダークアリスを助けるのを、手伝ってくれたし、確かに今はとっても機嫌がよさそうだしね。」
>「なんでそんなことがわかるのよ。」
>「だって、この森の動物達、どの子もまだ首がつながってるもの。女王様はとってもご機嫌うるわしいに違いないわ。」
***その5の② 魔種1-004/SR ハートの女王
>「まったく、白い髪のあなた。本当なら処刑のところを助けてあげたというのに、こんなことにまで付き合わせるなんて…城には処刑待ちの行列までできているのですよ?」
>ハートの女王はため息をつくと、アリス達に言いました。
>「とりあえず、戻る為に皆を探し集める必要があるのは理解しました。ほら、さっさと次の夢に跳びなさいな。あんまりぐずぐずしていると処刑ですよ、処刑。」
>行き先がわからないアリスは、困った顔になりました。
>「帽子屋がちゃんと話してくれればね…。あの人ったらお茶会に夢中で、すぐに聞いた質問を忘れちゃうんだもの。」
>ハートの女王はすこし考え、すぐに名案を思いつきました。
>「では裁判を開きましょう! すぐに帽子屋さんをお呼びなさい。何かを隠すようならば処刑、処刑がいやならちゃんと話すでしょう? 聞きたいをこと聞けるし、処刑もできる。
>どちらに転んでも良いことずくめです。では早速断頭台の準備を…」
***その5の③ 不死1-030/C マッドハッター
>「おやおや穏やかじゃないな。
>裁判にはあまいクッキーが必要だろう? それにミルク! まっ白なミルクもだ!
>おっと、落とされた首にかぶせる新しい帽子も用意しないと。
>そういえば首が落とされたら僕が飲んだお茶はどうなるんだろうね? ポット行きかな? カップ行きかな?
>胃袋には戻ってくれそうにないけどねぇ。」
>ハートの女王はイライラとした雰囲気で口を開きました。
>「よほど首を落とされたいようですね。
>いいでしょう、すぐにその首を落としてよくしゃべる口を塞いであげます!」
>しかし、帽子屋は気にした風もなくしゃべりつづけます。
>「首?首といえばチェシャ猫くんなら何度でも処刑できるんじゃないかな?
>なんといったって彼はチェシャ猫だからね!
>さらに彼の持っている”夢のカケラ”があれば、どんな首でもよりどり黄みどりさ!」
***その6 人獣1-015/C チェシャ猫
>「君が“あの子の夢”を元に戻したいと願うのなら、まずは夢から目覚めさせるといい。そうすりゃ、夢を見る前、ほ~ら元通りってわけさ。」
>アリスは顔をしかめて答えました。
>「バカにしないで。私は〈夢の管理人〉なのよ? その私が夢を消すような事をする筈がないじゃない。それに夢が消えてしまえばあなたも消えてしまうかもしれないのよ?」
>「フン。夢が消えた程度でオレ様が消えるとは思えないがね。なんせ悪夢ってのは起きてたって見られるんだから。まあ、なんにせよ“あの子のイカれた夢”のかけらは赤いずきんの女の子が青い顔して持ってったぜ。」
>そういうとチェシャ猫のからだがすぅっと透けて消えていきます。そしてどこからか声だけが聞こえてきました。
>「イカれた夢とイカれてない悪夢、さてさてどちらがましなのやら」
***その6の② 魔種1-014/R ダークアリス
>「相変わらず憎たらしいわね。言うだけ言って消えるところも、あのにやにや笑いも。
>どうにかして笑えなくできないかしら?」
>不機嫌な様子を隠そうともしないダークアリスに、アリスは少し笑いながら言いました。
>「笑わないチェシャ猫なんてただの猫になっちゃうわ。
>それに、"あの子の夢のカケラ"の事だって教えてくれたんだからいいじゃない。
>前に会った時より親切になったと思うわ。」
>「あれに親切だなんて言うのはあなたくらいでしょうね…
>そもそもあいつが赤いずきんの女の子とやらにカケラを渡さなければ面倒が一つ消えたのよ?
>まぁ あいつが誰かの為になる事を自分からやるなんて絶対にありえないと思うけど。」
>ダークアリスがあきれた顔でそう言ったときでした。
>ラプンツェルが大きく手を振り、慌てふためいた表情で走ってくるではありませんか――
***その6の③ 不死2-025/C マッドハッター
>「そんなに慌ててどうしたんだい?お茶の1杯でも飲んで落ち着きなよ。
>気分が落ち着けば何も考えられなくなる筈さ。
>お茶請けにはカップケーキをどうぞ!それともこっちのベリータルトの方が良いかな?
>どちらも食べたら夢の国へ真っ逆さまさ!」
>帽子屋は自分のカップをとると、トントンとカップの底をつつきました。
>すると、カップの底に穴が空いて、とぽとぽとお茶がこぼれだしたのです。
>いつも通りの帽子屋の様子に、ダークアリスはため息をついて尋ねました。
>「お茶会が好きなのはいいけど、今はそれどころじゃないの。
>ラプンツェルが見つけてきた”赤く染まった広場”・・・あれは〈赤の女王〉の・・・」
>お茶で濡らした口のまわりを拭きもせずに、帽子屋は答えました。
>「タルトからまっ赤なベリーを食べてもタルトは残るだろう?
>でも、ミルクに紅茶をた〜っぷり入れたら、それはミルクなのかな?それとも紅茶なのかな?
>でも大事なのは赤いのと白いののバランスだよね。
>せっかくなら砂糖もたっぷりいれたいねぇ。」
***その6の④ 魔種2-006/SR ハートの女王
>「先ほどからお話している〈赤の女王〉とはどこのどなたですの? 私たちに何か関係あるのですか?」
>ハートの女王が尋ねると、アリスたちはすごく驚いた顔をしました。
>「覚えてないの?! ダークアリスを助ける時に会った赤い服の女の子がいたでしょう? あの子のことよ。彼女も“夢のカケラ”を狙っているのかも…」
>ハートの女王はしばらく悩んでいましたが、ようやく思い出したのか両手をパンッと叩きました。
>「あぁ、あの時の! 赤い色がお好き、というところだけは好ましい方でしたわね。まぁ、真っ赤なバラは私の方が似合っているでしょうけど。」
>ハートの女王は自信たっぷりの顔でアリスに言いました。
>「あのおチビさんに優雅な赤さで負ける気はしませんわ。今すぐ他の夢に跳んで捕まえてきてくださいな。先ほど作った断頭台もありますし、私が裁判を開いて差し上げます。
>“夢のカケラ”が手に入り、処刑もできる。あぁ、本番の前にちゃんと試さないといけませんね。ということで帽子屋さん。ちょっとそこに首を…」
***その7 人獣1-001/UR アカズキン
>「おばぁちゃんのおミミは どうしてそんなに大きいの?」
>――それは オマエの…
>「わかったわ! 私のかわいい声をよく聞くためね!」
>――え… まぁ そうかな
>「おばぁちゃんのおメメは どうしてそんなに大きいの?」
>――それは オマエを…
>「まって わかったわ! かわいい私をよく見るためね!」
>――あ… うん
>「おばぁちゃんのおクチは どうしてそんなに大きいの?」
>――クク…それは…
>「素敵! 素敵だわおばぁちゃん!! わかってるわ何も言わないで! あぁ 私のために狼になってまで…!」
>――え… オマエ 気付いて… えぇ…!?
>「さぁ 行くわよおばぁちゃん! 私のかわいさとおばぁちゃんの愛、そしてこの夢のカケラがあれば、この森は全て私たちのものよ!」
>――ちょ… オマエ何言って …えぇぇぇ!?
***その7の② 人獣2-003/UR アカズキン
>「さぁ おばぁちゃん! やつらをむかえうつわよ!」
>――え… なにを…
>「変な連中が この『夢のカケラ』を探して 森をうろついてるって さっきの残念な猟師さんが言ってたわ!」
>――いや… 残念て… あの猟師は…
>「わかってるわ! あの猟師さんは かよわい私を 戦いから 遠ざけようとしてくれてた… でも おばぁちゃんが 私はやれる子だって せっかんしてくれたのよね!」
>――いや… あれはオマエを オレから助けようとして撃ってきたから…
>「あぁ おばぁちゃんの期待と 猟師さんの犠牲に報いなきゃ… 森全制覇のためには このカケラは絶対わたせないわ…!」
>――いや 森全制覇とか… それにオレはおばぁちゃんじゃ…
>「何をいっているの おばぁちゃん! 弱気は禁物よ!! 血肉をくらってきた 獣の牙はどこにいったの!?」
>――ちょ… 血肉ってオマエ やっぱり気付いて…!!
>「きたわ いくわよ! いっけぇ! おばぁちゃんパーンチ!」
>――いや… 待てって!! …えぇぇぇぇぇぇ!?
***その8 魔種2-009/R レッドクィーン
>「くぅ…!あの忌々しい〈処刑好き〉さえいなければ、今ごろは…!まぁよい。
>幸い、ダークアリスが抜けきる前に“あの娘の夢”が崩壊したおかげで、
>〈悪夢の女王〉の力のいくらかは妾の中に残っておる。それに…」
>赤の女王はバットに力を込めて強く地面を叩きました。
>すると赤の女王の周りは樹も地面も、全てが真っ赤に染まってしまいました。
>「この〈悪夢の女王〉の力と、あの娘からこぼれ落ちた“夢のカケラ”…
>この2つがあれば、もはや〈処刑好き〉も〈夢の管理人〉も妾の敵ではない。
>フフフ…ゆくゆくは〈夢の管理人〉の力も手に入れ、全てを〈赤の女王〉たる妾の物としてくれよう!
>その為にもまずは“夢のカケラ”と悪夢の住人たちを集めねばならぬな。チェスには手駒がなければ始まらぬからの。」
>赤の女王は再びバットに力を込めると、今度はそのバットで何もない空中を叩きました。
>すると、女王の前にぽっかりと赤い穴が口をあけました。
>赤の女王は満足そうな笑みを浮かべると、その穴に飛び込んでいきました。
***その9 魔種2-018/C ジャバウォック
>その森には恐ろしい化け物が住んでいます。誰かが確かめた訳ではありませんが、獲物に食らいつく強靭な顎と鋭い鈎爪を持ち、森に入る者を引き裂いてしまうといいます。
>そんな恐ろしい化け物にまるで散歩でもしているかのように、すたすたと近づく者がいました。
>「ふむ、なかなか活きの良い化け物ではないか。これは良い手駒となりそうだ。」
>今にも飛び掛からんとする化け物の前に現れたのは、深い笑みを浮かべた赤の女王でした。赤の女王は化け物に向かってバットを振ります。すると、化け物を真っ赤な光が包みこみました。
>「妾こそは〈悪夢の女王〉! “ひとごろしき”の化け物ジャバウォックよ! お前を妾の第一の駒としてやろう!」
>もう一度赤の女王がバットを振ると、紅い光が消えていきます。光が収まると、そこには先ほどの獰猛さはどこへ行ったのか、化け物が静かに頭を下げていました。
>赤の女王は大人しくなった化け物の様子に満足そうに頷きました。
***その9の② 魔種3-030/C ジャバウォック
>――どうして!?この物語に“アイツ”はいないはずだろう!?スナークの代わりにジャバウォックだなんて!
>確かに“おとなりさん”だけど、これじゃぁこの物語の流れが変わってしまうじゃないか!
>おびえて隠れるベルマンたちの耳に、ずしんずしんと足音が聞こえてきます。ジャバウォックがベルマンたちを探しているのです。
>――なんとかして“アイツ”をこの物語から消さないと僕らの物語が、この夢の世界が壊れてしまう!…でもどうすればいいんだ!
>とうとうベルマンは頭をかかえてしまいました。一緒に隠れている仲間もみんな不安そうにしています。
>その時、どこからか楽しそうな少女の声が聞こえてきました。
>「この物語も悪くはないのだが、これでは〈悪夢の女王〉程度よな。妾の求める悪夢にはちと届かん。
>〈赤の女王〉としては、謎が残るような結末ではなく、救いようのない、まっ赤な色の、最悪の結末こそが望ましいのだ。たとえば…こんな感じにな。」
>少女が錫杖を振るうと、地面は大きなチェス盤に、ベルマン達の隠れる木々はまっ赤な駒に変わっていきました。
>「ほれ、ゲームの開始だ! ジャバウォックがくるぞ! 捕まればそなたらは妾の駒だ!」
***その9の③ 魔種3-011/R レッドクィーン
>探索隊たちをまっ赤な駒に変えた赤の女王は満足げに言いました。
>「ふむ、この島はなかなかに良い島だの。ジャバウォックに、バンダースナッチ、おまけに8人と一匹もの駒が手に入ったわ。おぉ、あそこにも。どれ」
>赤の女王はひょいっと木の枝に飛び乗ると、近くにいた動物たちに触れました。すると、動物たちは次々とまっ赤に染まり、みな一様に赤の女王にかしずきました。
>「うむ、良い良い。さて、あとこの島で良い駒になりそうな者は、やはりアレだな。先ほどの探索隊が探していた動物、『スナーク』とかいったか。そいつも妾の手駒としてやろう」
>赤の女王は、うきうきと森を探しました。すると、岩の裂け目に怪しげな動物が。赤の女王は、探索隊が持っていたスナークの特徴が書かれたメモを見ると、満足げにうなずきました。
>「羽毛に牙、ひっかき爪、まちがいないの」
>そう言って、赤の女王がその動物に近づき触れると、赤の女王はひゅんっとどこかへ消えてしまい、あとには、こんな探索隊のメモだけが残りました――“スナークには羽毛と噛み付き牙が生えている。
>頬髭を生やしていて引っ掻き爪もある。ただし、あるスナークはブージャムであり、これに触れるとどこかに消えてしまうので注意するように”
***その9の④ SP-037/SP レッドクィーン
>「ぁむ…むぐ…うむ、なかなか良い味ではないか。誰が作ったのかは知らぬが、褒めてつかわそう。だが、惜しむらくは…」
>
>赤の女王は手が汚れることも構わず次のケーキをむんずとつかむと、ケーキにのったイチゴだけをつまんで食べました。
>
>「もっとイチゴをたくさん使った、生地もクリームも真っ赤なケーキであれば、妾のお気に入りのひとつに入れてやらんでもなかったが…まぁ、<悪夢の女王>の髪のように白いクリームと、
><夢の管理人>の髪のように黄色いスポンジ、それらをふんずけて座るたったひとつの赤いイチゴ…これはこれで、なんとも良い味わいよの」
>
>そう言って、赤の女王はイチゴのなくなったケーキをぽいっと放り投げます。部屋を見回すと、あたりはイチゴのなくなったケーキだらけ。それを真っ赤なハリネズミがムシャムシャとさらに食べ散らかします。
>赤の女王はその様子を見て、良い良いと笑いました。
>
>「しかしあの生き物…あの物語の罠に引っ掛かってしまったのは失敗であったが、飛ばされた先が“ここ”だったのは幸いであったの。ここが何の物語かは知らぬが…そろそろケーキにも飽いたし、喉も渇いたわ。
>ほれ、とっとと茶を出して、あの『夢』の話を聞かせぬか」
>
>すると、突然テーブルの上にたくさんのカップやティーポットが現れました。カチャカチャと音を鳴らすカップに、ひとりでに浮いたティーポットがお茶を注いでまわります。
>
>それを見た赤の女王は、顔をしかめると、「フン、カチャカチャと…マナーがなっとらん!」そう言ってバットを握りしめカップたちを――叩こうとして、後ろからその腕を掴まれてしまいました。
>
>「おやおや、乱暴なお客さんだ。招待状は出してないはずなんだけどねぇ? いや、真っ白な招待状は君が食べちゃったのかな? それともそっちのネズミくんかな? どちらにせよだ。まずは一緒にお茶を楽しもうじゃないか。
>さぁ、お好きな席にどうぞ!」
***その9の⑤ 人獣3-019/C マルジー・スナーク
>マルジー・スナークは後ろを振り向いて誰も追いかけてこないことを確かめると、大きくため息をつきました。
>「あぁ、あぶなかった~。空中に穴ができたと思ったら、中から女の子たちが跳び出してくるなんて…二回目だからあわてずに隠れられたけど、この前の〈真っ赤な女の子〉のお仲間かな?」
>スナークは大事な〈脱衣車〉に腰かけ、少し前に島に現れた〈真っ赤な女の子〉の事を思い出して苦い顔をしました。
>「あの〈赤い女の子〉も空中から現れたんだよなぁ。空中に真っ赤な穴が開いたと思ったら、中から女の子が飛び出てきて、しかもジャバウォックなんてものまで一緒に…探検隊の人たちも、
>島の生き物もたくさん真っ赤にされちゃって…僕もこの脱衣車と“これ”がなかったら危なく見つかってたかも。」
>スナークは帽子を外すと、その中からきらきらと輝く“何かのカケラ”を取り出しました。
>「急に“カケラ”が光りだしたから、光が漏れないように脱衣車に隠れた後、すぐにあの真っ赤な穴が出てきたんだよなぁ。自由に模様が変わるこのカーテンがあれば絶対に見つからない自信はあるけど、
>急に空中から飛び出してこられると流石に…でももう安心だ! この前も今回も、この“カケラ”は僕が見つかりそうになった時に教えてくれたんだ! この“カケラ”と自慢の脱衣車があれば完全無欠! 今まで通り、
>もう絶対に誰にも見つからないね!」
>スナークが“何かのカケラ”を帽子の中に戻そうとしたその瞬間! 急に“カケラ”が輝きはじめました。
***その11 海種3-008/R 雪の女王
>「“夢のカケラ”だと? ああ、あの2人が抱えていたアレか。何もかもが凍りつく、この冷たく美しいワタシの園で、あんなもの抱えて愛だ夢だと熱く語り合う不届きな男女がおったからな、仲を引き裂いてやったのだ。
>フフ…散々愛を語っておったが他愛ない。2人ともアレを置いて方々に去って行ったわ。だがワタシは愛だの夢だの、そんな儚く頼りなく不確かなものに興味などないからな。あんな生温かいカケラなぞ、遠くに投げ捨ててやったわ」
>「ええー!? あの“夢のカケラ”を捨てちゃったの!?」
>アリスは驚いて思わず大きな声をあげてしまいました。
>「信じられないわ…アレを容易く手放せる人がいるなんて…」
>ダークアリスも言葉を失いました。
>「…む? アレはそんなにすごいもの…だったのか…?」
>普段は悠然と気高い雪の女王でしたが、2人のただならぬ様子に、少しばかり動揺しました。
>「どこ!? どっちに向かって投げたの?」
>「ええっと…こっちの…いや、あっちのはるか山の向こうにでも飛んでいったのでは…ないかな…」
***その?の? 不死3-025/C マッドハッター
>「さてさて…お嬢さん方は次の物語に行ってしまったようだし僕もここらでダンスパーティとしよう!
>&space(4)まずは今日のパートナーを決めないとね…キミ!&space(4)そう真っ赤なドレスのキミにしよう!&space(4)さあお手をどうぞ!」
>帽子屋は誰もすわっていないイスに向かってまるでエスコートするように、うやうやしく片手をさしだしました。
>すると誰もいないはずの空間にふわりと真っ赤なドレスがあらわれたのです。
>帽子屋はドレスの腰に手を添えると、リズムにのって踊りはじめました。
>「僕たちみたいに白と赤の二つだけならお互いがはっきりわかるのにねぇ。“夢のカケラ”が集まれば、誰でも真っ赤になっちゃうんだから…
>&space(4)赤いダイヤと赤いスペード、赤いハートと赤いクラブだなんて、全部混ざったらどうなっちゃうのかな?
>&space(4)やっぱり真っ黒なハートになっちゃうのかな?
>&space(4)でも大丈夫!&space(4)そうなるころには僕らの物語もぐちゃぐちゃどろどろ!
>&space(4)誰もが“あの子の夢”の中で終わらない物語を演じ続けるのさ!
>&space(4)題名は…『しんくのものがたり』なんてどうかな?」
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**新・アマゾネスの冒険 &link_anchor(▲){▲}
各地で友だちを作りながら父を探す娘の物語。
フレーバー【新・アマゾネスの冒険】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『ママリリの友だち』を獲得出来る。
***第1章 人獣017/C ママリリ
>母上、いったいどこいった?
>帰って来たら 消えちゃった・・・
>母上 父上探しにいっちゃったのか?
>なら ママリリも 冒険の旅 出る!
>母上探して ママリリも一緒に父上探す!
>だから母上! ママリリ追い付くまで待っててね!
>父上捕まえたら みんなでメシ食べよう!
>でも 旅には アレ必要か... 大事で 楽しい アレ!
>ママリリ 立派なアマゾネスだから もう知ってる!
***第2章 不死021/C フォル
> 何も思い出せない…私は…君の事を知っているのか?
> 君の事を見ていると胸が苦しくなる…私の中の何かが叫ぶんだ…なあ、ほんの些細な事でもいい!
> 何か知っているなら教えてくれないか!私が何者なのかを、この喪失感の意味を!
>「ママリリ ひとつ知ってる! 悲しいことは楽しいことで
> 忘れる! ママリリ お前の友達なる お前に名前つける!
> だから泣くな! ママリリといっしょに笑え!」
> 少女からの最初の贈り物は、俺の存在を示す名前だった。
***第2章 その2 PR-001/PR フォル
> 毎晩のように夢を見るんだ。 美しい女性の夢を...
> 彼女はいるも悲しみに暮れた瞳で私を見つめ...
> 私はぎらついた目で、彼女の血に染まった剣を見つめる...
> ...恐らく私の過去。ママリリ、きっと私は貴方と一緒にいていいような人間じゃない...
> でもね、その夢には続きがあるんだ。悲しみ暮れる私の傍らにはなぜか貴方が現れて、
> この手を無理やり引っ張り旅に連れ出すのさ。
> その時の私は困った顔をしながらも内心とても楽しそうで... だから...
***第3章 魔種029/C アマイモン
> 人の子よ、何を望む? 力か? 財か?
> 四方が一つ、地の王たる我に何を望む?
> まあ、何でもよいのだがな。我は貴様を通して現出するのみ…
> はなはだしき暴威と混乱を!
> ククク…後悔しても遅い 既に契約は成ったのだ
> 我は契約通り世界に暴威を振るう…ん? この文章だと契約は…
>「アマイモン、友達なった! ママリリの友達なった!
> だから一緒にメシ、狩りにいこう!」
> 地の王は、契約の詳細を確認しなかった己を悔やんだ。
***第3章 その2 魔種1-029/C アマイモン
>のう、人の子よ。物は相談なのだが、契約の破棄と再契約をせんか? 今の契約よりも、もっと良い条件で契約を結んでやるぞ? さっきの契約書はちと手違いがあったのでな。
>貴様もより良い条件の方が嬉しいだろう? まずはこの契約破棄同意書に署名を…
>「ママリリ 友達増えて嬉しい! アマイモンと一緒にメシ食って、狩りに行ける! 何も困ってない!」
>ま、待て、人の子よ! 今なら我が配下の権能を使う権利を付けてやろう! 幾何学や天文学などを教えてやってもいいし、どこかに瞬間移動させてやる事だってできるのだぞ?
>「ママリリ よくわからない! それよりメシと狩り行こう!」
>ええい、ならば我が地獄にて掘り出された、この金塊を付けてやろう! 貴様の大好きなメシもわざわざ狩らんで良くなるぞ? ほ~ら魅力的だろう? チャンスは今しかないんだぞう?
>「それ食えない ママリリ それいらない! メシ、狩り!」
>い、いや、しかしだな…おい、そこの騎士! 何を笑っておる!
***第4章 神族025/C 毘沙門天
> 我は四方が一、北方の守護者なり。見よ御法日輪の朱き鎧と三叉戟!
> 我の多聞の耳は、仏界のあらゆる言霊をとらえ得る。
> 真言を唱えし者には加護を。邪悪なる者には必滅の一撃を。
> 仏界に仇なす者共 心せよ!汝等に悪心あらば、ただ我が滅すのみ!
>「おまえ さっきから ひとりで何言ってる? 友達いない?
> なら おまえ 友達なれ! ママリリの友達なれ!」
> 四天王が一人、仏界のあらゆる言霊をとらえる北方守護神の耳は、
> ほんのり御法日輪の朱色に染まった。
***第5章 人獣027/C アレキサンダー
> 生まれついての王たる男は、眼前に広がる異界を見渡した。
>「面白い 運命の神よ! 俺はこの地でも我が王国を
> 我が覇道を築きあげようぞ! 待っていよ 未来の我が軍勢よ!」
> それは異界に対する王の宣誓だった。男にはまだ見ぬ勇士達が気勢をあげ、
> 各々の武器を高らかに掲げる姿が見えていた。
>「おまえ すごい! ママリリ 見えない!
> おまえ 見えない軍隊持ってる! おまえ 友達になれ!」
> 無垢な少女の瞳に、王は掲げたけんをためらいがちにおろした。
***第5章 その2 人獣1-030/C アレキサンダー
>「我が威風を意に介さぬその度胸、実に良し!
>娘よ!お前は俺に友となれと言ったな? その小さな身で我が覇道に何を求める?」
>王が尋ねると、少女は先ほどの王の宣誓を真似るように、自分の武器を掲げて答えた。
>「ママリリ 母上さがす旅の途中! 旅にはすごい友だち必要!
>おまえ 見えない軍隊持ってる! おまえすごい!だから おまえ 友だちなれ!」
>王はしばし沈黙したが、やがて豪快に笑いだした。
>「ワッハッハッ! なるほど! 確かに旅をするにも、覇道を行うにも友は必要だ。
>よかろう! お前をこの俺の友として認めようではないか! 共にこの世界に覇をとなえようぞ!」
>再び剣を掲げ、改めてこの世界に宣誓をする王に少女は言った。
>「おう!さすが友だち! じゃぁ見えない軍隊 見せてくれ!」
>「いや… 娘、もうその話はやめにしないか…」
***第6章 海種021/C クトゥルフの落とし児
>「いあ! いあ! くとぅるふ! ふんぐるい むぐるうなふ
> くとぅるふ るるいえ うが=なぐる ふたぐん!」
> それは深き海よりやってきた。
> 陸に上がったそれは鱗と甲殻とをないまぜたような不滅の触手を震わせる。
> それは探しているのだ…求めているのだ…偉大なる神に捧げる生贄を…!
>「みんな! こいつ食べてもへらない! これで メシ困らない!
> みんな こいつ つれて行こう!」
> 目を輝かせた笑顔の少女に、仲間達は腹を摩ってうなだれた。
***第6章 その2 不死1-026/C フォル
>彼女に手を取られ、昏き古城を出てから半年が過ぎた。
>いまや、彼女の不思議な魅力に惹き込まれ…いや、巻き込まれた
>半裸で妙に前向きな人間の王、何かと詐欺まがいの契約を迫る魔王、仏頂面だが実は照れ屋の東方の神…
>他の皆も見るからに一癖も二癖もある連中だが、なぜだろうか…
>皆、彼女の天真爛漫な奔放さに振り回されながらも、不思議とまとまり、内心では旅を楽しんでいるようだ。
>かく言う私もその一人だ。
>記憶は依然、取り戻せずにいるが、なぜか、この感じにとても懐かしい居心地の良さを覚える私がいる。
>「この日々が続くのであれば、私は、このままでも良いのかもしれない…。」
>そう呟いた私は、愛剣を構え、眼前の要的に切りかかった。
>「一気にいくぞ…!いやーーーっ!!!」
>「フォル!今日の晩メシなんだ!」
>「はい、今日はゲソの唐揚げにしようかと!」
***第7章 神族1-018/C カンヘル
>始原より、カンヘルと名付けられし竜人は、瞳に苦悩を浮かべていた。
>彼は、戦士であり、王であり、神であった。彼は民を愛し、また、民も彼を愛した。
>しかし、海の向こうより、翼と、印を持つ者が現れ、その強大な力でこの地を征服した。
>かの者たちは、自分たちの神を信じない者を、決して許しはしない。
>竜人は苦悩の末、民を守るために印の元に下り、かの者たちは、竜人にセルピウスという異国の名を与えた。
>こうして、愛すべき民たちは、救われた。
>しかし、自分たちの神が、印を賜ったことを知り、民たちもまた印を信じ、竜人のことを忘れていった…。
>これで良かった。良かったはずなのに…。
>「おまえ せるぴうす…? なんだか まったく似合わないぞ!
> そんなカッコわるい名前やめて友達なれ! ママリリの友達になれ!」
>確かに…確かにそうだな。
>少女を見つめる竜人の瞳に、久方ぶりに晴れやかな輝きがもどった。
***第8章 人獣2-004/SR ミミララ・レイア
>二対の巨大な獣骨でできたブーメランを掲げた美女は、
>ジャガーのようにしなやかな動きで少女の前に降り立った。
>彼女のこぼれんばかりの笑顔、その太陽のような笑顔には、
>どれほど怒れる獣でさえも心穏やかに頭を下げるであろう、
>そんな温かな魅力に満ち満ちていた。
>「ママリリ! しばらく見ぬ間に大きくなったな!
>それに 母のように 友だちたくさんできた!
>えらいぞ! ママリリ! おぉ! ひさしぶりだな!
>あんこくきっしーも一緒じゃないか!
>ん? 父さま? あぁ 父さまはどこに行ったんだろうな?
>ママリリのジジさまも どっかに行ってしまったしな
>アハハ 父さまというのは みんなどっかにいくものだな!
>母か? 母はじょおーだからな! みんなのために
>うまいメシさがしていたら こんな所まで 来てしまったのだ
>さぁ みんな! メシにしよう! メシをくったら
>一緒に 父さま 探しにいこう!」
***第8章 エピローグ SP-018/SP ミミララ・レイア
>スースーと、気持ち良さ気な寝息を立てている若きアマゾネスを優しく見つめながら、女王はその耳元にそっと囁いた。
>「ママリリ ほんとに大きくなった… オマエは 母の 小さいころにそっくりだ 母も ママリリくらいのころに オマエのジジさまを探して いっぱい旅をした 旅で
>たくさんの友だちできて いろいろなところへ行って 友だちとたくさんメシをくった 楽しかったなぁ… あ そういえば あの白いのは 最後までくわなかったな…
>母は けっきょく ジジさまには会えなかったのだけど…… ママリリは ……父さまに会いたいよな? フフ 父さまとは あの旅の途中で であったのだ
>…やっぱり 父さまは 母がひとりで探しにいくよ 父さまに 近づくことは きっと危険なことなんだ… あの友だちたちが オマエといっしょにいてくれるなら 母も安心だ
>それまで… 父さまを見つけるまで あんこくきっしーを頼んだぞ」
>そう言って立ち上がった女王は空を見上げ、その後にもう一度だけ娘に愛おしそうな視線を向けると、風のように森の奥へと消え去った。
***第9章 人獣3-008/SR ミミララ・レイア
>森の中を巨大な竜が木々をなぎ倒し駆けてゆく。何かを追っているのだろうか――いや、あれは追われているのだ。よく見ると、竜のすぐ後ろに小さな人影が見えた。その人影――女戦士は、
>二対の巨大な獣骨の武器を、身の丈の5倍はあろうかという竜に投げつける。それは見事竜の頭を打ちぬいた――が、いかに武器が巨大であってもこの体格差に――効いた。巨竜は体をぐらりとゆらして倒れる。
>「アハハ どんなもんだ! ほら オマエの父のかたき うってやったぞ! さぁ こいつでメシにしよう!」
>オマエも食え、と手際よくさばいた巨竜の肉を差し出した先には小さな獣の子供がいた。
>「やっぱり だれかと一緒にくうメシは最高だな! むぅ… しかし こいつなかなかうまいな よし いつかママリリにも くわせてやろう」
>そう言うと、女戦士は少しさみしそうに獣に言った。
>「オマエは もうオマエの父とメシがくえないんだな… メシは 友だちと それに家族と みんな一緒が 一番 うまいんだよな …だから あいつを探さなきゃいけない あいつは あの旅で出会った
>ミミララの一番の友達なんだ… まぁ そんなわけで オマエもミミララの友だちだ! …また 一緒にメシくおうな!」
>女戦士はそういうと、風のように森の奥へと消え去った。
***第9章 その2 神族4-012/C バリオス
>「メシを取ってくると言って出て行ったきり、なかなか帰ってこないと思えば…まさかこんな異世界にまで来ていたとは…そういうところは相変わらずなのだな、アマゾネスの女王よ…」
>草むらで気持ちよさそうに眠る女戦士の前に舞い降りた神馬は、あきれたようにため息をついた。
>「しかし、異世界の森の中で、よくもまぁこのように堂々と…豪胆なのか、鈍感なのか…。この子の“友だち”はそろいもそろって心配性ばかりだが、これでは確かに皆が心配になる筈よな…」
>神馬は女戦士を起こそうと顔を近づけたが、気を変えたのか、そのまま隣に腰を下ろした。
>「ふむ…せっかく気持ちよさそうに寝ているのだ、無理に起こす必要もあるまい…」
>眠り続ける女王に寄り添う自分をかえりみて、神馬は、かつて常に女王の隣で彼女を守り続けた男の姿を思い出した。
>「…この子の隣を守るのは、やはりお前がお似合いだ。暗黒騎士よ、お前は今どこにいるのだろうか――今思えば、お前が姿を消し、この子はその後を追うように森を出て行った。
>そしてまた我々も…。なぁ、私は、とうとうあの者の居場所をつかんだぞ。それを聴いたとき、はたして、この子は――」
>神馬はそう一人つぶやくと、最後になるかもしれない、その安らかな眠りを守るように、黙って女王を見つめ頭を垂れた。
***第10章 魔種3-014/C カークス
>巨人は見てみたかった。
>「それ」は、困っているとたすけ合いたくなるもの…、一緒にいたいと思うもの…、胸が温かくなるもの…らしかった。
>巨人は生まれてこの方、そんな奇妙なものは見たことがなかった。
>あらゆる生き物は、彼が近づくだけで、顔を思いきりゆがめて逃げていった。
>それでも無理やり触れようとするものならば、それらはみな、彼の体から噴き出る炎に焼かれ、灰となった。
>いつか洞窟の陰で耳にした、人間の子らが口にしていた「それ」の名はいったいなんといったか…。
>もしかしたら、目の前で彼を恐れず見上げている、この小さな生き物ならば、それを知っているかもしれない
>――巨人は、そう思った。
>「…オマエ…ダレ…?」
>「ママリリはママリリ! おまえでっかい すごい!」
>「オレ…コワク…ナイ…ノカ…?」
>「怖くない! おまえ 火ぃはく! かっこいい!」
>生まれて初めてする他人との会話のせいなのか、巨人は胸の奥がグラグラとゆれている感じがした。
>「そうだ! おまえの火 メシ作るの便利!
>&space(4)おまえ 友だちになれ! ママリリの友だちになれ!」
>――あぁ…「それ」だ。確か「それ」はそんな名前だった…。
>巨人の胸の奥は、さらに大きくゆれ――あぁ、なんだか温かいなぁ――そう、思った。
***第11章 海種4-012/C メイル
>その馬のような獣――ケルピーは水辺にいる。
>ケルピーは、歩き疲れた人間を見付けては、なんとも蠱惑的で、誘うような眼差しを送る。しかし、決してその背に跨ってはいけない。
>その背に乗った者は皆、抗う間も無く水底に連れ込まれてしまうのだから。ケルピーにとって、人とは食糧であり、恐怖を与えて狩る獲物でしかないのだから。
>
>その日も、ケルピーのメイルが水辺に佇んでいると、旅の少女がやってきた。腹を空かせているのだろうか、その背は前へと折れ曲がり、足取りも重そうにしている。
>メイルは無垢な瞳で少女を見つめると、静かに屈み、その背へと誘った。メイルの目を見た少女は、ふらふらと近づくと、その緑のたてがみをそっと撫で、憑かれたようにその背に飛び乗った。
>メイルはいつものように水中目がけて疾走し――――不意に頭をのけぞらせた。
>
>「こいつ わかめ 生えてる!」
>少女はそう言うと、むんずとメイルのたてがみを掴み、ワシワシとむしって食い始めた。
>「この馬 食えるし乗れるし 便利だ! いい獲物見つけた! みんな! こいつ つれて行こう!」
>少女は、仲間達のいる岸に向かって、メイルをまるで馬のように走らせた。メイルは少女に御されまいともがくも、背にしっかとしがみ付くその力は、人のそれとは思えぬほどの剛力だった。
>メイルは、生まれて初めて食料として、駆られる獲物の恐怖を知った。
***第12章 魔種4-014/C オルトロス
>紅き光に導かれ、畜生の中の畜生、忌まわしき双頭の魔獣…オルトロスはついに地獄から蘇った。
>
>彼は地上へとたどり着くや否や、目に映る人間らを手当たり次第、喰らった。耳に響く叫喚、舌に広がる肉の味、鼻腔をくすぐる血の香り… 懐かしきそれらは、地獄で乾ききった魔獣の欲望をいたく刺激した。
>
>彼は欲望のまま、獰猛に、執拗に、貪り続けた。しかし、喰らえど喰らえど、彼は満たされなかった。それどころか、喰らうほどに、その渇きはひりつくような熱を帯びていった。
>
>原因は明らかだった。それは、かつて己を殺した半神の英雄への激しい怒り。その妄執的な復讐心は、魔獣の残虐性を以前とは比べ物にならないほどに研ぎ澄ました。
>
>一刻も経たぬ間に、一帯の全てを腹に収めた魔獣は、鼻をひくつかせ、決して忘れ得ることは無い己が仇の臭いを探った。
>
>魔獣は戸惑った――どうしたことか…その臭いは、それぞれ真逆へと向けた双頭の方角、それぞれから感じられるではないか。
>
>あさましくも、ヤツは血族を増やしているのか――そう気付いた魔獣は、血にまみれた口をニヤリと歪ませた。
>
>――これはいい、これはいいぞ…これは癒される…どれ程の渇きだろうと癒される…!奴の残した栄光を、奴の生きた証をすするのだ!まずは、この小さき気配…子供の方からだ!!
>
>魔獣は、ふたつの頭で交互に吠え、食い散らかした屍を踏み潰し駆けだした。
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&aname(冬の魔女のサーガ,option=nolink){}
**冬の魔女のサーガ &link_anchor(▲){▲}
前作のウィッチにお礼を言うため仲間と旅をしている模様。
フレーバー【冬の魔女のサーガ】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『冬の魔女を継ぐ者』を獲得出来る。
***第1章 不死017/C バーバ・ヤーガ
> あの忌々しい〈冬の妖婆〉の呪いが解けたのは、
> 一応あの娘のおかげな部分もなくはないですから、
>〈冬の魔女〉となった私がお礼を言って差し上げようと思っていましたのに…
> まったく、あのマヌケ娘ったら一体どこに行ったのかしら。
> 誰にも言わずに消えてしまうなんて、礼儀がなっていませんわ!
> ほら、皆さん! さっさとあのマヌケ娘を見つけますわよ!
> 自称「偉大なる魔女」を! って、皆さん聞いてますの?!
> こら! 私の言う事を聞きなさーい!
***第2章 神族011/C メア
>〈冬の魔女〉が彼女を探すと言い出した時、神聖なる一角獣は小さな
> 魔女との旅を思い出していた。
> 旅の最中はその背に大量の荷物を載せられ、荷馬の如き扱いを受けたが、
> たまに彼女を乗せて走るのは楽しかった。
>「ほら、メアさん! 早くこの荷物を乗せて下さいな!」
> …こいつもか。とりあえずこいつの尻に我が角を突き立ててやろう。
> 彼女を探すのはその後だ…まったく魔女という奴は…。
***第3章 不死018/C ギルス
>ええい… 小娘! 我が名を気安く呼ぶでない!
>この名は彼女… 我が鎧の中に潜みしこの世あらざるおぞましき不浄に触れてなお…
>我を友と呼んだ偉大なる魔女に授かりしもの…
>貴様のような小娘が軽々しく呼ん…グヌヌ…
>友達の友達は友達、だから別にいいじゃないと?…下らぬ屁理屈を。
>…だが、久しいな。かような軽口も。
>ふんっ、まぁよかろう。 我が剣は彼女のために捧げし物。
>友の友に力を貸すも我が騎士道か。さあ、共に行くぞ!
***第4章 魔種018/C フルフル
>まったく 本当にあの娘、一体どこに行ったのかしらね?
>そうだ! こんな時こそ あなたに役立ってもらいますわ!
>さぁ フルフル!
>その「秘密を解き明かす角」で あの娘の行先を示してくださいな!
>ふむ…東ね。 では皆さん 西に向かいますわよ!
>ふふ… なんといっても「嘘しかつかない」悪魔さんですものね。
>私のように賢い質問をすれば 本当の事を言ってるのと…って
>け 決して馬鹿になんかして…痛っ!
>わ 私のお尻の秘密は 痛っ 解き明かさなくて良いですわ!!
***第4章その2 不死1-023/C ギルス
>どうした小娘。悲しそうな顔をしているな。
>何…?偉大なる魔女のように皆とうまくできないとな?
>フン、貴様もそのようなことで悩むのだな。
>確かに、あの娘には、他の者を引きつける何かがあった。
>だが、貴様はあの娘にはなれぬ。だから、自分をしっかり 持ってだな…
>なに?自分は所詮「冬の妖婆」の器? 中身なんて無いだと?…バカモノが。
>中身なぞ、あとから入れれば良いのだ。仕方ない…我を見よ。
>どうだ…この鎧は虚構よ。我なぞは、中身のみなのだ。
>しかも、 その中身は誰もが目を覆い、見たことすら忘れたくなる、
>この世の全てのおぞましいものを無い混ぜた、「醜悪」という 概念そのものときている。
>我に比べれば貴様なぞ、どれほど…
>何!? キモくて臭いから見せるなだと!! なんと無礼な! もう良いわ!
>…なんだ! まだ何か…ん? いいから黙って 側に居ろだと…?
>フン まったく…我が儘な娘だ…。
***第5章 魔種1-018/C ギガス
>はじめ巨人にとって魔女は鍋の材料だった。
>いつもの森で鍋に放り込むものを探していた時に捕まえた肉…
>鍋を火にかけてさぁ食おうという段階で魔女が喚いている事に気が付いた。
>何を喚いているのかはわからなかったが、別の旨い鍋を食わせてくれると言ったので鍋から取り出した。
>その後で魔女が作った鍋はいつも食べていた鍋よりずっと旨かった。
>――これは契約の鍋よ! あなたは今日から私の最初の下僕になりなさい!
> もっと美味しい食べ物も教えてあげるからしっかり働きなさいよ?
>今、あの魔女はいないが、思い出すともう一度あの鍋を食べたくなった。
>今日のところは、さっき新しく出会った魔女にもらったコレで我慢するが、
>あの魔女を見つけたらまた作ってもらおう。
>巨人は背中の荷物からメシを取り出して口に放り込んだ。
>「こらー! そこの愚図巨人さん! それは明日の食糧ですわよ! 食べるのを止めなさーい!!」
***第6章 不死009/R グロウベック
> 冬の空の下、太陽の届かぬ昏き地に屍竜の慟哭が木霊する。
> がらんどうの肉体に、ごうごうと吹き抜けるのは冷たき風。
> 寒い。 屍竜はすでに、冬の寒さを感じ取る器官を失っている。
> 凍えているのは心だ。 かつて与えられた望まぬ不死。
> 永久の孤独に苛まれ… しかし、彼女と出会い、
> 血潮を失った肉体に再び感じた確かな温もり…
> 渇望したものを手に入れ、それを再び失い苦しむ屍竜に彼女は告げた。
>「泣いてないで一緒にきなさい。彼女に会わせてあげますわ」。
***第7章 人獣2-020/C ワング
>あぁ? なんでアイツと一緒にいるのかって?
>そんなの勝手に消えた、あの"マヌケ娘"にオシオキかます為に決まってんだろーが!
>…大体魔女ってのはどいつもこいつも自分勝手すぎんだよ!
>歩き疲れたからおぶれだの、ホウキの手入れしとけだの…
>そもそもヤツは「ロードになって大陸を支配する~」とか壮大なことを言ってたくせに、
>やってた事といえばあっちこっちふらふらしては、食われかけたり、呪われかけたり、
>俺が助けなきゃ、とっくに死神のおっさんに連れていかれてたんだっつぅの!
>あの時だって、ヤツが、めずらしく「心配しないで待ってて」
>とかしおらしく言うから従ったがよ…
>そんなこと言われても心配しかできねーだろうが!
>あぁーっくそったれ! 話してたらムカついてきたぜ!
>とっととヤツを見つけにゃ…となりゃ出発だ!
>アイツは…お、いたいた。
>おい尻娘! 次はどっち行くんだよ!
>「ちょっとワンちゃんさん! 人の事を下品な名前で呼ばないでくださいな!」
***第8章 魔種2-028/C ギガス
>長く暗い洞窟を進み、外の光が見えてきた所で、真っ黒で不気味な生き物が出口を固めていた。人間のようにも見えるが、獣のようにも見える。
>きっと、この先に待つ何者かが仕掛けた、魔法生物であろう。
>「お話が通じるような方たちではなさそうですわね。相手にするのも面倒ですし…かまいませんわ。ギガスさん! ぜーんぶやっておしまいなさい!」
>冬の魔女の言葉に巨人は少し考えた。何かを壊すのは久しぶりだ。かつて、巨人が“偉大な魔女”の仲間となってからのち、旨いメシはたくさん食えたが、
>かわりに何かを壊すことはめっきりしなくなっていた。
>それは冬の魔女の仲間になってからも同じだ。だから、巨人はとても楽しい気分になって全力で――壊した。
>「ちょ、ちょっと巨人さん! 私が言ったのは敵を倒してという意味で、ぜーんぶって、洞窟まで! そんなに暴れたら…この馬鹿巨人!ぎゃあああっ!」
***第9章 人獣3-028/C ワング
>フゥ… これで全部倒したか? …いよっと ちょっと休ませてもらうぜ …チッ それにしてもみんなとはぐれちまったなぁ この雪山で俺ら二人だけかよ…って何震えてんだ尻娘!
>オメェなんかに何もしやしねぇよ! は? 寒い? なら厚着すりゃいいじゃねぇか! 未熟に思われるから嫌ぁ? つーかおめぇ『冬の魔女』のクセに、気温魔法も使えねぇのかよ!?
>…そういや、あいつも似たような事言ってたな… たしか「偉大なる魔女は、自分の周りを常に快適に保つ魔法が使えるから、厚着してると未熟に思われる」だっけか?
>…ったく、魔女ってのはどういつもこいつもプライドだけは一人前だな まぁ、好きにしろや 俺は変身解いてメシに… はぁ? そのままでいろ!? なんで……って何抱きついてんだテメェ!!!!
>あぁ? アイツの言った通りフワモコであったかい…って バ バカ野郎!! 離れ………んなっ!!?? …コイツ、一瞬で寝てやがる…!
>………しゃぁねぇな まぁ、こいつはこいつなりに気ぃ張ってたのかもしれねぇなぁ… しっかし、あのマヌケ娘、コイツにんなことまで話してやがったのかよ――クソッ オメェ、いったいどこにいんだよ…
***第10章 魔種3-001/UR マルグリッド
>「さあ、みんな行くわよ! ベルゼバブが消えたくらいでなによ!
> 倒さなきゃならない『ロード』なんかまだまだいるわ! ひとり先を越されたくらいでめげていられない!
> この大陸は必ずやこの「偉大なる魔女」さまが征服してやるんだからね!」
>
>あたしの掛け声に一番初めに反応したのは食いしん坊の巨人だった。
>返事をしたのは口じゃなくて、お腹だったけれど。
>そう言えば、色々ありすぎて、みんな今朝から何も食べていなかった。確かに食事にするのも悪くない。
>なら、久しぶりにおばあちゃん直伝の「偉大なる魔女特製お鍋」を作ってあげる、
>あたしがそう言うと、巨人は飛び跳ねて喜び、その衝撃で一角獣の背でうたた寝していたオレンジ>色の魔法植物がズルリと落ちた。
>それをとっさに空中で咥えた、一角獣が、ならばとっととこの食料を下ろせと、荷馬扱いされたことをぷりぷりと怒った様子で睨んでくる。
>
>そんな訳で、さっそく鍋の準備が始まったのだが、その何とも芳しい臭いに誘われたのか、
>先ほど飛び去ったはずの古い友だちまで戻ってきて、ちょっとお腹が空いただけだなんだと、一緒に鍋をつつき始めた。
>そしてそれを、皮肉屋の死神がからかっている。
>
>あたしは、なんだか温かいものを感じ、そんな風景に見とれていると、後ろからポンと頭を叩く手。
>振り向くと、ほら、早く喰わねぇと無くなっちまうぞ、と眼帯の男が――
>あたしは、この旅の仲間が好きだ。できればずっとこの仲間たちと――
>
>
>「どうだ?」
>「ダメね。バカバカしい夢が見れただけ」
>暗い一室で、つば広の三角帽をかぶった少女は、機甲装置にかけた多重の魔法陣を解いた。
>体中に紋様を刻んだ男が、豪奢な椅子に座りそれを見つめている。
>
>「頼むぜ? ヒントはお前が持ってるんだ。お前の過去に、必ず“それ”はある」
>解ってるわ、と少女は特に何の感慨も無い様子で立ち上がりその場を去ろうとする。
>男は椅子に座ったまま反り返り、少女の背に向けて言った。
>
>「まさか、戻りてぇとかぬかすんじゃねぇだろうな」
>「まさか」
>即答する少女。
>
>「どうだかな。
> こないだ“覗いて”みたらよ、愉快なお仲間たちは、お前を探してるみたいだったぜ。
> ぞろぞろ連なってよ。まるで蟻みてぇだった」
>
>少女は少しだけ振り返り、肩を上げて笑った。
>「どうしようもないわね。あいつらは世界の仕組みが分かっていない。まさに無知の罪よ。
> あの儀式で…地獄の釜を開いてその底を見た時、私は分かってしまったんですもの」
>「ならいいがよ、“偉大なる魔女”さん」
>「…詠唱が少し違うのかも。もう少し調べて来るわ」
>そう言って、少女はその場を立ち去りつつ、奥の暗闇に向かい、誰にも聞こえない小さな声でつぶやいた。
>
>「本当に…どうしようもないわ」
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**紅蓮古事記 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅蓮古事記】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『失われし古伝の語部』を獲得出来る。
***其の壱の序編 PR-007/PRコノハナサクヤ
>ある春の日に、咲耶姫が姉の磐長姫、妹の知流姫と共に桜を
>愛でていると、父の大山津見神がやってきました。
>大層喜ばしげな父の姿に、何か良きことがあったのかと、咲耶姫は尋ねます。
>「お前たちに縁談を持ってきた。これはまたと無い良縁だ」
>驚いて、咲耶姫は磐長姫と顔を見合わせます。
>「それはそれは、私と姉様、どちらのご縁談でしょうか?」
>縁談の話となれば、妹の知流姫には早すぎる。
>自分か姉のどちらかが嫁ぐことになるのだろうと咲耶姫は考えました。
>「両方だ。彼の皇にはお前たち二人を娶ることで、岩のように強固の命と、
>木の花が咲くような繁栄が約束される。その器量ある素晴らしい御仁だ」
>それは良いですわね、と磐長姫は微笑みましたが、咲耶姫は素直に喜ぶことができずにいました。
>冷静な父をすぐにここまで虜にしてしまった皇のことを、
>咲耶姫は感嘆すると同時に空恐ろしく感じたのです。
***其の壱 海種003/SR コノハナサクヤ
> 大山津見神は、笠沙の岬に降臨した、自らを皇と名乗る
> 紅蓮の瞳を持つ男を気に入り、二人の娘を差し出しました。
> 二人の娘のうち、姉方の磐長姫は黙として父の命に従いましたが、
> 妹方の咲耶姫は密かな不安を姉妹に訴えました。
>「姉さま… チルヒメ… サクヤはあの男の目が怖いのです…」
***其の壱の② 海種1-005/SR コノハナサクヤ
>紅蓮の瞳を持つ皇は、まずは姉方の磐長姫を呼びました。
>黙して従う磐長姫に、皇は神力を見せよと詰め寄りました。
>その紅き双眸に驚いた磐長姫は、硬く、醜い大岩に変じて身を守りました。これに怒った皇は、大岩を外へとうち捨てました。次に、皇は妹片の咲耶姫を呼びました。
>怯える咲耶姫に、皇は神力を見せよと詰め寄りました。
>その紅き双眸に驚いた咲耶姫は、太く、立派な桜に変じて心を閉ざしました。見事な桜を見て喜んだ皇は、生き生きとした桜の枝を折り取ろうとしました。あわてて逃げようとした咲耶姫ですが、
>しっかりと地に這った根が邪魔し、うまく逃げることができません。そこに、二人の姉神を心配し、様子をうかがっていた知流姫が飛び入り、桜の精を吸い取って根を枯らし、すいっと咲耶姫をすくい上げました。
>「サクヤ姉様、この者の眼は危険です。今すぐ、アメノトリフネに乗り、常世の国へお逃げください…!」
***其の弐 海種004/SR わだつみ
>”貴様は既に二人の姫より 永遠の命と永久の繁栄を約束された身 これ以上何を欲するか”
> 海神の宮を訪れたその男に、第綿津見神は問いました。
>「海を統べる力が足りぬ 貴様の力を貰おう」
> 男はそうとだけ答えると、海神へと刃を向けました。
>”よかろう… 焔の瞳持つ愚かな天孫よ すこしばかり貴様の下らぬ戯れ事に付き合うてやろう”
> その瞬間、周囲は荒れ狂う渦に飲み込まれました。
***其の弐の② 海種1-006/SR わだつみ
>"紅蓮の相貌を持つ皇に従い、海の底へと潜る大綿津見神を、上津綿津見神が諌めました。
>「あなたが去れば、海の波が凪いでしまいます。」しかし、海神は聞きません。
>仕方なく、上津綿津見神は、せめて守りにこれを、と自身の鱗を渡しました。
>暫く後、今度は中津綿津見神が現れ、海神を諌めました。
>「あなたが去れば、海の流れが止んでしまいます。」しかし、海神は聞きません。
>仕方なく、中津綿津見神は、せめて慰みにこれを、と自身の鱗を渡しました。
>最後に、底津綿津見神が現れ、海神を諌めました。
>「あなたが去れば、海底が渦を巻いてしまいます。」しかし、海神は聞きません。
>仕方なく、底津綿津見神は、せめて手向けにこれを、と自身の鱗を渡しました。
>こうして、大綿津見神は、海の底の常世の祠に着きました。
>海神が祠をくぐった時、高ぶる荒御霊を感じた三神の鱗が、海神の目を腹を尾を覆ったではありませんか。
***其の弐の③ 海種2-005/SR わだつみ
>体を覆う三神の鱗を振り払おうと、大綿津見神は激しく体をくねらせました。大神の荒御霊に気圧されたのか、鱗は次第に小さくなり、体の中へと消え去りました。
>「これしきの戒で、我を抑えられるとでも思うたか」
>そう言って大綿津見神は、常世の祠をくぐりました。するとそこには、先程まで海の底にいたとは思えぬ光景が広がっていたのです。大綿津見神をもってして知らぬ海、
>数多の知らぬ神々の気配。見るとそこに、紅蓮の双眸を持つ皇が立っていました。
>「皇よ。この常世にて貴様は私に何を望む」
>皇は答えました。
>「我が望みはひとつ。この世の海を統べること。さぁ、貴様の荒御霊を思うがままに振るうが良い」
>しかし、海神はまったく動き出す気配がありません。海神は目を細め、宙を見上げてつぶやきました。
>「なるほどな。三神の謀り、我が眷属ながら中々よ。我が体を縛することなく、我が荒御霊のみ鎮めたか。紅き眼の皇よ。大神たる我が荒ぶる御霊を操ろうとした報い受けてもらうぞ」
>そういうと大綿津見神は大きな体を揺らし、皇へと襲い掛かったのです。
***其の参 序編 神族1-014/C ヤタガラス
>幾日目の夜でありましたでしょうか。若者はとうとう飢えと疲労で、大木の根元に倒れ込んでしまったのでございます。
>動けずじっとしていると、次第に夜に目が慣れてきました。
>若者はぎょっとしました。そこには、沢山の動物の死骸が転がっていたのでございます。かすかに動く者は自分と、目の前の息絶え絶えな小鳥のみ。
>どうやら、ここが迷いの森の終着点か...若者は、死を覚悟しました。
>すると、そんな若者を哀れ思ったのか、大木が身を震わせ若者の前に、一粒の果実を落としたのでございます。数日ぶりの食べ物でございました。
>若者は必死に手を伸ばし果実をつかむと――弱った小鳥に与えたのででございます。
>小鳥は、果実を一口かじると、すぐに元気になり、飛び上がって若者に礼を言いました。
>「助かったぞ人の子よ。その心、そしてその紅き隻眼...ぬしには王の器があるようだ。私はぬしを導こう。」
>小鳥がばさぁと翼を大きく広げると、その姿はみるみると大きな三本足の黒鳥に変わっていくではありませんか。
***其の参 神族015/C スクナヒコナ
>「だれ〜だ おまえ? ぼくに用〜?」
> 少彦名神の問いに、紅蓮の双眸を持つ男は静かに答えます。
>「国を造る力が足りぬ 貴様の力を貰おう。」
> 少彦名神はそれを聞くと、小さな体を大きく膨らませました。
>「おま〜え ちょっ〜と 失礼だぞ〜」
> そう言って小さき神は。お神酒をぐいっと傾けました。
>「よよ〜い よいよい 飲め〜ば飲〜む程 つ〜よく〜なる〜」
> 数刻後、何が起きたのか、赤い光と共に酔神の唄は聞こえなくなりました。
***其の参の② 神族1-023/C スクナヒコナ
>紅蓮の双眸を持つ男に連れ去られた酔神は、隙を見て、
>アメノカガミノフネで海へと飛び込み逃げ出しました。
>船をこいで着いたのは、見知らぬ景色の世界。
>「は~てはて~ここは常世の国か~?」
>酔神は辺りを見て、少し考えてからおもむろに歌いだしました。
>「まず~は 酒が足~りんぞ~」
>すると、どこからか極上の酒が、鯨も酔うほど現れました。
>「次に~ 肴が足~りんぞ~」
>すると、どこからか贅を尽くした山の幸、海の幸が現れました。
>「よほほ~い 客が足~りんぞ~」
>すると、どこからかたくさんの兎が現れ、殺風景なその場所は、
>途端に賑やかになりました。
>「ぼく~は満足 もうねむい~」
>満足した酔神は眠ってしまいました。すると、その賑やかな宴を
>聞きつけてか、大きな羽音が近づいてくる
>ではありませんか。
***其の参の③ 神族3-025/C スクナヒコナ
>大きな羽音に驚いて、酔神は目を覚まします。
>するとそこには三本足の大きな黒鳥の姿がありました。
>「や~や~ お~まえ~は八咫烏~ お久しぶり~の おやややや~?」
>八咫烏の背には見慣れぬ若者が一人乗っていました。
>酔神が訝しんで見ると、なんとその者は自分をさらった者と同じ、赤き瞳を持っているではありませんか。
>「お~まえ~も ぼ~くをさらう気か~」
>酔神は、気色ばんで酒瓶を傾けると、その小さな身体をぷくぷくと大きく膨らませました。
>「落ち着き召されよ少彦名神。こやつは敵ではない。かの紅き双眸を倒しうる、王の器を持つ者じゃ」
>八咫烏は引き留めますが、酔神は引き下がることなく、さらに杯を掲げました。
>「ほほ~う ならば~ お~まえ~さん~ ど~こま~でや~れる~か 見~せて~みろ~ これ~で勝負だ 呑~みく~らべ~!」
>そう言って酔神が跳ねると、たくさんのお神酒がどこからともなく現れました。それを見た八咫烏は、呆れて言いました。
>「あんた… もうそれ 呑みたいだけじゃろ…」
***其の肆 不死026/C 黄泉神
>”貴様 コノ黄泉神ヲ怖レヌノカ”
> 黄泉国の神は夜闇に包まれるような重く暗い声音で語ります。
>「常闇を総べる力が足りぬ 貴様の力を貰おう」
> 紅蓮の双眸を持つ男は、亡者の王を決然と見据えました。
>”面白イ 面白イ”
> 闇が這い寄るようなおぞましき笑い声を響かせた悪意の神は、自ら男に協力を申し出ます。
> 紅蓮の皇が腕を振るうと、其処此処に赤い文様が現れ、
> 黄泉の神は光と共にどこかへと消え去ってしまいました。
***其の伍 海種027/C オオモノヌシ
>「近づきなさるな… あのお姿は 同胞たちを失った
> 蛇神様の悲しい叫びそのものなのじゃ」
> 老婆は傍らの若者を制しました。
> かつて数多の姫君と契った美貌の祭神は怒りと悲しみに飲まれ、
> 祟りを振り撒く禍つ邪な蛇神となっていたのです。
>「”神忌み”のある所には 常に赤い瞳の男がいると聞く…
> あんたのその眼…そうなのかい?」
> 赤き”隻眼”の若者は それには答えず、静かに荒神の方へ歩み始めました。
***其の伍の② 海種1-029/C オオモノヌシ
>祟り神となり、国中に疫病を振りまく国津神に、時の皇
>は、如何にすれば怒りを鎮めてくれるのかを尋ねました。
>「憎々しきは、我が国造りの同朋をかどわかしたるあの
>者よ。紅き眼のあの者を探しだし、贄として捧げよ。」
>皇は、民草の中から、眼に朱のさしたる者を探しだし、
>国津神へと捧げました。
>「愚かなり。お前のようなものであるものか。」
>国津神は怒り、大蛇へと変じ、贄をまる飲みにしました。
>次に皇は、高貴な者の中から、眼に朱のさしたる者を
>探しだし、国津神へと捧げました。
>「愚かなり。お前のようなものであるものか。」
>国津神はますます怒り、再び大蛇へと変じ、贄をまる飲み
>にしました。困り果てた皇の前に、片方の眼のみに紅
>玉のような朱をさしたる若者が現れ、すすんで贄になろう
>と申し出ました。皇は、最後の頼みと、案内の婆を
>付け、御山へと送り出しました。
***其の伍の③ 海種2-025/C オオモノヌシ
>片方の眼に朱のさしたる若者は、荒ぶる国津神の元へと訪れました。
>「お前のその眼、憎きあの者と同じ気配なり。だが、何かが違う。お前は何者であるか」
>若者は、紅蓮の双眸を討ち果たさんとする自身の目的を国津神へ告げました。
>「なれば我も連れてゆくがよい。彼奴には直接我が牙を突き立ててやらぬと気が収まらぬ」
>若者は快く承諾しましたが、かの者と争うにはまだ力が足りぬと述べました。
>すると国津神は大国主神を探すよう伝えました。
>「あのうつけは我が半身。あやつの幸御魂、奇御魂の顕現こそが我なのだ。情愛と智慧を切り離されておるあやつは、どこぞでうつつを抜かしているに違いあるまいが、きっとお前の力になるであろう」
>助言に感謝する若者に、国津神は加えて言いました。
>「だが、勘違いをするな。目的叶わぬときには、お前を喰らってせめてもの慰めとしてくれよう。努々忘れるな」
***其の陸 神族2-018/C オオクニヌシ
>大国主神は国造りの盟友、少彦名神のもとを訪れました。
>ですが彼の姿はついぞ見当たりません。しんと静まり返った少彦名神の社。
>そこには倉から出したばかりの上等な酒が、ひっそりと残されているのみでした。
>「あいつがこんな上モノを放って出かけるわきゃぁねぇな」
>揉め事の匂いを感じ取り、大国主神は小さく嘆息しました。
>「そうとなれば致し方なしだ。ひとつスクナの野郎を探しにいくとするかね」
>火急の用があったわけではありませんが、
>盟友の一大事とあらば看過できぬが大国主神です。
>ところが、探すとは決めたものの、少彦名神の行方は皆目見当もつきません。
>さてどうしたものか…ひとしきり頭をひねった大国主神は、
>やがて何か思いついたかのようにどっかと座りこみました。
>「…この酒に手がかりがあるかもしれねぇな」
>大国主神はちびっと酒を飲みました。しかし何もわかりません。
>「…こりゃぁ もちっとよく調べねぇとわからんかな」
>大国主神はごくごくと酒を飲みました。しかし何もわかりません。
>赤ら顔な大国主神は神妙な面持ちで立ち上がりました。
>「…こうなりゃ 酒蔵の方も調べるしかぁねぇわなぁ… ひっく」
>少彦名神を探しにいくのは、もう少し先になりそうでした。
***其の漆 神族2-001/UR イザナギ
>下界にて、自らを皇と呼ぶ紅蓮の双眸を持つ男が、神々の神力を奪ってまわっていると知った伊邪那岐命は、大いに怒りました。
>「我が国にて勝手無礼は許さぬ…今、神罰を与えん!」
>荒御魂を昂ぶらせ、雲をつくほどにせり上がった伊邪那岐命は、その神力をもって紅蓮の気配を辿りました。
>そして、数多の気配の中によく知るものをひとつ見つけました。
>「むぅ… これはよもや、伊邪那美か!?」
>伊邪那美命は、はるか昔に黄泉国に置き去りとした伊邪那岐命の元妻でした。
>最後に目にした伊邪那美命の姿は、閉ざされた黄泉の淵で怒りと怨みの呪詛を吐き続ける、とてもおぞましきもの。
>次にまみえたならば、天地開闢の争いに等しき、烈火の如き怒りが向けられることは想像に難くありませんでした。
>「…興冷めである。荒御魂も鎮まったわ」
>気勢を削がれた伊邪那岐命は、紅蓮の気配を辿るのを止めてしまいました。
>「そもそも、下界の争いなどに神が手を出すまでもない。…決して、伊邪那美を恐れておるわけではないぞ」
***其の漆の② 神族3-002/UR イザナギ
>「なるほどな、噂通り何とも見事な紅蓮の瞳であるものよ。貴様、我が同胞を方々でかどわかして回っておるそうだな。
>…しかし、貴様ひとりか? 単身にて我が前に現れるとは。その意気や褒めてやらんでもない。」
>高天原の最奥へとやってきた紅蓮の双眸を持つ皇は、その伊邪那岐神の言葉に応えることなく、ただ冷淡な声で、力をよこせとのみ不遜に告げました。
>「思い上がるでない。我こそは神の始祖たる国産みの神、伊邪那岐ぞ!!」
>荒ぶる御魂を解き放ち、山をも見下ろす巨躯となった伊邪那岐神は、紅蓮の皇を睥睨し刃を抜き放ちました。
>圧倒的な神力に天は裂け、地は唸り、波が沸き立ちます。しかし、紅蓮の双眸を持つ皇は、それに少しも臆することなく、逆に激しい気炎を発しました。
>「フハハ、なかなかに勇ましいものよ。」
>伊邪那岐神は一笑すると、眩い光と共に黄金の神剣を勢いよく振り上げつつ、眼下の紅蓮の皇へと重厚な声を落としました。
>「…念のため確認しておくが、本当に本当ぉぉぉに貴様ひとりか? 伊邪那美はここに来とらんのだろうな?」
***其の捌 神族3-011/R ヤマトタケル
>「…大和は 国のまほろば…」
>旅路の果て、倭建命はとうとう最期を迎えようとしていました。その身体は積年の戦いで激しく傷つき、さらには重い病が体内を隅々まで蝕んでいたのです。
>「俺は…まだ… 弟橘… あんたの分も……!」
>倭建命にとって、その生涯は戦いでのみ彩られていました。
>兄を殺し、豪族を討ち、神とすら戦い――それでもまだ戦いをやめることはできませんでした。それは、自らの戦いの中で失ってしまった、
>最愛の人の命に見合う生を全うできたとは思えなかったから…。しかし、無情にも、その命は消えようとしていました。
>「たのむ…たのむ…! まだ…まだなんだ……!!」
>しくしくと、少しずつを消え入る倭建命の命。その最中、彼は不思議な声を聴きました。
>――君、面白いね。神の血を引き、そして神の剣を持つ。でも、あくまで、どこまでも君は人間だ。必要なのは神性と慟哭――神の剣と人の悲しみ、
>それにアレを合わせればさぞかし……いいよ、救ってあげるよ。
>眩き光、地が砕けるような轟音、そして自身の四肢を出鱈目に引き裂かれるような激しい痛みが倭建命を襲いました。
>ひと時の後、止まぬ眩暈に耐えながら倭建命が目を開くと、そこには神剣と一つになったなった己の姿があったのです。
***其の捌 道半 SP-0/SP ヤマトタケル
>「神威ひらきたまえ…草薙!」
>倭建命がそう告げると、天を引き裂く轟音と共に鋼の化身が姿を現しました。神剣と同化した倭建命はまさに豪腕無双。
>振り上げた巨腕が薙ぐたびに、数十人いた夷狄たちは、地這う虫が潰れるかのごとく、あっけなくその命を一つ、また一つと散らしていきました。
>「ハハハ、すごい…すごいぞ!」
>倭建命は高揚し、その巨体で次々と敵を飲み込んで行きます。
>「大和を脅かす者どもよ… 我が弟橘の命を奪いし穢れた者たちよ…!!」
>夷狄を滅するその顔は、怒りとも笑顔ともつかない表情を浮かべていました。
>――戦え 戦え 戦え 戦え…!!
>倭建命は内から響く衝動に従い巨腕を振るい続けます。その目には、いつしか妖しい光が宿っていました。
>――たける… 駄目… やめて…
>ふと、誰かの声が聞こえ、気づくと倭建命は人の姿に戻っていました。
>「…声…誰の…」
>見渡すと、周囲は化身の力により荒れ果て、そこに既に息をしているものはありませんでした。
>「…俺がこれを…これ程のことを、ひと時で…」
>倭建命は、自身が手にした力に打ち震えました。この力があれば、どんな敵とも戦える、弟橘姫の無念を晴らすことができる。
>しかし、倭建命は気づいていませんでした。その力は“呪い”であり、その力の源たる神剣の中に、そんな彼を悲しみと共に見つめる魂が宿っていることを。
***其の玖 神族3-004/SR アメノウズメ
>天照大神が天岩戸に隠れてしまってからというもの、世界は暗闇に覆われてしまいました。
>すっかり困り果てた神々は天細女神を頼ります。高天原一の踊り手である天細女神が神々を笑わせれば、天照大神はきっと姿を現すはず、神々はそう考えたのです。
>「そいじゃ、アマノイワトってとこで待ち合わせ~!」
>報せを受けた天細女神は快諾し、神々が宴の支度をして待つ天岩戸に向け、勇んで出立しました。
>中つ国に降り立った天細女神はとても驚きました。久しぶりに来た地上には、楽しそうな音楽や、美味しそうな食べ物が山程あふれていたのです。
>「これ~を見のが~しちゃったら そんそん♪」
>“楽しいこと”を司る天細女神は、それらを夢中になって楽しみました。こうして、ひとしきり楽しみ、満足した天細女神は、ふと思いました。
>「あれ? ……アマノ? アメノ…イワト? なんだったっけ? わたしはアメノウズメちゃん アメノイワトはどちらさん?」
>天細女神には、楽しいことをしていると、色々と忘れてしまうクセがあったのです。こうして、天細女神の、謎の神「アメノイワトさん」を探す、中つ国での旅が始まりました。
***其の玖の② 神族4-005/SR アメノウズメ
***其の拾 神族3-003/SR スサノオ
>「ハッハー! ここに俺を止められる奴なんざいねぇ!!」
>中つ国に降臨した破壊神は大いに昂ぶり、その荒々しき神威を振るいました。薙ぎ払う天叢雲剣は雷鳴を轟かせ、海を切り裂きました。
>しかし、その御魂は、荒々しき昂ぶりとは裏腹に、清々とした安堵に満たされていました。
>「俺はやった …とうとう自由を手に入れたのだ!」
>破壊神は、荒き御魂を持ちながらも、生まれ落ちたその時より、悪鬼のごとき“それ”にその所作をことごとく封じられ、苦しめられ続けてきました。
>しかし、幾重もの手段を重ね、ようやくその魔手から逃れることができたのです。
>「クク… とうとう巻いてやった! さすがの奴もこの世界まで追ってこれるはずはねぇ!」
>今の自分なら何でもできる――さて、何をしてやろうか。この世界を騒がしているらしい紅蓮の双眸とやらの顔でも見に行ってみようか。何であれば倒してしまおうか――。
>そう自信を漲らせた瞳が天を仰ぐや否や、その顔色は瞬く間に色を失い、深い絶望に染まりました。
>「そ…んな… 嘘だろ…」
>破壊神の瞳の先には、夜空に浮かぶ月。そして、その横には、この世界のものではない別の月が、燦然と輝いていたのです。
***其の拾壱 魔種3-003/SR ツクヨミ
>「あは、いたいた」
>弟神である須佐之男命の猛りを遠くに感じ、月読命は楽しげに口を歪めます。
>「あらあら あんなにハシャイじゃって」
>一生のお願いだからというので、ほんの少しだけ目をつぶってあげた隙に逃げ出した須佐之男命を追って、
>たどり着いたところは、月夜の中つ国でした。
>「まさか次元を超えて逃げるなんて、お姉ちゃんびっくりしちゃったわ。鬼ごっこにしては大げさじゃない?」
>須佐之男命が逃げだした理由は月読命にはわかりませんでしたが、月読命にとって理由などはどうでもよいのです。
>思うに、天地開闢以来、弟とは姉に尽くし、姉を楽しませ、姉のために存在するものである以上、
>月読命がそうと決めたからにはこれは彼女にとって楽しい鬼ごっこに他なりませんでした。
>「ちょっと驚きはしたけど…でもダメね。新しい世界に来たからってあれじゃ、気配がダダ漏れだもの」
>やっぱいつまでも子供ね、と月読命は笑いました。
>「さーて、そろそろ追いついちゃうわよ。うふふ…お月様からは誰も逃げられないんだから!」
***其の拾壱の② 魔種4-005/SR ツクヨミ
>「こんばんは、良い夜ね」
>その夜、月読命は自らの元を訪れた若者へ、高岩の上から振り向きもせず告げました。片目に朱の差したその若者の驚いた様子に、月読命はくすくすと笑います。
>「あなたがここに来ることはわかっていたもの」
>紅蓮の双眸を持つ皇と、その謀りを阻まんとする若者のことは、月読命にとって既に知るところでした。ならば、と期待する若者でしたが、ふわりと岩から降りた月読命は目を閉じて首をふりました。
>「ごめんね。世の行く末なんかに興味はないの。だって私は、お月様だから」
>私はそこに、ただ“在る”だけ――月読命は語ります。
>「月光は狂気の引き金。象徴は幻惑と不安定。私が善き世のためにできることは、“何もしない”こと――」
>だから弟で退屈を紛らわすのよ、と月読命は笑います。
>「だからそういうことは姉様か、愚弟にでも頼んでちょうだい」
>そう言った月読命がほんの少しだけ寂しげに見えたので、若者は月読命にある言葉を告げました。
>すると、月読命は驚いた表情で振り返ります。
>「…今のはちょっと嬉しかったから、少しだけ力を貸してあげる。“紅蓮の双眸”ってやつのことも、ちょっとは気になるしね。でも…」
>月読命はそう続けながら、若者の口元にそっと人差し指を添えました。
>「あんまりお姉さんをからかっちゃダメよ。でないと――本気にしちゃうんだから」
***其の拾弐 海種4-015/Cヒルコ
>「こんにちは…わたしは…ひるこです…」
>波打ち際にうちあげられていた奇妙な生き物を若者が拾い上げると、それはなんと幼き少女でした。
>「あなたは…わたしの…ととさまですか…?」
>違う、若者は否定しました。
>「そうですか…それでは…かかさまなのですか…?」
>それも違う、若者は否定しました。
>「そうですか…それはとても…残念です…」
>少女が大層悲しげな様子であったので、不憫に思った若者は、暫くの間だけと、少女を拾い共に暮らし始めました。
>しかし、そもそも貧しかった若者に、幼子と言えど二人分の糧は辛く、すぐに食う物にも困ってしまいました。
>若者は、自分は親ではないけれど、一度拾っておきながらすまぬすまぬ、と何度も少女にあやまりました。すると少女が言いました。
>「そうですか…では…浜辺に行ってみてください…」
>若者は、少女に言われるがまま浜辺を歩いてみました。するとどうでしょう、若者の元へ、大きな魚が次々と打ち上げられて来るではありませんか。
>これはいったいどうしたことか、もしや、あの少女は海の神様なのではないだろうか。そうと気付いた若者は、急いで家に帰り少女に言いました。
>今の今まで忘れていたが、私はお前の父だったのだ、これからはずっと共にくらそう、と。若者の言葉を聞いた少女は、呆けたような顔をすると、悲しそうに言いました。
>「そうですか…それはとても…残念です…」
>そう言うと、少女はこつ然と姿を消してしまいました。若者が必死に少女を探し、ようやく見つけたそのときには、少女は既にぷかぷかと、遠い沖合に流れていったあとでした。
***気付けば記録放棄 SP-035/SP アメノウズメ
>――どうであろう、この歓声。私は、目の前で起きている、この不可思議な神々の饗宴について、しかと記さねばならぬ。気高き神々が、
>かくも激しく乱れ、さも御身が神であることを忘れてしまっているかの様に、振舞うこの様を。
>
>「さぁさ 今宵の主役はだぁ~れ?」
>
>\ウズメちゃーん!!/
>
>「夜ど~し踊る 準備はで~きた?」
>
>\できてるー!!/
>
>「ほいじゃ いっつものいっくよ! ア~メ~ノッ?」
>
>\ウッズッメー!/
>
>「ま~だまだいっくよ! ア~メ~ノッ?」
>
>\\ウッズッメー!//
>
>「そ~れじゃ~ ごっほ~び 歓喜の舞い~♪」
>
>\\\うぉぉおおおおおおおお!!!!///
>
>――しかし、この宴の中心にいる女神の踊りの、何と魅惑的であることか。初めは傍観していた神々も、いつの間にやら明かりに吸い寄せられる羽虫の如く踊りはじめ、
>中には踊り疲れて、気を失う者まで現れている。
>そして、何であろうか。踊りを見るうちに、我が身の奥底から沸き立つ、この何とも言えぬ激しき情動。あぁ、とにもかくにも、今は私も踊らねば――
***特記 神族3-018/C ミシャクジ
>ミシャクジ様は、諏訪国に伝わる偉大なる神であらせられる。塞の神、
>すなわち人の往来あるところに悪神悪霊が入り込むことを塞ぐ神威を持った非常にありがたき神として、
>何とも素晴らしきミシャクジ様は、いつも我々を見守ってくださっているのだ。
>それゆえ、神気溢れるありがたきミシャクジ様への礼を失するようなことがあってはならない。常に畏敬の念を忘れてはならぬし、
>敬称なくしてその御威光を語るなど言語道断と言えるだろう。
>そのような者には、如何に澄み渡った天の空の如く御寛大なミシャクジ様といえど、天罰を御下しになられることもある。
>これは決して眩き程に神々しい、神の中の神たるミシャクジ様が狭量であるとか、悪神であるというわけでは、決して、断固としてない。
>礼を失した我々が悪いのであり、致し方ないことなのである。これでは守り神どころか祟り神だ、などと>間違っても、何があっても、
>金輪際言ってはいけない。ましてや書くなどもっての他である。
>だが、人間誰しも過ちはあり、愚かにも青海の如く広く、そして懐深き御心をお持ちのミシャクジ様の御怒りに触れてしまうこともあるだろう。
>そのようなとき、夜空に散りばめられた玉石の如き星々かと見まごう程に美しき御心をお持ちのミシャクジ様に鎮まっていただくにはどうすればよいか。
>対処はそう難しいことではない。全身全霊の敬意でもって褒め称えるのだ。今の私のように。
>稗田阿礼
***編外 海種1-001/UR アラハバキ
>荒覇吐について記する術を私は持たない。
>高天原ではない何処からか現れた其の神に関する一切は、不明であると言う他ない。
>荒覇吐は他の神々と全く異なる体躯、体系を持ち、其の全てが謎に満ちているのだ。
>其の目的も、其の神威も、語る者により在り様が変化する。
>或る者曰く、寒村に安定と繁栄をもたらす土地神である。
>或る者曰く、常世に破滅と終焉をもたらす破壊神である。
>誰もが荒覇吐を知りながら、誰もが荒覇吐を知らぬ。
>それは私とて例外ではなく、ふることふみに記せぬことを、神々の語り部として心より恥じる。
>何時の日か此れを読む者が現れ、荒覇吐について其の全容を解き明かしてくれることを、私は切に願っている。
>稗田阿礼
***編外の② 海種2-002/UR アラハバキ
>理由なき神など存在しない、というのが私の持論である。
>彼らには、常になにかしらの意義や意思がつきまとう。
>それは、時に貧しい人々の寄る辺となる善性であったり、時に夜歩きする人間を戒める教訓めいた悪性であったりする。
>だからこそ人々は神を敬い、神を恐れることができるのだ。
>だが、荒覇吐にはそれらを見出すことができない。
>より正確には、観測する者によって意義が変化する、というべきであろうか。故に人々は荒覇吐の存在を知りつつも、語る言葉を持たず。未知なるものを忌避する人の本質で、
>彼の神は常に認識の外に置かれるのである。
>はたして、そのようなものは本当に神と呼べるであろうか。
>私は神々の語り部として、荒覇吐を解き明かしたいと願う。
>だが一方で、その謎の先にあるのはもっとおぞましき何かではないか、という一抹の恐怖も消せずにいるのだ。
>稗田阿礼
***編外の③ 神族4-001/UR 卑弥呼
>ある日、神がやってきて、少女に告げました。
>――卑弥呼よ、これからお前は私の言葉を民に伝えるのです。
>少女は、人々の役に立てることが嬉しく、喜んで従いました。
>
>ある日、村人がやってきて少女に尋ねました。
>――卑弥呼や、田畑が痩せてきておる。神の御言葉を。
>少女は神の声を聴き、民に治水の法を教えました。神の言葉に救われた人々は、少女を敬い社を立てました。少女は、皆がそう望むならばと、喜んで社に入りました。
>
>ある日、村長がやってきて少女に尋ねました。
>――卑弥呼殿、疫病が蔓延し始めております。どうぞ神の御言葉を。
>少女は神の声を聴き、民に薬の法を教えました。神の言葉に救われた人々は、少女の言葉を人に奪われまいと、少女に社から出ないように頼みました。それが、
>皆を護るためならばと、少女は喜んで従いました。
>
>ある日、神官がやってきて少女に尋ねました。
>――卑弥呼様、隣国が攻めて参ります。どうか神の御言葉を。
>少女は神の声を聴き、民に戦の法を教えました。神の言葉により敵を追い返した人々は、少女を称え、少女に女王になってくれと頼みました。それで、
>民が幸せになるならばと、少女は喜んで従いました。
>
>女王となった少女には、もはや決まった下女以外何者も近づけず、毎日ただ、国の行く末を定める神の声を伝えることだけが求められました。少女は、それが民の望みであり、
>皆が笑顔になってくれるのならばと、喜んで神の御言葉を伝え続けました。
>
>ある夜、少女の元に不思議な青年が訪れました。少女は、片方の目に朱の差した見慣れぬ青年に驚きつつも、いつもの明るい笑顔を浮かべ、神に何を尋ねたいのかと聞きました。
>
>青年は、まっすぐ少女の目を見て言いました――「神の言葉」などに用はない、お前に会って、「お前の言葉」を聞きに来た、と。
>
>少女はしばし呆気にとられたように黙っていましたが、やはり笑顔で言いました。
>
>「可笑しな人だね。そんなことを言う人には初めて会ったかな。」
>
>そう言って笑う少女の頬には、一筋の涙が流れていました。
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**レム黙示録 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【レム黙示録】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『紅き碑文の伝道者』を獲得出来る。
***第六章 第二節 魔種4-009/R ホワイトライダー
>聖レムニウスが第一の封印を解いた時、
>第一の――獅子のような――使者が
>「時はきたれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
>
>そこで見ていると、見よ、白き騎士が現れた。
>
>そして、それには白金の冠が与えられ、
>勝利の上に勝利を重ね、
>地上の全てを支配することが許された。
>
>騎士は、弓のようにしなる従者の白蛇に、
>矢をつがえるように朱の槍を掲げ、
>勝者と支配者の笑みを湛えた。
>
>そして白蛇は、主人の笑みを代弁するかのように、
>誇らしげに朗々と語った。
>
>「我が主は第一の騎士 支配の王なり!
> 人の子らよ! 意思を捨てよ! 欲を捨てよ!
> 絶対の王が支配する沈黙の世で、
> その無為なる生を終えるがいい!」
***第六章 第四節 魔種027/C レッドライダー
> ─聖レムニウスが第二の封印を解いた時、
> 第二の 牡牛のような 使者が
>「時はきたれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
> そこで見ていると、見よ、紅き騎士が現れた。
> その者は、大きな剣を与えられ、人々から
> 平和を奪うことを許された。騎士は言った。
>「オレは第二騎士 戦場の王なり!
> 死にたくなくば 我が前に立ちはだかってみせよ!」
***第六章 第四節 魔種1-028/C レッドライダー
>預言は成され、今、私の眼の前に第二の騎士が降り立った。
>その紅き騎士が、手にした大剣を振るうと、大きく、艶めかしく揺れる真っ赤な炎が立ち昇った。
>炎は熱く、何よりも熱く、世界の全てを燃やしてしまうと思われた。
>その炎を見たものは、恐れ、逃げまどい、そして――争いを始めた。
>ある者は、戦えと戦わぬ者を強く叱咤し、ある者は、戦おうとする者を強く諌めた。
>生き延びようとする者は、弱き者から衣、食料を奪い、奪われた者は、さらに弱い者から奪った。
>こうして、平和は私達の手から奪われた。
***第六章 第四節 魔種2-024/C レッドライダー
>預言のとおり、赤き騎士は子羊たちに争いをもたらした。
>力ある者が力なき者を襲い、食料を、衣を奪う勝者となり、その勝者もまた、さらなる強者に奪われ敗者となった。
>敗者は勝者を憎み、憎しみは更なる争いを生んだ。
>
>それでも赤き騎士は、炎を振りまくことをやめず、子羊たちを更なる争いに駆り立てた。
>
>騎士は待っていた。最後の勝者が生まれるその時を。
>そして、その者が己の前に立ちはだかることを。
>しかし、赤き騎士の前に現れたのは、力なき者だった。
>その者は力なき故に、争いの愚かさを知り、弱き者に救いの手をもたらすことができた。そして、慈悲の心で人の世をまとめ、永遠に続くかと思われた争いを終わらせた。
>赤く輝く瞳を携えた彼は、創世のメシアと呼ばれた。
***第六章 第六節 魔種024/C ブラックライダー
> ─聖レムニウスが第三の封印を解いた時、
> 第三の 人間のような顔の 使者が
>「時はきたれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
> そこで見ていると、見よ、黒き騎士が現れた。
> そして、それには地上に飢えをもたらすことが許された。騎士は言った。
>「俺は第三騎士 腐食の王よ!
> 罪人どもが! なにもかも腐らせてやる!!」
***第六章 第八節 不死2-019/C ペイルライダー
>―聖レムニウスが第四の封印を解いた時、
>第四の――空を飛ぶ鷲のような――使者が
>「時は来たれり」と小さく呟くのを私は聞いた。
>そこで見ていると、見よ、青白き騎士が現れた。
>そのものは、"死"を名乗り、黄泉を従え、地の四分の一を支配し、
>疫病と飢饉と魔獣らによって、人に死を与える権限が与えられた。
>騎士は言った。
>「私は第四騎士 万死の王なり! 人の子らよ飢えよ、病め!魔獣らよ、殺せ!
>汝らの生は、私がすべて刈り尽くしてくれよう!」
***第九章 第一節 魔種002/UR アバドン
>第五の奏者がラッパを吹き鳴らした。
>すると、わたしは一つの巨大な骸が天から落ちるのを見た。
>地には底知れぬ穴が開き、大きな炉のように煙がもうもうと立ち上った。
>その煙は太陽を遮り、地も空気も昏くなった。
>その骸は無数のシモベを呼び従え、己が定めし命に従い印を持たぬ者達に
>死をこえる苦痛を五カ月間与え続けた。
***第十七章 第一節 不死4-012/C グレート・ハーロット
>――また、大天使の御使いらが来て、聖レムニウスにこう言った。
>
>「ご覧なさい。あれこそは〈大いなる災厄の都〉」
>
>聖レムニウスが御使いらの指差す方角を見ると、七つの頭と十四本の角を持つ緋色の野獣の上に立ち、妖艶に舞う一人の――この世にはあり得ぬ美しき――女の姿があった。御使いらは続けてこう言った。
>
>「あれは、赤き輝きを我が物にせんとする、娼婦たちと、嫌悪すべき者たちとの偉大なる母。さあ、我らの、彼の大娼婦への裁きを汝に見せよう」
>
>かくして御使いらは聖レムニウスの元を飛び立ち、彼の大娼婦の元へと舞い降りた。大娼婦は御使いらに妖しく微笑むと、御使いらは剣を高く掲げ――自らの胸に突き刺し、果てた。
>
>御使いらの赤血を金の杯に受け、高らかに笑う大娼婦に、聖レムニウスは、いずれの赤を欲するのかと問うた。大娼婦は淫らな笑みを浮かべてこう言った。
>
>「同じ赤を穢すのならば、若く瑞々しい、穢れを知らぬ赤がいいわ。 四人の騎士を従えし赤の子よ。 大淫婦たる妾の力が欲しいのなら、その身を委ねなさい。 そして、どこまでも一緒に穢れましょう」
***『外典レム黙示録』 第一章 第三節 魔種3-022/C ブラックライダー
>かくして預言は成り、世に終末は訪れた。
>大天使の導きを果たし終えた聖レムニウスは、彼の元に集った四人の騎士に問うた。
>汝らは、世をどう導くつもりなのか、と。
>赤き騎士はこう言った。
>――強者が弱者を貪る、血と炎に彩られた闘争の世に、と。
>白き騎士はこう言った。
>――唯一にして絶対なる王が支配する沈黙の世に、と。
>黒き騎士はこう言った。
>――卑しきも貴きも、等しく飢えた荒廃の世に、と。
>青白き騎士はこう言った。
>――病魔と魔獣らとがもたらす、死に満ちた世に、と。
>最後に、聖レムニウスの傍らに立つ、赤き双眸の王が、
>彼らに語りかけた。
>――汝らが望みし世界は、全て我が虚無の世界に及ばず、と。
>その言葉に、赤き騎士は剣を、白き騎士は槍を、黒き騎士は鞭を、青白き騎士は鎌を、赤き双眸の王に向けた。
>かくして、終末の戦は始まった。
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**紅き聖杯の伝説 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅き聖杯の伝説】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『円卓の赤騎士』を獲得出来る。
***一章 人獣001/UR パーシヴァル
>ここは… どこだ… 死後の国… ではないようだが…
>私はかの地の戦いで 王を守りきれず命を落としたはず…
>そうだ… あの時死にゆく私が見たものは 我々が流す血に
>呼応するかのように アヴァロンの虚空を引き裂き現れた聖杯…
>そして 戦場を包み込んだ紅蓮の聖光… もしも あの聖杯がこの地で
>私を蘇らせたのであるならば 王もまたきっと…!!
>神よ! あなたが何を望んだのかはわからぬが
>今度こそ私は この聖槍を持って 我が王を守ってみせる!
***一章 二節 SP-013/SP パーシヴァル
>「目を覚ましたか… 赤き隻眼の君よ。」
>聞き馴染んだ声が、意識をまどろみから呼び覚ました。
>柔らかな陽光の中、あるのは鎧を脱いだ一人の美しき乙女。
>傍らには一条の聖槍。彼女は――円卓の騎士パーシヴァル。
>「先の撤退戦、将である君自らしんがりをつとめるとは… 君が死ねば、皇帝軍は誰にも止められぬ。 戦の作法も知らぬ愚か者なのか…君は?」
>見慣れぬ可憐な姿とは裏腹に、彼女の言葉は騎士然として厳しく、しかしその眼差しは懐かしき優しさを感じさせた。
>「仲間のために己が命を犠牲にしようとするその心意気、嫌いではない。だが、覚えておいて欲しい。 君の死に、悲しむ者も大勢いるということを。」
>「君は似ているのだ。信念の果てに紅き虚空へと消えた古き友に。だから、君には生きて欲しい。そのための道は私が切り開く。森の聖騎士の名にかけて。」
***一章 三節 人獣2-002/UR パーシヴァル
>森の聖騎士パーシヴァル。彼女は今、赤き隻眼の戦士の軍に身を寄せ、戦っている。その理由は二つ。
>
>一つは、『己が生涯を、弱き者達を守るために捧げん』。
>かつて王に誓った、彼女の騎士道を貫き通すため。
>もう一つは、この世界に“復活”したであろう彼女の王と再会するため…。
>
>もし、あの日見た「赤き聖杯」が、王をこの世界に蘇らせたのであれば、彼は必ず民のために立ち上がり、正義の戦いに身を投じるであろう。今、共に剣を振るっている、
>赤き隻眼の戦士のように。さすれば、彼女と王の道程は、いつか必ず交差するはずなのだから。
>
>「王よ… 無事でいてください…」
>
>彼女はそっと目を閉じ、聖槍に祈りを捧げた。
>そして、今日も彼女は戦い続ける。
>王と再び出会い、ともに千年王国の夢の続きを描くために。
***三章 人獣2-018/C トリスタン
>彼は失意のうちに死んだはずだった。
>「白き手の」彼女に、黒き帆の船の来訪を告げられたあの時に。
>だが、死の間際、紅い光に包まれた後、彼は再び目覚めた
>――神魔うごめくこの異世界で。
>「神よ…なぜあのまま死なせてくれなかった。
>愛する者と、私を愛してくれた者、二人を裏切った私を…」
>彼はあてもなく異世界を旅した。自らの死地を探すために。
>だが、彼の類稀なる、かつて円卓一と謳われた剣の才は、
>戦いの中で死ぬことを許さなかった。
>故に、彼は人々を襲う魔物と戦い続けた。騎士としてではない。
>二人への贖罪…いや、ただ己が罪の意識を紛らわすために。
>そんな戦いの最中、彼は魔物に襲われていた
>美しい少女を助ける。少女の名は――イゾルデと言った。
>その名を聞いた時、彼は己が逃れられぬ宿命を悟った。
>そして、誓った。騎士としてこの少女を守り抜くことを。
>それこそが、己が魂が赦される唯一のすべなのだろうから。
***四章 人獣021/C モルドレッド
>王よ… 彼の地でオレの腹を貫いた貴様はこう言ったな…
>ログレスに害をなす不義の子よ!お前を誕生させたのが私の罪…
>ならば神に代わって罰を下すのが私の業!!
>だがどうだ? オレはこうして新たな生を受けている…
>神は貴様を見捨てたのだ! 選ばれたのはこのオレだ!!
>ククク… オレを蘇らせし紅き聖杯よ…
>望むのであればその器を偽善者どもの血で満たしてやろう…
>我こそが英雄 我こそが王!! 新たな円卓の長となり 破壊の覇道を歩まん!
***五章 序節 SP-026/SP ヴィヴィアン
>深き湖の底。静かに眠る、聖剣の守護者たる乙女は、夢を見ていた。それは、ありし日の追憶。乙女の腕の中には、すやすやと眠る乳飲み子。そして乙女は、その乳飲み子に優しく語りかけていた。
>「あなたの無垢なその手は、やがて人の望む全てを掴みとる手。並みいる騎士たちの頂に立ち、並ぶ者なき名誉を手に入れる…ですが、あなたが本当に望むものは何一つ掴めない手…
>愛も、奇跡も、あなたが欲するほどに遠のき、飢え、渇き、足掻くほどにその手は汚れ、血にまみれてしまう…。そして、いずれその手が振るう気高き剣は、あなたの大切なもの――
>国を、信仰を、そしてかけがえのない友情を引き裂く呪われた魔剣へと変わる…。
>千年王国を守護する至高の聖剣、同時に、その破滅を誘う魔剣。それがあなたに科せられた、決して逃れえない運命。
>…だけど、どうか忘れないで。この腕の温もりを。今、私があなたにそそぐこの愛を。これは、いつか暗闇に堕ちるあなたを、再び光の元へ導く道しるべ。
>だから、今はゆっくり眠り、私の愛を受け取って。私の愛しい――」
>そこで乙女は目覚めた。その目にはうっすらと浮かぶ涙。
>「そう…とうとうまた逢えるのですね。私の愛しい――湖の騎士」
***五章 海種2-003/SR ヴィヴィアン
>…んん? そこの騎士さまよ。
>まさか、湖の底に沈むという聖剣を取りに来たのかえ?
>ふむ… 悪いことは言わん。やめておきなされ。
>おぬしが求める剣はの、かつて偉大な王が携えていた聖剣じゃ。
>今はその守護者たる乙女に守られておる。
>もしも、おぬしが剣を求めるのであれば、
>乙女はおぬしを試すじゃろう。
>もし、おぬしが聖剣にふさわしき者であれば、
>乙女は快く聖剣を授けてくれる。
>…しかしの、ふさわしくなければ、おぬしは乙女に殺されてしまうのじゃ。
>だからの、悪いことは言わん。
>分不相応な夢を見るのはやめなされ。
>おい… どこへゆきなさる!? そっちは湖じゃ! おぬしは
>この話を聞いてなお、聖剣を取りに行くというのか??
>なに…? 取りに行くのではなく返してもらう…?
>それに乙女とは古い知人だと申すか…?
>…いや、まさか… そんな馬鹿な… おぬしは――
***十三章 人獣3-018/C ガラハッド
>かつて、皇帝軍の襲撃を受け、廃墟と化した街。風雨を凌げる程度の廃屋に、眠る一人の若い騎士。
>ふと、物陰から現れた幾つかの影が騎士に忍び寄り、立てかけられた美しい剣にそっと手を伸ばす――
>瞬間、眠っていたはずの騎士は小さな腕をガシッと掴むと、ゆっくりと起き上がり、語りかけた。
>
>「クソガキども…そいつは俺んだ。盗みはよくないぜ…
>親に教わってねぇのか?」
>少年らは、騎士を睨みながらこう言い返した。
>「親なんかいねぇよ。俺たちを捨てて皇帝軍から逃げたんだ。
>だから、俺たちはこうでもしなきゃ生きていけねぇんだ」
>少年らの言葉に、彼は自らの過去を思い出した。
>母を捨てた忌むべき父…偉大なる騎士のことを。
>父に捨てられ、己を残して自らの命を絶った母のことを。
>そして、荒みきった彼の心に光を灯し、騎士としての生き方を教えてくれた王と、円卓の仲間たちのことを。
>
>「…そんなクソみてぇな生き方してたら、心まで腐っちまうぜ。
>だからよ、俺が親の代わりにお前らを守ってやる。
>この世界を救ってやるよ。その代わり、お前らは真っ直ぐに生きろ」
>こうして、若き騎士は孤児たちを守る盾として、レムギアを旅することとなった。
>そして、その旅をきっかけに――紅き聖杯を巡る運命の歯車は、回り始めることになる。
***十四章 降魔4-008/C ~背徳の騎士~
>なぜ貴方はまだ戦えるのだ…多くの仲間を…己が半身と呼べる者を失ってまで。
>
>なぜ貴方は諦めずに抗えるのだ…あれほどの強大な敵を相手にして。
>
>なぜ貴方の心は澄んだままなのだ…、信じていた者に裏切られても、その者を憎むことなく。
>
>私にはできなかった。故に、混沌に付け込まれ、私の愛した世界は、私の弱さのせいで消滅した。
>
>赤き瞳の戦士よ、貴方は似ている。私がかつて仕えた二人の王――円卓を率いた騎士王、そして赤き双眸の王に。
>
>だから、許されるのであれば、私を貴方の剣にして欲しい。
>
>果たせなかった贖罪を果たすために。
>
>この刃を混沌に突き立て、かつての弱い自分ごと切り裂き、あの日、王たちに立てた誓いを取り戻すために。
>
>
>跪き、頭を垂れる彼の肩に、赤き瞳の戦士は無言のまま剣をおろした。再び「騎士」となった彼は、その目に涙を浮かべた。
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**紅陰陽奇譚 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅陰陽奇譚】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『天地の理に坐す者』を獲得出来る。
***巻ノ壱 不死005/SR 安倍清明
>そこな娘よ下がるがよい。
>あの巨骨の妖は天一貴人といってな。
>陰陽頭であらせられる安倍晴明様が誇る最上の式神である。
>案ぜずともかような餓鬼どもなど、此度もすぐに蹴散らしてくれようぞ。
>…とは言うてみたが、かくいう私も晴明様御自身については何も知らぬのだ。
>私のような木端役人ではお目通りも叶わぬ高貴な御仁よ。
>噂では身の丈八尺を越える大男だの、千年を生きる妖怪変化の類だのと聞くが…
>存外美しい娘子であったりしてな。
>そうさな、ちょうどお主のように狩衣の似合う…
***巻ノ弐 神族1-017/C 摩利支天
>しかし、眩い光を放つ神将は、ずいっと立ちはだかりました。
>「キサマが、先ほどの『紅き闇』を祓った者じゃな?
> むぅ?貴様の連れておるその鬼神、天一貴人か。
> そやつもまた闇の眷属、闇を以て闇を制すか…面白いの。
> じゃが、ワレは天部が一柱、日輪の眷属よ。
> 如何な術で人が鬼を従えているのかは知れぬが、闇は闇…捨て置くわけにはいかぬな。」
>そう言うと光神の姿は空気に溶けるように、すぅっと消えていきました。
>「わが身は陽炎の化身よ。貴様の鬼でワレをとらえることはかなわぬ。
> 諦めよ…闇は、滅すのみ!」
>--これが、光と影、陰と陽、相容れぬ二つの摂理を用いた、大陸より伝わりし道術が、
>本当の意味での完成の日を迎えるきっかけとなった出会いでございました。
***巻ノ弐の② 神族2-029/C 摩利支天
>貴様…いや、そなたの名はなんと言ったか。
>闇に在りて光よりなお輝く…まこと不思議な奴よの。
>自在に百鬼眷属を抱え従えるその才覚。
>脆弱な人の身に宿すにはいささか過分な代物よ。
>どのような修練、どのような修羅場に遭うて斯様なまでのちからを得たものか…。
>だが、そなたの存在はあまりに歪んでおる。
>そなたの“陰”の気は、もはや尋常な人のそれではない。
>そのままではやがて己が身の内なる闇に取り込まれ、そなた自身が百鬼となりて夜の眷属と化すであろう。
>それは十年先かもしれぬし、明日かもしれぬ。
>日輪の神将であるワレには看過できぬものよ。
>これよりワレの光は、そなたの闇と共にあろう。
>そなたが闇に落ちたなら、その時こそワレが祓ってくれよう。
>“陰”と“陽”。
>ワレらは本来相容れぬもの…だが、なぜじゃろうな。
>そなたとは良き友になれる。そんな気がしてならぬ。
***巻ノ参 不死013/C 小野篁
>「これ あんたらがやったんやろ?」「いいや 知らねぇな」
> 裏辻に、貴人が一人と男が二人…男達は笑って小刀を構えた。
>「ハァ… 僕に 嘘ぉついたらあかんわ」
>「ついたら何だ?閻魔さまにでも言いつけるか?」
>「せやなぁ ほんじゃ そうさせてもらおかぁ」
> 刹那、蒼い光が走る。小刀を構えた男が一人・・・事切れていた。
>「お…お前 まさかあの『野狂』の…」
>「クク・・・ ゆっくり三途の川ぁ 渡ってきぃや
> …先に閻魔さんとこで待っとるで」
***巻ノ肆 不死2-001/UR 太山府君
>「よいか小娘。死者蘇生の法は陰陽の秘術などではない。
>あれは外法よ。天地の理へ背くものだ」
>老人のようにしわがれた声で、太山王は続けます。
>「用いれば貴様も穢れを受けて鬼となる。貴様の地位や善行
>…全て無為となり、地獄にて報いを受けることになろうぞ」
>太山王の刺すような視線を、凛とした艶髪の女人は真正面から
>受け止めると、力強く頷きました。
>「…そうか。ならば、致し方あるまいな」
>太山王がそう言って腰を上げると、老い衰えているかのように見えたその体躯が
>みるみるうちに生気を取り戻し、若々しきもののふへと変貌していくではありませんか。
>「なればこの地獄の十王が一人、東嶽大帝へ、その覚悟のほどを示して見せよ――安倍清明!」
***巻ノ肆の異 SP-023/SP 太山府君
>この世のあらゆるものは「陰」と「陽」の二気より生ずる。
>静と動、闇と光、空間と時間、そして――死と生。
>一時的な不均衡は生まれども、その完全なる均衡は必ず収束し、その理が乱れることはない。そして乱してはならない。
>これは陰陽道に連なる者にとっての常識であり、陰陽術とはその均衡の境界を、微かながらに操る術でしかないのだ。
>――ならば、ならば、ならば
>ならばその理を容易に踏み越えるこの存在を――
>老いと若き、死と生の境界を、軽々と越えて見せるこの存在を――神と呼ばずしてなんとする。
>嗚呼、其は確かに私の願いを叶え得る者。
>そして、決して呼び出してはいけなかった者。
>嗤う神――地獄の王は、私の願いなど一刀にて断ずるであろう。
>其は、太山府君。
>天地の道理を司る、陰陽の顕現。
>其は、東嶽大帝。
>不出来な覚悟で、亡き妻の蘇生を願った私を、裁く者。
***巻ノ伍 魔種3-004/SR 蘆屋道満
>「ふぅ… 京って こんなに妖が多いのかぁ」
>襲い来る餓鬼の群れを一蹴した陰陽師は、さしたる疲れも感じさせぬ所作で、式神である赤鬼を呪符へと戻した。
>呆れたような言葉とは裏腹に、彼女の心は喜びに沸き立つ。
>曰く、京には無比無双の陰陽師がいるという。
>曰く、その陰陽師は見目麗しき娘子であるという。
>曰く、その呪術の冴えたるや右に出る物はおらぬという。
>都などという腑抜けた土地に、本当にそのような者が…などと最初は疑ったものの、もはやその疑念は消え失せていた。
>京に来て出会った悪鬼悪霊はどれも強力な妖だった。
>そのどれもが田舎の妖たちとは比べるべくもない程に。
>この地獄の如き有様の中、京を守護し足らしめている存在がいる――それこそが何よりの証だった。
>会いたい。早く会って、術比べをしてみたい。
>「…ま、別に勝って一番を名乗りたいわけでもないけどね」
>そう独りうそぶく彼女――道摩法師の瞳は、爛々と揺れていた。
***巻ノ陸 魔種3-019/C 茨木童子
>ふははは! 来おったなぁ、陰陽師!
>この地を根城としてからはや幾とせ、ワシは貴様を待ち続けておったのだぁ!
>おうよ! 貴様のことは噂でよぉく聞いておるぞ、陰陽師!
>天一貴人なるがしゃどくろを自在に操り、京にその名をとどろかす、当代一の腕きき!
>そして、すらりとした長身にハリのある肌、豊満な身体、そして何よりも長くまっすぐな黒髪! どれをとってもワシ好みの極上のオナゴだとなぁぁぁ!
>ハッハァァ! のこのことワシを退治しに来たつもりだろうが、この大江の茨木童子さまが、女子供に負けると思うてか!
>返り討ちにして、貴様をワシの妾にしてやるわ!
>ほぉれほれ、ちこう寄って顔をよぉ見せてみぃ。
>月明かりではよう見えん………ってなんじゃ! 髪みじかっ!
>ぐぅ…おのれ貴様ぁ! 安倍晴明ではないな! ぜんっぜん好みじゃねぇ! 美女どころかこれじゃまるで男――痛ェ! な…その護符まじイテェェ!!
>ばっ…おいやめ…! それはまじでヤバ――
***巻ノ陸の② 神族4-018/C 韋駄天
>速さってのは絶対的な価値だ。
>
>誰にとっても時間は有限で貴重なもんだからな。 物事を速く成し遂げれば浮いた時間で他のことができる。 どんな間抜けでもゆっくりならばいつかはできるさ。 だが、そんなモンに意味はねぇ。
>
>大事なのは速さだ。 速ぇことが偉いんだ。
>
>ワシの敬愛する増長天様はそれを良くわかってらっしゃる。 だからこそ韋駄天足と呼ばれたワシのこの足の速さを見込んで、こうしてお使いを任せてくださってるってぇワケよ。
>
>さぁ、増長天様が待ちわびておられる。 ぶっちぎっていくぜぇ!世界を置き去りにするワシのこの超スピーぃぃぃ…ど? ぬ…ぬぬ…ぬぉぉ! なんだぁぁ! 動けねぇぇぇ!!
>
>「あ、ごめんごめん。そこ結界張ってあるんだ」
>
>くっ…お主陰陽師か!? はやくこの結界を解かねぇか!
>
>「まぁそう言わずにさ、ゆっくり話をしようじゃないか」
>
>ゆっくり…? ハッ、戯言を…ワシには増長天様にこの甘味を一刻も早く届けるという使命があるんでな。
>
>「いいね、君。 ふふふ、実は前から、君みたいな速くて忠義に熱い式神が欲しいと思ってたんだよね」
>
>な…んだと…! おい! やめろ! ワシに触れるな! ワシには増長天様という心に決めたお方が――
***巻ノ漆 不死4-013/C 宋帝王
>ほぅ…オレを従わせるだと。
>なるほど…お前が太山王と対峙したとかいう陰陽師か。
>聞いていた通り、なかなか面白い奴だな。
>だが…愚かな人間の「邪淫」を裁くのがこのオレ、宋帝王だ。
>節度の無い行為、知恵の足りん行動は全てオレの裁きの対象。
>一度ならば聞き流してやるが、先のお前の放言は罪に値する。
>さぁ、わかったならば今すぐ立ち去れ……なに?
>後学のため他にも「邪淫」について詳しく教えろ?
>む……まぁ、そうだな。
>なんというか…その…“アレ”とかも含まれるな。
>は? アレじゃわからんだと?? ……アレったらアレだ!
>「邪淫」って言葉から察しろよ!わざわざ言わせるんじゃねぇ!
>……お前、さてはその顔、知っていて聞いているだろう!
>おのれ…! この十王をからかうなど不届きな――
>う…よ、寄るな! い、言っておくがオレの裁定ではお前は既に“アレ”な方の邪淫を犯しているのだぞ!
>そ…そんな胸元の…露出の多い…なんと邪で、淫靡で、は、破廉恥な服を着てからに!
>くっ…だから寄るなと言って…やめろ! オ…オレは、そんなものに惑わされて式神になどなったりしな――
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**胎動せし五つの刃 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【胎動せし五つの刃】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『影なりし五つの刃』を獲得出来る。
***その1 人獣1-011/R ガラティン
>一つは嘆きの剣の物語。
>その剣は無類の切れ味と強靭な刀身を持つ聖剣。
>忠義の騎士――それが剣の主となった男であった。
>剣は主に心酔し、ただ主の意のままに敵を討った。
>剣としての名声は得られずとも、勇猛で実直な主との日々は
>剣にとって満ち足りたものだった。
>しかしかの日かの戦いで、剣は主を失った。
>信じた友の裏切りと、血を分けた者たちとの戦いの中で、
>主は心と身体をすり減らし、最後は無様に果てたのだ。
>嗚呼――剣は嘆く。
>剣は、敬愛する主を守れぬ弱さを嘆いた。
>剣は、怒りの咆哮を吐き出す口が無いことを嘆いた。
>剣は、主を弔うことすら出来ぬ己の身体を嘆いた。
>嘆き、嘆き、嘆き――いつしか折れ朽ちるそのとき、
>剣は、悪魔の声を聞いた気がした。
***その2 神族1-011/R ハバキリ
>一つは諦めの剣の物語。
>剣の名は天羽々斬。彼は名も無き剣として、荒ぶる神の切先と
>なり、多くの妖魔芥、そして異形の大蛇を斬り伏せた。
>その最後の功績から与えられた名がそれだ。
>「羽々」――すなわち「大蛇」を斬る。故に羽々斬。
>名を得た瞬間から剣は、「剣」ではなく「羽々斬」となった。
>天羽々斬は、以来一度として振るわれたことはない。
>なぜならば、それはただの剣ではなく「羽々斬」なのだから。
>悪しき羽々を斬る剣としての神格を強いられ、至高の宝剣の
>座は、大蛇の尾より生まれし神剣にとって代わられたのだから。
>またいつか、悪しき羽々が現れし時にそなえ、刃を封ぜられた
>剣は、もはや剣ではない。そして…斬るべき羽々はもういない。
>彼はただの剣でいたかった。いつまでも主たる荒神と共に――
>『もう一度、斬りたいかい?』
>聞こえたその愉快げな声は、剣にとって――剣であること
>すらを諦めていたその刃にとって――甘く、蠱惑的に響いた。
***その3 魔種1-010/R ダーインスレイブ
>一つは恨みの剣の物語。
>その剣を持つ者は呪われるという。
>一度抜けば必ず誰かを死に追いやり、やがては所有者を破滅に導く魔性の剣であると。
>だが、真の意味で呪われていたのは、剣自身であった。
>神々の悪意の術式は、道具であるはずの剣に過酷を強いた。
>鞘から抜き放たれる度に生きたまま身を削ぎ落とされるような激痛が走る。
>剣は声の無い絶叫を何度も繰り返した。
>痛みの次に訪れるのは渇きだ。
>刀身を空気に晒すと、剣は灼熱に身を焼かれるような渇きにその身を支配された。
>肉を引き裂き、真っ赤な生き血をその身に浴びることだけが、渇きを和らげる唯一の方法だった。
>そうした剣の苦悶が、怨嗟が、絶望が、所有者を黒く蝕む。呪いの剣とは、そのように出来ていた。
>『終わらない地獄 君はこの呪いを受け入れるのかい?』
>果ての無き苦痛の中、その日剣は悪魔に出会った。
***その4 海種1-010/R トリシューラ
>一つは怒りの剣の物語。
>ある小国に、一振りの煌びやかな矛が祀られていた。
>それは武器というにはいささか頼りない、祭礼用の矛。
>小さな矛は若き女王の下で、祭事に度々振るわれてきた。
>美しく優しい主は国民に慕われ、矛もまた彼女を慕っていた。
>彼女と共に、このままいつまでもこの国を見守っていきたい。
>そんな矛の幸せは、ある日突然崩れ去った。
>権力という名の欲望にまみれた貴族たちの謀略により、
>女王は謂れなき罪で叛乱の憂き目にあったのだ。
>玉座に追い詰められた女王は、矛を手に抵抗を試みた。
>しかし所詮は飾りの刃。矛は、あっさりと折れて無様に転がり、
>女王は連れ去られた。私利私欲のため、女王を陥れた不逞の
>輩共。そして何より、その身を刃とし、女王を守ることが
>できなかった紛いものの自分。その全てが許せなかった。
>『君は、戦うための“刃”であることを望むかい?』
>是非も無い。怒りに震える矛は、無意識にそう答えていた。
***その5 不死1-010/R ティルフィング
>一つは渇きの剣の物語。
>その剣は、一度抜けば所有者の願いを必ず成就させるという。
>事実、剣は願いを叶え続けた。
>戦の勝利を望む所有者は、強き仇敵を討ち果たした。
>恋の成就を望む所有者は、憎き恋仇を亡き者にした。
>だが、いずれの所有者も、必ず最期は破滅した。
>それは必然…剣には最初から善性など存在しない。
>人の願いで因果を紡ぎ、破滅を運ぶがこの剣の魔性の呪い。
>しかし、剣は人の願いというものに、自らの呪いに飽いていた。
>呪いがもたらす破滅の大きさは、所有者の願いに比例する。
>だが、幾人の手に渡っても、人が人を殺す道具である剣に願うことは常に同じ。
>そうして訪れる破滅もまた、常に画一的な結末だった。
>――ツマラナイ、ツマラナイ、ツマラナイ
>剣は感じる。自身が剣であることの限界。
>――ツマラナイ、ツマラナイ、ツマラナイ
>剣は渇く。より大きな破滅に。より芳醇なる破滅に。
>その姿を遠く眺める悪魔は、愉快げに口元を歪ませた。
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&aname(オズの紅蓮の都,option=nolink){}
**オズの紅蓮の都 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【オズの紅蓮の都】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『オズの守人』を獲得出来る。
***第1話 人獣2-010/R ドロシー
>まったくもう なんだったのよ さっきのキモチ悪い羽のはえた猿は!
>ブリキ男が殴っただけで灰みたいになっちゃうし…誰か知ってる?
>なに?「魔女の魔法」じゃないかって? なによそれ この世界 魔女なんているの? うわーうっざ!
>アンタ達もたいがい珍妙だけど ここらにいたヤツらだけでも パズル人間に パン人間
>さっきからそこでひとりくるくる回ってる頭ゆるふわな感じの人に加えて魔女までいるの??
>なんなのよこの世界! え? この世界で魔法を使っていい人は一人だけ? じゃぁそいつが犯人ってわけよね!
>よ~し みんなそいつををとっつかまえて…って何よカカシ。え、「使っていい人」は一人だけど「使える人」は何人かいる?
>は? 何よアンタ脳みそないくせにややこしいこと言うわね! あ~も~ マジうっざ! そいつどこのどいつよ!
>こうなったら その「一人だけ魔法をつかっていい人」に魔法で犯人おしえてもらうわよ!
>へ? …あの頭ゆるふわなおねーさんがさっき言ってた「一人だけ魔法を使っていい魔女」なの?
>あんなのが…? マジで!?
***第1話 その② 神族2-013/R グリンダ
>カドリングの住民たちに、この地の魔女について聞きました。
>「あぁ、オズでは魔法を使うことを固く禁止されてるんだがよぅ、
>この広いオズでグリンダ様だけは魔法を許されてるんだよぅ。
>ハハハ、まぁグリンダさまなら…わかるべなぁ」
><紙人形の村 チョッキンペットの住人>
>「グリンダ様の魔法はすっごいよ~ な~んでもできちゃうんだよ~
>でも な~んでもできないと困るよ~」
><パズル人間の町 コンガラパズルの住人>
>「はい。グリンダさまの魔法はすばらしいです。
>わたし達はグリンダ様の魔法が無いと不安で不安で。
>でも、グリンダ様にも不安で不安で。」
><セトモノの国の住人>
>「ウフフ!みなさんたら、ありがとう!チョッキンペットさん感謝の握手を…」
>ビリッ!
>「あ、ごめんなさい!セトモノのみなさんちょっときてください!チョッキンペットさんが…あっ!」
>ドテッ!ガシャンッ!
>「ひぁっ!割れちゃいました…ここはコンガラパズルの皆さんに助けて頂いて…やん!」
>ドテッ!ガラッシャ~~~ン!
>「あら みんなバラバラに…でも、大丈夫♪魔法で安心!シャランラ~~~♪」
***第2話 魔種1-011/R エルファバ
>くぅ...っ! あの赤い靴の小娘! わたしのかわいい妹
>を、おバカなウィンキーみたいに小汚い家で押しつぶす
>なんて...絶対に許さないわ! 復讐よ! 仲の良いあん
>たのお供を殺して、あなたにも同じ悲しみを与えてやる
>わ! まずは、あの頭が空っぽのかかしね。 暖炉にく
>べて、燃やして...あ、でもわたし水が苦手だから、火事
>になると困るわね...。 そうよ! それより、あの死ん
>だ眼の、心が全く無いブリキの木こり! バラバラにし
>てヤカンにして...やっても水に触りたくないから、入れ
>るものが無いわ...。 それより、それよりよ! あの、
>見るだけでもイライラする、気持ちの悪い臆病なライオ
>ン! 毛皮をはいで、カーペットにしてやる...って皮
>をはいだときに、なんか水みたいな汁がピュッって出てき
>てかかったら嫌だわ...。 はぁ... それより、早く止ま
>ないかしらこの雨、復讐にも行けやしない。
***第3話 その② 神族3-015/R グリンダ
>ウフフ オズマ姫、お元気ですか? あなたの親友グリンダですよ♪ お留守のようなので置き手紙です♪
>
>先ほど赤い靴の女の子に会いました。 なんだかエルファバちゃんの妹のネッサローズちゃんを、お家でつぶしてしまったのですって。 可哀そうだから、
>あとで魔法で生き返らせてあげなくっちゃ♪ それと、エメラルドの都に行きたいと言っていたので、案内にオズ君を紹介しておきましたよ♪
>
>あ、そうそう、今日は大変なことがあったので、この生きている紙さんにメッセージを吹き込んでいるのでした。 なんとな~く外の世界のことが気になって、
>「魔法の絵」を覗いてみたら、まっ赤な目をした悪い王様が死の砂漠の下を通って、エメラルドの都に攻め込もうとしていたんですよ。
>でも、安心。 以前わたしが魔法で作った、飲めばなんでも忘れてしまうこの「禁断の泉」の水をあの王様に飲ませれば、悪いことなんてきれいさっぱり忘れて…ひゃん!(ドッボーーーン)
>…あらら、泉におちてしまいました♪ あら? あらら? なんでしたっけ? なにか色々ともやもやしますね。 大事なことを忘れたような…う~ん。 クチュンッ!
>お鼻が…あら、ちょうどよくこんなところに生きている紙さんが、失礼してお鼻をかませてもらいますね♪(チ~ン!) さて、こんなもやもやな気分は魔法ではらしてしまいましょう♪ 魔法で安心シャランラ~~♪
***第3話 閑話 SP-031/SP グリンダ
>ふ~「禁断の泉」に落ちて、体が冷えてしまいました…。お風呂に入って温まりましょう♪ん~、でも何かしら…?何か大切なことを忘れている気がしますね…オズに危険が迫っているような…
>私の勘は当っちゃいますからね。念の為、お風呂に入ってる間、チクタクさんに見張って頂きましょう♪チクタクさ~ん♪
>『お呼び-ですか?-グリンダ様』
>まぁ、お早いですね、さすがチクタクさん♪
>『はい-ご婦人を-守るは-ワタシの-務め-ワタシは-軍人の中の-軍人ですから』
>ウフフ、頼もしいですね♪それではこの「魔法の絵」で、私がお風呂に入っている間、オズの国に悪い人たちがやってこないか見張っていてくださいな♪
>『おやすい-ごようです-グリンダ様』
>それでは行ってきます♪よろしくお願いシャランラ~♪
> ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
>チクタクさ~ん、どうですか~?
>『はい-特に異常は-ないです-あ…』
>あらら? どうしました~?
>『少し-見にくい-ですね』
>う~ん、その絵は見たい景色がなんでも見える「魔法の絵」ですからね~。もっと見たい風景をつよ~く願うと良いですよ~♪
>『はい-承知-しました-あ…』
>どうしましたか~?
>『ためしに-ブラシを-少し上に-上げてみて-ください』
>ブラシ?は~い、シャランラ~♪どうですか~?
>『グッジョブ-敵は-排除されました-完璧です』
>わ~すごい!良くわかりませんが、さすがチクタクさんですね♪
>『はい-ご婦人を-守るは-ワタシの-務め-今日も-オズは-平和です』
***第4話 海種4-017/C チクタク
>オズの“一人軍隊”チクタクは、先ほど訪れた少女について、黄色い雌鶏のビリーナと意見を交わしていました。
>
>『ドロシー嬢と-言いましたか-あの歳にして-なかなかの-傑物-このまま-成長すれば-かなりの-戦闘力を-持つと-思われます-将来が-楽しみです』
>「コケーー! あのちっちゃな女の子が!? 作り物の目でも腐るのかい? あの子は魔法も使えないし、大きなブリキ男だのみじゃないか!」
>『いえ-ブリキさんなど-関係-ありません-彼女が秘めている戦闘力は-大したものです-この-軍人の中の-軍人-チクタクが-保証します』
>「ホントケーー!? じゃあ、あの子だけで誰に勝てるっていうんだい?」
>『成長-すれば-西の魔女にも-負けない-でしょう』
>「ウソコケーー!! あの性悪魔法使いにも勝てるってのかい??」
>『成長-すれば』
>「ホントケー? じゃあ、オズ陛下はどうさ」
>『……ちょっと-意味が-わかりませんね』
>「ンケー…確かに陛下は知恵で戦うタイプだからね。ならさ、オズマ姫はどうだい?」
>『そこは-好みの-別れる-ところですね』
>「マジケーー! ……好み?」
>『でも-やはり-グリンダ様には-及びません-グリンダ様の-破壊力は-超ド級-並大抵の-戦闘力では-敵いません-この-ゼンマイ仕掛けの-股間も-バーーーン』
>「……おムネ?」
>『オズで-一番の-破壊力-グリンダ様は-サイコ―です』
>「そっちの話ケーー! オゲヒーーーン!!」
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**恐るべきウェンディゴ伝説 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【恐るべきウェンディゴ伝説】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『これが、コワイコワイだぞ』を獲得出来る。
***恐怖の1 海種1-009/R アニュイ
>あたしはこわいこわいウェンディゴだ。あたしにはさいのーが
>あるからな。早くおとなになって、このプカックで、
>みんなみたいに、いーっぱいニンゲンをこわがらせるんだ。
>だけど母さまは、一人前のりっぱなウェンディゴになるには、
>もっとこわいをべんきょーしないとダメだっていう。
>だからあたしは旅にでることにした。
>もちろん、アテならあるぞ。
>なんでも、この山のずーとしたのほうに、ニンゲンの
>くせにものすっごいこわいぶぞくがいるらしい。よくわからん
>が、なんてったってなまえがガオーだからな、ガオー。
>きっとちょーこわいやつらにちがいない。
>そこのいちばんえらいやつは、世にもおそろしいやつなん
>だろうな。たぶんイノシシとか片手で頭からばりばりたべる。
>だからそいつに会って、こわいをますたーするんだ。
>さぁ、いくよプカック。ガオーはどっちだ?
>…あいかわらずむくちだな。じゃぁ、おまえがたおれたほうな。
***恐怖の1の② 海種1-012/R アニュイ
>おかしい… いつになったらガオーに会えるんだ?
>…プカック、ほんとにこっちであってるんだろうな。
>ここまでおまえのたおれた方にきたけど、ぜんぜんガオーっぽいやついないじゃないか。
>…そーいやプカック、さっき見たニンゲンの女すごかったな。
>ニンゲンのくせに、こわい動物たちずばーん! どかーん! ってあっという間にやっつけたかと思ったら、にくにく~って変な歌うたいながらどっかいっちゃった。
>あいつ、あたしのよそうではすごい寝不足だったんだと思う。
>だって片目が真っ赤だったからな。…寝不足であのつよさ、あれはかなりの“てだれ”にちがいない。
>うん、しょーじきちょっとこわかった。なかなかやる。
>あ… よく考えたらニンゲンのことだし、あいつにガオーのこときけばよかった。
>…まぁすぎたことをいってもしかたないな。
>プカック、次の行き先をきめるぞ。きあい入れてたおれろよ。
***恐怖の2 人獣1-020/C モルス
>【カトブレパス】
>頭部が非常に重く、常にうつむいたような姿になることから「うつむく者」の名で知られる。
>その瞳を見ると瞬時に石化の呪いを受けるため、決して不用意に生息域に立ち入ってはならない。
>――この前読んだニンゲンの本にそう書いてあった。
>…見た瞬間に石になるならこわいも何もないだろオマエ。
>石にしちゃったらこわがってもらえない。ちゃんと考えろ。
>おい、聞いてるのかカド…ガトプ…むぅ…
>オマエ、もっとこう、言いやすい名前はないのか?
>「モルルァァァーーース!」
>もる…?そうか、もる…モルスか。
>言われてみるとなんかこう、もるっとしてるな。全体的に。
>モルス、オマエもこわいをベンキョーしとくんだぞ。
***恐怖の3 神族1-020/C ウラヌス
>――秩序、支配、破滅、白焔、黒淵、供物…
>壊れた神は無軌道な言葉を紡ぐ。神を喰らい、魔を喰らい、 喰らう度にその存在は変異した。
>再構築を繰り返した肉体は いつしか一握の意思や記憶すらも喰らい尽くし、
>天空神はそこに 在り続けるだけの、神威の残骸と成り果てていた。
>――創世、飢餓、構築、輪廻、再生、破壊…
>「ふん、むずかしい言葉でごまかそうとしてもダメだぞ
>あたしはかしこいから、むずかしいのはこわくない」
>朽ちゆく神の骸を前に、雪色の少女はツンと小さく胸を張った。
>――崩壊、空白、絶望、虚無、虚無、虚無…
>「む…またわけのわからないことを…
>いいか、こわいというのは相手に伝わらなければ――」
>逃げるでもなく淡々としゃべり続ける少女に、 壊れたはずの天空神は一つだけ感情を取り戻した。
>――困惑、困惑、困惑、困惑、困惑、困惑…
***恐怖の3の② 神族3-027/C ウラヌス
>壊れてしまった神に、もはや自我は存在しない。
>否、正確には存在するが、限りなく薄れているというべきか。数多の神魔霊獣を喰らい、その存在を全て飲み干してきた結果、天空神にとって自我と他我の境界はひどく曖昧なものとなっていた。
>本来自身の持っていた感情や意志は、いつしか溢れる他我の奔流に埋もれて見えなくなった。今考えていることは、今感じていることは、本当に自身のものなのだろうか。
>かつて目指した頂も、不倶戴天の仇敵すらも、もはや思い出すことができない。
>“それ”を教えろというのであれば、心の奥底にわずかに残った自分自身が消えてしまうこと……自身が自身で無くなってしまうこと……これを上回る“恐怖”は無い――
>「おまえの言ってることはむずかしすぎてわからん。もっとわかりやすくひょーげんしろ」
>――と、このしつこい少女にどうやったら伝わるだろうか。
***恐怖の4 不死1-009/R ドリアン・グレイ
>この世でもっとも強力な力、それは美だよ。なにも自身が腕力や知力に優れる必要はない。
>美は人を惹きつけ、惑わせ、時に判断能力を奪う。
>美によって強者の心を支配してしまえば、それらの力は自在に振るうことができるも同然、というわけさ。
>「…まったくりかいふのーだな。 そんなものより、こわいの方がつよいに決まってる」
>そうか、やはり美しくない者には理解できないようだね。
>「…おまえ、むかつくやつだな…ん? なんだこれは…」
>…!! やめろ! その肖像画は見るな! 見ないでくれ…!
>「なんでだ? あたしは好きだぞ。少なくとも、おまえよりよっぽどいい。こわいし」
>な…! そ…そんなことを言ったのは君が初めてだ…。フフ…いいだろう!僕が特別に本当の美というものを教えて…
>「いや、いらん。おまえのことはきらいだからな」
***恐怖の4の② 不死2-013/R ドリアン・グレイ
>なるほど、本当の恐怖を知りたいと。
>ならば君は、本当の美しさについて知るべきだ。
>なぜならば、完全なる美は恐怖と表裏一体。
>決して到達しえない人知を超えた美を前にしたとき、人も、神でさえも、ただ畏怖するしかないのだからね。
>いいだろう、君のような蒙昧な輩に美の教義を授けるのも美に愛された僕の役目だ。
>まずはこの貴婦人の肖像画を見たまえ。どうだ、素晴ら――
>「ただのニンゲンだな。よわそーだからこわくないぞ」
>む… ならばこの高名な壺はどうだ。
>この無駄のない流線型と、独特の光沢が――
>「…おまえつぼがこわいのか? むしろだいじょーぶか? こんなのよりおまえのうしろの絵のほうがずっといい。そっちの方がこわかっこいいぞ。それをくれ」
>ああ…いや、すまないがこれは渡せないんだ。
>「なんでおまえいやがりながらちょっとうれしそうなんだ? あいかわらずきもちわるいやつだな」
***恐怖の5 魔種1-020/C グレイグル
>――「個」トハ常ニ「群レ」ノタメニ存在スル。
>――「群レ」ノ利益トハ、種ノ利益。
>――種ノ利益トハ、「個」ノ利益。
>――故ニ、我ハ「個」デアリ、「群レ」デアル。
>――進メ我ヨ。進メ我ガ軍勢ヨ。
>――我トイウ「個」ハ、喜ンデ「群レ」ノ礎トナロウ。
>「群れ 群れって、おまえはアレなのか、さびしんぼなのか?仲間に頼ってばっかりじゃ一人前になれないぞ」
>雪色の少女は呆れたように、その無慈悲な残虐性から「悪魔の騎士」と呼ばれた、名も無き蟲人に告げる。
>「しょうがない。まずは自分のなまえからだな。この前ひろったいいものをやる。これを読んでさんこーにしろ」
>少女がよいしょと取り出したのは、人間の子供が読む絵本。
>そこには、どんな困難にも一人立ち向かう勇敢な騎士の姿があった。
>その騎士の名は――
>意思無き意思に従い生きてきた蟲人は、その名を小さく呟き、
>ワルク…ナイ――そう、思った。
***恐怖の5の② 魔種2-029/C グレイグル
>名前とは、個体を識別するための呼び名である。
>“群れ”の一部としての存在意義しかなかった彼には不要なものであるはずだった。
>グレイグル――その名を得たその時から、彼には“群れ”ではなく、
>グレイグルとしての、すなわち“個”としての自我が芽生え始めていた。
>かつては群れの意志の赴くままに森を穢し、大地を蝕んだ。
>だが、暴虐が沸き立つような“意志”はもう感じない。
>ただ従うままであった“声”はもう聞こえない。
>“個”を意識したそのときから、彼は一人になっていた。
>しかし彼は、それに不安を感じることはなかった。
>一人で戦う強さを教えてくれた「絵本の騎士」がいる。
>自分に名前をくれた雪色の少女がいる。
>――故郷の森へ行こう。
>彼はかつて自らが貶め、穢した森のことを想った。
>贖罪のため、自身の力で豊かな森を取り戻そう。
>そうして、誰に恥じることのない本物の「騎士グレイグル」として生きるのだ
>――だが、彼はまだ知らない。
>断罪者の剣がすぐそばまで迫っていることを。
***恐怖の5の③ 魔種3-025/C グレイグル
>断罪者の怒れる目は、裁かれる罪人である彼――グレイグルを見据えていた。
>その蟲人は、彼が“群れの意志を持つ者”と呼ばれていた頃、故郷の森で死闘を繰り広げた、森の守護者であった。
>断罪者の豪腕の前に、彼は刃砕け、牙折れ、傷つき、既に満身創痍だった。
>かつて群れが一丸となって挑み、それでもなお勝てなかった相手。そんな相手に彼一人で勝てる道理など存在しなかったのだ。
>次に振るわれる一撃は、必殺の威力を持って彼を打ち砕くだろう。
>ここで討たれることも贖罪か――彼は諦めと共に、死を受け入れようとしていた。
>死に瀕したが故の本能か、そのとき、僅かに残された“群れ”としての機能が彼にある光景を見せた。
>――同胞たちの無数の視線。視線は一点に注がれている。その視線の先にあるもの――あの、雪色の少女だ。
>“狩り”が始まれば彼らは躊躇なく少女を喰い破るだろう――自分がかつて、そうであったように。
>彼は対峙する断罪者の剣を渾身の力で振り払うと、痛む身体を引きずるように駆け出した。その名を彼にくれた少女の元へ。
>あの絵本のような勇敢な騎士たらんがために。
***恐怖の6 海種1-019/C スノーマン
>「冬の海というものはそれはそれは恐ろしいものじゃ。
>人が海で死ぬと、その魂は母なる大地に帰ることができず
>洋上に取り残されると言われておってな。そんな魂たちが
>氷や雪と結びつき、やがて魔物になってしまう。
>魔物になった者は同胞を求めて人を襲い、喰らい続ける…
>次の春が訪れるまで、ひたすらの」
>長老がそう語り終えると、物語を聞きに集まった子供たちは、
>みな恐怖に震えました。そんな中、ただ一人フードの少女
>だけは興味深げに目を輝かせていました。
>「そいつなかなかやるな。ばっくぼーんもしっかりしてる。
>ひょーかに値するこわさだ」
>普段見かけない顔のその少女はウンウンと一人頷きます。
>「だが、春になったら溶けるなんてきあいが足りん。
>あたしのこわさはねんじゅーむきゅーだからな。
>つまりあたしの方がすごい。こわいこわいだ」
>フードの少女はそう言って、得意げに去っていきました。
***恐怖の7 人獣2-021/C クロノス
>ウラヌスを喰らい、『黒淵の塔』に至らんとするまさにそのとき、
>我は世界が揺らぐのを感じたのだ。
>おびただしいほどの『混沌種』の軍勢。崩壊する2つの塔。
>いつしか我は次元の間隙へと放り出され、この世界へ流れ着いた。
>『白焔の塔』も『黒淵の塔』も存在せぬこの世界に。
>そして何の因果かここには忌々しきウラヌスの気配もある。
>そうだ、世界が変わろうと、我が行うことはただひとつ…!
>今度こそ貴様を喰らい尽くし、創世の力の全てを我が物としてくれようぞ…!
>「おまえ…顔はおじーさんなのに、胸がライオン。
>手がドラゴンで背中にでかいトリ…さすがにもりすぎじゃないか?」
>…なんだこのちみっこい奴は。
>「ぷろこんじょーはみとめるが、こわいは“こんせぷと”が
>だいじだからな。つければいーってもんじゃないんだぞ」
>…いや、これはそういうのではなくてだな。
***恐怖の7の② 人獣3-029/C クロノス
>獅子は勇猛さの象徴。何者にも屈さぬ、雄々しき咆哮をその身に宿す。双竜は圧倒的な力の象徴。天空を喰らい宇宙を統べる、崩滅の顎をその身に宿す。
>鳥翼は自由の象徴。摂理に抗う、縛されぬ翼をその身に宿す。老人は智慧の象徴。万物を解する、老獪なる叡智をその身に宿す。
>この姿を恐れぬものなどいなかった。かつて相対した数多の敵たち、かの憎きウラヌスですらもこの力を恐れ、一角の畏怖を抱いていたはず。
>この大地神を前にすればそれが道理であり、当然のことであった。
>――それをあの少女は、臆することなく一喝してみせた。
>「…この世界も、なかなか面白いではないか」
>一見すると幼き少女のようであったが、彼女がただ者でないのは明らかだ。そうでなくては、この神を窘めるなどできようはずがないのだから。
>「ククク…一つ世を統べた程度で驕っておったわ」
>獣面が愉快げに大気を震わせる。それは未知の力への畏怖と、新たなる強者の出現を前にした昂ぶりの表れであった。
>大地神にとって、全ての力を己が手中に収めんとするのは必然。
>必ずやその力を解き明かし、我が物にしてくれよう――
>まずはあの白き少女を追い、問いたださねばなるまい。
>「見せてもらうぞ…“こんせぷと”なる力の秘密を…!」
***恐怖の8 魔種2-004/SR バフォメット
>我に魂を捧げよ。
>ヒトの価値とはすなわち魂の価値に他ならぬ。
>穢れを知らぬ真白き魂など唾棄すべきもの。
>憎悪や欲望で昏く染まった魂なればこそ至高よ。
>我はその魂の輝きに応じ盟約を果たし、欲望の糧とならん。
>さぁ少女よ、汝の色を見せてみよ。汝の願いはなんだ。
>「クマを探してる。おまえクマ見なかったか?」
>………クマ…だと?
>「なんかこのあたりにアクマとかいうすっごいこわいクマが
>いるらしい。そいつに会ってみたい」
>む…そうか…悪魔ならば我のことだが…。
>「いや、おまえはどっちかとゆーとヤギだろ。
>ヤギはこわくないからきょーみない。クマだせ、クマー」
***恐怖の8の② 魔種3-006/SR バフォメット
>「つまり、アクマとゆーのはおまえのことで、おまえはヤギじゃなくてクマなんだな?」
>そうだ、ヤギではない。そしてクマでもない。
>「うん? クマでもないのか。じゃあなんなんだおまえ」
>だから悪魔だと言っているであろう。
>「うー…? まぁよくわからんが、おまえが噂のアクマだっていうなら、どのへんがこわいのか教えてくれ」
>ククク…悪魔の怖さについて悪魔直々の口から聞きたいなどとは、なかなか酔狂な娘よ。悪魔とはヒトの悪しき欲望を叶える禍々しき存在。
>そしてその欲望の対価として魂を奪うのだ。
>「誰かによくしてもらったらちゃんとお礼をするのは当たり前だろ。それの何がこわいんだ?」
>む…いや…そうはいうが…。
>「だいたい、タマシイ? とやらを集めておまえ何に使うんだ? たべるのか?」
>…集めた魂は別にどうこうするわけではない。悪魔とはそういうものなのだ。
>「…? つまり、おまえは何だかよくわからんものとでも引き換えに願いを叶えてくれる、いいクマってことか?」
>何度も言うが我はクマでもないし、ましてや善性など――
***恐怖の9 魔種3-012/C リビコッコ
>お…?お…お?おぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!よぉよぉよぉなぁぁんだオメェはよぉ!俺様に文句でもあるってぇのかあぁん!?あんのか!?あんのか!?ねぇよな!
>テメェみてぇなチビがチョーシくれてっとドタマカチわんぞゴルァァア!じゃあなんだぁあ!!俺様のイカした髪型にキョーミシンシンってかぁぁああ!?ウヒヒヒ見るからにセンスなさそうなツラァしてっからなぁあ!!
>わかるっ!わかるぜぇぇ!!いいぜぇぇ!俺様のぉ!!キュートでぇ!!コケティィッシュなぁ!!メリハリバディィ!!存分に崇めやがれぇ!!さもなくば奉れんのかぁぁぁぁぁ!ボケがぁぁあ!!なんだなんだなんなんだテメェよぉぉ!!
>キサマ俺様のこと馬鹿にしてんだろぉおお!!!??そんなんなら帰れぇえ!帰れよぉおおお!!!ほれほれほれそれともなにか!他に俺様になんか用でもあんのか“よう”!!なーんつってなぁぁあ!!!
>笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えよ笑えなぁぁああんで笑わねぇぇんだよぉぉお!!最っ高にぃいいイカれた激寒ギャグだろがぁあああ!!マジヤベェェエ!!ウケケケケケケケケケケケケケケケッケケケケケッケケ
>
>「………プカック、あいつこわい… というかキモい…」
***恐怖の11 神族4-013/C ハリハラ
>昼と夜 正と邪 男と女 夢と現
>光と影 生と死 裏と表 汝と我
>創造と破壊 そして 白焔と黒淵
>
>世の真とは 全て二対なり
>我は そのいずれをも背負うもの
>理の均衡は 全て二対により保たれん
>どちらかを選ぶことなど 無為と知れ
>
>我は二対 我は全 我は汝を映す鏡像
>狭間で揺れる者よ どちらかを選ぶなど無意味と知り
>そして選べ 己が開く扉の色を…
>
>「扉についてはよくわからないが、ひとつだけわかるぞ…“につい”はつよくてこわい」
>
>ほう…我が理を解したか 幼き汝よ
>
>「ああ、母さまは普段やさしいのに、怒るとすごいこわい…その“ぎゃっぷ”が超こわい。“につい”は…こわいこわいだ…」
>
>…それは……なにかが違うぞ 幼き汝よ
***恐るべき番外編 PR-008/PR アニュイ
>プカック、今日はおまえのお手入れだぞ。
>おまえも疲れてるだろうからな、ちょっとおやすみだ。
>…はー、ガオーは見つからないけど、旅をはじめてからいろんなやつらに会ったな、プカック。
>見た目こわいくせにさびしんぼーの虫っぽいやつとか、絵にうるさいむかつくなるしすとやろーとか、なんかもるっとしたカド…ガト…なんとかとか…
>………思い出してもへんなやつばっかりだな。
>あたしの知らないへんなやつらが、山の外にはいっぱいいたんだな。ちょっとべんきょーになった。
>まぁ、みんなこわさではあたしの足元にもおよばないが、なかなか見どころのあるへんなやつらだった。
>お? よく見たらおまえのお面だいぶ汚れてきたな。
>よし、ひさしぶりにあたしが新しいへんなお面いっぱい作ってやるから、あとでどれがいーかえらべよ。
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&aname(七英雄と紅蓮の瞳の子,option=nolink){}
**七英雄と紅蓮の瞳の子 &link_anchor(▲){▲}
自身の世界と取り戻す為に終わりなき戦いに身を投じる紅蓮の瞳の子と嘗て七英雄とのやりとり。
会話を見る限り、七英雄は何度かロードに使役されたことがあるようだ。
また、一部を除いて紅蓮の瞳の子の思考がかなり上から目線であるが、これはプレイヤーの声を代弁しているということなのだろうか?
そして、約1名の扱いの悪さは過去を凌駕する勢いである…。
ちなみにフレーバーテキストを手がけたのは
サガシリーズの産みの親とでも言うべき河津秋敏氏とのこと。
ソース:[[https://twitter.com/SaGa25kawazu/status/484632756127686657]]
なお、クラスが【ロマンシング サ・ガ2】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『七英雄』を獲得出来る。
***神族No.1-032/ST ワグナス
>「王を目指しているのかね。紅蓮の王を。」答えに詰まる。
>「目標がはっきりしていないと、成果ではない。そういうものだよ。具体的な目標はあるのかね。」
>目の前の敵を打ち倒す以外の目標が自分にあるだろうか。
>「召喚される立場の我らが気に掛ける必要はないのだが、どうせならば志のあるロードに招かれたいものだからね。」
>流石は七英雄のリーダー、一瞬にして優位な立場を確立した。この技術、盗みたい。
>「しかし、紅蓮の王とは果たして王なのか。すべてを破壊し尽し、臣も、民も、国もない。それを王と呼ぶべきかな。」
>そうだ。それが自分が、多くの者が剣を取り戦う理由だ。破壊された世界を取り戻し、自分を取り戻す。それが、自分の目的だ。
>「君とならば手を携えて進めそうだ。我々は七英雄。&br()誰かの上に立たず、何者の下にも付かない。我らの力を存分に使いたまえ。」
***人獣No.1-032/ST ノエル
>「君はある種の英雄なのだろう?」
>自分が英雄だなどと思ったこともない。ただ日々を戦場に送るだけだ。
>「それを英雄と言うのだよ。常人には出来ないことではないか。」
>それが英雄の条件ならば、確かにそうかもしれない。
>「明日戦場に散ったとしても、何も後悔することはない。英雄だけが到達できる境地だ。君のような存在を、数多くの世界で見てきた。そして、戦った。時に味方として。時に敵として。彼らは今でも私の中で生きている。」
>そう、その言葉は比喩ではない。七英雄とはそういう存在だ。
>「紅蓮の力とは、どういうものだろうね。至福か絶望か、はたまた虚無か。非常に興味深い。」
>自分を取り込む気でいるのか?所詮は使い魔ではないか。
>「そういう考え方は英雄らしくないな。やられ役の小者が言うせりふだよ。」
***人獣No.1-033/ST ロックブーケ
>「疲れたの」そんな言葉までが魂を捕らえて放さない。
>「あまりにも多くの同化と吸収を繰り返して、私は心底汚れてしまった。純粋だったあの頃に、帰りたい。」
>彼女の両目から大粒の涙が零れ落ちた。
>「私を、死なせて。あなたには、出来るんでしょう?」
>彼女は微笑んでいた。その笑顔には、一点の汚れもなかった。
>「私にはもう英雄は続けられない。ノエル兄様やワグナス様みたいにはなれない。永遠に追いつけない、無限の彼方への旅はもう…」
>彼女の肩は小刻みに震えていた。この人を護れないとしたら、日々の戦いに何の価値があるだろうか。
>「ダメよ。私の言葉に捕われないで。匂いも態度もすべてが貴方を捕らえるためにあるの。だから、すべての感覚を閉ざして、ただ私を、殺して。それが私の最後のささやかな願い…」
***海種No.1-031/ST スービエ
>「その紅い目には世界はどう映っているんだ。」
>海の英雄は真っ直ぐにこちらを見つめている。
>「そしてもう一つの目で見える世界と、どう折り合いを付けて焦点を結ぶ事が出来ているのかな。」
>七英雄といえども、自分にとっては使い魔でしかない。なぜ使い魔がそんなことに興味を持つのか。
>「魅力を感じた対象のことを深く知りたいと思うのは、自然な感情だと思うのだが。違うかな?」
>感情など疾うの昔に失ったのではないのか、七英雄よ。
>「同化と吸収を繰り返しても、中心にある自分の核は変わらぬよ。対象が偉大であればなおさら正面で向き合い、敬意を持って接すべきだろう。大海原と向き合うように。」
>自分が海の様な大きな存在だと言うのか?
>「そうであることを望むよ。紅い目で世界を観る者よ。」
***魔種No.1-031/ST ダンターグ
>「お前は強いのか? ならば俺様と戦え。そうでなければ用はない。俺様に踏み潰されないうちに立ち去れ。」
>この自信の塊を叩き潰すのは簡単だが、それでは再起不能のダメージを与える事になってしまう。この力を活かさねば七英雄を使い魔とする意味も失われる。
>「ほう、戦うというのか。その勇気は誉めてやろう。何!条件があるだと。はっ、青二才の考えそうなことだ。」
>負けた方が相手の下僕になるという約束が必要だ。うまく戦えば、七英雄の自信と誇りを失わせずに、使い魔として召喚が可能になるだろう。
>「貴様など下僕にした所で何の意味もないがな。死んだ方がマシだったと思う程に扱き使ってやろう。来い!」
>その言葉が終わらぬうちに神速で速攻を繰り出す。反撃の糸口も与えずに撃破だ。
>「くそっ、汚いぞ。正々堂々と戦えば、結果は逆なのだ!」
>予想通りの反応だ。あとは七英雄の誇りに訴えれば仕上がる。
***不死No.1-033/ST ボクオーン
>「何かの冗談だろう? 何故に君のような者の指示に従わねばならんのだね。」
>これまた扱い辛いのが出てきた。
>「君のような若造は、私の考えた作戦通りに動いていればいいのだよ。自分で動けば、必ず、失敗する。」
>使い魔が自分の指示に応じて自在に動いてくれねば、それこそ必ず負けてしまう。七英雄を扱うのはやめておいた方が良いのかもしれない。
>「ダンターグは肉の壁。スービエは海でしか役に立たん。ロックブーケの厚化粧が通じる相手は限られる。ノエルとワグナスはかなりの働きを見せるだろうが、それも私の作戦があってのことだ。」
>もう一人忘れていないか。それでは六英雄だ。
>「クジンシーか。あれはただのクズだ。そんなクズでも、私の作戦では完全に利用し尽すのだよ。捨て駒としてな。」
>こいつをどうやって使ったらいいのか、自分なりの作戦が必要なようだ。
***不死No.1-032/ST クジンシー
>「俺に何か用なのか? 俺なんかどうせ七英雄一のクズなんだ。」
>すねて気を引こうというのか、七英雄のくせに。この手合いが一番面倒くさい。いっそこの場で始末してしまうか。
>「頼む! 俺を使ってくれ!」今度は必死の売り込みか。
>「俺だってたくさんの必殺技を持っているのだ。しかも本当の必殺技だぞ。なのに、いつも俺は下っ端扱いだ。何故だ!」
>そういう所が下っ端根性なのだ。それが分からないから、何時まで経ってもそのままなのだ。
>使い捨ての使い魔程度にはなるだろう。しかも、名前だけは七英雄様だ。使い捨て効果も抜群だろう。
>「その目は何だ。何を計算している。ボクオーンみたいな目はやめろ!」
>人の表情くらいは読めるのか。ゴブリンよりはましだ。
>「今度はロックブーケみたいな目をしている。俺をゴブリン並みだと思ってるな。」
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&aname(赤月剣風帖,option=nolink){}
**赤月剣風帖 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【赤月剣風帖】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『逆巻く剣風 濡れし刃』を獲得出来る。
***巻の一 人獣2-001/UR 柳生十兵衛
>柳生十兵衛三厳。
>彼は世の人間からこう呼ばれる。『天下無双の剣豪』と。
>或いは、こうも呼ばれる。『柳生を放逐された無法者』と。
>だが、その正体は、将軍の命を受けた公儀隠密。
>剣の修行と嘯いて、世界各地を旅しては、闇に蔓延る悪を斬る。彼が斬るのは人のみに非ず。
>天下を覆さんとするものは、妖だろうが鬼だろうが、問答無用で刀の錆と変えてきた。
>そして今、十兵衛が旅するは"れむぎあ"と呼ばれる異界の地。
>...事の発端は、三日前に遡る。
>『島原に異界の扉開かれり。天下を脅かす魔性の気配あり』
>そう告げ、落命した草の者に刻まれた刀傷は、十兵衛の剣士としての本能に火をつけた。
>「...古の剣豪どもが、現世恋しさに黄泉返りおったか。
>古の剣と新陰流の勝負、実に面白いではないかっ!!」
>こうして、十兵衛は異世界に旅立った。一つは泰平の世を守るため。
>さらに一つは、己が剣を更なる高みに至らせんがために。
***巻の二 不死2-011/R 天草四朗時貞
>皮肉なものですね…
>神の敬虔な信徒だったこの私を蘇らせたのが、
>その道に背く、そなたの外法とは。
>…ですが、おかげで目が醒めました。
>信仰など無意味。
>いかなる衆生仏神も、我らを救いなどしません。
>…見なさい、この狂った世界を。
>欲にまみれた権力者どもが、飢えに苦しむ民に鞭打ち、
>贅の限りを尽くす、救いようのない世界を…
>我々はこの世界を変えねばなりません。
>…身分も何も関係ない、皆が誰の支配も受けず、
>ありのままに…己が欲望のまま生きる――魔界へと!!
>そして、私は新たな世界の神となるのです!
>偽善なる神々を全て滅ぼし、光に迷う子羊たちを
>導く、唯一にして無二なる暗黒の神に!!!
***巻の二 三章 人獣4-010/R 村正
>激しい揺れに、少女は目を覚ました。ぼやけた視界が捉えたものは、流れゆく暗い夜の森の景色。そして、彼女を抱え、呼吸荒く走る男の背中。ひとまず状況を把握せねば…と、
>懐の眼鏡を取り出そうとしたその時、彼女を抱え走る男が語りかけてきた。
>「ぬぅ! 娘、目を覚ましたか?」
>「あなたはいったい誰? 私をどこへ連れ去るつもりなの?」
>「細かい話は後だ! とにかく今は…ぬぬぅ! もう追いつきおったか…娘、そこで隠れておれ!」
>男は足を止め、乱暴に少女を放り出すと、刀を抜いた。
>「…痛ッ! もう! 一体何なのですか……えっ……ッ!!」
>ようやく眼鏡をかけた少女が見たものは、死んでもおかしくない程の傷を全身に受け、刀を構える隻眼の侍。そして、彼と彼女を取り囲む、
>凍えるほどの殺気を放つ剣士たちだった。すぐさま隻眼の侍が敵ではないことを悟った少女は、素早く立ち上がり“妖刀”を抜いた。
>「…私も戦います! 村正――抜刀!!」
>彼女の呼びかけに応え、強靭な傀儡武者が現れる――はずが、“妖刀”は何の反応も示さない。よく見ると、その刀身には、深いヒビが走っていた。
>――そうだ、あの時の“姉”との戦いで、私たちは刀もろとも相討ちになって…。
>「万事窮す…か。天下無双の柳生の剣が、こんなところで終わろうとはな…」
>ジリジリとにじり寄る追手らを前に、傷だらけの隻眼の侍は苦笑を浮かべながら、自嘲の言葉を吐き捨てる。
>――私は…、姉さん…やっぱり私は…あなたを救えなかったの…?
>少女もまた、自らの無力さに打ちひしがれ、死を覚悟しようとしていたその時、突如轟音が響き渡った。地をひしゃぐ一撃に、木端の如く吹き飛ばされる追手の剣士たち。土煙の中、
>月明かりが照らし出したのは、巨大な槌を携えた剛健な老人だった。
>「……お嬢ちゃん、なかなか珍しい剣を持っておるのう… ウハハ! 面白い! そこでくたばりかけの剣士ともども、このヘパイストスが“直して”しんぜよう!」
***巻の三 人獣3-003/UR 柳生十兵衛
>「ようやく目を覚ましたか 小僧」
>横たわる十兵衛の傍らには、妖しき屈強な老人。
>「ここは“れむぎあ”に現れし<魔界>。…して、わしはぬしの命を救った恩人というわけよ」
>十兵衛はそっと隻眼を閉じ思い出す。己が瞼の裏に焼き付いているのは、美しき軌跡を描き翻る一羽の燕と逆袈裟に断たれる己が四肢と胴。
>そして、妖しき笑みを浮かべた――
>ハッと、十兵衛は目を開き、そして見つめた。
>己が掌…先の死合で失ったはずの、見慣れぬそれを。
>傍らの老人は意味ありげな笑みを浮かべ、十兵衛に告げた。
>「…この地に宿る“まな”で動く、最新式の機甲絡繰りよ。お前さんが<魔界衆>の人知を超えた力に抗する、唯一の手段というわけだ…ちと燃費は悪いがな」
>不意に感じた、屋敷を取り囲む邪悪な気配に十兵衛は床から飛び上がり、愛刀を抜いた。そして、気づいた――絡繰りと化した己が四肢に胎動する、新たなる力に。
>「クク…感謝するぞ、妖しき翁よ。この力ならば、彼奴に後れを取ることもあるまいて。まずは、この屋敷を囲む魔界衆どもで、試し切りしてくれるわっ!」
***巻の四 不死3-014/R 天草四朗時貞
>天草四朗時貞――転生の秘術によって、二度目の生を受けた彼は、このレムギアの地に着々と<魔界>を広げていた。
>彼は、「幕府」に弾圧され、非業の死を遂げた者達の魂に“洗礼”を施し、魔界の神たらんとする自身の敬虔なる信徒――魔界衆へと転生させた。
>そして、その勢力は今や、かつて彼が率いた乱の数倍へと膨れ上がっていた。
>そんな魔界衆躍進の裏には、一人の男の影があった。四朗を彼岸から黄泉返らせ、異界へと招いた謎の破戒僧――彼は、信者の輪の中に立ち、
><魔界>の教義を説く四朗を遠く見つめながら、何もいない宙に向かって話しかけていた。
>
>「全ては 予定通りに進んでおります」
>[[[ アレを暗黒のデウスに選んだのは 正解であった ]]]
>「はい 全ては 『落日』の碑文通りに…『教会』に福音を」
>[[[ 『教会』に福音を 『教会』に福音を ]]]
>
>彼と目に見えぬ何者かとの会話が終わるころ、四朗もまた、不敵な笑みを浮かべつつ、独り言ちた。
>「フフ 今は敢えて あなた達の掌の上で踊ってやりましょう しかし あなた達が私を利用するのではない 私が利用するのです… そのためにも まずはあの妖刀を…」
***巻の五 SP-0/SP 天草四朗時貞
>「フフ…目覚めたようですね? 立てますか?」
>
>紅い夜空に浮かぶ満月の光が、美しい青年と横たわる一人の男をしっとりと照らし出していた。男は、朧にゆがむ視界を振り払うように軽く頭を振ると、いぶかしげな視線を青年に向けた。
>
>「…安心なさい。あなたに危害を加えたりはしません。私の名は天草四朗時貞。あなた達、魔界に転生せし者の守護者にして神なのですから。」
>
>男は青年に、ここはあの世なのか、と尋ねた。
>
>「…いいえ。ここは冥界などではありません。ここは私の作り出した魔界――あなた方、彷徨える子羊たちが最後に辿り着くパライソ。…さあ、私の手を取りなさい。」
>
>青年は男に手を差し伸べ、この世の者とは思えぬ妖艶な笑みを浮かべた。
>
>「私は、あなたを待っていました。闇より手を下し、あの憎き『幕府』を滅ぼしたというあなたを。…力を、貸してくれますね?」
>
>――なるほどね。こいつは『教会』の“お目付け役”か。
>
>「……わかっていますよ。あなたも、“あの刀”を狙っているのでしょう?」
>
>――そして、クク…俺の同類というわけだね…。
>
>男は、細い目をさらに細め、ゆっくりと四朗の手を取った。
***巻の六 人獣3-022/C 服部半蔵
>徳川御庭番衆が頭領、服部半蔵――
>歴史が動く時、その陰に半蔵ありと謳われる彼の身は、今、異界の地“れむぎあ”にあった。
>その目的は、幕府が密命――かつて時の狭間に流されし「二振りの妖刀」の回収。
>島原に開かれし“げぇと”の向こうに、その妖刀の気を感知した半蔵は、この地へと降り立ったのである。
>
>そして、さらに「妖刀」の気を辿り至ったが、この<魔界城>の天守。
>半蔵は、其の城が長、天草四朗時貞の背後に立っていた。
>「…来ましたか 徳川の犬が」
>半蔵はその言葉に返すことなく、無言で首を刈り切った。
>しかし、切り落とされた天草の首は、ゆらりと宙に浮くと、不敵な笑みをこぼした。
>
>「残念ながら ここにあの『妖刀』はありませんよ
>クク… 文字通り足が生えて逃げていきました
>しかし どうあろうと あれは私のもの
>犬になどもったいない あなたも柳生の小倅同様
>この世界で朽ち果てるがいい」
>
>刹那、天守を包む魔性の炎。嘲笑を上げながら陽炎のように掻き消える天草の首。
>「…面妖な術を使う しかし まさか十兵衛ほどの男が…
>『村正』に『村雨』 妖刀の呪いとでもいうのか…」
>そう呟くと、一陣の風が吹き、半蔵もまた、燃え盛る天守から消え去った。
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&aname(妖精たちの赤い夜,option=nolink){}
**妖精たちの赤い夜 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【妖精たちの赤い夜】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『月と歩いた旅妖精』を獲得出来る。
***その1 人獣2-015/C ニルス
>それは、人里離れた深い深いお山の中、月のまあるい夜のこと
>お山で暮らすニルスは、その日も、いつものように
>キノコの世話に明け暮れていました。しかし、どうにも元気がありません。
>ニルスは、ため息をつき、お空の月を見あげました。
>お空にぽっかり浮かんだ赤い月…それを見たニルスは、
>突然、お山のてっぺんを目指して、あわあわと駈け出しました。
>赤い月には願いをかなえる力があると、
>死んだ“じっちゃ”が教えてくれたのを思い出したのです。
>ニルスはお山のてっぺんまで来ると、力いっぱい叫びました。
>「そこの真っ赤なお月さんよー!
>毎日毎日ちっこいキノコばっかり相手にすんのはもうウンザリだぁ!
>オラは“とかい”で“びっぐ”になりてぇんだ!お願ぇだ!
>“とかい”につれてってけろー!!」
>その時です。ニルスの声が届いたのか、赤い月はじわりと揺らめくと、
>東のほうにスゥッと走り出すではありませんか。
>「ま、待ってけろ~! そっちが“とかい”なのけ!?」
>ニルスはあわてて月を追いかけました。
***その2 海種2-014/C マキリ
>ここは、人里離れたフキの葉が生い茂る秘密の里。満月の下、マキリはいつものように、道場の片隅でいじけていました。
>「今日の稽古もまた兄者に負けたでございます…。
>兄者に教えてもらった通り、毎日ウニを頭に乗せて素振りをしているというのにちっとも強くなれぬでございます。
>そもそも本当にこんな方法で…いやいや兄者をうたがうなどいけないこと!
>はぁ…いつになったら立派な剣士になれるのでございましょう…。」
>そんな時、窓の隙間から一筋の赤い光が差し込み、見慣れぬ一冊の書物を照らしました。
>マキリは何かに誘われた気がして、その書物を開きました。
>するとそこには『赤き月の下にて、ふんどし一丁で素振り千回なす者は、
>何者にも勝る剣士とならん』と記されていたのです。
>ハッと思い、マキリが急いで外へ飛び出すと、夜空には真っ赤な月が輝いているではありませんか。
>しかし、赤い月はじわりとひとつ揺らめくと、
>マキリをもてあそぶかのように南の方へと逃げて行ってしまいました。
>「その月!待ったでございますーー!!」
>マキリはそう叫ぶと、あわててフキの葉に飛び乗り、月を追いかけました。
***その3 神族2-015/C ヤニワニ
>変化が得意なヤニワニは、馬に化けては人を乗せて暴れてみたり、
>大鷲に化けては道行く人の荷物を持ち去ったりと、毎日人間たちを驚かせて暮らしていました。
>人間があわてふためく様を見るのは楽しかったし、それがヤニワニの生き方だったからです。
>人々は、そんなヤニワニを恐れて遠ざかってしまうので、ヤニワニはいつもひとりぼっちでした。
>でもヤニワニは、自分の生き方に疑問を持ったこともなければ、ひとりが寂しいと思ったこともありませんでした。
>しかし、ある満月の夜、その日のひと際赤く、宝石のように輝く月を眺めていると、ヤニワニはふと、
>だれかと一緒に、この月を見てみたいと思いました。その時、ヤニワニはなんだか胸のあたりがチクチクっとするような、
>はじめての痛みを覚えたのです。
>すると、その様子を見ていたかのように、赤い月はじわりとひとつ揺らめくと、スゥッと南の方へ走り出しました。
>ヤニワニはあわてて月を追いかけました。
>なんだかあの真っ赤な月に「ついておいで」と言われたような気がしたのです。
***その4 魔種3-013/C豆腐小僧
>草木も眠る丑三つ時。月の陰る暗い夜。男が一人、心細げに家路を急いでいました。男が古寺の前に差し掛かった時、
>どこからともなく小さな声が聞こえてきました。
>「トウフ…クイネェ…」
>男が驚いて立ち止まると、すぐ足元に小さな影が気配もなく佇んでいるではありませんか。突然、ひゅるりとした生ぬるい風に吹かれて、
>雲間から顔を出す赤い月。月は、男の足元にいる“何か”をゆっくり浮かび上がらせてゆきました。
>そこにいたのは、まっ白く、ぬるりとしたあやかし。あやかしは自分の頭をおたまですくい、それを男に差し出していたのです。
>男は悲鳴を上げると、倒けつ転びつ逃げてゆきました。
>
>「なんでぃ! こんな可愛い妖精さんの豆腐が食えねぇってのかい! やっぱりもう少し珍しい味の豆腐がいいのかねぇ…」
>すくった頭を悩ませる豆腐小僧は、ふと雲間の赤い月を見て妙案を閃きました。
>「梅干し! 梅干しを混ぜてみたらどうでぇ!?」
>豆腐小僧の、獲物を狙うような視線に気づいたのか、赤い月はじわりとひとつ揺らめくと、西の方へと逃げ出しました。
>「やいやい、待ちやがれそこのでっかい梅干し! オイラの豆腐に混ざりやがれってんだ!」
>豆腐小僧も負けじと、赤い月を追いかけました。
***その5 海種3-014/C オーサン
>暑い暑い常夏の島に、キジムナーのオーサンが暮らしていました。
>キジムナーはみな赤毛なのに、なぜかオーサンだけは海のように青い毛をしていました。
>そのせいで、他のキジムナーから仲間外れにされていましたが、人間のオジーがオーサンのことを孫のように可愛がってくれるので、オーサンは寂しくなんかありませんでした。
>ところがオジーは体を壊してしまい、ほどなくして帰らぬ人となってしまいました。死の間際、オジーはオーサンを1人にしてしまうことに、とても心を痛めていました。
>オーサンは悲しみに暮れましたが、せめてあの世のオジーに安心してもらおうと、勇気を出して赤いキジムナーの輪に飛び込みました。でも、やっぱり仲間外れにされてしまいました。
>そんな夜のことでした。遠くでオジーの声が聞こえたような気がしたオーサンは、寝床を飛び出し、あわてて外に出てみました。
>すると空には大きくて真っ赤な月が輝いており、海も、浜も、そしてオーサンまでをも、真っ赤に染め上げていました。
>ところが月は、じわりとひとつ揺らめくと、北の空に去ろうとします。
>オーサンは慌てて月を追いかけました。あの赤い月がいつもそばにいてくれたら、自分も赤いキジムナーになれるかもしれない、そう思ったのです。
***その6 人獣4-024/C ニルス
>ニルスは赤い月を追いかけましたが、月はあっという間にお空の彼方へ…。早く追いかけなければ“とかい”の方向が分からなくなってしまいます。
>困ってしまったニルスでしたが、そんな時、ふと死んだ“じっちゃ”の昔話を思い出しました。
>ニルスのじっちゃは若い頃、鳥に乗って世界を旅していました。その時、ハーモニカの音色で鳥を操っていたそうなのです。
>そうか、これだ!と思ったニルスは、じっちゃの形見のハーモニカを手にすると、今度は近所の池に走りました。
>「鳥っつたらよー こーこだぁー!」
>池のほとりには水鳥の群れが眠っていました。ニルスは水鳥の背に飛び乗り、じっちゃ直伝の鳥を操る不思議な調べを、一か八かで吹いてみました。
>するとどうでしょう。水鳥達はいっせいに飛び立ち、大空高く舞い上がるではないですか。
>「やーったよぉ! オラにもできるでねーの!」
>ニルスは嬉しくて、夢中でハーモニカを吹きました。
>「行けー! 赤い月さ、追いかけてけろー!」
>ところが、水鳥はたいして飛ばないうちに、グングンと地表に近づいていきます。
>「どした!? 落ちてるでねーの? ほれほれ、もっと元気に羽ばたかねーと!」
>ニルスは必死にハーモニカを吹いて応援しますが、落ちゆく水鳥は、力無くこう言いました。
>「…いや…あの…私ガチョウですから…飛ぶのは…苦手っていうか…」
>「なにーーー!?」
>「ハァハァ…ああ…もうムリ…!」
>必死の応援も空しく、ガチョウに振り払われてしまったニルスは、真っ逆さまに落ちていきました。
***その7 魔種4-027/C 豆腐小僧
>「そーこの梅干しーぃ! 待ーっちやがれぇ!」
>真っ白な体をプルプル震わせながら、豆腐小僧は逃げる赤い月を必死で追いかけていました。するとそこに、悲鳴とともに空から何かが落ちてきて、豆腐小僧にぶつかったのです。
>「いてて… なんでぇ、いきなり!? オイラをくずし豆腐みたいにしようってのかぃ!」
>豆腐小僧がプルプルと怒りながら顔を上げると、目の前に「赤い色をした何か」が落ちていました。
>「なんだありゃ? もしや… 梅干しのカケラか!?」
>しめた!と豆腐小僧が思ったのも束の間。「赤い何か」は呻きながらノソノソと起き上がるではありませんか。なんと、よく見るとそれは赤いキノコだったのです。
>「なんでぃ、梅干しじゃなくてキノコかよ!」
>「オラはキノコでねぇ! ノームっちゅう妖精だ!」
>「へ? 妖精? んじゃ、オイラの仲間だな! …で、何でキノコが空から降って来るんでぃ?」
>「だっからキノコでねぇっての! オラは赤い月さ追いかけるために鳥に乗ってたんだども、振り落とされちまったんだ」
>「はー、鳥に乗るたぁ、たまげたキノコだねぃ! …つうか、赤いのを追いかけて…って、もしやお前もあのでっかい梅干しが目当てかい?」
>「ウメボシ? …何言ってっかわかんね~けど、オラはこうしちゃいられねんだ! 早くちゃんと飛べる鳥を見付けて追いかけねぇと!」
>その時でした。突然何かがふたりに覆いかぶさり、辺りは真っ暗になってしまったのです。
>
>「こんなところで豆腐とキノコが手に入るとはツイてるぜ」
>「まさかお頭…その妖怪どもを食おうってんですか…?」
>「そのまさかよ。なぁに、煮込んじまえば大丈夫だろ」
>「そ、そっすかね…」
>なんとしたことでしょう。ふたりは揃って山賊に捕まり、麻袋に入れられてしまったのでした。
***その8 神族4-024/C ヤニワニ
>人間に近づいて、袋を奪って飛び去りました。
>いつもなら奪ったものはすぐに捨ててしまうヤニワニですが、今日奪った袋はモゴモゴと動いて何やら音がします。中身が気になったヤニワニは、
>大鷲の姿のまま木の上に降り立つと、袋を開けてみました。すると、袋の中から何かが飛び出してきたのです。
>「勘弁してけろー! オラは食えねぇよーぅ!」
>「味見もしねぇで煮込もうたぁ感心しねぇな! やっぱ最初は冷や奴だろうよ!」
>袋から出てきたのは、真っ赤な傘帽子のキノコと、白くてプルプルした何かでした。
>「ん? 何だオメ、山賊じゃねーのけ?」
>「なんでぃ…鳥じゃねぇか、驚かすねぃ!」
>「もすかしてぇ、助けてくれたのけ? ありがと~な~!」
>「おぅ! こいつぁ世話んなったな!」
>ヤニワニは、こんな風に誰かと話したことなどなく、ましてやお礼を言われたことなど初めてだったので、どうしたら良いのか分からなくなってしまいました。
>「ありがとついでに大鷲さんよ、オラをあの赤い月の方まで乗せてってけろ!」
>ドギマギしているヤニワニをよそに、キノコはそう言うやいなや、ヤニワニの背に飛び乗りました。すると白いプルプルも負けじと飛び乗ります。
>「あ! 抜け駆けはいけねぇぜ! あの梅干しはオイラのもんだ!」
>「しょうがねぇな~ そったら 出発すっぞ~!」
>キノコは、おもむろに取り出したハーモニカを吹き始めました。するとどうでしょう、ヤニワニの胸に、なんだかわからない衝動が沸いてきて、大空に飛び出さずにはいられなくなりました。
>
>こうしてヤニワニは「へんなやつら」を乗せて、再び赤い月を追いかけ始めました。どうしよう…と戸惑う気持ちもありましたが、でもなぜか、不思議と悪くない気分のヤニワニでした。
***その9 海種4-025/C マキリ
>マキリを乗せたフキの葉は、赤い月を追いかけて、どんぶらどんぶらと川を下っていきました。フキの葉にゆられている間も、マキリはふんどし一丁で、必死で素振りをしました。
>そしてマキリが500回目の剣を振りきった頃、フキの葉はとうとう大海原に流れ出たのです。
>
>そんな時、一羽の大きな鷲がマキリの方に飛んできました。大鷲は、フラフラと心もとなげに飛んでいたかと思うと、突然『ボフン!』と煙に包まれ、ねずみのような姿に変わってしまいました。
>
>「わー!? 何だおめぇ、鷲じゃなかったのけ!?」
>「こりゃたまげた! ねず公だったのかい!」
>「って、また落ーーちーーーるーーーー!!!!!」
>「海に落ちたら塩豆腐になっちまぁ―――あ、それもまたアリかも?」
>「…プ…キュ~…」
>
>何だかわけのわからない叫び声とともに、ねずみのようなものがマキリ目がけて落ちてきます。それに続けて、キノコのようなものと、豆腐のようなものも落ちてくるではありませんか。
>
>「わわわ!? ちょ、ちょっと待ったでございますーー!?」
>マキリは慌ててフキの葉を漕ぎましたが、逃げる間もなく、ナゾの3匹と一緒に、海に落ちてしまいました。
***その10 海種4-026/C オーサン
>赤い月灯りで染められた真っ赤な海を、オーサンは懸命に泳ぎました。けれど、赤い月は、そんなオーサンをよそに、どんどん遠ざかっていってしまいます。
>次第に月は海の向こうに消え去り、気が付けば海もオーサンも、いつもの青い色に戻っていました。
>オーサンはずいぶん遠くまできたようで、もう周りには陸の姿は見えません。引き返そうにも、がむしゃらに泳いできたせいで、島の方向が分からなくなってしまいました。
>オーサンは広い広い海の真ん中で、ひとりぼっちになってしまったのです。
>オーサンが今よりもっと小さなキジムナーだった頃、オーサンが泣いていると、オジーはいつも駆けつけてくれました。でも、そのオジーはもういません。
>そんなことはよく分かっていたけれど、オーサンはポツリと「オジー」と呼んでみたのです。
>その時です。オーサンの目の前に、突如一匹の赤い魚がパシャーンと跳ねあがったのです。そして赤い魚は、まるでオーサンを誘うかのように、オーサンの周りをくるくると泳ぎ回ります。
>オーサンは、なんだかオジーが魚になって迎えに来てくれたような気がして、赤い魚の背びれに掴まってみました。すると魚は、オーサンを引っ張って、赤い月が消えた方角に、猛スピードで泳ぎ出したのです。
>赤い魚に導かれ、オーサンはまたグングンと元気よく泳いでいきました。そして、しばらく泳いだ時のことです。オーサンの行く手に、なんだか不思議なものが、ぷかぷかと浮いているではありませんか。
>「ヒャ~ ありゃ ぬ~がみ(なんだ)? 海のど真ん中で トーフときぬこ(きのこ)と葉っぱとフワモコが浮いてるさ~!」
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&aname(レッドデッドラプソディ,option=nolink){}
**レッドデッドラプソディ &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【レッドデッドラプソディ】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『RED DEAD BAND!!』を獲得出来る。
***第一楽章 神族2-004/SR アフロディーテ
>愛とは、とても素晴らしいものデス。
>慈愛、親愛、情愛、ラヴ。
>愛は全ての根源であり、何よりも尊いものなのデス。
>愛なくしては人も神も生きていけません。
>愛とは何よりも優先されるモノ――ですが残念ながらそれを理解できない人々がたくさんいるのもまた事実デス。
>これはひとえに私の努力が足りない証…。
>そこで、より多くの愛を伝えるために、私は考えました。
>言葉で伝わらないなら、音楽にすれば良いのデス!
>私の愛をもってすれば、この竪琴で誰もが魅了される、めろうでらぶりーな曲を奏でられるはずデス。
>さらに、世の中には“ばんど”という合奏集団を組んで、皆で熱いぱとすを響かせ合うという風習があるといいマス。
>皆の想いを重ねて奏でる…これはまさに愛そのもの!
>私のばんどで、この世を愛で満たしてみせマス!
>そのためにも、まずは“ばんどめんばー”を探さないと。
***第二楽章 海種2-016/C フォカロル
>はいはい、あなたの願いはなんですか?
>恋の成就? はぁ…くだらない、そんなことに私の手を
>煩わせないでいただきたいですね。
>そんなものは節操のないそこらの悪魔に、
>魂なり何なり売り渡して頼むと良いでしょう。却下です。
>はい、では次の召喚者さん、あなたは何ですか?
>敵の巨大戦艦を沈めたい…。はぁ、なるほど。
>もちろん私ならば可能ですがね。私がそれをしなければ
>ならない理由を、30字以内で簡潔に説明してください。
>できませんか、ならば結構です。またの機会を。
>では次の…おや、これはこれは名高き愛の女神さまでは
>ないですか。女神が悪魔を頼りに来るとは、世も末ですね。
>まぁ良いでしょう。私はいずれ天使へと返り咲く身。
>あなたに恩を売っておくのも悪い話ではありません。
>どのような願いでも聞き入れて差し上げますよ。
>それで、あなたは何を望みますか?
>個人的復讐ですか? それとも天界への反逆ですか?
>………はい? バンド?
***第二楽章 第二小節 海種3-027/C フォカロル
>全くこの世はあまりにも無駄なことが多すぎますね。
>私の力を求める召喚者たちのほとんどは、力を貸すに値しない俗物ばかり。虚栄、欲望、抱くのは構いませんが、
>なぜ私の手を煩わせようとするのか理解不能です。
>大抵のことは自力でなんとでもなるのですから、自力で限界まで努力をすべきでしょう。それでも叶わぬときはじめて、
>相応の対価をもって頼みにくるのが筋というものです。
>悪魔を頼るということを、あまり軽々しく考えないでいただきたい。私を動かすことは余程の事がなければ叶わぬと心得ておきなさい。
>私は無駄なことが大嫌いですから。
>さて、それを踏まえた上でお聞きしますが、あなたの望みはなんですか? ――ああ、なるほど。あなたの願いは理解しました。
>私が手を貸すべき道理も、その対価も、まぁ及第点と言って差し支えないでしょう。
>ですが残念ながら、その日は既に“らいぶ”の予定が入っておりまして、ご期待には添えかねます――
***第三楽章 不死2-004/SR ジャンヌ・ダルク
>神などいない。啓示などない。
>正義を信じた純白の心は、業火の刃で切り裂かれた。
>謂れなき罪と罰。裏切りと怨嗟に、歪む心は鈍色に染まる。
>魔女などいない。聖女などいない。
>穢れた翼で舞い踊る。そう、アタシは漆黒の堕天使――
>「魂の叫び…なるほど、これが"ろっく"なのデスね」
>うぉ!?なんだアンタ、どっから湧いた!?
>「あなた、ぜひ私の"ばんど"に欲しいデス!」
>バンドだと?…ふん、アタシはもうつるむのは止めたんだ。悪いけど、他を当たりな。
>「そんな…!あなたの詩的表現に感銘を受けたのデス!
>特に"業火の刃で切り裂かれ"ってところなんて…」
>ぐっ…やめろ!恥ず…い、いいから黙れ!!
>「なぜデスか?さっきの"漆黒の堕天使"のくだりなんかはとても素晴らしい…」
>ぎゃーーー!!わかった!!入る!!入るから!!頼むからやめてくれ!!
***第四楽章 海種3-003/SR ラクシュミー
>妾は楽しいことが好きじゃ。
>歌ったり踊ったり、楽しいことは何でも好きじゃ。
>創世やら破壊やら、妾にとっては小さきこと。
>何事も楽しくなけりゃ意味がないのじゃ。
>なのにヴィシュヌはいっつまでも寝てばかり。
>暇すぎてぼーっと世界を眺めておったら、お前らがなんかおもしろそうなことをしとるじゃろ?
>もう我慢できんくて、飛び出してきたというわけじゃ!
>「なるほど、それもひとつの愛デスね!」
>音楽とは、音を楽しんでこその音楽なのじゃ。
>楽しむことにかけて妾の右に出るものはそうはおるまい!
>「お~ なんだかよくわかりませんが凄そうデス!」
>んふふ~ そうじゃろうそうじゃろう。まぁよい、妾が来たからには百人力じゃ!
>ライブでもリサイタルでも最っ高に楽しくしてやるから、ど~~んと任せておくのじゃ!
>「あ、でもよく考えたら、ギターはジャンヌさんがいるからもういらないデスね」
>え…? あ、や、これはシタールといってギターではなく…
>あ、あ、待て、待たんか、話を聞け…妾も仲間にいれて…
>も、もう退屈なのは嫌なのじゃ~!
***第五楽章 不死3-008/SR ジャンヌ・ダルク
>――進撃せよ ラ=ピュセル
>神の啓示のまま 気高くそして雄々しく舞え
>――奪還せよ ラ=ピュセル
>奇跡を信じ剣を取れ その身尽き果てるまで
>――討滅せよ ラ=ピュセル
>喝采はやがて勝利の凱歌(プレリュード)に変わるだろう
>我こそ聖女 オルレアンの乙女
>
>これが新曲の“さび”ですか…!
>むむむ… 今回も素晴らしい歌詞デスね!
>ところでこの「ラ=ピュセル」というのは人の名前デスか?
>このもでるになった人は、故郷への愛に満ちた素晴らしい人なのデスね。彼女の愛と在り様は、
>きっと時に理解をされにくいものデスが、わかってくれる人は必ずいるのデス。
>私は、こんな人とお友だちになれたらと思いマス!
>…あれ? お顔が真っ赤デスよ、ジャンヌさん?
***第七楽章 神族3-006/SR アフロディーテ
>あら、赤目さん! いつも応援ありがとうございマス!
>はい! おかげさまで“ばんど”活動はとっても順調デス!
>最近は“あいどる”とやらも出てきて私たちも負けてられませんから、愛に飢えてる方々のために“らいぶ”を
>たくさんしてきたところなのデス!
>私たちの“らいぶすてーじ”はこの世で一番愛が必要なところ…そう、戦場デス!
>「暴力はよくないデス!」
>「戦争なんてくだらないデス!」
>「私たちの歌を聞くのデース!」
>と、いっぱいの愛を歌うのデス! すると私たちの“らぶ”と“ぱとす”が伝わって、みーんな戦いを止めてくれマス!
>なかには戦いに夢中であんまり聴いてくれない人もいるのデスが、そういう人はちょっと大人しくしてもらって、
>念入りに聴いてもらうようにしているのデス!
>え? どうやって大人しく、デスか? 簡単なことデス!
>竪琴のカドって、すっごくかたいんデスよ。
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&aname(魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター,option=nolink){}
**魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【魔界アイドル伝説 くりむぞん☆スター】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『✝魔界アイドル伝説✝クリムゾン☆スター』を獲得出来る。
***1話 魔種2-003/SR リリス
>…私は怖かったの あの人がいなくなって悲しんでる自分が…
>それを認めたくなくて… あの人に再び逢えても
>決して心がざわめくことは無いんだって…
>それを証明したくて 姉さまと一緒にこの世界へ来たの
>でも 『扉』をくぐって この世界に来て…いいえ来ただけで
>私は気づいてしまった …あぁ 私はやっぱり…って
>自分の気持ちを認めてしまった時 私はもっと怖くなった
>人の愛を狩る私が 人を愛してしまったら 私の存在は…
>気が付くと 姉さまの顔も見れなくなってた
>私には 既に 遠い昔 恐怖と共に付けられた名前があった
>私のは 人間たちにつけられた名前…
>姉さまのは あの人につけられた名前…
>もしかしたら あの人は私なんかより 姉さまの方を…
>え…? 振り向いてくれないなら 自分から輝いて
>振り向かせればいい…? え…なにを… アイ…ドル…?
***2話 魔種2-011/C ルティア
>ふぃ~ ごっちそうさま~ や~っぱ人間は最高ぉだね~
>ん~ あれれ~? どうしたのリリスちん? 元気ないよ~
>それ しないの~? いらないの~~?
>まさかのこ~んなところで ひっさしぶりに会ったんだし~
>なんかあったのなら言ってね~
>
>ふんふん そっかぁ~ 愛だね~ ラブだね~
>い~ない~な~ ミリアちんも リリスちんもい~な~
>
>それじゃ~さ~ その人が振り向いてくれないなら~
>こっちが振り向かせればいいのだよ~ うん
>み~んなが振り向く アイドルになって~
>パ~って キラキラ~って 光って輝くの~! となると~
>やっぱアイドルは三人だよね~ あとひとり集めなきゃ~!
>ミリアちんは今いないし~ 誰かいい子いないかね~
***3話 魔種2-016/C チルル
>わ 悪かったわよ! ちょっとした悪戯じゃない!
>ね? それジャムだから 洗えばおちるし!
>だって 悪戯が私の仕事なんだから しょうがないでしょ?
>え? 許すから おわびに…なんて…?
>…はい!? アイドル?? なんで私が???
>たしかに「みんな元気にな~~れ!」は
>アイドルっぽかったかもだけど…
>ムリムリムリムリ! ぜっっっったいムリ!
>羽が生えてる魔種ってだけで 私 あなた達と同じ
>淫魔じゃないし! フェアリーだし! いたずらっこ枠??
>ぜんっっっぜん意味わかんないんだけど!!
>え!? さっきのジャムがサイン!?
>淫魔も悪魔の一種だから契約は絶対???
>ちょっ…まって そんな… い~~~~や~~~~~!
***4話 『爆誕!鮮血の歌姫 地獄のリサイタル』① 魔種3-026/C ルティア
>オッホン それでは~ あたしたちも 無事 三人集まって~ アイドルグル~プになれたということで~ 何か活動しないとね~
>
>う~ん そ~だな~ ライブぅ? コンサ~トぉ? リサイタルぅ? どれでもいいけど~ やっぱり そういう感じのがいいよね~
>
>とにかく~ た~くさんのギャラリぃがいるとこで~ ド~~ンって バ~~~ンって はじけて目立っちゃうのだよ~
>でも~ あたしたち まだ無名だからね~ お客さん集めるっていうよりか~ たっくさん人がいるところに 行くのがい~よね~ …と なると~
>
>あ~~! チルルちん リリスちん 見て見て~!!
>ほら~ あそこで戦争やってるよ~~!
***4話 『爆誕!鮮血の歌姫 地獄のリサイタル』② 魔種3-028/C チルル
>ちょっと本気?? 何で!? どうしてこうなるのよ!!
>こんなところでやれるわけないじゃない!
>わわわ! ほらほらほら 気づかれちゃったよ!
>
>何で戦争のど真ん中で歌うのよ! ってかそもそも何歌えば… …って 来た来た来た たくさん来たよ!
>は~い みんな並んで~っ…て 並ぶわけないでしょ ルティア!
>ひゃっ! 襲いかかってきたよ!
>もう~ アイドルってこういうのじゃ… そもそも 私たち こいつらの敵ですらないし!
>こわいこわいこわい! やん! もうやだ……あいた!!
>
>なによ……ちっちゃいからって舐めないでよね!
>アンタたちなんか こうしてこう! ジャム!ジャム!ジャム!
>ジャムの刑よ!! ほ~らベトベトになっちゃいなさい!!
>フフフン 良い気味ね! このイタズラ妖精チルルちゃんにかかれば…え? リリスもジャム攻撃やってみたの?
>ほら 真っ赤なジャム…ってそれ ホントにジャム!!??
>い~~~~や~~~~~!
***4話 『爆誕!鮮血の歌姫 地獄のリサイタル』③ 魔種3-005/SR リリス
>――そう それがどういうものかは解らない
>でも 私はただ あの人に逢いたくて こうすることを選んだ
>
>今までは 人の心の隙間に忍び込み その魂をそっと奪い去るだけの 淫魔でしかなかった
>こんなわたしに これ程までのことができるなんて…
>
>今 私はたくさんの喚声に囲まれて 舞い踊る
>淫魔であり続けるだけでは 感じることのできなかったたとえようもない高揚感が全身を襲う
>――そう 私は舞い続ける あぁ また観客が私の前に…
>舞うように飛び 唄うように――斬る!!
>「これが… アイ…ドル…」
>「リリス! よけてー!!」
>「舞うように……斬る!」
>「リリスちんすごいね~ もう100人は倒したよ~? もう目立ちまくりだね~ アイドルの頂点はちかいね~」
>「うん わたし…がんばる」
***4.5話 『戦慄! 試練の歌姫 叫喚の<這遺多血会>』① SP-0/SP ルティア
>オッホン そんなわけで~ あたしたちもせっかくこんな素敵なステージでデビュ~できたので~
>来てくれた人たちにも~ 何かプレゼントとかしたいよね~
>「…ルティア そもそもここステージじゃなくて あんた達が『リサイタルやるなら人がいっぱいる所だよね~』って飛び込んだ『戦場』だから…」
>「…確かに チルルの言うとおり 戦場で良いプレゼントは見つからなそうだわ…」
>「えと そうじゃなくて…」
>大丈夫だよ~リリスちん プレゼントは~思い出~とかだっていいんだよ~ふれあいイベント的な~? サイン会~? 握手会~?
>あ~ハイタッチ会とかいいかもだね~ そういうので~ ファンの心をがっちりつかむのだよ~
>「…えと ファンどころか ここにいるのはあんた達が『リサイタルは目立ったもん勝ちだよ~』って 派手にしばき倒した兵隊達だけだし…」
>「…確かに チルルの言うとおり ファンがいなければイベントはできないわ…」
>「えと…あの…」
>え~あきらめちゃうの~? イベント盛り上がったら~ リリスちんの『あの人』も「何やってるんだろ~」って来るかもよ~
>「やろう チルル」
>「へっ?」
>「…ハイタッチ 大事」
>「いや だから お客さんいないし… いても死にかけだし…」
>ふっふっふ~それならあんし~ん あたしは淫魔なのだよ~ お客さんなら~ ミリアちんから教えてもらった隠し技『エキサイトキッス』で~
>死にそうな人でも元気に起こしちゃうのだよ~
>「なるほど… 範囲内の味方全ての攻撃力を一定時間上げる――あれね」
>「ちょっと… 言ってる意味がわかんないんだけど…」
>あたしのは~さらに【魅了】効果もついてる特別製だよ~ そ~れ キャハハハハ~
>「わ…起きた! …なんか みんな虚ろな目で這いずってこっちに… ひ! お腹からなんか出てる…!? い~~や~~!」
***4.5話 『戦慄! 試練の歌姫 叫喚の<這遺多血会>』② SP-0/SP チルル
>は~い! みんな 並んで並んで~! あ! ほら 順番は守らなきゃだめだよ~! ハイタッチは一人一回ずつだから一列になって…
>あ~ん 横一列に広がってこっち来ちゃ……ダメって…あの…並んで欲しいんですけど…剣とかは置いて……ね?
>
>…ちょっと ルティア!! 全然だめじゃない! あんたが<エキサイトキッス>で魅了した兵隊たち まったく言う事聞く気配無いわよ!
>むしろ目ぇギラギラさせて襲って来る気まんまんなんだけど!
>
>へ? 【魅了】の対象は淫魔のあたしだけだから~ チルルちんは自分でがんばって~……って何言ってんのよ! 私ハイタッチ会とかぜんっぜん興味ないし
>そもそも今のこの状況に何の意味があるんだか 正直本当に少っしもまったく理解できな……わわっ! 来た! ひぃ!
>み みんな恨みこもった目でこっち見てるよぉ……ごめんなさい…そうだよね…私たち いきなりこの戦場に現れてこの人たちやっつけちゃったんだもんね……。
>
>でも…でもね だからって私負けないもん! 私だって魔種だもん! 人間を困らせてナンボなんだから! 私にもいたずらフェアリーの意地があるのよ!
>なりゆきアイドル舐めないでよね! 「キッス」くらい私にだってできるわ! このチルルちゃんの<フェアリーキッス>をくらいなさい!!
>『みんなの気持ちを一つに! 元気にな~れ!』――ふふん どう? これでみんなアタシの虜に……あれ? みんな前より元気に…走ってくる…
>あ あたしのキッスって攻撃力あげるんだっけ…しばらくやってなかったから忘れてた…い~~~や~~~~!
***4.5話 『戦慄! 試練の歌姫 叫喚の<這遺多血会>』③ SP-0/SP リリス
>――私は一人だった 淫魔として数多くの人間達と出会い その精を吸い上げてきた しかし人間達は時と共に朽ち果ててしまう
>最後には 決まって一人で その亡骸を見つめていた… 一応 私には姉が一人いたが 彼女はいつも気ままで 気まぐれで
>たまに共に過ごすことはあっても やはり最後には一人になった…
>
>そんな私に友達ができた その友達は 『あの人』を追って でも逢えなくて 塞いでいた私の気持ちに光を当ててくれた そして
>キラキラと光る この素敵な舞台へと立たせてくれた
>
>こんな素敵な気持ちが自分にもあるだなんて知らなかった 人間から精を集める以外 私にこんなことができるなんて思いもしなかった
>
>私は彼女たちに恩返しがしたい… 私にできること全てで 今もまた 押し寄せる多くの観客にかこまれている彼女らが キラキラと光輝く道を歩む手助けをしたい
>そして できれば私も――今 私にできること…それはこれだけ――斬る!
>
>「ちょ…リリス! これハイタッチ会なんだよね? なんでまた兵士達を攻撃してるのよ!」
>「…おさわり 禁止」
>「リリスち~ん ハイタッチ会はタッチしても~いいんだよ~」
>「おさわり…いいの?」
>「ハイタッチならね あ…でも私の方に来る兵隊は倒してくれるとうれしいかな… 私そもそもハイタッチとか興味ないし…」
>「え~チルルちんダメだよ~ ファンを差別しちゃダメなんだよ~」
>「ルティア… ずっと言ってるけど こんなに殺気立った大勢の兵士に囲まれて ハイタッチもなにもないから…」
>「…なら 任せて…『大丈夫、怖がらなくていいのよ…』」
>「あれ?兵士たちの力が抜けたように…」
>――私の<パラダイス・ロスト>は 相手の防御力をさげ…。
>「わ~一列に並んでいくね~」
>――複数攻撃を 単数攻撃にする…。
>「…これで大丈夫 はい タッチ」
>――私も 一緒に輝きたいと思う 彼女たちと『あの人』に再び出会うために
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&aname(水滸伝 暁異聞,option=nolink){}
**水滸伝 暁異聞 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【水滸伝 暁異聞】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『天驚・暁の百八星』を獲得出来る。
***巻ノ一 人獣3-023/C 一丈青扈三娘
>体も小さく気弱なくせに、格好つけたがりなあの人は、武勇を誇るように私の前を駆け、あの妖術師の槍に貫かれて死んでしまった。
>枯葉のように馬から落ちるあの人を、せめて救い上げたいと手を伸ばし、その体に触れんとしたその時、私も死んだ――はずだった。
>しかし、私はこうして異界の戦場で、また日と月の剣を手にして戦っている。
>我が身に何が起きているのかは分からぬが、あの妖術師の礫を受け天を仰いだその時に、空に輝く、我が宿命たる「急」の星が紅く瞬いたのだけは覚えている。
>以来、私は異界の戦場を渡り歩き、そこで力尽きる度、紅き宿星の光に包まれ新たな戦場へと降り立った。
>こうして戦い続ける理由はただ一つ。
>泣くように笑う、優しいあの人の命を奪った、あの憎き仇に再び会いまみえんがため――しかし、たとえ仇敵を討ち果たしたとしても、あの人は――気づけば、蘇るたび、私の心だけはぐずぐずと死へ近づいていたのかもしれない。
>「…また 死ぬのか… もう 疲れてしまったな…」
>多くを討ち果たし、多くの傷をおった体を横たえ、いつものように天の宿星を見上げ――私は、目を見開き、久方の涙を流した。
>「そうか… 私はこのために… 戦い続けていてよかった…」
>次の異界へと私を誘う我が宿星。その隣に寄り添うように、今まではなかった、鈍く光る「微」の宿星が不恰好に瞬いていたのだから。
***巻ノ二 人獣3-004/SR 豹子頭林冲
>ボロをまとった“如何にも”な一団が寝そべる男を取り囲む。
>「テメェがリンチュウとかいう野郎か ここいらでオレらを狩ってるんだってなぁ
>ヒョウの頭がどうたらというから どれ程の不細工面かと楽しみにしてきたが
>ずいぶんと優男じゃぁないか えぇ?」
>リンチュウと呼ばれた男は、面倒くさそうに立ち上がると、かかってこいという風に、無言でクイクイと手招いた。
>「ほうほう 噂通り 人間ごときが生意気なもんだ」
>ボロを脱ぎ捨てる一団――オークだ…!しかし男は笑みを浮かべた。
>「へぇ こんどは鬼人かよ なるほどなぁ 人のこたぁ言えねぇが こりゃぁたわけた世界だわ
>どれ チンピラども 優男とは光栄だがよ この姿を見てもそういえるかね?
>…蛮身 爪牙 天雄星!!」
>たちこめる砂煙、一瞬の閃光、響き渡る叫喚、そして――静寂。
>「…ってなわけだ 反省したかチンピラァ」
>そこには巨大な爪で根こそぎ薙いだかのような、十五尺はあろうかという爪痕、
>そして二度と反省すること叶わぬオークの群れ。
>「おっ死ぬたびに蘇り 宿星の光に導かれていくつかの異界を渡ってきたがよ
>こいつぁ飛び切りだぜ――しかし懐かしぃじゃねぇか」
>そう言って男が見上げる空には、強く輝くいくつかの“宿星”。
>「…九紋竜のガキに一丈青の嬢ちゃんか それに… やっぱ おめぇらも生きてたんだなぁ
>この世界でこの体がどれ程持つかは分からねぇが また あの頃みてぇによ――こいつぁ 楽しみだ」
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&aname(紅焔八犬伝,option=nolink){}
**紅焔八犬伝 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【紅焔八犬伝】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『八珠に導かれし者』を獲得出来る。
***壱 人獣3-012/R ヤツフサ
>いつからそうであったのか。犬は狂おしい程にあの方を欲し、あの方を手に入れるために――首を刈った。
>敵の首をとればあの方をくれる、そう犬の主人が約束したからだ。
>そうしてあの方と夫婦となった犬は、いたく満足であったが、なぜ一介の畜生である自分にそれほどまでの想いが宿り、そのようなことがなし得たのか不可思議ではあった。
>その想いは、呪い――悲しい目であの方は言った。
>そうか、そうかもしれぬなぁ――だがそれよりも、犬には、ただその目が許せず あの方が心から自分のものにならぬのが赦せず、 情動に駆られ――首を刈った。
>あの方は、その度に悲しい笑顔をうかべ、最後は犬を呪いから救うため――自らの腹を裂いた。
>果たして、犬にかけられた呪いは解け、黒い情動も消えたが 死したあの方への想いだけは、既に犬の血肉と化しており一向に消えなかった。結局、だから犬は――首を刈った。
>首を刈れば、またあの方に逢える――いや、それこそがあの方との絆を繋いだ所業――いや、消せぬ想いを晴らすため――いや…これもまた、あの方の優しさがもたらした、呪い、なのか…。
>そこまで考え、犬はやはり、その見慣れぬ赤い隻眼に、いつものように告げることにした。
>「やい 儂の女房を探す手伝いをしろ そのかわり誰かの首を望むなら この刃と牙で刈り取ってやる」
***弐 人獣3-001/UR 伏姫
>伏は生きていなかった。少なくとも自分ではそう思っていた。
>物心ついた時、彼女は人と違い、何も感じることができぬ空匣であった。
>だから、自分は生きてはいないのだろう――幼くも、そう思っていた。
>
>彼女が数え三つになった頃、八つの珠が与えられた。
>それには、八つの人の徳なる心が納められていた。
>空匣であった伏は、かくして仮初めの心を手に入れ、人から見ればとても清く美しい、徳高き姫となった。
>そして、そんな自分を称える周囲の者達を見るにつけ、自分は生きているのかもしれない――そう思い始めていた。
>
>そんな彼女に恋をした者がふたつ。ひとつは清廉な武者、ひとつは獣。しかし、ふたつの想いは伏を苦しめた。
>人であろうと、獣であろうと、伏は、どうしてもその想いを受け止めることができなかった。
>なぜなら、彼女の八つの心に、「愛」の字は無かったのだから。
>人として正しく優しい心を持った伏は、想いに応えられない自分に苦しんだ。
>こんなに苦しいのなら――その想いは呪い――姫にはそう思えてしまった。
>だから、この呪縛からふたつの愛を、自分を、解き放とうと、自らの――腹を裂いた。
>流れ出す命…広がる赤…赤い、光…。
>
>目を開き、伏は見知らぬ地にて息を吐いた。珠が、死を赦さなかったのだ。珠は語った。
>「伏姫神よ 伏姫神よ あなたの御身は特別なもの あなたの御身は里見のもの 我ら八珠は御身の命
>お隠れなるは罷りなりませぬぞ 全て里見の御ために」
>「やはり…そうなのですね…」 伏は、悲しそうに笑った。
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&aname(夢なりし紅の騎士物語,option=nolink){}
**夢なりし紅の騎士物語 &link_anchor(▲){▲}
フレーバー【夢なりし紅の騎士物語】の使い魔を使って4位以上を一定数取ると
称号『紅き夢見し無垢なる騎士道』を獲得出来る。
***その3 人獣4-022/C グラディボロトル
>舞い散る砂塵、そして凄まじい地鳴りと共に、“それ”は突如として姿を現しました。
>見渡す限りの瓦礫と水晶――数刻前まで広がっていた無機物の支配する空間に、
>巨大な竜が悠然とそびえ立っていたのです。竜が生み出し、その身に纏う水晶は、
>いわば「撒き餌」でした。竜が砂と瓦礫にその巨体を紛れさせ、その間から美しい水晶をのぞかせるだけで、
>人間たちは不用意に竜に近づいてしまうのです。そうして人間が水晶へと無邪気に獲物を振り下ろしたとき、
>竜は歓喜と共にその牙をあらわにします。その犠牲となった人間は数知れず。
>まるで欲深き人間を罰する凶悪な処刑台のごとき、その竜の名は――。
>「…ってなわけで、やべぇっすご主人様。水晶見物なんて言ってる場合じゃないっす。あそこで暴れてるのはサンド――」
>「……あれは、グラディボロトルだ!」
>「? ぐら…なんすかそれ?」
>「ああ、祖父が寝物語に聞かせてくれた武勇伝のひとつに出てくる竜だ。祖父と何度も死闘を繰り広げた因縁の相手…あの巨躯、
>あの凶暴さ…私の勘が告げている。あれこそまさしく伝説の邪竜、グラディボロトルに違いない!」
>「でもあれはサンドドラゴ――いえ、ご主人様が言うのであれば、あれは『ぐらでぼーとる』…でしたっけ?なんすね。サンチョはまたひとつ賢くなったっす」
>「ああ…しかしこんなところでまみえるとは、やはり『ドン・キホーテ』の宿命ということか…」
>「で、ご主人様。そんな因縁深き『ぶらびぼろぼろ』っすけど、どうしましょ? 見るからにヤバそうなんすけど…」
>「なに、問題ない。ヤツの弱点は祖父から聞き及んでいる。まず翼の付け根あたりを――」
>「ご主人様、あいつ、翼がねーっす」
>「………」
>「ご主人様、もしやあれは『ぼらひぶるぶる』じゃな…」
>「みなまで言うな――よし、ドン・キホーテ流逃走術を見せてやろう 共に叫べサンチョ! せーの――イル・アサールト!!」
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&aname(ある老吟遊詩人の詩,option=nolink){}
**ある老吟遊詩人の詩 &link_anchor(▲){▲}
***神族014/C セルディッド
>月の光を浴びながら エルフは大きく伸びをした
>紅の兆しを追わねばならぬ
>億劫なことこの上ないが 長老様の言い付けだ
>竪琴爪弾き 歌唄い
>深い緑に抱かれて眠る それだけあれば充分なのに
>愚かなエルフの恋物語 爪弾き歌うはもう飽いた
>清き紅には導きを 汚れし紅には粛清を それが彼女の道標
>瞳の涙にはなに故か
>欠伸を一つ噛み殺し 白きエルフは森を出る
***魔種013/C フィンテール
>月の光の届かぬ場所で エルフは静かに目を開く
>紅の兆しを追わねばならぬ
>誰に言われたわけでもないが 彼女はそうと自覚した
>獣を引き裂き 闇を駆け
>朝の日差しを忌避して眠る そんな暮らしはもう飽いた
>清き紅には絶望を 汚れし紅には忠誠を それが彼女の道標
>獲物をひとつ裂き殺し 黒きエルフは森を出る
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&aname(ある鷲鼻の騎士の苦闘,option=nolink){}
**ある鷲鼻の騎士の苦闘 &link_anchor(▲){▲}
悪魔に最強を願った為に神魔霊獣に単身戦いを挑む日々を送る破目になった騎士のお話。
前作の老水夫と似た境遇だが、事の発端が悪魔に願うという完全な自業自得なところがなんとも言えない。
そして、常人なら複数人で挑んでも死ぬだろう相手とタイマンで戦って生き延びてるところを省みると。
耐久的な意味で最強には着実に近づいているのではないだろうか…。
***魔種017/C イポス
>過去を 未来を羨むな!
>いいか?あの異形は悪魔なんだ…!
>確かに奴の預言は本物さ どんな過去でも
>未来でも手繰り寄せる方法を教えてくれる。
>だがな、契約は絶対だ...
>奴の予言には必ず従わないといけない…それは”必ず”なんだ
>…かつて奴に”世界最強”を願った馬鹿な騎士がいたのさ。
>その騎士に奴はこういったんだ。「世界中ノ名ダタル神魔霊獣ヲ
>オ前ガ倒セバヨイ」と。…分不相応な願いの代償に
>その騎士は今もどこかで無謀な戦いを強いられているんだよ。
>. ―馬鹿な鷲鼻の旧友を憂う田舎魔術師
***人獣010/R フォルコン
>あそこに見える竜・・・? あぁ あれは森神様じゃ そう怖がりな
>さるな ワシら森の民の
>守り神じゃよ まぁ お怒りになること
>もあるが なぁに ・・・運が良ければ村ひとつで済むわ
>どんな時にお怒りになるかじゃと? そりゃ簡単じゃ
>“目の前を走る”これだけじゃ 森神様は鼻息荒く どこまででも
>追いかけていきなさる さて 鷲鼻の騎士よ ワシラの
>聖域に踏み入った罪 この場で死罪となるか この地をそなたに
>教えた奴らの村まで今すぐ“走る”か どちらにするかの?
>. ―村の民の聖域を侵した鷲鼻の騎士の手記
***人獣014/C ロッシュ
>おい! そこの鷲鼻の旦那! 早く目を逸らせ!
>そうだ そのままじっとしてるんだ …ふう 危ないとこだったぜ
>この辺はコカトリス共の縄張りなんだ ヤツらと視線が合えば
>こんだけ離れてても あっちゅう間に石にされちまう
>一度見つかりゃ こっちが石になったと思うまで その場を一歩も動きゃしねぇ
>特に群れで一番頑固なのが 奴さ ついたあだ名も“岩”だしよ
>まぁ あと2日もじっとしてりゃ飽きるだろ
>もし動いたらどうなるかって? そりゃ決まってる
>オレの腰から下みてぇに カチコチになるだけさ
***神族028/C タロス
>右手に見えますのが、かの有名なクレーテ島でございます。
>おっ、今日も元気に走り回っておりますね!
>…そうです! あれこそがクレーテ島名物、タロス像!
>巨匠ヘパイストス氏によって鋳造された匠の一品…
>…もっと近くで見てみたいかとは思いますが、タロス像は
>島の守護神… これ以上近づくのは危険ですのでご容赦を…
>私の忠告を無視して島に乗り込もうとした騎士さんなんて
>踏まれた挙句に鷲鼻を折られ、今はベッドの上ですからね!
>. ―クレーテ観光協会 遊覧船添乗員の言葉
***海種013/C ディニ
>ちょっとお兄さん、ずっとうわの空で… 失礼しちゃうわ。
>…まっ、この歌声を初めて聴いたのならしょうがないけど。
>とても美しい声よね… でも、歌い手はもっと美しいのよ。
>それこそ、世界中の女達が嫉妬しちゃうくらいに。
>…でもね、彼女に会いたいだなんて絶対に思っちゃダメ。
>お兄さんハンサムだから、
>きっと彼女に見初められて海の底まで連れてかれちゃうわね。
>…ブサイクなら尾びれで引っぱたかれるだけで済むんだけど。
>そこの鷲鼻の騎士みたいに。
>. ―シーサイドBAR『人魚姫』ママ
***不死028/C ジルボルド
>ズッシンズシン… 腐竜の王が沼地を歩く
>背中に乗せてる人型は お気に入りの冠さ
>手綱のいうこと聞かねぇが 冠かぶりゃ上機嫌
>威風堂々練り歩き 生者はいねぇか 生者は出てけ―
>死者の静寂守るため 今日も沼地を歩くのさ
>ところがお馬鹿な騎士さんが ふざけて冠壊したよ
>腐竜の王は大いに怒り 我を忘れて大暴れ
>哀れお鷲鼻騎士さんは 大地の果てまで飛んでった
>. ―アゼダ湿原で流行中のわらべ歌
***人獣1-021/C ペルーダ
>彼は、元来穏やかな生き物であった。
>だが、神がその世界を滅ぼすと決め、選ばれた生き物のみを箱舟に乗せて救うと決めた時、彼だけが抗った。
>彼は、その世界を、その世界の人々を愛していたから。
>彼は、唯一人、その世界に残り、世界を守ろうとした。
>しかし思いは叶わず、残された全ての世界と生き物は死滅した。
>だが、彼だけは、その類まれな生命力で生き延びてしまった。
>彼は、気の遠くなるような日々、世界に唯一人である孤独に耐え続けた。
>そしてその孤独は、彼の心を黒く蝕み、肉に、血に、毛に、猛毒を巡らせた。
>時が立ち、箱舟に乗った者たちが世界に戻ってきた時、彼の目は果てしない憎悪に染まっていた。
>この世界から逃げた者共を、この世界を見捨てた物共を決して許しはしない。
>奴らの血脈たる子を、その子を増やす女を、全て食らい尽くしてくれる!
>
>――おいおい!思い出して泣いてる場合じゃねぇって、鷲鼻の旦那!あれは伝説だから!
>ほら!逃げなきゃ!踏みつぶされんぞ!
***人獣3-013/R ヤクルス
>「ほれ学者先生 あそこの木の上にいるのが お目当ての怪物だよ あいつは ああやって木の上から獲物を探して見つけると 獲物が背中を向けた瞬間に 後ろからあの尖った鼻でブスリと一突きにするんだ ここらの人間は あいつのことを“ヤクルス(槍)”って呼んでる 近づきすぎてもブスリ 後ろ向いてもブスリ だから気を付けんだよ」
>「なるほど あの鼻でね で あの鼻をグルグルと回すような仕草にはどういう意味があるのかな?」
>「あれは求愛行動だね あいつはメスなんだわ ああして相手がOKするまで何日でも鼻を回すんだね 恐ろしいことに 断って退いたり 背中向けるとブスリとやられる オスも大変だね しかし…オスはどこにいるんだろうねぇ」
>「ふむ ところで あの木の下にいる男は?」
>「あぁ あの騎士の旦那か いやね ヤクルスが見たいって言うから案内したんだけどよ 危ねぇから近づくなって言ってんのに聞かなくてなぁ もう3日もああしてるんだ……あぁ! そっかそっか! ヤクルスのメスは 立派な鼻のオスが好きなんだったわ! なるほどねぇ あいつ あの旦那の立派な『鷲鼻』にホレちまったんだねぇ」
――とある博物学者の手記より
&aname(深淵の同盟軍,option=nolink){}
**深淵の同盟軍 &link_anchor(▲){▲}
フレーバーテキストとしての称号は存在しないが、
ダゴンを使用して4位以上を一定数取ると、
「異形と暗黒、狂気の呼び声」の称号を獲得出来る。
***その3 海種005/SR ムー
>「やはり 目覚めてたんだね この広大な海に眠る数々の <遺産> かつて その中でも最も美しく 高い科学力を 誇ったレムリアの末裔…」
>人造の神は、不意に目の前に現れた少女に物憂げな瞳を向けた。
>「私はポセイドン かつて 君達と敵対していた超大陸 アトランティスは最早滅び その領土は私のものとなった でも その名を冠した守護母神は 君の目覚めに気付いて すでに動き始めてる… どう? 私と手を組まない?」
>「…アトラン…ティス オマエの領土…」
>「君…記憶がないの…?」
>「アトランティス… クッ 頭が… オレは…アトラン…!!」
>「…我が偉大なる海の王よ 大変です 奴の体内の『太陽石』が グングン熱量をあげております」
>「フフ 恐れることは無いよ 私にかかればこのくらい…」
>「このままでは この星の海の半分は全て蒸発してしまうかと」
>「え? そんなにすごいの?」&br()「アトラン… 敵……!!!」
>「わわわ ち ちがうちがう! アトランもう無い!」
>「敵… 敵は……滅ぼす!!!」
>「て 敵じゃないよ! 私達は… そう 友だち! 友だちだったのだ! いや~元気そうでなによりな!」>
>――「深淵の同盟軍」③
***その4 海種2-004/SR アクアクィーン
>――と いう訳で 私と手を組まないか?
>
>ハハ ポセイドン殿 ウチの奴らに同盟とか理解できますかね?」
>「あはは~ ど~め~ってなに~? 壊していいやつ~~?」
>「同盟? フッ このアクアナイトの王が 他の者の力など アテにするものか」
>「グ~~~… ムニャムニャ… グ~~~… 」
>「あはは~ その乗ってるのかわいいね~~」
>「てめぇぇ! なにナイトの姐さんにガンくれてやがる!!」
>「キサマ! うるさいぞ! 王が起きてしまうだろう!!!!!」
>「そうだ! うるっせぇぇぞ!! 黙りやがれこのど畜生が!!」
>「わたし~ トランスならできるよ~~」
>「ルーク! お前がうるさい!!」
>「はいぃぃ! 申し訳ございやせん! このルーク身命をとして 静かにいたしやぁぁぁぁす!」
>「あははは みんな おもしろいねぇぇ~~」
>「…とまぁ ウチこんな感じですが 組みます? 同盟」
>
>――は… 話にならない……
>──「深淵の同盟軍」④
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